JP4411758B2 - 空気調和装置 - Google Patents

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    • F25REFRIGERATION OR COOLING; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS; MANUFACTURE OR STORAGE OF ICE; LIQUEFACTION SOLIDIFICATION OF GASES
    • F25BREFRIGERATION MACHINES, PLANTS OR SYSTEMS; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS
    • F25B2313/00Compression machines, plants or systems with reversible cycle not otherwise provided for
    • F25B2313/005Outdoor unit expansion valves

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和装置に関し、特に、急激な外乱が生じた場合の制御技術に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、空気調和装置には、インバータにより容量制御される圧縮機と、室外熱交換器と、電動膨張弁と、室内熱交換器とが、冷媒配管で順に接続された冷媒回路を備えたものがある。
【0003】
そして、この種の空気調和装置では、室内温度を設定温度に調整するため、一般に、室内温度と目標温度とから、比例、積分及び微分の各動作によって、制御対象である圧縮機及び電動膨張弁などを制御している(PID制御)。このPID制御では、室内の目標温度と実測温度との偏差に応じた入力電圧を算出して電源回路に出力し、実際の室温を目標温度に一致させる(両温度間の偏差をゼロにする)ようにしている。
【0004】
一方、例えば特公平8−6952号公報には、冷媒回路の動的モデルに基づいて多変数制御(MIMO制御)を行うようにした空気調和装置が記載されている。この空気調和装置は、圧縮機と凝縮器と電動膨張弁と蒸発器とが順に接続されて冷房運転を行う冷媒回路を備え、室内に供給する空気を蒸発器で所定温度に冷却するようにしている。
【0005】
この空気調和装置は、圧縮機容量と電動膨張弁開度とを操作量とし、蒸発器の吹き出し空気温度と蒸発器の出口における冷媒過熱度とを制御量とする冷媒回路の動的モデルに基づいて、吹き出し空気温度及び冷媒過熱度の実測値とそれぞれの目標値との偏差の累積値を入力とし、圧縮機容量と電動膨張弁開度とを出力とする最適レギュレータとして構成されたコントローラを備えている。このコントローラは、吹き出し空気温度と冷媒過熱度とを検出し、これらの値が目標値になるように圧縮機容量と電動膨張弁開度とを制御している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のPID制御やMIMO制御では、一般に制御のインターバルが一定で、しかもその間隔が長い。このため、制御のインターバルが例えば20秒である(20秒ごとに圧縮機の周波数や電動膨張弁の開度を制御する)として、制御動作から1秒後に外乱が発生すると、残りの19秒間は同じ圧縮機周波数や電動膨脹弁開度のままでは適切な制御を行えない。したがって、従来は急激な外乱などに対して制御の追従性が悪く、そのような緊急時に対応する保護制御などが別途必要で、制御が複雑化していた。
【0007】
外乱の具体的な例としては、複数の室内ユニットを備えたシステムで、運転中の室内ユニットの数台が停止するなど、室内ユニットの総運転容量が急激に変化する場合などがある。例えば、室内ユニットが5台稼働している状態から3台停止すると、停止した室内ユニットの電動膨張弁が閉まるので、圧縮機周波数が同じでは急激に高圧圧力が上昇して低圧圧力が下がるなど、システムへの影響が非常に大きくなってしまう。また、これに対して保護制御を行うようにすると、その保護のために周波数の上限が制御されるなどの制約が生じ、その結果、運転自体も制約されてしまう。なお、単に制御のインターバルを例えば1秒間隔程度に短くすると、インバータがその制御周期に追従できなかったり、制御用マイクロコンピュータでの計算量が大幅に増加したりして、通常運転時に適切な制御を行うことが困難になる。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みて創案されたものであり、その目的とするところは、空気調和装置において、急激な外乱に対しても保護制御を行わずに適切な制御を行えるようにすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、動的モデルに基づく制御を行う空気調和装置において、外乱の発生時には、通常のインターバルの制御に対して割込処理を行って、圧縮機容量や膨張弁開度などを室内側の運転状態の変化に合わせて変更するようにしたものである。
【0010】
具体的に、本発明が講じた解決手段は、容量可変の圧縮機(14)と室外熱交換器(16)と開度調整自在の膨張機構(17,20) と室内熱交換器(21)とが順に接続されてなる冷媒回路(23)と、冷媒回路の動的モデルに基づいて空調制御を行う制御手段(30)とを備えた空気調和装置を前提としている。そして、この空気調和装置は、制御手段(30)が、外乱の発生時に、室内熱交換器(21)の運転状態の変化に対応して上記空調制御に関する操作量を変更する割込処理を動的モデルに基づいた制御中に行うように構成されている。
【0011】
この構成においては、冷媒が冷媒回路(23)を循環することにより蒸気圧縮式冷凍サイクルが行われる。通常の運転時は、冷媒回路の動的モデルに基づいて空調制御が行われる。この制御は、例えば冷媒の蒸発温度や過熱度などから圧縮機(14)の容量や膨脹機構(17,20) の開度など(操作量)を所定のインターバルで調整するように行われる。また、外乱の発生時には割込処理が行われ、室内熱交換器(21)の運転状態の変化に対応して上記操作量が変化する。このため、外乱の発生時には、室内熱交換器(21)の運転状態の変化に応じて、圧縮機(14)の容量や膨脹機構(17,20) の開度などを瞬時に制御することができる。
【0012】
また、上記構成において、空気調和装置は、複数の室内ユニット(12)を備え、各室内ユニット(12)がそれぞれ備えている室内熱交換器(21)が上記冷媒回路(23)において互いに並列に接続されているものとして、制御手段(30)を、各室内ユニット(12)の総運転容量が急激に変化したときに割込処理を行うように構成することが好ましい。
【0013】
このように構成すると、複数の室内ユニットを備えたシステムにおいて、稼働している室内ユニット中の何台かが停止した場合などに割込処理が実行されて、室内熱交換器の運転状態の変化に対応して出力信号(操作量)が変化する。複数の室内ユニットを備えたシステムで何台かの室内ユニットの運転開始/停止、またはサーモオン/オフが切り換わって総運転容量が急に変化することは頻繁に起こり得ることであり、この構成ではそのような場合に圧縮機容量や膨脹弁開度などを素早く制御できることになる。したがって、停止した室内ユニット(12)の電動膨脹弁(20)が閉鎖しても、それに対応した容量で圧縮機(14)の運転などが行われるので、高圧圧力や低圧圧力の異常な変動は生じない。
【0014】
また、上記構成の空気調和装置では、制御手段(30)は、一つの入出力を扱う単変数制御を行うように構成したり、複数の入出力を扱う多変数制御を行うように構成したりすることができる。
【0015】
単変数制御を行う空気調和装置において、制御手段(30)は、圧縮機容量を操作量とし、冷房運転時の冷媒の蒸発温度を制御量とする冷媒回路の動的モデルに基づいて、冷房運転時の冷媒の蒸発温度の目標値とその実測値の偏差を入力として圧縮機容量の指令値を出力するように構成するとともに、通常運転時には圧縮機容量を所定のインターバルで制御する一方、外乱の発生時には室内熱交換器(21)の運転状態の変化に対応して入力信号(制御量)を変化させて圧縮機容量を制御する割込処理を行うように構成することができる。
【0016】
多変数制御を行う空気調和装置において、制御手段(30)は、圧縮機容量及び膨張弁開度を操作量とし、冷房運転時の冷媒の蒸発温度及び過熱度を制御量とする冷媒回路の動的モデルに基づいて、冷房運転時の冷媒の蒸発温度及び過熱度の目標値とそれぞれの実測値の偏差を入力として圧縮機容量と膨張弁開度の指令値を出力するように構成するとともに、通常運転時には圧縮機容量と膨張弁開度とを所定のインターバルで制御する一方、外乱の発生時には室内熱交換器(21)の運転状態の変化に対応して入力信号(制御量)を変化させて圧縮機容量と膨張弁開度とを制御する割込処理を行うように構成することができる。
【0017】
また、制御手段(30)は、圧縮機容量及び膨張弁開度を操作量とし、暖房運転時の冷媒の凝縮温度及び過熱度を制御量とする冷媒回路の動的モデルに基づいて、暖房運転時の冷媒の凝縮温度及び過熱度の目標値とそれぞれの実測値の偏差を入力として圧縮機容量と膨張弁開度の指令値を出力するように構成するとともに、通常運転時には圧縮機容量と膨張弁開度とを所定のインターバルで制御する一方、外乱の発生時には室内熱交換器(21)の運転状態の変化に対応して入力信号(制御量)を変化させて圧縮機容量と膨張弁開度とを制御する割込処理を行うように構成することもできる。
【0018】
以上の構成において、通常の運転時には、上記の動的モデルに基づく制御を行って、冷房運転時の冷媒の蒸発温度(及び過熱度)または暖房運転時の凝縮温度及び過熱度の目標値を求め、それぞれの実測値との偏差に応じて圧縮機容量と膨脹弁開度を所定のインターバルで制御する。一方、外乱が発生したときには割込処理を行い、室内熱交換器(21)の運転状態の変化に対応して圧縮機容量と膨脹弁開度を制御する。
【0019】
また、上記構成において、制御手段(30)は、割込処理時に、入力信号を導出するための目標値を通常制御時とは変更して出力信号(操作量)を導出するように構成することができ、その場合、制御手段(30)は、割込処理時に、入力信号を導出するための目標値を、実測値との偏差が通常制御時よりも大きくなるように設定する構成とすればよい。
【0020】
また、制御手段(30)は、割込処理時に、入力信号を導出するための目標値と実測値の偏差を通常制御時とは変更して出力信号(操作量)を導出するように構成することもでき、その場合、制御手段(30)は、割込処理時に、入力信号を導出するための目標値と実測値の偏差を、通常制御時よりも大きくなるように設定する構成とすればよい。
【0021】
なお、これらの構成において、割込処理時に通常の制御時とは異なるように設定する目標値や偏差は、予めテストなどを行って定めておけばよい。
【0022】
例えば室内ユニット(12)の5台中3台が急に止まったときのように外乱が発生した場合でも、入力信号を導出するための目標値と実測値の偏差は瞬時にはあまり大きくは変化せず、時間の経過に伴って徐々に大きくなるため、従来の動的モデルに基づく制御では、外乱直後の偏差をそのまま利用しても、適正な出力信号(操作量)を得ることは困難である。しかし、例えば外乱から10秒程度経過後の偏差の量を見越して、変化が起こった瞬間に目標値を高く設定するか偏差の値を増幅して入力信号を調節するようにしておけば、それに見合った圧縮機周波数や電動弁開度の大幅な変更量(適正な出力信号)を得ることができる。したがって、通常のフィードバック制御の範囲内でフィードフォワード制御と同じような制御が可能になり、高圧圧力や低圧圧力の変動を確実に抑えることができる。
【0023】
【発明の効果】
したがって、上記解決手段によれば、空気調和装置において、外乱の発生時には、室内熱交換器(21)の運転状態の変化に応じて、圧縮機(14)の容量や膨脹弁(17,20) の開度などを瞬時に制御することができるので、別途保護制御を行わなくても高圧圧力や低圧圧力が異常に変動したりすることなく、適切な制御を行うことができる。さらに、保護制御を行わずに急激な外乱に対応できるので、制御を簡素化できる。
【0024】
また、上記解決手段では、冷媒回路の動的モデルに基づく制御において、外乱の発生時には割込処理を行って、室内熱交換器(21)の運転状態の変化に対応して出力信号(操作量)を変化させるようにしている。したがって、従来は急な外乱に対して対応できず、制御のインターバルを短くすると圧縮機(14)が追従できないなどの問題があったのに対し、そのような問題を防止できる。
【0025】
また、複数の室内ユニット(12)を備えたシステムにおいて、室内ユニット(12)の何台かで運転開始/停止の切り替え動作や、サーモオン/オフの切り替え動作が行われて総運転容量が急激に変化したときに、割込処理を行って出力信号(操作量)を変化させるようにすれば、例えば5台のうちの3台の室内ユニットが停止した場合に圧縮機容量や膨脹弁開度などを素早く制御できるので、高圧圧力や低圧圧力の異常な変動を抑えて適切な制御を行うことができる。このように複数の室内ユニット(12)を備えたシステムで、何台かの室内ユニット(12)が停止するなどして室内ユニット(12)の総運転容量が変化することは頻繁に起こり得ることであり、このようなときに保護制御を行わずに対応できるため、実用上きわめて効果的である。
【0026】
また、多変数制御を行うようにしたものでは、単変数制御を行うものに比べてより精度の高い運転制御を実現しながら、外乱の発生時の異常な圧力変動などの問題も防止できる。
【0027】
また、割込処理時に、入力信号を導出するための目標値または該目標値と実測値の偏差を、その偏差が通常制御時よりも大きくなるように変更して出力信号(操作量)を導出するように構成すれば、外乱が発生した直後で上記目標値と実測値の偏差があまり大きくは変化しない場合に、所定時間経過後の偏差を見越した適切な出力信号(操作量)を得ることができる。したがって、外乱による運転状態の変化にすぐに対応して、通常のフィードバック制御の範囲内でフィードフォワード制御と同様の制御が実現可能となり、圧力の異常な変動を確実に抑える適切な制御を行うことができる。そして、通常のフィードバック制御の範囲内でフィードフォワード制御と同じような制御が簡単に実現できるため、新機種を製品化するに当たって開発の工数が削減でき、制御手段を実機に搭載するときもメモリが少なくて済み、計算量も少なくて済む利点がある。
【0028】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の実施形態1を図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】
図1に示すように、本実施形態1の空気調和装置(10)は、いわゆるマルチ型に構成され、1台の室外ユニット(11)と、互いに並列に接続された複数台の室内ユニット(12)とから構成されている。図では2台の室内ユニット(12)のみを示しているが、以下の説明では、室内ユニット(12)が5台程度接続されているものとする。
【0030】
上記室外ユニット(11)は、圧縮機(14)と四路切換弁(15)と熱源側熱交換器である室外熱交換器(16)と膨張機構である室外膨張弁(17)とアキュームレータ(18)とを備えている。また、上記各室内ユニット(12)は、膨張機構である室内膨張弁(20)と利用側熱交換器である室内熱交換器(21)とを備えている。
【0031】
そして、上記圧縮機(14)と四路切換弁(15)と室外熱交換器(16)と室外膨張弁(17)と室内膨張弁(20)と室内熱交換器(21)とアキュームレータ(18)とが順に冷媒配管(13)によって接続されて冷媒回路(23)が構成されている。該冷媒回路(23)は、四路切換弁(15)を切り換えて冷媒循環方向が可逆になるように構成され、冷房運転と暖房運転とを行うように構成されている。
【0032】
上記圧縮機(14)は、運転容量が可変に構成されている。つまり、上記圧縮機(14)は、図示しないが、インバータ回路を介して電動機に電力が供給されている。そして、上記圧縮機(14)の運転容量である圧縮機容量は、インバータ回路の出力周波数を変更して調節するように構成されている。また、上記室外膨張弁(17)及び室内膨張弁(20)は、それぞれ、自在に開度調整可能な電動膨脹弁により構成されている。
【0033】
上記室外ユニット(11)には、室外熱交換器(16)の近傍に室外ファン(24)が設置され、室外空気と冷媒との熱交換を行うように構成されている。また、上記室内ユニット(12)には、室内熱交換器(21)の近傍に室内ファン(25)が設置され、室内空気と冷媒との熱交換を行うように構成されている。
【0034】
上記圧縮機(14)の吐出側の冷媒配管(13)には、該圧縮機(14)の吐出側の冷媒圧力を検出する高圧圧力センサ(Pc)が配置されている。また、上記圧縮機(14)の吸入側の冷媒配管(13)には、該圧縮機(14)の吸入側の冷媒圧力を検出する低圧圧力センサ(Pe)と、吸入側の冷媒温度を検出する吸入温度センサ(SH)とが配置されている。
【0035】
上記室外ユニット(11)には、室外温度を検出する外気温センサ(To1) と、室外熱交換器(16)における冷媒の温度を検出する室外熱交換センサ(To2) が配置されている。
【0036】
また、上記各室内ユニット(12)には、室内温度を検出する室内温度センサ(Tr1) が配置されている。さらに、各室内ユニット(12)には、室内熱交換器(21)における冷媒の温度から、冷房運転時の冷媒の過熱度と暖房運転時の冷媒の過冷却度を検出するように、室内熱交換センサ(Tr2) とが配置されている。
【0037】
各センサ(Pc,Pe,SH,To1,To2,Tr1,Tr2)で検出した冷媒の圧力や温度は、制御手段である室外コントローラ(30)と室内コントローラ(50)に入力される。室外コントローラ(30)は、冷房運転時には圧縮機(14)のみを操作して冷媒の蒸発温度を目標値に制御し、室外膨脹弁(17)を全開に制御する。また、このとき、室内コントローラ(50)は独自に室内膨脹弁(20)を調節して能力制御(過熱度制御)を行う。一方、暖房運転時には、室外コントローラ(30)は圧縮機(14)と室外膨脹弁(17)を操作し、冷媒の凝縮温度と過熱度を制御する。また、このとき、室内コントローラ(50)は独自に室内膨脹弁(20)を調節して能力制御(過冷却度制御)を行う。
【0038】
上記室外コントローラ(30)は、圧縮機容量及び膨張弁開度を操作量とし、冷房運転時の冷媒の蒸発温度と暖房運転時の冷媒の凝縮温度及び過熱度を制御量とする冷媒回路の動的モデルに基づいて、冷房運転時の冷媒の蒸発温度と、暖房運転時の冷媒の凝縮温度及び過熱度について、それぞれの目標値と実測値との偏差を入力として、圧縮機容量と膨張弁開度の指令値を出力するように構成されている。このように動的モデルに基づく制御を行う室外コントローラ(30)は、操作量(圧縮機周波数や電動弁開度など)の変化に対する制御量(蒸発温度など)の関係を、時間の関数(動的モデル)として有している。そして、例えば圧縮機周波数を5Hz上げると、その後、実際の蒸発温度などがどのように変化するかを、その関数から求めることができる。
【0039】
また、室外コントローラ(30)は、通常運転時には圧縮機容量と膨張弁開度とを所定のインターバル(本実施形態では20秒)で制御する一方、外乱の発生時には室内熱交換器(21)の運転状態の変化に対応して入力信号を変化させて、圧縮機容量と膨張弁開度とを制御する割込処理を行うように構成されている。つまり、室外コントローラ(30)は、割込処理時に、入力信号を導出するための目標値を通常制御時とは変更して、該目標値と実測値との偏差が通常制御時よりも大きくなるように設定し、その目標値に合わせて出力信号(操作量)を導出するように構成されている。
【0040】
次に、室外コントローラ(30)の具体的な構成について説明する。
【0041】
この室外コントローラ(30)は、図2のブロック図に示しているように回路構成されている。室外コントローラ(30)は、運転状態を検出する3つの検出回路として、発停検出回路(31)と、運転容量検出回路(32)と、実測値検出回路(33)とを備えている。発停検出回路(31)は、各室内ユニット(12)の運転開始/停止の切り替えまたはサーモオン/オフの切り替え(以下、これらを室内発停と略する)を検出し、運転容量検出回路(32)は、発停検出回路(31)に接続され、室内発停時に室内ユニット(12)の総運転容量を検出する。
【0042】
上記運転容量検出回路(32)は、各室内ユニット(12)の稼働状況を検出し、容量検出信号を後述の目標値変更回路(37)に出力するように構成されている。つまり、該運転容量検出回路(32)は、各室内ユニット(12)の運転開始/停止の切り替え信号や、サーモオン/オフの切り替え信号を受けて、室内ユニット(12)の稼働台数を算出し、その稼働台数と稼働中の各室内ユニット(12)の定格容量とから、室内ユニット(12)の総運転容量を表す容量検出信号を出力する。なお、運転容量検出回路(32)は、このように稼働中の室内ユニット(12)の台数から各室内ユニット(12)の定格能力の合計を検出するようにしてもよいが、実際にどれだけの能力で運転しているかを検出することがより好ましい態様である。
【0043】
実測値検出回路(33)は、冷房時の冷媒の蒸発温度と、暖房時の冷媒の凝縮温度及び過熱度とを検出する回路である。つまり、この実測値検出回路(33)は、上記各圧力センサ(Pc,Pe) の圧力信号と、上記各温度センサ(SH,To2,Tr2)の温度信号とから、冷房運転時の冷媒の蒸発温度と、暖房運転時の冷媒の凝縮温度及び過熱度とを検出する。
【0044】
室外コントローラ(30)は、室内発停時に割込処理を行う。この処理のため、室外コントローラ(30)は、20秒に設定されている通常運転時の制御周期を測定する制御周期タイマ(34)と、割込処理時の処理時間を測定する割込タイマ(35)とが接続された割込制御判定回路(36)を備えている。割込制御判定回路(36)は発停検出回路(31)と接続され、発停検出回路(31)の出力信号が入力される。
【0045】
割込制御判定回路(36)には、目標値変更回路(37)が接続されている。目標値変更回路(37)は、室内ユニット(12)の総運転容量に応じて、冷房運転時の蒸発温度または暖房運転時の凝縮温度及び過熱度の目標値を設定する。通常の運転時には20秒ごとの目標値の推移は概ね微調整の範囲内であるが、割込処理を行うときには、室内発停時の総運転容量の変化に見合うように、冷房運転時の蒸発温度または暖房運転時の凝縮温度及び過熱度の目標値を大幅に変更するものとして設定する。具体的な設定については後述する。
【0046】
この目標値変更回路(37)と上記実測値検出回路(33)は、それぞれ偏差計算回路(38)に接続されている。目標値変更回路(37)は、冷房運転時の蒸発温度と暖房運転時の凝縮温度及び過熱度の目標値を偏差計算回路(38)に出力し、実測値検出回路(33)は、対応する実測値を偏差計算回路(38)に出力する。
【0047】
そして、この偏差計算回路(38)と上記割込制御判定回路(36)には、能力制御回路(39)が接続され、割込処理実行信号と、蒸発温度または凝縮温度及び過熱度の目標値とそれぞれの実測値との偏差が、該能力制御回路(39)に入力される。この能力制御回路(39)では、蒸発温度または凝縮温度及び過熱度が目標値になるように、圧縮機(14)の周波数信号と室外膨脹弁(17) の開度信号とを出力して、圧縮機(14)と室外膨脹弁(17)とを制御する。
【0048】
つまり、上記能力制御回路(39)は、冷房運転時における冷媒の蒸発温度と暖房運転時における冷媒の凝縮温度及び過熱度とを制御量として、目標値変更回路(37)で設定された目標値に対して、冷房運転時は冷媒の蒸発温度がその目標値になるように圧縮機(14)に周波数信号を出力する一方、暖房運転時は冷媒の凝縮温度がその目標値になるように圧縮機(14)に周波数信号を出力すると共に、室外膨張弁(17)に開度信号を出力する。
【0049】
−運転動作−
次に、上述した空気調和装置(10)の運転動作について説明する。
【0050】
冷房運転時には、図1中の四路切換弁(15)が破線側に切り換わり、圧縮機(14)から吐出された冷媒は、四路切換弁(15)を通過して室外熱交換器(16)に流入する。室外熱交換器(16)に流入した冷媒は、室外空気と熱交換して凝縮し、全開の室外膨張弁(17)を通過した後、室内膨張弁(20)によって減圧される。減圧された冷媒は、室内熱交換器(21)において室内空気と熱交換して蒸発し、室内空気を冷却する。蒸発した冷媒はアキュームレータ(18)を通過した後、圧縮機(14)に戻る。冷房運転時は以上のようにして冷媒が循環する。
【0051】
この冷房運転時は、低圧圧力センサ(Pe)が検出した圧縮機(14)の吸入側における冷媒の低圧圧力の圧力信号が、室外コントローラ(30)の実測値検出回路(33)に入力されている。該実測値検出回路(33)では、低圧圧力相当飽和温度である蒸発温度を検出し、蒸発温度信号を偏差計算回路(38)に出力している。該偏差計算回路(38)は、冷媒の蒸発温度の目標値も目標値変更回路(37)から入力されており、これらの実測値と目標値の偏差を計算する。そして、能力制御回路(39)が冷媒の蒸発温度の偏差に基づいて、圧縮機周波数信号及び膨脹弁開度信号(全開)を出力する。
【0052】
一方、暖房運転時には、図1において四路切替弁が実線側に切り換わり、圧縮機から吐出された冷媒は、四路切替弁(15)を通過して室内熱交換器(21)に流入する。室内熱交換器(21)に流入した冷媒は、室内空気と熱交換して凝縮し、室内空気を加熱する。凝縮した液冷媒は室内膨脹弁(20)を通過した後、室外膨張弁(17)によって減圧される。減圧された冷媒は、室外熱交換器(16)において室外空気と熱交換して蒸発し、アキュームレータ(18)を通過して圧縮機(14)に戻り、この循環が繰り返される。
【0053】
この暖房運転時は、高圧圧力センサ(Pc)が検出した圧縮機(14)の吐出側における冷媒の高圧圧力の圧力信号が、室外コントローラ(30)の実測値検出回路(33)に入力されている。該実測値検出回路(33)では、高圧圧力相当飽和温度である凝縮温度を検出し、凝縮温度信号を偏差計算回路(38)に出力している。また、この実測値検出回路(33)では、冷媒の過熱度も検出し、過熱度信号を偏差計算回路(38)に出力している。該偏差計算回路(38)は、冷媒の凝縮温度と過熱度の目標値も目標値変更回路(37)から入力されており、これらの実測値と目標値の偏差を計算する。そして、能力制御回路(39)が冷媒の凝縮温度と過熱度の偏差に基づいて、圧縮機周波数信号及び膨脹弁開度信号を出力している。
【0054】
以上のようにして、通常の冷房運転時及び暖房運転時において、空調能力が適正に制御される。なお、この通常運転時の制御のインターバルは上述したように20秒に設定されており、20秒ごとに圧縮機(14)の周波数や電動膨脹弁(17,20)の開度を制御するようにしている。
【0055】
ところで、例えば複数の室内ユニット(12)のうち何台かがユーザーの操作で停止して総運転容量が急に少なくなったりすると、20秒の制御周期では適正な制御を行えない時間が生じる。例えば、圧縮機(14)の周波数と室外電動膨脹弁(17)の開度を制御してから1秒後に、室内ユニット(12)を5台運転している状態から3台停止すると、停止した室内ユニット(12)の電動膨張弁(20)が閉まるので、急激に高圧が上昇して低圧が下がるなど、残りの19秒間は、システムへの影響が極めて大きくなる。そこで、本実施形態1では、このような場合には割込処理を行って、特別な保護制御などを行わなくても通常のフィードバック制御の範囲内で制御の適正化を図るようにしている。
【0056】
次に、通常の運転時も含めた具体的な制御の内容について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0057】
まず、ステップST1では、割込フラグがオンになっているかどうかを判別する。割込フラグについては後述するが、通常の運転状態では割込フラグはオフであり、そのままステップST2へ進むことになる。
【0058】
ステップST2では、発停検出回路(31)により、室内ユニットのサーモオン/オフまたは運転開始/停止の切り替えの有無を判別する(図ではサーモオン/オフのみを表示している)。運転状態に変化がない場合はステップST3へ進んで制御周期タイマ(34)のカウントを開始し、さらにステップST4で所定時間t1(本実施形態1では20秒)が経過したかどうかを検出する。ステップST2からステップST4の動作はループになっており、ステップST4で20秒が経過することを確認するまではステップST2へ戻り、20秒が経過するとステップST5へ進む。
【0059】
ステップST5では、目標値変更回路(37)で、20秒ごとに運転状態に合わせて制御の目標値を計算する。この目標値として、例えば冷房運転時には冷媒の蒸発温度が用いられる。また、暖房運転時には、冷媒の凝縮温度と過熱度とが用いられる。そして、次にステップST6で、圧縮機容量及び膨張弁開度を操作量とし、冷房運転時の冷媒の蒸発温度と暖房運転時の冷媒の凝縮温度及び過熱度とを制御量とする冷媒回路の動的モデルに基づく単変数または多変数フィードバック制御(SISOまたはMIMO制御)を行う。そして、冷房運転時の冷媒の蒸発温度または暖房運転時の冷媒の凝縮温度及び過熱度の目標値とそれぞれの実測値の偏差から、圧縮機容量と膨張弁開度の指令値を出力し、圧縮機周波数と電動膨脹弁の開度とを制御する。その後、ステップST7で制御周期タイマ(34)をリセットしてステップST1へ戻る。
【0060】
このように、通常の運転状態においては、冷房運転時における冷媒の蒸発温度の目標値と暖房運転時における冷媒の凝縮温度及び過熱度の目標値が定められているので、冷房時は蒸発温度がその目標値になるように圧縮機容量を制御し、暖房時は凝縮温度と過熱度がその目標値になるように圧縮機容量と膨脹弁開度を制御する。例えば、検出した蒸発温度が目標値より高く、その差が大きい場合には、冷房能力が不足しているので、圧縮機容量の増大等を行い、逆に、蒸発温度が目標値より高いが、その差が小さい場合には、冷房能力が充足しているので、圧縮機容量の低下等を行う。
【0061】
以上のようにして、通常の運転時には、20秒ごとに圧縮機(14)と室外膨脹弁(17)を操作して蒸発温度または凝縮温度と過熱度を目標値に制御するとともに、室内膨脹弁(20)を操作して能力制御を行っている。
【0062】
一方、ステップST2で室内ユニット(12)のサーモオン/オフまたは運転開始/停止を検知すると、ステップST8へ進む。例えば、5台の室内ユニット(12)が冷房運転している状態から、3台の室内ユニット(12)が運転を停止した結果、残った2台の冷房能力が過剰となり、その室内の温度が急速に設定温度に達してサーモオフした場合なども含む。
【0063】
このステップST8では、割込フラグをオンにセットし、同時に割込タイマ(35)をオンにしてカウントを開始する。そして、ステップST9で割込タイマ(35)のカウントから所定時間t2(例えば2秒)が経過したかどうかを検出する。この時間t2は、複数の室内ユニット(12)が同時に停止せず、時間的に若干ずれて停止する場合のタイムラグを吸収するために設定されている。つまり、3台の室内ユニット(12)が停止してから1秒後に4台目が停止したような場合に、その運転容量の変化に対応するためである。
【0064】
このステップST9で所定時間が経過したことを検出するとステップST10へ進み、運転容量検出回路(32)により、そのときに稼働している室内ユニット(12)の運転容量の合計を計算する。さらに、ステップST11では、目標値変更回路(37)により、サーモオン/オフ時等の室内ユニット(12)の総運転容量に合わせて、冷房時の冷媒の蒸発温度の目標値や、暖房時の冷媒の凝縮温度及び過熱度の目標値を算出する。
【0065】
このとき求められる目標値は、例えば冷房運転時の蒸発温度の目標値と蒸発温度の実測値に1deg 程度の偏差があったときに、その偏差の値が例えば2〜3倍程度、もしくはそれよりも大きくなるような目標値に設定される。このような目標値を設定することによって、運転容量の急激な変化に応じた出力の値(圧縮機周波数の変更量や電動弁開度の変更量)を得られるようにしている。例えば室内ユニットの5台中3台が急激に停止したとき、蒸発温度の目標値と実測値の偏差は停止の直後にはそれほど極端には変化せず、その偏差の量は5秒から10秒程度が経過するのに伴って徐々に大きくなるのに対して、本実施形態1では、運転状態の変化が起こった瞬間に、10秒程度が経過した後の偏差の量を見越した目標値を設定して、それに見合った圧縮機周波数及び電動弁開度の大幅な変更量が得られるようにしている。これは、変化が起こった瞬間の偏差をそのまま入力に利用したのでは、圧縮機周波数等の変更量が十分でないためである。そして、この設定の後にステップST6を実行することにより、通常のSISOまたはMIMO制御の範囲内で、これらの制御の特徴を生かしたフィードフォワード制御的な制御が可能となり、通常運転時の制御のインターバルを20秒に設定しているにもかかわらず、保護回路を用いずに外乱発生時の圧力変動の問題を抑えられる。
【0066】
なお、割込処理を行った後は、割込フラグがオンにセットされたままになっている。このことをステップST1で検出するとステップST12へ進み、割込タイマのカウント開始から所定時間t3が経過しているかどうかを判別する。そして、所定時間t3が経過していることを確認してから、ステップST13で割込フラグをオフにリセットし、ステップST2以降の通常運転時の動作を行う。このようにすることにより、例えば圧縮機周波数が変更直後に再変更されなくなるので、少なくともインバータの応答時間が経過する前に不必要に周波数を変更してしまうことを防止できる。
【0067】
−実施形態1の効果−
以上説明したように、本実施形態においては、室内ユニット(12)の運転容量が急激に変化した場合には、例えば冷房運転時の蒸発温度の目標値と実測値の偏差を大きくした値を入力とする割込処理を行うことで、SISOまたはMIMO制御の特徴を生かし、通常のフィードバック制御の範囲内でフィードフォワード制御と同等の制御を可能としている。そして、保護制御を別途行っていないにも関わらず、室内ユニット(12)の運転容量の急激な変化からある程度の時間が経過した後に高圧圧力や低圧圧力が異常に変化するのを防止できる。
【0068】
したがって、本実施形態1によれば、通常の空調運転時の圧縮機周波数や電動膨脹弁開度の制御のインターバルを20秒程度に設定している場合に室内ユニット(12)の運転台数が急に変化するような外乱が生じても、適正な制御を継続できる。
【0069】
しかも、動的モデルに基づいたフィードバック制御で割込処理を行うだけで実質的にフィードフォワード制御に相当する制御を行って、高圧圧力の上昇や低圧圧力の降下に対する保護制御を不要にしているので、保護制御のために圧縮機周波数の上限が制限されるような制約もない。さらに、保護制御が不要となるため、制御を簡素化できる。
【0070】
また、本実施形態1のように複数の室内ユニット(12)が接続されたいわゆるマルチ型の空気調和装置では、室内ユニット(12)と室外ユニット(11)の接続状況が複雑であるために、フィードフォワード制御を行うためには制御パラメータを決定するのに多くの実験が必要であるが、本実施形態では目標値を変更するだけで外乱に容易に対応できる。
【0071】
また、外乱が発生したときの目標値は、実験などで予め求めておけばよい。このため、開発の工数を削減できるメリットがある。さらに、空気調和装置を製品化するに当たって、上記制御を実行するようにすれば、別途フィードフォワード制御を行う場合よりもメモリが少なくて済み、計算量も少なくて済む利点がある。
【0072】
また、本実施形態1のMIMO制御においては、通常の空調運転時には、内部計算は1秒ごとに実行し、出力のみを20秒ごとに実行するようにしている。つまり、制御のインターバルの間には、1秒ごとに圧縮機周波数等の変更量を計算している。しかし、制御から例えば1秒後に割り込みがかかったとすると、1秒分の変更量は求められるが、そのままでは小さな変更量になるため、偏差の量を大きくして圧縮機周波数等の変更量を大きくしている。したがって、この変更量に基づいて圧縮機を適切な周波数に変更して、高圧圧力の上昇などを防止できる。
【0073】
また、従来のMIMO制御において、例えば制御のインターバルを20秒にしていると、外乱が発生したときには、圧縮機周波数などを次に変更するまでは適切な値から徐々にずれていくことになるが、本実施形態では、外乱の発生時に割込処理を行って偏差が大きくなるような目標値を設定しているので、そのような問題を防止できる。また、常に短いインターバルで制御を行うのではないので、特にインバータの応答性を速くするようなことをしなくても外乱に対応可能であり、また制御用マイコンの計算負荷を軽減できる。
【0074】
【発明の実施の形態2】
本発明の実施形態2は、上記実施形態1において入力信号を導出するための目標値を外乱の発生時に変更する代わりに、目標値と実測値から計算した偏差を大きく設定するようにしたものである。
【0075】
この実施形態2の室外コントローラ(30)の回路構成を図4のブロック図に示している。図示するように、この室外コントローラ(30)は、実施形態1の室外コントローラ(30)において、偏差計算回路(38)と能力制御回路(39)の間に、偏差スケジューリング回路(40)を備えている。この偏差スケジューリング回路(40)は、偏差計算回路で求められた偏差の値と、運転容量検出回路(32)で検出された運転容量の値とが入力されて、運転容量の変化に応じた偏差の値を求め、その値を能力制御回路(39)に入力する。なお、実施形態1では、運転容量検出回路(32)が目標値変更回路(37)に接続されているが、本実施形態2では、運転容量検出回路(32)は目標値変更回路(37)には接続されていない。
【0076】
以上の構成において、割込制御判定回路(36)で割込処理を行うと判断した場合は、例えば、目標値変更回路(37)で求められた冷房運転時の冷媒の蒸発温度の目標値と、実測値検出回路(33)で検出された蒸発温度の実測値とから、偏差計算回路(38)で偏差が求められる。そして、この偏差が偏差スケジューリング回路(40)で増幅され、能力制御回路(39)では、増幅された偏差の値に対応して圧縮機(14)の周波数や室外膨脹弁(17)の開度が変更される。
【0077】
このように、実施形態1では目標値変更回路(37)で外乱発生時の目標値を設定するときに偏差を大きくした値を含むようにしていたのに対して、この実施形態2では、偏差自体を増幅している。
【0078】
−運転動作−
次に、この室外コントローラ(30)を用いる場合の運転動作について、図5のフローチャートを参照して説明する。なお、以下の説明では冷房運転時のみについて説明し、暖房運転については省略する。
【0079】
このフローチャートにおいて、ステップST21からステップST27では、図1のステップST1からステップST7と同様の制御が行われる。つまり、通常の冷房運転時には、例えば20秒ごとに運転状態に対応した冷媒の蒸発温度の目標値が求められ、その目標値に合わせて圧縮機(14)の周波数が調整される。
【0080】
一方、ステップST22では、発停検出回路(31)により、室内ユニット(12)のサーモオン/オフや運転開始/停止の切り替えを検出している。そして、サーモオン/オフ等を検出した場合(外乱が発生した場合)には、ステップST28〜ステップST32の割込処理を実行する。この割込処理を実行する場合、まずステップST28で割込フラグと割込タイマをオンにして、ステップST29で所定時間t2が経過するのを待つ。次にステップST30で、運転容量検出回路(32)により、そのときの運転容量を計算する。ステップST31では、偏差計算回路(38)により冷媒の蒸発温度及び過熱度の目標値とそれぞれの実測値との偏差を計算する。
【0081】
ステップST31で計算した偏差の値は、ステップST32で偏差スケジューリング回路(40)により増幅する。つまり、外乱が発生した直後には偏差がそれほど大きくならないので、例えば外乱から10秒経過後の偏差を見越した値に調整する。そして、ステップST32の実行後は、ステップST28へ進んで動的モデルに基づくSISO制御を行い、増幅した偏差に応じて圧縮機周波数を大幅に変更した後、ステップST27でタイマをリセットしてステップST21へ戻る。
【0082】
図6には、室内ユニット(12)の総運転容量の変化量に対する偏差のゲイン(増幅量)の関係を示すマップを表している。例えば総運転容量が変化前に対して変化後に小さくなるほど偏差のゲインを大きくし、運転容量の変化が少ないほどゲインを小さくするようにしている。こうすることで、急激な外乱が発生したときに、そのときの運転容量の変化に合わせて圧縮機(14)や膨脹弁(17)を制御することが可能となる。
【0083】
以上のように、本実施形態2では偏差スケジューリング回路(40)を設けて、例えば冷媒の蒸発温度の実測値とその目標値との偏差を増幅するようにしているため、実施形態1と同様に、外乱の発生時にも圧縮機(14)を適切な周波数で運転することが可能となる。
【0084】
また、ステップST33,34では、実施形態1のステップST12,13と同じ動作を行う。つまり、割込処理を行った後、割込フラグがオンにセットされたままになっていることをステップST21で検出するとステップST33へ進み、割込タイマ(35)のカウント開始から所定時間t3が経過しているかどうかを判別する。そして、所定時間が経過していることを確認してから、ステップST34で割込フラグをオフにリセットし、ステップST22以降の通常運転時の動作を行う。このようにして、インバータの周波数変更速度が制御インターバルに追いつかなくなるのを防止している。
【0085】
なお、暖房運転時は、実施形態1と同様にMIMO制御が行われる。
【0086】
−実施形態2の効果−
本実施形態2の制御を行う場合も、実施形態1の制御を行う場合と同様に、SISOまたはMIMO制御においてフィードフォワード的な制御を簡単に実現して、外乱の発生時も適正な制御を可能にすることができる。したがって、通常の空調運転時の圧縮機周波数や電動弁開度の制御のインターバルを20秒程度に設定している場合に室内ユニット(12)の運転台数が急に変化しても、高圧圧力が上がりすぎたり低圧圧力が下がりすぎたりする問題を防止できる。また、高圧圧力の上昇や低圧圧力の降下に対する保護制御は不要であり、保護制御のために圧縮機周波数の上限が制限されるような制約もないうえ、外乱発生時の制御の目標値を増幅するだけでよいので外乱への対応が容易である。
【0087】
−実施形態2の変形例−
上記実施形態2では、室内ユニット(12)の運転容量の変化量に対応した偏差のゲインを定めたマップを利用して偏差のスケジューリングを行うようにしているが、上記マップを利用する代わりに、室内ユニット(12)の変化前容量と変化後の容量変化量の関数から偏差を求めるようにしてもよい。
【0088】
【発明のその他の実施の形態】
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0089】
例えば、上記各実施形態では、冷房時に一つの入出力を扱う単変数制御(SISO制御)、暖房時に複数の入出力を扱う多変数制御(MIMO制御)を適用した例を説明したが、冷房、暖房時共にSISO制御またはMIMO制御を適用してもよい。例えば、冷房、暖房共にMIMO制御を適用した場合、圧縮機(14)の周波数と室外膨脹弁(17)または室内膨脹弁(20)の開度を操作量とし、冷媒の蒸発温度と過熱度または凝縮温度と過熱度を制御量とする冷媒回路のモデルに基づいて、蒸発温度と過熱度などが所定値になるように圧縮機(14)の周波数と膨脹弁開度を調整する制御を行うことができる。
【0090】
また、上記各実施形態では、室内ユニット(12)の運転容量を検知して、それに応じた制御を行うようにしているが、各室内ユニット(12)の発停だけを検知して概略の運転容量を求め、その値に基づいて圧縮機等を制御するようにしてもよい。この場合は、例えば複数の室内ユニット(12)がすべて同一の定格容量である場合には室内ユニット(12)の総運転容量に合わせた適切な制御が可能となる一方、複数の室内ユニットの定格容量がすべて同一でない場合は簡易的な制御となる。
【0091】
また、上記各実施形態では、各室内機に膨脹弁がある場合を記載したが、例えば室外機にこれら膨脹弁がまとめて設置してあるような場合や、配管(13)の途中に各室内機への分岐ユニット等が設置され、そこに膨脹弁が設置されているような場合にも適用できる。
【0092】
また、上記各実施形態は、冷房運転と暖房運転とが可能な空気調和装置に本発明を適用した例であるが、本発明は冷房運転専用機または暖房運転専用機にも適用できる。
【0093】
さらに、本発明は、動的モデルに基づく制御において、操作量や制御量を上記実施形態で説明した値に限定するものではなく、例えばファン回転数等を操作量として用いるなど、他の値を用いるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る空気調和装置の冷媒回路図である。
【図2】室外コントローラの回路構成を示すブロック図である。
【図3】図2の室外コントローラによる運転動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態2における室外コントローラのブロック図である。
【図5】図4の室外コントローラによる運転動作を示すフローチャートである。
【図6】運転容量の変化量に対する偏差のゲインの関係を示すマップである。
【符号の説明】
(10) 空気調和装置
(11) 室外ユニット
(12) 室内ユニット
(14) 圧縮機
(16) 室外熱交換器
(17) 室外膨脹弁(膨張機構)
(20) 室内膨脹弁(膨張機構)
(21) 室内熱交換器
(23) 冷媒回路
(30) 室外コントローラ(制御手段)

Claims (11)

  1. 容量可変の圧縮機(14)と室外熱交換器(16)と開度調整自在の膨張機構(17,20) と室内熱交換器(21)とが順に接続されてなる冷媒回路(23)と、冷媒回路の動的モデルに基づいて空調制御を行う制御手段(30)とを備えた空気調和装置であって、
    上記制御手段(30)は、外乱の発生時に、室内熱交換器(21)の運転状態の変化に対応して上記空調制御に関する操作量を変更する割込処理を動的モデルに基づいた制御中に行うように構成されている空気調和装置。
  2. 複数の室内ユニット(12)を備え、各室内ユニット(12)がそれぞれ備えている室内熱交換器(21)が上記冷媒回路(23)において互いに並列に接続され、
    制御手段(30)は、各室内ユニット(12)の総運転容量が急激に変化したときに割込処理を行うように構成されている請求項1記載の空気調和装置。
  3. 制御手段(30)は、一つの入出力を扱う単変数制御を行うように構成されている請求項1または2記載の空気調和装置。
  4. 制御手段(30)は、複数の入出力を扱う多変数制御を行うように構成されている請求項1または2記載の空気調和装置。
  5. 制御手段(30)は、圧縮機容量を操作量とし、冷房運転時の冷媒の蒸発温度を制御量とする冷媒回路の動的モデルに基づいて、冷房運転時の冷媒の蒸発温度の目標値とその実測値の偏差を入力として圧縮機容量の指令値を出力するように構成されるとともに、
    該制御手段(30)は、通常運転時には圧縮機容量を所定のインターバルで制御する一方、外乱の発生時には室内熱交換器(21)の運転状態の変化に対応して入力信号を変化させて圧縮機容量を制御する割込処理を行うように構成されている請求項1または2記載の空気調和装置。
  6. 制御手段(30)は、圧縮機容量及び膨張弁開度を操作量とし、冷房運転時の冷媒の蒸発温度及び過熱度を制御量とする冷媒回路の動的モデルに基づいて、冷房運転時の冷媒の蒸発温度及び過熱度の目標値とそれぞれの実測値の偏差を入力として圧縮機容量と膨張弁開度の指令値を出力するように構成されるとともに、
    該制御手段(30)は、通常運転時には圧縮機容量と膨張弁開度とを所定のインターバルで制御する一方、外乱の発生時には室内熱交換器(21)の運転状態の変化に対応して入力信号を変化させて圧縮機容量と膨張弁開度とを制御する割込処理を行うように構成されている請求項1または2記載の空気調和装置。
  7. 制御手段(30)は、圧縮機容量及び膨張弁開度を操作量とし、暖房運転時の冷媒の凝縮温度及び過熱度を制御量とする冷媒回路の動的モデルに基づいて、暖房運転時の冷媒の凝縮温度及び過熱度の目標値とそれぞれの実測値の偏差を入力として圧縮機容量と膨張弁開度の指令値を出力するように構成されるとともに、
    該制御手段(30)は、通常運転時には圧縮機容量と膨張弁開度とを所定のインターバルで制御する一方、外乱の発生時には室内熱交換器(21)の運転状態の変化に対応して入力信号を変化させて圧縮機容量と膨張弁開度とを制御する割込処理を行うように構成されている請求項1または2記載の空気調和装置。
  8. 制御手段(30)は、割込処理時に、入力信号を導出するための目標値を通常制御時とは変更して出力信号を導出するように構成されている請求項5,6または7記載の空気調和装置。
  9. 制御手段(30)は、割込処理時に、入力信号を導出するための目標値を、実測値との偏差が通常制御時よりも大きくなるように設定する請求項8記載の空気調和装置。
  10. 制御手段(30)は、割込処理時に、入力信号を導出するための目標値と実測値の偏差を通常制御時とは変更して出力信号を導出するように構成されている請求項5,6または7記載の空気調和装置。
  11. 制御手段(30)は、割込処理時に、入力信号を導出するための目標値と実測値の偏差を、通常制御時よりも大きくなるように設定する請求項10記載の空気調和装置。
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