JP4418785B2 - 卵円孔開存治療用具および卵円孔開存治療用器具 - Google Patents
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Description
卵円孔開存に対する処置として、薬物療法(アスピリン、ワーファリン)や経皮的カテーテル手技での閉鎖術、体外循環による開心術が挙げられる。
経皮的カテーテルを用いた閉鎖術のデバイスは、先天性の中隔欠損を埋めるためのデバイスが用いられる。このようなデバイスは、穴を塞ぐために、通常2枚のディスク状の膜を左房側と右房側に留置して挟み込む手法を採用している。
脳卒中や偏頭痛といった、通常は閉鎖している一次中隔を閉鎖するための目的であれば、特に膜は必要なく、構造をシンプルにすることができる。欠損を埋めるためのデバイスを留置することは、異物面積が大きいため血栓を付着させ、左房側にできた血栓が脳卒中の原因となってしまう可能性があり、また肉厚の薄い一次中隔を破損する恐れがあり、専用のデバイス開発が望まれている。
また、米国特許公開公報2003/225421号(特許文献2)には、フラップを係止するクリップタイプの卵円孔開存閉塞具が示されている。このクリップタイプのものでは、バネ性のある材料を用いて予め形状付けされた状態の物を折り畳んでカテーテルに収納するが、この際にカテーテルサイズを細くしようとして折り畳むと屈曲部に過剰な負荷がかかることでバネ性を失ってしまうリスクがある。また、フラップに損傷を与える危険性もある。
また、特表2004−528131号公報(特許文献3)には、卵円孔開存閉塞具が示されている。この閉塞具においても、フラップに損傷を与える危険性もある。
(1) 生体内隔壁に形成された卵円孔開存治療用具であって、該卵円孔開存治療用具は、所定の長さを備える第1の部位と、所定の長さを備える第2の部位と、所定の長さを備える第3の部位と、一端が前記第1の部位の基端部に保持され、かつ、前記第2の部位の先端部側面から該第2の部位内に侵入し、該第2の部位を斜めに横切り該第2の部位の基端部側面より延出し、さらに、前記第3の部位の先端部側面より該第3の部位内に侵入するもしくは侵入可能な牽引部材とを備え、該牽引部材の他端部および前記第3の部位は、該牽引部材を牽引し、前記第1の部位と前記第2の部位ならびに該第2の部位と前記第3の部位とを近接させた状態にて、係合する係合機構を備えている卵円孔開存治療用具。
(2) 前記第1の部位は、第1の筒状部もしくは柱状部であり、前記第2の部位は、第2の筒状部もしくは柱状部であり、前記第3の部位は、第3の筒状部もしくは柱状部である(1)に記載の卵円孔開存治療用具。
(3) 前記卵円孔開存治療用具は、前記第1の部位の基端と前記第2の部位の先端を折り曲げ可能に接続する第1の接続部と、前記第2の部位の基端であり前記第1の接続部と斜めに対向する位置と前記第3の部位の先端とを折り曲げ可能に接続する第2の接続部とを備え、前記牽引部材は、一端が前記第1の部位の前記第1の接続部付近に保持され、かつ、前記第2の部位の前記第1の接続部付近の先端部側面から該第2の部位に侵入し、前記第2の接続部付近の基端部側面より延出し、さらに、前記第3の部位の前記第2の接続部付近の先端部側面より該第3の部位内に侵入するものである(1)または(2)に記載の卵円孔開存治療用具。
(4) 前記係合機構は、前記牽引部材の他端部に設けられたアンカー部と、前記第3の部位に設けられ、該アンカー部の通過を許容しかつ通過したアンカー部を係合する係合部とにより構成されている(1)ないし(3)のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具。
(5) 前記アンカー部は、牽引部材に沿って複数設けられている(4)に記載の卵円孔開存治療用具。
(6) 前記係合部は、前記アンカー部の通過を許容しかつ通過したアンカー部を保持する側孔とにより構成されている(4)または(5)に記載の卵円孔開存治療用具。
(7) 前記係合部は、前記第3の部位の軸方向に沿って複数設けられている(4)ないし(6)のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具。
(8) 生体内隔壁に形成された卵円孔開存治療用器具であって、該卵円孔開存治療用器具は、外管と、該外管の先端部内にほぼ直線状となった状態にて収納された(1)ないし(7)のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具と、該卵円孔開存治療用具を前記外管の先端より押し出すための内管と、前記牽引部材を該牽引部材より離脱可能に牽引する牽引ワイヤとを備える卵円孔開存治療用器具。
(9) 前記卵円孔開存治療用具の牽引部材は基端部に環状部を備え、前記牽引ワイヤは、該環状部を貫通して折り返すものである(8)に記載の卵円孔開存治療用器具。
(10) 前記卵円孔開存治療用器具は、前記卵円孔開存治療用具の前記係合機構による係合を解除するための係合解除機構を備えている(8)または(9)に記載の卵円孔開存治療用器具。
(11) 前記係合解除機構は、前記卵円孔開存治療用器具内に位置するループを有する係合解除用ワイヤであり、前記卵円孔開存治療用具の牽引部材もしくは前記牽引ワイヤは、前記係合解除用ワイヤの前記ループを貫通している(10)に記載の卵円孔開存治療用器具。
(12) 生体内隔壁に形成された卵円孔開存治療用具であって、該卵円孔開存治療用具は、所定の長さおよび基端側に設けられた貫通路を備える第1の部位と、所定の長さおよび貫通路を備える第2の部位と、所定の長さおよび先端側に設けられた貫通路を備える第3の部位と、一端が前記第1の部位に保持され、さらに、該第1の部位の貫通路、前記第2の部位の貫通路および前記第3の部位の貫通路の順にてそれぞれの貫通路を通過するように延びる牽引部材と、該牽引部材の他端側に設けられ、該牽引部材の牽引により、前記第1の部位の基端部の側面と前記第2の部位の一方側の先端部の側面が近接もしくは接触し、前記第2の部位の他方側の基端部の側面と前記第3の部位の先端部の側面とが近接もしくは接触し、側面視略Z字状となった状態を保持する変形状態保持部材とを備える卵円孔開存治療用具。
(14) 前記卵円孔開存治療用具は、前記第1の部位、前記第2の部位および前記第3の部位を有する一体形成された本体部材を備え、該本体部材は、前記第1の部位と前記第2の部位とを折り曲げ可能に接続する第1の接続部と、前記第2の部位と前記第3の部位とを折り曲げ可能に接続する第2の接続部を備えている(12)に記載の卵円孔開存治療用具。
(15) 前記牽引部材の一端は、前記第1の部位の先端部に保持されている(12)ないし(14)のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具。
(16) 前記第1の部位、前記第2の部位および前記第3の部位は、柱状部である(12)ないし(15)のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具。
(17) 前記第2の部位の貫通路は、該第2の部位の中央側に設けられている(12)ないし(16)のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具。
(18) 前記第1の部位は、先端側に向かって分岐するとともに、分岐した2つの部位が近接可能なものとなっている(12)ないし(17)のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具。
(20) 前記第3の部位は、基端側に向かって分岐するとともに、分岐した2つの部位が近接可能なものとなっている(12)ないし(19)のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具。
(21) 前記変形状態保持部材は、前記牽引部材を所定の抵抗を持って摺動可能に貫通する貫通孔を有し、所定以上の力により後方もしくは前方に押されることにより、前記牽引部材上を摺動可能であり、通常状態では、前記牽引部材と前記貫通路内表面の摩擦抵抗により移動しないものである(12)ないし(20)のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具。
(22) 前記卵円孔開存治療用具は、前記牽引部材の他端側に設けられたアンカー部を備え、前記変形状態保持部材は、該アンカー部と係合可能な係合部を有し、前記牽引部材に摺動可能である(12)ないし(20)のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具。
(23) 前記第3の部位は、前記貫通路より基端側に位置する第2の貫通路を備え、前記卵円孔開存治療用器具は、前記第3の部位の貫通路と前記変形状態保持部材間に位置する部分の前記牽引部材部分にてループする先端側部分と、前記第3の部位の前記第2の貫通路を貫通し、第3の部位の基端部にて保持される基端側部分とを有する第3の部位用線状体を備えている(12)ないし(22)のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具。
(24) 生体内隔壁に形成された卵円孔開存治療用器具であって、該卵円孔開存治療用器具は、外管と、該外管の先端部内にほぼ直線状となった状態にて収納された(12)ないし(23)のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具と、該卵円孔開存治療用具を前記外管の先端より押し出すためのおよび前記変形状態保持部材を操作するための内管と、前記牽引部材を牽引可能かつ該牽引部材より離脱可能である牽引ワイヤとを備える卵円孔開存治療用器具。
(25) 前記卵円孔開存治療用具の牽引部材は基端部に形成されたループ部もしくは環状部を備え、前記牽引ワイヤは、前記ループ部もしくは前記環状部を貫通して折り返すものである(24)に記載の卵円孔開存治療用器具。
(26) 前記卵円孔開存治療用器具は、牽引することにより、前記変形状態保持部材を前記牽引部材の他端側に移動させる牽引状態解除部材を備えている(24)または(25)に記載の卵円孔開存治療用器具。
(27) 前記牽引状態解除部材は、前記第3の部位の貫通路と前記変形状態保持部材間に位置する部分の前記牽引部材部分にてループし、前記第3の部位の基端側に延びるループ状線状体である(26)に記載の卵円孔開存治療用器具。
牽引部材を牽引することにより、第1の部位の基端部と第2の部位の先端部ならびに第2の部位の基端部と第3の部位の先端部とが近接し、略Z字形状に変形し、変形状態保持部材によりその形状が維持される。そして、第1の部位と第2の部位により一次中隔のフラップ先端部を保持し、第2の部位と第3の部位により、卵円孔形成部の心房中核上部を保持し、フラップの左房側への開きを抑制し、卵円孔開存による右房から左房への血液の流れを防止することができる。また、この卵円孔開存治療用具では、バネ性を利用せず、機械的な仕組みで直線形状の部材を折り曲げもしくは折り畳まれることにより、一次中隔のフラップ先端部および卵円孔開口部を保持するものであるため、それらに損傷ならびに負荷を与えることも少ない。
図1は、本発明の卵円孔開存治療用具を備えた卵円孔開存治療用器具の一実施例の外観図である。図2は、図1の卵円孔開存治療用器具の部分省略拡大断面図である。図3は、図1の卵円孔開存治療用器具の部分拡大断面図である。
本発明の生体内隔壁に形成された卵円孔開存治療用具1は、所定の長さを備える第1の部位2と、所定の長さを備える第2の部位3と、所定の長さを備える第3の部位4と、一端が第1の部位2の基端部に保持され、かつ、第2の部位3の先端部側面から第2の部位3内に侵入し、第2の部位3を斜めに横切り第2の部位3の基端部側面より延出し、さらに、第3の部位4の先端部側面より第3の部位4内に侵入するもしくは侵入可能な牽引部材5とを備え、牽引部材5の他端部および第3の部位4は、牽引部材5を牽引し、第1の部位2と第2の部位3ならびに第2の部位3と第3の部位4とを近接させた状態にて、係合する係合機構を備えている。
さらに、卵円孔開存治療用具は、第1の部位2の基端と第2の部位3の先端を折り曲げ可能に接続する第1の接続部21と、第2の部位3の基端であり第1の接続部21と斜めに対向する位置と第3の部位4の先端とを折り曲げ可能に接続する第2の接続部22とを備え、牽引部材は、一端が第1の部位2の第1の接続部21付近に保持され、かつ、第2の部位3の第1の接続部21付近の先端部側面から第2の部位3に侵入し、第2の接続部22付近の基端部側面より延出し、さらに、第3の部位4の第2の接続部22付近の先端部側面より第3の部位4内に侵入するものであることが好ましい。
また、本発明の卵円孔開存治療用器具10は、外管6と、外管6の先端部内にほぼ直線状となった状態にて収納された上記の卵円孔開存治療用具1と、卵円孔開存治療用具1を外管6の先端より押し出すための内管7と、牽引部材5を牽引部材5より離脱可能に牽引する牽引ワイヤ8とを備えている。
この実施例の卵円孔開存治療用器具10は、外管6と、卵円孔開存治療用具1と、内管7と、牽引部材5を牽引する牽引ワイヤ8とを備えている。
また、この実施例の卵円孔開存治療用具1は、図2および図3に示すように、第1の部位2、第2の部位3、第3の部位4は筒状部により構成されており、さらにそれらは接続されている。このため、この実施例の卵円孔開存治療用具1は、第1の筒状部2と、第2の筒状部3と、第3の筒状部部位4と、第1の筒状部2の基端と第2の筒状部3の先端を折り曲げ可能に接続する第1の接続部21と、第2の筒状部3の基端であり第1の接続部21と斜めに対向する位置と第3の筒状部4の先端とを折り曲げ可能に接続する第2の接続部22とを備える。そして、牽引部材5は、一端が第1の筒状部2の第1の接続部21付近に保持され、かつ、第2の筒状部3の第1の接続部21付近の先端部側面から第2の筒状部3内に侵入し、第2の接続部22付近の基端部側面より延出し、さらに、第3の筒状部4の第2の接続部22付近の先端部側面より第3の筒状部4内に侵入している。言い換えれば、牽引部材5は、一端が第1の筒状部2の基端部に保持され、かつ、第2の筒状部3の先端部側面から第2の筒状部3内に侵入し、第2の筒状部3を斜めに横切り第2の筒状部3の基端部側面より延出し、さらに、第3の筒状部4の先端部側面より第3の筒状部4内に侵入している。そして、牽引部材5の他端部および第3の筒状部4は、牽引部材5を牽引し、第1の筒状部2と第2の筒状部3ならびに第2の筒状部3と第3の筒状部4とを近接させた状態にて、係合する係合機構を備えている。
また、図2および図3に示すように、第2の筒状部(第2の部位)3は、先端部側孔31と、この先端部側孔31の形成位置の第2の筒状部3のほぼ中心に対して斜めに対向する位置に設けられた基端部側孔32を備えている。
また、図2および図3に示すように、第3の筒状部(第3の部位)4は、先端部側孔41と、この先端部側孔41と向かい合う位置に形成された係合用側孔42を備えている。
卵円孔開存治療用具の各筒状部の外径は、0.1〜5.0mmであることが好ましく、特に、1.0〜3.0mmであることが好ましい。また、各筒状部の内径は、0.02〜4.9mmであることが好ましく、特に、0.4〜2.8mmであることが好ましい。また、各筒状部の長さは、5〜50mm、特に、7〜35mm程度が好ましい。
さらに、各筒状部、特に、第2の筒状部の内面には、牽引部材の摺動性を高めるための処理を施すことが好ましい。このような処理としては、例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーをコーティング、または固定する方法などが挙げられる。また、外管の内面および/または内管の外面に摺動性を良好なものにするため、上述のものをコーティング、または固定してもよい。
牽引部材5は、図3に示すように、線状部51と、線状部51の先端部に設けられた第1の筒状部2への保持部52と、線状部51の基端部に線状部51に沿って複数設けられた係合用アンカー部53,54,55を備えている。線状部51は、第1の筒状部2の側孔23より外部に延出し、第2の筒状部3の先端部側孔31より第2の筒状部3内に侵入し、第2の筒状部3内を延びた後、基端部側孔32より外部に延出している。そして、牽引部材5の基端部に設けられた係合用アンカー部53,54,55は、筒状部より露出した状態もしくは一部が第3の筒状部4の先端部側孔41より第3の筒状部4内に侵入した状態となっている。なお、牽引部材5の基端部は、図3に示すように、第3の筒状部4の先端部側孔41より第3の筒状部4内に侵入した状態となっていてもよく、また、筒状部の外面に位置するものであってもよい。
そして、この実施例では、牽引部材5の他端部と第3の筒状部4に設けられた係合機構は、上述した牽引部材5の基端部に複数設けられた係合用アンカー部53,54,55と、第3の筒状部4の係合用側孔42とにより構成されている。係合用側孔42は、アンカー部の強制的通過を許容し、通過後のアンカー部と係合する狭小部を備えている。具体的には、係合用側孔42は、内径がアンカー部の外径より小さい小径部を備えている。具体的には、係合用側孔42は、中央付近が最も内径が小さい小径部となっており、この小径部より内側および外側はテーパー状に拡径する形状となっている。このため、アンカー部の強制的通過を容易なものとするとともに、アンカー部の保持も確実なものとしている。なお、狭小部としては、上記のようなものが好ましいが、環状リブ、環状に配置された点在するリブなどであってもよく、また、狭小部の位置は、側孔42の内面側もしくは外面側にあってもよい。
外管の外径としては、0.3〜7.0mm程度が好ましく、特に、1.2〜5.0mmが好ましい。また、外管6の内径としては、0.2〜6.5mm程度が好ましい。外管6の長さは、300〜2000mm、特に、700〜1500mm程度が好ましい。
内管7の外径としては、0.1〜5.0mm程度が好ましく、特に、1.0〜3.0mmが好ましい。また、内管7の内径としては、0.05〜4.8mm程度が好ましい。内管7の長さは、300〜2000mm、特に、700〜1500mm程度が好ましい。
さらに、外管6の外面には、潤滑性を呈するようにするための処理を施すことが好ましい。このような処理としては、例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーをコーティング、または固定する方法などが挙げられる。また、外管の内面および/または内管の外面に摺動性を良好なものにするため、上述のものをコーティング、または固定してもよい。
これら造影部は、X線造影、超音波造影等により確認可能な部位である。造影部は、リング状のもの、もしくは線状体をコイル状に巻き付けたものなどが好適であり、形成材料は、例えば、金、白金、タングステンあるいはそれらの合金、あるいは銀−パラジウム合金等が好適である。また、造影部は、筒状部材の形成材料と同じもしくは相溶性を有する材料に造影性物質を添加するしたものにより形成してもよい。造影性物質としては、例えば硫酸バリウム、酸化ビスマス、タングステンのようなX線不透過材料がある。また、外管6の先端部に造影部(図示せず)を設けてもよい。造影部は、上述した造影部と同様の方法により形成することができる。
図4は、本発明の卵円孔開存治療用具を備えた卵円孔開存治療用器具の他の実施例の部分省略拡大断面図である。図5は、図4の卵円孔開存治療用器具の部分拡大断面図である。
この卵円孔開存治療用器具20と上述した卵円孔開存治療用器具10との相違は、卵円孔開存治療用具1では、第1の部位(第1の筒状部)2と第2の部位(第2の筒状部)3とは、第1の接続部により接続され、第2の部位(第2の筒状部)3と第3の部位(筒状部)4とは、第2の接続部により接続されていたが、この実施例における卵円孔開存治療用具11では、第1の部位(第1の筒状部)2、第2の部位(第2の筒状部)3、第3の部位(筒状部)4は、いずれも接続されておらず、それぞれの部位が個々の部材となっている点のみである。その他は、同じであり、上述した説明を参照するものとする。なお、この実施例の卵円孔開存治療用具11では、第1の筒状部2は、第1の筒状部2の基端部側孔23付近の基端底面に形成された傾斜面27を備える。第2の筒状部は、第2の筒状部3の先端部側孔31付近の先端上面に形成された傾斜面37と、第2の筒状部3の基端部側孔32付近の基端底面に形成された傾斜面38を備える。第3の筒状部4は、第3の筒状部4の先端部側孔41付近の先端上面に形成された傾斜面47を備える。そして、第1の筒状部2と第2の筒状部3は、第1の筒状部2の傾斜面27と第2の筒状部の傾斜面37とが向かい合うように配置され、第2の筒状部3と第3の筒状部4は、第2の筒状部3の傾斜面38と第3の筒状部4の傾斜面47が向かい合うように配置される。このため、牽引部材5を牽引時における各筒状部材の傾倒を容易なものとしている。
図6は、本発明の卵円孔開存治療用具を備えた卵円孔開存治療用器具の他の実施例の部分省略拡大断面図である。図7は、図6の卵円孔開存治療用器具の部分拡大断面図である。
この卵円孔開存治療用器具30と上述した卵円孔開存治療用器具10との相違は、卵円孔開存治療用具における、第3の筒状部4の内部形状、牽引部材15のアンカー部材17の形態を含む牽引部材と第3の筒状部との係合機構および係合解除機能であり、その他同じ部分は同じ符号を付し、上述した説明を参照するものとする。
そして、この実施例の卵円孔開存治療用具30における係合機構は、牽引部材15のアンカー17と第3の筒状部4の第2の通路4bの側面に設けられた係合部43とにより構成されている。
また、この実施例においても卵円孔開存治療用具12は、図4および図5に示し上述した実施例と同様に、各筒状部を接続部を持たないものとしてもよく、この場合には、図4および図5に示し上述した実施例と同様に各筒状部の向かい合う端面の一部に向かい合う傾斜面を設けることが好ましい。
図8は、本発明の卵円孔開存治療用具を備えた卵円孔開存治療用器具の他の実施例の部分省略拡大断面図である。図9は、図8に用いられている卵円孔開存治療具の部分拡大外観図である。図10は、図9のA−A線断面図である。
この卵円孔開存治療用器具40と上述した卵円孔開存治療用器具10との相違は、卵円孔開存治療用具における、第3の筒状部4の形状、牽引部材25のアンカー部材28の形態を含む牽引部材と第3の筒状部との係合機構および係合解除機能であり、その他同じ部分は同じ符号を付し、上述した説明を参照するものとする。
そして、この実施例の卵円孔開存治療用具40における係合機構は、牽引部材25のアンカー28と第3の筒状部4の側面に形成された溝に設けられた係合部とにより構成されている。
牽引部材25は、線状部26を備え、線状部26の先端部には、上述したような第1の筒状部2への保持部を備えており、牽引部材25の線状部26は、図8に示すように、第1の筒状部2の側孔23より外部に延出し、第2の筒状部3の先端部側孔31より第2の筒状部3内に侵入し、第2の筒状部3内を延びた後、基端部側孔32より外部に延出し、第3の筒状部4の先端部側孔41より第3の筒状部4内に侵入し、そして、牽引部材25(線状部26)の基端部は、先端部側孔42より、第3の筒状部4より外部に延出し、第3の筒状部4の側面に形成された溝4d内に侵入している。そして、牽引部材25(線状部26)の基端部には、アンカー部28が取り付けられており、さらに、このアンカー部28には、牽引ワイヤ8と連結するための環状部29が設けられている。
また、この実施例においても卵円孔開存治療用具13は、図4および図5に示し上述した実施例と同様に、各筒状部を接続部を持たないものとしてもよく、この場合には、図4および図5に示し上述した実施例と同様に各筒状部の向かい合う端面の一部に向かい合う傾斜面を設けることが好ましい。
図12に示すように、卵円孔開存治療用器具10を大腿静脈に挿入し、器具10内にガイドワイヤ100を挿通し、このガイドワイヤに沿って、下大静脈、右心房へと挿入し、ガイドワイヤの先端部を心房中隔の卵円孔101を通過させる。そして、図13に示すように、卵円孔開存治療用器具10の外管6の先端より、卵円孔開存治療用具1をガイドワイヤ100に沿って押し出し、第1の筒状部2を一次中隔より、左房側に、そして、第2の筒状部3を卵円孔に位置させる。そして、内管7の位置を保持した状態にて、外管6を手元側に引き、図14に示すように、第3の筒状部4を右房内にて露出させる。そして、卵円孔開存治療用具1の全体が、心臓内に露出した後、牽引ワイヤ8を引くと、図15に示すように、第1の筒状部2の基端部と第2の筒状部3の先端部ならびに第2の筒状部3の基端部と第3の筒状部4の先端部とが近接し、略Z字形状に変形する。具体的に説明すると、図16に示すように、牽引ワイヤ8を卵円孔開存治療用器具10の手元側に引くことにより、牽引部材5が牽引され、第1の接続部21および第2の接続部22にて折れ曲がり、第1の筒状部2の基端部と第2の筒状部3の先端部ならびに第2の筒状部3の基端部と第3の筒状部4の先端部とが近接し、略Z字形状に変形し、さらに、牽引ワイヤ8の牽引を継続することにより、図16に示すように、アンカー部53が係合用側孔42を通過し、両者が係合する。これにより、卵円孔開存治療用具11の略Z字形状の変形が維持され、第1の筒状部2と第2の筒状部3により一次中隔のフラップ先端部102が保持され、第2の筒状部3と第3の筒状部4により、卵円孔形成部の心房中核上部103が保持され、フラップ102の左房側への開きを抑制する。また、卵円孔開存治療用具1の変形形状をよりタイトなものとする場合、すなわち、卵円孔開存治療用具1の第1の筒状部2の先端部と第2の筒状部3の基端部間の距離および第2の筒状部3の先端部と第3の筒状部4の基端部間の距離を短くしたい場合には、牽引ワイヤ8をさらに牽引することによりアンカー部54、さらには、アンカー部55が、係合用側孔42を通過し、両者が係合する。これにより、卵円孔開存治療用具11の略Z字形状の変形が維持される。
また、図16に示したような、アンカー部53と係合用側孔42の係合および卵円孔開存治療用具11の略Z字形状の変形状態にて目的が達成される場合には、牽引ワイヤ8を卵円孔開存治療用器具10の基端部より露出する部分にて切断し、抜去し、同様に、係合解除用ワイヤ9もを卵円孔開存治療用器具10の基端部より露出する部分にて切断し、抜去する。そして、ガイドワイヤ100とともに、卵円孔開存治療用器具10(外管6および内管7)を生体内より抜去する。
図19は、本発明の他の実施例の卵円孔開存治療用具の正面図である。図20は、図19に示した卵円孔開存治療用具の背面図である。図21は、卵円孔開存治療用具の右側面図である。図22は、本発明の他の実施例の卵円孔開存治療用具の側面図である。図26は、本発明の卵円孔開存治療用具の変形状態保持部材の一例を説明するための説明図である。図27は、本発明の卵円孔開存治療用具の変形状態保持部材の他の例を説明するための説明図である。
この実施例の卵円孔開存治療用器具110は、外管140と、卵円孔開存治療用具200と、内管141と、牽引ワイヤ148とを備えている。
具体的には、この実施例の卵円孔開存治療用具200では、図に示すように、第1の部位201、第2の部位202および第3の部位203を有する一体形成された本体部材を備え、本体部材は、第1の部位201と第2の部位202とを折り曲げ可能に接続する第1の接続部131aと、第2の部位202と第3の部位203とを折り曲げ可能に接続する第2の接続部132aを備えている。
そして、第1の部位201は、先端側に向かって広がるように分岐するとともに、分岐した2つの部位が近接可能なものとなっていることが好ましい。具体的には、図19に示すように、第1の部位201は、基端側部分にて分岐する略Y字形状となっている。さらに、この第1の部位201の少なくとも分岐部分は、弾性変形可能な材料に形成されている。これにより、分岐する2つの部分を近接させた状態にて外管140内に収納可能であり、外管140より排出した後、Y字形状に復元可能なものとなる。なお、第1の部位201の全体を弾性変形可能な材料により形成してもよく、分岐部のみを弾性変形可能な材料により形成してもよい。また、分岐部を弾性変形可能な材料で形成するかわりに、分岐部が機械的に開閉可能なものとしてもよい。
よって、牽引部材104を牽引することより、この実施例の卵円孔開存治療用具200では、図25に示すように、第1の部位201は、スリット131部分にて第2の部位202に対して折れ曲がり、第3の部位203は、スリット132部分にて第2の部位202に対してかつ第1の部位と反対方向に折れ曲がり、側面視N字形状を形成する。なお、卵円孔開存治療用具としては、折り曲げ時に、第1の部位201が第2の部位より破断するもの、第3の部位が第2の部位より破断するものであってもよい。この場合には、接続部が形成されないものとなる。
なお、この実施例では、第1の部位201、第2の部位202および第3の部位203は、柱状部となっている。柱状部であることが好ましいが、上述した実施例のような筒状部であってもよい。
そして、第2の部位202の貫通路122は、第2の部位202の長手方向の中央側に設けられていることが好ましい。
そして、牽引部材104は、一端が第1の部位201に保持され、さらに、第1の部位201の貫通路121、第2の部位202の貫通路122および第3の部位203の貫通路123の順にてそれぞれの貫通路を通過するように延びている。
そして、第1の牽引部材111は、分岐した第1の部位201のそれぞれの先端部に把持された2つの先端部を有する線状体である。このようにすることにより、牽引部材111の牽引により、第1の部位201の分岐形状を確実に発現可能となる。また、この実施例では、第1の牽引部材111の各先端部は、第1の部位201の各先端部に形成された孔201a、201bを貫通しており、その両端部にはアンカー部109a、109bが固定されている。これにより、第1の牽引部材111の各先端部は、第1の部位に保持されている。
そして、第2の牽引部材112は、この第2の牽引部材112を牽引することにより、第1の牽引部材111の基端側を牽引可能なものとなっている。牽引部材104は、第1の牽引部材111と第2の牽引部材112の両者をリンクするリンク部材106を備えている。この実施例におけるリンク部材106は、第1の牽引部材111と第2の牽引部材112の両者が貫通する貫通路を備える部材が用いられている。具体的には、貫通路を有するビーズ状部材である。なお、部材としては、筒状部材、リング状部材などどのようなものであってもよい。また、リンク部材を設ける変わりに、第1の牽引部材111と第2の牽引部材112とを第1の部位の基端部にて交差するものとしてもよく、さらには、第1の牽引部材111と第2の牽引部材112とを第1の部位の基端部にて接合してもよい。
また、牽引部材104は、上記のような第1の牽引部材111と第2の牽引部材112からなるものではなく、1つの牽引部材からなるものであってもよい。
このように構成することにより、後述する変形状態保持部材105の操作時に、第3の部分用線状体113を牽引することができ、第3の部位203の分岐形状を確実に発現可能となる。
また、卵円孔開存治療用具としては、図27に示すように、牽引部材104(具体的には、第2の牽引部材112)の他端側に設けられたアンカー部114を備え、変形状態保持部材105aは、牽引部材104(具体的には、第2の牽引部材112)が貫通する貫通孔161aと、アンカー部114と係合可能な係合部163を有し、牽引部材を摺動可能なものであってもよい。この実施例の場合、第2の牽引部材112は殆ど抵抗を持つことなく貫通路161aを摺動する。この実施例では、係合部163は、貫通路161a内に形成された環状リブにより構成されている。そして、アンカー部114は、球状体により形成されており、その外径は、環状リブ163の最小内径より若干大きいものとなっている。そして、牽引部材112が牽引され、アンカー部114が環状リブ163を乗り越えることにより、両者は係合し、アンカー部114の先端側への移動を抑制し、卵円孔開存治療用具の変形状態を維持する。また、アンカー部114は、図27に示すように、複数設けられていることが好ましい。このようにすることにより、卵円孔開存治療用具の変形状態を選択することができる。
牽引部材、第3の部分用線状体としては、線状体が用いられる。線状体としては、例えば、ステンレス鋼、Ni−Ti合金、Cu−Zn合金、Ni−Al合金、タングステン、タングステン合金、チタン、チタン合金、コバルト合金、タンタル等の各種金属や、ポリアミド、ポリイミド、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素系樹脂等の比較的高剛性の高分子材料、あるいは、これらを適宜組み合わせたものが挙げられる。また、線状体としては、線材もしくは複数本の線材を撚ったものが好適に使用できる。また、線状体の線径は、特に限定されないが、通常、0.01〜1.3mm程度が好ましく、0.1〜0.3mm程度がより好ましい。
図23は、図19に示した卵円孔開存治療用具を備えた卵円孔開存治療用器具の一実施例の外観図である。図24は、図23の卵円孔開存治療用器具の部分省略拡大断面図である。図25は、図23および図24に示した卵円孔開存治療用器具の作用を説明するための説明図である。
この実施例の卵円孔開存治療用器具110は、生体内隔壁に形成された卵円孔開存治療用器具であって、図23および図24に示すように、外管140と、外管140の先端部内にほぼ直線状となった状態にて収納された卵円孔開存治療用具200と、卵円孔開存治療用具200を外管140の先端より押し出すためおよび変形状態保持部材105を操作するための内管141と、牽引部材104を牽引可能かつ牽引部材より離脱可能である牽引ワイヤ148とを備えている。
外管140は、図23および図24に示すように、管状体であり、先端および後端は開口している。先端開口は、卵円孔開存治療用具200を卵円孔部に留置する際、放出口として機能する。外管140の先端部は、卵円孔開存治療用具をほぼ直線状となった状態にて内部に収納する収納部位となっている。
内管141は、図23および図24に示すように、管状体であり、先端および後端は開口している。この内管141は、外管140内に収納され、先端が卵円孔開存治療用具200の基端に当接可能であり、卵円孔開存治療用具200を外管140の先端より押し出すことが可能なものとなっている。また、この実施例の卵円孔開存治療用器具110では、内管141の先端部は、変形状態保持部材105と当接し、変形状態保持部材105を操作可能なものとなっている。さらに、この卵円孔開存治療用器具110では、卵円孔開存治療用具200の変形状態保持部材105による変形保持状態を解除するための牽引状態解除部材を備えている。
内管141の外径としては、0.1〜5.0mm程度が好ましく、特に、1.0〜3.0mmが好ましい。また、内管141の内径としては、0.05〜4.8mm程度が好ましい。内管141の長さは、300〜2000mm、特に、700〜1500mm程度が好ましい。
さらに、外管6の外面には、潤滑性を呈するようにするための処理を施すことが好ましい。このような処理としては、例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーをコーティング、または固定する方法などが挙げられる。また、外管の内面および/または内管の外面に摺動性を良好なものにするため、上述のものをコーティング、または固定してもよい。
この実施例の卵円孔開存治療用器具110では、卵円孔開存治療用具200は、第3の部位203に貫通路123より基端側に位置する第2の貫通路124を有する。さらに、卵円孔開存治療用具200は、第3の部位の貫通路123と変形状態保持部材105間に位置する部分の牽引部材104部分にてループする先端側部分と、第3の部位203の第2の貫通路124を貫通し、第3の部位203の基端部にて保持される基端側部分とを有する第3の部位用線状体113を備える。そして、牽引状態解除部材108は、第3の部位用線状体113の第3の部位203の基端部にて保持された部分を牽引する牽引用線状体により構成されている。
具体的には、上述したように、この実施例の卵円孔開存治療用具110では、第3の部位203には、第3の部分用線状体113が設けられている。そして、第3の部分用線状体113の各端部は、第3の部位203の各基端部に形成された孔203a、203bを貫通しており、その先端部にはアンカー部107a、107bが固定されている。そして、アンカー部107a、107bとしては、リング状部材が用いられている。また、第3の部分用線状体113は、第3の部位203の第2の貫通路124を貫通して先端側に延び、その先端部は、第3の部位203の貫通路123と変形状態保持部材105間に位置する部分の牽引部材104部分にてループしている。
具体的には、牽引状態解除用ワイヤ108は、卵円孔開存治療用具200の第3の部分用線状体113のリング状アンカー部107a、107bを貫通して折り返すものである。この実施例では、図19に示すように、牽引状態解除用ワイヤ108は、先端部にて、リング状アンカー部107a、107bを貫通して折り返し、内管141の先端開口より、内管内に侵入し、さらに、内管の基端より外部に露出するものとなっている。つまり、牽引状態解除用ワイヤ108は、1本のワイヤを先端部にて折り曲げた状態となっており、2本平行して基端側に延びる状態となっている。そして、牽引状態解除用ワイヤ108(正確には、2本のワイヤ)を牽引することにより、第3の部分用線状体113が牽引され、この第3の部分用線状体113のループする先端部により、変形状態保持部材105を牽引部材104(第2の牽引部材112)の基端側に移動可能なものとなっている。変形状態保持部材105は、牽引部材104(第2の牽引部材112)の基端側に移動することにより、変形保持状態(牽引状態)が解除される。また、牽引状態解除用ワイヤ108の基端部(2本のワイヤの基端部)には、操作用部材149が取り付けられている。そして、牽引状態解除用ワイヤ108は、切断可能な材料により形成、もしくは、操作用部材149が取り外し可能なものとなっている。このため、切断によりもしくは操作用部材の取り外しにより、ワイヤの端部が形成もしくは露出し、引っ張ることにより、牽引部材より離脱させることが可能である。
牽引ワイヤ、解除用ワイヤとしては、線材もしくは複数本の線材を撚ったものが好適に使用できる。また、ワイヤの線径は、特に限定されないが、通常、0.01〜1.3mm程度が好ましく、0.1〜0.3mm程度がより好ましい。ワイヤの形成材料としては、例えば、ステンレス鋼、Ni−Ti合金、Cu−Zn合金、Ni−Al合金、タングステン、タングステン合金、チタン、チタン合金、コバルト合金、タンタル等の各種金属や、ポリアミド、ポリイミド、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素系樹脂等の比較的高剛性の高分子材料、あるいは、これらを適宜組み合わせたものが挙げられる。
これら造影部は、X線造影、超音波造影等により確認可能な部位である。造影部は、リング状のもの、もしくは線状体をコイル状に巻き付けたものなどが好適であり、形成材料は、例えば、金、白金、タングステンあるいはそれらの合金、あるいは銀−パラジウム合金等が好適である。また、造影部は、筒状部材の形成材料と同じもしくは相溶性を有する材料に造影性物質を添加するしたものにより形成してもよい。造影性物質としては、例えば硫酸バリウム、酸化ビスマス、タングステンのようなX線不透過材料がある。また、外管140の先端部に造影部(図示せず)を設けてもよい。造影部は、上述した造影部と同様の方法により形成することができる。
図12ないし図15に示し、上述したものと同様に、卵円孔開存治療用器具110を大腿静脈に挿入し、器具110内(外管と内管の間)にガイドワイヤ(図示せず)を挿通し、このガイドワイヤに沿って、下大静脈、右心房へと挿入し、ガイドワイヤの先端部を心房中隔の卵円孔を通過させる。そして、卵円孔開存治療用器具110の外管140の先端より、卵円孔開存治療用具200を押し出し、第1の部位を一次中隔より、左房側に、そして、第2の部位を卵円孔に位置させる。そして、内管141の先端位置を保持した状態にて、外管140を手元側に引き、第3の部位を右房内にて露出させる。そして、卵円孔開存治療用具200の全体が、心臓内に露出した後、牽引ワイヤ148を引くと、図25に示すように、内管141の先端部に変形状態保持部材105が当接し、さらに牽引を続けることにより、変形状態保持部材105は、牽引部材112の先端側に移動し、やがて、第1の部位201は、折れ曲がり、その基端部と第2の部位202の先端部が近接し、また、第3の部位203も折れ曲がり、その先端部は、第2の部位202の基端部と近接し、略Z字形状に変形する。そして、変形状態保持部材105は、牽引部材112上の位置を保持するため、卵円孔開存治療用具200の略Z字形状の変形が維持され、第1の部位201と第2の部位202により一次中隔のフラップ先端部が保持され、第2の部位202と第3の部位203により、卵円孔形成部の心房中核上部が保持され、フラップの左房側への開きを抑制する。
そして、卵円孔開存治療用具200の略Z字形状の変形状態にて目的が達成される場合には、牽引ワイヤ148を卵円孔開存治療用器具110の基端部より露出する部分にて切断し、抜去し、同様に、牽引状態解除用ワイヤ108も卵円孔開存治療用器具110の基端部より露出する部分にて切断し、抜去する。そして、ガイドワイヤとともに、卵円孔開存治療用器具110(外管140および内管141)を生体内より抜去する。
2 第1の部位
3 第2の部位
4 第3の部位
5 牽引部材
10 卵円孔開存治療用器具
Claims (28)
- 生体内隔壁に形成された卵円孔開存治療用具であって、該卵円孔開存治療用具は、所定の長さを備える第1の部位と、所定の長さを備える第2の部位と、所定の長さを備える第3の部位と、一端が前記第1の部位の基端部に保持され、かつ、前記第2の部位の先端部側面から該第2の部位内に侵入し、該第2の部位を斜めに横切り該第2の部位の基端部側面より延出し、さらに、前記第3の部位の先端部側面より該第3の部位内に侵入するもしくは侵入可能な牽引部材とを備え、該牽引部材の他端部および前記第3の部位は、該牽引部材を牽引し、前記第1の部位と前記第2の部位ならびに該第2の部位と前記第3の部位とを近接させた状態にて、係合する係合機構を備えていることを特徴とする卵円孔開存治療用具。
- 前記第1の部位は、第1の筒状部もしくは柱状部であり、前記第2の部位は、第2の筒状部もしくは柱状部であり、前記第3の部位は、第3の筒状部もしくは柱状部である請求項1に記載の卵円孔開存治療用具。
- 前記卵円孔開存治療用具は、前記第1の部位の基端と前記第2の部位の先端を折り曲げ可能に接続する第1の接続部と、前記第2の部位の基端であり前記第1の接続部と斜めに対向する位置と前記第3の部位の先端とを折り曲げ可能に接続する第2の接続部とを備え、前記牽引部材は、一端が前記第1の部位の前記第1の接続部付近に保持され、かつ、前記第2の部位の前記第1の接続部付近の先端部側面から該第2の部位に侵入し、前記第2の接続部付近の基端部側面より延出し、さらに、前記第3の部位の前記第2の接続部付近の先端部側面より該第3の部位内に侵入するものである請求項1または2に記載の卵円孔開存治療用具。
- 前記係合機構は、前記牽引部材の他端部に設けられたアンカー部と、前記第3の部位に設けられ、該アンカー部の通過を許容しかつ通過したアンカー部を係合する係合部とにより構成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具。
- 前記アンカー部は、牽引部材に沿って複数設けられている請求項4に記載の卵円孔開存治療用具。
- 前記係合部は、前記アンカー部の通過を許容しかつ通過したアンカー部を保持する側孔により構成されている請求項4または5に記載の卵円孔開存治療用具。
- 前記係合部は、前記第3の部位の軸方向に沿って複数設けられている請求項4ないし6のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具。
- 生体内隔壁に形成された卵円孔開存治療用器具であって、該卵円孔開存治療用器具は、外管と、該外管の先端部内にほぼ直線状となった状態にて収納された請求項1ないし7のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具と、該卵円孔開存治療用具を前記外管の先端より押し出すための内管と、前記牽引部材を該牽引部材より離脱可能に牽引する牽引ワイヤとを備えることを特徴とする卵円孔開存治療用器具。
- 前記卵円孔開存治療用具の牽引部材は基端部に環状部を備え、前記牽引ワイヤは、該環状部を貫通して折り返すものである請求項8に記載の卵円孔開存治療用器具。
- 前記卵円孔開存治療用器具は、前記卵円孔開存治療用具の前記係合機構による係合を解除するための係合解除機構を備えている請求項8または9に記載の卵円孔開存治療用器具。
- 前記係合解除機構は、前記卵円孔開存治療用器具内に位置するループを有する係合解除用ワイヤであり、前記卵円孔開存治療用具の牽引部材もしくは前記牽引ワイヤは、前記係合解除用ワイヤの前記ループを貫通している請求項10に記載の卵円孔開存治療用器具。
- 生体内隔壁に形成された卵円孔開存治療用具であって、該卵円孔開存治療用具は、所定の長さおよび基端側に設けられた貫通路を備える第1の部位と、所定の長さおよび貫通路を備える第2の部位と、所定の長さおよび先端側に設けられた貫通路を備える第3の部位と、一端が前記第1の部位に保持され、さらに、該第1の部位の貫通路、前記第2の部位の貫通路および前記第3の部位の貫通路の順にてそれぞれの貫通路を通過するように延びる牽引部材と、該牽引部材の他端側に設けられ、該牽引部材の牽引により、前記第1の部位の基端部の側面と前記第2の部位の一方側の先端部の側面が近接もしくは接触し、前記第2の部位の他方側の基端部の側面と前記第3の部位の先端部の側面とが近接もしくは接触し、側面視略Z字状となった状態を保持する変形状態保持部材とを備えることを特徴とする卵円孔開存治療用具。
- 前記第2の部位は、前記第1の部位の基端部にて折り曲げ可能であり、前記第3の部位は、前記第2の部位の基端部にて折り曲げ可能となっている請求項12に記載の卵円孔開存治療用具。
- 前記卵円孔開存治療用具は、前記第1の部位、前記第2の部位および前記第3の部位を有する一体形成された本体部材を備え、該本体部材は、前記第1の部位と前記第2の部位とを折り曲げ可能に接続する第1の接続部と、前記第2の部位と前記第3の部位とを折り曲げ可能に接続する第2の接続部を備えている請求項12に記載の卵円孔開存治療用具。
- 前記牽引部材の一端は、前記第1の部位の先端部に保持されている請求項12ないし14のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具。
- 前記第1の部位、前記第2の部位および前記第3の部位は、柱状部である請求項12ないし15のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具。
- 前記第2の部位の貫通路は、該第2の部位の中央側に設けられている請求項12ないし16のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具。
- 前記第1の部位は、先端側に向かって分岐するとともに、分岐した2つの部位が近接可能なものとなっている請求項12ないし17のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具。
- 前記牽引部材は、一端が前記分岐した前記第1の部位のそれぞれの先端部に保持された第1の牽引部材と、該第1の牽引部材の基端側を牽引可能に設けられるとともに、前記第1の部位の貫通路、前記第2の部位の貫通路および前記第3の部位の貫通路の順にてそれぞれの貫通路を通過するように延びる第2の牽引部材とからなるものである請求項18に記載の卵円孔開存治療用具。
- 前記第3の部位は、基端側に向かって分岐するとともに、分岐した2つの部位が近接可能なものとなっている請求項12ないし19のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具。
- 前記変形状態保持部材は、前記牽引部材を所定の抵抗を持って摺動可能に貫通する貫通孔を有し、所定以上の力により後方もしくは前方に押されることにより、前記牽引部材上を摺動可能であり、通常状態では、前記牽引部材と前記貫通路内表面の摩擦抵抗により移動しないものである請求項12ないし20のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具。
- 前記卵円孔開存治療用具は、前記牽引部材の他端側に設けられたアンカー部を備え、前記変形状態保持部材は、該アンカー部と係合可能な係合部を有し、前記牽引部材に摺動可能である請求項12ないし20のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具。
- 前記第3の部位は、前記貫通路より基端側に位置する第2の貫通路を備え、前記卵円孔開存治療用器具は、前記第3の部位の貫通路と前記変形状態保持部材間に位置する部分の前記牽引部材部分にてループする先端側部分と、前記第3の部位の前記第2の貫通路を貫通し、第3の部位の基端部にて保持される基端側部分とを有する第3の部位用線状体を備えている請求項12ないし22のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具。
- 生体内隔壁に形成された卵円孔開存治療用器具であって、該卵円孔開存治療用器具は、外管と、該外管の先端部内にほぼ直線状となった状態にて収納された請求項12ないし23のいずれかに記載の卵円孔開存治療用具と、該卵円孔開存治療用具を前記外管の先端より押し出すためのおよび前記変形状態保持部材を操作するための内管と、前記牽引部材を牽引可能かつ該牽引部材より離脱可能である牽引ワイヤとを備えることを特徴とする卵円孔開存治療用器具。
- 前記卵円孔開存治療用具の牽引部材は基端部に形成されたループ部もしくは環状部を備え、前記牽引ワイヤは、前記ループ部もしくは前記環状部を貫通して折り返すものである請求項24に記載の卵円孔開存治療用器具。
- 前記卵円孔開存治療用器具は、牽引することにより、前記変形状態保持部材を前記牽引部材の他端側に移動させる牽引状態解除部材を備えている請求項24または25に記載の卵円孔開存治療用器具。
- 前記牽引状態解除部材は、前記第3の部位の貫通路と前記変形状態保持部材間に位置する部分の前記牽引部材部分にてループし、前記第3の部位の基端側に延びるループ状線状体である請求項26に記載の卵円孔開存治療用器具。
- 前記第3の部位は、前記貫通路より基端側に位置する第2の貫通路を備え、前記卵円孔開存治療用器具は、前記第3の部位の貫通路と前記変形状態保持部材間に位置する部分の前記牽引部材部分にてループする先端側部分と、前記第3の部位の前記第2の貫通路を貫通し、該第3の部位の基端部にて保持される基端側部分とを有する第3の部位用線状体を備え、前記牽引状態解除部材は、前記第3の部位用線状体の前記第3の部位の基端部にて保持された部分を牽引する牽引用線状体である請求項24ないし27のいずれかに記載の卵円孔開存治療用器具。
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