JP4416895B2 - 紡糸用塩化アルミニウム溶液及びその製造方法、濃縮塩化アルミニウム溶液の保存方法 - Google Patents

紡糸用塩化アルミニウム溶液及びその製造方法、濃縮塩化アルミニウム溶液の保存方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は紡糸用塩化アルミニウム溶液及びその製造方法、濃縮塩化アルミニウム溶液の保存方法に関し、更に詳細には濃縮しても取り扱いが容易な紡糸用塩化アルミニウム溶液及びその製造方法、及び濃縮塩化アルミニウムの保存中の粘度上昇を可及的に防止し得る濃縮塩化アルミニウム溶液の保存方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩化アルミニウムは、希塩酸とアルミニウム金属粉末とを溶解反応させて得ることができ、或いは濃塩酸に水酸化アルミニウムを溶解反応させた後、更にアルミニウム金属粉末を溶解しても得ることができる。
かかる塩化アルミニウムのうち、下記一般式で示される塩化アルミニウムはアルミナ繊維の原料として用いられる。
一般式
Al(OH)nCl3-n
但し、2.20≦n≦2.55
この塩化アルミニウムは水に溶解するため、塩化アルミニウムを水に溶解した塩化アルミニウム溶液の状態でアルミナ繊維の原料として供給される。
【0003】
ところで、紡糸原液中のアルミニウム成分が高濃度である程、最終的に得られるアルミナ繊維を緻密構造とすることができる。
しかし、紡糸用原料として供給される塩化アルミニウム溶液は、アルミニウム成分を高濃度とする程、その粘度が高くなって溶液の移送等の取り扱いが困難となるため、アルミニウム成分の濃度には限界があった。
また、得られた直後では塩化アルミニウム溶液の移送等の取り扱いが容易である程度にアルミニウム成分を濃縮した濃縮塩化アルミニウム溶液であっても、その保存期間中に粘度が徐々に高くなる現象が発生する。このため、紡糸原料用として供給する塩化アルミニウム溶液は、その保存期間を短くするように管理するか、或いは保存期間中に高粘度となって取り扱い困難となることのないようにアルミニウム成分を低濃度とした低濃度塩化アルミウム溶液を供給する。
【0004】
しかしながら、濃縮塩化アルミニウム溶液の保存期間を短く管理するにも、少なくも2日間程度は、取扱性が良好な粘度を保持し得る濃縮塩化アルミニウム溶液であることが必要である。一方、低濃度塩化アルミニウム溶液は、アルミニウム成分を濃縮した濃縮塩化アルミニウム溶液に比較して、塩化アルミニウム溶液を輸送又は貯蔵するタンク等を大型化せざるを得ず、塩化アルミニウム溶液の輸送コストや貯蔵コストが上昇する。
かかる特性を有する塩化アルミニウム溶液を用いた紡糸原液の粘度を低下すべく、例えば特開昭53−14832号公報には、粘度低下剤としての乳酸を添加する方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前掲の公報で提案された方法によれば、乳酸を添加することによって塩化アルミニウム溶液を用いた紡糸原液の粘度を低粘度とすることができる。
しかし、乳酸の添加量は紡糸原液中の固形分に対して3重量%以上である。この様に多量の乳酸を紡糸原液に添加すると、紡糸原液中の塩化アルミニウム溶液が乳酸の添加によって希釈されるため、紡糸原液中のアルミニウム成分の濃度を十分に高めることは困難である。
そこで、本発明の課題は、アルミニウム成分が従来よりも高濃度に濃縮されても、その取扱性が良好な粘度を呈する紡糸用塩化アルミニウム溶液及びその製造方法を提供し、取扱性が良好な粘度を呈する程度に、アルミニウム成分が濃縮された濃縮塩化アルミニウム溶液を保存しても、濃縮塩化アルミニウム溶液の粘度を取扱性が良好な範囲内に維持し得る濃縮塩化アルミニウム溶液の保存方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決すべく検討した結果、従来の低濃度塩化アルミニウム溶液に加熱処理を施した後、この加熱処理を施した低濃度塩化アルミニウム溶液を濃縮することによって、低粘度の濃縮塩化アルミニウム溶液が得られることを知り、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記一般式で表される塩化アルミニウムと水とのみから成る塩化アルミニウム溶液に加熱処理を施して得られた紡糸用塩化アルミニウム溶液であって、該塩化アルミニウム溶液中のアルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で220g/リットルとなるように、前記塩化アルミニウム溶液を濃縮したとき、濃縮した塩化アルミニウム溶液の20℃での粘度が300センチポイズ(cps)以下であることを特徴とする塩化アルミニウム溶液にある。
【0007】
更に、本発明は、下記一般式で表される塩化アルミニウムと水とのみから成る紡糸用塩化アルミニウム溶液を製造する際に、該塩化アルミニウム溶液中のアルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で190g/リットル未満の低濃度塩化アルミニウム溶液を得た後、前記低濃度塩化アルミニウム溶液を、アルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で220g/リットルに濃縮した塩化アルミニウム溶液としたとき、濃縮した塩化アルミニウム溶液の20℃での粘度が300センチポイズ(cps)以下となるように、前記低濃度塩化アルミニウム溶液に加熱処理を施すことを特徴とする紡糸用塩化アルミニウム溶液の製造方法でもある。
【0008】
また、本発明は、下記一般式に示す塩化アルミニウムと水とのみから成る塩化アルミニウム溶液を保存する際に、該溶液中のアルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で190g/リットル未満であって、前記アルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で220g/リットルに濃縮したとき、濃縮した塩化アルミニウム溶液の20℃での粘度が300センチポイズ(cps)以下とし得る低濃度塩化アルミニウム溶液を、アルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で190g/リットル以上に濃縮し、20℃での粘度が300センチポイズ(cps)以下の濃縮塩化アルミニウム溶液を得、次いで、前記濃縮塩化アルミニウム溶液を30℃以下の保存温度で保存することを特徴とする濃縮塩化アルミニウム溶液の保存方法にある。
一般式
Al(OH)nCl3-n
但し、2.20≦n≦2.55
【0009】
かかる本発明において、アルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で220g/リットルに濃縮した塩化アルミニウムとしたとき、濃縮した塩化アルミニウム溶液の20℃での粘度を200センチポイズ(cps)以下とするように、低濃度塩化アルミニウム溶液に加熱処理を施すことによって、濃縮塩化アルミニウム溶液の取扱性を更に良好とすることができる。
この低濃度塩化アルミニウム溶液のアルミニウム成分を、アルミニウム(Al)換算で170g/リットル以下とすることによって、低濃度塩化アルミニウム溶液の保存性を良好とすることができる。
更に、低濃度塩化アルミニウム溶液の加熱処理条件を、100℃以上、更に好ましくは110℃以上の温度で1時間以上の加熱処理とすることが好ましい。
また、濃縮塩化アルミニウム溶液の保存温度を、10℃以下とすることによって、保存中の濃縮塩化アルミニウム溶液の粘度上昇を更に抑制できる。
【0010】
従来の塩化アルミニウム溶液では、アルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で220g/リットルまで濃縮すると、濃縮塩化アルミニウム溶液の20℃での粘度は、1125cps(n=2.52の塩化アルミニウムを用いた場合)或いは2100cps(n=2.22の塩化アルミニウムを用いた場合)にも達し、濃縮塩化アルミニウム溶液の移送等の取り扱いは極めて困難となる。このため、紡糸用塩化アルミニウム溶液としては、この様な粘度の上昇が発生することのないアルミニウム成分濃度[アルミニウム(Al)換算で163g/リットル程度]の低濃度塩化アルミニウム溶液が供給されている。
これに対し、本発明に係る紡糸用塩化アルミニウム溶液によれば、アルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で220g/リットルに濃縮した濃縮塩化アルミニウム溶液は、その20℃での粘度が300cps以下であり、移送等の取扱性は良好である。その結果、紡糸用塩化アルミニウム溶液として、従来よりもアルミニウム成分が濃縮された濃縮塩化アルミニウム溶液を供給できる。
また、濃縮塩化アルミニウム溶液は保存中にも粘度が上昇するため、濃縮塩化アルミニウム溶液の初期粘度を低粘度とすることができたとしても、濃縮塩化アルミニウム溶液の2日間以上の長時間の保存が困難であった。この点、本発明に係る塩化アルミニウム溶液の保存方法によれば、濃縮塩化アルミニウム溶液の粘度上昇を可及的に防止しつつ保存できる結果、濃縮塩化アルミニウム溶液の2日間以上の長期間の保存を可能とすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係る紡糸用塩化アルミニウム溶液としては、下記一般式で表される塩化アルミニウムと水とのみから成る塩化アルミニウム溶液を用いる。
一般式
Al(OH)nCl3-n
但し、2.20≦n≦2.55
ここで、nが2.20未満の塩化アルミニウムでは、後述する様に、低濃度塩化アルミニウム溶液成分に加熱処理を施しても、低濃度塩化アルミニウム溶液を濃縮して得た濃縮塩化アルミニウム溶液の粘度低下の効果が少ない。他方、nが2.55を超える塩化アルミニウムは、この塩化アルミニウムを塩酸とアルミニウム金属粉との溶解反応によって製造する際に、塩酸とアルミニウム金属粉との反応性が低下する。
かかる塩化アルミニウムのうち、nが2.22〜2.53、特に2.4〜2.52の範囲の塩化アルミニウムは、後述する低濃度塩化アルミニウム溶液に加熱処理を施すことによって、この低濃度塩化アルミニウム溶液を濃縮して得た濃縮塩化アルミニウム溶液の粘度低下の効果を更に大きくできる。
尚、本発明で用いる塩化アルミニウムは、希塩酸とアルミニウム金属粉末とを溶解反応させても得ることができ、或いは濃塩酸に水酸化アルミニウムを溶解反応させた後、更にアルミニウム金属粉末を溶解しても得ることができる。
【0012】
上記一般式によって表される塩化アルミニウムと水とのみから成る塩化アルミニウム溶液は、アルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で220g/リットルとなるように濃縮したとき、濃縮した塩化アルミニウム溶液の20℃での粘度が300センチポイズ(cps)以下、好ましくは200cps以下、特に好ましくは120cps以下となるものであることが必要である。濃縮した塩化アルミニウム溶液の20℃での粘度が300cpsを超える塩化アルミニウム溶液では、紡糸用塩化アルミニウム溶液として満足し得るアルミニウム成分濃度に濃縮することは極めて困難である。
【0013】
かかる本発明に係る紡糸用塩化アルミニウム溶液は、塩化アルミニウムと水とのみから成る低濃度塩化アルミニウム溶液に加熱処理を施すことによって得ることができる。
この低濃度塩化アルミニウム溶液としては、保存中に粘度上昇が実質的に発生することのないアルミニウム成分濃度、すなわちアルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で190g/リットル未満[好ましくはアルミニウム(Al)換算で170g/リットル以下]の低濃度塩化アルミニウム溶液を用いる。
また、加熱処理条件としては、100℃以上(更に好ましくは110℃以上)の温度で1時間以上の加熱処理条件を採用することが好ましく、特に110〜160℃で1〜12時間の加熱処理条件を採用することが好ましい。この加熱処理では、加熱温度が低温であるほど加熱時間を長時間とし、且つ水分が蒸発等によって飛散して濃縮されないように密閉系で加熱処理を施す。
【0014】
かかる加熱処理を施した低濃度塩化アルミニウム溶液は、アルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で220g/リットルとなるように濃縮したとき、濃縮した塩化アルミニウム溶液の20℃での粘度が300cps以下となるものである。
このため、含有する水分を除去してアルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で190g/リットル以上となるように濃縮して得られる濃縮塩化アルミニウム溶液の粘度も、移送等の取り扱いが容易な粘度[20℃で300cps以下(好ましくは200cps以下、特に好ましくは120cps以下)]とすることができる。
この濃縮塩化アルミニウム溶液のアルミニウム成分濃度は、従来、紡糸用塩化アルミニウム溶液と供給していたアルミニウム成分濃度[アルミニウム(Al)換算で163g/リットル程度]よりも高濃度とすることができ、紡糸原液中のアルミウム成分濃度を高濃度とすることができる。
ここで、低濃度塩化アルミニウム溶液の濃縮は、溶液を可及的に加熱することなく水分を除去し得る減圧濃縮法によって行うことが好ましい。
【0015】
ところで、かかる濃縮塩化アルミニウム溶液を高温で放置すると、次第に粘度が高くなるが、この濃縮塩化アルミニウム溶液を30℃以下、好ましくは10℃以下の低温雰囲気下で保存することによって、従来では保存が困難であった2日間以上の長時間保存を可能とすることができる。
この様に、濃縮塩化アルミニウム溶液の2日間以上の長時間保存が可能となったことにより、大量の濃縮塩化アルミニウム溶液を予め調整しておくことが可能となる。このため、予め濃縮塩化アルミニウム溶液を大量に調整しておいた濃縮塩化アルミニウム溶液から徐々に紡糸原液を調整でき、最終的に得られるアルミナ繊維の原料ロットの差異に起因するバラツキを可及的に抑制できる。
また、濃縮塩化アルミニウム溶液の2日間以上の長時間保存が可能となったことにより、濃縮塩化アルミニウム溶液の輸送や貯蔵に用いる輸送容器や貯蔵タンク等を、従来の低濃度塩化アルミニウム溶液のものよりも小型化することができ、輸送コストや貯蔵コストの低減を図ることができる。
尚、大量に調整して保存してある濃縮塩化アルミニウム溶液を、医薬品、土壌改良剤、凝集剤等の原料として用いることができることは勿論のことである。
【0016】
【実施例】
本発明を実施例によって更に詳細に説明する。
実施例1
10%の希塩酸とアルミニウム金属粉末とを溶解反応して、先に示した塩化アルミニウムの一般式において、n=2.52の塩化アルミニウムが水に溶解された塩化アルミニウム溶液と、n=2.22の塩化アルミニウムが水に溶解された塩化アルミニウム溶液とを得た。
かかる塩化アルミニウム溶液のうち、n=2.52の塩化アルミニウムが溶解された低濃度塩化アルミニウム溶液では、アルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で163g/リットルであって、20℃での粘度が18cpsであった。また、n=2.22の塩化アルミニウムが溶解された低濃度塩化アルミニウム溶では、アルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で140g/リットルであって、20℃での粘度が13.5cpsであった。
得られた低濃度塩化アルミニウム溶液を密閉容器に入れ、下記表1に示す温度及び時間で加熱処理を行った後、アルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で220g/リットルとなるようにエバポレータによって減圧濃縮した後、2時間後の粘度(20℃)を測定した。その結果を表1に併記した。
【0017】
【表1】
Figure 0004416895
【0018】
表1から明らかな様に、加熱温度が高く且つ加熱時間が長くなるほど、得られた濃縮塩化アルミニウム溶液を低粘度とすることができる。
また、低濃度塩化アルミニウム溶液に加熱処理を施した後、アルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で220g/リットルとなるように濃縮した濃縮塩化アルミニウム溶液は、その20℃での粘度が300cps以下となり、移送等の取扱性を良好とすることができる。特に、20℃での粘度が200cps以下であるNo.2〜18及びNo.23〜36の濃縮塩化アルミニウム溶液の取扱性は、No.20〜22の濃縮塩化アルミニウム溶液よりも良好な取扱性を呈する。就中、20℃での粘度が120cps以下であるNo.5〜18の濃縮塩化アルミニウム溶液の取扱性は、他の濃縮塩化アルミニウム溶液よりも更に良好な取扱性を呈する。
一方、比較例としてのNo.1及びNo.19の加熱処理を施さなかった低濃度塩化アルミニウム溶液は、アルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で220g/リットルとなるように濃縮した濃縮塩化アルミニウム溶液は、濃縮完了してから2時間経過後の20℃での粘度が1125cps(No.1)又は2100cps(No.19)となった。この様な高粘度の濃縮塩化アルミニウム溶液では、その移送を行うことはできない。
【0019】
実施例2
表1のNo.1,13,19,30の各々で得られた、アルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で220g/リットルとなるように濃縮した濃縮塩化アルミニウム溶液を30℃の雰囲気中に保持しつつ、20℃での粘度の経時変化を測定し、その結果を図1に示す。図1において、曲線Aは表1のNo.19で得られた濃縮塩化アルミニウム溶液の粘度の経時変化を示し、曲線Bは表1のNo.1で得られた濃縮塩化アルミニウム溶液の粘度の経時変化を示す。更に、図1の曲線Cは表1のNo.30で得られた濃縮塩化アルミニウム溶液の粘度の経時変化を示し、曲線Dは表1のNo.13で得られた濃縮塩化アルミニウム溶液の粘度の経時変化を示す。
図1から明らかな様に、加熱処理を施さなかったNo.1及びNo.19の低濃度塩化アルミニウム溶液を濃縮した濃縮塩化アルミニウム溶液は、2日間経過した時点で2000cps又は4000cpsを超える高粘度に急激に上昇する。これに対し、加熱処理を施したNo.13及びNo.30の低濃度塩化アルミニウム溶液を濃縮した濃縮塩化アルミニウム溶液は、2日間経過した時点でも300cps以下の粘度とすることができる。特に、No.13で得られた濃縮塩化アルミニウム溶液は、16日間経過した時点でも300cps以下の粘度を保持できる。
【0020】
実施例3
表1のNo.13で加熱処理を施した低濃度塩化アルミニウム溶液を、アルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で230g/リットルとなるように濃縮した後、得られた濃縮塩化アルミニウム溶液を30℃の雰囲気中に保持しつつ、20℃での粘度の経時変化を測定し、その結果を図1の曲線Eに示す。
表1の曲線Eから明らかな様に、曲線Eの濃縮塩化アルミニウム溶液は、8日経過した時点でも300cps以下の粘度を保持できる。
【0021】
実施例4
表1のNo.13で得られた、アルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で220g/リットルとなるように濃縮した濃縮塩化アルミニウム溶液を5℃の雰囲気中に保持しつつ、20℃での粘度の経時変化を測定し、その結果を図2の曲線Gに示す。この図2には、No.13で得られた濃縮塩化アルミニウム溶液を30℃の雰囲気中に保持しつつ、20℃での粘度の経時変化を測定した結果を示す曲線Dを併記した。
また、表1のNo.30で得られた、アルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で220g/リットルとなるように濃縮した濃縮塩化アルミニウム溶液を5℃又は50℃の雰囲気中に保持しつつ、20℃での粘度の経時変化を測定し、その結果を図2の曲線F、Hに示す。曲線F、Hのうち、曲線Fは濃縮塩化アルミニウム溶液を保持する雰囲気温度が5℃のものであり、曲線Hは濃縮塩化アルミニウム溶液を保持する雰囲気温度が50℃のものである。
図2に示す曲線Dと曲線Gとの比較、及び曲線Hと曲線Fとの比較では、濃縮塩化アルミニウム溶液を保存する雰囲気温度が低温である程、濃縮塩化アルミニウム溶液の粘度の経時変化を小さくできる。
かかる濃縮塩化アルミニウム溶液を保存する雰囲気温度が30℃以下である曲線D,G,Fでは、16日間経過しても,濃縮塩化アルミニウム溶液の粘度が200cpsを超えることがない。特に、濃縮塩化アルミニウム溶液を保存する雰囲気温度が5℃以下である曲線Gの濃縮塩化アルミニウム溶液では、16日間経過しても,濃縮塩化アルミニウム溶液の粘度が殆ど上昇していない。
【0022】
実施例5
濃塩酸と水酸化アルミニウムとを溶解反応して得た塩化アルミニウム溶液に、アルミニウム金属粉末とを溶解して、下記表2に示すnの塩化アルミニウムが水に溶解された低濃度塩化アルミニウム溶液を得た。この低濃度塩化アルミニウム溶液は、アルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で140〜163g/リットルであり、20℃での粘度は13〜18cpsであった。
得られた低濃度塩化アルミニウム溶液を密閉容器に入れ、120℃で4時間の加熱処理を行った後、アルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で220g/リットルとなるようにエバポレータによって減圧濃縮し、濃縮完了してから2時間経過後の粘度(20℃)を測定した。その結果を表2に併記した。
【表2】
Figure 0004416895
表2から明らかな様に、nが2.20未満であるNo.37(比較例)の濃縮塩化アルミニウム溶液の20℃での粘度は、300cpsを超えるものである。この様に、20℃での粘度が300cpsを超える濃縮塩化アルミニウム溶液は、移送等の取扱性が劣るものである。
これに対し、nが2.20〜2.55の範囲内にある、No.38及びNo.39の濃縮塩化アルミニウム溶液の20℃での粘度は、いずれも300cps以下となるものである。この様に、20℃での粘度が300cps以下の濃縮塩化アルミニウム溶液は、移送等の取扱性が良好なものである。
【0023】
【発明の効果】
本発明に係る紡糸用塩化アルミニウム溶液によれば、紡糸原液中のアルミニウム成分の濃度を、従来の紡糸用塩化アルミニウム溶液に比較して高濃度とすることができ、緻密な構造のアルミナ繊維が得られることが期待できる。
また、従来の塩化アルミニウム溶液よりもアルミニウム成分が濃縮された濃縮塩化アルミニウム溶液として輸送及び貯蔵することができ、塩化アルミニウム溶液の輸送コスト及び貯蔵コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】濃縮塩化アルミニウム溶液を30℃の雰囲気下で保存したとき、濃縮塩化アルミニウム溶液の粘度の経時変化を測定した結果を示すグラフである。
【図2】濃縮塩化アルミニウム溶液を5℃、30℃、50℃の雰囲気下で保存したとき、濃縮塩化アルミニウム溶液の粘度の経時変化を測定した結果を示すグラフである。

Claims (9)

  1. 下記一般式で表される塩化アルミニウムと水とのみから成る塩化アルミニウム溶液に加熱処理を施して得られた紡糸用塩化アルミニウム溶液であって、
    該塩化アルミニウム溶液中のアルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で220g/リットルとなるように、前記塩化アルミニウム溶液を濃縮したとき、濃縮した塩化アルミニウム溶液の20℃での粘度が300センチポイズ(cps)以下であることを特徴とする塩化アルミニウム溶液。
    一般式
    Al(OH)nCl3-n
    但し、2.20≦n≦2.55
  2. 濃縮した塩化アルミニウム溶液の20℃での粘度が、200センチポイズ(cps)以下である請求項1記載の紡糸用塩化アルミニウム溶液。
  3. 下記一般式で表される塩化アルミニウムと水とのみから成る紡糸用塩化アルミニウム溶液を製造する際に、
    該塩化アルミニウム溶液中のアルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で190g/リットル未満の低濃度塩化アルミニウム溶液を得た後、
    前記低濃度塩化アルミニウム溶液を、アルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で220g/リットルに濃縮した塩化アルミニウム溶液としたとき、濃縮した塩化アルミニウム溶液の20℃での粘度が300センチポイズ(cps)以下となるように、前記低濃度塩化アルミニウム溶液に加熱処理を施すことを特徴とする紡糸用塩化アルミニウム溶液の製造方法。
    一般式
    Al(OH) n Cl 3-n
    但し、2.20≦n≦2.55
  4. 低濃度塩化アルミニウム溶液のアルミニウム成分を、アルミニウム(Al)換算で170g/リットル以下とする請求項3記載の紡糸用塩化アルミニウム溶液の製造方法。
  5. 加熱処理条件を、100℃以上の温度で1時間以上の加熱処理条件とする請求項3又は請求項4記載の紡糸用塩化アルミニウム溶液の製造方法。
  6. 加熱処理条件を、110℃以上の温度で1時間以上の加熱処理条件とする請求項又は請求項記載の紡糸用塩化アルミニウム溶液の製造方法。
  7. 下記一般式に示す塩化アルミニウムと水とのみから成る塩化アルミニウム溶液を保存する際に、
    該溶液中のアルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で190g/リットル未満であって、前記アルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で220g/リットルに濃縮したとき、濃縮した塩化アルミニウム溶液の20℃での粘度が300センチポイズ(cps)以下とし得る低濃度塩化アルミニウム溶液を、アルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で190g/リットル以上に濃縮し、20℃での粘度が300センチポイズ(cps)以下の濃縮塩化アルミニウム溶液を得、
    次いで、前記濃縮塩化アルミニウム溶液を30℃以下の保存温度で保存することを特徴とする濃縮塩化アルミニウム溶液の保存方法
    一般式
    Al(OH) n Cl 3-n
    但し、2.20≦n≦2.55
  8. 低濃度塩化アルミニウム溶液として、アルミニウム成分がアルミニウム(Al)換算で220g/リットルに濃縮したとき、濃縮した塩化アルミニウム溶液の20℃での粘度が300センチポイズ(cps)以下となるように、加熱処理を施した低濃度塩化アルミニウム溶液を用いる請求項7記載の濃縮塩化アルミニウム溶液の保存方法。
  9. 保存温度を、10℃以下とする請求項記載の濃縮塩化アルミニウム溶液の保存方法。
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