JP4416153B2 - 体積ホログラム - Google Patents

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    • G03H2210/303D object

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、体積ホログラムに関するものであり、特に、グラフィックやセキュリティ等に使用される視認性の高い体積ホログラムとその作製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、第1ホログラム及び第2ホログラムの2段階によりイメージ型ホログラムを記録する体積ホログラムの撮影方法において、第1段階のホログラムの記録には、物体照明光を物体の前方から照射し、その物体により拡散反射された物体光と参照光との干渉縞を第1ホログラムとして記録を行うことが知られている(特許文献1)。
【0003】
このような従来の2光束による第1ホログラムの撮影光学系を図5(a)に示す。図5(a)のように、ホログラム記録する物体1に対して、不図示のレーザーから出射された物体照明光3を照射し、物体3からの反射拡散光5と物体照明光3と共通のレーザーから出射され光を平行光にした参照光4との干渉縞を、ホログラム記録材料(第1ホログラム)2に記録する。
【0004】
また、従来の第1ホログラムの1光束による撮影光学系の例を図5(b)に示す(デニシュークタイプ)。図5(b)のように、不図示のレーザーから出射された光を平行光にした参照光4と、その参照光4がホログラム記録材料2を透過し、ホログラム記録する物体1により拡散反射された物体光5との干渉縞を、ホログラム記録材料2に記録する。
【0005】
このような従来の作製方法によるホログラムの記録では、ホログラム記録物体を外部から照明し、その照明光の物体からの拡散反射光を物体光としてホログラムに記録しているため、照明ムラによる拡散光ムラや影を伴う物体像として記録され、観察方向によって明るさムラや影のない再生像を得ることはできなかった。
【0006】
特に、ホログラムの奥行き方向に大きさを持つ物体のホログラム記録を行う場合、物体照明光によりその物体に影が生じ、その影を伴った物体像がホログラムに記録されてしまう。物体に対して物体照明光を周囲から照射することにより影を消す方法(特許文献2)もあるが、完全に影を消すことはできない。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−110751号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平9−319289号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来、体積ホログラムの記録には、物体照明光を物体の前方あるいは周囲から照射し、その物体からの拡散反射光を物体光としてホログラムに記録しているため、観察方向によって明るさムラや影のない再生像を得ることはできず、優れた意匠性を持つホログラムは得られなかった。
【0010】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、観察方向によっても明るさムラや影のない再生像を得ることができ、視認性、意匠性の高い体積ホログラムを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の体積ホログラムは、透過型又は反射型の体積ホログラムであって、該体積ホログラムから再生される再生像がホログラム記録面を横切ってその奥側及び手前側に連続した3次元物体像として再生され、その再生される3次元物体像が奥行き側及び手前側に連続する3次元物体像であって、少なくともその一部が拡散面を持つ3次元物体像であることを特徴とするものである。
【0012】
この場合に、再生される3次元物体像が奥行き側及び手前側に10mm以上の大きさの連続する3次元物体像であることが望ましい。
【0013】
また、再生像として再生される3次元物体像の一部が発光点あるいは発光面として観察される再生像とすることができる。
【0014】
また、再生像として再生される3次元物体像に影が生じていない再生像とすることができる。
【0015】
本発明の体積ホログラムの作製方法は、第1ホログラム及び第2ホログラムの2段階によりイメージ型ホログラムを記録する体積ホログラムの撮影方法において、任意の3次元形状の導光体からなり、その導光体の少なくとも一部が拡散面として構成されている拡散透明体を物体として配置し、前記第1ホログラムの第1記録面に対して前記物体の後面より物体照明光を導入して前記導光体の拡散面でその外側へ拡散された拡散光を物体光とし、該物体光と第1参照光との干渉縞を前記第1ホログラムの記録面で記録するステップと、前記第1ホログラムに前記第1参照光と共役な再生照明光を入射させ、その再生像の結像位置近傍に前記第2ホログラムの記録面を配置し、該再生像と第2参照光との干渉縞を前記第2ホログラムの記録面記録するステップとを備えていることを特徴とする方法である。
【0016】
この場合、第1ホログラムの記録面に対して物体の後面より物体照明光を導入してその導光体の拡散面でその外側へ拡散された拡散光を物体光とし、その物体光と第1参照光との干渉縞を第1ホログラムの記録面で記録することにより、第1ホログラムに記録される物体に影が生じないようにすることができる。
【0017】
また、第1ホログラムの記録面に対して物体の後面より物体照明光を導入して導光体の拡散面でその外側へ拡散された拡散光を物体光とし、その物体光と第1参照光との干渉縞を第1ホログラムの記録面で記録することにより、第2ホログラムに記録される物体の再生像の一部が発光点あるいは発光面として観察されるようにすることができる。
【0018】
本発明においては、体積ホログラムから再生される再生像がホログラム記録面を横切ってその奥側及び手前側に連続した3次元物体像として再生され、その再生される3次元物体像が奥行き側及び手前側に連続する3次元物体像であって、少なくともその一部が拡散面を持つ3次元物体像であるので、観察方向によっても明るさムラや影のない再生像を得ることができ、視認性、意匠性の高い体積ホログラムが得られる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の体積ホログラム及びその作製方法を実施例に基づいて説明する。
【0020】
本発明の1実施例における第1ホログラム撮影光学系を図1に示す。
【0021】
本発明の最も大きな特徴は、ホログラム記録する物体として、最終的な体積ホログラムから再生される場合に、ホログラム記録面を横切ってその奥行き側及び手前側に連続した3次元物体像として記録され、かつ、3次元物体像として再生される3次元物体が導光体で形成され、その導光体の少なくとも一部が拡散面として構成され、その導光体の一部から物体照明光が導入され、導光体の拡散面で外側へ拡散された拡散光を物体光として、参照光と干渉させて記録することである。
【0022】
このような3次元物体を上記のようにして記録した体積ホログラムは、従来のような観察方向によっては明るさムラや影がある再生像とはならず、優れた意匠性を持つものとなり、特に意匠性、視認性の高いものとなり、グラフィックやセキュリティ等に適したものとなる。
【0023】
図1において、第1ホログラム(ホログラム記録材料)2の前方に、3次元物体としてこの例では表面が透過拡散面となっている棒状の透明物体1’を、記録面に対して交差する方向に位置するように配置し、その棒状の透明物体1’の後端より不図示のレーザーから出射された物体照明光3を入射させる。物体1’は透明物体であるので、その後端より入射された物体照明光3は物体1’内で導光され表面の透過拡散面に達し、拡散光として透明物体1’外に出る。この拡散光を物体光5とし、その物体光5と第1参照光4との干渉縞を、第1ホログラム2の記録面で記録する。
【0024】
ホログラム記録を行う透明物体1’としては、上記のように、導光体で形成され、その少なくとも一部が拡散面として構成された3次元物体であるが、例えば、ガラス、アクリル等の透明物体の表面を研磨等の処理を行い、光を拡散するようにしたもの、研磨等の処理を部分的に行うことによって、部分的に光を拡散するようにしたもの、また、塗装により光を拡散するようにしたもの、また、テープ等を表面に巻くことにより光を拡散するようにしたものが使用できる。また、透明樹脂の中に、光を拡散又は散乱するような物体を混入したものも使用できる。図3に、これら透明物体1’の例を示す。図3(a)は表面を拡散処理した透明物体、図3(b)は表面を部分的に拡散処理した透明物体、図3(c)は拡散物体を内部に封入した透明物体、図3(d)は表面を螺旋状に拡散処理した透明物体である。図3(a)〜(d)においては、透明物体は何れも棒状の透明物体としたが、他の3次元形状の透明物体でももちろんよい。
【0025】
また、上記のような拡散性の透明物体は、ホログラム2に記録するときのホログラム記録面に対して奥行き方向の寸法は、10mm以下の長さのものでも意匠性を持つホログラムを作製できるが、より高い意匠性を体積ホログラムに与えるためには、10mm以上の長さを持つことが望ましい。
【0026】
本実施例における第2ホログラム撮影光学系を図2に示す。第2ホログラム(体積ホログラム記録材料)9の記録面に対して、不図示の共通のレーザーから出射された第1ホログラム記録時の参照光4と共役である再生照明光6を第1ホログラム2に入射させ、第2ホログラム記録の物体光となる第1ホログラム2からの棒状の拡散透明物体1’の再生像8と、不図示の再生照明光6と共通のレーザーから出射された第2ホログラム9の参照光7との干渉縞を、第2ホログラム9の記録面で記録する。
【0027】
このようにして記録した本実施例の体積ホログラム9は、図4(a)に示すように、1つのホログラム再生光源111 により再生を行う場合、1つの再生像10を得ることができる。また、図4(b)に示すように、2つ以上のホログラム再生光源111 、112 により再生を行う場合には、再生像は再生光源の位置に応じて異なる位置に像再生を行うので、2つ以上の再生像10、10’を得ることができ、複数個の再生光源によりホログラムの再生を行った場合にも、高い意匠性を得ることが可能である。しかも、この場合、体積ホログラム9の記録面を横切ってその奥行き側と手前側に再生像10、10’が位置するように再生され、かつ、2つ以上の再生像10、10’は体積ホログラム9の記録面では同じ位置に存在することになるので、1つの再生光源111 の位置の移動、例えば回転移動する場合には、その移動に伴って再生像10も例えば歳差運動をするように動くことになる。
【0028】
なお、本実施例では、1つの拡散透明物体を使用してホログラムに記録を行ったが、複数個の拡散透明物体を使用してホログラムに記録することにより、意匠性をより高めることが可能である。
【0029】
以下に、本発明による体積ホログラムとその作製方法の具体例について説明する。図1の配置において、ホログラム記録物体1’には、直径が5mmで、長さが100mmの円筒棒状のアクリル表面を拡散処理したものを使用した。図1中の符号2のホログラム記録感光材として、銀塩感光材料(コニカ社製P−5600)を使用し、レーザー光源としては、コヒーレント社Vredi(波長532nm)を使用し、撮影後の現像処理には、現像液としてGP−8、停止液として酢酸、定着液としてスーパーフジフィックス、漂白液としてPBQ−2を使用した。
【0030】
また、ホログラム感光材料2としては、その他の銀塩感材、フォトポリマー、重クロム酸ゼラチン等種々の感光材料を用いることができ、特に、マスターホログラムとして用いる場合には、感度の良いものの方が作業性や振動の影響を受け難いという点で好ましい。
【0031】
また、ホログラム記録物体1’は10mm以上の長さを有することが、意匠性の面から好ましい。
【0032】
次に、本発明による体積ホログラムである第2ホログラムの撮影を行うための図2の配置において、図2中の符号9の体積ホログラム記録感光材料に、DuPont社製フォトポリマー(Omnidex700x−283)を使用した。レーザー光源は、コヒーレント社Vredi(波長532nm)を使用し、露光後にUV1J、及び、ベイク120℃2時間の処理を行った。
【0033】
図1で作製したマスターホログラム2を用いて、図2に示す第2段階の方法で、フォトポリマーによるイメージ型ホログラムを作製したところ、意匠性の高いホログラムが作製できた。
【0034】
なお、本発明により、棒状等の拡散透明物体(図3の例等)の一部から物体照明光を導入してその拡散面で外側へ拡散された拡散光を物体光としてその拡散透明物体のホログラム記録を行うと、拡散透明物体内で導光された光が一部の拡散面あるいは透過面から拡散透明物体外へ強く射出する(棒状体の場合は、物体照明光導入端と反対の端面)。そのため、このような拡散透明物体の再生像は、その一部の拡散面あるいは透過面が点発光又は面発光するように観察されることになり、より視認性の高いものとなる。
【0035】
また、このような記録方法をとった本発明による体積ホログラムからの再生像には影が生じない。再生像に影が生じないと、複数のホログラムを重ねるか多重記録して複数の再生像を同時に再生するときに、影の方向が再生像毎に異なることによる違和感が生じない効果も得られる。
【0036】
以上、本発明の体積ホログラム及びその作製方法を実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の体積ホログラム及びその作製方法によると、体積ホログラムから再生される再生像がホログラム記録面を横切ってその奥側及び手前側に連続した3次元物体像として再生され、その再生される3次元物体像が奥行き側及び手前側に連続する3次元物体像であって、少なくともその一部が拡散面を持つ3次元物体像であるので、観察方向によっても明るさムラや影のない再生像を得ることができ、視認性、意匠性の高い体積ホログラムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例の第1ホログラム記録光学系を示す図である。
【図2】本発明の1実施例の第2ホログラム記録光学系を示す図である。
【図3】本発明の1実施例のホログラム記録物体である拡散透明物体の例を示す図である。
【図4】本発明の1実施例の体積ホログラムの再生光源とホログラム再生像の関係を示す図である。
【図5】従来の第1ホログラム記録光学系を示す図である。
【符号の説明】
1…ホログラム記録物体
1’…ホログラム記録物体(拡散透明物体)
2…ホログラム記録材料(第1ホログラム)
3…物体照明光
4、7…参照光
5…物体光
6…第1ホログラム再生照明光
8…第1ホログラム再生像
9…体積ホログラム記録材料(第2ホログラム)
10、10’…再生像
111 、112 …ホログラム再生光源

Claims (3)

  1. 透過型又は反射型の体積ホログラムであって、該体積ホログラムから再生される再生像がホログラム記録面を横切ってその奥側及び手前側に連続した3次元物体像として再生され、その再生される3次元物体像が奥行き側及び手前側に連続する3次元物体像であって、少なくともその一部が拡散面を持つ3次元物体像であり、前記3次元物体像は、少なくとも一部が拡散面として構成されている3次元形状の導光体の後面より物体照明光を導入して前記拡散面でその外側へ拡散された拡散光を物体光とし、参照光との干渉縞として記録されたものであり、前記導光体にその外部からの光が当たって前記導光体自身によって形成される影が生じていない3次元物体像であることを特徴とする体積ホログラム。
  2. 前記再生される3次元物体像が奥行き側及び手前側に10mm以上の大きさの連続する3次元物体像であることを特徴とする請求項1記載の体積ホログラム。
  3. 前記再生像として再生される3次元物体像の拡散面の一部又は透過面の一部が強い発光点あるいは発光面として観察される再生像であることを特徴とする請求項1又は2記載の体積ホログラム。
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