JP4415487B2 - 洗濯乾燥機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転中心軸を鉛直方向に有する内槽内に温風を送風して衣類を乾燥させる行程を有し、洗濯から乾燥までを一貫して実施できる洗濯乾燥機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の洗濯乾燥機は、筐体内に弾性的に吊支した外槽内に、回転中心軸を鉛直方向に有する内槽を回転自在に支持し、内槽の内底部に回転翼を回転自在に設け、洗い行程、すすぎ行程では、回転翼を回転して内槽内で洗濯物および乾燥対象物(以下、衣類という)を洗い、すすぎするとともに、脱水行程では、内槽を高速回転させて脱水し、脱水行程につづく乾燥行程では、加熱手段により加熱した空気を乾燥用送風機により内槽内に送風して乾燥するよう構成している。
【0003】
上記構成においてその動作を簡単に説明すると、脱水行程終了後に回転翼を回転速度130r/minで1秒オン0.5秒オフの周期で右回転と左回転とを交互に繰り返して2〜3往復させる掻き落とし行程を行い、脱水時に内槽の内壁面に遠心力によって張り付いた衣類を掻き落とすようにしている。
【0004】
つぎに、この掻き落とし行程の後に乾燥行程に入り、まず回転翼を例えば130r/minで0.5秒オン0.5秒オフの周期で右回転と左回転とを交互に繰り返して5〜10往復させるほぐし行程を行って回転翼の上に分散された衣類をランダムに入れ替えてほぐした後に、内槽を例えば200r/minで回転させながら加熱手段により加熱された温風を内槽内に数分間供給して衣類を乾燥させるようにしている。
【0005】
そして、乾燥度合いを判定し、乾燥していれば乾燥終了して送風に移るが、未乾燥であれば再度上記のほぐし行程と内槽を回転させながらの乾燥運転を繰り返すようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の洗濯乾燥機では、乾燥当初からほぐし行程で回転翼を回転させるため、衣類が湿っているため内槽内でアンバランスになりやすく、その状態で内槽を200r/minで回転させると、外槽の振れ回りが大きくなって、振動や騒音が大きくなるという問題があった。またその結果、外槽が筐体に当たるなどして異常振動を起こし、製品が移動するなどの問題があった。
【0007】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、内槽を回転させながら乾燥するとき、衣類がアンバランスであってもそれを検知して修正することにより、異常振動を起こさないで乾燥できるようにすることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、筐体内に弾性的に吊支した外槽内に、回転中心軸を鉛直方向に有する内槽を回転自在に支持し、内槽の内底部に回転翼を回転自在に設け、内槽または回転翼を駆動手段により駆動し、加熱手段により加熱された循環風を送風手段により内槽内に送風し、冷却送風手段により筐体内部に外部から冷却風を導入し、内槽内の衣類のアンバランスを検知するアンバランス検知手段の出力信号を制御手段に入力し、駆動手段、送風手段、加熱手段、冷却送風手段等の動作を制御して少なくとも乾燥行程を制御するよう構成し、制御手段は、洗い、すすぎ、脱水、乾燥の一連の行程を制御し、内槽を回転させて乾燥する乾燥行程中にアンバランス検知手段からの信号を入力して衣類のアンバランスを検知したとき、アンバランスを修正するアンバランス修正行程を行うようにし、アンバランス検知手段からの信号を入力して衣類のアンバランスを所定回数検知したときに異常報知するようにするとともに、脱水行程中もアンバランス検知手段からの信号を入力して衣類のアンバランスを検知するようにし、乾燥行程では、脱水行程で衣類のアンバランスを検知して異常報知するときの表示とは違う表示で異常報知するようにしたものである。
【0009】
これにより、内槽を回転させながら乾燥するとき、衣類がアンバランスであってもそれを検知して修正することにより、異常振動を起こさないで乾燥することができるとともに、しわの発生を抑えた乾燥を実現することができ、かつ安全性を向上することができる
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、筐体内に弾性的に吊支した外槽と、回転中心軸を鉛直方向に有し前記外槽内に回転自在に支持した内槽と、前記内槽の内底部に回転自在に設けた回転翼と、前記内槽または回転翼を駆動する駆動手段と、前記内槽内に循環風を送風する送風手段と、前記送風手段により送風される空気を加熱する加熱手段と、前記筐体内部に外部から冷却風を導入する冷却送風手段と、前記内槽内の衣類のアンバランスを検知するアンバランス検知手段と、前記アンバランス検知手段の出力信号を入力し前記駆動手段、送風手段、加熱手段、冷却送風手段等の動作を制御して少なくとも乾燥行程を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、洗い、すすぎ、脱水、乾燥の一連の行程を制御し、前記内槽を回転させて乾燥する前記乾燥行程中に前記アンバランス検知手段からの信号を入力して衣類のアンバランスを検知したとき、アンバランスを修正するアンバランス修正行程を行うようにし、前記アンバランス検知手段からの信号を入力して衣類のアンバランスを所定回数検知したときに異常報知するようにするとともに、前記脱水行程中もアンバランス検知手段からの信号を入力して衣類のアンバランスを検知するようにし、前記乾燥行程では、前記脱水行程で衣類のアンバランスを検知して異常報知するときの表示とは違う表示で異常報知するようにしたものであり、内槽を回転させながら乾燥するとき、衣類がアンバランスであってもそれを検知して修正することにより、異常振動を起こさないで乾燥することができる。また、乾燥行程中の衣類のアンバランスは衣類の重量が重い乾燥の初期に発生しやすいが、発明者らの実験によれば、この乾燥の初期に回転翼の回転稼働率を上げると、衣類がからんでしわの発生の原因になることがわかった。そこで、むやみに回転翼を回転させる修正行程を自動的に行うよりも、異常報知することにより衣類がアンバランスであることを使用者に知らせ、これを使用者に修正してもらって運転を行うようにすることにより、しわの発生を抑えた乾燥を実現することができる。さらに、脱水行程、乾燥行程のどちらにおいても、異常報知することにより使用者にアンバランスを修正してもらうが、乾燥行程では衣類や本体の各部が熱くなっており、無意識に触ると発赤や、場合によっては火傷する可能性があり不安全である。そこで、乾燥行程での衣類のアンバランス異常を脱水行程とは区別して表示することにより、衣類や本体の各部が熱くなっていることを使用者に知らせ、十分に注意して衣類のアンバランスを修正してもらうことができ、安全性を向上することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、制御手段は、アンバランス修正行程で回転翼を回転させるようにしたものであり、回転翼を回転させて内槽内の衣類を適度に移動させることによりアンバランスを解消することができ、その後に行う内槽を回転させながらの乾燥においても、異常振動を起こさないで乾燥できるようになる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2に記載の発明において、制御手段は、アンバランス修正行程における回転翼の回転を強い回転の後に弱い回転を行うようにしたものであり、一旦アンバランスになった後に、まず回転翼を強く回転させることにより衣類を大きく移動させてそれまでのアンバランスを修正するとともに、つづいて回転翼を弱く回転させることにより衣類が内槽内に均一になるようにすることができ、その後に行う内槽を回転させながらの乾燥においても、異常振動を起こさないで乾燥できるようになる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、上記請求項1〜3に記載の発明において、制御手段は、アンバランス修正行程を行った後の内槽の回転数をアンバランス修正行程前の回転数よりも低く設定したものである。これは、アンバランスになりやすい、たとえばタオル地シーツ等の大物の衣類であった場合、アンバランス修正行程を行っても内槽内に均一にすることが必ずしも期待できないので、アンバランス修正行程を行った後の内槽の回転数を低くすることにより、以後の内槽を回転させるときの外槽のふれ回りを小さくすることができ、異常振動を起こさないで乾燥できるようになる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、上記請求項1〜4に記載の発明において、制御手段は、アンバランス修正行程を行った後の内槽の回転数を振動共振点に対応した回転数よりも低く設定したものである。これは、アンバランスになりやすい、たとえばタオル地シーツ等の大物の衣類であった場合、アンバランス修正行程を行っても内槽内に均一にすることが必ずしも期待できないので、アンバランス修正行程を行った後の内槽の回転数を低くし、かつ内槽の回転により外槽のふれ周りが極大となる振動共振点に対応した回転数(たとえば、60r/min)よりも低い回転数、たとえば35r/minで回転させるようにすることにより、内槽を回転させるときの外槽のふれ回りを抑えることができ、筐体に当たることによる異常音の発生を防ぐことができる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の一実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1に示すように、筐体1は、内部に複数のサスペンション2によって外槽3を弾性的に吊支し、運転時の振動をサスペンション2によって吸収する構成としている。外槽3の内部には、回転中心軸を鉛直方向に有し、衣類(洗濯物および乾燥対象物)を収容する内槽4を回転自在に支持し、内槽4の内底部に衣類を撹拌する回転翼5を回転自在に設けている。回転翼5は、外周が傾斜面形状の鍋型に形成している。
【0017】
内槽4の内部周壁には多数の小孔(図示せず)を設け、その上方には流体バランサ6を設けている。そして、外槽3および内槽4の底部中心付近には、中空で二軸構造をしている洗濯・脱水軸7と、洗濯または脱水時により回転力の伝達を洗濯・脱水軸7に切り換えるクラッチ8を設けている。モータ(駆動手段)9は、外槽3に設け、クラッチ8を介して内槽4または回転翼5を駆動するようにしている。
【0018】
外槽3の下部から、伸縮自在の下部蛇腹状ホース10を介して循環ダクト11へと通路を構成し、循環ダクト11の出口は乾燥用送風機(送風手段)12の入口に連結している。乾燥用送風機12の出口は通路11aに連結し、この通路11a内に加熱手段であるヒータ13を設け、通路11aに伸縮自在の上部蛇腹状ホース14を連結している。上部蛇腹状ホース14は、内槽4へ向けて開口しており、内槽4は、内部周壁の小孔を通して外槽3に通じているので、これら通路は循環する経路を構成している。
【0019】
内槽4の上部には開閉自在の内蓋15を設けており、内蓋15の近傍には、伸縮自在の上部蛇腹状ホース14からつづく温風噴出孔16を開けている。冷却用送風機(冷却送風手段)17は、筐体1の側面に取り付け、筐体1の内部に外気を導入できるように構成している。排水弁18は外槽3内の水を排水するものであり、切換弁19は循環路を切り換えるものである。
【0020】
給水弁20は内槽4内に給水するものであり、水位検知手段21は外槽3内の水位を検知するものである。
【0021】
SFスイッチ(アンバランス検知手段)22は筐体1に取り付け、通常はオン状態であるが、外槽3のふれ周りが規定値以上になったときにオフするスイッチ(図示せず)を備えている。
【0022】
制御装置23は、操作表示部24により設定された設定内容に基づいて、洗い、すすぎ、脱水の各行程を有する洗濯行程とこの洗濯行程につづく乾燥行程とを制御するもので、図2に示すように構成している。
【0023】
制御手段25は、マイクロコンピュータなどで構成し、水位検知手段21、SFスイッチ22の出力を入力し、入力設定手段26により設定された設定内容に基づいて、表示手段27に設定内容を表示するとともに、双方向性サイリスタ、リレーなどで構成した負荷駆動手段28を介して、クラッチ8、モータ9、乾燥用送風機12、ヒータ13、冷却用送風機17、排水弁18、切換弁19、給水弁20などの動作を制御して洗濯および乾燥行程を制御する。29は商用電源である。
【0024】
また、回転制御手段30は制御手段25の一部でマイクロコンピュータなどで構成し、位置検出手段31からの情報に基づいて駆動回路32を介してインバータ回路33を制御することによりモータ9を回転制御するようにしている。
【0025】
モータ9は直流ブラシレスモータで、図示していないが、3相巻線を有するステータと、リング上に2極の永久磁石を配設しているロータとで構成し、ステータは3相巻線を構成する第1の巻線9a、第2の巻線9b、第3の巻線9cをスロットを設けた鉄心に巻き付けて構成している。
【0026】
インバータ回路33は、パワートランジスタ(IGBT)と逆導通ダイオードの並列回路からなるスイッチング素子で構成している。第1のスイッチング素子33aと第2のスイッチング素子33bの直列回路と、第3のスイッチング素子33cと第4のスイッチング素子33dの直列回路と、第5のスイッチング素子33eと第6のスイッチング素子33fの直列回路で構成し、各スイッチング素子の直列回路は並列接続している。
【0027】
ここで、スイッチング素子の直列回路の両端は入力端子で、直流電源を接続し、スイッチング素子の直列回路を構成する2つのスイッチング素子の接続点に、それぞれ出力端子を接続している。出力端子は、3相巻線のU端子、V端子、W端子に接続し、スイッチング素子の直列回路を構成する2つのスイッチング素子のオン・オフの組合せにより、U端子、V端子、W端子をそれぞれ正電圧、零電圧、解放の3状態にする。
【0028】
スイッチング素子のオン・オフは、ホールICからなる3つの位置検出手段31a、31b、31cからの情報に基づいて、回転制御手段29により制御される。位置検出手段31a、31b、31cは電気角で120度の間隔でロータが有する永久磁石に対向するように、ステータに配設している。
【0029】
図3に示すように、ロータが1回転する間に、3つの位置検出手段31a、31b、31cは、それぞれ図に示したようなタイミングでパルスを出力する。回転制御手段30は、図に示した矢印のタイミング(3つの位置検出手段のいずれかの信号の状態が変わったとき)を検知して、位置検出手段31a、31b、31cの信号を基に、スイッチング素子33a〜33fのオン・オフ状態を変えていくことで、U端子、V端子、W端子を正電圧、零電圧、解放の3状態にし、ステータの第1の巻線9a、第2の巻線9b、第3の巻線9cに通電して磁界を作り、ロータを回転させるものである。
【0030】
また、スイッチング素子33a、33c、33eはそれぞれパルス幅変調(PWM)制御され、たとえば、繰り返し周波数10kHzでハイ、ローの通電比を制御することで、ロータの回転数を制御するようにしてあり、回転制御手段30は、3つの位置検出手段31a、31b、31cのいずれかの信号の状態が変わるたびにその周期を検出し、その周期よりロータの回転数を算出して、設定回転数になるようにスイッチング素子33a、33c、33eをPWM制御する。
【0031】
抵抗34は電流を検知するもので、抵抗34の両端電圧でインバータ33の入力電流値を検知するものとする。商用電源29は、ダイオードブリッジ35、チョークコイル36、平滑用コンデンサ37からなる直流電源変換装置を介して、インバータ33に接続している。ただし、これは一例であり、直流ブラシレスモータ9の構成、インバータ33の構成等は、これに限定されるものではない。
【0032】
操作表示部24は、図4に示すように、水位設定スイッチ26a、洗い時間設定スイッチ26b、すすぎ回数設定スイッチ26c、脱水時間設定スイッチ26d、乾燥時間設定スイッチ26e、スタート・一時停止スイッチ26f、コース設定スイッチ26g、電源入/切スイッチ26hなどの入力設定手段26と、水位表示部27a、洗い時間表示部27b、すすぎ回数表示部27c、脱水時間表示部27d、乾燥時間表示部27e、残り時間表示部27f、コース表示部27gなどの表示手段27とで構成している。
【0033】
上記構成において動作を説明する。まず、洗濯行程について、図1を参照しながら説明する。内槽4に衣類38、洗剤などを投入して運転を開始すると、制御装置23により給水弁20を駆動し、水位検知手段21により検知した水位が所定の水位になるまで給水し、モータ9を駆動して内槽4を回転させる。このとき、排水弁18と切換弁19は閉じている。
【0034】
このことにより、内槽4内の水の外周部分は、遠心力により上昇する。これに伴い、内槽4と外槽3の間の水は外槽3の内壁に沿って上昇した後、内槽4の上部から内槽4内に散水され、循環することになる。これにより、内槽4内では洗剤を含んだ水が衣類38を通過することになり洗浄される。
【0035】
その後、排水弁18を開いて排水し、再度給水し洗濯行程と同様にして衣類をすすぐすすぎ行程を経て、脱水行程では、衣類38が入った内槽4を高速で回転させることによって生じる遠心力により、衣類38が内槽4の内壁に押しつけられることになり、この遠心力で水分が衣類38から分離されて脱水される。
【0036】
乾燥行程では、切換弁19を開いた状態で、乾燥用送風機12の送風とヒータ13の発熱により、上部蛇腹状ホース14、温風噴出孔16を通して内槽4へ乾いた温風が送り込まれる。
【0037】
このとき、衣類38は、内槽4の回転により内槽4とともに回転したり、または回転翼5の左右回転により跳ね上げられたり、その後落下したりしている状態であり、内槽4へ送り込まれた温風は、これら衣類38の動きの隙間を通るときに衣類38から水分を奪い、湿った状態で、内槽4から外槽3の内側へと出た後、下部蛇腹状ホース10を通過し、切換弁19を通過して循環ダクト11へ至る。この流れを、図1では、矢線で示している。
【0038】
湿気を含んだ温風が、外槽3の内壁や循環ダクト11内を通過しているとき、冷却用送風機17による外部空気の流入で、外槽3や循環ダクト11の外壁は冷却されることになり、湿った空気の水分はその内壁に結露し、湿った温風は除湿されて、乾燥用送風機12へと戻る。外槽3の内壁に結露した水分は、切換弁19を通過して、循環ダクト11の内壁に結露した水分とともに排水口39より適宜排出される。そして乾燥行程終了後に、乾燥用送風機12、冷却用送風機17を駆動する送風行程を行った後に終了する。
【0039】
乾燥行程における制御手段25および回転制御手段29によるモータ9の制御方法を図5を参照しながら説明する。
【0040】
図5は本発明の乾燥行程における各行程の流れを示すフローチャートであり、洗濯行程が終了して乾燥行程にはいると、まずステップ100で、洗濯行程の最後の脱水で衣類が内槽4内に張り付いているので、これをはがし、そして十分にほぐして、衣類の空気との接触面積が大きくなるようにするために布はがし行程を行う。具体的には、回転翼5を1秒オン、2秒オフの時限で、右回転、左回転を5往復行うようにする。こうすることにより、脱水時に内槽4内に張り付いていた衣類38が内槽4からはがれ、そして衣類38の布かさが増して空気との接触面積が大きくなって、以後の乾燥の進行が早くなるようにする。
【0041】
このとき、乾燥行程であるので、乾燥用送風機12の送風とヒータ13の発熱により、上部蛇腹状ホース14、温風噴出孔16を通して内槽4へ乾いた温風が送り込まれ、また冷却用送風機17も駆動されている。
【0042】
つぎに、ステップ101からステップ103までで、内槽4を回転させながら乾燥させる槽回転モードと回転翼5を回転させながら乾燥させる回転翼回転モードの時間比率の異なる第1の乾燥行程から第3の乾燥行程を行うようにしている。各行程の運転時間、槽回転の時間、回転翼回転の時間を(表1)に示す。
【0043】
【表1】
Figure 0004415487
【0044】
各行程の時間は、衣類38が定格容量の場合に最適な乾燥となるように決められており、第1の行程は96分で、回転翼回転の時間比率は約6%である。第2の行程は50分で、回転翼回転の時間比率は20%であり、第3の行程は100分で、回転翼回転の時間比率は100%であり、行程の進行とともに回転翼回転の時間比率が高くなるようにしている。
【0045】
発明者らの実験によれば、この種の洗濯乾燥機の場合、回転翼5を回転させながらの乾燥の方が、内槽4を回転させながらもしくは静止した状態での乾燥よりも乾燥時間を短縮できることがわかった。そのために乾燥初期から回転翼回転が主体の乾燥とする方法が考えられるが、そうすると衣類のからみがひどくなり、しわが発生する原因となる。
【0046】
一方、衣類の乾燥率が90%を越えると、回転翼回転を主体としても衣類のからみやしわが進行しにくいことがわかった。そこで、3つの行程を上記のように設定することにより、布からみに起因するしわの発生を低減することができ、また、上下左右に衣類を入れ替えることができ、衣類にまんべんなく温風を当てられるので、乾燥むらがなく効率よく乾燥することができるようになる。
【0047】
また、第1の行程の槽回転の時間比率は約94%である。発明者らの実験によれば、第1の行程は槽回転が主体であるが、槽回転中は衣類38は内槽4と一体となって回転しているだけであり、温風噴出孔16に近い上部の衣類38に温風が集中して衣類温度が高くなり、しわや傷みの原因になる。
【0048】
そこで周期的に、本実施例では16分毎に衣類を上下左右に入れ替えるために、1秒オン、2秒オフの強い回転翼5の回転を1往復入れるようにしている。しかし、このような衣類38を上下左右に入れ替えるためなどの回転翼5の回転時間を第1の行程で10%以上とすると、衣類38がからむことによるしわがひどくなることがわかった。
【0049】
そこで、衣類38が上下左右に入れ替えることが可能な強い回転を含む回転翼5の回転時間比率を10%未満、すなわち槽回転時間比率を90%以上とすることにより、しわの発生を抑え、乾燥むらがなく効率よく乾燥することができるようになる。
【0050】
また、第1の行程、第2の行程とも回転翼5の回転時間は60秒で、1秒オン、2秒オフの強い回転を1往復、0.3秒オン、2.7秒オフの弱い回転を9往復するようにしている。これは上記したように、槽回転が主体であっても周期的に衣類38を上下左右に入れ替えるために強い回転を行わなくてはならず、そうすると内槽4内の衣類38がアンバランスになる可能性が大きく、その状態で内槽4を回転させようとすれば、ゆれが大きくなり外槽3が筐体1などにあたり異常音が発生する。
【0051】
そこで、強い回転により衣類38がアンバランスになっても、その後に弱い回転を行うようにすることによって内槽4内の衣類38が均一になり、以後の槽回転時に外槽3のふれ回りが大きくなって筐体1などに当たることによる異常音の発生を未然に防ぐことができる。
【0052】
そして、ステップ104で、乾燥用送風機12、冷却用送風機17を駆動する送風行程を行った後に、ステップ105で乾燥を終了させる。
【0053】
図6は乾燥中に衣類がアンバランスになったときの処理を示すフローチャートであり、乾燥行程の第1の行程および第2の行程において、衣類のアンバランスが大きくなった状態で内槽4を回転させると外槽3のふれ回りが大きくなり、そのふれ周りが規定値以上になるとSFスイッチ22がオフし、これを制御手段25が入力して衣類のアンバランスを検知するようにしている。
【0054】
ステップ110およびステップ111で、内槽4を回転させながらの乾燥中にSFスイッチ22が動作したか、すなわちSFスイッチ22がオフしたかどうかを判定し、オフしたのであれば衣類38のアンバランスが発生したと見なしてステップ112へ進む。ステップ112では、オフした回数が3回目かどうかを判定し、3回目に達していなければステップ113へいって、アンバランス修正行程を行うようにしている。
【0055】
ステップ113のアンバランス修正行程では、回転翼5をまず1秒オン、2秒オフの時限で2往復(強い回転)させ、つぎに、0.3秒オン、2.7秒オフの時限で8往復(弱い回転)するようにしている。このように、回転翼5の強い回転により、アンバランス状態であった衣類38を大きく移動させてそれまでのアンバランスを修正するとともに、つづいて弱い回転により衣類38が内槽4内に均一になるようにすることができる。
【0056】
つづいて、ステップ114では、一旦アンバランス修正行程を行ったのでアンバランスの起きやすい衣類であるとみなし、以後の内槽4の槽回転回転数を35r/minに下げるようにしている。
【0057】
ステップ112で3回目のアンバランスを検知したときは、ステップ115へ進み、モータ9やヒータ13などのすべての負荷の動作を停止し、ステップ116で、たとえば表示手段27の残り時間表示部27fで「U23」と表示して異常報知を行い、衣類がアンバランスであることを使用者に知らせる。
【0058】
衣類のアンバランスは脱水中にも発生するが、脱水中にアンバランスになったことを使用者に知らせるときは「U13」と表示して、乾燥中の衣類のアンバランスと区別して異常報知するようにしている。
【0059】
このように本実施例によれば、内槽4を回転させて乾燥する乾燥行程中に衣類38のアンバランスを検知したときに、アンバランス修正行程を行った後に乾燥運転をつづけるので、槽回転しながらでも異常振動を起こさないで乾燥することができる。
【0060】
また、アンバランス修正行程で回転翼5を回転させるようにしたものであり、回転翼5を回転させて内槽4内の衣類38を適度に移動させることにより、アンバランスを解消することができ、その後に行う内槽4を回転させながらの乾燥においても異常振動を起こさないで乾燥できるようになる。
【0061】
また、アンバランス修正行程では、まず回転翼5を強く回転させることにより衣類を大きく移動させてそれまでのアンバランスを修正するとともに、つづいて回転翼5を弱く回転させることにより、衣類38が内槽4内に均一になるようにすることができ、その後に行う内槽4を回転させながらの乾燥においても異常振動を起こさないで乾燥できるようになる。
【0062】
また、アンバランス修正行程を行った後の内槽4の回転数をアンバランス修正行程前の回転数よりも低く設定することにより、以後の槽回転時に外槽3のふれ回りを小さくし、異常振動を起こさないで乾燥できるようになる。
【0063】
また、アンバランス修正行程を行った後の内槽4の回転数を振動共振点に対応した回転数(たとえば、60r/min)よりも低い回転数、たとえば35r/minで回転させるようにすることにより、槽回転時の外槽3のふれ回りを抑えることができ、筐体1に当たることによる異常音の発生を防ぐことができる。
【0064】
また、衣類38のアンバランスを所定回数検知したときに異常報知することにより、衣類38がアンバランスであることを使用者に知らせ、これを使用者に修正してもらって運転を行うようにすることにより、しわの発生を抑えた乾燥を実現することができる。
【0065】
また、乾燥行程での衣類のアンバランス異常を脱水行程とは区別して表示することにより、衣類38や本体の各部が熱くなっていることを使用者に知らしめ、十分に注意して衣類38のアンバランスを修正してもらうことができ、安全性を向上できる。
【0066】
なお、本実施例では、槽回転モードと回転翼回転モードの時間比率の異なる3つの行程で乾燥運転を制御するようにしたが、これは3行程に限らず、それ以上の行程に分けてきめ細やかに制御すればより一層の効果がある。
【0067】
また、各行程の時間や、各行程における槽回転の時間、回転翼回転の時間、槽回転の回転数、回転翼回転の時限は、本発明における一実施例であり、これらの数値に限定されるものではない。
【0068】
また、回転翼5の強い回転と弱い回転を実現する方法として、モータ9のオン時間を変えるようにしたが、これはモータ9の回転数を変えるようにしても同等の効果がある。
【0069】
また、駆動手段として直流ブラシレスモータを使用し、インバータ制御するようにしたが、これはインダクションモータであってもよい。
【0070】
また、異常報知する手段としてブザーを吹鳴させるようにしてもよい。
【0071】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に記載の発明によれば、筐体内に弾性的に吊支した外槽と、回転中心軸を鉛直方向に有し前記外槽内に回転自在に支持した内槽と、前記内槽の内底部に回転自在に設けた回転翼と、前記内槽または回転翼を駆動する駆動手段と、前記内槽内に循環風を送風する送風手段と、前記送風手段により送風される空気を加熱する加熱手段と、前記筐体内部に外部から冷却風を導入する冷却送風手段と、前記内槽内の衣類のアンバランスを検知するアンバランス検知手段と、前記アンバランス検知手段の出力信号を入力し前記駆動手段、送風手段、加熱手段、冷却送風手段等の動作を制御して少なくとも乾燥行程を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、洗い、すすぎ、脱水、乾燥の一連の行程を制御し、前記内槽を回転させて乾燥する前記乾燥行程中に前記アンバランス検知手段からの信号を入力して衣類のアンバランスを検知したとき、アンバランスを修正するアンバランス修正行程を行うようにし、前記アンバランス検知手段からの信号を入力して衣類のアンバランスを所定回数検知したときに異常報知するようにするとともに、前記脱水行程中もアンバランス検知手段からの信号を入力して衣類のアンバランスを検知するようにし、前記乾燥行程では、前記脱水行程で衣類のアンバランスを検知して異常報知するときの表示とは違う表示で異常報知するようにしたから、内槽を回転させながら乾燥するとき、衣類がアンバランスであってもそれを検知して修正することにより、異常振動を起こさないで乾燥することができ、また、衣類がアンバランスであることを使用者に知らせ、これを使用者に修正してもらって運転を行うようにすることにより、しわの発生を抑えた乾燥を実現することができ、さらに、衣類や本体の各部が熱くなっていることを使用者に知らせ、十分に注意して衣類のアンバランスを修正してもらうことができ、安全性を向上することができる。
【0072】
また、請求項2に記載の発明によれば、制御手段は、アンバランス修正行程で回転翼を回転させるようにしたから、回転翼を回転させて内槽内の衣類を適度に移動させることによりアンバランスを解消することができ、その後に行う内槽を回転させながらの乾燥においても、異常振動を起こさないで乾燥できるようになる。
【0073】
また、請求項3に記載の発明によれば、制御手段は、アンバランス修正行程における回転翼の回転を強い回転の後に弱い回転を行うようにしたから、一旦アンバランスになった後に、まず回転翼を強く回転させることにより衣類を大きく移動させてそれまでのアンバランスを修正するとともに、つづいて回転翼を弱く回転させることにより衣類が内槽内に均一になるようにすることができ、その後に行う内槽を回転させながらの乾燥においても、異常振動を起こさないで乾燥できるようになる。
【0074】
また、請求項4に記載の発明によれば、制御手段は、アンバランス修正行程を行った後の内槽の回転数をアンバランス修正行程前の回転数よりも低く設定したから、以後の内槽を回転させるときに外槽のふれ回りを小さくすることができ、異常振動を起こさないで乾
燥できるようになる。
【0075】
また、請求項5に記載の発明によれば、制御手段は、アンバランス修正行程を行った後の内槽の回転数を振動共振点に対応した回転数よりも低く設定したから、内槽を回転させるときの外槽のふれ回りを抑えることができ、筐体に当たることによる異常音の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の洗濯乾燥機の縦断面図
【図2】 同洗濯乾燥機のブロック回路図
【図3】 同洗濯乾燥機のモータの駆動方法を示すタイミングチャート
【図4】 同洗濯乾燥機の操作表示部の正面図
【図5】 同洗濯乾燥機の乾燥行程を示す要部フローチャート
【図6】 同洗濯乾燥機の乾燥行程にて衣類のアンバランスを検知したときの要部フローチャート
【符号の説明】
1 筐体
3 外槽
4 内槽
5 回転翼
9 モータ(駆動手段)
12 乾燥用送風機(送風手段)
13 ヒータ(加熱手段)
17 冷却用送風機(冷却送風手段)
22 SFスイッチ(アンバランス検知手段)
25 制御手段

Claims (5)

  1. 筐体内に弾性的に吊支した外槽と、回転中心軸を鉛直方向に有し前記外槽内に回転自在に支持した内槽と、前記内槽の内底部に回転自在に設けた回転翼と、前記内槽または回転翼を駆動する駆動手段と、前記内槽内に循環風を送風する送風手段と、前記送風手段により送風される空気を加熱する加熱手段と、前記筐体内部に外部から冷却風を導入する冷却送風手段と、前記内槽内の衣類のアンバランスを検知するアンバランス検知手段と、前記アンバランス検知手段の出力信号を入力し前記駆動手段、送風手段、加熱手段、冷却送風手段等の動作を制御して少なくとも乾燥行程を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、洗い、すすぎ、脱水、乾燥の一連の行程を制御し、前記内槽を回転させて乾燥する前記乾燥行程中に前記アンバランス検知手段からの信号を入力して衣類のアンバランスを検知したとき、アンバランスを修正するアンバランス修正行程を行うようにし、前記アンバランス検知手段からの信号を入力して衣類のアンバランスを所定回数検知したときに異常報知するようにするとともに、前記脱水行程中もアンバランス検知手段からの信号を入力して衣類のアンバランスを検知するようにし、前記乾燥行程では、前記脱水行程で衣類のアンバランスを検知して異常報知するときの表示とは違う表示で異常報知するようにした洗濯乾燥機。
  2. 制御手段は、アンバランス修正行程で回転翼を回転させるようにした請求項1記載の洗濯乾燥機。
  3. 制御手段は、アンバランス修正行程における回転翼の回転を強い回転の後に弱い回転を行うようにした請求項1または2記載の洗濯乾燥機。
  4. 制御手段は、アンバランス修正行程を行った後の内槽の回転数をアンバランス修正行程前の回転数よりも低く設定した請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗濯乾燥機。
  5. 制御手段は、アンバランス修正行程を行った後の内槽の回転数を振動共振点に対応した回転数よりも低く設定した請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗濯乾燥機。
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