JP4413636B2 - 熱処理装置 - Google Patents

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この発明は、液晶基板など比較的大型の基板に対する熱処理を行う熱処理装置に関する。
多数の半導体基板等を載置して熱処理を行う従来の縦型の熱処理装置では、炉体内に石英の熱処理容器を配置し、この容器内に半導体ウエハー等の被処理基板を多数枚載置し、不活性ガスによりガスパージした後、処理ガスを注入して熱処理を行う。このような縦型の熱処理装置では、その底部が開口して炉口を構成しているため、熱処理中この部分から熱が外部に逃げないよう、この開口部に複数枚の遮熱板を垂直方向に配設して断熱を行っている(たとえば、特許文献1および2参照)。
特開平9−74071号公報 特開平11−97360号公報
従来の縦型の熱処理装置は、上記特許文献1および2に示されるように、底部の開口部に複数枚の遮熱板を縦方向に水平状態で配設し、各遮熱板を1枚の石英板等を加工して構成していたために、大型の被処理基板を扱う炉構造の大きな熱処理装置では、次の問題点があった。
(1) 各遮熱板が一体物であるために、素材(石英等)の歩留まりが悪く、また、一定の精度を出すことができない。
(2) 各遮熱板の溶接工程が必要であり、溶接後の焼き鈍し工程が必要になり、製造コストが高くなる。
(3) 各遮熱板が一体物であるために、重量が重く、且つ大型化する。このため、製造、組立に複数人の人手が必要となり作業性が悪い。また、作業時の安全性にも問題がある。
(4) 各遮熱板が一体物であるために、一部が破損してもその破損部を含む遮板全体を置き換える必要がある。このため、メンテナンス費用が高くなる。
(5) 遮熱板はメンテナンス時に洗浄することがあるが、この遮熱板が一体物である場合に 洗浄槽も大きくしなければならない。
(6) 遮熱板の断熱効果が不足していた場合に改造費用が高くなる。
この発明の目的は、遮熱板の組立に際して作業性が良く、且つ一定の精度で組み立てることを可能にする熱処理装置を提供することにある。
この発明は、底部が開口した炉体内に熱処理容器を配置し、前記開口に複数枚の遮熱板を垂直方向に配設し、前記熱処理容器内に多数の被処理物を収納して処理ガスを導入した後、熱処理を行う熱処理装置において、
前記複数枚の遮熱板をそれぞれスペーサを介して取り外し可能に配設するとともに、各遮熱板を複数枚に分割したことを特徴とする。
この発明に係る熱処理装置は、炉体として底部が開口した、たとえば多角形筒状のものが使用される。この炉体内に石英製の熱処理容器が配置され、この中に多数の半導体基板等の被処理物を載置し、処理ガスを導入してから、熱処理を行う。前記炉体の底部の開口部には複数枚の遮熱板が垂直方向に配設される。この複数枚の遮熱板は、それぞれ複数枚に分割され、分割されたそれぞれの遮熱板は垂直方向にスペーサを介して取り外し可能に配設される。各遮熱板は、例えば、半径方向の所定位置で内側のインナー遮熱板と外側のアウター遮熱板に分割される。アウター遮熱板は、さらに、円周方向に等分割することも可能である。
前記被処理物を保持する基板保持治具を回転可能に設けている場合には、前記インナー遮熱板をこの基板保持治具内に配置する。これにより、外側のアウター遮熱板は常時固定された状態となるが、内側のインナー遮熱板は、基板保持治具の回転に伴って回転する。
この発明によれば、遮熱板を分割したことによって、この遮熱板を構成する素材の歩留まりが良くなる。また、遮熱板単体の重量が軽くなり、且つ大型化しないために、運搬と組立作業が容易となり安全性も高まる。さらに、一部が破損しても破損部位のみを交換することが可能になるために、スペア部品の準備が必要最小限で良く、ランニングコストを低く抑えることができる。この場合、遮熱板はスペーサを介して取り外し可能に配設されていることから、断熱効果が不足してきた時には、そのスペーサの長さを変更したり、遮熱板を増やすことにより容易に断熱効果を調整することが可能である。
また、インナー遮熱板とアウター遮熱板に分割しているため、遮熱効果を保ちながら熱処理容器内で被処理基板を回転させることができる。
図1は、この発明の実施形態である熱処理装置の概略構成図である。
本実施形態の熱処理装置は、全体として縦型に構成されるいわゆる縦型熱処理装置である。熱処理装置の炉体内には石英製の熱処理容器が配置され、この中に多数枚の大型基板を置いて熱処理を行うように構成されている。
図1において、熱処理装置の炉体1は、ヒータを内蔵した側部断熱ブロック10と、上部断熱ブロック11とで構成される。この炉体1内には図示しない炉口構造物に保持され、頂部がドーム状となっている石英製の熱処理容器2が固定され、この容器内に、基板保持治具3と、同基板保持治具3の架台4と、熱を下部に逃がさないための遮熱板構造(ヒートバリア)5とが配置されて熱処理が行われる。基板保持治具3、架台4、ヒートバリア5は、エレベータ装置6によりモータ駆動される昇降装置60を介して昇降自在であり、下降させた状態で多数の被処理物である基板7を基板保持治具3に並設させ、その後全体を上昇させて熱処理容器2内に収納させる。
上記のように、炉体1に対して、基板7を並設させるための基板保持治具3をエレベータ装置6で昇降できるようにすることで、他の場所で基板保持治具3内の被処理物である基板7を取り替えながら、それらの熱処理を順次行うことができる。なお、吸引口8からは処理の前後に容器内を真空引きし、図外のガス導入口から不活性ガスや処理ガスを導入する。
上記炉体1の底部は開口しており、この開口部に上記ヒートバリア5が配設されている。
ヒートバリア5は、複数枚の石英製フィン(遮熱板)を水平状態で垂直方向に積み重ねて構成し、各フィンは円板を分割した形状で構成される。すなわち、各フィンは、半径方向の所定位置で分割された、内側のインナーフィン50と外側のアウターフィン51とで構成されている。さらに、アウターフィン51は、後述のように円周方向に6つに等分割されている。
基板保持治具3は、その中に被処理物である基板7を多数枚載置した後、架台4およびヒートバリア5をエレベータ6装置によって下方に降下させた状態で、架台4上に載せられる。架台4は、その底部でターンテーブル40に固定され、このターンテーブル40の上に、複数のガイドロッド41が設けられている。ガイドロッド41には、スペーサを介してインナーフィン50が水平状態で垂直方向に複数枚取り付けられる。
前記ターンテーブル40はエレベータフロア9上に載置され、エレベータフロア9は、昇降装置60を介してモータ駆動によりエレベータ装置6により昇降動作する。エレベータ装置9の外周部には、複数のガイドロッド91が設けられ、これにスペーサを介してアウターフィン51が水平状態で垂直方向に複数枚取り付けられている。また、アウターフィン51は、円周方向に6つに等分割されている。
以上の構成により、エレベータ装置6によって、エレベータフロア9が昇降動作し、これに応じて、インナーフィン50、アウターフィン51が昇降する。また、エレベータフロア9上のターンテーブル40は、エレベータフロア9上で所定の速度で回転可能であり、このターンテーブル40が回転すると、それに応じて、インナーフィン50、架台4、基板保持治具3が回転する。
図2は、ヒートバリア5およびその周辺部の組立図を示し、図3は詳細な部分断面図を示している。
昇降機構60に連結されているエレベータフロアー9は円形であって、その中央付近に同心円のターンテーブル40が配置されている。ターンテーブル40は、その回転軸が図外のモータに連結され、エレベータフロア9上で回転可能になっている。
ターンテーブル40上には、SUS製のロッド受け43により石英製のガイドロッド41が複数個固定されている(図2、図3参照)。このガイドロッド41に、複数枚のインナーフィン50が、それぞれ石英製のスペーサ42を介して取り付けられている。また、エレベータフロア9の外周部には、SUS製のロッド受け93により石英製のガイドロッド91が複数個固定されている。このガイドロッド91に、複数枚のアウターフィン51が、それぞれ石英製のスペーサ92を介して取り付けられている。
図4は、インナーフィン50とアウターフィン51を上から見た図を示している。図示のように、インナーフィン50は中心から所定の半径で円形に形成され、アウターフィン51は、インナーフィン50の外側に円周方向に6分割された形状に分割される。また、インナーフィン50には、その円周部に3カ所孔部50aが形成され、アウターフィン51には、その周縁部に3 カ所孔部51aが形成される。各孔部50a、51aには、ガイドロッド41、91がそれぞれ貫通し、各フィン間にはスペーサ92が配置される。前記ガイドロッド41と91の数は、インナーフィン50及びアウターフィン51のそれぞれに形成されている孔部50a及び51aの数に等しく、前者は3本、後者は18本(3本/1アウターフィン)である。
なお、図1においては示していないが、熱処理容器2の内面に沿って容器内の温度計測のための熱電対13とガス導入のためのガス管14とが配置されている。アウターフィン51は、その外周がこれらの熱電対13とガス管14に触れないように、その水平方向の長さLが決められている。
図5は、アウターフィン51の他の実施例を示している。この実施例では、6つに等分割されているアウターフィン51のうち、対向配置されている2つのアウターフィン51(1)と51(2)の外周中央部に切欠き部51bを形成し、この切欠き部51bと熱処理容器2の内面との間に熱電対用管13とガス導入管14とが位置するようにしている。このように構成することで、アウターフィン51の水平方向の長さL′(>L)を、その外周縁が熱処理容器内面に接触しないギリギリの長さに設定しても、アウターフィン51が回転しないため何ら問題が生じることがなく、アウターフィン51の外周縁と熱処理容器内面間のクリアランスが短くなることによって、断熱効果をより高めることが出来る利点がある。上記切欠き部51bは、熱処理容器2の内面に配置される部材に対応して設けられ、図示する例のように、熱処理容器2の内面に熱電対用管13とガス導入管14とが対向配置されている場合は、それに対応して、対向配置されている2つのアウターフィン51(1)と51(2)の外周中央部に切欠き部51bが形成されるが、それ以外の部材がさらに配置される場合は、その部材に対向するアウターフィン51にも切欠き部51bが形成される。
上記のように、インナーフィン50とアウターフィン51とを分割することにより、ターンテーブル40が回転してインナーフィン50が回転しても、アウターフィン51が回転しないから、モータの回転トルクを小さくでき、また、アウターフィン51は回転することがないため、その外周縁がガス導入管14や熱電対用管13等によって干渉を受けることを考慮する必要がなくなる。このため、その水平方向の長さLを十分に長くできる。また、上記他の実施例のように、外周中央部に切欠き部51bを形成することにより、アウターフィン51の外周縁と熱処理容器内面間のクリアランスを短く出来、これにより、断熱効果をさらに高めることが出来る利点がある。
また、インナーフィン50、またはアウターフィン51は、ガイドロッド41または91に支持されているだけなので、この交換はきわめて簡単である。また、ヒートバリア5の断熱効果が十分でない場合には、フィンの垂直方向の枚数を増やすか、スペーサ42、92の長さを長くすれば良く、これも簡単な作業で良い。
したがって、フィン全体が非常に大きい場合であっても、取り扱いが容易であり、また、一部が破損した場合であっても、その破損したフィン部だけを交換すれば良く、作業性が非常に良い。また、本実施形態では、6分割された各アウターフィン51は同じ形状であるために、スペアパーツとして用意するアウターフィンは同形状のものであって良い。さらに、フィンが分割されているため、洗浄が容易であり、また、分割しないフィンに比較して寸法精度を高くできるため、組み立て精度も高くできる。また、各アウターフィン51の形状は同一であるため、スペア部品の準備が必要最小限で良い。
この発明の実施形態である熱処理装置の概略構成図 ヒートバリアおよびその周辺部の一部組立図 ヒートバリアおよびその周辺部の部分断面図 インナーフィン50とアウターフィン51を上から見た図 フィンの他の実施例
符号の説明
1−炉体
2−熱処理容器
5−ヒートバリア
50−インナーフィン
51−アウターフィン
41、91−ガイドロット
42、92−スペーサ
L−分割ライン

Claims (4)

  1. 底部が開口した炉体内に熱処理容器を配置し、前記開口に複数枚の遮熱板を垂直方向に配設し、前記熱処理容器内に多数の被処理物を収納して処理ガスを導入した後、熱処理を行う熱処理装置において、
    前記複数枚の遮熱板をそれぞれスペーサを介して取り外し可能に配設するとともに、各遮熱板を複数枚に分割したことを特徴とする熱処理装置。
  2. 前記複数枚の遮熱板は円形であって、各遮熱板は半径方向の所定位置で内側のインナー遮熱板と外側のアウター遮熱板に分割され、さらに、前記アウター遮熱板は円周方向に等分割されている請求項1記載の熱処理装置。
  3. 前記被処理物を保持し回転可能に設けられた保持治具を備え、この保持治具の保持部に前記インナー遮熱板が取り付けられている請求項2記載の熱処理装置。
  4. 前記アウター遮熱板の外周縁に切欠き部を形成し、この切欠き部と熱処理容器の内面との間に、該容器の内面に沿って配置されている部材を配置するようにした請求項2記載の熱処理装置
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