JP4413627B2 - 組織留め具及び組織の癒合を促進する方法 - Google Patents

Description

本発明は、外科用留め具に関し、特に、組織留め具に関する。さらに詳細には、本発明は、特にＧＥＲＤ胃底皺襞形成術において使用される、組織の癒合を促進し留め具の移動を防止する組織留め具に関する。

胃食道逆流は、胃酸が食道に進入したときに生じる。食道内へのこの酸の逆流は、健常人においても自然に生ずるが、そうでない場合には病的状態となることもある。胃食道逆流の影響は、軽度のものから重度のものまである。軽度の影響として、胸焼け、すなわち、胸骨裏に感じる灼熱感が挙げられる。より重度の影響としては、食道糜爛、食道潰瘍、食道狭窄、異常上皮（たとえば、バレット食道）及び／又は肺吸引などの様々な合併症が挙げられる。食道内への胃酸の逆流の結果生じるこれらの種々の臨床状態及び組織構造の変化は、一般に、胃食道逆流疾患（ＧＥＲＤ）と呼称される。

健常人においては、多くの機構が胃食道逆流の防止に寄与している。このような機構の１つに、下部食道括約筋（ＬＥＳ）の機能がある。図１を参照すると、ＬＥＳは、平滑筋からなり且つ食道の最後の約４センチに存在する環状厚さが増したリング状部位である。ＬＥＳは、その静止状態では、胃に通じる食道の口部に高圧（胃内圧力より約１５〜３０ｍｍＨｇ高い圧力）の領域を生じさせる。この圧力により食道は実質的に閉じさせられ、胃の内容物は食道内へ戻ることができないようになる。ＬＥＳは、嚥下及び食道における蠕動に応じて開き、食べ物が胃内に通ることを許容する。しかしながら、適正に機能するＬＥＳは、開いた後に、その静止状態若しくは閉鎖状態に戻るはずである。健常人にＬＥＳの一過性の弛緩が生ずると、通常、偶発的な胸焼けの状態を生ずる。

胃底と食道との間に生ずる物理的相互作用もまた胃食道逆流を防止する。胃底とは、食道の近傍における胃の頂部に位置する胃の小葉（突出部）である。健常人では、胃が食物及び／又はガスで満たされているとき、胃底は食道の口に対して押し付けられる。これにより胃に通じる食道口が事実上閉鎖され、食道への胃酸の逆流を防止する助けとなる。

ＧＥＲＤを有する者の場合、ＬＥＳの一過性の弛緩の増大、食道の長さの減少、静止状態でのＬＥＳの筋緊張の低下、または、負傷に対して食道組織が抵抗する能力若しくは負傷後に自力修復する能力の欠如、のいずれかに起因して、ＬＥＳが正常に機能しない。こうした状態は、食べ過ぎ、カフェイン、チョコレート又は脂っこい食品の摂取、喫煙、及び／又は裂孔ヘルニアにより悪化することが多い。これらの悪化機構を回避することは、ＧＥＲＤに伴う悪影響を抑制するのには役立つが、疾患を完全に治癒させることにはならない。

ＧＥＲＤ若しくはその他の結果として、ＬＥＳの正常な機能が損なわれている患者の胃酸の逆流を防止するために、一般に胃底皺襞形成術（フンドプリケーション）として知られる外科的処置が開発されている。胃底皺襞形成術は、胃底を食道に近接させて、胃に通じる食道口の閉鎖を助けることを伴う。特殊なタイプのフンドプリケーション処置であるニッセン胃底皺襞形成術では、胃底を食道の周囲に引き上げた後、食道を完全に取り囲むように胃底を胃底自体と食道とに縫合する。従来、この処置は、観血手術として行われてきたが、最近、ＭｃＫｅｒｎａｎ，Ｊ．Ｂ．、Ｃｈａｍｐｉｏｎ，Ｊ．Ｋの「腹腔鏡逆流防止手術（Ｌａｐａｒｏｓｃｏｐｉｃ ａｎｔｉｒｅｆｌｅｘ ｓｕｒｇｅｒｙ）」、Ａｍｅｒｉｃａｎ Ｓｕｒｇｅｏｎ、第６１巻、第５３０〜５３６頁、(１９９５年) で論じられているように、腹腔鏡的処置として成功が収められた。

あらゆる観血手術の場合と同様に、感染、失血又は麻酔使用の結果として合併症が起こり得る。さらに、観血手術を行う際には比較的大きな切開が必要なので、切開部が治癒するためには長い回復時間が必要とされる。腹腔鏡的外科処置は、腹壁における比較的小さい切開部位で比較的小さい装置を用いることによりこれら悪影響を低減させるが、切開による感染の危険はやはり増大している。腹壁における切開位置は、胃に含まれる敗血症原因流体（ｓｅｐｔｉｃ ｆｌｕｉｄ）の漏出により引き起こされ得る敗血症などの他の悪影響の危険を呈する。

他の外科的処置も特にＬＥＳに精力を傾けている。こうした処置はＬＥＳ領域を厚くし、胃に通じる食道口の直径を減少させることによって、すなわちＬＥＳ領域を絞ることで、逆流を防止せんとしている。しかしながら、既存の処置は長時間を要すると共に実施が困難である。

本発明は、特にＧＥＲＤの治療のために管腔内医療処置を行うための装置と、これに関連する方法とを含む。特に、本発明の装置及び方法は、例えば内視鏡的胃底皺襞形成術において接合すべき組織の癒合を促進させる。組織留め具を含む本発明の装置及び方法は、横隔膜への胃の結合、腹腔への胃の結合、ステント又はステントグラフトの結合、胃の皺襞形成、外傷の閉鎖、軟部組織の結合等といった他の組織結合処置で使用することもできることは理解されるであろう。

本願明細書で具体化され広く説明される本発明の利点を本発明の目的にしたがって達成するために、本発明は、組織表面を有した組織部分を互いに留めるための外科用留め具を含む。外科用留め具は、基部と、留めるべき組織部分を穿通するために該基部に接続されている穿通要素とを有する第１の留め具部材と、第２の留め具部材と、組織表面の間の癒合を促進するための手段とを備え、第２の留め具部材は、留めるべき組織部分が第１の留め具部材と第２の留め具部材との間に保持されるように第１の留め具部材の穿通要素を受容し保持するための開口部を有している。

別の実施形態では、第１の留め具部材の穿通要素を受容するための第２の留め具部材の開口部は中空の柱を含む。２つの留め具部材が接続されると、中空の柱は穿通要素の長さの少なくとも一部を覆うように延びる。中空の柱は、組織層内への移動を容易にするために穿通先端を有してもよい。中空の柱は、治療剤を満たしたリザーバを含んでもよい。薬剤は、第１の留め具部材でリザーバに穿孔することによって、放出され得る。

本発明の実施形態によれば、癒合促進手段は第１の留め具部材内に通路を含んでもよい。通路は、癒合促進物質の供給源に接続する第１の端部を有すると共に、第１の留め具部材の少なくとも１つのポートに接続しており、該ポートが組織部分への癒合促進物質の送り込みを可能にさせている。通路は基部及び穿通要素内にあってもよく、ポートは穿通要素内にあってもよい。癒合促進物質の供給源は、癒合促進物質を収容するためのリザーバを含んでもよい。留め具の動作が、結合部下の組織の層の間に癒合促進物質を送り込む役目を果たしてもよい。あるいはまた、癒合促進物質を通路に送り込むために、送り込みチューブが通路の第１の端部に接続されていてもよい。

別の実施形態では、リザーバは第１の留め具部材の穿通要素の遠位端部にあってもよく、第２の留め具部材の開口部にあってもよい。特に、リザーバは開口部の役目を果たす中空の柱の一部であってもよい。さらに、２つの留め具部材を留める動作が、さらに、リザーバを押しつぶし、穿孔、又は他の形で開くことにつながり、結合部下の組織の層の間に癒合促進手段を放出する。

本発明の別の実施形態によれば、癒合促進手段は、第１の留め具部材及び第２の留め具部材の一方を取り外し可能に受容する装置を含むこともできる。装置は、癒合促進物質を組織部分に送り込むための送り込み機構を受容するための通路を有する。

本発明のさらに別の実施形態によれば、癒合促進手段は、留めるべき組織部分に癒合を生じさせるために、第１の留め具部材の一部分の周囲に配置されるフィラメント、コーティング、覆い（ラッピング）、カフ、又は他の癒合促進材料から構成されるか、それらを保持するか、またはそれらを含むことができる。

他の実施形態によれば、癒合促進手段はアンカー内に密封される。癒合促進手段は、第１の留め具部材の穿通要素内又は第２の留め具部材の開口部内に、若しくは両者を組み合わせた形態で収容してもよい。好ましい実施形態では、第２の留め具部材の開口部内で癒合促進手段は壊れやすい隔壁又は隔膜の下に密封される。穿通要素が隔壁又は隔膜を穿通すると、癒合促進手段が結合部下の組織の組織層の間に放出される。第２の留め具部材の開口部として中空の柱を使用することによって、組織層の間への癒合促進手段の分配を容易にすることができる。

本発明のさらに別の実施形態によれば、癒合促進手段は、第１の留め具部材の基部に設けられた少なくとも１つの穿刺部材を含んでもよい。少なくとも１つの穿刺部材は、留めるべき組織部分の１つの厚さよりわずかに大きい高さを有するスパイク又はブレードを含んでもよい。

さらに別の実施形態では、留め具は、結合される組織の層の間に癒合促進手段を送り込む針を受容するように設計され得る。針は第１の留め具部材又は第２の留め具部材の何れかと一体化することもでき、また第１の留め具部材を第２の留め具部材に結合する際又はその後に何れかの留め具部材を通して送り込まれてもよい。針は留め具部材の１つ内の少なくとも１つのポートを通って延びてもよい。針は結合される組織の層の間に癒合促進手段の注入を行う。針は留め具及び締め付け具と独立していてもよいが、それらと共に送り込めるものでもよい。針は組織への癒合促進手段の体積と流量の制御を可能にする。針は、留め具部材内２つ以上の出口ポートを使用することによって連続的に、２箇所以上の注入部位に配置されることも可能である。針は、２つ以上のヘッドを有し、注入部位の領域を増大させてもよい。針は、一緒に送り込まれ組織層の間に位置する様々な注入部位を有する針の束であってもよい。

別の態様によれば、本発明は組織部分の表面を留める方法を含む。この方法は、組織留め具の第１の部品で、留めるべき組織部分を穿通するステップと、組織留め具の第２の部品内に組織留め具の第１の部品を受容するステップと、それによって組織留め具の第１の部品と第２の部品との間に、留めるべき組織部分を保持するステップと、接合すべき組織部分の表面の間の界面に癒合促進物質を送り込むステップとを含む。

本発明の実施形態によれば、送り込むステップは、組織留め具の第１の部品内の通路を通して癒合促進物質を送り込むステップを含む。通路は、癒合促進物質の供給源に接続するための第１の端部を有すると共に、第１の部品内の少なくとも１つのポートに接続しており、該少なくとも１つのポートが組織部分への癒合促進物質の送り込みを可能にしている。

本発明の実施形態によれば、癒合促進物質を送り込むステップは、癒合促進物質を収容するリザーバを圧縮するステップを含んでもよい。他の実施形態によれば、癒合促進物質を送り込むステップは、癒合促進物質を収容するリザーバに穿孔するステップを含んでもよい。他の実施形態によれば、癒合促進物質を送り込むステップは、通路の第１の端部に接続された送り込みチューブによって癒合促進物質を通路に送り込むステップを含む。また別の実施形態によれば、癒合促進物質は、第１の部品及び第２の部品の一方を取り外し可能に受容する装置内の通路を通して送り込まれ得る。

別の態様によれば、本発明は、下部食道括約筋組織の第１の部分と胃底組織の第２の部分との癒合を促進するための装置を含む。この装置は、食道に挿入するのに適するように構成された細長い本体と、細長い本体の遠位端部に接続され該遠位端部から旋回するようになっており、細長い本体の軸線に沿った引き込み位置と該軸線に対して角度をなす延長位置とを有する要素と、細長い本体と前記要素の少なくとも１つに関連付けられた、第１の組織部分と第２の組織部分の癒合を促進するための手段とを含む。

本発明の別の実施形態によれば、癒合を促進するための手段は、第１の組織部分及び第２の組織部分に外傷を負わせるための手段を含む。外傷を負わせるための手段は、前記要素と細長い本体の少なくとも１つに設けられる少なくとも１つの穿刺要素を含んでもよい。

また別の態様によれば、本発明は、組織表面を有する組織部分を互いに留めるための外科用留め具を含む。この外科用留め具は、基部と、基部から延びる複数の逆とげとを含む第１の留め具部品と、複数の逆とげを受容するための複数の孔を規定する篩目を含む第２の留め具部品とを含む。篩目又は逆とげは、本開示の中で言及される癒合促進手段の何れかを含むことができる。

追加の態様によれば、本発明は、下部食道括約筋組織の第１の部分を胃底組織の第２の部分に留めるための装置を含む。この装置は、第１の留め具部品と第２の留め具部品とを有する留め具を含む。また、装置は食道に挿入するのに適するように構成された細長い本体を含む。細長い本体の遠位端部は第１の留め具部品と第２の留め具部品の一方を保持するように構成される。装置は、さらに、細長い本体の遠位端部に接続され該遠位端部から旋回する要素を含む。この要素は細長い本体の軸線に沿った引き込み位置と軸線に対して角度をなす延長位置とを有する。前記要素は第１の留め具部品と第２の留め具部品の他方を保持するように構成される。また、装置は、細長い本体のチャネル内で往復運動し第１の留め具部品と第２の留め具部品とを互いに押し付けることのできる機構を含む。１つの実施形態では、第１の留め具部品は基部と該基部から延びる複数の逆とげとを含んでもよく、第２の留め具部品は、複数の逆とげを受容するための複数の孔を規定する篩目を含んでもよい。

本発明の別の目的と利点の一部は以下の説明に記載されており、一部はその記載から明らかになるか又は本発明を実施することによって知りうるだろう。本発明の目的と利点は、特に添付の特許請求の範囲に記載の要素とその組み合わせによって認識され達成されるだろう。

前述の概略的な説明と以下の詳細には説明は本発明の例示と説明のためのものにすぎず、本発明を制限するものではない。

本明細書に組み込まれその一部を構成する添付の図面は、本発明の幾つかの実施形態を例示しており、明細書本文と共に、本発明の原理を説明する役目を果たす。

ここで、添付の図面中に例示されている本発明の実施形態を詳細に参照する。同一又は同様の部品を指す場合、可能な限り全図を通じて同一の参照番号を使用する。

内視鏡的胃底皺襞形成術（フンドプリケーション）と呼称される新たに開発された形態の胃底皺襞形成術は、胃底壁を食道壁に折り重ねる管腔内処置である。その後、食道と胃底との間に形成された組織襞（組織の折り重ね部）は留められる。内視鏡的胃底皺襞形成術は、必要な医療器具を食道を通じて挿入する管腔内処置として行われるためのものである。こうした処置は、以前の技術と比較して侵襲性が低く、迅速で、安価であるという利点を有する。

内視鏡的胃底皺襞形成術で利用される例示の装置が図２（ａ）〜図２（ｄ）に示されている。この装置は、Ａ字状フレーム把持器−外管１００と呼称され、外管１１０と、止めねじ及び該止めねじと結合するために装置内に配置された鋼製リングのような任意の適した手段によって外管１１０に結合される遠位Ａ字状フレームヘッド１１１とを含む。Ａ字状フレームヘッド１１１は、装置の遠位端部に位置するケーブル作動式把持器を含む。ケーブル作動式把持器は、旋回軸１１２によってＡ字状フレームヘッド１１１の遠位端部に結合された把持アーム１２２を含む。外管１１０は、６〜１０ｍｍの範囲、好適には６ｍｍの直径の内視鏡並びに他の管腔内装置を収容できる直径を好適には有した内孔１３０を含む。この内視鏡寸法の範囲は、本発明に関連して使用し得る内視鏡の寸法の制限を意味するものではない。内孔１３０はＡ字状フレームヘッド１１１内に延びる。外管１１０は好適には金属強化プラスチックから作製されており、可撓性を有している。Ａ字状フレームヘッド１１１は、把持アーム１２２側の遠位端部に、Ａ字状フレームヘッド１１１の側壁に配置された大きな開口部１０５を含む。開口部１０５は、把持器−外管１００の挿入位置において把持アーム１２２が実質上開口部１０５を閉じ且つ開口部１０５を規定するＡ字フレーム側壁の残りの部分とほぼ面一に位置するように、把持アーム１２２を収容する。また、図２（ｄ）に示されているように、把持アーム１２２は、アームの中心部において概略長手方向に延びている細長いスロット又は開口部１２７を含み、さらに、組織の把持を助ける複数の突起１２９を含んでもよい。

把持器−外管１００の挿入位置又は閉位置は図２（ａ）に最もよく示されている。把持器−外管１００の把持アーム１２２は、旋回軸１１２の位置又はその近傍において把持アーム１２２の近位端部に結合され、外管１１０内の内孔１３２を通して当該装置の近位端部まで延びる第１のケーブル１２４を引っ張ることによって、作動又は開放すれ得る。第１のケーブル１２４の引っ張り運動によって、把持アーム１２２を旋回軸１１２周りに回転させ、それにより、把持アーム１２２とＡ字状フレームヘッド１１１の残りの部分との間の角度を増大させる。図２（ｃ）は、作動位置又は開位置にあり且つＡ字状フレームヘッド１１１の残りの部分と約９０度の角度を形成している把持アーム１２２を示している。装置を送り込む際に、Ａ字状フレームと把持アームとの角度は好ましくは約０度、すなわち真っ直ぐ上向きである。この角度は、希望に応じて、約１８０度、すなわち真っ直ぐ下向きでもよい。組織部分を留める際に、Ａ字状フレームと把持アームとの角度は好ましくは約０度であり、組織の厚さに対応する。また、外管１１０内の内孔１３４を通して装置の近位端部まで延びる第２のケーブル１２５を把持アーム１２２の近位端部に結合してもよい。第２のケーブル１２５は、把持アーム１２２を開位置から閉位置に回転させるように作動可能である。第２のケーブル１２５を引っ張ると、把持アーム１２２が、第１のケーブル１２４を引っ張ったときと反対の方向に旋回軸１１２周りに回転し、把持アーム１２２とＡ字状フレームヘッド１１１の残りの部分との間に形成される角度を図２（ａ）に示されている完全に引き込まれた位置に近づく方向に減少させる。第１及び第２のケーブル１２４、１２５は、外管１１０内に形成された共用又は独立のチャネル１３２、１３４を通って装置の近位端部から遠位端部まで延びていてもよい。あるいはまた、一方のケーブルは外管１１０の近位端部から延びて、把持アーム１２２に接続し、旋回軸１１２の周りをループ状に回って、外管１１０の近位端部まで戻るように延びていてもよい。この配置では、ケーブルは２つの近位端部を有し、ケーブルの一方の近位端部を引っ張ると把持アーム１２２が引き込まれ、ケーブルの他方の近位端部を引っ張ると把持アーム１２２が開かれる。

Ａ字状フレームヘッド１１１は開口部１０５の反対側に形成された透明な区画又は開口部を含んでもよい。透明な区画又は開口部は、把持器−外管１００によって折り重ねられようとする組織の位置の視覚による確認を可能とさせる。このような視覚的確認は、例えば内視鏡によっても達成され得る。あるいはまた、Ａ字状フレームヘッド１１１全体を透明な材料で製作してもよい。代替実施形態では、把持器−外管１００を使用せずに、締め付け装置が内視鏡の中に直接送り込まれる。このアプローチは最も高いレベルの視覚化を可能にさせるものである。

図２（ａ）〜図２（ｄ）に示されている把持器−外管を使用して、内視鏡的胃底皺襞形成術が以下の様式で行われる。図２（ａ）に示されている挿入位置で、把持器−外管１００を食道を通して胃に挿入する。把持器−外管１００の挿入は、把持器−外管１００の遠位端部が胃内の胃底の下の所定点に到達するまで継続される。把持器−外管１００は、好ましくは、開口部１０５を含む側壁が胃底に面するように挿入される。しかしながら、把持器−外管１００は、挿入後に、自身の長手軸線周りに所望の位置まで回転させ得ることが企図される。内視鏡は、把持器−外管１００を挿入する際に胃内の視認を提供するために、外管１１０内の内孔１３０を通って延びていてもよい。また、内視鏡は外管の前又は後に食道に送り込んでもよい。好ましくは、直径６〜１０ｍｍの関節式内視鏡が使用されるが、内視鏡の寸法と種類は行われている処置に関する事情に応じて選択され得る。

外管１１０を挿入し胃底の下の所望箇所に位置決めした後、把持アーム１２２が作動され、図３（ａ）に示されているように、Ａ字状フレームヘッド１１１の残りの部分に対して１８０〜９０度の角度をなす開位置まで下向きに旋回する。その後、胃又は胃底の壁の一部分を把持して胃壁のこの部分を下向きに引っ張り、胃壁を自然な位置に対して陥入させるのが望ましいこともある。こうした把持は、Ａ字状フレームの把持表面によるか、または外管を通して胃壁に鉗子又は吸引装置を送り込むことによって行ってもよい。次に、把持器−外管１００を胃内で食道口に向かって上方に持ち上げる。次に、ケーブル１２４を作動させ、把持アーム１２２をその閉位置に復帰させる。図３（ｂ）に例示されているように、把持アーム１２２が胃底壁に係合するときの把持アーム１２２の弧状運動により、胃底が胃内へ通じる食道口の近傍で食道の側部に対して折り重ねられる。胃底が食道壁に折り重ねられた後、締め付け機構を結合すべき組織に送り込む。締め付け機構を締め付け部位に位置合わせし、留め具を送り込む。以下でさらに説明されるように、留め具を付与する動作又はそれに続く癒合促進手段の付与によって、癒合促進手段を作動させる。単数又は複数の留め具を組織に送り込み、組織を定位置に留めたら、把持器−外管１００を取り出す。

図２（ａ）〜図２（ｄ）は、図３（ａ）〜図３（ｂ）に関連して説明されている例示の胃底皺襞形成術のための１つの例示の装置及び作動機構を示すことを意図したものである。内視鏡医療装置の技術分野で当業者に公知の他の装置及び作動機構を使用してもよい。単なる例として、真空、油圧、リンク装置、及び／又はカムを備えた作動機構を使用することも可能である。

折り重ね部を形成した後の胃底の固定は、様々な締め付け機構及び／又は方法を使用して果たすことができ、このような締め付け機構及び／又は方法の例を以下で説明する。これまで説明した把持器−外管及び胃底皺襞形成術は、本発明による組織の留め固定及び癒合を促進するために留め具及び方法と共に使用する装置及び処置の例である。本発明による締め付け機構及び／又は方法は、比較的迅速に且つ比較的低侵襲性の手法で設置又は実施することができ、一度設置されたならば実質的に均一な組織の折り重ね部を形成できることが望ましい。また、こうした機構及び／又は方法は、胃底皺襞形成術で接合された組織の癒合を生じさせることが望ましい。

したがって、本発明は、内視鏡的胃底皺襞形成術において組織を締め付けて留め、その組織の癒合を促進するのに特に適した留め具及び方法に向けられる。以下に詳細に説明する留め具は、癒合促進成分を接合すべき組織部分の界面に送り込むための機構及び方法と、例えば機械的損傷部を通して接合すべき組織部分における組織の癒合を促進するための機構及び方法と、留め具の移動を防止するための機構及び方法を含む。本発明による留め具及び方法は内視鏡的胃底皺襞形成術で使用するのに特に適しているが、この留め具及び方法は、組織部分の癒合を必要とする他の内視鏡的外科用途及び非内視鏡的外科用途にも適していることを医療分野の当業者は理解できるだろう。こうした用途は、胃と横隔膜の結合、胃と腹腔の結合、ステント又はステントグラフトの結合、胃の皺襞形成、外傷の閉鎖、軟部組織の結合等といった他の組織結合処置を含み得る。

図４（ａ）及び図４（ｂ）は、本発明による胃底皺襞形成術で使用するための例示の組織留め具１０を示している。留め具１０は、第１の留め具部材すなわち第１の留め具部品１１と、第１の留め具部品１１を保持するための第２の留め具部材すなわち第２の留め具部品２１とを有する。第１の留め具部品１１は、基部１２と、組織を穿通して第２の留め具部品２１に留めるためのスパイク１５を有した軸１３とを含む。第２の留め具部品２１は、外側環状部分２２と、内側環状部分２３と、第１の留め具部品１１のスパイク１５が通過し得る開口部２５とを有する。内側環状部分２３は突起２４を有し、スパイク１５の通過を許容する弱くした構造部を有する。第１の留め具部品１１のスパイク１５を第２の留め具部品２１の開口部２５に挿入した後、第２の留め具部品２１の突起２４はスパイク１５の縁端部１４に接触し、スパイク１５が開口部２５を通り抜けるのを防止する。こうして、第１の留め具部品１１と第２の留め具部品２１とは互いに留められた状態となる。

概略環状の形状を有する留め具１０が示されているが、矩形又は正方形といった他の適した形状も本発明の範囲内であることを認識されたい。好ましくは、留め具を形成するために使用される材料のコンプライアンス（伸展性）は食道及び胃の組織のコンプライアンスと同様であるが、何らかの生体に適合するコンプライアンスがあればよい。さらに、留め具１０の寸法は変化してもよい。

留め具１０を使用して２つの組織片を互いに留めるために、第１の留め具部品１１のスパイク１５は、ＬＥＳ及び胃底のような接合すべき２つの組織部分を穿通して、第２の留め具部品２１の開口部２５を通過し、それによって第１の留め具部品１１と第２の留め具部品２１との間に２つの組織部分を保持する。第１の留め具部品１１と第２の留め具部品２１とは、移植可能な等級のプラスチックのような任意の適した生体適合性材料から作製することができ、また生体吸収性であってもよい。適した材料には、ステンレス鋼（３１６ＳＳ）と、ニチノールと、チタンと、ポリノルベン、ポリエチレン、ＰＬＬＡ、ＰＧＡ、ポリウレタン及びＰＴＦＥのような形状記憶ポリマーと、セラミックスと、金属及びポリマー又は充填ポリマーのような材料の混合物が含まれる。

留め具１０をＬＥＳ及び胃底の部位に送り込み第１の留め具部品１１及び第２の留め具部品２１を互いに留めるための外科用ステープル機構又は外科用留め固定システムのような任意の適した機構を使用することができる。こうした適した装置の例は米国特許第６，１１３，６０９号及び同第６，０８６，６００号明細書に示され説明されており、その開示内容全体は本願と一体のものとして参照される。これらの特許文献は、留め具部品を取り付けたり装置から開放したりするための適した装置及び方法の例示を記載している。

留め具１０を送り込み固定するために使用される送り込み機構は、図２（ａ）〜図２（ｄ）に関連して説明した把持器−外管１００と組み合わせて使用されるか、またはその一部とすることができる。例えば、把持器−外管は、図２（ｅ）に示されているように、第１の留め具部品１１が装置の作動アーム１２２に結合され第２の留め具部品２１が装置の本体１１０に結合されるように改変され得る。この場合、把持器−外管はステープル機構として機能し得る。作動アームが装置の本体に向かって旋回すると、第１の留め具部品１１と第２の留め具部品２１が互いに留められる。図４（ｃ）は胃底皺襞形成術においてＬＥＳと胃底を留める組織留め具を示している。図４（ｃ）は、ＬＥＳの両側に位置する２つの留め具１０を示している。個々の処置で適切と考えられるならば、使用するファスナの数をこれより多くしても少なくしてもよい。送り込み機構は、互いに留めるべき組織部分を穿通するための穿通機構を含んでもよい。

本発明の１つの実施形態によれば、留め具１０は、さらに、組織癒合を促進するための手段を含む。図５（ａ）に示されている実施形態では、第１の留め具部品１１は、接合される組織部分の間、すなわちＬＥＳと胃底との間の癒合を促進させる硬化剤のような治療剤を送り込むためのポート１６を有し得る。時間の経過とともに、組織折り重ね部界面の組織を硬化剤によって刺激することができる。治癒の過程で、折り重ね部界面の組織は留め具なしで折り重ね部を維持するのに十分な強さの癒合を形成する。同時に、留め具が生分解性／生体吸収性材料から作製されている場合、留め具は組織の折り重ね部をそのまま残して溶解する。例えば、フィブリングルー、（テトラサイクリンのような）抗生物質、抗炎症剤、局所麻酔剤、硬化剤、成長因子、組織刺激剤、生体適合性材料を含む溶液、遺伝子、蛋白質、酵素、細胞、血液のような体液、エポキシ、生体材料、ゼラチン、タルク、モルイン酸ナトリウム、キナクリン、ブレオマイシン、コリネバクテリウムパルブム、アルギン酸及びヒストアクリルのような充填剤、及び（エネルギー活性化接着剤を含む）接着剤を含む治療用及び診断用の他の薬物及び物質を投与することもできる。適した接着剤の例にはクリオライフ（Ｃｒｙｏｌｉｆｅ）社がＢｉｏＧｌｕｅ（登録商標）という商品名で販売されている接着剤がある。

接合された組織部分の隣接した表面同士の界面に治療剤を供給するために、第１の留め具部品１１と第２の留め具部品２１とが接続されたときに、ポート１６は２つの組織部分の継ぎ目（折り重ね部）に位置すればよい。したがって、ポート１６の位置は、組織部分の厚さに基づいて選択され得る。

図５（ａ）に示されているように、癒合促進物質のような治療剤は、第１の留め具部品１１内の通路を通ってポート１６に送り込まれ得る。癒合促進物質はリザーバ（貯留器）２０から第１の留め具部品１１及び通路１７に送り込まれ得る。リザーバ２０は、癒合促進物質をリザーバから通路及びポートを通って組織の折り重ね部に送るために、押しつぶせるものでもよい。リザーバ２０は留め具１０を送り込む際に送り込み装置によって押しつぶされることが可能である。リザーバ２０は第１又は第２の留め具部品１１、２１から独立したものでもよく、またそれらの何れかと一体化したものでもよい。リザーバ２０は、好ましくは、第１の留め具部品１１を第２の留め具部品２１に挿入する際に押しつぶされるように配置する。

あるいはまた、図５（ｂ）に示されているように、癒合促進物質は、留め具送り込み装置に関連する注射器（図示せず）又は他の同様の内孔又は機構によって第１の留め具部品１１内の通路１７に送り込まれてもよい。癒合促進物質の送り込みを容易にするために、第１の留め具部品１１は注射器又は他の送り込み機構に接続されている送り込みチューブ１８を含んでもよい。送り込みチューブ１８は、第１の留め具部品１１に永久的に接続されていてもよく、一時的に接続されていてもよい。好ましくは、送り込みチューブ１８と第１の留め具部品１１との間に配置された壊れやすい界面１９によって一時的接続を提供し、望ましい量の癒合促進物質が接合されるべき組織部分に送り込まれた後に送り込みチューブ１８を取り外せるようにする。

図５（ｄ）は、組織留め具部品１１の別の実施形態を示している。留め具部品１１は、軸１３に沿って多数の側壁ポート１６を含む。ポート１６は軸１３内の通路１７と流体連通している。一方、通路１７は、基部１２の底面の入口孔１７’と流体連通している。多数のポートを使用すれば、癒合促進物質を均一に分配することができる。

ＬＥＳと胃底の組織の折り重ね部を留めるために、図５（ｄ）の留め具１１が所定位置に配置されたなら、図５（ｅ）に示されているように、癒合促進剤が通路１７からポート１６を通して注入され得る。薬剤は、留め具送り込み及び締め付け装置内に収容された薬剤送り込みチューブ１８を通して注入され得る。薬剤送り込みチューブは、送り込み及び締め付け装置の近位端部で癒合促進剤のリザーバに接続されることができる。上述したように、薬剤はポート１６から出て組織折り重ね部界面（参照番号５０で示されている）に至り、癒合を生じさせる。

代替実施形態として、図５（ｃ）に示されているように、全体を参照番号２８で示されている組織留め具挿入装置内の通路２７を通して注入針先端２６を挿入することもできる。注入針先端２６は、接合すべき組織片内において、留め具１０のスパイク１５の近くに送られる。所望量の（硬化剤のような）癒合促進物質を送り込んだ後、注入針先端２６は取り除かれ得る。通路２７とそれに関連する注入針を留め具挿入装置２８と一体化して、通路２７が留め具挿入装置２８を通って近位端部まで延び、そこで注射器又は他の適した機構が癒合促進物質を送り込むようにしてもよい。代替実施形態として、注入針は内視鏡又は他の送り込み機構を通して組織に送り込まれてもよい。

図５（ｆ）は、外管１１０の遠位端部と、外管１１０の遠位端部に位置するＡ字状フレームヘッド１１１とを示している。針３０は、Ａ字状フレームヘッド１１１が組織留め具を保持し留める位置の近くで、把持アーム１２２から延びている。針３０は、把持アーム１２２内をＡ字状フレームヘッド１１１の残りの部分まで延び且つさらに外管１１０を通って胃底皺襞形成装置の近位端部に至る通路（図示せず）と流通してもよい。近位端部では、注射器又は他の適した機構が癒合促進物質を針に至る通路に送り込む。

把持アーム１２２から延びる針に加えて又はそれに代えて、胃底皺襞形成装置の反対側、すなわち外管１１０の側面又はＡ字状フレームヘッド１１１の主部分を通る針が延びていてもよい。さらに、針による注入は２つ以上の部位で行ってもよい。図５（ｇ）に示されているように、針３２は留め具挿入部位のすぐ近位側の外管１１０の側面から突出し、針３４は留め具挿入部位のすぐ遠位側でＡ字状フレームヘッド１１１の主部分の側面から突出している。各針３２、３４は、図５（ｇ）に示されているように、装置の近位端部に至るそれぞれの対応する通路３６を有してもよく、また通路を共有してもよい。

代替実施形態では、例えば図５（ｃ）、図５（ｄ）、図５（ｅ）、図５（ｆ）、及び図５（ｇ）に示されている実施形態を使用して、留め具を配置する前又は留め具を配置した後に、癒合促進剤が送り込まれる。例えば、針２６は、図示されているように、留め具部材１１の基部を通って延びていてもよく、穿通要素１５内まで延びていてもよい。図５（ｄ）の通路１７のような通路とポート１６のような側面ポートを使用して、針又は癒合促進物質を組織層の間の領域に案内することもできる。別の実施形態として、針２６が２つ以上の先端部を有し、より広い領域に癒合促進物質を送り込んでもよい。また、針２６は、癒合促進物質を同時に多数の場所に注入できる小さい針の束から構成されてもよい。

また、癒合と組織の内方成長を促進するために、留め具１０は多孔質のものや、表面を粗くしたもの（窪み又は隆起）や、生体適合性物質でコーティングしたものとすることができる。こうした物質にはコラーゲン、炭素、ダイヤモンド様コーティング、及びハイドロキシアパタイトが含まれるが、このリストは、組織の癒合及び／又は組織の内方成長に関する留め具の能力を改善しうるコーティングのリストを制限することを意味するものではない。ハイドロキシアパタイトを利用する場合、それを塗布する好ましい方法は火炎溶射によるものであり、留め具は、好ましくは、この処理に耐え得る金属又はセラミックスのような材料から構成される。

図５（ｈ）は、組織留め具１０’の代替実施形態を示している。この実施形態では、留め具１０’は、この開示で説明された他の実施形態のものと同様の第１の部品１１を含む。留め具１０’の第２の部品２１’は基部２９ｂから延びる中空の柱２９ａを含む。基部２９ｂはそこに開口部２９ｃを規定している。柱２９ａと開口部２９ｃとは第１の部品１１のスパイク１５と軸１３とを受容するように構成されている。柱２９ａは、第１及び第２の部品１１、２１’が接続されたときに、軸１３の長さの少なくとも一部を覆う分だけ延びていればよい。柱２９ａは、組織層内への移動を容易にするために穿通先端又は鋭利な縁端を有していてもよい。組織癒合促進物質を収容する押しつぶし式、穿通式、又は他の形の壊れやすくなっているリザーバは、柱２９ａの一部でもよく、特にスパイク１５が延びて貫通する柱２９ａの開口部の一部でもよい。２つの部品１１、２１’を留める操作によってリザーバを押しつぶすか、穿通するか、又は他の形で破いて開き、結合部下の組織の層同士の間に癒合促進手段を放出する。この開示で説明された他の組織留め具実施形態の態様を図５（ｈ）の実施形態に組み込めることは理解されるだろう。例えば、図５（ａ）に関連して示し説明したように、癒合促進物質は第１の部品１１内の通路を通してポート１６に送り込まれることができる。

図６に示されている代替実施形態では、癒合促進手段は、留め具４０の軸１３の周囲に巻き付けられ接合すべき組織の層の間における組織の内方成長を促進するフィラメント材料４６を含めることができる。あるいはまた、フィラメント４６は、コーティング、覆い（ラッピング）、カフ又は他の組織の内方成長促進材料又は癒合促進材料とすることもできる。留め具４０は、組織の層が治癒する際に癒合を促進する材料４６があることを除いて、図４（ａ）及び図４（ｂ）で説明した留め具と実質上同一である。癒合促進材料は、組織同士の癒合並びに組織と留め具の癒合を促進することも可能である。フィラメント材料４６は、例えば、ＰＧＡ、絹、ステンレス鋼、チタン、ニチノール、又は任意の他の適した材料から作製され得る。図６及び図７に示されているように、軸１３はフィラメント材料４６を軸に固定するために開口部４７を備えていてもよい。タイレイヤー（ｔｉｅ ｌａｙｅｒ）又は同時押し出し成形に加えて、接着剤、溶融、噴霧蒸着を含むがそれらに制限されない当業技術分野で公知の手段の何れかによって、他の材料を留め具の軸に結合してもよい。

本発明の別の実施形態では、薬剤を組織の折り重ね部に送り込むこと以外の手段によって、接合した組織内において組織の癒合を生じさせる。こうした方法には、機械的外傷（摩擦、穿刺等）及び組織の癒合を促進させる組織外傷を折り重ねた組織の層同士の間に形成されるための他の同様の手段を含む。組織が治癒する際、組織は互いに成長して又は外傷によって形成された生体材料の癒合性によって、組織は癒合部を生じさせる。図８〜図１０（ｂ）は、機械的手段によってどのように組織層の外傷を誘発すればよいかを例示している。

図８及び図９の実施形態では、留め具６０は、図８に示されているようなスパイク６６又は図９に示されているようなブレード６７を備えた基部６２を含む。他の適した穿刺手段又は切断手段を使用してもよい。留め具６０が設置されると、スパイク６６又はブレード６７は、接合点において、接合すべき組織層に外傷を生じさせる。治癒の過程で、外傷を負った細胞と出血によって癒合部が形成され、細胞同士が互いに接合される。好ましくは、胃底皺襞形成術で使用する場合、スパイク又はブレードは、胃又は食道の壁の厚さに第２の組織層のわずかな厚さすなわち追加の約１ミリメートルを加えた厚さだけ穿通すべきである。これによって出血が発生し組織の融合が促進される。

あるいはまた、図１０（ａ）及び図１０（ｂ）に示されているように、外傷を生じさせる手段は組織留め具上に配置されてもよい。これらの図はそれぞれ、例えば図２（ｅ）に示されている締め付け装置の把持アーム上に配置された穿刺構造、例えばスパイク７６又はブレード７７を示している。留め具が設置されると、好ましくは留め具部品の少なくとも１つのすぐ近くに隣接したスパイク７６又はブレード７７が接合すべき組織に外傷を生じさせる。組織層接合部における外傷を負った細胞は、治癒の過程で、癒合部を形成し、互いに接合する。また、こうした実施形態の機械的に外傷を生じさせる手段は締め付け装置の本体上に配置されてもよいことが理解されるだろう。

図１１に示されている本発明の別の実施形態では、２つの部品からなる留め具３１０は、第１の部品３１１と第２の部品３２１とから構成され得る。第１の部品３１１は、複数の逆とげ３１５を有したプレート３１２を含む。図１１に示されている逆とげ３１５は縦横の列になって配置されているが、他の配置及び数の逆とげも本発明の範囲内である。第２の部品３２１は、逆とげ３１５を受容して保持する開口部３２５を有した篩目３２２を備える。逆とげ３１５が篩目３２２の開口部３２５を通過すると、逆とげ３１５は篩目３２２を把持し、それによって第１の部品３１１を第２の部品３２１に保持する。第１の部品３１１を引っ張ると、逆とげ３１５は篩目３２２を把持し、第１の部品３１１が第２の部品３２１から離れるのを防止する。好ましくは、プレート３１２と篩目３２２は湾曲可能な材料で構成されており、留め具３１０が接続された組織の輪郭と同様の形状を得られるようになっている。さらに、留め具は好ましくは生体適合性材料から作製され、この生体適合性材料は生体吸収性を有していてもよい。好ましい材料には、ニチノールと、移植可能な等級のプラスチックと、ステンレス鋼（３１６ＳＳ）と、チタンと、ポリノルベン、ポリエチレン、ＰＬＬＡ、ＰＧＡ、ポリウレタン及びＰＴＦＥのような形状記憶ポリマーと、セラミックスと、金属及びポリマー又は充填ポリマーのような材料の混合物とが含まれる。そのコンプライアンスは好ましくは食道及び胃底の組織と同様である。この留め具の断面形状（プロファイル）は好ましくは平坦である。留め具の好ましい寸法は高さ約１〜８ｍｍ、幅６．３５〜１２．７ｍｍ（１／４〜１／２インチ）であり、最も好適には５ｍｍ×９．５２５ｍｍ（３／８インチ）である。これらの寸法はこのような留め具のありうる寸法を制限することを意図したものではない。幾何学的形状又は材料のコンプライアンスのような付加的なパラメータは本明細書の説明によって制限されるものではない。

留め具３１０を使用して組織部分を留めるために、接合すべき組織部分の一方に第１の部品３１１が配置され、接合すべき組織部分の他方に第２の部品３２１が配置される。第１の部分３１１の逆とげ３１５は接合すべき組織部分を穿通し、第２の部品３２１の篩目３２２と雄雌式に嵌合してその間に組織部分を保持する。

図１２及び図１３に示されているように、留め具３１０は挿入装置３３０によって挿入され得る。挿入装置３３０は本体３３５と旋回ジョー組立体（すなわち、旋回顎組立体）３４０とを含む。ジョー組立体３４０は、本体３３５の遠位端部と係合する回転式ジョー３４５を含む。ジョー３４５はリンク３３６によって本体３３５の端部に旋回式に接続する。図１２は、実質的に閉じた位置にあるジョー３４５を示している。この位置では、留め具３１０の第２の部品３２１は顎３４５によって保持され、本体３３５によって保持された留め具３１０の第１の部品３１１に面している。引っ張りワイヤ３５０又は他の適した作動手段がリンク３３６に接続され、ジョー３４５を図１２に示されている位置に回転させることができる。また、図１２は、本体３３５の内孔３７０（図１３参照）を通って延び本体３３５の遠位端部から出る内視鏡３６０又は他の可視化装置を示している。内視鏡３６０は、内視鏡の端部から手術部位が見えるように曲げられる遠位部分を有する。

本体３３５は、図１４に示されている直線的に移動する傾斜台状の構造体３８０を受容するためのチャネルを含んでもよい。傾斜台３８０は、患者外部の装置の近位端部で操作される任意の適した作動機構によってチャネル内を直線的に移動させられ得る。

動作の際、食道に挿入するときにジョー３４５が延長した位置から図１２に示されている位置に回転させられると、留められるべき組織部分がジョー３４５と本体３３５との間に折り重ねられる。その後、（図１４に示されているように）傾斜台３８０が本体３３５のチャネル内で留め具の第１の部品３１１に接しながら直線的に移動させられ、接合すべき組織部分を貫通して第２の部品３２１の篩目３２２に逆とげ３１５を押し付け、留め具の第１の部品と第２の部品との間に組織部分を保持することができる。本発明は、挿入装置３３０の本体上に第１の部品３１１を配置しジョー３４５上に第２の部品３２１を配置することに制限されないことが分かるであろう。この配置は逆にしてもよい。上述した癒合促進手段の何れかを図１１〜図１４の留め具と組み合わせてもよいことが理解されるだろう。例えば、逆とげ３１５は癒合促進手段でコーティングしてもよい。さらに、癒合促進手段を注入してもよい。

本発明の他の実施形態は、本明細書を検討し、本明細書で開示された発明を実施することから当業者に明らかであろう。明細書と実施例は例示的なものとしてのみ検討されるべきであって、本発明の真の範囲と精神は特許請求の範囲によって示されると考えられる。

食道の中間点から十二指腸の入口に近い点までの胃腸管の断面図である。 把持アームが閉じた位置にある状態における例示の内視鏡的胃底皺襞形成装置の側面図である。 把持アームが開いた位置にある状態における例示の内視鏡的胃底皺襞形成装置の正面図である。 把持アームが開いた位置にある状態における例示の内視鏡的胃底皺襞形成装置の側面図である。 把持アームが開いた位置にある状態における図２（ａ）〜図２（ｃ）の内視鏡的胃底皺襞形成装置の上面図である。 把持アームが開いた位置にある状態における内視鏡的胃底皺襞形成術で使用するための例示の組織留め具挿入装置の斜視図である。 胃底皺襞形成術を行うために図２（ａ）〜図２（ｄ）の装置が挿入されている食道と胃の一部分の断面図である。 胃底皺襞形成術中に図２（ａ）〜図２（ｄ）の装置が作動させられ胃底壁を食道壁に折り重ねた状態における食道と胃の一部の断面図である。 本発明の実施形態による内視鏡的胃底皺襞形成術で使用される例示の組織留め具の断面側面図である。 図４（ａ）に示されている留め具の斜視図である。 胃底皺襞形成術の後にＬＥＳと胃底とが互いに留められた状態になっている食道と胃の部分断面図である。 本発明の実施形態による組織留め具の一部品の側断面図である。 本発明の実施形態による他の組織留め具の一部品の側断面図である。 本発明の実施形態による組織留め具の一部品と組織留め具挿入装置との側断面図である。 本発明の他の実施形態による組織留め具の一部品の斜視図である。 図５（ｄ）の留め具によって留められた組織の折り重ね部の部分断面図であり、本発明の実施形態による癒合促進物質の送り込みを示している。 本発明の実施形態による癒合促進物質を注入するための針を含む他の組織癒合促進装置の側断面図である。 本発明の実施形態による癒合促進物質を注入するための多数の針を含む他の組織癒合促進装置の側断面図である。 本発明の実施形態による内視鏡的胃底皺襞形成術で使用される他の例示の組織留め具の側面図である。 本発明の実施形態による他の組織留め具の部分断面側面図である。 図６の組織留め具の側断面図である。 本発明の実施形態による他の組織留め具の部分断面側面図である。 本発明の実施形態による他の組織留め具の一部品の側面図である。 本発明の実施形態による他の組織留め具の一部品と組織留め具挿入装置との側面図である。 本発明の実施形態による他の組織留め具の一部品と組織留め具挿入装置との側面図である。 本発明の実施形態による他の組織留め具の部分拡大側面図である。 本発明の実施形態による図１１に示されている組織留め具と共に使用される組織留め具挿入装置の側断面図である。 線Ａ−Ａに沿った図１２の組織留め具挿入装置の断面図である。 本発明の実施形態による図１１の組織留め具の各部品が互いに接合された部分の側面図である。

Claims (22)

1. 組織表面を有した組織部分を互いに留めるための外科用留め具であって、
   第１の留め具部材と、
   第２の留め具部材と、
   前記組織表面の間の癒合を促進するための手段と、を備え、
   前記第２の留め具部材は、基部と、前記基部の中心の近くにおいて前記基部から延びる柱とを有し、前記柱は、留めるべき前記組織部分が前記第１の留め具部材と前記第２の留め具部材との間に保持されるように前記第１の留め具部材を受容し且つ保持するように構成され、
   前記癒合を促進するための手段は、前記第１の留め具部材内の通路を含み、前記通路が、治療剤を受容するための開口部を有すると共に、前記第１の留め具部材の中の少なくとも１つのポートに接続しており、前記ポートにより、前記組織部分への前記治療剤の送り込みを可能にすることを特徴とする外科用留め具。
2. 前記第１の留め具部材が、更に、留めるべき前記組織部分を穿通するために前記基部に接続されている穿通要素を有する、請求項１に記載の外科用留め具。
3. 前記第２の留め具部材が、前記第１の留め具部材の前記穿通要素を受容し保持するための開口部を有する、請求項２に記載の外科用留め具。
4. 前記治療剤が癒合促進剤である、請求項１に記載の外科用留め具。
5. 前記第１の留め具部材が、更に、留めるべき前記組織部分を穿通するために前記基部に接続されている穿通要素を有し、前記通路が前記基部及び前記穿通要素内にあり、前記ポートが前記穿通要素内にある、請求項１に記載の外科用留め具。
6. 前記治療剤を収容するためのリザーバをさらに備える、請求項１に記載の外科用留め具。
7. 前記リザーバが押しつぶし可能である、請求項６に記載の外科用留め具。
8. 前記リザーバが穿通可能である、請求項６に記載の外科用留め具。
9. 前記癒合促進剤が、硬化剤、接着剤、抗生物質、抗炎症剤、麻酔剤、生体液、成長因子、組織刺激剤、生体適合性材料を含む溶液、遺伝子、蛋白質、酵素、及び細胞のグループの少なくとも１つから選択される、請求項４に記載の外科用留め具。
10. 前記穿通要素が、一方の端部において前記基部に接続され且つ他方の端部にスパイクを有する軸を含む、請求項３に記載の外科用留め具。
11. 前記第２の留め具部材の前記開口部が、前記スパイクが前記開口部を通過した後に前記スパイクに接触して前記スパイクを前記第２の留め具部材内に保持するためのスパイク接触手段を含む、請求項１０に記載の外科用留め具。
12. 前記スパイク接触手段が、前記第２の留め具部材の突起を含む、請求項１１に記載の外科用留め具。
13. 前記少なくとも１つのポートが、前記第１の留め具部材の長さに沿って複数のポートを含む、請求項１に記載の外科用留め具。
14. 前記癒合を促進するための手段が、前記第１の留め具部材及び前記第２の留め具部材の一方を取り外し可能に受容する装置を含み、該装置が、治療物質を前記組織部分に送り込むための送り込み機構を受容するための通路を有する、請求項１に記載の外科用留め具。
15. 前記治療物質が癒合促進物質である、請求項１４に記載の外科用留め具。
16. 前記組織癒合を促進するための手段が、留めるべき前記組織部分において癒合を生じさせるために、前記第１の留め具部材及び前記第２の留め具部材の少なくとも１つの少なくとも一部分の上に配置される癒合促進材料を含む、請求項１に記載の外科用留め具。
17. 前記癒合促進材料がコーティングである、請求項１６に記載の外科用留め具。
18. 前記癒合促進材料が、前記第１の留め具部材の周囲に巻かれた縫合材料である、請求項１６に記載の外科用留め具。
19. 前記少なくとも一部分が、留めるべき前記組織部分を穿通するための前記第１の留め具部材の穿通要素である、請求項１６に記載の外科用留め具。
20. 前記組織癒合を促進するための手段が、前記第１の留め具部材の基部上に設けられた少なくとも１つの穿刺部材を含む、請求項１に記載の外科用留め具。
21. 前記少なくとも１つの穿刺部材が、留められるべき前記組織部分の１つの厚さ分の高さを少なくとも有するスパイクを含む、請求項２０に記載の外科用留め具。
22. 前記少なくとも１つの穿刺部材が、留めるべき前記組織部分の１つの厚さ分の高さを少なくとも有するブレードを含む、請求項２０に記載の外科用留め具。

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