JP4412149B2 - 光ディスク装置 - Google Patents

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Description

この発明は、レーザ光を光ディスクに照射してデータの記録又は再生を行う光ディスク装置に関し、例えば波長405nm帯の青紫色レーザを用いる光ディスク装置に利用して有用な技術に関する。
現在、波長405nm帯の青紫色レーザを用いて光ディスクにデータの記録と再生を行う大容量の光ディスク装置の開発が進んでいる。青紫色レーザの出力は、一般に半導体基板にレーザダイオードが形成されてなる半導体レーザ素子により行われる。
光ディスク装置では、データの再生信号を得るため、或いは、対物レンズのサーボ制御信号を生成するために、光ディスクに照射され反射されてきたレーザ光を光センサで検出するが、この検出信号のCNR(Career to Noise Ratio)は大きいほど良い。
光ディスク装置の検出信号のCNRは次式のように表される。
Figure 0004412149
ところで、従来、CD(コンパクトディスク)やDVD(デジタル多用途ディスク)のディスク装置において、次のような種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、光ディスクに照射されるレーザパワーを再生時と記録時とで異ならせるため、半導体レーザから光ディスクまでの光路上に電気的に光の透過率を変化させるエレクトロクロミック素子を設ける技術が開示されている。
また、特許文献2,3には、CDやDVDなどディスク基板の厚みが異なる2種類の光ディスクに対応するため、対物レンズの開口数を実質変更する目的でレーザ光の透過範囲を絞りのように大小に変化させるフォトクロミック素子を設ける技術が開示されている。
また、特許文献4には、レーザーダイオードや発光ダイオードをパルス駆動することで紫外光を発生させ、この紫外光でフォトクロミック材料の着色反応を発生させる技術や、光ディスクの記録層にフォトクロミック材料を用いる技術が開示されている。
特開平9−27141号公報 特開平9−134541号公報 特開平9−245368号公報 特開平10−11756号公報
上記の数式(1)に示すように、反射ビームの検出信号のCNRは、その分母に半導体レーザの相対雑音強度(RIN:Relative Intensity Noise)を含むため、半導体レーザのRINが大きくなるとCNRが小さくなる。
他方、青紫色レーザを出力する現状の半導体レーザでは、図4のグラフに示すように、出力ワットが小さい範囲でRINが著しく上昇する特性を有している。データ再生時には、光ディスクに照射されるレーザ光のパワーは低くされるが、一般的な光学構成で半導体レーザの出力を再生レベルに合わせた場合、上記の特性により、半導体レーザのRINの値が無視できないレベルになって検出信号のCNR値がかなり小さくなるという問題が生じる。
このような問題を解決するため、本発明者らは、データ再生時の半導体レーザの出力パワーを高くする一方、光の透過量を減衰させる光量減衰素子を光路上に設けることで、光ディスクに照射されるレーザ光の光量は少なく、半導体レーザのRINは低い値にできると考えた。しかしながら、単なる光量減衰素子を設けたのでは、データ再生時とデータ記録時とでこの光量減衰素子を光路上に配置したり光路上から外したりと移動させる機構が必要となり、光ピックアップの構成が複雑になって体積の増加につながるという問題を見出した。
また、光量減衰素子として光の透過量を変化させるエレクトロクロミック素子やフォトクロミック素子を適用した場合でも、光の透過量を変化させる回路や配線或いは光源を増設したのでは、同様に光ピックアップの構成が複雑になって体積の増加につながると考えられた。
この発明の目的は、出力パワーの低い範囲でRINが高い値になる半導体レーザを用いた場合でも、データ再生信号のCNRを高い値に保つことが出来るとともに、光ピックアップの構成を複雑化させず体積の増加を招くことのない光ディスク装置を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、レーザ光を光ディスクに照射してデータの記録又は再生を行う光ディスク装置であって、前記レーザ光を出力するレーザ出力手段と、光ディスクからの反射光を検出する光センサと、前記レーザ出力手段から出力されたレーザ光を光ディスクの記録面まで導くとともに光ディスクからの反射光を前記光センサまで導く光学系と、前記レーザ出力手段から光ディスクまでの光路上に配置され所定レベル以上の光が照射されることにより光の透過量が減衰する光量調整素子と、前記レーザ出力手段に
より再生レベルのレーザ光が連続的に出力されるデータ再生中に当該レーザ出力手段により前記再生レベルより強度が高く前記光量調整素子の光の透過量を減衰させるレベルのレーザ光のパルス出力を周期的に行わせて前記光量調整素子の光の透過量を制御する制御手段とを備えている構成とした。
このような手段によれば、光量調整素子の透過光量を小さくする分、レーザ出力手段の出力パワーを高くすることが出来るので、それによりレーザ出力手段のRINの値を下げてCNR値を高くすることが出来る。また、光ディスクに照射するレーザ光を用いて光量調整素子の光透過量を変化させるので、光量調整素子を動かす構成や透過光量を制御する光源などを別途設ける必要がなく、光ピックアップの構成を複雑化させることもなく、また体積の増加を招くこともない。また、エレクトロクロミック素子を光量調整素子として設ける場合には、光路の途中に配線を必要とする光学素子を設けることとなり、配線のためその取付け箇所を大きくとる必要が生じたり、組立て工程が煩雑になったりするが、本発明ではこのような欠点が生じない。
望ましくは、前記光センサの出力に基づいてこの出力ゲインを自動制御するAGC回路を設けると良い。
光量調整素子は、レーザ出力手段からのパルス出力の後、なだらかに光透過量が元に戻っていくので、反射ビームの検出信号も同様に変化する。従って、上記AGC回路によりこの変化を平滑化して通常のセンサ出力を得ることが出来る。
具体的には、前記レーザ出力手段は、波長405nm±5%のレーザ光を出力する半導体レーザ素子である。また、前記光量調整素子は、ランタン、ホウ酸、バリウム、又は、チタンを組成物として含む無機酸化物を光透過物質(ガラスやプラスチックなど)に含有させて構成するこどか出来る。
以上説明したように、本発明に従うと、出力パワーの低い範囲でRINが高い値になる半導体レーザを用いた場合でも、データ再生時の検出信号のCNRを高い値に保つことが出来るとともに、光ピックアップの構成を複雑化させず且つ光ピックアップをコンパクトに構成できるという効果がある。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態の光ディスク装置のピックアップの光学系の構成図である。
この実施の形態の光ディスク装置は、HD−DVD(High Definition DVD)など青紫レーザ用の光ディスクに対してデータの記録と再生を行うものであり、図1に示すように、その光ピックアップの光学系には、波長405nmの青紫色レーザを出力する半導体レーザ11と、このレーザ光を平行光にするコリメータレンズ12と、透過光量を調整する光量調整素子13と、光ディスクDへ向かう進行ビームと光ディスクDからの反射ビームとを分離する偏光ビームスプリッタ14と、レーザ光の球面収差を補正するエキスパンダレンズ15と、立上げミラー16と、進行ビームと反射ビームとの偏光角を90度回転させる1/4波長板17と、光ディスクDの記録面にレーザ光を集束させる対物レンズ18と、反射ビームを集束させるとともに対物レンズ18のサーボ信号を生成するため反射ビームに所定の収差を与える検出レンズ19と、複数の検出面を有し反射ビームの検出を行う光センサ20等が設けられている。
また、この光ピックアップには、エキスパンダレンズ15のレンズ間隔を変化させる図示しない駆動装置や、対物レンズ18を電磁力によりそのフォーカス方向、トラッキング方向、チルト角方向に微小駆動させる対物レンズ駆動装置21とが設けられている。
半導体レーザ11は、図4に示すような相対雑音強度(RIN)の特性を有しており、再生信号のCNR値、或いは、対物レンズ18のサーボ信号を生成するための検出信号のCNR値を大きくするためには、出力パワーを4.0mW以上にすると良い。
光量調整素子13は、紫外光や近紫外光の照射により暗い色に発色して光の透過量を減衰させるフォトクロミックガラスである。照射光は一定レベル以上の強度で強く発色し、一定レベル以下の強度では余り発色しないと云う特性を有している。また、一旦、発色した後は、照射光を当て続けていなくても、その発色が残るとともに時間とともに緩やかに薄れていくようになっている。
このような光量調整素子13としては、LaBGeO、LiBGeO、BaTiGe、LaBGeO、LiBGeO、BaTiGeなど、ランタン、ホウ酸、バリウム、チタンを含んだ酸化化合物を、光透過物質であるガラスやプラスチックなどに溶かしこんで生成することが出来る。また、ガラスなどの透明体の表面に上記酸化化合物をコーティングして生成することも出来る。
なお、有機化合物をコーティングしてなるフォトクロミック素子もあるが、有機化合物のコーティングでは近紫外域レーザの強い照射により膜の劣化が生じやすいという欠点がある。それに対して、上記光量調整素子13の無機化合物をガラス等に溶かし込んだ構成では、近紫外域のレーザ光の強い照射によっても劣化が生じにくい。
図2には、光ディスク装置の制御系のブロック図を示す。
この実施の形態の光ディスク装置には、図2に示すように、半導体レーザ11を駆動するレーザ駆動回路31と、光センサ20の出力電流を電圧に変換するI/V変換回路32と、I/V変換回路32の出力を増幅するヘッドアンプ33と、このヘッドアンプ33の出力レベルを一定にするAGC(オートゲインコントロール)回路34と、AGC回路34の出力を受けて光ディスクDからのデータ再生処理および対物レンズ駆動装置21のサーボ制御処理を行ったり、レーザ駆動回路31の制御処理を行ったりする制御手段としてのDSP(Digital Signal Processor)35と、装置の全体的な制御を行うプロセッサ36等が設けられている。
次に、上記構成の光ディスク装置においてデータ再生時の動作について、図3の信号波形図を参照しながら説明する。
データ再生時においては、DSP35の制御処理によりレーザ駆動回路31および半導体レーザ11の出力パワーは、図3のレーザ出力の波形に示すように、再生レベルR1の出力が続けられるとともに、所定の周期で光量調整素子13を暗い色に発色反応させるフォトクロミックレベルR2のパルス出力が行われる。
ここで、上記再生レベルR1としては、光量調整素子13により光透過量が減衰される分、光ディスクDにおいて再生に最適な光量を出力する出力レベルよりも高く設定され、この設定により半導体レーザ11のRINを低い値に抑えることが可能となる。
また、フォトクロミックレベルR2としては、光ディスクの記録層を変化させるときの記録レベルR3よりも高く設定され、このパルス出力により光量調整素子13が発色されて透過光量が減衰されるようになっている。なお、光量調整素子13はこのパルス出力により俊敏に反応して透過光量を減衰させるので、このときの高レベルのレーザ光は光量調整素子13により記録レベルの光量以下に減衰されて光ディスクに到達し、その記録層を変化させることがない。
なお、光量調整素子13の反応速度が遅く、このパルス出力により光ディスクに記録レベル以上のレーザ光が到達してしまうような場合には、パルス出力と同時に、例えば、対物レンズアクチュエータのフォーカス駆動により対物レンズ18のフォーカスを大きく外す制御を行うなどして、記録層への影響を生じさせないようにすることも出来る。
そして、上記のようなレーザ出力により、図3の2段目の波形に示すように、光量調整素子13の光透過量はレーザ光のパルス出力のタイミングで小さくされ、その後、緩やかに大きくなって、再び、次のレーザ光のパルス出力で小さくなるという変化の繰り返しとなる。
光センサ20の検出信号は、図3の3段目の波形に示すように、上記光透過量の変化によって光ディスクDからの反射ビームの光量も同様に変化するため、データピット(或いはマーク)の無い部分の反射光の検出レベルH0と、データピット(或いはマーク)の有る部分の反射光の検出レベルL0との差が、光量調整素子13の変化に比例したものとなる。
しかしながら、この光センサ20の検出信号をAGC回路34を通して出力されることで、図3の4段目の波形に示すように、データピット(或いはマーク)の無い部分と有る部分とを示す出力レベルH,Lがほぼ一定になる。
そして、このAGC回路34の出力がDSP35に取り込まれた後、DSP35により従来のディスク装置と同様の処理が行われて、データの再生が行われることとなる。
データ記録時の動作は、従来のディスク装置と同様のものである。記録時の半導体レーザ11の出力レベルR3は、RINの値を十分に低くするものであり、且つ、光量調整素子13の発色反応を殆んど生じさせないレベルとすることが出来るからである。
以上のように、この実施の形態の光ディスク装置によれば、データ再生時に光量調整素子13が発色して光透過量を減衰させるので、その分、半導体レーザ11の出力パワーを高くして半導体レーザ11のRIN値を低く抑え、データ再生時のCNRを高くすることが出来る。
また、光量調整素子13は、半導体レーザ11の出力制御により光透過量を変化させる構成なので、光量調整素子13を光路から出し入れする構成や、電気的に光透過量を変化させるエレクトロクロミック素子を用いた場合などと比較して、光ピックアップをコンパクトに構成することが出来る。
また、AGC回路34により、光量調整素子13の変化に伴ってなだらかに変化する光センサ20の検出信号が一定レベルの信号に変換されるので、この信号により従来と同様のデータ再生処理を行うことが出来る。
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、光量調整素子13をコリメータレンズ12と偏光ビームスプリッタ14との間の光路上に設けた例を示しているが、光量調整素子13の配置をコリメータレンズ12の前段としたり、偏光ビームスプリッタ14より光ディスクD側とすることも可能である。また、図1に示した光学系の全体的な構成は一例に過ぎず、これら光学系の構成は発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本発明の実施の形態の光ディスク装置のピックアップの光学系を示す構成図である。 光ディスク装置の制御系の構成を示すブロック図である。 データ再生時の動作を説明するための信号波形図である。 出力波長405nmの半導体レーザの相対雑音強度RINを示す特性グラフである。
符号の説明
11 半導体レーザ
12 コリメータレンズ
13 光量調整素子
14 偏光ビームスプリッタ
15 エキスパンダレンズ
16 立上げミラー
17 1/4波長板
18 対物レンズ
19 検出レンズ
20 光センサ
21 対物レンズ駆動装置
31 レーザ駆動回路
32 I/V変換回路
33 ヘッドアンプ
34 AGC回路
35 DSP
36 プロセッサ

Claims (4)

  1. レーザ光を光ディスクに照射してデータの再生を行う光ディスク装置であって、
    前記レーザ光を出力するレーザ出力手段と、
    光ディスクからの反射光を検出する光センサと、
    前記レーザ出力手段から出力されたレーザ光を光ディスクの記録面まで導くとともに光ディスクからの反射光を前記光センサまで導く光学系と、
    前記レーザ出力手段から光ディスクまでの光路上に配置され所定レベル以上の光が照射されることにより光の透過量が減衰する光量調整素子と、
    前記レーザ出力手段により再生レベルのレーザ光が連続的に出力されるデータ再生中に当該レーザ出力手段により前記再生レベルより強度が高く前記光量調整素子の光の透過量を減衰させるレベルのレーザ光のパルス出力を周期的に行わせて前記光量調整素子の光の透過量を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする光ディスク装置。
  2. 前記光センサの出力に基づいて該出力のゲインを自動制御するAGC回路が設けられていることを特徴とする請求項記載の光ディスク装置。
  3. 前記レーザ出力手段は、波長405nm±5%のレーザ光を出力する半導体レーザ素子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ディスク装置。
  4. 前記光量調整素子は、ランタン、ホウ酸、バリウム、又は、チタンを組成物として含む無機酸化物を光透過物質に含有させてなる構成であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光ディスク装置。
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