JP4419288B2 - レーダ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミリ波帯の信号を扱うレーダ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、衝突防止や追従走行等の制御に用いるために、車両前方に位置する目標物体(障害物や先行車両)を検出する車載用のレーダ装置が知られている。
この種の車載用レーダ装置では、目標物体との距離や相対速度に加えて、自車両と目標物体との正確な位置関係を特定するための方位データを獲得できることが重要である。その方法として、ビームスキャニング方式やモノパルス方式等が知られており、これらは、いずれも複数のアンテナを用いる必要がある。
【0003】
そして、装置を小型かつ安価に構成するために、各アンテナで送信器や受信器を共用する場合が多く、そのために、これら送信器や受信器に接続するアンテナを順次切り替えるためのスイッチ回路が用いられている。例えば、複数の送信アンテナに対して、発振器からの信号を順番に供給する場合、スイッチ回路は、いずれか一つのチャンネルがオン状態となり、しかもオン状態となるチャンネルが連続的に切り替わるように制御される。
【0004】
しかし、スイッチ回路を制御する制御信号の立ち上り/立ち下り時間や、制御信号に対する切替スイッチの応答速度が有限であるため、切替スイッチでは、過渡的に2チャンネルが同時にオンしたり、全チャンネルが同時にオフする状態が発生する。すると、切替スイッチの入力端における反射特性が、1チャンネルがオンしている状態から大きく変化する。その結果、切替スイッチに信号を供給する発振器から見た負荷が変動することになり、発振器の発振周波数が変動してしまうという問題があった。
【0005】
なお、車載用のレーダ装置では、構成が比較的簡単で小型化・低価格化に適したFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式が広く採用されており、また、使用周波数帯として、ミリ波帯(例えば76.5GHz)が割り当てられている。このため、発振器としては、ミリ波帯で高出力が得られしかも、周波数の制御が比較的容易なガンダイオードを利用した発振器(以下「ガン発振器」という)が用いられている。
【0006】
ここで、図8は、ガン発振器の発振周波数と負荷変動との関係を測定するための測定回路100の構成を表すブロック図である。
図8に示すように、測定回路100は、ガン発振器にて構成された電圧制御発振器(VCO)110と、VCO110に変調信号を供給する三角波発生器112と、可変位相器114,可変アッティネータ116,短絡器118からなるVCO110の出力が供給される負荷回路113を備えている。
【0007】
そして、VCO110から可変位相器114に到る伝送線路には分岐器120が設けられており、分岐器120にて分岐した信号を、アッティネータ122を介してミキサ124に供給し、このミキサ124にて、発振器126からの信号と混合してダウンコンバートした信号を、モジュレーション・ドメイン・アナライザ128にて観測した。
【0008】
なお、三角波発生器112は、400Hzの三角波を変調信号として供給することにより、発振周波数が直線的に増減を繰り返し、且つ変調帯域幅が150MHzとなるようなFMCW用の信号をVCO110から発生させ、また、負荷回路113では、可変アッティネータ116を操作することで、その入力端での反射係数S11を変化させた。
【0009】
図9(a)が、負荷の変動がない(負荷回路の入力端での反射係数S11を−25dBで一定にした)場合、図9(b)が、負荷が変動がある(同じく反射係数S11を−30dB〜−20dBの間で変動させた)場合である。
図9に示すように、負荷変動によってVCO110の発振周波数がばらついている。これは、VCO110の制御電圧対発振周波数の特性が負荷変動に応じて変化するため生じてしまうのである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
これに対して、特にVCO110がガン発振器からなる従来のレーダ装置では、VCO110の出力側にアイソレータを設けて、スイッチ回路からの反射波がVCO110に伝達されることを阻止することにより、スイッチ回路の反射特性の変動によって、ガン発振器からみた負荷が変動しないようにしていた。
【0011】
しかし、アイソレータは、磁気材料を用いて構成される立体的な素子であり、MMIC(Microwave Monolithic Integrated Circuit )化できないため、装置を小型化する際の妨げとなっていた。
また、送信側に限らず、複数の受信アンテナからの信号を、単一のミキサに供給して処理する場合に、多入力1出力のスイッチ回路が用いられるが、このスイッチ回路でも上述した送信側のスイッチ回路と同様な反射特性の変動が生じる。そして、ミキサは、送信信号の一部を電力分配器にて分岐したものをローカル信号として動作するため、受信スイッチでの反射特性の変動も、ミキサや電力分配器を介して発振器に伝わってしまい、発振器の発振周波数を変動させてしまう可能性があった。
【0012】
本発明は、上記問題点を解決するために、アイソレータ等の磁気材料部品を用いることなく、負荷変動の影響を受けることなく発振器に安定した発振を行わせることができ、小型化が可能なレーダ装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための発明である請求項1記載のレーダ装置では、信号生成回路にて生成されたミリ波帯の高周波信号が、反射信号阻止手段を介して、送信側スイッチ回路に供給され、送信側スイッチ回路では、信号生成回路に到る共通伝送線路を介して伝送されてくる信号を、それぞれが送信アンテナに到る複数の個別伝送線路のうちのいずれかに択一的に通過させる。
【0014】
なお、反射信号阻止手段は、信号生成回路から送信側スイッチ回路に向かう信号を増幅する多段接続された増幅器からなり、その増幅器は、トランジスタと、トランジスタの入出力を共通伝送線路に整合させる整合回路とで構成されている。そして、反射信号阻止手段は、トランジスタの持つ入出力アイソレーション特性により、送信側スイッチ回路からの反射信号が信号生成回路側に伝達されることを阻止する。
【0015】
従って、本発明によれば、送信側スイッチ回路の動作状態に従って、その反射特性が変化したとしても、信号生成回路からみた負荷を大きく変動させてしまうことがなく、信号生成回路の動作、特に発振器の発振周波数を安定させることができる。
【0016】
しかも、本発明によれば、トランジスタ及び整合回路からなる増幅器を用いることで、高価で製作精度が要求される磁気材料を用いたアイソレータやサーキュレータを用いることなく装置を構成でき、しかも、この増幅器は、平面回路にて構成可能なため、同じ平面回路にて構成可能な信号生成回路や送信側スイッチ回路との接続が容易であり、また、これらを同じMMIC上に一体化することも可能なため装置の低コスト化、及び大幅な小型化を図ることができる。
【0017】
更に、本発明では、アイソレータの代わりに増幅器を用いたことにより、送信アンテナに供給される信号のパワーが増大するため、検知距離を延ばすことができる。
なお、増幅器を構成するトランジスタとしては、HEMT(High Electron Mobility Transistor :高電子移動度電界効果トランジスタ),HBT(Heterobipolar Transistor:ヘテロ接合パイポーラトランジスタ)等、出力側から入力側への透過係数(S12)が小さいものを好適に用いることができ、具体的にはS12≦−20dBであることが望ましい。
【0018】
また、信号生成回路として、具体的には、例えばガンダイオードを利用した発振器(ガン発振器)を発振源として構成することができる。このガン発振器は、周波数の制御が比較的容易であるため、発振周波数を連続的に変化させる必要のあるFMCW方式のレーダ装置の発振源として、好適に用いることができる。
【0019】
また、本発明によれば、反射信号阻止手段が、増幅器を多段接続することにより構成されているため、反射信号阻止手段全体として、出力側から入力側への透過係数を簡単且つ確実に低減でき、送信側スイッチ回路での反射特性の変動が信号生成回路の負荷特性に与える影響をより小さくできるため、信号生成回路の動作をより一層安定させることができる。
【0020】
更に、本発明では、増幅器のうち、初段のものは入力端での反射係数(S11)を低減し、最終段のものは出力端での反射係数(S22)を低減するように各整合回路が設定されている。このように、各段の整合回路をそれぞれ異なった特性が得られるように設計することができるため、反射信号阻止手段を所望の特性にするための設計が容易になるだけでなく、信号生成回路側及び送信側スイッチ回路側のいずれとも充分な整合をとることが可能となり、装置の性能を最大限に引き出すことができる。
【0021】
ところで、増幅器の入力側の整合回路は、スタブと該スタブの取付位置からトランジスタに到る伝送線路とにより特性が決まるが、同じ利得を得る場合、スタブを長くしてトランジスタまでの伝送線路を短くする方法と、逆にスタブを短くしてトランジスタまでの伝送線路を長くする方法とが考えられる。そして前者の方が、増幅器の入力から出力に到るパターン長、ひいてはパターンが形成される基板の大きさを小さくできることが知られている。
【0022】
しかし、入力端での反射特性は、後者を用いた方が大きく改善できることが、実験の結果明らかとなった。従って、請求項2記載のように、反射信号阻止手段の入力端に設けられた整合回路は、整合回路を構成するスタブより、スタブの形成位置からトランジスタに到る伝送線路の方を長くすることが望ましい。
【0023】
次に、請求項3記載のレーダ装置では、信号生成回路にて生成されたミリ波帯の高周波信号が、ローカル信号としてミキサに供給され、受信側スイッチ回路が、それぞれが受信アンテナに到る複数の個別伝送線路のうちいずれか一つを選択して、その選択した個別伝送線路からの信号を、ミキサに到る共通伝送線路に通過させる。
【0024】
そして、共通伝送線路中に設けられた多段接続された増幅器が、受信側スイッチ回路からの信号を増幅してミキサに供給する。なお、各増幅器は、トランジスタと、そのトランジスタの入出力を共通伝送線路に整合させる整合回路とで構成されている。
この時、ミキサから漏出した不要な信号が増幅器を通過して受信側スイッチ回路にて反射すると、増幅器にて増幅されてミキサに戻ってくる。そして、その影響は、受信側スイッチ回路の反射特性の変動に応じて変動し、ミキサの動作に影響を与えてしまう。
【0025】
しかし、本発明では、増幅器が、トランジスタの持つ入出力アイソレーション特性により、ミキサから漏出した不要な信号が受信側スイッチ回路側に伝達されることを阻止しているため、受信側スイッチ回路の反射特性の変動がミキサの動作に及ぼす影響、ひいては信号生成回路に及ぼす影響を、確実に低減することができる。
【0026】
特に本発明では、増幅器を多段接続しているため、ミキサ側から受信側スイッチ回路側への信号の透過を簡単かつ確実に低減することができ、ミキサや信号生成回路の動作をより一層安定させることができる。
なお、増幅器を構成するトランジスタとしては、HEMT,HBT等、出力側から入力側への透過係数(S12)が小さいものを好適に用いることができ、具体的にはS12≦−20dBであることが望ましい。
【0027】
また、信号生成回路として、具体的には、ガンダイオードを利用した発振器(ガン発振器)を発振源として構成することができる。このガン発振器は、周波数の制御が比較的容易であるため、発振周波数を連続的に変化させる必要のあるFMCW方式のレーダ装置の発振源として、好適に用いることができる。
【0028】
また、本発明では、増幅器のうち、初段のものは入力端(受信側スイッチ回路側)での反射係数(S11)を低減し、最終段のものは出力端(ミキサ側)での反射係数(S22)を低減するように、各整合回路が設定されている。このように、本発明によれば、各段がそれぞれ異なった特性が得られるように設計することができるため、反射信号阻止手段を所望の特性にするための設計が容易になるだけでなく、ミキサ側及び受信側スイッチ回路側のいずれとも充分な整合をとることが可能となり、装置の性能を最大限に引き出すことができる。
【0029】
更に、ミキサ側からみた負荷側の反射係数を充分に低減させるために、最終段の増幅器の入力側の整合回路は、請求項4記載のように、整合回路を構成するスタブの方が、スタブの形成位置からトランジスタに到る伝送線路より長くすることが望ましい。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、実施形態の車載用レーダ装置の全体構成を表すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態のレーダ装置2は、一列に等間隔で配置された3個の送信アンテナAS1〜AS3を介してミリ波帯のレーダ波を送信すると共に、送信アンテナAS1〜AS3から送出され、先行車両や路側物等といった目標物体(障害物)に反射したレーダ波(以下、反射波という)を、一列に等間隔で配置された3個の受信アンテナAR1〜AR3にて受信する送受信器4と、周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、送受信器4に対して、後述する変調信号M,送信制御信号CS,受信制御信号CRを供給し、その結果、送受信器4にて生成されるビート信号Bに基づいて、各種信号処理を行う信号処理部6とを備えている。
【0034】
なお、各送信アンテナAS1〜AS3のビームは、それぞれ少しずつ方位が異なるように設定され、各受信アンテナAR1〜AR3のビームは、そのいずれもが、全ての送信アンテナAS1〜AS3のビームを含むように設定されている。
また、送受信器4は、ガンダイオードを利用して構成されミリ波帯(本実施形態では77GHz帯)の高周波信号を生成する周知のガン発振器を中心に構成され、信号処理部6からの変調信号Mに従って発振周波数が変化するように構成された電圧制御発振器(VCO)10と、信号処理部6からの送信制御信号CSに従って、VCO10にて生成された信号を、送信アンテナAS1〜AS3に接続された伝送線路のいずれかに供給する送信側スイッチ回路13とを備えている。
【0035】
そして、VCO10から送信側スイッチ回路13に到る伝送線路(請求項1記載の共通伝送線路に相当)上には、VCO10の出力を、送信信号Ssとローカル信号Lとに電力分配する分配器11と、分配器11からの送信信号Ssを増幅して送信側スイッチ回路13に供給すると共に、送信側スイッチ回路13からの反射信号がVCO10側に伝達されることを阻止する反射信号阻止手段としての増幅部12とが設けられている。
【0036】
また、送受信器4は、信号処理部6からの受信制御信号CRに従って、受信アンテナAR1〜AR3に接続された伝送線路のいずれかを選択し、選択された伝送線路からの信号を出力する受信側スイッチ回路14と、受信側スイッチ回路14からの受信信号Srに、分配器11からのローカル信号Lを混合しビート信号Bを生成して信号処理部6に供給するミキサ16とを備えており、受信側スイッチ回路14からミキサ16に到る伝送線路(請求項3記載の共通伝送線路に相当)上には、受信側スイッチ回路14が出力する受信信号Srを増幅してミキサ16に供給すると共に、ミキサ16側からの不要な信号が受信側スイッチ回路14側に伝達されることを阻止する増幅部15が設けられている。
【0037】
そして、信号処理部6は、時間に対して周波数が直線的に漸増,漸減を繰り返すような変調が行われるように、三角波状の変調信号Mを出力すると共に、変調信号の1周期の間、送信制御信号CSを固定して、受信制御信号CRを所定周期で順次切り替えるようにされている。
【0038】
これにより、周波数変調された連続波(FMCW)からなるレーダ波が、送信制御信号CSに従って、送信アンテナAS1〜AS3のいずれかから送出され、その反射波が各受信アンテナAR1〜AR3により受信される。そして、これら各受信アンテナAR1〜AR3からの受信信号は、そのいずれかが受信制御信号CRに従って、受信側スイッチ回路14及び増幅部15を介してミキサ16に順次供給される。その結果、信号処理部6には、各受信アンテナAR1〜AR3での受信信号に基づくビート信号Bが時分割で供給されることになる。
【0039】
そして、信号処理部6では、受信制御信号CRに同期してビート信号Bをサンプリングし、これを各受信アンテナAR1〜AR3毎に分離して、それぞれについて、送信信号Ssの周波数の変動周期の半周期毎、即ち周波数が漸次増大する上り変調時及び周波数が漸次減少する下り変調時毎に、高速フーリエ変換(FFT)の演算を実行し、その演算結果に基づき、レーダ波を反射した物体との距離や相対速度、その物体の位置する方位などを算出する。
【0040】
これを1サイクルとして、送信制御信号CSによりレーダ波を送出する送信アンテナASi(i=1,2,3)を順次切り替えて、同様のサイクルを繰り返し実行する。
ここで本発明の主要部となる増幅部12,15について説明する。
【0041】
なお、増幅部12,15は、ほぼ同様の構成を有しているため、まず、送信側の増幅部12について説明し、その後、受信側の増幅部15については、送信側の増幅部12との相違点についてのみ説明する。
図2に示すように、増幅部12は2段構成からなり、1段目の増幅器12aと2段目の増幅器12bとは、同様の構成を有している。
【0042】
即ち、増幅器12a(12bも同様)は、HEMT20を中心に構成され、HEMT20のソース端子は接地されている。また、増幅器12a(12b)は、一端がHEMT20のゲート端子に接続され、他端が当該増幅器12a(12b)の入力端子TIに接続された伝送線路21、及び一端が直流カット用のコンデンサ27を介して接地され、他端が入力端子TIに接続されたスタブ22からなる入力整合回路23と、一端がHEMT20のドレイン端子に接続され、他端が当該増幅器12a(12b)の出力端子Toに接続された伝送線路24、及び一端が直流カット用のコンデンサ28を介して接地され、他端が出力端子Toに接続されたスタブ25からなる出力整合回路26とを備えている。更に、図示しないが、スタブ25とコンデンサ28との間から、HEMT20を動作させるためのドレインバイアス電圧が印加されるように構成されている。
【0043】
そして、1段目の増幅器12aでは、入力整合回路23を構成するスタブ22のライン長(以下「スタブ長」という)が117μm、伝送線路21のライン長(以下「線路長」という)が572μmとされ、スタブ長より線路長の方が長くなるように設定されている。一方、2段目の増幅器12bでは、入力整合回路23のスタブ長が650μm、線路長が0μmとされ、1段目とは逆にスタブ長の方が線路長より長くなるように設定されている。
【0044】
次に、受信側の増幅部15では、送信側の増幅部12とは必要な増幅率が異なっているため、入力整合回路23のスタブ長や線路長が上述のものとは異なっているものの、送信側の増幅部12と同様に、1段目増幅器15aでは、スタブ長より線路長の方が長く、2段目増幅器15bでは、スタブ長の方が線路長より長くなるように設定されている。
【0045】
そして、送信側の増幅部12(12a,12b)は、送信側スイッチ回路13と一体にMMIC化され、一方、受信側の増幅部15(15a,15b)は、受信側スイッチ回路14と一体にMMIC化されている。
【0046】
ここで、図3,4は、1段目及び2段目の各増幅器12a,12bについて、その入力側の反射係数S11、及び出力側の反射係数S22を、シミュレーションにより求めた結果を示すグラフである。
図3に示すように、本実施形態のレーダ装置2が使用する周波数76.5GHzにおいて、入力側の反射係数S11は、1段目の増幅器12aでは−29.5dBであるのに対し、2段目の増幅器12bでは−13.5dBとなり、また、図4に示すように、出力側の反射係数S22は、1段目の増幅器12aでは−9.1dBであるのに対し、2段目の増幅器12bでは−24.9dBとなっている。
【0047】
つまり、1段目の増幅器12aは、入力側の反射特性は良好であるが、出力側の反射特性が充分に満足のいくものとは言えず、逆に、2段目の増幅器12bは、入力側の反射特性は充分に満足のいくものではないが、出力側の反射特性は良好である。
【0048】
しかし、増幅部12全体として見た場合、その入力側での反射特性は、1段目の増幅器12aの入力側の反射係数に依存し、また、出力側での反射特性は、2段目の増幅器12bの出力側の反射係数に依存する。従って、増幅器12a,12bの2段構成からなる増幅部12は、入力側及び出力側のいずれにおいても、反射係数が−20dB以下となる良好な特性が実現されている。
【0049】
更に、図5は、増幅部12が1段構成(増幅器12aのみ)からなる場合と、2段構成(増幅器12a,12b)からなる場合とで、増幅部12の出力側から入力側への透過係数S12を、シミュレーションにより求めた結果を示すグラフである。
【0050】
図5に示すように、本実施形態のレーダ装置2が使用する周波数76.5GHzにおいて、増幅部12の透過係数S12は、1段構成では−14.2dBであるのに対し、2段構成では−31.6dBである。即ち、増幅部12を2段構成とすることで、増幅部12の透過係数S12が格段に小さくなること、即ち、送信側スイッチ回路13側から分配器11やVCO10側への反射信号の伝達が確実に抑制されることがわかる。
【0051】
また更に、図6は、増幅部15と受信側スイッチ回路14とからなるMMICの出力側の反射係数S22を、受信側スイッチ回路14を、1チャンネルだけオンした場合と全チャンネルをオフした場合とについて測定した結果を表すグラフであり、図7は、受信側スイッチ回路14の任意の1チャンネルから信号を入力し、該チャンネルをオンした時とオフした時とで、上記MMICの入力側から出力側への透過係数S21を測定した結果を表すグラフである。
【0052】
なお、比較のため、受信側スイッチ回路14単体について、同様の測定を行った結果も示す。
図6に示すように、本実施形態のレーダ装置が使用する周波数76.5GHzにおいて、受信側スイッチ回路14だけからなる比較例では、スイッチを1チャンネルだけオンした場合と全チャンネルをオフした場合とで、出力側の反射係数S22が15dB近く変化してしまうが、受信側スイッチ回路14に増幅部15を付加したMMICでは、いずれの場合にも、出力側の反射係数S22は、ほぼ等しい値となる。即ち、受信側スイッチ回路14の動作状態の変化によっては、ミキサ16(ひいてはVCO10)側からみた負荷が変化しないことがわかる。
【0053】
また、図7(b)に示すように、増幅部15がない場合には、オン時の透過係数S21が−2.4dB(オンオフ比が23.6dB)であったものが、増幅部12を設けたことにより、図7(a)に示すように、オンオフ比が22.6dBとなってわずかに劣化するものの、オン時の透過係数S21が5.15dBとなり、7.56dBも上昇していることがわかる。
【0054】
なお、ここでは、増幅部15と受信側スイッチ回路14とからなるMMICについて測定したが、増幅部12と送信側スイッチ回路13とからなるMMICの入力側反射係数S11や透過係数S21についても、図6及び図7に示したものと同様の測定結果が得られる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態のレーダ装置2では、ガン発振器からなるVCO10と送信側スイッチ回路13及び受信側スイッチ回路14との間に、増幅部12,15を設けたことにより、送信側スイッチ回路13及び受信側スイッチ回路14の反射特性が変化しても、増幅部12,15のVCO10側端での反射特性、即ち、増幅部12では入力側の反射係数S11、増幅部15では出力側の反射係数S22が、大きく変化することのないようにされている。
【0056】
従って、本実施形態のレーダ装置2によれば、スイッチ回路13,14の動作状態によらず、VCO10からみた負荷が一定に保持されるため、VCO10に安定した発振を行わせることができる。
しかも、本実施形態のレーダ装置2では、アイソレータ等の磁気材料からなる部品の代わりに、平面回路にて構成された増幅部12,15が用いられているため、この部分のMMIC化が可能となり、装置の小型化及び低コスト化を図ることができるだけでなく、送信アンテナAS1〜AS3から送出されるレーダ波のパワーが大きくなるため、検知距離を延ばすことができる。
【0057】
なお、本実施形態では、増幅部12,15を増幅器を2段接続することにより構成したが、3段以上接続することにより構成してもよい。
【0058】
また、本実施形態では、分配器11と送信側スイッチ回路13との間に増幅部12を設け、受信側スイッチ回路14とミキサ16との間に増幅部15を設けたが、これらの代わりに或いはこれらに加えて、VCO10と分配器11との間に増幅部を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態のレーダ装置の全体構成図である。
【図2】 増幅部の詳細な構成を表す回路図である。
【図3】 整合回路の構成と入力側の反射係数との関係についての測定結果を表すグラフである。
【図4】 整合回路の構成と出力側の反射係数との関係についての測定結果を表すグラフである。
【図5】 増幅器の段数と出力側から入力側への透過係数との関係についての測定結果を表すグラフである。
【図6】 受信側スイッチ回路と増幅部とが一体化されたMMICの出力側反射係数を測定した結果を表すグラフである。
【図7】 受信側スイッチ回路と増幅部とが一体化されたMMICの入力側から出力側への透過係数を測定した結果を表すグラフである。
【図8】 負荷変動がミリ波発振器の発振周波数に与える影響を調べるために用いた測定回路の構成を表すブロック図である。
【図9】 図8の測定回路を用いて測定した結果を表すグラフである。
【符号の説明】
2…レーダ装置、4…送受信器、6…信号処理部、11…分配器、12,15…増幅部、12a,12b,15a,15b…増幅器、13…送信側スイッチ回路、14…受信側スイッチ回路、16…ミキサ、21,24…伝送線路、22,25…スタブ、23…入力整合回路、26…出力整合回路、27,28…コンデンサ、AR1〜3…受信アンテナ、AS1〜3…送信アンテナ
Claims (4)
- ミリ波帯の高周波信号を生成する信号生成回路と、
前記信号生成回路に到る共通伝送線路を介して伝送されてくる信号を、それぞれが送信アンテナに到る複数の個別伝送線路のうちのいずれかに択一的に通過させる送信側スイッチ回路と、
前記共通伝送線路中に設けられ、前記送信側スイッチ回路からの反射信号が前記信号生成回路に伝達されることを阻止する反射信号阻止手段と、
を備えたレーダ装置において、
前記反射信号阻止手段は、前記信号生成手段から前記送信側スイッチ回路に向かう信号を増幅する多段接続された増幅器からなり、
前記増幅器は、トランジスタと、該トランジスタの入出力を共通伝送線路に整合させる整合回路とで構成され、
前記増幅器のうち、初段のものは入力端での反射係数(S11)を低減し、最終段のものは出力端での反射係数(S22)を低減するように各整合回路が設定されていることを特徴とするレーダ装置。 - 前記反射信号阻止手段を構成する増幅器のうち、初段の増幅器に設けられた入力側の整合回路は、該整合回路を構成するスタブより、該スタブの形成位置から前記トランジスタに到る伝送線路の方が長いことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
- ミリ波帯の高周波信号を生成する信号生成回路と、
該信号生成回路からの高周波信号がローカル信号として供給されるミキサと、
それぞれが受信アンテナに到る複数の個別伝送線路のうちいずれか一つを選択して、該選択した個別伝送線路からの信号を、前記ミキサに到る共通伝送線路に通過させる受信側スイッチ回路と、
を備えたレーダ装置において、
前記共通伝送線路中に、前記受信側スイッチ回路から前記ミキサに向かう信号を増幅する多段接続された増幅器を設け、
前記増幅器は、トランジスタと、該トランジスタの入出力を前記共通伝送線路に整合させる整合回路とで構成され、
前記増幅器のうち、初段のものは入力端での反射係数(S11)を低減し、最終段のものは出力端での反射係数(S22)を低減するように、各整合回路が設定されていることを特徴とするレーダ装置。 - 前記最終段の増幅器に設けられた入力側の整合回路は、該整合回路を構成するスタブの方が、該スタブの形成位置から前記トランジスタに到る伝送線路より長いことを特徴とする請求項3記載のレーダ装置。
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