JP4412832B2 - 発塵性粉体の防塵処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、取り扱い時又は輸送中や保管中などに飛散しやすいセメントなどの粉体の発塵を防止する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
取り扱い時又は輸送中や保管中などに発塵しやすいセメントなどの粉体の発塵を防止する技術として、発塵性粉体にフィブリル化性ポリテトラフルオロエチレン(以下ポリテトラフルオロエチレンをPTFEという)を添加し、圧縮・剪断力を加えるように撹拌してフィブリル化性PTFEをフィブリル化することにより発塵を抑制する技術が開発されている。
【0003】
このような防塵処理技術として、例えば、特公平5−24872号公報に開示されているものがある。この公報に開示されている技術を用いて、セメント粉にフィブリル化性PTFEを添加し、圧縮・剪断力を加えるフィブリル化処理を施すと、セメント粉はPTFEフィブリルのクモの巣状のネットで被覆凝集された状態となるため、セメント粉が空気中へ飛散することの無い防塵セメントを得ることができる。
【0004】
また、フィブリル化性PTFEを粉末物質に混合し、この混合物に対して20〜200℃の温度で圧縮・剪断作用を施すことにより、PTFEをフィブリル化して、粉末状物質の塵埃発生を抑制する技術が特公昭52−32877号公報に開示されている。
【0005】
このように、特公平5−24872号公報や特公昭52−32877号公報に開示されている技術に基づいてセメント粉などに防塵処理を施すことによって、塵埃の発生を防止することが可能である。
【0006】
上記PTFEフィブリルのネットにより防塵する方法の欠点は、防塵粉体製品を、たとえば、粉体輸送方法として一般的に使用される空気輸送装置で圧送又は吸引輸送する時や、高速回転のスクリューコンベアやロータリーフィーダーなどにより高速度で移送する時に、該製品に強い空気圧、吸引力又は剪断力などが作用し、PTFEフィブリルの一部が断裂したり、粉体粒子の一部がPTFEフィブリルのネットより離脱したりして、防塵性能が著しく低下することである。従って、防塵粉体製品の場内移送工程においてはベルトコンベアのような該製品に強い外力のかからない輸送機を使用せざるを得ず、該製品の移送にはある程度の装置的及び量的な制約を受けると言う問題があった。しかも、防塵性能が低下した発塵性粉体を再度20〜200℃の温度で撹拌し圧縮・剪断作用を与えても防塵性能を回復させることはできなかった。従って、防塵性能を回復させるには、再度適量のフィブリル化性PTFEを添加し、20〜200℃の温度で撹拌し圧縮・剪断作用を与える必要があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、移送時に防塵性能が低下した発塵性粉体の防塵性能を、比較的簡単な工程で、且つ経済的に有利に回復又は向上させる防塵処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る発塵性粉体の防塵処理方法は、発塵性粉体にフィブリル化性ポリテトラフルオロエチレンを添加し20〜200℃の範囲の温度条件下で圧縮・剪断作用を与え該発塵性粉体のフロー値が150mm〜200mmの範囲となるように制御する第一次防塵処理工程及び第一次防塵処理工程で得られた防塵処理粉体が運搬手段により運搬される際にポリテトラフルオロエチレンフィブリルの一部が断裂したり粉体粒子の一部がポリテトラフルオロエチレンフィブリルのネットより離脱したりするような外力を受け防塵性能が劣化した該防塵処理済み粉体に新たにフィブリル化性ポリテトラフルオロエチレンを添加することなく50〜150℃の範囲の温度条件下で再度圧縮・剪断作用を与える第二次防塵処理工程とよりなることを特徴とする。
【0009】
フロー値とは本来モルタルの軟度を示す指数で、その測定方法はJIS R5201に規定されている。本発明では、防塵処理したセメントについて同様な方法で測定したフロー値をPTFEのフィブリル化度を示す指数として用いる。その測定方法は、直径300mmのフローテーブルの中央に下部内径100mm、上部内径70mm、高さ60mmのフローコーンをセットし、その中央に試料を充填し、フローコーンを取り除いた後、フローテーブルごと100mmの高さから落下させることを10回(1秒に1回の割合)繰り返し、試料が広がったのちの直径を測定してフロー値とする。図2に示すように、粉体の発塵量が少なく防塵性能が高い場合は粉体の流動性が低く、フロー値は小さくなる。
【0010】
フィブリル化性PTFEによる発塵性粉体の防塵処理は、発塵性粉体にフィブリル化性PTFEを添加し、20〜200℃の温度で圧縮・剪断作用を施すと、当初はフィブリル化性PTFEの発塵性粉体への分散およびフィブリル化性PTFE粒子からのフィブリルの初期生成が起こり、次いでフィブリルが急速に発達し、粉体の発塵現象は急激に治まり、プラトー状態になり、さらに圧縮・剪断作用を加えると最終的には防塵性が低下し再発塵化現象が見られる段階に達する。これを模式的に示すと図1のようになる。
【0011】
フィブリル化性PTFEの粒子は、上述のごとく適当な温度下で発塵性粉体中に分散され圧縮・剪断力により繊維化されフィブリルになる(図1のA領域)。さらに圧縮・剪断力を与えるとフィブリルが成長し発塵性粉体粒子を捕捉して防塵性能が向上する(図1のB領域)。フィブリルの成長は、圧縮・剪断作用によりフィブリルが引き延ばされて、フィブリルのアスペクト比(フィブリル長/断面積)が大きくなることであり、そのまま引き延ばし続けるとついにはフィブリル径が細くなりすぎて断裂し、該フィブリルは発塵性粉体を捕捉する能力を失うことになる。ミクロ的に言えば、すべてのフィブリル化性PTFE粒子のフィブリル化が同時進行的に起こるものではなく、ある粒子は圧縮・剪断作用開始後直ちにフィブリル化を開始し、ある粒子は遅れてフィブリル化する。さらに圧縮・剪断作用を続けると、先に生成したフィブリルの断裂とフィブリルの成長とが共存する状態になる。これらが平衡状態にあるのがプラトー状態である(図1のC領域)。その後も圧縮・剪断作用を続けるとフィブリルの断裂が支配的になり、最終的には再発塵化現象が見られる段階に達する(図1のD領域)。
【0012】
発塵性粉体のフィブリル化性PTFEによる防塵処理においては、図1に示すC領域の状態が防塵効果が高く経済的であるとされている。しかし、移送時などに外力を受け防塵性能が低下した場合、再度20〜200℃の温度で撹拌し圧縮・剪断作用を与えても防塵性能を回復させることはできない。
【0013】
本発明によれば、防塵粉体製品の移送中などにPTFEフィブリルの一部が断裂したり、粉体粒子の一部がPTFEフィブリルのネットより離脱したりするような外力が加わったとしても、新たにPTFEを追加投入することなく、発塵性粉体に混合・分散している未フィブリル化PTFE又は部分フィブリル化PTFEをフィブリル化又は再フィブリル化する第二次防塵処理工程を経ることより発塵性粉体を防塵化することが可能である。さらに、粉体を船積みやトラックにバラ積みする時などの場内移送に際して、例えば加熱スクリューコンベアを使用することにより移送と圧縮・剪断作用を施す防塵処理とを同時に行うことができ、防塵処理のために新たに一工程を加える必要がないと言う利点もある。
【0014】
ここで使用されるPTFEは米国特許2559752号に記載されるような乳化重合法で製造されるフィブリル化可能なものであって、エマルジョン型又はパウダー型のいずれをも使用することができる。
【0015】
第一次防塵処理工程で、フロー値の制御とは、PTFEのフィブリル化の程度を制御するもので、PTFEの添加量、発塵性粉体の種類及び処理温度により異なるが、一般的には、PTFEの圧縮・剪断作用を調整することにより行う。具体的には,ミキサーなどの撹拌羽根のスピードと撹拌時間をコントロールすることで達成される。
【0016】
PTFEのフィブリル化による発塵性粉体の防塵処理を1回だけ行う場合はプラトー状態の近辺(図1のC領域)にすることが防塵効果及びフィブリル化性PTFEの利用効率の点で最適とされており、この時のフロー値は、粉体の種類により多少の差はあるが、150mm未満である。
【0017】
輸送機などの運搬装置を経た後第二次防塵処理工程において防塵性能を回復することが可能なPTFEフィブリルは、比較的小さいアスペクト比にとどめておく必要があり、これは図1のB領域に当たる。この時のフロー値は150mm〜200mmの範囲である。一方、第一次防塵処理工程が図1のA領域の処理物、すなわち短い撹拌時間で処理されたPTFEフィブリルが未成長の処理物は、第二次防塵処理工程において防塵性能を回復することはできない。さらに、図1のC領域の処理物、すなわちPTFEのフィブリル化による防塵効果がプラトー状態にある処理物や、図1のD領域の処理物、すなわち長い撹拌時間で処理されたPTFEフィブリルが断裂した処理物も、第二次防塵処理工程において防塵性能を回復することはできない。
【0018】
第二次防塵処理工程において圧縮・剪断作用を施す温度条件は50〜150℃である。後述の試験結果によれば、50℃より低い温度では防塵性能の回復又は向上が見られず、一方150℃より高い温度ではセメントの偽凝結など発塵性粉体の品質低下が見られる。
【0019】
第一次防塵処理工程におけるPTFEの添加量は、発塵性粉体100重量部当たり0.01〜0.5重量部とすることが望ましい。PTFEの含有量が0.01重量部より少ない場合は十分な防塵性能が得られず、0.5重量部より多い場合には第一次防塵処理工程で発塵性粉体がマシュマロ状に固まってしまう現象が見られる。なお、第二次防塵処理工程において、新たに同種又は異種の発塵性粉体を追加することも可能である。この時は第一次防塵処理工程におけるPTFEをやや多めに添加しておくと良い。
【0020】
本発明の方法はいかなる発塵性粉体にも適用可能であるが、特に好適な粉体は生産量が多く、船舶、貨車又は自動車などにより大量輸送が行われるような粉体であって、例えば、セメント粉、消石灰粉、生石灰粉、炭酸カルシウム粉、スラグ粉、フライアッシュ、タルク、石膏などがある。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図3はセメント工場で製造されたポルトランドセメントに本発明の防塵処理方法を適用した工程説明図である。
【0022】
ポルトランドセメントの製造工程において、焼成を終えたクリンカーは空気で急冷され、石膏などの添加物が加えられた後、仕上げミルで粉砕され、粒度調整されるが、その直後のホッパー10内のセメントは100℃程度の残熱を有している。この高温のセメント10にPTFEホッパー11からフィブリル化性PTFEを添加し、ミキサ13を用いて混合、撹拌することによって圧縮・剪断作用を与えると、PTFEのフィブリル化が進み、該セメント粒子の大多数が部分フィブリル化PTFEのフィブリルのネットにより捕捉された防塵セメントが得られる。
【0023】
ここで添加されるフィブリル化性PTFEの最適量は、防塵処理温度、圧縮・剪断を与えるミキサの構造、添加方法などの諸条件によって左右されるが、本実施形態の場合、セメント100重量部当たり0.03重量部のフィブリル化性PTFEを添加した。
【0024】
なお、本実施形態においては、フィブリル化性PTFEとしてエマルジョンタイプの商品名「テフロン(登録商標)K−20」を使用したが、パウダータイプの商品名「テフロン(登録商標)K−10」を使用することもできる。
【0025】
また、本実施形態においては100℃の残熱を有するセメントを使用しているが、温度が低下したセメント製品には、ホッパー14内の生石灰とホッパー12内の水とをミキサ13に添加し、その水和反応熱により昇温させる方法、又は加熱装置により昇温する方法などを採用することもできる。
【0026】
本実施形態においては第一次防塵処理工程にミキサ13を用いて圧縮・剪断作用を与えているが、セメント粉体の種類、PTFEの形態、昇温方法、添加水量などによってミキサの適性が異なるので、予備試験結果などに基づいて、パン型ミキサ、二軸バグミル型ミキサ、ローラ型ミキサなどの中からフィブリル化効率の良いものを選定することが望ましい。なお、ローラ型ミキサを使用した場合、セメント粉はローラとミキサ底面との間で圧縮作用、剪断作用及び圧延作用などの複合作用を効率よく受けることができるため、添加水量を極力少なくしたいセメントの防塵処理に好適である。
【0027】
前述の工程によりミキサ13において製造された防塵セメントは、チェーンコンベア及びバケットエレベーター15を経由して製品サイロ16に収納されたのち、空気圧送により圧送管17を経由してセメントタンカー18又はセメント輸送車19に移送、積載されて、これらの船舶又は車により目的地までバラ積み輸送され、再び空気圧送により圧送管20を経由して中継基地の製品サイロ21に移送される。
【0028】
このあと、防塵セメントは製品サイロ21からチェーンコンベア及びベルトコンベア22を経由し、第二次防塵処理工程として加熱スクリューコンベア23により加熱下の圧縮・剪断作用を施し防塵性能を回復させて、未包装のまま、又は一定量づつ袋詰めされた後、セメント輸送車24によって目的地へ輸送される。この防塵セメントの製造から製品出荷までの間の、数度に亘る空気圧送及び高速移送により、PTFEフィブリルの一部が断裂したり、粉体粒子の一部がPTFEフィブリルのネットより離脱したりして、防塵性能が著しく低下する現象が起こるが、出荷前の加熱スクリューコンベア23による第二次防塵処理工程で加熱と圧縮・剪断作用により、防塵セメント中に含まれるPTFEが再フィブリル化して、離脱したセメント粒子をフィブリルのネットにより再捕捉するため、該防塵セメントの防塵性能は回復、又は向上することになる。
【0029】
なお上記の実施態様においては、発塵性粉体の発生場所であるセメント工場における第一次防塵処理工程で処理された防塵セメントが中継基地を経由する場合について述べたが、製造場所から大口消費場所、例えばダム建設サイトに直接バラ輸送する場合もあり、その場合は使用場所であるダム建設サイトで第二次防塵処理を行っても良い。
【0030】
このように本実施形態においては、100℃程度の残熱を有するセメントにフィブリル化性PTFEを添加してミキサ13における第一次防塵処理工程で圧縮・剪断作用を施し、フィブリル化PTFEのフィブリルのネットによりセメント粒子を捕捉している防塵セメントをフロー値が150mm〜200mmの範囲になるように処理した後、処理品の短距離移送時に与えられる外力による移送中の防塵性能低下を加熱スクリューコンベア23における第二次防塵処理工程での加熱及び圧縮・剪断作用により、PTFEが再フィブリル化し、セメントの防塵性能が回復又は向上するという効果が生じる。
【0031】
更に、本発明の他の効果は、新たにPTFEを追加投入することなく、また、新たな防塵処理施設を追加することなく、防塵セメントを移送する工程においてその防塵性能を回復及び向上させることができることである。このことはスクリューコンベアに加熱装置を付設さえすれば、例えば、工事現場においてさえ、簡単に防塵セメントの性能回復を行うことができることを意味している。
【0032】
以上の実施形態では、発塵性を有するセメントに対して本発明の防塵処理方法を適用した例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の発塵性粉体に対しても広く適用することができる。
【0033】
【比較例1】
約100℃の残熱を持つセメントの防塵処理を行うためミキサー13で撹拌しつつ、セメント100重量部に対しPTFE固形分0.03重量部の割合でフィブリル化性PTFEエマルジョンを添加して処理しフロー値150mmにした防塵セメントは、チェーンコンベア及びバケットエレベータ15を経由して製品サイロ16に収容された後、空気圧送により圧送管17を経由してセメント輸送車19に移送された。ついでセメント輸送車19から再び空気圧送により圧送管20を経由して、別の製品サイロ21に移し替えられた。この工程内の5カ所において粉体を採取し、それぞれの発塵量をデジタル粉塵計で測定した。その測定結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
表1からわかるように、発塵性粉体であるセメントに防塵処理を施し、発塵量が少なくなっていたものが、チェーンコンベアや空気圧送などの移送工程をとることにより発塵量が多くなり防塵セメントの防塵性能が著しく低下している。これはフィブリルの一部が断裂したり、セメント粒子の一部がPTFEフィブリルのネットから離脱したりしてしまったことを示す。
【0036】
【実施例1】
加熱保温装置を備えたローラー型ミキサでセメント温度を80℃に保ちながら撹拌しつつ、セメント100重量部に対しPTFE固形分0.03重量部の割合でフィブリル化性PTFEエマルジョンを添加して処理し、処理時間を変えて防塵性能を比較した。その結果を表2に示す。防塵性能の評価は発塵量50cpm未満を◎、50〜150cpmを○、150cpm超をXで表した。
【0037】
【表2】
【0038】
表2によると、処理時間0〜2分程度は図1のA領域に当たり、3〜5分程度はB領域、7〜13分程度はC領域、それ以上はD領域に当たる。
【0039】
各処理時間の試料を室温まで下げパン型強制練りミキサで10分間撹拌しPTFEフィブリルに外力を与えたところ、フィブリルの断裂をおこして発塵性粉体になった。その後、第二次防塵処理工程として加熱保温装置を備えたローラー型ミキサで発塵性粉体に戻った試料の温度を80℃に保ちながら10分間撹拌し再度圧縮・剪断作用を与え、各試料の発塵量を測定した。その結果を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】
表3からわかるように、第一次防塵処理工程においてフロー値が150mm〜200mmの範囲になるように処理した試料、すなわち図1に示すB領域相当の処理時間3分及び5分の試料のみ第二次防塵処理工程において防塵性能を回復させることが可能であった。
【0042】
【実施例2】
実施例1の第一次防塵処理工程において処理時間を5分間として作製したフロー値160mmの防塵セメントを、室温まで下げて、パン型強制練りミキサで10分間撹拌しPTFEフィブリルに外力を与えたところ、フィブリルの断裂をおこして発塵性粉体になった。その後、第二次防塵処理工程として加熱保温装置を備えたローラー型ミキサで発塵性粉体に戻った試料を10分間撹拌し、再度圧縮・剪断作用を与え、各試料の発塵量を測定した。このときの加熱温度を10℃、20℃、50℃、75℃、100℃、150℃、200℃、250℃に設定し、各温度で処理された8種類の防塵セメントの防塵性能、偽凝結を調査し、総合評価を行った結果を表4に示す。偽凝結はビガー針の貫入度が6〜10mm未満を◎、10〜15mmを○、15mm超をXで表し、総合評価は非常に優れているを◎、優れているを○、従来レベルを△で表した。
【0043】
【表4】
【0044】
表4からわかるように、加熱温度が50℃より低い場合は防塵処理後に低下した防塵性能の回復が見られず、150℃より高い場合はセメントの偽凝結が発生する。これによって、第一次防塵処理を施したセメントに対する第二次防塵処理工程での処理温度は50〜150℃が最適範囲であることが確認された。
【0045】
【発明の効果】
フィブリル化性PTFEによる防塵処理後、移送時に防塵性能が低下した発塵性粉体の防塵性能を、比較的簡単な工程で、且つ経済的に有利に回復又は向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】防塵処理における圧縮・剪断力(仕事量)と防塵性能の関係を示す図である。
【図2】粉体のフロー値と防塵性能の関係を示した図である。
【図3】実施形態の防塵処理方法を示す工程説明図である。
【符号の説明】
10 セメントホッパー
11 PTFEホッパー
12 水ホッパー
13 ミキサ
14 生石灰ホッパー
15 チェーンコンベア及びバケットエレベータ
16 製品サイロ
17 圧送管
18 セメントタンカー
19 セメント輸送車
20 圧送管
21 製品サイロ
22 チェーンコンベア及びベルトコンベア
23 加熱スクリューコンベア
24 セメント輸送車
Claims (1)
- 発塵性粉体にフィブリル化性ポリテトラフルオロエチレンを添加し20〜200℃の範囲の温度条件下で圧縮・剪断作用を与えてJIS R5201に従い測定したフロー値が150mm〜200mmの防塵処理済み発塵性粉体を得る第一次防塵処理工程、及び第一次防塵処理工程で得られた該防塵処理済み発塵性粉体が運搬手段により運搬される際にポリテトラフルオロエチレンフィブリルの一部が断裂したり粉体粒子の一部がポリテトラフルオロエチレンフィブリルのネットより離脱したりするような外力を受け防塵性能が劣化した該防塵処理済み発塵性粉体に新たにフィブリル化性ポリテトラフルオロエチレンを添加することなく50〜150℃の範囲の温度条件下で再度圧縮・剪断作用を与える第二次防塵処理工程、とよりなることを特徴とする発塵性粉体の防塵処理方法。
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