JP4416064B2 - ガスタービンロータ内の熱媒体冷却移送管用のブシュ保持装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術の分野】
本発明は、ロータのリム内とその近辺に軸方向に延在する供給管と戻り管内を流れる熱媒体によって冷却される回転構成部を有するガスタービンに関し、特に、熱媒体導管の周囲のブシュを軸方向変位に対して保持する保持リング（止め輪）に関する。
【０００２】
【発明の技術的背景】
本願出願人の先進ガスタービン設計では、冷却用閉回路が設けられ、熱媒体例えば冷却用蒸気をロータのリムに沿ってほぼ軸方向にタービンバケットに供給してバケットを冷却し、また使用済み熱媒体を逆向きにほぼ軸方向に戻してロータから、例えば、複合サイクル装置の蒸気タービンに流す。一般に、この設計では、冷却蒸気は軸方向ボアチューブアセンブリと、半径方向外方延在管と、ホイールとスペーサのリムに沿う複数の軸方向延在管とを経てバケットに供給される。使用済み冷却蒸気はバケットから別の軸方向延在戻り管と、半径方向内方延在管と、ボアチューブアセンブリの中央ボアとを経て戻される。ロータリム近辺の軸方向延在供給管及び戻り管は後端が固定されており、タービン始動時にホイールとスペーサ内の管支承ブシュに対して軸方向に熱膨張する。タービン停止時には、管は軸方向に熱収縮する。管の軸方向熱膨張の結果としての蒸気管ブシュの変位を防止しそして非常に大きな横方向高遠心力場でブシュ保持機能を果たす能力を有するブシュ保持装置の必要が生じている。
【０００３】
【発明の概要】
本発明の好ましい実施形態によれば、タービン運転中ブシュの軸方向変位を防止しそして高遠心力場で作用し得るブシュ保持装置が設けられる。各ブシュは蒸気送給管と蒸気戻り管を受入れるホイールとスペーサの貫通開口内に形成された深座ぐり内に配置された環状部材からなることを認識されたい。ブシュの内径はホイールとスペーサとを貫通している開口の直径より小さく、ブシュの内面は管に形成したランドと係合して開口内の管を支持する。ブシュの一軸方向面は深座ぐりの肩又は基部と係合し、ブシュの該面側への軸方向移動を防止する。
【０００４】
ブシュの逆向きの軸方向移動を阻止するために、本保持装置には保持リングが含まれ、ブシュの隣接面を越える軸方向位置における深座ぐりの環状溝内に支承される。保持リングは割りリング、すなわち、リングの外径を減らしてリングを溝内に配置することを可能にするように相隔たる端で終わっている周方向範囲を有するリングである。リングは、ひとたび配置されると、深座ぐりの半径方向内方に突出してブシュを止める手段として役立ち、ブシュの軸方向変位を防止する。管のランドは、さもなければリングを溝から外すおそれのある高遠心力場においてリングを支持する。詳しくは、複数の周方向に相隔たるタブが各リングの内径から半径方向内方に突出しており、好ましくは、管のランドと係合する弧状面を有する。従って、各リングは、強い遠心力にもかかわらず、溝内に十分留まって、ブシュの変位を防止する機能を維持する。さらに、リングの半径方向幅は、周方向にリングの両端に向かって減少している。これにより、リングの両端における開口内に挿入した工具を用いてリングの直径を容易に減らすことができるので、その後リングを溝内で拡大して装着することができる。
【０００５】
本発明による好ましい実施形態では、ガスタービン内にブシュ保持装置が設けられ、このブシュ保持装置はガスタービンロータを含み、このロータは複数の軸方向に整合したホイール及びスペーサと、ホイールとスペーサを貫通している複数の軸方向に整合した開口とを有し、ホイールとスペーサの一つが前記開口内に深座ぐりを有し、また本保持装置は、熱媒体を流すためにロータの周囲の周方向に相隔たる位置でホイールとスペーサの前記開口を貫通している複数の管を含み、各深座ぐりはその周沿いに半径方向延在溝を有し、また本保持装置は、前記一つのホイールとスペーサの各深座ぐり内にあってその中の管を支持するブシュと、各深座ぐり溝内に存し、ブシュの一軸方向の移動を防止するのに十分半径方向内方に突出している保持リングとを含み、各リングは、リングの外径を減らしてリングを溝内に配置することを可能にするように相隔たる端で終わっている周方向範囲を有し、各保持リングは複数の半径方向内向きタブを有し、これらのタブは、リングがロータの回転時にかなりの遠心力を受ける時、管と係合してリングを溝内に保ちそしてブシュの一軸方向の変位を防止する。
【０００６】
【発明の実施の形態】
図１には、総体的にＲで示したガスタービンロータの総体的に１０で示したタービン部が例示されている。ロータＲは、本例では、ホイール１２、１４、１６、１８によって代表される複数段を含み、ホイール１２、１４、１６、１８はそれぞれ複数の周方向に相隔たるバケット又は動翼２０、２２、２４、２６を担持しており、スペーサ２８、３０、３２と交互に配置されている。スペーサ２８、３０、３２の外側リムはそれぞれ複数の静翼又はノズル３４、３６、３８と半径方向に整合しており、第１組のノズル（図示せず）がバケット２０の前方に存在する。従って、４段タービンが少なくとも部分的に例示されており、第１段はノズル（図示せず）とバケット２０、第２段はノズル３４とバケット２２、第３段はノズル３６とバケット２４、第４段すなわち本例における最終段はノズル３８とバケット２６を含むことを認識されたい。より少数又は多数の段を設けることも可能である。従来のように、ロータホイールとスペーサは、ホイールとスペーサにおける整合開口を貫通している複数の周方向離間ボルト４０によって互いに固定されている。ノズルとバケットはタービン部の高温ガス通路内に存在しそして高温燃焼ガスのエネルギーがバケットに与えられてロータを回すということを認識されたい。
【０００７】
最初の２段のバケット２０、２２の列の少なくとも一方又は両方にバケット冷却用の熱媒体が送給され、熱媒体は好ましくは冷却用蒸気である。この冷却蒸気は、整合したホイールとスペーサをロータのリム近辺で軸方向に貫通している複数の周方向離間管で供給される。複数の周方向離間戻り管がロータのリム近辺に軸方向に延在し、使用済み冷却蒸気を冷却されたバケットからボアチューブアセンブリ（図示せず）に戻す。図１では１本の戻り管４２だけを例示してあるが、供給管と残りの戻り管は実質的に同様である。本発明の保持装置は供給管と戻り管に等しく適用し得るものであり、以後この装置を図示の戻り管４２に関して説明する。各管には細長い薄肉スリーブ４４が含まれ、それに沿う複数の軸方向離間位置に隆起ランド４６を有し、これらのランドは、整合したホイールとスペーサの貫通孔の対置端近辺に担持されたブシュと係合する。開示した特定の実施形態では、１対のブシュ４８、５０が１−２スペーサ２８の後面の深座ぐり内とホイール１４の前面の深座ぐり内に配置されている。例示したブシュの後方のホイールとスペーサのブシュは、本発明の一部分を構成しない他の手段によって保持されているが、ブシュを用いた箇所では本保持装置を利用し得ることを認識されたい。
【０００８】
図２には、スペーサ２８の後面の深座ぐり５４内に配置された最前ブシュ４８と、戻り管４２の前端を受入れるスペーサ２８の貫通開口５６が示されている。また、スプーリ５８が管４２の前端と接続した状態で示されており、戻り蒸気を第１段と第２段のバケットから戻り管４２内に導く。
【０００９】
図２に示したように、ブシュ４８は、その環状前面で、深座ぐり５４の基部を形成している肩６０に当接している。ブシュ４８の後方変位を阻止するために、保持リング６２が設けられ、ブシュ４８の後方への軸方向移動を実質的に防止する。保持リング６２は、ブシュ４８の後端面のすぐ近くの深座ぐり５４内の位置に形成された環状溝６４内に配置されている。保持リング６２が溝６４内に配置されそしてブシュの後端面と軸方向に整合して半径方向内方に突出している状態で、ブシュが軸方向移動を起こさないように保持される。
【００１０】
図３〜図５について説明すると、保持リング６２は、接近して相隔たる周方向対置端６６で終わっている周方向範囲を有する割りリングからなる。図３からわかるように、（後述のタブ６９を除く）リング６２の半径方向幅は、中央位置６５から相反する方向にリングに沿ってリングの両端６６に向かって減少している。詳述すると、リングの内径６８は両端６６に向かって増加しているので、リングの半径方向の最大厚さは両端６６からほぼ１８０度離れた位置にありそして最小厚さは両端６６の近くにある。
【００１１】
リング６２が管のランドによって支持されるように、複数の周方向に相隔たる半径方向内向きタブ６９がリングの内面に沿って設けられている。タブ６９の内面７０は、好ましくは、リングの一定内径上に配置され、好ましくは湾曲形又は弧状で、管ランドの曲率に対応している。従って、タブ６９の面７０とリングの外径との間の距離ｘ（図３）は実質的に同じである。
【００１２】
この構造の結果として、リング両端６６の図示した開口７１に適当な工具を係合させてリングの外径を減らすことができ、こうしてリングを溝６４内に挿入してブシュの軸方向変位を阻止することができる。ロータが高遠心力場で作用し、従って各リングが強い遠心力を受ける時、タブ６９が関連管のランドと係合する。従って、リングは管のランドにより支持されて溝６４内に保持される。加えて、タブは半径方向上方に突出しているので、保持リングは溝の周沿いのリングの全方位において溝内に保持される。すなわち、リングはある力を受ける時溝内で回転し得るが、溝内のリングの円方位は、リングが深座ぐり内のブシュを保持し得ることと、溝６４内に保持され得ることに影響を与えない。
【００１３】
以上、本発明の最も好ましい実施形態と考えられるものについて説明したが、本発明は開示した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で様々な改変と均等な構成が可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明による軸方向保持装置を有するガスタービンロータのタービン部の一部分の断片断面図である。
【図２】本発明の軸方向保持装置の好ましい実施形態を示す断片断面図である。
【図３】上記軸方向保持装置の一部分を構成する保持リングの端面図である。
【図４】図３の線４−４にほぼ沿う保持リングの断面図である。
【図５】図３の保持リングの斜視図である。
【符号の説明】
Ｒ ガスタービンロータ
１２、１４、１６、１８ ホイール
２８、３０、３２ スペーサ
４２ 戻り管
４６ ランド
４８、５０ ブシュ
５４ 深座ぐり
５６ 開口
６２ 保持リング
６４ 環状溝
６６ リング端
６９ タブ
７０ タブ内面

Claims (7)

1. ガスタービンエンジン内のブシュ保持装置であって、当該装置が、
   複数の軸方向に整合したホイール（１２、１４、１６、１８）とスペーサ（２８、３０、３２）及び前記ホイールと前記スペーサを貫通している複数の軸方向に整合した開口（５６）を有し、前記ホイール及びスペーサの一つが前記開口内に深座ぐり（５４）を有するガスタービンロータ（Ｒ）、及び
   熱媒体を流すために前記ロータの周囲の周方向に相隔たる位置で前記ホイールと前記スペーサの前記開口を貫通している複数の管（４２）を含み、
   前記深座ぐりの各々がその周沿いに半径方向延在溝（６４）を有しており、
   また、前記一つのホイールとスペーサの各深座ぐり内にあってその中の前記管を支持するブシュ（４８）、及び
   各深座ぐり溝内に存し、前記ブシュの一軸方向の移動を防止するのに十分半径方向内方に突出している保持リング（６２）であって、各リングは、それを前記溝内に配置するために該リングの外径を減らすことを可能にするように相隔たる端（６６）で終わっている周方向範囲を有するような保持リング（６２）を含んでいて、
   前記リングは複数の半径方向内向きタブ（６９）を有し、これらのタブは前記リングが前記ロータの回転時にかなりの遠心力を受ける時前記管と係合して前記リングを前記溝内に保ちそして前記ブシュの前記一軸方向の変位を防止する、ガスタービンエンジン内のブシュ保持装置。
2. 前記タブは、前記管の曲率に実質的に対応する弧状の半径方向内向き面（７０）を有する、請求項１記載の装置。
3. 各リングは、その周沿いに前記タブ間において前記リング端に向かって増加している内径を有する、請求項１記載の装置。
4. 前記タブの半径方向内向き面と、各タブ位置における前記リングの外径との間の距離（ｘ）が実質的に同じである請求項３記載の装置。
5. 前記タブ（６９）は前記リングの周沿いに周方向に相隔たり、前記リングは前記タブ間において前記リングの両端に向かって減少している半径方向厚さを有する、請求項１記載の装置。
6. 前記タブの半径方向内向き面と、各タブ位置における前記リングの外径との間の距離が実質的に同じである請求項５記載の装置。
7. 前記タブは、前記管の曲率に実質的に対応する弧状の半径方向内向き面を有する、請求項６記載の装置。

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