JP4413012B2 - ウイルスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性ウイルスの産生の実質的な増強をもたらす細胞培養温度変化法に基づく耐熱性ウイルスの産生を最大にするための方法に関する。細胞培養条件の操作は、ある時間にわたり細胞増殖温度を亜最適(sub−optimal)レベルに低下させることにより、あるいは細胞の凍結保存アンプルの接種からの細胞増殖過程の複数継代の全体にわたり亜最適温度で細胞を増殖させ、ついで該温度を、宿主細胞へのウイルス感染の前、該感染と同時または該感染の後に、より高いレベルにまで上昇させることにより、ウイルス感染前の或る時間にわたり、亜最適宿主細胞増殖温度で細胞を増殖させることを要する。この方法は、宿主細胞培養内のウイルス産生のための公知の温度法と比較して、回収されうるウイルスにおける実質的な増加をもたらす。
遺伝子治療およびDNAワクチン接種用の組換えウイルスベクターの使用の領域における進歩により、臨床等級のウイルスの大規模な製造および精製の必要性が生じている。1つのそのようなウイルスファミリーはアデノウイルスである。アデノウイルスはアデノウイルス科に属し、これはトリアデノウイルス属(トリ)およびマストアデノウイルス属(ヒト、サル、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、イヌおよびオポッサム)に分けられる。アデノウイルス科に関する概説は、参照により本明細書に組み入れるFundamental Biology,3rd Ed.,Fields,B.N.,Knipe,D.M.およびHowley,P.M.編,Chapter 30,pp.979−1016(1996)に見られうる。遺伝子ワクチン接種および/または遺伝子治療用途においては、E1またはその他の欠失により欠損している複製欠損型アデノウイルス(「ガットレス(gutless)」アデノウイルスベクターを含む)の使用に特に関心が持たれている。アデノウイルスゲノムは一般にはヒトにおける良性病理に関連しており、1950年代初めのその発見以来、該ウイルスのゲノム体制はよく研究されている。また、該ゲノムは、それぞれのベクターを構築するために用いる方法に応じた様々な操作になじみやすい。複製欠損型ウイルス(例えば、本明細書に例示されている、HIV gagトランスジーンを発現するE1/E3欠失Ad5gagベクター)は、該欠失を相補する細胞系を要する。組換えウイルスベクターを産生させるためには、任意のそのような細胞系を使用することができるが、好ましくは、293細胞およびPER.C6(商標)細胞を含む(これらに限定されるものではない)細胞系を使用する。この目的のための多数の第1世代組換えアデノウイルスベクターが記載されている(例えば、Bettら,1994,Proc.Natl.Acad.Sci.91:8802−8806;WO 01/02607およびWO 02/22080を参照されたい)。「ガットレス(gutless)」アデノウイルスベクターは、一般にはウイルスタンパク質コード化配列を欠く第2世代アデノウイルスベクターであり、パッケージング細胞系(例えば、PER.C6(商標))内でヘルパー依存性(HD)アデノベクターと共に増殖するヘルパーウイルス(しばしば、E1欠失アデノウイルス)によりトランスでウイルスタンパク質が補足されることが多い。あるいは、ウイルスタンパク質の非存在下、これらのウイルスベクターは、複製、パッケージングおよびレスキューの成功に必要な構造および機能アデノウイルスタンパク質を発現しうる細胞系および/または「ヘルパーウイルス」によりトランスで補足されうる。これらのウイルスベクターの評判の高まり、およびウイルスベクターに基づくワクチンまたは遺伝子治療ビヒクルの商業的規模の量での製造の究極的な必要性を考慮すると、商業的等級の組換えアデノウイルスベクターの製造のための、より効率的な定性的および定量的方法を開発することが不可欠となっている。
温度は細胞増殖およびウイルス産生の両方のための重要なプロセスパラメーターであることが示されている。37℃の生理的温度は大多数の哺乳類細胞系の増殖に最適であることが示されている。37℃未満の温度は哺乳類細胞における細胞増殖速度、全体的な細胞代謝および特定の産物形成を減少させることがこれまでに示されている(例えば、Mooreら,1997,Cytotechnology 23:47−54;Chuppaら,1997,Biotechnol Bioeng.55:328−338を参照されたい)。ウイルス産生のための最適温度はウイルス株および宿主細胞系に左右されるが、ほとんどの場合は37℃未満であることが判明しており、例えば、FL細胞培養内での単純ヘルペスウイルス(HSV)産生は34℃(HogganおよびRoizman,1959,Virology 8:508−524)、ミクソーマウイルスの場合は32〜34℃(RossおよびSanders,1979,J.Gen.Virol.43:213−216)、および浮遊BHK21細胞培養内での口蹄疫ウイルスの場合は35℃(Capstickら,1967,J.Hyg.Camb.65:273−280)、およびMDCK細胞内の低温適応インフルエンザウイルスの場合は32℃である。37℃を超える温度は、一般には、ウイルスの複製には適さないか、または更には非許容温度である(Schweitzer−Thumannら,1994,Res.Virol.145:163−170)。レトロウイルスのような高易熱性ウイルスの場合には、より低温ではウイルス安定性が増加するということが主原因となって、培養温度を37℃(細胞増殖中)からウイルス産生のために32℃に低下させることによりウイルス生産性が有意に増加しうる(MctaggartおよびAl−Rubeai,2000,Biotechnol.Prog.16:859−865)。
これらの報告にもかかわらず、ウイルスに基づくワクチンおよび/または遺伝子治療のための商業的製品に課せられる定量面および定性面の両方を検討した、細胞培養からウイルスを製造するための大規模方法を開発することが尚も必要とされている。本発明は、ウイルス生産性の改善およびバッチ内の生産性のばらつきの排除をもたらす、最適温度範囲を定める最適化された細胞培養およびウイルス製造方法を開示することにより、これらの要求を検討し、それらを満足させるものである。
(発明の概要)
本発明は、耐熱性ウイルスの産生の実質的な増加をもたらす、細胞培養温度変化法に基づく、耐熱性ウイルスの産生を最大にするための方法に関する。本明細書に開示されている細胞培養/ウイルス製造方法における温度の操作は、(1)ウイルス感染前の或る時間にわたり、宿主細胞の培養を亜最適温度に変化させ、または(2)それぞれの亜最適温度で宿主細胞培養を接種し増殖させ、ついでそれぞれの宿主細胞へのウイルス感染の時点またはその付近で、より最適な増殖温度に戻すという温度変化法に基づいている。そのような温度変化法の応用は、確立された宿主細胞/ウイルス製造方法における他の培養および/または培地条件を更に操作しなくても、それぞれの宿主細胞/ウイルス製造方法における回収可能ウイルスを実質的に増加させるための単純であるが有効な方法を与える。
温度制御細胞培養環境での産生に適したいずれのウイルスもこの開示の範囲内に含まれると予想されるが、本発明は特に、耐熱性ウイルス、例えばアデノウイルス科のメンバー(すべての公知アデノウイルス血清型、およびそのようなアデノウイルス血清型から生じた組換えウイルス、例えば、当技術分野において公知の任意の第1または第2世代組換えアデノウイルスベクターを含む)およびピコルナウイルス科のメンバー(例えば、ポリオウイルス、ライノウイルス、A型肝炎ウイルス、口蹄疫ウイルス)に適用可能である。好ましいウイルスはアデノウイルスの任意の血清型であり、特に好ましいのは、少なくとも1つの異種トランスジーンを含有する任意の組換え第1または第2世代組換えアデノウイルスベクターである(例えば、Bettら,1994,Proc.Natl.Acad.Sci.91:8802−8806;WO 01/02607およびWO 02/22080(それらの3つの刊行物を参照により本明細書に組み入れることとする)を参照されたい)。
前記のとおり、本発明は、部分的には、ウイルス感染前の或る時間にわたり、培養温度を亜最適レベルにまで低下させ、または凍結保存細胞からの1以上の細胞増殖継代を含む細胞増殖過程の全体にわたり、亜最適レベルで細胞を増殖させ、ついで宿主細胞へのウイルス感染の前、該感染と同時に又は該感染の後、その特定のウイルスの産生のために生理的温度またはその付近まで変化させることを含む、細胞増殖のための温度変化法に基づく。本明細書に開示されており本発明の範囲内に含まれる温度変化法において更に操作されうる種々のパラメーターには、(1)亜最適培養条件への変化の範囲の改変、(2)亜最適温度での宿主細胞培養の時間の長さの改変、および(3)該細胞培養へのウイルス感染の時点を、それぞれの宿主細胞/ウイルス系に関する既知の生理的最適時点またはその付近における最適細胞培養条件への戻しと調整すること(この温度変化は、ウイルス接種の時点の周囲の合理的な時点、すなわち、該細胞培養へのウイルス感染の前、ウイルス感染と同時または該細胞培養へのウイルス感染の後の時点で行う)が含まれるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
本発明の1つの実施形態は、細胞へのそれぞれのウイルス(例えば、組換えアデノウイルスベクター)の感染前の或る時間にわたり、細胞培養温度を細胞増殖のために亜最適レベルにまで低下させるような温度変化を含む、ウイルス産生を増加させるための細胞培養温度変化法に関する。ウイルス感染の時点またはその付近で、温度を再び生理的細胞培養温度、または生理的培養温度に近い温度に変化させる。低温での細胞曝露と温度上昇との組合せは、ウイルス産生のための生理的に最適な実施をもたらす。
本発明のもう1つの実施形態は、細胞培養温度を、凍結保存細胞からの宿主細胞を該細胞培養に接種した時点から、細胞増殖のために亜最適レベルにまで低下させ、温度が最適温度に変化するまで(これは、ウイルス接種の時点の周囲の合理的な時点、すなわち、該細胞培養へのウイルス感染の前、ウイルス感染と同時または該細胞培養へのウイルス感染の後の時点で生じるべきである)1継代以上にわたり、亜最適温度で該細胞培養の成長を継続するような温度変化を含む、ウイルス産生を増加させるための細胞培養温度変化法に関する。
この目的において、本発明は、宿主細胞増殖のための生理的に最適な温度より低い温度で、適当な培地内で宿主細胞を接種し培養し、該宿主細胞にウイルスを感染させてウイルス感染宿主細胞を得、ウイルス産生のための生理的に最適な温度またはその付近で該ウイルス感染宿主細胞を培養し、宿主細胞を回収し細胞溶解し、ついでその回収し細胞溶解した細胞からウイルスを精製して精製ウイルス産物を得ることを含んでなる、ウイルスの製造方法に関する。
本発明の特定の実施形態は、宿主細胞増殖のための生理的に最適な温度またはその付近で、適当な培地内で宿主細胞を接種し培養し、宿主細胞培養の温度を、宿主細胞増殖のための生理的に最適な温度より低い温度まで変化させ、該宿主細胞にウイルスを感染させてウイルス感染宿主細胞を得、ウイルス産生のための生理的に最適な温度またはその付近で該ウイルス感染宿主細胞を培養し、宿主細胞を回収し細胞溶解し、その回収し細胞溶解した細胞からウイルスを精製して精製ウイルス産物を得ることを含んでなる、ウイルスの製造方法に関する。
亜最適温度への変化に関する時間枠は、好ましくは、感染工程前の約4時間から感染前培養全体の時間(細胞の凍結保存アンプルの接種を介した、培地への宿主細胞の接種の時点からを含む)までであり、亜最適温度での初期培養接種、亜最適温度での1〜数回の細胞継代、それに続く、ウイルスの感染および産生のための生理的に最適な温度への温度上昇を含むが、これらに限定されるものではない。
本明細書に開示されている及びこの節の前記段落に部分的に要約されている方法は、好ましくは、第1または第2世代アデノウイルスの任意の血清型に適用される。好ましい感染前および感染後細胞培養温度には、亜最適細胞増殖についての約31℃〜35℃、および宿主細胞培養へのウイルス接種ストックの感染の前(感染前)または後(感染後)の任意の培養期間のための生理的最適範囲としての約35℃〜38℃の範囲が含まれるが、これらに限定されるものではない。
本発明の1つの目的は、細胞増殖およびウイルス感染のために本明細書に開示の温度法を利用することにより、確立された宿主細胞/ウイルス産生培養系におけるウイルス産生を増加させるための単純であるが有効な方法を提供することにある。
本発明のもう1つの目的は、細胞培養中、該培養にウイルスを接種する前の或る時間にわたり、亜最適温度に変化させ、ついで、それぞれの宿主細胞/ウイルス産生培養系のための生理的に最適な温度またはその付近に戻す温度変化をもたらす該培養系における第2の温度変化を要する、ウイルス産生中の温度変化法を利用することによる、そのような改良されたウイルス製造方法を提供することにある。
(発明の詳細な説明)
本発明は、培養条件下で比較的耐熱性であるウイルス、典型的には任意の無包膜ウイルス、例えばアデノウイルス、パルボウイルス、レオウイルスおよび/またはピコルナウイルスの産生を最大にするための方法に関する。一般に認められている実施は、培養内の細胞増殖を、典型的には37℃の生理的温度で行い、細胞増殖と同じ温度またはより低い温度に低下させてウイルス増殖を行う、というものである。生理的温度での培養は、最適な細胞増殖を可能にするが、生産性および安定性の改善のためには、多数のウイルスの産生のための最適温度を、通常、より低くするということが、そのような製造方法の基礎となっている。本発明は、耐熱性ウイルスの産生の実質的な増加をもたらす細胞培養/ウイルス産生温度範囲を用いる、直感に反するアプローチに基づくものである。より詳しくは、本発明は、ウイルス感染前の或る時間にわたり、宿主細胞の培養を、亜最適培養温度に変化させ、または凍結保存細胞からの1以上の細胞増殖継代を含む細胞増殖過程の全体にわたり、亜最適レベルで細胞を増殖させ、ついでウイルス産生のための、より最適な温度に戻すという細胞培養/ウイルス産生温度変化法に関する。HIV gagトランスジーン(Ad5gag)をコードする組換えアデノウイルス血清型5の製造が本明細書に例示されている。ウイルス感染前の或る時間にわたり、宿主細胞増殖のための温度を亜最適レベルに低下させると、組換えAd5gagの産生における2〜3倍の増加が生じることが本明細書に示されている。ウイルス感染後には、該温度を最適レベルに再び上昇させる。
したがって、本発明は、耐熱性ウイルスの産生の実質的な増加をもたらす、細胞培養温度変化法に基づく、耐熱性ウイルスの産生を最大にするための方法に関する。本明細書に開示されている細胞培養/ウイルス製造方法における温度の操作は、(1)ウイルス感染前の或る時間にわたり、宿主細胞の培養を亜最適温度に変化させ、または(2)それぞれの亜最適温度で宿主細胞培養を接種し増殖させ、ついで、それぞれの宿主細胞へのウイルス感染の時点またはその付近で、より最適な増殖温度に戻す温度変化法に基づいている。そのような温度変化法の応用は、確立された宿主細胞/ウイルス製造方法における他の培養および/または培地条件を更に操作しなくても、それぞれの宿主細胞/ウイルス製造方法における回収可能ウイルスを実質的に増加させるための単純であるが有効な方法を与える。具体的な細胞培養およびウイルス産生の条件は本明細書の実施例に開示されているが、それぞれの宿主細胞/ウイルスの組合せとは無関係に、他の耐熱性ウイルスのウイルス産生を最適化するためにこの温度変化法を利用することは、当業者の認識範囲内であろう。当業者であれば、本開示に基づいて、ウイルス産生における可能な最高の増加をもたらす温度変化法が得られるように適合化および最適化を行うことが可能である。また、温度変化法と組合せて使用しうる当業者に公知の培養条件、培地組成および他のそのような工程または方法を改変し又は操作することも、本発明の範囲内である。そのようなパラメーターには、亜最適培養条件への変化の範囲(例えば、37℃から33℃へ、そして37℃に戻す、あるいは37℃から31℃へ、そして37℃へ戻す、細胞培養の移行)、亜最適温度での宿主細胞培養の時間の長さ(例えば、接種時点から1日間、4日間、20日間など)、およびウイルス感染と最適な細胞培養条件への戻しとの調整(例えば、感染後、感染時、またはウイルス感染前の或る特定の時点)の改変が含まれるが、これらに限定されるものではない。採用される具体的なパラメーターには無関係に、温度変化細胞培養法を用いない同じパラメーターの利用と比べて、温度変化法の利用はウイルス産生における実質的な増加を有効に可能にする。すなわち、本明細書に開示されている温度変化法は、それぞれの宿主細胞/ウイルス系において認められる産生レベルに比してウイルス産生を増加させるのに特に有用であろう。
前記の考察および後記の実施例を考慮すると、本発明は、温度変化が、細胞をそれぞれのウイルス(例えば、組換えアデノウイルスベクター)と接触させる前の或る時間にわたり細胞培養温度を亜最適レベルにまで低下させること含む、ウイルス産生を増加させるための細胞培養温度変化法に関する。ウイルス感染の時点またはその付近で、温度を再び生理的細胞培養温度、または生理的培養温度に近い温度に変化させる。本明細書に例示されているとおり、組換えアデノウイルスベクターの産生は、温度変化法を用いて最適化される。バッチサイクルの維持時間を減少させる、大規模生産のための細胞数の迅速な増加を可能にするためには、宿主細胞を初期継代において約35〜38℃、より好ましくは約36〜38℃、特に約37℃の最適増殖温度範囲で増殖させる。ついで該細胞増殖温度を約31℃〜約35℃(例えば、33℃)の範囲内の亜最適温度に低下させ、ウイルス感染前の数日間維持する。ウイルス感染後、ウイルス生産性を最大にするために該温度を35〜38℃の範囲に上昇させる。この温度変化法は、同じ温度を維持する又はウイルス感染後に温度を低下させる従来のアプローチと比較して、体積に基づく及び細胞当たりのウイルス生産性において有意な増強(ローラーボトル内では2〜3倍、および制御された2L撹拌タンクバイオリアクター内では約2倍)をもたらした。本発明は組換えアデノウイルス5血清型に関して例示されているが、本明細書に開示されている温度変化法は他のアデノウイルス血清型および他の耐熱性ウイルス、例えばピコルナウイルスにも適用可能である。本発明は特に、温度制御が行われるあらゆるタイプの培養容器(Tフラスコ、ローラーボトル、Nunc Cell Factories、Cell Cubes、Waveバイオリアクター、遠心フラスコ、振とうフラスコ、撹拌タンクバイオリアクターなど)内でE1形質転換哺乳類細胞系(293、PER.C6など)を使用する、すべてのアデノウイルス血清型の産生の増加に関する。したがって、前記のとおり、本発明は、部分的には、ウイルス接種前の或る時間にわたり培養温度を亜最適レベルに低下させ、ついで、宿主細胞へのウイルス感染の前、該感染と同時に又は該感染の後、該温度をその特定のウイルスの産生のために生理的温度またはその付近に戻すことを含む、細胞増殖のための温度変化法に基づく。本明細書に開示されており本発明の範囲内に含まれる温度変化法において更に操作されうる種々のパラメーターには、(1)亜最適培養条件への変化の範囲の改変、(2)亜最適温度での宿主細胞培養の時間の長さの改変、および(3)該細胞培養へのウイルス感染の時点を、それぞれの宿主細胞/ウイルス系に関する既知の生理的最適時点またはその付近における最適細胞培養条件への戻しと調整すること(この温度変化は、ウイルス接種の時点の周囲の合理的な時点、すなわち、該細胞培養へのウイルス感染の前、ウイルス感染と同時または該細胞培養へのウイルス感染の後の時点で行う)が含まれるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
本発明の1つの実施形態においては、細胞増殖温度を、まず、最適な生理的温度(例えば、約35℃〜約38℃)から35℃以下の温度へ或る時間にわたり変化させ、ついで該細胞培養へのウイルス感染の時点またはその付近で、生理的に最適な温度での培養に戻す。この方法は、感染を行い最適レベルの培養条件に戻した後のウイルス産生における有効な増加をもたらす。「亜最適」細胞増殖温度が、合理的な細胞増殖を支持し、細胞培養の成長のための最適な温度が約35℃〜約38℃(この場合もまた、約36〜38℃、そして36.5〜37℃が、特に好ましい範囲の一例である)である限り、および細胞増殖からウイルス感染への温度の上昇が生じる限り、本発明の実施においては35℃以下の任意の「亜最適」温度(31℃〜35℃、好ましくは31℃〜34℃、最も好ましくは約31℃〜約33℃の範囲を有するが、33℃〜35℃の、より高い範囲も当業者にとって有用である)が意図される。前記のとおり、より低い亜最適温度を容易に試験することが当業者において可能であるが、好ましい亜最適温度範囲は31℃〜35℃であり、より好ましい範囲は31℃〜34℃であり、31℃〜33℃および/または33℃〜35℃の下位範囲も当業者にとって有用である。好ましい温度変化法は、バイアルの規模から大規模生産の規模への細胞増殖の継続時間を有効に最小にするものである。すなわち、細胞を37℃の生理的温度で増殖させ、ウイルス感染前の或る特定の時間(通常、少なくとも24時間)にわたり亜最適温度に変化させ、細胞増殖の温度(例えば、それぞれの宿主細胞および/またはウイルスに応じて、37℃またはそれより少し低い温度)に戻す。
前記段落に記載したとおり、本発明の1つの実施形態は、培養を亜最適増殖条件に付す時間の長さに関する。その時間の長さは、数時間から、数継代(複数の日数)、宿主細胞のストックを含有する凍結バイアルからの初期培養を接種する全細胞増殖期間にまでのいずれかの期間の範囲でありうる。該培養を、まず、亜最適温度で接種し、ウイルスストックの接種まで、より低いこの温度に維持するという態様およびその中間のすべてのものが、本発明の範囲内に含まれる。亜最適温度法の若干の修飾(例えば、短時間の温度上昇およびそれに続く「亜最適」温度への低下)、および亜最適増殖の長さの若干の修飾、およびウイルス感染の時点に対する、温度を最適温度に戻す時点の若干の修飾(例えば、ウイルス感染後に数時間または該感染前に数時間、温度を上昇させる)は、本発明の範囲内に十分に含まれると理解されるべきである。
本発明を構成する温度変化法において使用する宿主細胞は、それぞれの耐熱性ウイルスの複製を支持する任意の哺乳類細胞系、特に、第1または第2世代アデノウイルスベクターの感染および複製を支持する当技術分野で公知の任意の宿主細胞系でありうる。好ましい宿主細胞は、E1および/またはE1/E3欠失組換えアデノウイルスの感染および複製を支持する宿主細胞系である。本明細書に開示されているとおり、そのような複製欠損型ウイルス(例えば、本明細書に例示されているAd5gag)は、Ad5 E1欠失を相補するヘルパー細胞系を要する。組換えウイルスを作製するためには、そのような任意の細胞系を使用することができるが、好ましい細胞系には、293細胞、PER.C6(商標)細胞、911細胞(ヒト胎児網膜細胞系に由来する)(Fallauxら,1996,Human Gene Therapy 7:215−222);E1形質転換アムニオサイト(Schiednerら,2000, Human Gene Therapy 11:2105−2116);ヒト肺癌のE1形質転換A549細胞系(Imlerら,1996,Gene Therapy 3:75−84)およびGH329:HeLa(Gaoら,2000,Human Gene Therapy 11:213−219)が含まれるが、これらに限定されるものではない。そのような細胞系は、E1またはE1/E3欠失組換え組換えアデノウイルスのようなそれぞれの組換えアデノウイルスの複製およびパッケージングを支持するように形質転換される。本発明において使用しうる更なる細胞系としてはまた、特定の耐熱性ウイルスのための宿主細胞として作用するように適合化された細胞系が挙げられる。該細胞系は連続的継代細胞系であることが好ましい。より好ましくは、該培養細胞の起源は非新生物性組織に由来する。また、該起源は、好ましくは哺乳動物であり、大抵は霊長類由来であり、特にヒト由来である。この場合も、好ましい細胞系は、E1欠失アデノウイルスベクターを含みAd E1コード化遺伝子でトランスフェクトされこの形質転換表現型に関して選択された細胞系を相補する組換えウイルス、Ad E1またはE1/E3欠失組換えウイルスの増殖に有用な細胞系、例えば293細胞(ヒト腎臓由来の上皮細胞)およびPER.C6(商標)(ヒト胎児網膜芽細胞)である。他の細胞型には、HeLa細胞、A549細胞、KB細胞、CKT1細胞、NIH/sT3細胞、Vero細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、またはアデノウイルスの生活環を支持する任意の真核細胞が含まれるが、これらに限定されるものではない。
培養は懸濁培養、すなわち、細胞増殖、ウイルス感染およびウイルス産生を支持する適当な培地内に維持された懸濁培養であることが好ましいが、必要というわけではない。そのような懸濁培養は当技術分野でよく知られており、この場合もまた、ウイルス産生を増加させる温度変化法の有用な利用に影響を及ぼすことなく、当業者に公知の多数の方法で修飾することができる。新鮮な培地を培地内に導入するためのバッチ、フェッドバッチまたは連続潅流操作を含む(これらに限定されるものではない)、ウイルス産生に適した種々の増殖条件に培地を付すことが可能である。この場合もまた、培地は、細胞を維持しそれぞれのウイルスの増殖を許容する任意の適当な培地でありうる。本発明の実施における使用に適した培地の多数の具体例、および修飾された又は新規の適当な培地を作製するための原理は当技術分野で広く知られている。総説としては、Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique;Freshen,RI編集,2000,Wiley−Lisps,pp.89−104および105−120のそれぞれ第8章(血清培地)および第9章(無血清培地)を参照されたい。一般には、培養内のそれぞれの細胞系の増殖を増強するために、血清培地または無血清培地が操作され、以下のいずれかが含まれる可能性がある:分泌細胞タンパク質、拡散栄養素、アミノ酸、有機および無機塩、ビタミン、微量金属、糖および脂質、ならびに恐らくは、成長促進物質(例えば、サイトカイン)のような他の化合物の選択。Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique(前掲),pp.483−515のTrade Indexに記載されているとおり、情報および細胞培地の両方の潜在的な供給源は実質的には際限ないものである。本発明の場合に用いられる好ましい培地は規定培地、例えば、Ex−Cell 525培地(JRH Biosciences,[http//www.jhrbio.com])および293 SFM II培地(Invitrogen)として本明細書に例示されている培地である。また、本明細書に開示されているとおり、そのような培地はグルタミンで補足されるのが望ましい。
本発明の温度変化法に適したウイルス型は、好ましくは、ヒト細胞に感染する無包膜DNAウイルスである2つのウイルス科のものである。これらの2つのウイルス型はアデノウイルス科(すべての公知アデノウイルス血清型、およびそのようなアデノウイルス血清型から生じた組換えウイルス)およびピコルナウイルス科のメンバー(例えば、ポリオウイルス、ライノウイルス、A型肝炎ウイルス、口蹄疫ウイルス)である。本明細書には、アデノウイルス科のメンバーであるアデノウイルス5血清型が例示されている。本明細書中で用いる「ウイルス」なる語は、選択された哺乳類細胞系におけるウイルス複製周期を完了するのに適した任意のウイルスを包含する意である。したがって、この用語は、疑いなく、野生型ウイルス、任意の遺伝的に修飾されたウイルス、例えば弱毒化ウイルス、あるいはより考えられうるものとして、潜在的な遺伝子治療および/またはDNAワクチン接種用途のための開発候補となりうる組換えウイルスベクターを包含する意である。そのような方法は、臨床等級のウイルスの大規模生産および精製の要求を生み出している。本明細書に開示されている改善された細胞培養/ウイルス産生パラメーターに適した好ましい組換えウイルスは、アデノウイルスとして公知のウイルスのファミリーである。アデノウイルスはアデノウイルス科に属し、これはトリアデノウイルス属(トリ)およびマストアデノウイルス属(ヒト、サル、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、イヌおよびオポッサム)に分けられる。アデノウイルスは当技術分野でよく知られており、参照により本明細書に組み入れるFundamental Biology,3rd Ed.,Fields,B.N.,Knipe,D.M.およびHowley,P.M.編,Chapter 30,pp.979−1016(1996)に見られうるような多数の総説の対象となっている。遺伝子ワクチン接種および/または遺伝子治療用途においては、アデノウイルスの血清型5のような幾つかのアデノウイルス血清型のいずれかに基づく、E1および/またはE3遺伝子の欠失により欠損している第1世代複製欠損型アデノウイルスの使用に特に関心が持たれている。更なるタイプのベクターは第2世代アデノウイルスベクターと称され、一般には、「ガットレス(gutless)」アデノウイルスベクターを含むアデノウイルスベクターのクラスを含む。ガットレスアデノウイルスベクターは、一般にはウイルスタンパク質コード化配列を欠くアデノウイルスベクターであり、パッケージング細胞系(例えば、PER.C6(商標))内でHDアデノベクターと共に増殖するヘルパーウイルス(しばしば、E1欠失アデノウイルス)によりトランスでウイルスタンパク質が補足されることが多い。あるいは、ウイルスタンパク質の非存在下、これらのウイルスベクターは、複製、パッケージングおよびレスキューの成功に必要な構造および機能アデノウイルスタンパク質を発現しうる細胞系によりトランスで補足されうる。HDベクター上に一般に存在するシス要素はパッケージングシグナルおよび逆末端反復配列(ITR)のみである。好ましくは、トランスジーンおよびそれに組込まれる任意の外因性非転写核酸(スタッファーDNA)を含め、Adビリオンは野生型ゲノム長の少なくとも約75%である。Adビリオンは、野生型ゲノム長の約75%の、より低いパッケージング限界を実質的に示すと報告されている。Parks & Graham,1997 J.Virology 71(4):3293−3298を参照されたい。27.7kbより小さいアデノウイルスベクターゲノムは非効率的にしかパッケージングされず、しばしば、ゲノム再配列を受けることが判明した。アデノウイルスは、マクロファージおよび樹状細胞のようなプロ抗原提示細胞を含む広い細胞指向性を有し、ほとんどの動物種の細胞に(たとえその細胞内で複製されなくても)感染することが可能であり、トランスでE1遺伝子産物が付与されるように設計された適当なヒト細胞系内で大量に産生されうる。
本発明を有効に例示するが本発明の範囲の限定を何ら示唆しない一連の実験において、33および37℃で増殖させたPER.C6(商標)細胞に、HIV−1 gagを発現する第1世代アデノウイルスベクターを31、33、35、37および39℃の温度で感染させてウイルスを産生させた。感染細胞の代謝およびアデノウイルスの産生に対する温度の影響を調べた。PER.C6(商標)細胞の増殖は、アデノウイルス感染後の培養温度に、より感受性となることが観察された(実施例1の図2Aおよび図2B)。低温においてさえも、PER.C6細胞は、より低速ではあるものの尚も良く増殖し、低温で高い生存性を維持した。高温でのウイルス感染および迅速な複製の結果として、細胞増殖が停止し、ウイルス感染および迅速な複製の結果として、細胞生存性が急に低下した(実施例1の図3Aおよび3B)。温度はアデノウイルスの複製速度論および生産性にも影響を及ぼした。感染前の細胞増殖温度には無関係に、37℃の生理的温度が最も速いウイルス複製を支持した。より高温では、より早くにピークウイルス濃度が生じた。感染前に37℃で細胞を増殖させた場合には、最高の細胞内ウイルス濃度は35℃で生じた。感染前に33℃で細胞を増殖させた場合には、それは37℃で生じた。ウイルス感染前の細胞増殖履歴が、感染細胞の代謝およびウイルスの産生において決定的に重要な役割を果たすことを示した。感染前に33℃で増殖させた細胞は、感染後の全温度で、有意に高い(60%〜200%)ウイルス生産性を有していた。これらの結果は、培養温度がアデノウイルスの産生における非常に決定的なプロセスパラメーターであることを示している。小規模のローラーボトルおよび2L撹拌タンクまたは容器バイオリアクターでの両方の研究において、温度変化の改良が例示されている。本明細書に示されているとおり、この場合にも何ら限定的ではない一例として、35℃未満の温度での細胞増殖速度は有意に低下したが、ウイルス感染前の細胞増殖のためのこの亜最適温度は、より高い温度での後続のウイルス産生には最適である(すなわち、上昇温度変化)。また、そのような亜最適温度での1〜2継代の細胞増殖はアデノウイルスベクターの産生に良く適していることも、本明細書に示されている。本明細書に開示されている温度変化法は、該方法において種々のレベルで温度を制御することにより、任意の製造規模で容易に実施することができる。大規模生産の場合、バッチ細胞維持時間の減少のために最も速い細胞増殖を達成するためには、大規模生産での細胞増殖およびウイルス感染の前の初期細胞増殖中の細胞増殖温度を最適な生理的温度に設定しうると認識される。しかし、感染前(例えば、予定されているウイルス感染の7〜16日前)の細胞培養中の温度(細胞増殖のための温度)の下降変化は31〜35℃、より好ましくは31℃〜34℃への低下であることが可能であり、それぞれの細胞培養条件に応じて、31℃〜33℃および/または33℃〜35℃の下位範囲が尚も非常に有用であることを(これは、最終製造容器および最終製造容器のための接種容器内で生じうるであろう)、本発明者らは示した。以下の非限定的な実施例に例示されているとおり、ウイルス感染の直後に、最適なウイルス産生を達成するために該温度を35〜38℃、好ましくは36〜38℃、最も好ましくは36〜37℃に上昇させる。これらの非限定的な実施例は、本発明をより詳しく例示するために記載されている。
PER.C(商標)細胞内でのAd5HIV−1 gagの産生
材料および方法:
細胞系および維持
ホスホグリセリン酸キナーゼプロモーターを使用してヒト胎児網膜芽細胞をアデノウイルス5型E1遺伝子でトランスフェクトすることにより、Crucell(Leiden,The Netherlands)から実施許諾されたヒト胎児網膜芽細胞系であるPER.C6(商標)細胞(Fallauxら,1998,Human Gene Therapy 9:1909−1917;米国特許第5,994,128号も参照されたい)を誘導した。E1遺伝子発現は該細胞に不死化をもたらし、選択マーカーの非存在下でE1(+)遺伝子型の維持を可能にする。該細胞を懸濁培養に適合化させ、ローラーボトル中、4mM L−グルタミン(Mediatech Inc.,Herndon VA)で補足されたEX−Cell(商標)525無血清培地(JRH Biosciences,Lenexa KS)内で、37℃、5% CO/95% 空気重層において通常に維持した。
種々の温度での細胞の増殖
37℃で維持されたPER.C6(商標)細胞の2本のローラーボトルをプールし、それを使用して、10本の850cm ローラーボトル(Corning,Cambridge,MA)中の、4mM L−グルタミンで補足されたEX−Cell(商標)525無血清培地に、4×10 生細胞/mlおよびローラーボトル当たり200mlの実効容積で播いた。該ボトルを5% CO/95% 空気で満たし、それぞれ2本のボトルの5群にランダムに分け、4RPMの回転速度、31、33、35、37および39℃の名目温度で3日間インキュベートした。その3日のインキュベーションの終了時に、各温度群からの2本のローラーボトルをプールして、2本の新たなローラーボトルに播き、3日間の第2継代にわたりそれぞれの温度でインキュベートした。33℃の群および37℃の群からの細胞を選択して、1群当たり5本のローラーボトル内で3回目の継代を2日間行い、ついでウイルス感染を行った(図1を参照されたい)。該感染の前に37℃および33℃で増殖させた細胞から導かれた5本のローラーボトルの2群をそれぞれI群およびII群と命名する。
ウイルスの種ストック
HIV−1由来のp55 gagトランスジーンを発現する第1世代アデノウイルス5型ベクター(E1およびE3欠失体)(WO 01/02607を参照されたい)をPER.C6(商標)細胞内で増幅した。
種々の温度におけるウイルス感染
細胞播種の2日後に、37℃および33℃の群の5本のローラーボトルに感染させた。古くなった培地を遠心分離により除去し、ついで細胞ペレットを、4mM グルタミンで補足された新鮮なEX−Cell 525(商標)培地に再懸濁させた。一定量の該ウイルスストックを加えて各ローラーボトルに感染させて、〜240ウイルス粒子(VP)/細胞の感染多重度(MOI)を得た。ついで各群の5本の感染ボトルを31、33、35、37および39℃の名目温度でインキュベートした。ウイルス感染の2、3および4日後、サンプルを各ローラーボトルから採取し、遠心分離して清澄化した。上清のアリコートを取り出し、細胞外ウイルスのアッセイのために−70℃で保存した。該細胞ペレットを新鮮な培地に再懸濁させて元の培養の10倍の濃度を得、ついで凍結および解凍を3回行った。ついで、得られたライセートを遠心分離により清澄化し、細胞内ウイルス濃度に関するアッセイまで−70℃で保存した。
温度のモニターおよび制御
いくつかの水ジャケット付きインキュベーター(Scientific,Marietta OH)および1つの37℃の温室(Environmental Specialties,Raleigh NC)内で、制御された温度での培養を行った。該実験の開始の9日前に、該インキュベーターおよび温室をそれらの目的温度設定点に調節した。この期間に、温度制御の安定性を確認するために、該インキュベーターおよび温室の温度の精密測定(mapping)を行った。6本のボトルの位置をそれらの各インキュベーターおよび該温室内の回転(ローラー)装置上に定めた。温度測定子を該ローラーボトルの蓋の孔に挿入し、該ボトルを適所に配置し、測定中には回転させた。これらの測定は該研究の培養温度の正確さを保証するものであった。
分析方法
血球計算盤で細胞濃度を測定し、トリパンブルー排除により生存度を評価した。Shabramら(1997,Human Gene Therapy 8:453−465)から改変した技術を用いて、陰イオン交換HPLC(AEXアッセイ)によりウイルス粒子(VP)濃度を測定した。該陰イオン交換HPLCアッセイの変動係数は典型的には10%未満である。定量的PCRに基づく効力アッセイを用いてウイルスの感染力を推定した。ウイルスサンプルを使用して96ウェル中の293単層培養に感染させた。感染の24時間後、該ウイルスDNAを各ウェルから抽出し、PCR法により定量した。通常のTCID50アッセイにより滴定された標準ウイルスストックから、ウイルスの感染力を推定した。
計算方法
生細胞濃度の時間積分は、平均細胞濃度に2つの時点間の培養時間を掛け算することにより計算した。比ウイルス生産性は、ウイルス濃度を感染時の生細胞濃度で割り算することにより計算した。
結果:
ウイルス生産性に対する温度の影響
ウイルス感染の2、3および4日後、ウイルス濃度の測定のために全てのローラーボトルをサンプリングした。前実験において、感染の1日後のウイルス濃度はAEXアッセイの検出限界未満であることが示されたため、該ローラーボトルからの培養体積の減少を避けるために、感染の1日後にはサンプルを採取しなかった。該細胞を遠心沈降させ、該感染細胞ペレットを、より小さな体積の培地に再懸濁させることにより、該サンプルを約10倍濃縮した。ウイルスの放出のための3回の凍結/解凍過程の後、該細胞ペレット中のウイルス粒子濃度をHPLCアッセイにより測定した。図4(図4A―I群、図4B−II群)に示すとおり、該細胞ペレット中のウイルス粒子濃度を細胞ごとに正規化した。I群においては、37℃で、感染の2日後に該細胞ペレット中の最高ウイルス濃度が見出されたが、このことは、ウイルス複製速度がこの温度で最高であったことを示唆している。この最適温度の両側にそれると、より遅いウイルス複製が生じた。しかし、該細胞ペレットから測定された細胞内ウイルス濃度は、より高い温度ではより早期にピークに達したようであった。37℃および39℃の両方においては、感染の3日後に該細胞ペレット中のウイルス濃度が減少した。細胞生存度が急速に減少し細胞溶解が生じたことから、この濃度減少は、おそらく、培地内への細胞内ビリオンの放出の結果によるものであった。該ウイルスは35℃ではそれより若干遅く複製されたが、感染の3日後にウイルス濃度は上昇し続け、前日に37℃で到達したピーク濃度を上回った。第4日の最高細胞内ウイルス濃度は、更に下降変化を伴って33℃で認められた。31℃では、細胞内ウイルス濃度は、より高い温度での細胞内ウイルス濃度と比べて微々たるものであったが、それは第4日に上昇し続けた。しかし、複製速度論が好ましくないため、それが有意に高いレベルに達するとは考えにくかった。
II群においては、最高細胞内ウイルス濃度は、37℃では第2日に、35℃では第3日に、そして33℃では第4日に見出され、これは群Iと全く同じである。ピーク細胞内濃度は、37〜39℃では第2日に、33〜35℃では第3日に、そして31℃では第4日に見出され、これもI群と同じである。しかし、それらの2つの群の間には大きな違いがあった。第1に、II群では、最高細胞内ウイルス濃度は37℃で第2日に見出されたのに対して、I群では、35℃で第3日に見出された。第2に、ウイルス生産性はII群の方が全ての温度を通じて有意に高かった。対応点の比較を図6Cに示す。この図においては、同じ日のI群に対するII群のウイルス力価比が、全5個の異なる温度に関してプロットされている。感染の2日後では、II群のウイルス力価はI群のものより60〜200%高かった。これらの差は、高温で、有意に、より大きかった。それらの2群間の差は第3日および第4日には、より小さくなったが、依然として有意であった。
該上清中のウイルス濃度は、通常、該HPLCアッセイの検出限界未満であった。したがって、このウイルスを測定するために、より高感度の感染度アッセイを用いた。細胞内および細胞外ウイルスの相対分布を推定するために、上清および細胞ペレットのサンプルを、同じアッセイで平行して測定した。予想どおり、細胞生存度が有意に減少したウイルス複製後期に特に、有意な量のウイルスが培地内に放出された。これらのデータは、細胞ペレットにおいて測定されたウイルス濃度の減少が主として培地内へのウイルス放出によるものであったという仮定を証明するものであった。ウイルス生産性に関する前記考察は細胞ペレットのみにおける測定に基づいていたが、上清中のウイルスの割合に注目した場合にも、同じ全体像が得られた。
PER.C6(商標)細胞のアデノウイルス感染に対する培養温度の影響を徹底的に調べた。感染細胞増殖およびウイルス産生において、顕著な相違が観察された。同じMOIで感染させたが感染後に異なる温度でインキュベートした細胞は、異なる増殖挙動を示した。高温(35〜39℃)では、アデノウイルス感染は完全な細胞増殖停止を引き起こしたが、より低い温度(31〜33℃)では、感染後の有意な細胞増殖が観察された(I群に関する図2AおよびII群に関する図2B)。また、感染後の細胞生存度は培養温度に対する強い依存性を示した(I群に対する図3AおよびII群に対する図3B)。それは、より高い温度ではウイルス複製の経過にわたり急速に減少したが、より低い温度では合理的に高いレベルに維持された。感染に用いたMOIは、同調感染に十分な程度に高いはずである。より低い温度での限定された細胞変性効果は、遅く且つ損なわれたウイルス複製を示しており、これは、感染後の4日間にわたり測定された低いウイルス濃度と符合する。
温度はアデノウイルスの複製速度にも劇的な影響を及ぼした。該ウイルスは、高温ではより速く複製され、最適温度は37℃であることが判明した。その結果、細胞ペレットにおけるウイルス濃度は、37〜39℃では、31〜35℃の場合よりも早くピークに達した。しかし、この最適な速度論的温度は最高ウイルス生産性とは一致しなかった。感染前に37℃で増殖させた細胞は35℃で最高ウイルス濃度を与え、一方、感染前に33℃で増殖させた細胞は37℃で最高値を与えた。
培地内へのウイルス放出と細胞生存度との間には、強い相関性が認められた。この相関性は、培地内のウイルス比率の、単純かつ迅速な推定をもたらし、これは、特に細胞内ウイルスのみが回収されうる場合の回収方法を開発するのに用いることが可能であろう。細胞増殖履歴は細胞増殖、代謝およびウイルス生産性に対して有意な影響を及ぼすことが判明した。また、アデノウイルスの複製速度論と生産性との間に有意な相違が認められた。感染前に33℃で増殖させた細胞は、すべての温度において60%〜200%高い生産性を示した。
ウイルス産生に対する亜最適温度での継代時間の影響
材料および方法は、実施例1に記載されているものと実質的に同じである。簡潔に説明すると、図5は該実験計画の概要を示す。6mM L−グルタミン(Biowhittaker Inc.,Walkersville,MD)で補足された293 SFM II(Invitrogen,Grand Island,NY)無血清培地内のPER.C6(登録商標)細胞を2つのバイオリアクターに33.0℃および36.5℃で播いた。細胞を〜2.5×10 細胞/mlまで増殖させ、新たなバイオリアクター内で適当な温度で希釈した。2継代から4時間までの範囲の33.0℃の「温度変化」を用いる各容器の温度制御法を図5に示す。70ウイルス粒子/生細胞の感染多重度を用いて、HIV−1 gagトランスジーンをコードする複製欠損型アデノウイルスを該細胞に感染させた。感染直後に、すべてのリアクターの温度を36.5℃に変化させた。細胞内ウイルスおよび細胞外ウイルスの両方を含有するTriton−X100細胞溶解全ブロスサンプル(TL)ならびに上清からの、感染後時間(hpi)が48時間のウイルス濃度を、HPLCアッセイにより毎日測定した。ついで、残存細胞内ウイルスを上清内に放出させるための細胞溶解バッファーの添加により、または機械的せん断を用いて細胞内ウイルスを放出させることにより、ウイルスバルク(bulk)を回収した。ついで、細胞残渣、宿主細胞タンパク質およびDNA、未詰込みウイルスタンパク質およびDNAならびに他の不純物を除去するために、得られた全ブロスウイルスバルクを多工程で更に精製した。本実施例は実施例1に記載の結果を反復するものであった。すなわち、ローラーボトルおよび2L バイオリアクターの両方におけるその研究は、細胞増殖(2継代)中は33.0℃に、そして感染中は37.0℃に温度を制御することにより、ウイルス産生が向上したことを示している。33.0℃(培加時間は〜50時間)での細胞増殖は36.5℃の場合(倍加時間は〜30時間)より遅い。これは、バイオリアクターにおいては〜12日から〜17日へと全バッチ時間の延長を招き、これは、工場における単位時間当たりのウイルス産生を低下させる。前記実験で見られたウイルス産生の増強を維持しながら、「亜最適」温度継代から最適なウイルス産生が得られるように、それぞれの系を最適化することが当業者に課されるであろう。
図6は、種々の温度制御法(すなわち、ウイルス接種前の亜最適温度の時間を様々にし、培養温度を生理的最適温度に上昇させる)におけるウイルス産生を示す。これらのデータは、数時間の温度変化がウイルス生産性の最適な増強をもたらさないことを示している。製造工程の長さを最小にするために、低下した温度での「亜最適細胞増殖」の時間の長さを更に最適化することが可能である。該データは、実施例1に記載のローラーボトルにおいて得られた結果と一致している。7〜16日間の亜最適インキュベーション時間での温度変化法により、36.5℃の対照と比較してウイルス生産性における2〜3倍の増強が得られる。これらのデータはその特定の実験の特殊性を反映している可能性があること、および当業者は温度以外の培養条件を最適化して、ここに示されている範囲から最適ウイルス増殖に必要な亜最適インキュベーション時間を短縮し、ウイルス感染時点に対する温度上昇時点を調節することが可能であると認識されるであろう。
本発明の範囲は本明細書に記載の特定の実施形態により限定されるものではない。それどころか、本明細書に記載されているものに加えて、本発明の種々の修飾が前記説明から当業者に明らかとなろう。そのような修飾は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれると意図される。
本明細書中には種々の刊行物が引用されているが、それらの開示の全体を参照により本明細書に組み入れることとする。
図1は、無血清条件下のローラーボトル内の種々の温度でのPER.C6(商標)細胞の複数継代およびアデノウイルス感染の概要図を示す。 図2Aは、31、33、35、37および39℃の温度で培養したアデノウイルス感染PER.C6(商標)細胞の生細胞濃度を示す。ウイルス感染前に37℃で細胞を増殖させたI群を示す。 図2Bは、31、33、35、37および39℃の温度で培養したアデノウイルス感染PER.C6(商標)細胞の生細胞濃度を示す。ウイルス感染前に8日間、33℃で細胞を増殖させたII群を示す。 図3Aは、31、33、35、37および39℃の温度で培養したアデノウイルス感染PER.C6(商標)細胞の生存性を示す。ウイルス感染前に37℃で細胞を増殖させたI群を示す。 図3Bは、31、33、35、37および39℃の温度で培養したアデノウイルス感染PER.C6(商標)細胞の生存性を示す。ウイルス感染前に8日間、33℃で細胞を増殖させたII群を示す。 図4Aは、アデノウイルスの複製の速度論、および31、33、35、37および39℃の温度でのPER.C6(商標)培養内のウイルス生産性に対する培養温度の影響を示す。ウイルス感染前に37℃で細胞を増殖させたI群における細胞内ウイルス生産性を示す。 図4Bは、アデノウイルスの複製の速度論、および31、33、35、37および39℃の温度でのPER.C6(商標)培養内のウイルス生産性に対する培養温度の影響を示す。ウイルス感染前に8日間、33℃で細胞を増殖させたII群における細胞内ウイルス生産性を示す。 図4Cは、アデノウイルスの複製の速度論、および31、33、35、37および39℃の温度でのPER.C6(商標)培養内のウイルス生産性に対する培養温度の影響を示す。I群に対する群IIのウイルス生産性の比を示す。 図5は、図1の場合と同様の実験計画、すなわち、「亜最適」温度の時間の長さがAd5gagウイルスの産生に及ぼす影響を示す。 図6は、図5に記載の研究からの種々の温度法におけるウイルス産生を示す。

Claims (8)

  1. a)31℃〜34℃の温度で、宿主細胞を培養し、
    b)該宿主細胞にアデノウイルスを感染させて、アデノウイルス感染宿主細胞を得、
    c)35℃〜38℃の温度で、該アデノウイルス感染宿主細胞を培養し、
    d)アデノウイルスおよび/またはアデノウイルス含有細胞を該培養から回収し、
    e)宿主細胞および培養混入物からアデノウイルスを精製して、精製アデノウイルス産物を得ることを含んでなる、アデノウイルスの製造方法。
  2. a)35℃〜38℃の温度で、適当な培地において宿主細胞を接種及び培養し、
    b)工程a)の宿主細胞培養の温度を、31℃〜34℃の温度まで変化させ、
    c)工程b)の宿主細胞にアデノウイルスを感染させて、アデノウイルス感染宿主細胞を得、
    d)35℃〜38℃の温度で、該アデノウイルス感染宿主細胞を培養し、
    アデノウイルスおよび/またはアデノウイルス含有細胞を該培養から回収し、
    )宿主細胞および培養混入物からアデノウイルスを精製して、精製アデノウイルス産物を得ることを含んでなる、アデノウイルスの製造方法。
  3. 該宿主細胞に該アデノウイルスを感染させる前の全細胞継代までにわたり、工程b)の培養温度を31℃〜34℃の温度に低下させる、請求項2記載の製造方法。
  4. 該宿主細胞に該アデノウイルスを感染させる前の少なくとも24時間、工程b)の培養温度を31℃〜34℃の温度に低下させる、請求項2記載の製造方法。
  5. 工程a)における細胞増殖のための温度が36℃〜38℃である請求項3記載の製造方法。
  6. 工程a)における細胞増殖のための温度が36℃〜38℃である請求項4記載の製造方法。
  7. 工程a)における細胞増殖のための温度が36℃〜38℃であり、工程)における感染宿主細胞の増殖のための温度が36℃〜38℃である、請求項3記載の製造方法。
  8. 工程a)における細胞増殖のための温度が36℃〜38℃であり、工程)における感染宿主細胞の増殖のための温度が36℃〜38℃である、請求項4記載の製造方法。
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