JP4417444B2 - 重畳システム又は操舵システムの制御方法及び制御装置 - Google Patents
重畳システム又は操舵システムの制御方法及び制御装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,自動車に適用可能な,重畳システム又は操舵システムの制御装置及び制御機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来,走行状態を安定させるための操舵介入が実現できる車両の操舵システムは,例えばドイツ公開公報DE−OS 40 31 316(US 5,205,371)から知られている。ここで,従来の操舵システムにおいて本発明を理解するために重要な部分について,図1及び図2を参照して説明する。
図1及び図2に示すように,従来の操舵システムにおいて,運転者によるステアリングホイール11(21)の操作で生じるステアリングホイール角度δLは,重畳トランスミッション12(22)に伝達されるとともに,センサ28によって検出される。
【0003】
また,重畳トランスミッション12(22)には,セルフロックの機構を介してモータ13(23)からモータ角度δMが伝達される。そして,重畳トランスミッション12(22)において,かかるモータ角度δMがステアリングホイール角度δLに重畳されて,全体動作δL’が発生する。このようにして発生した全体動作δL’は,操舵角度δVを調節するためにステアリングギア14とステアリングリンケージ16とを介して,操舵可能に設計された車輪15aと15bへ供給される。
【0004】
従来の操舵システムにおいて,運転者の操舵動作に介入するモータ角度δMは,セルフロックの機構を介して重畳トランスミッション12(22)に伝達される。したがって,モータ13(23)は,ステアリングシャフト内で作用するトルクによって回動されることはない。そして,この種の操舵システムでは,操舵を重畳トランスミッション12(22)の変速比iueによって極めて間接的なものにすることができるため,僅かなステアリングホィールトルクMLを達成できることによって,サーボ操舵システムとして使用することができる。
【0005】
それによってもたらされる極めて大きいステアリングホィール角度δLは,適切なモータ角度δMが重畳され,それによって関係
δL’=δL/iue+δM
に従って通常の大きさのステアリングホィール角度により必要な出力角度δL’を調節でき結果,回避される。
【0006】
操舵支援に必要なモータ角度δMの成分又はその目標値の成分は,ステアリングホィール角度δLに基づいて定められる。さらに,車両の動特性を調節するために,モータ角度δMを,センサ26によって検出された車両運動を表わす信号Smに従って付加的に或いは排他的に選択することもできる。その場合に変速比はiue=1とすることもできる。
【0007】
【発明の解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の操舵システムにおいては,モータ角度δMは一般に長い時間にわたって一定の値,特にゼロをとらなければならない。この一定の値がモータによって,たとえば摩擦のために正確に調節されない場合には,一定の連続電流が流れて,それが電動機であるモータを暖めたり,不必要に電気エネルギーを消費する不利をもたらす。操舵システムを用いて示されるこの問題は,出力量(角度,位置)が比較的長い時間の間一定の値とらなければならない,セルフロックを有するすべての操作装置や駆動装置において発生し得る。従来の制御方法や制御機構では,かかる問題点の十分な解決を図ることが難しい。
【0008】
本発明は,従来の制御方法及び制御機構が有する上記問題点に鑑みて成されたものであり,一定の値への復帰に摩擦等の阻害要因が存在してもアクチュエータへのエネルギ供給を減らすことにより,エネルギ消費量や不要な操舵介入の抑制が可能な,新規かつ改良された制御方法及び制御機構を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために,請求項1に記載の発明は,エネルギ供給によって第1の動作を生成するアクチュエータと,アクチュエータからセルフロックする機構を介してもたらされる第1の動作(δM)を第2の動作(δL)に重畳して重畳動作を生成する重畳トランスミッションとを有する重畳システムの制御方法であって;第1の動作(δM)は,第2の動作(δL)に基づいて制御され,セルフロックする機構は,第2の動作(δL)のアクチュエータへの伝達を阻止し,アクチュエータの動作の時間的な変化に従ってアクチュエータの停止状態が検出される段階と,検出された停止状態に反応してアクチュエータへのエネルギー供給(Isoll,u)が、値ゼロに減少されるか、中断されるか、又は遮断される段階とを含む構成を採用する。
【0010】
また,請求項2に記載の発明は,少なくとも1つの操舵可能な車輪と,エネルギ供給によって第1の動作を生成するアクチュエータと,アクチュエータからセルフロックする機構を介してもたらされる第1の動作(δM)を車両の運転者によってもたらされる第2の動作(δL)に重畳して車輪の操舵動作を生成する重畳トランスミッションとを有する自動車の操舵システムの制御方法であって;第1の動作(δM)は,車両の運転者によって動作される第2の動作(δL)に基づいて制御され,セルフロックする機構は,第2の動作(δL)のアクチュエータへの伝達を阻止し,アクチュエータの動作の時間的な変化に従ってアクチュエータの停止状態が検出される段階と,検出された停止状態に反応して,アクチュエータへのエネルギー供給(Isoll,u)が、値ゼロに減少されるか、中断されるか、又は遮断される段階とを,含む構成を採用する。
【0011】
上述のように,セルフロックする機構を有する重畳システムや操舵システムにおいては,アクチュエータの回動を防ぐ働きをするセルフロックする機構の摩擦によって,所定の操舵介入が終了してもなお第1の動作が残留する場合がある。
請求項1に記載の発明及び請求項2に記載の発明では,この様に第1の動作が残留している場合であっても,アクチュエータの停止状態に反応してアクチュエータへの供給を少なくとも減少させる。したがって,駆動していないアクチュエータへの不必要なエネルギ供給が減少し,アクチュエータにおける消費エネルギの減少及びアクチュエータの発熱を抑えることができる。
なお,セルフロックする機構は,重畳トランスミッションの内又は外のどちらにでも配置することができる。また,アクチュエータへのエネルギ供給量は,例えば,車両のヨー速度等のヨーイングの状態や,車両に吹き付ける横風量や,どの程度の操舵補助を行うか等の各種ファクタを参照して決定される。
【0012】
その場合に,エネルギ供給が減少される態様としては,エネルギー供給が値ゼロに減少される構成,エネルギー供給が中断される構成,或いはエネルギー供給が遮断される構成とすることが好適である。これらの構成では,アクチュエータをオフにして発熱や不必要なエネルギ消費を完全に防止することができるからである。
【0013】
また,アクチュエータの停止状態が検出される態様としては,アクチュエータの動作の時間的な変化に従ってアクチュエータの停止状態が認識される構成とすることが好適である。かかる場合には,請求項3に記載の発明のように時間的な変化の量が所定の値に達した場合にアクチュエータの停止状態が認識される構成,特に,請求項4に記載の発明のように,時間的な変化の量が値ゼロに達した場合にアクチュエータの停止状態が認識される構成とすることが好適である。
【0014】
また,エネルギ供給が少なくとも減少される態様としては,請求項5に記載の発明のように,アクチュエータの停止状態が選択可能な所定の時間継続して認識されている場合にエネルギ供給が少なくとも減少される構成が好適である。
かかる請求項5に記載の発明では,実際にはアクチュエータが作動中であるのに,例えばノイズの発生等によって一時的に停止状態の誤検出が行われた場合であっても,停止状態は認識されない。したがって,アクチュエータへのエネルギ供給が誤って減少されて必要な操舵介入がストップしてしまうことがなく,重畳システム又は操舵システムの適切な信頼性の高い制御が実現される。
【0015】
なお,アクチュエータとして電流の供給によって駆動するものを適用した場合には,請求項6に記載の発明のように,エネルギー供給(Isoll,u)が少なくとも減少される段階では,アクチュエータへ供給される電流が減少されるとエネルギー供給(Isoll,u)が少なくとも減少される構成を採用することができる。かかる場合には,請求項7に記載の発明のように,アクチュエータへ供給される電流が値ゼロに減少されるとエネルギ供給が少なくとも減少される構成とすることが好適である。
【0016】
また,請求項8に記載の発明のように,さらに,第1の動作(δM)が検出される段階と,第1の動作(δM)の目標値(δM,soll)が定めらる段階と,目標値(δM,soll)と第1の動作(δM)との差(e)が定められる段階と,エネルギー供給(Isoll,u)の減少の時間(t1)における目標値(δM,soll)と第1の動作(δM)との差が,所定の差[e(t1)]として格納される段階とを,含む構成を採用することができる。かかる構成を有する請求項8に記載の発明では,格納された所定の差を用いて様々な制御を行うことができる。
【0017】
その場合の態様としては,請求項9に記載の発明のように,定められた目標値(δM,soll)と第1の動作(δM)との差が,格納されている所定の差[e(t1)]を予め設定可能な程度(e)に上回った場合又は下回った場合に,エネルギー供給が再び増大される構成がある。かかる構成の請求項9に記載の発明では,停止状態にあるアクチュエータに残留している好ましくない第1の動作をなくすことができるため,セルフロックする機構での摩擦に起因する誤った操舵介入を排除することができる。そして,かかる場合には,エネルギーを供給することによって所望の角度がさらに正確に調節されることを予測できないときにのみ,エネルギー供給の減少又はアクチュエータのオフが行われる,という利点がある。
【0018】
さらに,請求項10に記載の発明のように,格納されている所定の差[e(t1)]がエラー検出に利用される段階をも含む構成とすることもできる。そして,その場合には,請求項15に記載の発明のように,格納されている所定の差[e(t1)]がエラー検出に利用される段階は,格納されている所定の差[e(t1)]を予め設定可能な少なくとも1つのしきい値と比較する段階と,格納されている所定の差としきい値との比較結果に従ってエラー信号(F)が出力される段階とを,含む構成とすることが効果的である。
【0019】
請求項10に記載の発明及び請求項11に記載の発明は,アクチュエータが比較的長い間比較的大きい制御偏差を有する場合に,制御偏差がアクチュエータ又はトランスミッションにおける増大された摩擦又は固着による故障を示唆することができる,という背景に基づいている。その場合には,アクチュエータに属する電流制御器,パワーエレクトロニクス又はエネルギー供給に故障がある場合もある。この種の異常を停止状態オフ段が安全監視段へ伝達して,安全監視段がその後適当なテスト手段又は非常手段を導入することができる。
【0020】
また,エラー検出は,請求項12に記載の発明のように,さらに,エネルギー供給が減少されている間に検出された第1の動作(δM)がエラー検出に利用される段階を含む構成を採用して,実現することができる。その場合には,請求項17に記載の発明のように,第1の動作がエラー検出に利用される段階では,第1の動作(δM)が予め設定可能な程度だけ変化した場合にエラー信号(F)が発生される構成とすることが効果的である。
【0021】
かかる請求項12に記載の発明及び請求項13に記載の発明は,オフの間の付加操舵角度の測定値が変化することは,それに応じたセンサの故障又はたとえばセルフロックがきかなくなるなどのモータ又はトランスミッション内の重大な故障を示唆する,という背景を有する。この種の異常を停止状態オフ段が安全監視段へ伝達して,安全監視段がその後適切な非常手段を導入する。
【0022】
また,従来の制御機構が有する上記課題を解決するために,請求項14に記載の発明は,エネルギ供給によって第1の動作を生成するアクチュエータと,アクチュエータからセルフロックする機構を介してもたらされる第1の動作(δM)を第2の動作(δL)に重畳して重畳動作を生成する重畳トランスミッションとを有する重畳システムの制御機構であって;第1の動作(δM)は,第2の動作(δL)に基づいて制御され,セルフロックする機構は,第2の動作(δL)のアクチュエータへの伝達を阻止し,アクチュエータの動作の時間的な変化に従ってアクチュエータの停止状態を検出する手段と,検出された停止状態に反応して,アクチュエータへのエネルギー供給(Isoll,u)を、値ゼロに減少するか、中断するか、又は遮断する手段とを,備えている構成を採用する。
【0023】
さらに,請求項15に記載の発明は,少なくとも1つの操舵可能な車輪と,エネルギ供給によって第1の動作を生成するアクチュエータと,アクチュエータからセルフロックする機構を介してもたらされる第1の動作(δM)を車両の運転者からもたらされる第2の動作(δL)に重畳して車輪の操舵動作を生成する重畳トランスミッションとを有する自動車の操舵システムの制御機構であって;第1の動作(δM)は,車両の運転者によって動作される第2の動作(δL)に基づいて制御され,セルフロックする機構は,第2の動作(δL)のアクチュエータへの伝達を阻止し,アクチュエータの動作の時間的な変化に従ってアクチュエータの停止状態を検出する手段と,検出された停止状態に反応して,アクチュエータへのエネルギー供給(Isoll,u)を、値ゼロに減少するか、中断するか、又は遮断する手段とを,備えている構成を採用する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下においては,本発明の好適な実施の形態について,添付図面を参照しながら説明する。なお,以下の説明及び添付図面において,略同一の機能及び構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより,重複説明を省略する。
【0025】
本実施の形態は,冒頭で説明した図1及び図2に示す重畳操舵に適用することができる。
図1及び図2に示すように,操舵システム100では,車両の運転者によるステアリングホィール11(21)の操作によって生じたステアリングホィール角度δLが,接続シャフト101を介して重畳トランスミッション12(22)へ供給される。重畳トランスミッション12(22)には,同時に,接続シャフト104を介してモータ13(23)からモータ角度δMが供給される。なお,モータ13(23)は,アクチュエータとして設計された電動機である。
【0026】
操舵システム100において,モータ13(23)からのモータ角度δMによる操舵介入は,セルフロックのトランスミッションを介して行われる。したがって,モータ13(23)は,ステアリングシャフト内に作用するトルクによる回動を受けずに,操舵介入を行うことができる。
【0027】
操舵システム100において,重畳トランスミッション12(22)の出力側からは,接続部102及び103を介してステアリングギア14(24)へ全体動作δL’が供給される。かかるステアリングギア14(24)は,ステアリングリンケージ16を介して全体角度δL’に従って操舵可能な車輪15aと15bへ操舵角度δVを供給する。
なお,図1中の参照符号MlとMvとは,ステアリングトルク(ステアリングモーメント)と車輪に操舵動作をもたらす車輪操舵トルク(車輪操舵モーメント)である。
【0028】
図2には,さらにセンサ28とセンサ26と制御装置27とが図示されている。かかるセンサ28は操舵角度δLを検出して制御装置27へ供給する。また,センサ26は例えばヨーイングの状態,横加速度,車両速度等の車両(参照符号25)の運動を検出して,それに応じた信号Smを制御装置27へ供給する。制御装置27は,センサ28によって検出されたステアリングホィール角度δLに従って,そして場合によっては,センサ26によって検出された車両運動に応じて形成された信号Smに従って,アクチュエータ23(13)を駆動するための操作量uを割り出す。
【0029】
図3は,ブロック回路図を用いて車両の走行駆動における操舵システムの機能方法を示している。
図3に示すように,センサ28によって検出された操舵角度δLはさらに操舵補助制御器41へ供給される。操舵補助制御器41は,供給された操舵角度δLに従って,そして場合によってはセンサ26で検出された車両縦速度Vxに従って操舵成分δMLHを求める。図3においては,その他に車両制御器44が,センサ26によって検出された例えば車両縦速度Vx,ヨーレートω,横加速度等の車両運動に従って,他の動的な操舵成分δKorrを求める。
【0030】
そして,点45では,操舵補助機能を考慮する操舵成分δMHLと車両の車両動特性を最適化する操舵成分δKorrとが重畳されて,目標モータ角度δM,sollが形成される。形成された目標モータ角度δM,sollは,位置制御器(参照符号42)の入力側へ供給される。図3においては,位置制御器として,比例(Proportion)成分と微分(Diffarentiation)成分とを有するPD位置制御器42が使用される。
PD位置制御器42には,さらにモータ13,23の現在のモータ角度δMも供給される。
【0031】
かかるPD位置制御器42は,目標モータ角度δMの値と実際のモータ角度δMの値との比較結果に従って,下位に接続された目標モータ電流Isollを求める。PD位置制御器42の出力側に入力側が接続された電流制御器43は,車両モータ13,23において検出された実際電流Iistの目標モータ電流Isollに対する偏差に従って(引き算46),所望のモータ角度δM,sollを実現するために,モータ13,23を駆動するための適切な駆動信号uを求める。
【0032】
図4においても,PD位置制御器42aにモータ角度の実際値δM,istとそれに対応する目標値δM,sollが供給される。この2つの入力量δM,istとδM,sollとから微分ユニット50と54とにおいて時間的な微分商が形成されて,相互に異なる増幅係数KDsとKDiとでそれぞれ重み付けされる。その場合に特にKDs=0とすることができる。その後,点55においてこれら重み付けされた微分商間の差が求められて,求められた微分商間の差は増幅係数Kpの増幅段51で重み付けされた制御偏差(δM,soll−δM,ist)に,点55aで重畳されて目標モータ電流Isollとされる。
【0033】
I−成分(積分成分)を持たないこの種の制御器を使用することは,セルフロックのトランスミッションの極めて高い摩擦が限界サイクルをもたらさないという利点を有する。その代わりに残留する制御偏差が生じ,特に,実際値δM,istが目標値δM,sollに達する前に,δM,sollが一定であるとモータ13,23が摩擦のために停止してしまう。従って,位置制御器のP−チャネル(増幅Kp)を介して一定のモータ電流が調節され,それは非常に小さいので,摩擦は克服されず,モータはそれ以上回転されない。この電流はモータを暖めるだけである。
【0034】
そこで本実施の形態においては,図5に示す構成が採用される。なお,図5は,本発明により停止状態オフ段の分を拡大した位置制御器42aを示している。
この場合にも,図5に示す制御器42aは,基本的には既に説明したPD制御器であって,同様に説明した微分ユニット50と54及び増幅段51,52及び53を有する。
【0035】
図5において特に新しい構成要素の一つはスイッチ56である。かかるスイッチ56は,その切換え状態がスイッチ信号Sによって変化される。図5に示した制御器42aでは,スイッチ56が開放状態にされた場合には,モータ電流が,又は電流制御器43(図3)を介して操作量uが値ゼロに切り下げられて,モータ13,23がオフにされる。なお,この場合には,操作量uは,モータ電圧である。
【0036】
図5に参照符号13,23で示されるブロックはもちろん,図4又は図3に図示されている電流制御器43とすることもできる。その場合には電流制御器43に目標電流Isollが供給される。
【0037】
その場合に切換え信号Sは,停止状態オフ段57内で形成される。
停止状態オフ段57の入力量は制御偏差e=δM,soll−δM,istとモータ角度の変化δM,ist(=δM)又はモータ速度dδM/dtである。
【0038】
図5に示す停止状態オフの機能方法が,図6に主要な変量の時間的な推移を用いて例示されている。図6では,モータ角度δMは,図中の点線のカーブで示されており,正の角度から角度ゼロへ戻されるものと仮定している。すなわち,考察される時間部分の最初では
δM,soll>0,
δM>0及び
(dδM,soll)/dt<0
である。
【0039】
モータ13,23(図5)は目標値,すなわちdδM/dt<0に従って定められるが,その場合にある種のエラーが生じる。エラーと摩擦とによってモータは,δM=δM,sollー0になる前に,時間t0で,すなわち,時間t0;dδM/dt=0になると,停止する。そして,まだ残っている制御偏差e(一点鎖線で示される推移)によって,t>t0の場合に上述した一定のモータ電流Isollがもたらされる。
【0040】
停止状態オフ段57は,時間t0で,δMの変化と速度dδM/dtから,モータ13,23が停止していることを認識する。目標速度が急激にゼロを通過することにより動きが損なわれることを防止するために,停止状態オフ段57はモータ停止状態の認識後さらに所定の時間Δt待機する。この時間全体の間にモータが停止した場合には,モータは時間t1〜t0+Δtでオフにされ,従ってIsoll=0にセットされ,又は図5に示されるスイッチ56が切換えられる。
【0041】
モータ13,23を再びオンにするために,オフの時間t1での制御偏差e(t1)から閾値;
e0=|e(t1)|+ε;
が正の一定の値εを用いて形成される。制御偏差eが±e0によって決定される帯域を越えた場合,すなわち|e(t)|>e0の場合には,モータはスイッチ56の駆動Sによって再びオンにされ,すなわちPD制御器によって定められる電流目標値Isollが供給される。
【0042】
システム機能が正常である場合には,これは,目標値δM,sollが変化することによってのみ行うことができる。考察されている例においては,δM,sollは時間t2から再び上昇し,制御偏差eは時間t3で帯域±e0を越えるので,モータ13,23は時間t3で再びオンにされ,又はは電流を供給されて,始動すると見なされる。
【0043】
この停止状態オフの主要な利点は,システム内に存在している摩擦力並びに摩擦比を認識する必要がないことにある。従って停止状態オフは,モータ又はトランスミッションが固着した,故障の場合にもモータ,パワーエレクトロニクス,車両電気系統を高い長時間負荷から保護する。
【0044】
さらに,上述の停止状態監視57はエラー検出にも使用することができる。閾値e0が通常になく大きな値をとった場合には,それはモータ又はトランスミッション内の増大された摩擦又は固着,あるいは電流制御器,パワーエレクトロニクスあるいはエネルギー供給における輪郭エラーを示している。従って停止状態監視57において,値e0を他の閾値と比較することができる。e0が閾値を越えた場合には,エラー検出501又は信号ランプ502を介してエラーが表示される。
【0045】
測定されたモータ角度の値δMが変化し,モータがオフにされている場合に,これはモータ角度δM又はδM,istを検出するセンサの故障,又はたとえばセルフロックがきかなくなるなど,モータ又はトランスミッション内の重大な故障を意味している。この種の異常は停止状態オフ段57によって安全監視段501へ伝達され,その安全監視段がその後例えば信号ランプ502の駆動等の適切な非常手段を導入することができる。
【0046】
停止状態オフ段57を有するPD制御器を使用することは,必ずしも図3に示すような下位に接続された電流制御器43の使用を前提とするものではない。この配置は直接操作量uを定めることもできる。その場合に上述の実施形態が意味を持つ。
【0047】
【発明の効果】
要約すると,本発明の核心と利点として,次の点が挙げられる:
−サーボモータが停止し,位置制御器偏差eが極めて小さくて,位置制御器によって調節されたモータ電流が十分にモータを再始動させられない場合に,サーボモータをオフにする。
−制御偏差eが大きくなった場合にモータを再度オンにする。
−モータの多大な加熱を防止する。
−電気エネルギーの節約。
−本発明による機能は,位置制御器42a内にすでにある信号のみをベースにして満たされる。
−本発明による機能は,停止状態オフ段57だけ拡大した位置制御器によって独立して実施される。たとえば車両制御器44など,上位に接続された機能ユニットが介入する必要はない。それによって諸機能のモジュラー構造化が容易になる。
−本発明による機能は,摩擦比の予備知識なしで満たされる。
−本発明による機能は,モータ又はトランスミッション内の摩擦増大や固着などの故障の場合でも満たされる。したがってその場合にモータ,パワーエレクトロニクス及び車両電気系統の効果的な保護が得られる。
−停止状態オフ段57はモータ,トランスミッション,電流制御器,パワーエレクトロニクス,エネルギー供給又はモータ角度センサの所定の故障を認識して,安全監視段501,502へ伝達する。
操舵システムの実施例において説明した停止状態オフは,上述の操舵システムに使用できるだけでなく,出力量(角度,位置)が比較的長い時間の間一定の値をとらなければならない,セルフロックを有するすべての操作装置及び駆動装置に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用可能な操舵システムの概略的な構成説明図である。
【図2】本発明を適用可能な操舵システムの概略的な機能説明図である。
【図3】本実施を適用可能な操舵システムの開ループ又は閉ループ制御理念の説明図である。
【図4】本発明を適用可能な位置制御器の説明図である。
【図5】本発明を適用可能な位置制御器の他の説明図である。
【図6】図5に示す位置制御器の信号特性を示すグラフである。
【符号の説明】
11;ステアリングホイール 12;重畳トランスミッション
13;モータ 25;車両
26,28;センサ 27;制御装置
41;操舵補助制御器 42;PD位置制御器
43;電流制御器 44;車両制御器
100;操舵システム
δL;操舵角度 δL’;全体操舵角度
δM,ist;モータ角度 δM,soll;モータ角度の目標値
Iist;電流 Isoll;電流の目標値
u;操作量 Sm;信号
Vx;車両速度
Claims (15)
- エネルギ供給によって第1の動作を生成するアクチュエータと,前記アクチュエータからセルフロックする機構を介してもたらされる前記第1の動作(δM)を第2の動作(δL)に重畳して重畳動作を生成する重畳トランスミッションとを有する重畳システムの制御方法であって;
前記第1の動作(δM)は,前記第2の動作(δL)に基づいて制御され,
前記セルフロックする機構は,前記第2の動作(δL)の前記アクチュエータへの伝達を阻止し,
前記アクチュエータの動作の時間的な変化に従って前記アクチュエータの停止状態が検出される段階と,
検出された前記停止状態に反応して,前記アクチュエータへのエネルギー供給(Isoll,u)が、値ゼロに減少されるか、中断されるか、又は遮断される段階とを,
含むことを特徴とする,制御方法。 - 少なくとも1つの操舵可能な車輪と,エネルギ供給によって第1の動作を生成するアクチュエータと,前記アクチュエータからセルフロックする機構を介して前記第1の動作(δM)を車両の運転者によってもたらされる第2の動作(δL)に重畳して前記車輪の操舵動作を生成する重畳トランスミッションとを有する自動車の操舵システムの制御方法であって;
前記第1の動作(δM)は,車両の運転者によって動作される前記第2の動作(δL)に基づいて制御され,
前記セルフロックする機構は,前記第2の動作(δL)の前記アクチュエータへの伝達を阻止し,
前記アクチュエータの動作の時間的な変化に従って前記アクチュエータの停止状態が検出される段階と,
検出された前記停止状態に反応して,前記アクチュエータへのエネルギー供給(Isoll,u)が、値ゼロに減少されるか、中断されるか、又は遮断される段階とを,
含むことを特徴とする,制御方法。
方法。 - 前記アクチュエータの停止状態は,前記時間的な変化の量が所定の値に達した場合に認識されることを特徴とする,請求項1又は2に記載の制御方法。
- 前記アクチュエータの停止状態は,前記時間的な変化の量が値ゼロに達した場合に認識されることを特徴とする,請求項1又は2に記載の制御方法。
- 前記エネルギー供給(Isoll,u)が少なくとも減少される段階では,前記アクチュエータの停止状態が選択可能な所定の時間継続して認識されている場合に前記エネルギ供給が少なくとも減少されることを特徴とする,請求項1,2,3又は4のいずれか1つに記載の制御方法。
- 前記エネルギー供給(Isoll,u)が少なくとも減少される段階では,前記アクチュエータへ供給される電流が減少されると前記エネルギー供給(Isoll,u)が少なくとも減少されることを特徴とする,請求項1,2,3又は4のいずれか1つに記載の制御方法。
- 前記エネルギ供給が少なくとも減少される段階では,前記アクチュエータへ供給される電流が値ゼロに減少されると前記エネルギ供給が少なくとも減少されることを特徴とする請求項1,2,3又は4のいずれか1つに記載の制御方法。
- さらに,
前記第1の動作(δM)が検出される段階と,
前記第1の動作(δM)の目標値(δM,soll)が定めらる段階と,
前記目標値(δM,soll)と前記第1の動作(δM)との差(e)が定められる段階と,
前記エネルギー供給(Isoll,u)の減少の時点(t1)における前記目標値(δM,soll)と前記第1の動作(δM)との差が,所定の差[e(t1)]として格納される段階とを,
含むことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6又は7のいずれか1つに記載の制御方法。 - 定められた前記目標値(δM,soll)と前記第1の動作(δM)との差が,格納されている前記所定の差[e(t1)]を予め設定可能な程度(e)に上回った場合又は下回った場合に,前記エネルギー供給が再び増大されることを特徴とする,請求項8に記載の制御方法。
- さらに,
格納されている前記所定の差[e(t1)]がアクチュエータ、センサ、重畳トランスミッション、又はセルフロックする機構のエラー検出に利用される段階を含むことを特徴とする,請求項8又は9のいずれか1つに記載の制御方法。 - 格納されている前記所定の差[e(t1)]が前記エラー検出に利用される段階は,
格納されている前記所定の差[e(t1)]を予め設定可能な少なくとも1つの閾値と比較する段階と,
格納されている前記所定の差と前記閾値との比較結果に従ってエラー信号(F)が出力される段階とを,
含むことを特徴とする請求項10に記載の制御方法。 - さらに,
前記エネルギー供給が減少されている間に検出された前記第1の動作(δM)がアクチュエータ、センサ、重畳トランスミッション、又はセルフロックする機構のエラー検出に利用される段階を含むことを特徴とする,請求項1,2,3,4,5又は6のいずれか1つに記載の制御方法。 - 前記第1の動作が前記エラー検出に利用される段階では,前記第1の動作(δM)が予め設定可能な程度だけ変化した場合にエラー信号(F)が発生されることを特徴とする,請求項12に記載の制御方法。
- エネルギ供給によって第1の動作を生成するアクチュエータと,前記アクチュエータからセルフロックする機構を介してもたらされる前記第1の動作(δM)を第2の動作(δL)に重畳して重畳動作を生成する重畳トランスミッションとを有する重畳システムの制御機構であって;
前記第1の動作(δM)は,前記第2の動作(δL)に基づいて制御され,
前記セルフロックする機構は,前記第2の動作(δL)の前記アクチュエータへの伝達を阻止し,
前記アクチュエータの動作の時間的な変化に従って前記アクチュエータの停止状態を検出する手段と,
検出された前記停止状態に反応して,前記アクチュエータへのエネルギー供給(Isoll,u)を、値ゼロに減少するか、中断するか、又は遮断する手段とを,
備えていることを特徴とする,制御機構。 - 少なくとも1つの操舵可能な車輪と,エネルギ供給によって第1の動作を生成するアクチュエータと,前記アクチュエータからセルフロックする機構を介してもたらされる前記第1の動作(δM)を車両の運転者からもたらされる第2の動作(δL)に重畳して前記車輪の操舵動作を生成する重畳トランスミッションとを有する自動車の操舵システムの制御機構であって;
前記第1の動作(δM)は,車両の運転者によって動作される前記第2の動作(δL)に基づいて制御され,
前記セルフロックする機構は,前記第2の動作(δL)の前記アクチュエータへの伝達を阻止し,
前記アクチュエータの動作の時間的な変化に従って前記アクチュエータの停止状態を検出する手段と,
検出された前記停止状態に反応して,前記アクチュエータへのエネルギー供給(Isoll,u)を、値ゼロに減少するか、中断するか、又は遮断する手段とを,
備えていることを特徴とする,制御機構。
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