JP4412188B2 - コンクリート柱及びその構築方法 - Google Patents

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本発明はコンクリート柱及びその構築方法に関し、特に設計基準強度が100[N/mm2]を超える高強度コンクリートを用いたコンクリート柱及びその構築方法に関する。
近年、建築物の高層化や長期利用に伴い、高強度コンクリートが広く用いられている。高強度コンクリートは、超高層や高層建築物の下層階の構造体として長期の供用が期待できるので、高い耐久性を有する構造物に用いられる。特に、ここ数年、建築物の高層化がすすみ設計基準強度が100[N/mm2]を超える、いわゆる超高強度コンクリートも実際の建築物の構造体に利用され始めている。
しかし、高強度コンクリートは含水率が少ないため、火災などにより激しく加熱されると爆発的に破裂する爆裂現象を起こしやすい。そこで、爆裂現象を防止するため、超高強度コンクリートからなるコアコンクリートの周囲に、前記高強度コンクリートより設計基準強度の低いかぶりコンクリートを配置する鉄筋コンクリート柱の構築方法が開示されている。(例えば、特許文献1参照)
特開2004―232233号公報
しかしながら、設計基準強度が100[N/mm2]を超える高強度コンクリートは最大圧縮強度時の歪度を超えるような変形を受けると脆性破壊を起こす。このため、設計基準強度が100[N/mm2]を超える高強度コンクリートを用いた鉄筋コンクリート柱に最大圧縮強度時の歪度を超えた変形が加わると、せん断補強筋よりも外側のかぶりコンクリートは脆性破壊を起こし剥離してしまう。その結果、コンクリートの設計基準強度と鉄筋の降伏を考慮して定められる柱断面の曲げ終局強度に達する以前に、かぶりコンクリートが圧縮力を負担できなくなってしまい、コンクリート柱の強度が低下してしまう。
そこで、本発明の目的は、設計基準強度が100[N/mm2]以上の高強度コンクリートを用いつつ、かぶりコンクリートが脆性破壊や剥離をおこさず、強度の低下が起こらないコンクリート柱を提供することである。
本発明のコンクリート柱は、設計基準強度が100[N/mm2]以上高強度コンクリートからなるコアコンクリートの周囲に、設計基準強度が40[N/mm2]以上、かつ、100[N/mm2]以下であるとともに、前記コアコンクリートの設計基準強度との差が80[N/mm 2 ]以下であるコンクリートからなるかぶりコンクリートを前記コアコンクリートと一体に設けたことを特徴とする。ここで、前記かぶりコンクリートがプレキャストコンクリート型枠であることが望ましい。
上記の発明によれば、100[N/mm2]以下のコンクリートは最大圧縮強度時の歪度を超える変形を受けても脆性破壊を起こさず、かぶりコンクリートが剥離しないため、強度低下が起こらず安定した荷重―歪み関係を得られる。
また、本発明は、以上のコンクリート柱の構築方法であって、設計基準強度が40[N/mm2]以上、かつ、100[N/mm2]以下であるとともに、前記コアコンクリートの設計基準強度との差が80[N/mm 2 ]以下であるコンクリートからなるプレキャストコンクリート型枠を設置し、前記プレキャストコンクリート型枠内に、設計基準強度が100[N/mm2]以上、かつ、200[N/mm2]以下の高強度コンクリートを打設し、前記プレキャストコンクリート型枠を残置することを特徴とするコンクリート柱の構築方法も含むものとする。
また、本発明のコンクリート柱は、最大圧縮応力時歪度が3000[μ]以上の高強度コンクリートからなるコアコンクリートの周囲に、最大圧縮応力時歪度が3000[μ]以下であるとともに、設計基準強度が40[N/mm 2 ]以上、かつ、前記コアコンクリートの設計基準強度との差が80[N/mm 2 ]以下であるコンクリートからなるかぶりコンクリートを前記コアコンクリートと一体に設けたことを特徴とする。
なお、本発明におけるコンクリート柱とは、鉄筋コンクリート柱、鉄筋鉄骨コンクリート柱、又は鉄骨コンクリート柱の何れかを意味するものとする。
コンクリート柱において、せん断補強筋の外側のかぶりコンクリートの脆性破壊を防止できるため、強度の低下が起こらず安定した荷重―歪み関係が得られる。
まず、本発明に用いるコンクリートの性質について説明する。コンクリートの圧縮応力度σ−歪度εの関係を表す近似式として式(1)に示すPopovics式などが広く用いられている。
ここで、S=σ/Fc、X=ε/ε0、nは実験により得られる定数、σは圧縮応力度、Fcは設計基準強度、εは圧縮歪度、ε0は最大圧縮歪度を示す。
また、図1には、「建設省総合技術開発プロジェクト 鉄筋コンクリート造建築物の超軽量・超高層化技術の開発」(以下NewRCという)が提案する最大圧縮応力度CσBと最大圧縮応力時の圧縮歪度CεB(最大圧縮応力時歪度という)との関係を表すグラフを示す。これにより、設計基準強度Fcと最大圧縮強度CσBが等しいとすれば、前記のNewRCが提案する最大圧縮強度CσBと最大圧縮応力時歪度CεBとの関係より、所望の設計基準強度Fcにおける最大圧縮応力時歪度CεBが求まり、最大圧縮応力時歪度CεBと最大圧縮歪度ε0が等しいとすれば、式(1)より各設計基準強度Fcにおける応力度σ−歪度εの関係が求められる。
ここで、上記の計算により求めた応力度σ−歪度εの関係が、実際のコンクリートの応力度σ−歪度εの関係と等しいかどうかを検討するため行った実験について説明する。この実験では、設計基準強度Fcが55[N/mm2]、80[N/mm2]、90[N/mm2]、140[N/mm2]のコンクリート部材について、圧縮強度試験により調べた応力度σ−歪度εの関係と、上記の計算により求めた応力度σ−歪度εの関係とを比較した。図2〜図5はそれぞれ設計基準強度が55[N/mm2]、80[N/mm2]、90[N/mm2]、140[N/mm2]のコンクリート部材における、実験及び上記の計算により得られた応力度σ−歪度ε曲線を示すグラフである。
図2に示すように、設計基準強度Fcが55[N/mm2]のコンクリート部材では、実験を行った全ての圧縮歪度εで、実験結果の応力度σは上記の計算方法により得られた応力度σとほぼ等しい値となる。これにより、実験を行った圧縮歪度εの範囲内ならば、上記の計算方法により得られた応力度σを負担できることがわかる。
また、設計基準強度Fcが80[N/mm2]、90[N/mm2]のコンクリート部材の場合は、図3及び図4に示すように、圧縮歪度εが最大圧縮応力時歪度CεB以下ならば、実験結果の応力度σと計算により得られた応力度σはほぼ等しい。そして、圧縮歪度εが最大圧縮応力時歪度CεBを超えると、実験結果の応力度σは計算により得られた応力度σよりも大きい値となる。これにより、実験を行った全ての圧縮歪度εにおいて計算により求めた応力度σあるいはそれ以上の応力度σを負担できることがわかる。
しかし、設計基準強度Fcが140[N/mm2]の高強度コンクリートを用いたコンクリート部材の場合は、図5に示すように、圧縮歪度εが最大圧縮応力時歪度CεB以下の範囲では、実験結果の応力度σと計算により得られた応力度σはほぼ等しいものの、圧縮歪度εが最大圧縮応力時歪度CεBを超えると0[N/mm2]となってしまう。これはコンクリート部材が脆性破壊を起こしてしまうためであり、圧縮歪度εが最大圧縮応力時歪度CεB以上の場合は、圧縮応力度σを全く負担できなくなることがわかる。なお、この時の最大圧縮応力時歪度CεBは約3000[μ]である。
上記の実験により、以下のコンクリートの性質がわかった。設計基準強度Fcが100[N/mm2]以下のコンクリート部材は、圧縮歪度εが最大圧縮応力時歪度CεB以下の場合は、計算により求めた値とほぼ等しい応力度σを負担できる。また、圧縮歪度εが最大圧縮応力時歪度CεBを超えても、計算により求めた応力度σあるいはそれ以上の応力度σを負担できる。しかし、設計基準強度Fcが100[N/mm2]以上のコンクリート部材は、圧縮歪度εが最大圧縮応力時歪度CεB(=約3000[μ])を超えると、脆性破壊を起こしてしまうため圧縮応力度σを全く負担できない。
そこで本発明は、高強度コンクリートを用いたコンクリート柱1を以下のような構成としている。図6は本発明のコンクリート柱1の一部破断斜視図を示し、図7は鉄筋コンクリート柱1の水平断面図を示す。この鉄筋コンクリート柱1は中空角筒状のプレキャストコンクリート型枠である外殻プレキャストコンクリート管(以下外殻プレキャストという)20と、外殻プレキャスト20の中空部に打設されたコアコンクリート10とから構成される。外殻プレキャスト20は、設計基準強度が40[N/mm2]以上、かつ、100[N/mm2]以下のコンクリート21と、コンクリート21内部に埋設された複数本のせん断補強筋22とで構成される。また、コアコンクリート10は、設計基準強度が100[N/mm2]以上、かつ、200[N/mm2]以下の高強度コンクリート11と、この高強度コンクリート11に埋設された主筋12とで構成される。
鉄筋コンクリート柱1は、設計基準強度が40[N/mm2]以上、かつ、100[N/mm2]以下のコンクリート21からなる外殻プレキャスト20を建て込み、その内部に設計基準強度が100[N/mm2]以上、かつ、200[N/mm2]以下の高強度コンクリート11を打設し、外殻プレキャスト20をそのまま残置することで構築される。
次に、上記の構造により鉄筋コンクリート柱1の強度が向上する仕組みについて説明する。図8は、全断面に高強度コンクリートを打設した鉄筋コンクリート柱1の断面に曲げモーメントが働いている状況を示す図であり、断面内の全ての位置で歪度εが最大圧縮応力時歪度CεB(=3000[μ])未満である場合を示している。なお、図8(a)は鉄筋コンクリート柱の水平方向断面図であり、図8(b)はこの断面の軸方向の歪度分布を示す図であり、図8(c)は断面に働く応力度分布を示す図である。鉄筋コンクリート柱1の断面に曲げ応力が働く場合、変形前に平面であった断面は変形後にも平面であるとする平面保持の仮定を用いると、図8(b)に示すように、断面内で歪度が直線的に分布をすると仮定できる。このため、応力度σを受けている側の最外縁において歪度εは断面内で最大となる(この歪度εを最大圧縮歪度εmaxとする)。また、前述したコンクリートの応力度σ−歪度εの関係の計算を用いて、断面内の歪度分布から応力度分布を求めることができる。図8(c)に示すように、応力度分布を見ると全断面で応力を負担できることがわかる。
次に、断面に働く曲げ応力が増加し、断面の曲率が大きくなり、せん断補強筋外側のかぶりコンクリートの歪度が最大圧縮応力時歪度CεB(=3000[μ])を超える場合について説明する。図9(a)はせん断補強筋外側のかぶりコンクリートの歪度が最大圧縮応力時歪度CεB(=3000[μ])を超える場合の鉄筋コンクリート柱1の水平方向断面図であり、(b)はこの時の断面の歪度分布を示す図であり、(c)はこの時の断面に働く応力度分布を示す図である。かぶりコンクリートは、歪度εが最大圧縮応力時歪度CεB(=3000[μ])を超えると脆性破壊を起こし剥離してしまい、圧縮応力を負担することができない。そのため、図9(c)に示すように、歪度εが3000[μ]を超えているかぶりコンクリートの圧縮応力度は0[N/mm2]となり、コアコンクリートのみが応力度σを負担するため、鉄筋コンクリート柱の強度が低下してしまう。
次に、鉄筋コンクリート柱1の外殻プレキャストに、最大圧縮応力時歪度CεB(=3000[μ])を超える歪度を生じさせる曲げ応力がかかった場合について説明する。図10の(a)は最大圧縮応力時歪度CεB(=3000[μ])を超える歪度を生じさせる曲げ応力がかかった場合の鉄筋コンクリート柱1の水平方向断面図であり、(b)はこの時の断面の歪度分布を示す図であり、(c)は断面に働く応力度分布を示す図である。(b)に示すように、外殻プレキャストに最大圧縮応力時歪度CεB(=3000[μ])を超える歪度εを生じる部分があらわれても、外殻プレキャストは設計基準強度が100[N/mm2]以下のコンクリートからなるため脆性破壊が起こらない。このため、図10(c)に示すように、最大圧縮応力時歪度CεB(=3000[μ])を超える歪みを生じても、外殻プレキャストも応力を負担することができ、全断面に設計基準強度が100[N/mm2]以上のコンクリートを打設した鉄筋コンクリート柱に比べ強度が向上する。
ただし、外殻プレキャストに用いるコンクリートの設計基準強度がコアコンクリートの設計基準強度よりも極端に低い場合は、全断面に前記コアコンクリートと等しい設計基準強度のコンクリートを打設した場合よりも、強度が低下してしまうことがある。これは、外殻プレキャストに極端に強度が低いコンクリートを用いてしまうと、脆性破壊を防ぐことで強度を向上させる効果よりも、強度が極端に低いコンクリートを用いたことにより強度が低下する効果が大きくなり、鉄筋コンクリート柱全体としてみた場合に強度が低下してしまうためである。
そこで、外殻プレキャストに用いるコンクリートの設計基準強度を断面解析により検討した。表1は断面解析を行った鉄筋コンクリート柱の各種条件を示す表である。
表1に示すように、全断面の設計基準強度を120[N/mm2]とした場合(比較例)、コアコンクリートの設計基準強度を120[N/mm2]、外殻プレキャストの設計基準強度を80[N/mm2]とした場合(実施例1)、コアコンクリートの設計基準強度を120[N/mm2]、外殻プレキャストの設計基準強度を60[N/mm2]とした場合(実施例2)、コアコンクリートの設計基準強度を120[N/mm2]、外殻プレキャストの設計基準強度を40[N/mm2]とした場合(実施例3)について、断面解析を行い、各条件における断面の曲率とモーメントとの関係及び最大モーメントを求めた。なお、鉄筋コンクリート柱の断面は幅360[mm]×奥行き360[mm]、コアコンクリートは幅290[mm]×奥行き290[mm]、鉄筋はD19(SD685)、軸力は370[tonf]とした。
得られた結果を図11及び表2に示す。図11は比較例及び実施例1〜3についての曲率とモーメントの関係を示すグラフであり、表2は各条件の最大モーメントを示す表である。
図11に示すように、全断面に設計基準強度が120[N/mm2]の高強度コンクリートを打設した場合(比較例)は、曲率が増加するとそれに伴い負担するモーメントも増加する。しかし、曲率が0.00018程度を越えると、圧縮側最外縁より脆性破壊が生じる。さらに、曲率が大きくなると、脆性破壊が断面中立軸方向に進行し、かぶりコンクリートが剥離してしまい、圧縮応力を負担することができなくなるため負担するモーメントが低下する。そして、曲率が0.00021程度で、かぶりコンクリートが全て脆性破壊してしまう。曲率が0.00021程度を超えるとせん断補強筋内部は拘束されており、靭性を持つため、脆性破壊を起こさずに、徐々にモーメントは増加する。このように、全断面に設計基準強度が120[N/mm2]の高強度コンクリートを打設した場合は、非常に不安定な荷重―変形関係となる。なお、モーメントが最大になるのは脆性破壊を起こす直前であり、この時のモーメントは63[tonf-m]程度である。
これに対し、コアコンクリートには設計基準強度が120[N/mm2]のコンクリートを用い、外殻プレキャストには設計基準強度がそれぞれ40[N/mm2]、60[N/mm2]、80[N/mm2]のコンクリートを用いた場合(実施例1〜3)は、曲率を増加させ、最外縁の歪度が大きくなっても脆性破壊を起こさないため、曲率の増加とともにモーメントが増加していく。このように、実施例1〜3では脆性破壊が起こらず急激な荷重低下がないため、安定した荷重―変形関係が得られる。また、最大モーメントを比較すると実施例1では68[tonf-m]程度となり、比較例よりも大きくなる。また、実施例2は63[tonf-m]程度となり比較例と同程度の値となる。しかし、実施例3は58[tonf-m]程度と比較例を下回る。
このように、本検討に用いた実施例1〜3のコアコンクリートの設計基準強度と外殻プレキャストの設計基準強度の差はそれぞれ、40[N/mm2]、60[N/mm2]、80[N/mm2]であり、実施例1では強度の向上が見られるが、実施例2では比較例と同じ程度の強度であり、実施例3の場合は逆に強度が低下する結果となっている。
これらのことから、各種条件の違いによって異なるが、おおむねコアコンクリートの設計基準強度と外殻プレキャストの設計基準強度の差が60[N/mm2]以下ならば、全断面に同一の設計基準強度のコンクリートを打設した場合よりも強度が向上することがわかる。よって、コアコンクリートに設計基準強度が100[N/mm2]以上の高強度コンクリートを用いるので、外殻プレキャストに打設するコンクリートは設計基準強度が40[N/mm2]以上の設計基準強度である必要がある。また、荷重―変形関係に着目すると、全断面に設計基準強度が100[N/mm2]以上の高強度コンクリートを用いた場合は、コンクリート部材の最外縁の歪度が最大圧縮応力時歪度CεB(=3000[μ])を超えると急激に強度が低下する非常に不安定な荷重―変形関係であったが、本発明のコンクリート柱は、歪度が増加しても急激な強度の低下は起こらず、安定した荷重―変形関係が得られることがわかった。
次に、上記の構成を持つ鉄筋コンクリート柱1について、強度が上がることを柱の曲げせん断実験により確認したので説明する。図12(a)は試験体の正面断面図であり、(b)は試験体の横断面図である。また、表3は試験体の各種条件を示す表である。図12に示すように、試験体30は鉄筋コンクリート柱1と鉄筋コンクリート柱1の上下端部に接合するスタブ32により構成され、鉄筋コンクリート柱1はスタブ32により固定支持されている。試験体上下より油圧ジャッキを用いて軸力を作用させながら、さらに、下スタブを固定した状態で、別の油圧ジャッキにより上スタブに水平方向に加力することで、試験体の鉄筋コンクリート柱1にせん断力及び逆対称モーメントを生じさせ、層間変形角を正負交互に段階的に大きくしていった。
本発明の実施例として、外殻プレキャストは設計基準強度が60[N/mm2]のコンクリートからなり、その内部に設計基準強度が120[N/mm2]の高強度コンクリートを打設した試験体(実施例)と、比較例として、柱の全断面に設計基準強度が120[N/mm2]の高強度コンクリートを打設した試験体(比較例)を用いた。なお、その他の条件については、表3に示すように等しい条件とした。
なお、表4は実験に用いた試験体の各部に用いたコンクリートの、実際の圧縮強度を示す表であり、比較例の柱全断面に用いた高強度コンクリートと実施例のコアコンクリートに用いた高強度コンクリートがほぼ同じ圧縮強度を持つことを確かめた。
図13は、比較例のせん断力と変形の履歴を示すグラフであり、図14は、実施例のせん断力と変形の履歴曲線を示すグラフである。図13に示すように、全断面に高強度コンクリートを打設した鉄筋コンクリート柱(比較例)は、層間変位が6.0[mm]に達するまでは、層間変位の増加とともにせん断力が増加していく。しかし、層間変位が6.0[mm]を超えると最外縁より脆性破壊が起こり、層間変位を増加させてもせん断力はほとんど変化しなかった。なお、この時のせん断力は、最外縁歪度が0.3%(=3000[μ])時の計算耐力とほぼ等しい値となった。
これに対して、実施例は、外殻プレキャストに設計基準強度が100[N/mm2]以下のコンクリートを用いているため、脆性破壊することがない。このため、実施例では、図14に示すように、層間変位が6.0[mm]を超えても荷重―変形関係は不安定になることがなく、層間変位の増加に合わせてせん断力が増加する安定した荷重―変形関係が得られた。また、最大せん断力を比較すると、比較例の最大せん断強度は1313[kN]であるが、実施例の最大せん断強度は1429[kN]であり、せん断強度が向上されていることがわかる。
また、図15は、層間変位が5.4[mm]、10.8[mm]、21.6[mm]の状態における比較例及び実施例の鉄筋コンクリート柱の破損状況を示す図である。実線は鉄筋コンクリート柱に生じた亀裂を示し、着色した部分は脆性破壊を起こし剥離してしまった部分を示している。図15に示すように、層間変位が5.4[mm]、10.8[mm]、21.6[mm]の全ての場合において、実施例は比較例に比べて亀裂や剥離が少ない。このことからも、実施例は脆性破壊を抑止できるため、鉄筋コンクリート柱の強度が向上することがわかる。
以上の実験により、設計基準強度が100[N/mm2]以上のコンクリートからなるコアコンクリート周囲に、設計基準強度が40[N/mm2]以上、100[N/mm2]以下のコンクリートからなる外殻プレキャストを配置した鉄筋コンクリート柱は、かぶりコンクリートの脆性破壊を減らすことができるため、全断面に設計基準強度が100[N/mm2]以上のコンクリートからなる鉄筋コンクリート柱に比べ、せん断強度及び曲げ強度を向上でき、また、安定した荷重―変形関係が得られることが確認できた。
なお、上記実施形態では、本発明が鉄筋コンクリート柱に適用された場合について説明したが、これに限らず、鉄筋鉄骨コンクリート柱、又は鉄骨コンクリート柱にも適用することができる。
New RCが提案する最大圧縮応力度σ0と最大圧縮応力度の時の圧縮歪度εとの関係を表すグラフである。 設計基準強度Fcが55[N/mm2]のコンクリート部材の、実験及び計算により求めた応力度σ−歪度ε曲線を示すグラフである。 設計基準強度Fcが80[N/mm2]のコンクリート部材の、実験及び計算により求めた応力度σ−歪度ε曲線を示すグラフである。 設計基準強度Fcが90[N/mm2]のコンクリート部材の、実験及び計算により求めた応力度σ−歪度ε曲線を示すグラフである。 設計基準強度Fcが140[N/mm2]のコンクリート部材の、実験及び計算により求めた応力度σ−歪度ε曲線を示すグラフである。 本発明のコンクリート柱の一部破断斜視図である。 本発明のコンクリート柱の水平断面図である。 (a)は全断面に高強度コンクリートを打設した柱の水平方向断面図であり、(b)はこの断面の歪度εの分布を示す図であり、(c)は断面に働く応力度σの分布を示す図である。 (a)は全断面に高強度コンクリートを打設した柱の水平方向断面図であり、(b)はこの断面の歪度εの分布を示す図であり、(c)は断面に働く応力度σの分布を示す図である。 (a)は本発明の鉄筋コンクリート柱の水平方向断面図であり、(b)はこの断面の歪度εの分布を示す図であり、(c)は断面に働く応力度σの分布を示す図である。 断面解析により求めた比較例及び実施例1〜3についての曲率とモーメントの関係を示すグラフである。 (a)は柱の曲げせん断実験の試験体の正面断面図であり、(b)は側面方向の断面図である。 比較例のせん断力と変形の関係を示すグラフである。 実施例のせん断力と変形の関係を示すグラフである。 比較例及び実施例の破損状況を示す図である。
符号の説明
1 鉄筋コンクリート柱
10 コアコンクリート
11 高強度コンクリート
12 主筋
20 外殻プレキャストコンクリート管(プレキャストコンクリート型枠)
21 コンクリート
22 せん断補強筋

Claims (4)

  1. 設計基準強度が100[N/mm2]以上高強度コンクリートからなるコアコンクリートの周囲に、
    設計基準強度が40[N/mm2]以上、かつ、100[N/mm2]以下であるとともに、前記コアコンクリートの設計基準強度との差が80[N/mm 2 ]以下であるコンクリートからなるかぶりコンクリートを前記コアコンクリートと一体に設けたことを特徴とするコンクリート柱。
  2. 前記かぶりコンクリートがプレキャストコンクリート型枠であることを特徴とする請求項1記載のコンクリート柱。
  3. 請求項2記載のコンクリート柱の構築方法であって、設計基準強度が40[N/mm2]以上、かつ、100[N/mm2]以下であるとともに、前記コアコンクリートの設計基準強度との差が80[N/mm 2 ]以下であるコンクリートからなるプレキャストコンクリート型枠を設置し、前記プレキャストコンクリート型枠内に、設計基準強度が100[N/mm2]以上、かつ、200[N/mm2]以下の高強度コンクリートを打設し、前記プレキャストコンクリート型枠を残置することを特徴とするコンクリート柱の構築方法。
  4. 最大圧縮応力時歪度が3000[μ]以上の高強度コンクリートからなるコアコンクリートの周囲に、
    最大圧縮応力時歪度が3000[μ]以下であるとともに、設計基準強度が40[N/mm 2 ]以上、かつ、前記コアコンクリートの設計基準強度との差が80[N/mm 2 ]以下であるコンクリートからなるかぶりコンクリートを前記コアコンクリートと一体に設けたことを特徴とするコンクリート柱。
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