JP4422258B2 - コンデンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンデンサに関し、特に電極の引き出しリード線に新規な材質の金属を使用したコンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のコンデンサは、二つの電極とその電極間に介在する誘電体とから構成されているが、このようなコンデンサの一方の電極として例えば弁金属であるタンタル、アルミニウム、ニオブ、チタンおよびこれらの金属の合金のうちから選ばれた一つからなる電極が知られている。該電極には、外部への電気的な接続を取るために引き出しリード線の一端が接続されていて一般にはリード線はその材質がタンタル、アルミニウムである細線が使用されている。また、最終的な市販される状態の形状の外装を有するコンデンサを作製する時に、例えば以下のようにする。該引き出しリード線の電極に接続されていない他端は、外装の内部から外部への電気的な接続を取るために別途用意された外部端子の一端と外装の内部で電気的に接続された構造、すなわち前述した一方の電極と外部端子と間に接続された状態とすることもできる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
さらに、上記のようなコンデンサに対して、最近の電子機器の内部に使用されるコンデンサはより小型で軽量なもの、より大容量なものが求められている。一方、前述した電極に接続された引き出しリード線の一部の表面にも引き出し線の材質の酸化物が電極間に形成した誘電体層の一部として形成されるが、電極と引き出しリード線との接続部分は構造的応力的に不安定な部分であるため、引き出しリード線の一部を含む接続部分近傍に形成された誘電体層は構造的応力的に不安定なものとなる。この点を改善するためには、引き出しリード線の一部と該リード線が接続された電極との表面上に形成される誘電体層の厚さを厚くする方法で対応することが出来る。しかしこの方法で作製したコンデンサの容量は小さくなり大容量の要求を満足できない。これは誘電体の膜厚が厚くなるためである。しかし、材質がニオブである引き出しリード線を用いた場合、構造的応力的な不安定を回避するためにリード線接続部の近傍の誘電体層(ニオブ酸化物)を厚くしても、ニオブ酸化物の誘電率は大きいため大容量化を満足でき、またニオブは従来のタンタルより軽い元素であるので軽量化をも同時に満足することができる。しかしながら、ニオブを材質とした引き出しリード線を使用して作製したコンデンサの耐電圧値は、従来のタンタルを材質とした引き出しリード線を用いたコンデンサのそれに比較して低く不充分であった。
【0004】
本発明は、上記状況を鑑みてなされたものであり、その目的は容量を低下させずに耐電圧値の高い軽量のコンデンサを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討し、容量減少を抑えて耐電圧値の高い引き出しリード線を開発し本発明を完成するに至った。
1)上記課題を解決する第1の発明は、二つの電極とその電極間に介在する誘電体とから構成されたコンデンサにおいて、該電極の少なくとも一方の電極が弁金属またはその合金からなりその電極に接続された引き出しリード線が一部窒化されたニオブからなることを特徴とするコンデンサである。
2)上記課題を解決する第2の発明は、引き出しリード線の材質である一部窒化されたニオブの窒素量が10〜150000質量ppmであることを特徴とした上記1)に記載のコンデンサである。
3)上記課題を解決する第3の発明は、一部窒化された引き出しリード線が接続されている電極がタンタル、タンタル合金、ニオブ、ニオブ合金のうちから選ばれた一つからなることを特徴とする上記1)または上記2)に記載のコンデンサである。
4)上記課題を解決する第4の発明は、一部窒化された引き出しリード線が接続されている電極がタンタル、タンタル合金、ニオブ、ニオブ合金のうちから選ばれた一つであり、かつ一部窒化されていることを特徴とする上記1)または2)に記載のコンデンサである。
5)上記課題を解決する第5の発明は、一部窒化された引き出しリード線が接続されている電極の構造を焼結体としそのCV値が少なくとも50000[CV/g]以上であることを特徴とした上記1)〜上記4)のいずれか一項に記載のコンデンサである。
【0006】
[作用]
本発明の作用は必ずしも明確ではないが以下のように推定できる。前述した電極間に形成した誘電体層は電極に接続した引き出しリード線の一部にも形成されるが、引き出しリード線の材質としてニオブを用いた場合、ニオブはタンタルより酸素親和力が大きいため引き出しリード線上に形成された誘電体層内に含有された酸素をニオブが引き抜く傾向が大きい。このため前記引き出しリード線の一部を含む接続部分近傍に形成された誘電体層の絶縁性が低下しその結果耐電圧が低下すると考えられる。本発明では、引き出しリード線の材質のニオブを一部窒化されたニオブとしていることによりニオブは既に窒素と結合しているため、誘電体層から酸素の引き抜く傾向が緩和されていると推定できる。その結果、最終的に作製されたコンデンサの耐電圧値の劣化を抑えることができるものと推定できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のコンデンサを得るための一実施形態を説明する。
本発明に使用する一方の電極の材料として、タンタル、ニオブ、アルミニウムなどの弁金属およびこれらを主成分とする合金の内から選ばれた一つを使用することができる。電極の形状は板状、箔状、棒状、焼結体などとすることができる。大きさは作製するコンデンサの容量を勘案して任意に決定できる。箔状、棒状の場合は、折り曲げたり巻き回したり、表面をエッチングしたりして、単位体積当たりの表面積を増大させて使用しても良い。焼結体を作製する場合は例えば前述した材料の粉体を加圧成型した後(100〜10-6)×133[Pa]の条件下で500〜2000℃、数分間〜数時間放置する方法を用いることが出来る。
【0008】
また本発明で引き出しリード線として使用される一部窒化されたニオブの形状は板状、箔状、棒状とすることができ、大きさは一般的には前記した電極より小さくして用いられる。該引き出しリード線の一端と電極との接続は、溶接、導電ペースト、かしめ、圧着などによって電気的に接続する方法を用いることが出来る。また、電極の形状が焼結体の場合は、例えば金属粉末を加圧成型する時に引き出しリード線の一部を挿入しておきその後一緒に焼結することによって、電極の焼結体と引き出しリード線を電気的に接続しても良い。また、各電極に接続される引き出しリード線の個数は1個以上であっても良い。
【0009】
本発明の一部窒化されたニオブの引き出しリード線とはニオブの一部を窒素化したものであるが例えばニオブの引き出しリード線を窒素ガス雰囲気中で窒素化することによって得られる。この場合窒素量は10〜150000質量ppmにするのが好ましい。ニオブ酸化物からなる誘電体の漏れ電流値を低減させる点からは好ましくは100〜10000質量ppmである。更に好ましくは500〜7000質量ppmである。その他、窒化方法としては、液体窒化、イオン窒化、ガス窒化などのうちいずれかあるいはそれらの組み合わせた方法で実施することができる。窒素ガス雰囲気によるガス窒化処理は、装置が簡便で操作が容易なため好ましい。
【0010】
窒素化する温度は2000℃以下で時間は数10時間以内で目的とする窒素量を有した一部窒化したニオブの引き出しリード線が得られるが一般に高温ほど短時間で所定量の窒素量のものを得ることが出来る。また、室温下でも窒素雰囲気中に数10時間ニオブを放置しておくと数10質量ppmの窒素量を有した一部窒化した引き出しリード線を得ることが出来る。
【0011】
本発明の一部窒化されたニオブの引き出しリード線を得る別の方法として、長寸または/および広幅の一部窒化されたニオブの引き出しリード線前駆体を作製しておき、前述した電極との接続時あるいは電極が焼結体の場合には例えば電極を与える金属粉末を加圧成型する前にリード線を挿入する時に適当な長さまたは/および大きさに切断することによって目的とする一部窒化されたニオブの引き出しリード線を得ても良い。
【0012】
本発明で使用される電極をあらかじめ一部窒化された電極としておいてから前記一部窒化されたニオブからなる引き出しリード線を接続しても良い。一部窒化された電極の作製方法は前述したニオブの引き出しリード線を一部窒化する時に用いた窒化処理方法を一例としてあげることが出来る。窒化方法は、液体窒化、イオン窒化、ガス窒化などのうちいずれかあるいはそれらの組み合わせた方法で実施することができる。窒素ガス雰囲気によるガス窒化処理は、装置が簡便で操作が容易なため好ましい。
【0013】
前記コンデンサの誘電体として例えば酸化タンタル、酸化アルミニウム、酸化チタン、ポリパラキシレン等の高分子物質、チタン酸バリウム等のセラミックス化合物を使用することができる。
【0014】
酸化タンタルを誘電体として用いる場合、酸化タンタルは、一方の電極であるタンタルやタンタル合金またはそれらの一部窒化されたものを電解液中で化成するかまたはタンタルを含有する錯体例えばアルコキシ錯体、アセチルアセトナート錯体等を電極に付着させた後、それらを水分解および/または熱分解させることによって作製することも出来る。
【0015】
酸化ニオブを誘電体として用いる場合、酸化ニオブは、一方の電極であるニオブやニオブ合金またはそれらの一部窒化されたものを電解液中で化成するかまたはニオブを含有する錯体例えばアルコキシ錯体、アセチルアセトナート錯体等を電極に付着させた後、それらを水分解および/または熱分解させることによって作製することも出来る。
【0016】
酸化アルミニウムを誘電体として用いる場合、酸化アルミニウムは、一方の電極であるアルミニウムやアルミニウム合金またはそれらの一部窒化されたものを電解液中で化成することによって作製することも出来る。
【0017】
酸化チタンを誘電体として用いる場合、酸化チタンは、一方の電極であるチタンやチタン合金またはそれらの一部窒化されたものを電解液中で化成することによって作製することも出来る。
【0018】
前述した誘電体を作る方法のうち、電解液中で化成して誘電体を得る場合、本発明のコンデンサは電解コンデンサとなり化成された電極側が陽極となる。錯体を分解して得る場合は錯体を付着した電極は理論的に極性は無く陽極としても陰極としても使用可能である。
【0019】
また高分子物質、セラミックス化合物を誘電体として形成する方法は特公平7−63045号公報、特公平7−85461号公報に記載の方法を用いることが出来る。一方の電極の上に高分子物質の膜、セラミックス化合物の膜を反応などによって形成させることができる。
【0020】
これらの誘電体層および該誘電体層を形成する方法のうち、タンタルやタンタル合金またはそれらの一部窒化されたものからなる電極を電解液中で化成してその電極上に酸化タンタルを誘電体として形成する方法、または、ニオブやニオブ合金またはそれらの一部窒化されたものからなる電極を電解液中で化成してその電極上に酸化ニオブを誘電体として形成する方法が作業性が良好でしかも作製したコンデンサの容量が大きく好ましい。窒化されたものを用いると漏れ電流値も小さく信頼性も良好なために好ましい。
【0021】
さらに、電極の構造を焼結体とした場合、タンタルやタンタル合金またはそれらの一部窒化された粉体を使用して焼結体を作製し、CV値(容量と電解酸化時の印加電圧との積を電極重量で割った値)を少なくとも50000[CV/g]以上としたものが大容量のコンデンサを得ることが出来るので好ましい。たとえば平均粒径が0.6〜1[μm]の粉体を用いることでそのCV値を得ることができる。さらに焼結体を作製する粉体の形状の平均粒径を小さくすることによりより大きなCV値を得ることができる。60000〜140000[CV/g]を得るためには例えば0.2〜0.5[μm]にすることにより、さらに150000[CV/g]以上を得るためには例えば0.2[μm]未満にすることにより、より大高容量のコンデンサを得るために要求されるより大きなCV値を有する焼結体とすることが出来る。
【0022】
さらに、電極の構造を焼結体とした場合、ニオブやニオブ合金またはそれらの一部窒化された粉体を使用して焼結体を作製し、CV値(容量と電解酸化時の印加電圧との積を電極重量で割った値)を少なくとも50000[CV/g]以上としたものが大容量のコンデンサを得ることが出来るので好ましい。たとえば平均粒径が3〜5[μm]の粉体を用いることでそのCV値を得ることができる。さらに焼結体を作製する粉体の形状の平均粒径を小さくすることによりより大きなCV値を得ることができる。100000[CV/g]以上を得るためには例えば0.3〜2[μm]にすることにより、さらに600000[CV/g]以上を得るためには例えば0.2[μm]以下にすることにより、より大高容量のコンデンサを得るために要求されるより大きなCV値を有する焼結体とすることが出来る。
【0023】
このような平均粒径を有するタンタル粉は、たとえばフッ化タンタル酸カリのナトリウム還元による方法、タンタルインゴットの水素化物の粉砕および脱水素による方法、塩化タンタルの炭素や金属による還元法等によって得ることができる。たとえばフッ化タンタル酸カリのナトリウム還元による方法から得る場合、原料の濃度や使用する触媒のナトリウム塩の濃度を調合することにより、希望の平均粒径を有するタンタル粉を得ることができる。
【0024】
このような平均粒径を有するニオブ粉は、たとえばフッ化ニオブ酸カリのナトリウム還元物の粉砕による方法、ニオブインゴットの水素化物の粉砕および脱水素による方法、酸化ニオブの炭素還元による方法等によって得ることができる。たとえばニオブインゴットの水素化物の粉砕および脱水素から得る方法の場合、ニオブインゴットの水素化量と粉砕時間、粉砕装置などを調整することにより、希望の平均粒径を有するニオブ粉を得ることができる。
【0025】
コンデンサ用粉体の一部を窒化しておいた場合、その窒素量は、数100質量ppm〜数10000質量ppm好ましくは500質量ppm〜7000質量ppmである。窒素量がこの範囲であると、コンデンサ用粉体から作製した焼結体の漏れ電流値(LC値)は容量を低下させることなく更に良好な値を示すので、容量を低下させることなく漏れ電流値の小さいコンデンサを得ることができる。
【0026】
ここでタンタルまたはニオブなどのコンデンサ用粉体への窒素量とはこれらの材料に吸着した状態のものではなく確実に結合し窒化したものである。
【0027】
焼結体を作製後窒化する方法を用いて、一部窒化した電極を得ることも出来る。例えば、ニオブ粉を成型して焼結後、該焼結体を前述した窒化処理方法を用いて窒化することが出来る。この場合は、電極に接続されたリード線も一緒に窒化することができ工程を簡略化できる。
【0028】
一方、本発明のコンデンサの他方の電極は格別限定されるものではなく、例えば、アルミ電解コンデンサ業界で公知である電解液、有機半導体および無機半導体から選ばれた少なくとも一種の化合物が挙げられる。電解液の具体例としてはイソブチルトリプロピルアンモニウムボロテトラフルオライド電解質を5重量%溶解したジメチルホルムアミドとエチレングリコールの混合溶液、テトラエチルアンモニウムボロテトラフルオライドを7重量%溶解したプロピレンカーボネートとエチレングリコールの混合溶液等が挙げられる。有機半導体の具体例としては、ベンゾピロリン四量体とクロラニルからなる有機半導体、テトラチオテトラセンを主成分とする有機半導体、テトラシアノキノジメタンを主成分とする有機半導体、下記一般式(1)または(2)で表される高分子にドーパントをドープした電導性高分子を主成分とした有機半導体が挙げられる。無機半導体の具体例としては二酸化鉛または二酸化マンガンを主成分とする無機半導体、四三酸化鉄からなる無機半導体などが挙げられる。このような半導体は単独でも、または二種以上組み合わせて使用しても良い。
【0029】
【化1】
【0030】
【化2】
【0031】
式(1)および(2)において、R1〜R4は水素、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、これらは互いに同一であっても相違してもよく、Xは酸素、イオウまたは窒素原子を表し、R5はXが窒素原子のときのみ存在して水素または炭素数1〜6のアルキル基を表し、R1とR2およびR3とR4は互いに結合して環状になっていても良い。式(1)または(2)で表される高分子としては、例えば、ポリアニリン、ポリオキシフェニレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリピロール、ポリメチルピロール、およびこれらの高分子の誘導体などが挙げられる。
【0032】
上記有機半導体および無機半導体として、電導度10-2S・cm-1〜103S・cm-1の範囲のものを使用すると、作製したコンデンサのインピーダンス値がより小さくなり、高周波での容量をさらに一層大きくすることができる。
【0033】
次ぎに、前述した、他方の電極が固体の場合には、例えば他方の電極上にカーボンペースト層、銀ペースト層を順次積層し、その上に他方の引き出しリード線の一端を接続し、さらにその他端を他方の電極用に用意した外部端子に接続した後エポキシ樹脂のような材料で封口してコンデンサを構成することができる。このときエポキシ樹脂の内部から外部への電気的な接続を取るために、一部窒化されたニオブの引き出し線(一端が一方の電極に接続されている。)の他端は、例えば一部窒化されたニオブ引き出し線用に用意された外部端子の一端と外装の内部で電気的に接続された構造としても良い。すなわち前述した一方の電極と外部端子と間に一部窒化されたニオブ引き出し線が接続された状態とすることもできる。
【0034】
また他方の電極が液体の場合には、例えば前記両極と誘電体から構成されたコンデンサを、他方の電極と電気的に接続した缶(必要に応じて他方の電極用の外部端子の一端が接続されている。)に収納してコンデンサを構成することができる。この場合、一部窒化したニオブからなる引出しリード線の一端が接続された電極側は、一部窒化したニオブの引き出しリード線を缶から外部に導出すると同時に、一部窒化したニオブの引き出しリード線が他の電極および缶と電気的に絶縁されるように、例えば絶縁性ゴム等を用いて絶縁されるように設計されている。あるいは、電極に接続された一部窒化したニオブの引き出しリード線を適当な位置で切断後、一部窒化したニオブの引き出しリード線用に用意した外部端子の一端と接続して該外部端子を外部に導出するように設計しておいても良い。
【0035】
各外部端子を用いずに、各引き出しリード線の電極に接続されていない他端を外装の外に直接引き出すこともできる。あるいは、他方の電極には引き出しリード線を用いず直接外部端子を接続しても良い。
【0036】
また、アルミニウムまたはアルミニウム合金を箔状の電極とした電解コンデンサにおいて、少なくとも一方の電極に接続される引き出し線として一部窒化したニオブ引き出し線を用いることができる。
【0037】
以上の説明に従って一部窒化したニオブの引き出しリード線を使用してコンデンサを作製した本発明のコンデンサは、該コンデンサの容量を低下させることなく耐電圧は良好となる。あるいは漏れ電流値も低く抑えることができる。よって信頼性の良好なコンデンサとすることが出来る。
実施例
以下本発明の具体例についてさらに詳細に説明する。
ニオブ引き出しリード線の窒化量、粉体の窒化量は次のように測定した。熱伝導度から窒素量を求めるLECO社製酸素窒素量測定器を用いてニオブ引き出しリード線の窒素量、粉体の窒素量を求め、別途測定した粉体の質量との比を窒化量とした。
【0038】
焼結体の容量は次のように測定した。室温において、30%硫酸中に浸漬させた焼結体と硫酸液中に入れたタンタル材の電極と間にHP製LCR測定器を接続して測定した120Hzでの容量を焼結体の容量とした。
【0039】
焼結体の漏れ電流値(LC値)は次のように測定した。室温において、20%りん酸水溶液中に浸漬させた焼結体とりん酸水溶液中に入れた電極と間に誘電体作製時の化成電圧の70%の電圧の直流電圧を3分間印可し続けた後に測定された電流値を焼結体の漏れ電流値とした。本発明では、14[V]の電圧を印加した。
【0040】
チップに加工したコンデンサの容量は次のように測定した。室温において、作製したチップの端子間にHP製LCR測定器を接続して測定した120Hzでの容量をチップに加工したコンデンサの容量とした。
【0041】
チップに加工したコンデンサの漏れ電流は以下のように測定した。定格電圧値(2.5[V]、4[V]、6.3[V]、10[V]、16[V]、25[V]等)のうち誘電体作製時の化成電圧の約1/3〜約1/4に近い直流電圧を、室温において、作製したチップの端子間に1分間印可し続けた後に測定された電流値をチップに加工したコンデンサの漏れ電流値とした。本発明では、6.3[V]の電圧を印加した。
【0042】
試験例1〜10
太さ0.25mmφ、長さ10mmのニオブ細線を複数本用意して表1に示した試験例1〜10の各条件でニオブ細線のニオブの一部を窒化して、一部窒化したニオブの引き出しリード線を作製した。一方別に、タンタル粉末(平均粒径0.7μm)および一部窒化されたニオブ粉からなるニオブ粉末(平均粒径1μm。ニオブ粉を300℃の条件下で2時間、窒素ガス雰囲気中に放置して得た。結合した窒素量2000質量ppm。)を用意した。表1に示した試験例1〜10の電極種において、タンタル粉末については0.14g、一部窒化されたニオブからなるニオブ粉については0.09gを秤量した。それらの各々の粉末を前述した一部窒化したニオブの引き出しリード線と共に成型して、大きさ3.5×1.8×4.1mmの成型体(前述引き出しリード線が約2mm成型体内に埋設されている。)を作製した。その後、試験例1〜10の各成型体を表1に示した温度で焼結した。この結果得られた一部窒化したニオブの引き出しリード線を接続した各焼結体を焼結体に接続された側の引き出しリード線の一部とともに0.1%りん酸水溶液中に浸漬した。その状態で、これらの焼結体を陽極としておよび白金箔を対極として用いて80℃の条件下で化成電圧として20Vを印加して200分間化成することによって、浸漬した焼結体と浸漬した引き出しリード線の一部との表面に誘電体酸化皮膜層を形成した。このようにして得られた各焼結体の容量を表2に示した。なお、表2の数値は各試料数10点の平均値である。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
試験例11〜30
次ぎに試験例1〜10と同様にして得た焼結体を各々60本用意した。それらを化成時間を500分間とした以外は試験例1〜10と同様にして、浸漬した焼結体と浸漬した引き出しリード線の一部との表面に誘電体酸化皮膜層を形成した。ついで、各々の化成後の60本の電極のうち30本ずつを用いて、コンデンサの他方の電極としてポロピロール層を誘電体酸化皮膜層の表面に形成した。これらを、各々試験例11〜20とした。また各々の化成後の60本の電極のうち30本ずつを用いて、コンデンサの他方の電極として二酸化マンガン層を誘電体酸化皮膜層の表面に形成した。これらを各々試験例21〜30とした。
【0046】
次ぎに前述した他方の電極の上にカーボンペースト層、銀ペースト層を順次積層した。さらに、他方の電極用に別途用意した外部端子(リードフレーム)に他方の電極の一部を銀ペーストで接続した。また一部窒化したニオブの引き出しリード線は適当な位置で切断し、一部窒化したニオブの引き出しリード線用に用意した外部端子の一端に溶接で接続した。その後、各外部端子の他端側(接続されていない側)以外の部分を、電極、誘電体、引き出しリード線とともにエポキシ封口してコンデンサを作製した。これらの作製したコンデンサの容量および耐電圧値を表3に示した。
【0047】
また、耐電圧値は、各試験例の各々30個のコンデンサに対して印加する電圧を1Vずつ順次上昇させたとき、ショートしたコンデンサの個数が5個を超えた電圧値とした。
【0048】
【表3】
【0049】
表3の試験例11〜13と試験例14、15、および試験例16〜18と試験例19、20、および試験例21〜23と試験例24、25、および試験例26〜28と試験例29、30を各々比較することにより、一部窒化したニオブを引き出しリード線として用いたコンデンサは従来のニオブを引き出しリード線として用いたコンデンサと比較して、容量が低下することなく耐電圧値が大きいことが分かる。
【0050】
【発明の効果】
このように、本発明のコンデンサはより軽量で耐電圧値が大きくなコンデンサとなる。また、本発明によれば耐電圧値の大きなより大容量のコンデンサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一部窒化されたニオブからなる引き出しリード線を有したコンデンサの一方の電極の一実施形態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 一方の電極
2 一部窒化されたニオブからなる引き出しリード線
Claims (6)
- 二つの電極とその電極間に介在する誘電体とから構成されたコンデンサにおいて、該電極の少なくとも一方の電極が弁金属またはその合金からなり、その電極に接続された引き出しリード線が一部窒化されたニオブからなることを特徴とするコンデンサ(但し、ニオブ焼結体を陽極体とするコンデンサであって、窒化されていないニオブ金属リード線を埋設したニオブ焼結体を窒化処理したコンデンサを除く)。
- 引き出しリード線の材質である一部窒化されたニオブの窒素量が10〜150000質量ppmであることを特徴とした請求項1に記載のコンデンサ。
- 一部窒化された引き出しリード線が接続されている電極がタンタル、タンタル合金、ニオブ、ニオブ合金のうちから選ばれた一つからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンデンサ。
- 一部窒化された引き出しリード線が接続されている電極がタンタル、タンタル合金、ニオブ、ニオブ合金のうちから選ばれた一つであり、かつ一部窒化されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンデンサ。
- 一部窒化された引き出しリード線が接続されている電極の構造を焼結体としそのCV値が少なくとも50000[CV/g]以上であることを特徴とした請求項1〜4のいずれか一項に記載のコンデンサ。
- 二つの電極とその電極間に介在する誘電体とから構成されたコンデンサの製造方法において、該電極の少なくとも一方の電極が弁金属またはその合金からなり、その電極に接続する引き出しリード線として予め一部窒化されたニオブを用いることを特徴とするコンデンサの製造方法。
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