JP4418057B2 - Ledチップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種表示装置、各種照明装置等に用いられるLEDチップに関する。特に、白色発光も可能なLEDチップに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、白色発光するLEDチップとしては、基板にZnSe単結晶基板を用いたZnSe系のものがある。この単結晶基板の上面に積層された化合物半導体薄膜層からは青色光が発光される。ZnSe単結晶基板においては、前記青色光の一部が入射されると、入射された青色光を吸収して黄色光を発光するという特異な現象が起きる。これにより、ZnSe系の白色発光LEDチップは、前記黄色光と、ZnSe単結晶基板に入射しなかった青色光との混色で白色発光するのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ZnSe単結晶基板を用いたLEDチップは、寿命が短く、しかも発光効率も低いという問題点がある。即ち、1つのLEDチップ単独で、寿命と発光効率との点で問題なく白色発光させられるものはなかった。
【0004】
ただし、従来、発光装置としてのLEDに仕上げた状態で、白色発光が可能なものはある。例えば、蛍光体を用いたものと、複数の異なる発光色のLEDチップを用いたものとである。
【0005】
蛍光体を用いたLEDの場合、LEDチップをリードフレームのカップ部にボンディングした後、前記カップ部内に蛍光体含有材料を埋め込んだものや、封止するための樹脂に蛍光体を混合して成形したものがある。
【0006】
これらの蛍光体を用いたLEDでは、LEDチップから発光した光のうち、蛍光体と遭遇して吸収され波長シフト(通常、長波長側に波長シフト)されてLED外へ放射される光と、蛍光体と遭遇することなくLED外へ放射される光(即ち、LEDチップ本来の発光色の光)との混色で白色発光としている。
【0007】
一方、前記カップ部内に蛍光体含有材料を埋め込んだタイプのLEDの場合には、LEDチップの周囲に埋め込む蛍光体含有材料の量をコントロールするのは難しいため、LEDチップの周囲において前記蛍光体含有材料の分布がばらつく。また、前記カップ部内にボンディングされるLEDチップは、ボンディング精度上のばらつきによって多少位置ずれするので、この点からもLEDチップの周囲に埋め込まれる蛍光体含有材料の分布がばらつく。
【0008】
前記蛍光体含有材料の分布がばらつくことによって、LEDチップから発光した光の蛍光体含有材料を通過する距離の分布がばらつく。前記距離の分布がばらつくことによって、LEDチップから発光した光のうちで、蛍光体に遭遇して波長シフトされる光の割合がばらつく。
【0009】
更に、上述したように前記カップ部内にボンディングされるLEDチップは多少位置ずれして設けられてしまうため、一般的にレンズを有することの多いLEDの光軸方向に放出される光の強度分布もばらつく。したがって、これらのばらつきによりLEDの発光色がばらつくことになる。
【0010】
また、樹脂に蛍光体を混合して成形するタイプのLEDの場合には、蛍光体が封止樹脂全体に均一に混合されたとしても、上述のようにカップ部内にボンディングされたLEDチップが多少位置ずれして設けられてしまうのは同様である。そのため、かかるLEDにおいても、LEDチップから発光した光のうちで、蛍光体と遭遇して波長シフトされる光の割合がばらつく。したがって、LEDの発光色がばらつくことになる。
【0011】
しかも、蛍光体が封止樹脂全体に均一に混合されるのは、封止樹脂の量が多くなるほど困難であるから、この点からもLEDの発光色がばらつくことになる。また、蛍光体を封止樹脂全体に混合させるので、LEDチップから発光した光のうちで蛍光体と遭遇する割合を、リードフレームのカップ部内に蛍光体含有材料を埋め込んだタイプのLEDの場合と同じようにすると、蛍光体の使用量が多くなる。
【0012】
一方、複数の異なる発光色のLEDチップを用いたLEDの場合には、例えば、1つのLED内に、R・G・B各色のLEDチップを組み合わせて設け、フルカラー表示可能なLEDの一使用形態として白色発光可能なものとしている。
【0013】
しかしながら、この場合、少なくとも3つ以上という複数のLEDチップを、リードフレームのカップ部上に並べて設けるため、LEDのサイズが大きくなってしまう。
【0014】
また、一般的にレンズを有することの多いLED内での複数のLEDチップの配置ずれや、複数のLEDチップのそれぞれの発光効率等のばらつきによって、ばらつきの要素が複数となる分、発光色のばらつきが大きくなる。また、異なる発光色のLEDチップを組み合わせて用いる都合上、LEDからある程度離れた位置では混色して白色に見えるが、LEDの近くでは各発光色が視認されてしまう。
【0015】
更に、組み合わせて使用されるR・G・B各色のLEDチップの発光効率が異なるため、R・G・B各色のLEDチップの明るさの比を所定の一定値にするための電流制限抵抗がそれぞれについて必要となる。よって、周辺回路も大きくなる。
【0016】
また、R・G・B各色のLEDチップを最高の明るさで発光可能としているのではなく、低い発光効率のLEDチップの明るさに合わせて発光させることになるから、効率が悪い。この対策として、発光効率が低いLEDチップは複数個設ける場合もあるが、この場合、更にLEDのサイズが大きくなってしまう等、上述の問題が更に大きくなる。
【0017】
また、R・G・B各色のLEDチップごとに、寿命が異なるという問題もある。
【0018】
なお、1つのLEDによって、上述してきた白色以外であって、従来のLEDチップの発光色と異なる中間色を発光させたいときには、一般的に、2つ以上の異なる発光色のLEDチップを内側に設ける。この場合、前記複数の異なる発光色のLEDチップを用いたLEDによって白色発光させる場合と同様の問題がある。
【0019】
また、蛍光体を用いたLEDで、前記中間色を発光させたいときには、例えば、蛍光体の種類の変更や蛍光体の量を変更するが、白色発光の場合と同様の問題がある。
【0020】
本発明の主たる目的は、1つのLEDチップの状態で、長寿命で高発光効率の白色発光等を可能とし、白色や中間色の発光色のばらつきを抑え、今まで以上の様々な用途に使用可能とすることにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、本発明の請求項1に係るLEDチップは、基板の上面側に化合物半導体薄膜層が積層されたLEDチップにおいて、前記基板には背面側又は側面側から穴部が形成されており、この穴部に蛍光体含有材料が充填される構成とする。
【0022】
本発明の請求項2に係るLEDチップは、前記本発明の請求項1に係るLEDチップにおいて、前記基板の背面に反射層を設ける。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係るLEDチップを図1〜図3を参照しつつ説明する。
【0024】
図1は本発明の実施の形態に係るLEDチップに関する図であって、同図(A)は主要な構造を説明するための概略的説明図、同図(B)は化合物半導体薄膜層における発光と蛍光体により波長シフトされた発光とを説明するための概略的説明図、図2は本発明の実施の形態に係るLEDチップの製造方法を説明するための図であって、同図(A)はウエハ(ただし半分だけ図示した。)の概略的背面図、同図(B)は同図(A)の一部拡大図、同図(C)は同図(B)の概略的断面図、図3は本発明の実施の形態に係るLEDチップの製造方法を説明するための一部拡大した概略的断面図であって、同図(A)はサンドブラスト開始時の状態図、同図(B)はサンドブラスト終了時の状態図、同図(C)は蛍光体含有材料を充填終了時の状態図である。
【0025】
本発明の実施の形態に係るLEDチップは、基板100の上面側に化合物半導体薄膜層200が積層されたLEDチップにおいて、基板100には、その背面側から穴部150が形成されており、この穴部150に蛍光体含有材料300が充填されている。基板100の背面には反射層400が設けられている。
【0026】
本発明の実施の形態に係るLEDチップは、図1(B)に示すように、化合物半導体薄膜層200から発光した光(実線で示す。)と、この化合物半導体薄膜層200から発光した光のうちの一部が蛍光体含有材料300の蛍光体(図示省略)に遭遇して吸収され波長シフトされて発光する光(破線で示す。)との混色で白色発光するものである。
【0027】
基板100は、後述するように化合物半導体薄膜層200を青色発光のためにGaN系のものにする場合、サファイアである。なお、サファイアは、可視光の吸収の少ない透明な材料であり、機械的強度が強く理想的である。穴部150の形成方法については、後述する。基板100に穴部150を形成できるのは、基板100の上部側は、化合物半導体薄膜層200を積層させるために必要な部分であるが、基板100の前記上部側よりも下部側は青色発光に関与しない部分であるからである。
【0028】
化合物半導体薄膜層200は、青色発光するものであって、例えば、高発光効率のGaN系の材料で積層形成されたものである。GaN系の化合物半導体薄膜層200は、一般的に図1に示すように、上段面210と、一段低くなった下段面250とが形成される。上段面210は、p型GaN層(またはn型GaN層)の面である。一方、下段面250は、n型GaN層(またはp型GaN層)を露出させている面である。上段面210と下段面250との上には、それぞれ図示しない電極が設けられる。また、上段面210のp型GaN層(またはn型GaN層)よりも下層側であって、下段面250のn型GaN層(またはp型GaN層)よりも上層側には、図示しないInGaNの活性層が設けられている。上段面210の電極と下段面250の電極との間に所定の電圧が印加されて、化合物半導体薄膜層200の活性層から青色発光するのである。
【0029】
蛍光体含有材料300は、樹脂や無機透明材料に蛍光体を混合したものである。前記樹脂は、例えばエポキシまたはUV硬化樹脂等である。前記無機透明材料は、シリケートまたはアルミナ等である。蛍光体は、YAG:Ce等であるが、場合によってはGa、Gd等で組成の一部を置換する場合もある。青色光は、前記蛍光体に遭遇すると、吸収され長波長側に波長シフトされて、黄色光を発光する。なお、上述のように、蛍光体含有材料300は、通常、樹脂や無機透明材料に蛍光体を混合するが、蛍光体100パーセントとしてもよい。
【0030】
反射層400は、反射率の高い金属の薄膜層である。前記金属としては、AlまたはAg等である。この反射層400は、発光効率を向上させるために設けられる。また、反射層400が設けられることにより、化合物半導体薄膜層200から発光された光の蛍光体含有材料300の蛍光体に遭遇する割合が大きくなる。反射層400が設けられた場合、設けらない場合と遭遇する割合を同じにするには、反射層400が設けられた場合よりも、蛍光体含有材料300の量、ひいては蛍光体の量が少なくてよい。
【0031】
このような構成の本発明の実施の形態に係るLEDチップによって、化合物半導体薄膜層200から発光した光(青色)と、この化合物半導体薄膜層200から発光した光のうちの一部が蛍光体含有材料300の蛍光体(図示省略)に遭遇して吸収され波長シフトされて発光する光(黄色)との混色で白色光〔発光出力2mW(x、y)=(0.30、0.30)〕を得ることができた。
【0032】
なお、この際、化合物半導体薄膜層200から発光される光(青色)は、図1(B)に示すように、前面方向(図1の紙面上方)や側面方向に放射される他、背面方向、即ち、蛍光体含有材料300方向にも放射される。蛍光体含有材料300方向に放射された光のうち、蛍光体(図示省略)に遭遇した光が、吸収され波長シフトされて黄色発光し、前記前面方向や側面方向や背面方向に放射されるのである。前記背面方向に放射された光は、反射層400で効率よく反射されて前記前面方向や側面方向に向かう。
【0033】
なお、図1(B)では、図示の都合上、蛍光体に遭遇した光が前面方向に放射されるものや、蛍光体含有材料300方向に放射された光のうち、蛍光体に遭遇しないで、反射層400で効率よく反射されて前記前面方向や側面方向に向かうものや、前記反射層400で効率よく反射されて後に、蛍光体に遭遇し、吸収され波長シフトされて黄色発光し、前記前面方向や側面方向や背面方向に放射されるもの等は省略した。
【0034】
このように、化合物半導体薄膜層200から発光される青色光と、蛍光体に遭遇し、吸収され波長シフトされて発光する黄色光との混色の具合は、従来の複数の異なる発光色のLEDチップを用いたLEDよりもよい。
【0035】
次に、本発明の実施の形態に係るLEDチップの製造方法を説明する。ただし、前記穴部150と、この穴部150に充填される蛍光体含有材料300と以外は、一般的な半導体の製造工程によって製造されるので、その説明はほぼ省き、穴部150関連のみ詳細に説明する。
【0036】
ウエハサイズの基板100の上面側に化合物半導体薄膜層200が積層される。この後、基板100の背面全体にUV硬化樹脂700を塗布する。この塗布後のUV硬化樹脂700に対して、切削したい箇所以外をUV照射して硬化させる。硬化されなかったUV硬化樹脂700を取り除くと図2に示すように、UV硬化樹脂700の残存部が残る状態となる。なお、図2(A)では、この状態のウエハ50を半分だけ図示している。また、図2(B)の破線60は、ダイシング予定ラインを図示したものであり、即ち、破線60は1つのLEDチップの範囲を示す。
【0037】
ウエハ50の背面側を、SiC粉末を用いたサンドブラストで切削する〔図3(A)参照〕。これにより、UV硬化樹脂700の残存部以外が切削されて穴部150が形成される〔図3(B)参照〕。穴部150の最深部は、基板100を突き抜けないようにすることは言うまでもない。穴部150に蛍光体含有材料300を充填(塗布)すると、図3(C)の状態となる。この後、基板100の背面側(ただし、図では上側)に反射層400を形成する。前記破線60(ダイシング予定ライン)の位置でダイシングして分離すると、1つずつのLEDチップ、即ち、本発明の実施の形態に係るLEDチップが形成される。
【0038】
なお、上述の製造方法においては、説明および図示を省略したが、化合物半導体薄膜層200を積層後に下段面250を露出させ、この下段面250と、前記上段面210とに、それぞれ電極が形成されることは言うまでもない。
【0039】
このように本発明の実施の形態に係るLEDチップの場合には、化合物半導体薄膜層200および基板100には、長寿命・高発光効率の材料を使用できるので、1つのLEDチップで長寿命・高発光効率の白色発光が可能である。また、サンドブラストで穴部150を精度よく切削できるので、蛍光体含有材料300ひいては蛍光体の充填量(塗布量)を精度よくコントロールしやすい。したがって、従来の蛍光体を用いたLEDの場合よりも、白色のばらつきが小さいLEDチップを製造できる。蛍光体の使用量も比較的少なくて済む。
【0040】
また、本発明の実施の形態に係るLEDチップの場合には、白色発光のLEDを1つのLEDチップで創り出すことができるので、従来の複数の異なる発光色のLEDチップを用いたLEDよりも、白色発光のLEDの小型化が可能であるとともに、発光色のばらつきも小さくできる。本発明の実施の形態に係るLEDチップの場合には、上述したように混色の具合が、従来の複数の異なる発光色のLEDチップを用いたLEDよりもよい。本発明の実施の形態に係るLEDチップの場合には、LEDの周辺回路としての電流制限抵抗も1つ使用しただけで済む。従来の複数の異なる発光色のLEDチップを用いる場合には、低い発光効率のものに合わせる必要があったが、本発明の実施の形態に係るLEDチップの場合には、1つのLEDチップで白色発光が可能なので、効率が高い。
【0041】
よって、本発明の実施の形態に係るLEDチップの場合には、従来の複数の異なる発光色のLEDチップを用いたLEDよりも、LEDおよびその周辺回路のコンパクト化・軽量化・低コスト化が可能である。また、本発明の実施の形態に係るLEDチップの場合には、LEDまたはLEDチップを複数使用時に発光色のばらつき調整が、場合によっては不要となる。
【0042】
更に、本発明の実施の形態に係るLEDチップの場合には、従来の複数の異なる発光色のLEDチップを用いたLEDのような異なる寿命による色ずれの問題は発生しない。
【0043】
よって、本発明の実施の形態に係るLEDチップは、例えば、蛍光灯に代わる照明装置、ノートパソコン等のLCDバックライト、自動車等のヘッドライト、植物生産用照明等といった今までLEDチップが用いられていなかった用途への使用が期待される。
【0044】
なお、本発明の実施の形態に係るLEDチップでは、化合物半導体薄膜層から発光される光は青色であるとしたが、青色以外でもよい。化合物半導体薄膜層から発光した光と、この化合物半導体薄膜層から発光した光のうちの一部が蛍光体含有材料の蛍光体に遭遇して吸収され波長シフトされて発光する光との混色で白色発光するように、化合物半導体薄膜層および基板の材料と蛍光体の材料とを選択し、化合物半導体薄膜層の大きさや穴部の大きさ(即ち、蛍光体含有材料の量や配置)や蛍光体の含有量を決定すればよい。
【0045】
この際、基板の下面側全体に設けた反射層を省いたり、反射層を設ける範囲を調節してもよい。反射層を設けるか設けないか、また、反射層を設ける範囲を調節することによって、蛍光体と遭遇し蛍光体によって波長シフトされる光と、それ以外の光との混色比を調節できるからである。
【0046】
前記化合物半導体薄膜層から発光する光は可視光に限定しない。例えば、紫外線光または赤外線光であってもよい。即ち、従来の紫外線LEDチップまたは赤外線LEDチップにおいて、上述のような穴部を形成する等の構成を採用してもよい。ただし、前記化合物半導体薄膜層から発光する光を、紫外線光または赤外線光とした場合には、人間に紫外線光または赤外線光が見えるわけではないので、蛍光体と遭遇し蛍光体によって波長シフトされる光のみの混色で白色に見えるように、蛍光体を選択することになる。
【0047】
また、前記化合物半導体薄膜層から発光する光を紫外線とした場合には、人間等の動物のための照明装置や表示装置等に用いるには、一般的に有害であると言われる紫外線をできるだけ蛍光体を用いて可視光(この場合、白色光)に波長シフトさせることが肝要である。なお、紫外線LEDチップの場合もサファイアである基板の上面側にGaN系の化合物半導体薄膜層が積層されたものである。したがって、例えば、前記本発明の実施の形態に係るLEDチップにおいて、反射層は取り除き、化合物半導体薄膜層の上段面と下段面とに設けられた図示しない電極には、半田作りの突起部(bump)を取り付け、その状態のものを上下逆にして用いるようにしたものに相当する。即ち、いわゆるフリップチップとされて用いられる。
【0048】
これにより、このような構成のLEDチップから放射される紫外線の量を減らし、波長シフトされて可視光として発光される光の量を増加させることができる。なお、前記電極は半透明でなく、厚みを増して高反射率電極とすると、前記可視光として発光される光の量を更に増加させることができるので好ましい。
【0049】
なお、植物用照明装置等であって、紫外線の有害性が問題とならないものに用いられる場合には、直接、紫外線も出る構成であってもよい。例えば、野菜には紫外線を当てる方が、抗酸化力が強くなり好ましいとの報告もされていることから、かかる野菜用照明装置に用いられる場合には、積極的に紫外線も発光するようにしてもよい。
【0050】
前記フリップチップの構成は、もちろん化合物半導体薄膜層から発光される光が可視光または赤外線光の場合にも適用できる。
【0051】
GaN系以外の化合物半導体に用いられる基板には、例えばGaPやGaAsがある。GaPは、可視光の吸収の少ない透明な材料である。一方、GaAsは、可視光を吸収する割合が大きい材料である。本発明の実施の形態に係るLEDチップに使用する基板としては、可視光の吸収の少ない透明な材料の方が好ましく、GaAsの基板は余り適さない。よって、化合物半導体薄膜層を結晶成長させるための基板と、LEDチップとして作り上げた状態での基板とを異なるものとすることのできる既存の技術を、GaAsを基板とするLEDチップに適用するとよい。
【0052】
本発明の実施の形態に係るLEDチップの場合には、「基板の上面側に化合物半導体薄膜層が積層されたLEDチップ」における前記基板は、必ずしも、化合物半導体薄膜層を結晶成長させるための基板とは限らない。
【0053】
本発明の実施の形態に係るLEDチップにおいて、図1および図3(C)で、穴部に蛍光体含有材料を完全に充填しているが、もちろん、充填量を減らすようにしてもよい。
【0054】
本発明の実施の形態に係るLEDチップにおいて、穴部は基板の下面から設けたが、基板の厚みが厚い場合、基板の側面に穴部を設けて、この穴部に蛍光体含有材料を充填してもよい。なお、この場合、ダイシングし、1つずつのLEDチップに分離後に基板の側面に穴部を設けることになる。したがって、コスト的には、上述したように基板の背面側から穴部を形成する方がよい。
【0055】
本発明の実施の形態に係るLEDチップは、白色発光するものであるとして説明したが、従来のLEDチップの発光色と異なる中間色を発光させたいときにも、上述同様の構成で可能である。白色発光するときのものに対して、中間色を発光するように、化合物半導体薄膜層および基板の材料と蛍光体の材料とを選択し直し、化合物半導体薄膜層の大きさや穴部の大きさ(即ち、蛍光体含有材料の量や配置)や蛍光体の含有量を決定すればよい。この際、基板の下面側全体に設けた反射層を省いたり、反射層を設ける範囲を調節してもよい。もちろん、前記化合物半導体薄膜層から発光する光は可視光に限定しないで紫外線光または赤外線光であってもよい。したがって、前記フリップチップの構成と同様の構成としてもよい。
【0056】
このようにして、1つのLEDチップで前記中間色の発光が可能となるので、例えば、従来の複数の異なる発光色のLEDチップを用いる場合よりも、中間色を発光するLEDの小型化が可能であるとともに、発光色のばらつきも小さくできる等、白色発光の場合と同様のメリットがある。
【0057】
前記反射層を設けるか設けないか、また、反射層を設ける範囲を調節することによって、蛍光体と遭遇し蛍光体によって波長シフトされる光と、それ以外の光との混色比を調節できるので、混色されて創り出される中間色の光の範囲を広くすることができる。
【0058】
なお、前記白色または前記中間色以外に、従来のLEDチップと同様の発光色(緑、赤等)を発光させるようにしてもよい。この場合、例えば、化合物半導体薄膜層の材料と基板の材料とは、高発光効率のものを選択するとよい。これにより、前記従来のLEDチップと同様の発光色を発光する本発明に係るLEDチップは、前記従来のLEDチップよりも発光効率を高くすることができる可能性がある。
【0059】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係るLEDチップは、1チップで長寿命で高発光効率の白色発光等を可能としたものであるが、LEDにするときには、本発明の実施の形態に係るLEDチップを1つ単独または同種複数で用いる以外に、複数の異なる発光色の本発明に係るLEDチップを用いてもよいし、本発明の実施の形態に係るLEDチップと従来のLEDチップとを組み合わせて用いてもよいことは言うまでもない。この際、組み合わされて用いられる複数の異なる発光色のLEDチップの化合物半導体薄膜層の材料や基板の材料を統一できれば、前記複数のLEDチップの寿命を揃えることが可能である。よって、フルカラーLED等のように、複数の異なる発光色のLEDチップを用いるLEDにおいて、前記複数の異なる発光色のLEDチップの異なる寿命の問題を解決できる可能性がある。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に係るLEDチップは、基板の上面側に化合物半導体薄膜層が積層されたLEDチップにおいて、前記基板には背面側又は側面側から穴部が形成されており、この穴部に蛍光体含有材料が充填される。
【0061】
よって、本発明の請求項1に係るLEDチップの場合には、化合物半導体薄膜層から発光した光と、この化合物半導体薄膜層から発光した光のうちの一部が蛍光体含有材料の蛍光体に遭遇して吸収され波長シフトされて発光する光との混色で白色または中間色等を発光可能となる。前記化合物半導体薄膜層および基板の材料としては、長寿命で高発光効率のものを使用できる。したがって、本発明の請求項1に係るLEDチップの場合には、1つのLEDチップの状態で、長寿命で高発光効率の白色発光等が可能である。
【0062】
また、本発明の請求項1に係るLEDチップの場合には、穴部は高精度に大きさをコントロールして形成可能なものであるから、蛍光体を用いる構成であっても発光色のばらつきを抑えることができる。更に、本発明の請求項1に係るLEDチップの場合には、1チップで白色等を発光可能となるので、従来の複数の異なる発光色のLEDチップを用いる場合よりも、白色発光等のLEDの小型化が可能であるとともに、発光色のばらつきも小さくできる。
【0063】
また、本発明の請求項1に係るLEDチップの場合には、化合物半導体薄膜層から発光される光と、蛍光体に遭遇し、吸収され波長シフトされて発光する光との混色の具合が、従来の複数の異なる発光色のLEDチップを用いたLEDよりもよい。また、本発明の請求項1に係るLEDチップの場合には、従来の複数の異なる発光色のLEDチップを用いたLEDよりも低コスト化可能である。これらのことにより、本発明の請求項1に係るLEDチップは、今まで以上に様々な用途に使用可能となる。
【0064】
本発明の請求項2に係るLEDチップは、前記基板の背面には反射層が設けられる。
【0065】
よって、本発明の請求項2に係るLEDチップの場合には、基板の背面の反射層によって、発光効率を向上させることができる。また、蛍光体含有材料ひいては蛍光体の使用量を減らせるので、低コスト化が可能である。更に、反射層を設けるか設けないか、また、反射層を設ける範囲を調節することによって、蛍光体と遭遇し蛍光体によって波長シフトされる光と、それ以外の光との混色比を調節できる。即ち、混色されて創り出される中間色の光の範囲を広くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るLEDチップに関する図であって、同図(A)は主要な構造を説明するための概略的説明図、同図(B)は化合物半導体薄膜層における発光と蛍光体により波長シフトされた発光とを説明するための概略的説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るLEDチップの製造方法を説明するための図であって、同図(A)はウエハ(ただし半分だけ図示した。)の概略的背面図、同図(B)は同図(A)の一部拡大図、同図(C)は同図(B)の概略的断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るLEDチップの製造方法を説明するための一部拡大した概略的断面図であって、同図(A)はサンドブラスト開始時の状態図、同図(B)はサンドブラスト終了時の状態図、同図(C)は蛍光体含有材料を充填終了時の状態図である。
【符号の説明】
100 基板
150 穴部
200 化合物半導体薄膜層
300 蛍光体含有材料
Claims (2)
- 基板の上面側に化合物半導体薄膜層が積層されたLEDチップにおいて、前記基板には背面側又は側面側から穴部が形成されており、この穴部に蛍光体含有材料が充填されることを特徴とするLEDチップ。
- 前記基板の背面には反射層が設けられることを特徴とする請求項1記載のLEDチップ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26117399A JP4418057B2 (ja) | 1999-09-14 | 1999-09-14 | Ledチップ |
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