JP4410687B2 - 電力線搬送通信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電気機器に電力を供給する電力線を利用して通信を行う電力線搬送通信装置及び電力線搬送通信方法に関する。
近年、インターネットに代表される通信網を介して企業や個人の間で大量の情報が伝送されるようになってきた。そして、伝送される情報量の増加に伴い、通信路の伝送容量(伝送速度)の向上が求められてきている。通信手段として、光ファイバ通信、無線、ADSL、電力線搬送等があるが、いずれの場合でも高速通信が求められている。電力線搬送は、電気機器に電力を供給する電力線に情報を重畳し情報伝送を行う技術である。従来の電力線搬送通信装置では、その送信端電圧が90[dBμV]前後である。また、電力線を通信線として利用した電力線搬送通信としては、例えば特開2002−280935号公報が挙げられる。当該公報によれば、電力線を利用して、複数搬送波にそれぞれ異なる情報を割り付けて通信を行う技術が開示されている。
電力線は、ツイストペア線のようにツイストしていることもなく、同軸ケーブルのようにシールドもしていない。従って、耐ノイズ性の観点からは非常に弱いケーブルである。このことは、外部からのノイズや他の機器で使われる通信信号が電力線に侵入しやすいことを示していると同時に、電力線に印加した電力線搬送通信装置からの通信信号が漏洩しやすいことを示している。電力線には多くの電化製品が接続されており、電力線に直接又は間接的にノイズが混入する。最近の電化製品はインバータが採用され省電力化等を図っているが、インバータを構成するスイッチング素子(例えばIGBT、バイポーラトランジスタ、FET、サイリスタ等の半導体スイッチング素子)のオンオフ動作によって電磁ノイズが発生する。この電磁ノイズは、スイッチング素子がオンあるいはオフした際に、回路内の配線によるインダクタンスや浮遊容量及びスイッチング素子のスイッチング速度によって決まる高周波ノイズである。このノイズは実験により評価した結果、数百kHzから数十MHzにまで及ぶことがわかった。この結果、このまま使用すると電磁ノイズの影響による伝送エラーが多発し、安定した通信ができないという問題が発生することがある。さらに、従来の電力線搬送通信装置は、漏洩電界強度が大きいため通信に使用する帯域に存在するラジオやアマチュア無線等の無線受信装置にノイズを加える可能性がある。
従って、本発明は、電力線を通信線として用いた電力線搬送通信において、低い漏洩電界強度でノイズや減衰に対して強い安定した通信を可能にする電力線搬送通信装置を提供することを主たる課題とする。
前記課題を解決するために、電力線搬送通信装置は、少なくとも周波数1MHzから30MHzのいずれかの帯域を使用して、情報を割り付けた搬送波(キャリア、サブキャリアとも言う)をより広い帯域幅をもった搬送波に変調し、電力線を通信線として、電力線に接続される他の電力線搬送通信装置と通信する。
前記課題を解決する他の手段として、他の電力線搬送通信装置によって送信された送信信号を受信時に、送信信号に使用された拡散符号と同一の拡散符号系列を基に逆拡散して復調する。又は、複数受信される同一の情報を基に送信情報を復元するダイバーシティ合成手段によって復調する。
前記課題を解決する他の手段として、電力線搬送通信装置は、前記変調手段において、送信端電圧の上限を70[dBμV](RBW9kHz、準尖頭値)以下として通信する。
前記課題を解決する他の手段として、電力線搬送通信装置は、送信信号を、高速逆フーリエ変換器によりOFDM変調してOFDM信号を生成する手段と、ディジタルアナログ変換器によりアナログ信号に変換する手段と、アナログ信号を一定間隔ごとにサンプリングして少なくともサンプリング間隔以上にならないようなホールド時間で個々のサンプリングをホールドするホールド制御手段と、さらに前記ホールド制御手段には、前記ホールド時間経過後に次のサンプリングまでサンプリングした振幅を所定値以下にする手段とを備える。
前記課題を解決する他の手段として、電力線搬送通信装置は、受信信号の時間系列信号に同期を取ってアナログディジタル変換器により受信信号のサンプリングを行ってディジタル信号に変換する手段と、前記ディジタル信号に対して高速フーリエ変換器によりOFDM復調を行う手段とを備える。
本発明における電力線搬送通信装置は、より広い帯域を利用して通信を可能とし、またノイズや減衰に強い通信を可能とし、さらに送信端電圧を抑えることで低い漏洩電界強度を達成しながら、安定した通信を可能とする。
第1図は、本発明に係る第1実施形態の電力線搬送通信装置の構成を示す図である。
第2図は、本発明に係る電力線搬送通信装置における多値変調の一つであるQPSKのコンスタレーションマッピングの一例を示す図である。
第3図は、どの多値変調を行うかを決定するための通信誤り率とSN比を示す図である。
第4図は、第3図における通常のQPSKの通信誤り率と拡散率が20の時のQPSKの通信誤り率を示す図である。
第5図は、電力線の伝送路特性(減衰特性)を実験により測定した結果の例を示す図である。
第6図は、電力線のノイズ特性を示す図である。
第7図は、本発明に係る第2実施形態の電力線搬送通信装置における直接スペクトル拡散方式の構成を示す図である。
第8図は、拡散前帯域幅Waの単一搬送波を、1MHzから30MHzの帯域を使用して直接スペクトル拡散した場合の周波数スペクトル概念図である。
第9図は、帯域幅Waの単一搬送波からなる情報信号を複数の搬送波に割り付け、複数の搬送波を周波数1MHzから30MHzのいずれかの帯域に割り当てた図である。
第10図は、本発明に係る第3実施形態の電力線搬送通信装置における、前記第9図に示した複数の搬送波に割り付けを行うための構成を示す図である。
第11図は、複数搬送波に情報を分割して割り付けた図である。
第12図は、第11図に示す搬送波を、周波数1MHzから30MHzのいずれかの帯域を使用して、同一又は異なる拡散符号を用いて拡散し、個々の搬送波に割り付けた拡散情報信号が互いに干渉しないように周波数軸上に割り当てた例を示す図である。
第13図は、スペクトル拡散変調器の処理フロー図である。
第14図は、周波数選択性フェージングとフラットフェージングを説明する図である。
第15図は、本発明に係る第4実施形態の電力線搬送通信装置における、後記第16図に示す割り付けを行うための構成を示す図である。
第16図は、複数搬送波に情報を分割して割り付け、同一情報が割り付いている個々の搬送波を互いに干渉することなく周波数軸上に割り当てた図である。
第17図は、第15図に示す電力線搬送通信装置における帯域割付装置の処理フローである。
第18図は、第11図に示す複数の搬送波に関して、同一情報が割り付けられている搬送波をそれぞれ離隔して周波数軸上に割り当てた図である。
第19図は、第15図に示す電力線搬送通信装置おいて第18図に示す割り付けを実行する場合の帯域割付装置の処理フローである。
第20図は、第11図に示す複数の搬送波を、周波数1MHzから30MHzのいずれかの帯域を使用して、一括してスペクトル拡散を行った図である。
第21図は、本発明に係る第5実施形態の電力線搬送通信装置の構成を示す図である。
第22図は、複数搬送波からなるブロックの周波数スペクトル概念図である。
第23図は、第22図のそれぞれのブロックごとに個々の搬送波を直接拡散した場合の周波数スペクトル概念図である。
第24図は、第22図のそれぞれのブロックごとに同一情報の搬送波を複数搬送波に割り付けた場合の周波数スペクトル概念図である。
第25図は、第22図のそれぞれのブロックごとに一括して直接拡散した場合の周波数スペクトル概念図である。
第26図は、OFDM信号の周波数スペクトル概念図である。
第27図は、OFDM信号をより広い通信帯域幅に拡散した場合の周波数スペクトル概念図である。
第28図は、OFDM信号にスペクトル拡散を適用する場合の処理構成図である。
第29図は、OFDMの複数搬送波に同一情報を割り付ける場合の処理構成図である。
第30図は、OFDM信号を一括して直接拡散する場合の処理構成図である。
第31図は、家庭内電力線のコモンモードインピーダンスの測定結果を示す図である。
第32図は、家庭内電力線の不平衡減衰量の測定結果を示す図である。
第33図は、環境電界強度の測定結果の例である。
第34図は、本発明に係る第6実施形態の電力線搬送通信装置の構成を示す図である。
第35図は、第34図の電力線搬送通信装置におけるDA変換器の出力波形を示す図である。
第36図は、第34図の電力線搬送通信装置におけるホールド制御装置の出力波形を示す図である。
第37図は、第34図の電力線搬送通信装置のおけるホールド制御装置の一例を示す回路図である。
第38図は、第35図の信号波形の周波数スペクトル概念図である。
第39図は、第36図の信号波形の周波数スペクトル概念図である。
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
〔電力線搬送通信装置〕
第1図は、本発明に係る第1実施形態の電力線搬送通信装置の構成を示す図である。電力線搬送通信装置1aは、パソコン26やテレビ27、冷蔵庫28、監視カメラ29等の電気機器に内蔵又は外付けされ、電力線20を通信線として用い、同一配電系統内にある他の電力線搬送通信装置1b,1c,1d,1eと通信を行う。また、ホームゲートウェイ23やホームサーバ24等からローカルエリアネットワークやインターネット25上にあるコンテンツや保守情報、その他のサービス情報の授受を行う。
電力線搬送通信装置1a,1b,1c,1d,1eは同一構成であり、第1図に示す電力線搬送通信装置1aを基に説明する。電力線搬送通信装置1aは、バンドパスフィルタ(BPF)14,18、検波回路17、受信アンプ16、送信アンプ13、アナログ/ディジタル変換器(AD変換器)15、ディジタル/アナログ変換器(DA変換器)11、ミキサ12、復調器2、変調器3、コンスタレーションデマッパ4、コンスタレーションマッパ10、等価器/判定器5、復号器6、符号器9、メディアアクセスコントローラ7、プロトコル変換器8から構成されている。
プロトコル変換器8は、接続されているパソコン26やテレビ27等の電気機器とのインタフェースが取れるように通信データの変換をおこなう装置である。このインタフェースは、例えばイーサ(R)やUSB(Universal Serial Bus)等の標準的な規格のインタフェースである。プロトコル変換器8は、パソコン26等の機器からデータを受け取ると、このデータを電力線搬送通信装置1aで扱う所定フォーマットの通信パケットに変換する。メディアアクセスコントローラ7では、プロトコル変換器8からの通信パケットを受信するとこのデータを、符号器9と変調器3に送る。また、メディアアクセスコントローラ7は、MAC制御(通信データの送信タイミングやパケットのフレーム構造等の制御)に関する処理と電力線のSN比の状態をトレーニング信号を使って解析を行っており、この解析情報を、符号器9、変調器3及びコンスタレーションマッパ10に送る。符号器9では、誤り訂正符号化を行う。コンスタレーションマッパ10では、多値PSK(QPSK)、多値QAM等の多値変調を行い、そのコンスタレーション配置に応じてデータを割り付ける(コンスタレーションマッピング)。なお、QAMはQuadrature Amplitude Modulation、QPSKはQuadrature Phase Shift Keyingと呼ばれ、QAMは振幅変調、QPSKは位相変調である。
第2図は、QPSKのコンスタレーションマッピングの一例を示す図である。符号器9から送られてきた2ビットのデータが、第2図の4点のうちのいずれかに割り当てられ、それぞれIとQの値が変調器3に送られる。QPSKは、各搬送波(キャリア、サブキャリアとも言う)に2ビットを割り付ける変調方式であり、信号点配置は第2図のようになっている。I軸は信号の同相成分を表し、Q軸は信号の直交成分を表している。信号点へのデータ割り付けは、例えば、第1象限の信号点でデータ“00”を示し、第2象限の信号点でデータ“01”、第3象限の信号点でデータ“11”、第4象限の信号点でデータ“10”を表す。
なお、第2図ではQPSKの一例を示したが、コンスタレーションマッパ10はメディアアクセスコントローラ7から、伝送路のSN比を受け取り、第3図に示す通信誤り率とSN比に基づいて、いずれの多値変調を行うかを決定する。第3図は、どの多値変調を行うかを決定するための通信誤り率とSN比を示した図である。より広い帯域を使った通信の場合、拡散率や同一情報をいくつ送信するかによって、第3図に示す所要SN比よりも低いSN比で多値変調を行えるため、コンスタレーションマッパ10は、拡散率や同一情報の送信数を考慮して多値数を決定する。例えば、第4図は、第3図における通常のQPSKの通信誤り率と拡散率が26の時のQPSKの通信誤り率を示した図である。拡散等の処理を施さない(通常のQPSK)場合は、通信誤り率が10−5の時の所要SN比は約10dBであるが、拡散率が20の場合は、SN比が−3dBで、QPSK変調ができることを示している。これをプロセスゲインと呼ぶ。なお、拡散率は、ベースバンド信号帯域幅と伝送帯域幅で決定される。例えば、ベースバンド帯域幅が1MHzであり、伝送帯域幅が25MHzであれば拡散率は25となる。
変調器3は、後記するスペクトル拡散や帯域割り付けによって、変調器3への入力信号を、より広い帯域幅を持った通信信号とする。その後、この信号は、DA変換器11によりアナログ信号に変換される。この処理をアナログ回路で実現することもあり、その場合にはDA変換器は不要である。この後、ミキサ12でI,Q変調や周波数変換され、送信アンプ13により増幅された後、BPF14を介して電力線に出力され、他の電力線搬送通信装置1b,1c,1d,1eに送信される。なお、IQ変調はDA変換処理の前に実行されることもある。
一方、他の電力線搬送通信装置1b,1c,1d,1eから送信されてきた信号(受信信号)は、BPF18によって通信帯域外の信号が抑制され、受信アンプ16に出力される。受信信号は、受信アンプ16で増幅され、AD変換器15に出力される。AD変換器15によってディジタル情報に変換され、復調器2で逆拡散が行われる。逆拡散等の復調処理をアナログ回路によって実現する場合には、AD変換器15は不要である。逆拡散や帯域合成(ダイバーシティ合成)を行って、元のベースバンド帯域幅まで帯域幅を狭くした後、コンスタレーションデマッパ4でデマッピングが行われる。デマッピングは、受信信号の振幅と位相情報により行われる。第2図は、QPSKのコンスタレーションマッピングを示しているが、デマッピングされたデータは、ノイズや伝送路歪により、本来のコンスタレーション位置とは異なる場合が多い。このデータは、等価器/判定器5の等価器により、伝送路の歪により生じる位相回転が修正される。位相回転量は、トレーニング信号として送られる既知のデータがどの程度位相回転しているかを割り出すことで把握される。
次に、等価器/判定器5により、元の2値データに振り分ける符号等価が行われ、復号器6で誤り訂正符号の復号を行って、メディアアクセスコントローラ7に送られる。メディアアクセスコントローラ7でMAC制御に関する処理を行ってプロトコル変換器8に送られる。その後、データは、プロトコル変換器8でパソコン26やテレビ27等の情報受信装置に送られる。
電力線20は、電源供給線であるため、一般家庭であれば、配電盤/ブレーカ22に接続されているので、電力線搬送通信装置1aの信号が配電盤/ブレーカ22を介して同一の外部配電線に接続されている家屋へ伝送される可能性がある。これを抑制する目的でブロッキングフィルタ21を、電力線20に設ける場合がある。
[電力線の通信特性 1MHz−30MHz]
次に、通信線として用いる電力線20の特性について説明する。第5図は、電力線の伝送路特性(減衰特性)を実験により測定した結果の例である。あるコンセント間においての減衰特性であり、実測値30(破線参照)とその実測値30を1次近似した結果31(実線参照)とを示してある。一般に電力線20は、第5図に示すように減衰が大きく特に周波数が高くなるほどその傾向は顕著である。第5図により周波数が30MHz以上になると、減衰量(マイナスの符号)は60dB以上にも及ぶことがわかる。これは、30MHz以上の高周波信号は電力線20によって十分に伝送できないことを示している。また、第6図は、電力線20のノイズ特性であるが、30MHz付近ではノイズは30[dBμV]である。これに減衰特性を考慮した場合、例えば電力線搬送通信装置1aの送信端電圧が70[dBμV]だったとしても、SN比が−20dBとなる(30MHz付近では減衰が60dBあるため、70dBμVの送信端電圧が10dBμVにまで落ち、そこにノイズ30dBμVが加わるため)。仮に拡散等によるプロセスゲインでSN比の改善を試みても、30MHz以上の周波数帯域では、減衰により通信に寄与することができない。従って、30MHzまでを使って通信をすると安定性が向上する。また、第6図からわかるように、1MHz以下の周波数ではノイズが高いため、1MHz以上の周波数を使い、広い帯域を確保することで通信の安定性が増す。5MHz以上では、さらにノイズが低いため、より安定した通信ができる。
以上により、電力線搬送通信装置1aで、スペクトル拡散や帯域割り付けにより広い帯域を使って通信を行う場合には、少なくとも1MHzから30MHzのうちのいずれかの帯域を使用することで、安定した通信が可能になる。
また、この通信信号に対し、受信側において逆拡散処理を実行したり、複数の搬送波信号に割り付けられているそれぞれの同一の情報(ダイバーシティ枝と言う)を加算したり、位相調整後に加算したり、あるいはそれぞれのダイバーシティ枝に重み付けをして、位相調整後に加算したりして、帯域合成(ダイバーシティ合成)を行うことにより、SN比を改善することが出来るため、信頼性の高い通信を行うことが可能である。ここで、ダイバーシティ枝とは、それぞれの搬送波に割り付けられた個々の同一情報を意味する。
〔単一搬送波のスペクトル拡散〕
次に、より広い帯域を使用したスペクトル拡散方式又は帯域割り付けについて説明する。
第7図は、本発明に係る第2実施形態の電力線搬送通信装置1aにおける直接スペクトル拡散方式の構成を示す図である。第1図と共通する部分については同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。第1図で示した処理と異なる点は、拡散及び逆拡散部分であり、拡散符号発生器34、スペクトル拡散変調器35、タイミング同期回路33及びスペクトル逆拡散変調器32を備える。送信時にコンスタレーションマッピングされたデータは、拡散符号発生器34で発生した拡散符号系列を用いてスペクトル拡散変調器35でスペクトル拡散され、DA変換器11に送られる。一方受信時には、タイミング同期回路33により符号同期をとり、スペクトル逆拡散変調器32で逆拡散されたデータがデマッピングされる。
第8図は、拡散前帯域幅Waの単一搬送波36を、1MHzから30MHzの帯域を使用して直接スペクトル拡散した場合の周波数スペクトル概念図である。拡散後の搬送波37は、周波数帯域幅がより広い帯域幅Wbになっている。拡散符号には、PN符号(擬似ランダム符号)、M系列、ゴールド符号、バーカ符号、その他の直接拡散を行うことができる任意の符号長の符号系列を用いる。この拡散手段は、帯域幅Waの搬送波に対し、拡散符号を乗算するだけで簡単により広い帯域幅Wbにスペクトル拡散できるという特徴がある。
以下、同様に帯域幅Waの搬送波を少なくとも周波数1MHzから30MHzのいずれかの帯域を使用して、より広い帯域幅Wbを持つ搬送波に変換して行う情報通信について、周波数スペクトル概念図を用いて説明する。
〔単一搬送波情報の複数の搬送波への割り付け〕
第9図は、帯域幅Waの単一搬送波38からなる情報信号を複数の搬送波39〜46に割り付け、複数の搬送波39〜46を少なくとも周波数1MHzから30MHzのいずれかの帯域に割り当てた図である。複数の搬送波39〜46は同一情報を持ち、全体として、より広い帯域幅Wbを利用して通信を行うことができる。
第10図は、本発明に係る第3実施形態の電力線搬送通信装置1aにおける、前記第9図に示した複数の搬送波に割り付けを行うための構成を示す図である。第1図及び第7図と共通する部分については同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。第1図及び第7図で示した処理と異なる点は、帯域割付装置49、帯域合成装置47を備える点である。第10図において、送信側のコンスタレーションマッパ10によってマッピングされたデータは、帯域割付装置49において帯域割り付けが行われる。帯域割付装置49では、コンスタレーションマッパ10とメディアアクセスコントローラ7から受け取った割り付け情報に基づいて、所定の搬送波39〜46に同一の情報を割り付ける。このように同一の情報を複数の搬送波に割り付ける方法を周波数ダイバーシティと呼ぶ。この周波数ダイバーシティは、同一の情報を複数の周波数の搬送波で伝送しているため、搬送波のいずれかがノイズや伝送路歪で情報を失っても、他の周波数帯域の搬送波に割り付けた情報が健全であれば、帯域合成装置47においてダイバーシティ合成を行うことで、正しい情報を復元できるため、通信の安定性が向上するという効果がある。なお、詳細な説明は省略するが、ダイバーシティ合成方式には、選択合成方式、等利得合成方式、最大比合成方式等がある。図示しないが、複数の搬送波39〜46は個々において同一又は異なる拡散符号系列及び拡散符号長を乗積して拡散されることもある。復調時には、同一情報が割り付けられている搬送波39〜46ごとにダイバーシティ合成を行って元の帯域幅Waにした後に、第1図の実施形態で示したと同様の復調処理を行う。また、ダイバーシティ合成は、先にデマッピングまでの処理を行い、そのデマッピングしたデータについて行うこともある。
複数の搬送波に同一情報を割り付けての通信は、電力線20特有の伝送路特性及びノイズ特性に対して、より信頼性の高い通信を行うことが可能である。さらに、SN比を評価するトレーニング信号を利用したり、予め他の機器で使われる通信帯域の情報を与えることで、信号を伝送するのに都合の悪い帯域(著しく信号が歪んだり、他の機器で使われる通信帯域に存在する通信に著しく妨害を与える帯域)に対しては、いずれかの搬送波39〜46の割り付けを行わないようにすることで、より高信頼の通信を行うことができまた他の機器の通信と干渉することを防ぐことが可能である。
〔複数搬送波のスペクトル拡散〕
第11図は、2つ以上の搬送波51,52,53に情報を分割して割り付けた図である。従って、搬送波51,52,53には、それぞれ異なる情報が割り付いている。第12図は、第11図に示した搬送波51,52,53に対してそれぞれの搬送波を直接拡散している様子を示した図である。即ち、第12図は、周波数1MHzから30MHzのいずれかの帯域を使用して、第11図に示す搬送波51〜53を、それぞれの搬送波に対して同一又は異なる拡散符号を用いて拡散し、個々の搬送波54,55,56に割り付けた拡散情報信号が互いに干渉しないように周波数軸上に割り当てた例である。
第13図は、第12図の処理を実現するスペクトル拡散変調器35の処理フローである。スペクトル拡散変調器35は、第7図のコンスタレーションマッパ10からコンスタレーションマッピングのI,Qの値を入力し(S1)、拡散率を入力して(S2)、拡散率に基づいて発生された拡散符号を用いて、I,Qの値と拡散符号により各情報信号を直接拡散し(S3)、DA変換器11に出力する(S4)。拡散符号には、PN符号(擬似ランダム符号)、M系列、ゴールド符号、バーカ符号、その他の直接拡散を行うことができる任意の符号長の符号系列を用いる。第11図に示す搬送波51、52、53はそれぞれ第12図に示す搬送波54、55、56に割り当てられている。
これにより、例えば、第9図のスペクトル拡散信号と比較して、同一の拡散符号長を用いた場合、相対的に拡散後の帯域幅を狭くすることができるため、第14図に示す急激な減衰量の落ち込みの影響を回避しやすくなる。第14図で、破線は、第5図で示した減衰特性の実測値30である。第14図で、搬送波63は、搬送波62に比べ帯域幅が狭いため急激な減衰量の落ち込み(第14図における○の個所)に掛からず波形にひずみを生じないため、復調ができる。つまり、急激に減衰が起こった場所では、ノイズによる情報の損失がおきやすくなるが、この状況に陥ることを回避できる。搬送波62は、電力線20特有の伝送路特性等により生じる周波数選択性フェージングであり、搬送波63は、フラットフェージングである。周波数選択性フェージングとは、電力線の伝送路特性において減衰量が急激に落ち込むことで通信信号が著しく歪んだ状態になることであり、フラットフェージングは影響されない状態のことである。第14図は、相対的に信号帯域幅が狭くなった信号を用いることで電力線20の伝送路特性によって著しく通信信号が歪む現象を回避している例である。なお、実験の結果、第14図での減衰量の落ち込み時の周波数幅は約100kHzである。
〔複数搬送波のスペクトル拡散、同一情報が割り付いている搬送波を互いに干渉することなく周波数軸上に配置〕
第16図は、第11図に示す複数搬送波51,52,53に情報を分割して割り付け、同一情報が割り付いている個々の搬送波を互いに干渉することなく周波数軸上に割り当てた図である。第15図は、本発明に係る第4実施形態の電力線搬送通信装置1aにおける、第16図に示す割り付けを行うための構成を示す図である。第1図等と共通する部分については同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。第1図、第7図、第10図と異なる部分は、帯域割付装置66、帯域合成装置64を備え、タイミング/同期回路65を備えた点である(第10図に対してはタイミング/同期回路65を追加)。
第16図によれば、例えば、第11図において情報(データa)が割り付いている搬送波51は、第16図において搬送波67,68,69に割り付いており、この時、搬送波67,68,69は少なくともオーバラップしない程度に近接して周波数軸上に配置される。第11図において情報(データb)が割り付いている搬送波52及び情報(データn)が割り付いている搬送波53は、第16図において、搬送波70〜72、搬送波73〜75に割り当てられる。また、同一の情報が乗っている搬送波の集まり(搬送波群:67,68,69や70,71,72等)は任意の周波数に割り当てられる。
第17図は、第15図に示す帯域割付装置66の処理フローである。帯域割付装置66は、第15図のコンスタレーションマッパ10から、コンスタレーションマッピングのI,Qの値と拡散率を入力する(S11,S12)。また、メディアアクセスコントローラ7から通信帯域情報を入力し(S14)、I,Qの値と拡散率と通信帯域情報に基づいて各搬送波に帯域割り付け及び各搬送波に情報の割り付けを行い(S13)、DA変換器11に出力する(S15)。また、帯域割付装置66は、同一情報を割り付ける搬送波を何本用いるかを決定する。さらに、SN比が著しく低い帯域や、他の機器で使われる通信帯域には、搬送波を割り当てないようにする。以上の処理を行うことにより、広い拡散後帯域幅Wbを利用して通信を行う。これら全ての搬送波67,68,69は、それぞれに干渉を起こさないようにフィルタリングが施されたり、その干渉が互いに影響を及ぼさない程度の周波数間隔を空けたりする処置を講じている。このように複数搬送波のそれぞれに割り付けられた情報を、複数の周波数で同じ情報を送信する帯域割り付けの方法も周波数ダイバーシティという。一方、復調時には、同一情報が乗っている搬送波(例えばデータaが割り付けられている搬送波67,68,69)ごとにダイバーシティ合成を実行して、第1図の実施形態と同様の復調処理を行う。また、ダイバーシティ合成は、先にデマッピングまでの処理を行い、そのデマッピングしたデータについて行うこともある。
従って、この方式は、第12図及び第13図と比較して1つの搬送波の帯域幅が相対的に狭くなるため、第14図で示した電力線特有の伝送路特性である周波数選択性フェージングをフラットフェージングにする効果がより大きくなり、これにより通信の信頼性がより向上する。また、電力線20ではランダムに減衰が起こる場合があり、この時の減衰の幅は狭いため、同一情報を割り付けた搬送波のうち、減衰により1つの搬送波が情報を失っても、他の搬送波に割り付けられた同一情報は健全であるため、それら健全な情報を用いて、送信された情報を復元でき、通信の安定性が向上する。なお、第11図及び第16図では、各搬送波に分割して情報を割り付けているため、1つの搬送波の帯域幅は第8図の単一搬送波36と比較して狭い。また、第16図のようにより広い帯域を使った場合でも、第11図の個々の搬送波51,52,53と第16図の個々の搬送波67〜75の帯域幅は同じである。
1MHzから30MHzの帯域を使うことでより安定した通信ができることはもちろんであるが、ノイズレベルの高い1MHz以下の周波数帯においても、十分なSN比が確保できる帯域が局所的に存在し、前記のように狭い帯域幅の搬送波であれば1MHz以下の帯域を利用しても通信が可能である。この結果、さらに多くの搬送波を利用して通信することができ、より一層の高速通信を行うことができる。
〔複数搬送波のスペクトル拡散、同一情報が割り付けられている搬送波を離隔して周波数軸上に配置〕
第18図は、第11図に示す複数搬送波51,52,53に情報を分割して割り付け、同一情報が割り付いている個々の搬送波を離隔して周波数軸上に割り当てた図である。第18図において、例えば、第11図で示した搬送波51に割り付けられた情報(データa)は、搬送波76,79,82に割り付けられている。そして、同一の情報を割り付けた複数搬送波76,79,82は、搬送波同士が互いに干渉を起こさず、且つ、数十kHzから数百kHz以上の間隔をあけて任意の周波数に割り当てられている。従って、前記した第16図との違いは、同一情報が割り付けられている搬送波76,79,82が、数十kHzから数百kHz以上の間隔をあけて割り付けられていることである。
第19図は、第18図に示すように割り付けを実行する場合の帯域割付装置66の処理フローである。第17図との違いは、帯域割付装置66は、メディアアクセスコントローラ7から、データ割り付け情報を入力し(S21)、I,Qの値と拡散率と通信帯域情報とデータ割り付け情報に基づいて各搬送波に帯域を割り付け(S20)、及びデータ割り付け情報に基づいて、どの搬送波にどの情報を割り付けるかを決定し各搬送波に情報の割り付け(S20)を行っている点である。
なお、第18図においては、説明を容易にする為、第11図における各搬送波の配列に従って帯域割り当て後も規則的にブロックごとに各搬送波76〜84が配列されているが、第18図は一例であるため、複数のブロックにまたがってランダムにデータを割り付ける場合もある。第18図において例えば、搬送波76〜84には、ランダムにデータaからデータnまでのデータを割り付ける(図示せず)。割り付けるデータが周期的であると、電力線において急激な減衰量の落ち込みが周期的に現れた場合には、減衰量の落ち込み周期とデータ割り付け周期が合致して常に同じデータが欠落する可能性があるのに対し、このようにデータ割り付け系列をランダムにすることで常に同一データが欠落する可能性を減らすことができ、結果として通信品質が向上する。これら全ての搬送波76〜84はそれぞれに干渉を起こさないようにフィルタリングが施されたり、その干渉が互いに影響を及ぼさない程度の周波数間隔を置いたりする等の処置を講じている。また、復調時には、同一情報を割り付けている搬送波(例えばデータaに対しては搬送波76,79,82)がどこに配置されているかの情報を、メディアアクセスコントローラ7から受け取って、同一情報が割り付けられている搬送波ごとにダイバーシティ合成を実行した後に、第1図の実施形態と同様の復調処理を行う。場合によっては、ダイバーシティ合成は先にデマッピングまでの処理を行い、そのデマッピングしたデータについて行うこともある。
第18図に示す割り付けでは、第16図によって得られる効果のほかに、電力線特有の伝送路特性における特性改善を行うことが可能である。例えば、第14図に示した電力線の減衰周波数特性としては深い減衰があると、その両側数十kHzから数百kHzに渡っては、深い減衰が継続している場合がある。前記したように、実験の結果、通信信号の急激な減衰量の落ち込み時の周波数幅は約100kHzである(第14図参照)。従って、第16図のように同一情報が割り付けられている搬送波が近接して配置された場合(例えば、第16図で搬送波67,68,69は同一情報)、同一情報が割り付けられた全ての搬送波が歪んでしまうために、結果としてビット誤りを引き起こす可能性が高くなる。これに対し、第18図は、同一情報が割り付けられている搬送波同士が離隔した配置構成となるため、同一情報が割り付けられた全ての搬送波が同時に歪を受けることを回避することができる。即ち、隣り合った同一情報を割り付けた搬送波の周波数間隔を100kHz以上離隔した状態で通信することで、歪を受けることを回避することができる。この結果、周波数ダイバーシティ効果をより強くすることができるため、送信された情報を復元でき、通信の安定性を向上させることができる。なお、第18図では、各搬送波に分割して情報を割り付けているため、1つの搬送波の帯域幅は第8図の単一搬送波36と比較して狭い。また、第18図のようにより広い帯域を使った場合でも、第11図の個々の搬送波51,52,53と第18図の個々の搬送波76〜84の帯域幅は同じである。1MHzから30MHzの帯域を使うことでより安定した通信ができることはもちろんであるが、ノイズレベルの高い1MHz以下の周波数帯においても、十分なSN比が確保できる帯域が局所的に存在し、前記のように狭い帯域幅の搬送波であれば1MHz以下の帯域を利用しても通信が可能である。この結果、さらに多くの搬送波を利用して通信することができ、より一層の高速通信を行うことができる。
〔複数搬送波の一括スペクトル拡散〕
第20図は、第11図に示す複数搬送波51,52,53を、少なくとも周波数1MHzから30MHzのいずれかの帯域を使用して、拡散符号による一括してスペクトル拡散を行う図である。拡散に使用される拡散符号はPN符号(擬似ランダム符号)、M系列、ゴールド符号、バーカ符号、その他の直接拡散を行うことができる任意の符号長の符号系列を用いる。逆拡散の際には、送信時に使用した拡散符号系列と同一拡散符号による逆拡散処理を行う。
このスペクトル拡散方式は、第7図と同様の回路構成により実現することができ、また第16図又は第18図の方式と比較して、拡散後の搬送波85の数が相対的に少なくてすむため、図示しないがフィルタ、周波数シンセサイザ、ミキサ等の数を減らすことができ、ハードウェアの簡素化が可能である。
[ブロック毎のスペクトル拡散]
第21図は、本発明に係る第5実施形態の電力線搬送通信装置1aの構成を示す図である。第1図等と共通する部分については同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。電力線搬送通信装置1aは、送信側は複数の送信系統(変調器143、DA変換器144、ミキサ145、送信アンプ146、BPF147)で構成され、受信側は複数の受信系統(復調器138、AD変換器139、受信アンプ140、検波回路141、BPF142)で構成される。また、データ分割装置137及びデータ合成装置136を備えている。また、第22図はスペクトル拡散前の複数搬送波からなるブロック124,125,126の周波数スペクトルを示した図である。複数の送信系統は、第22図に示す複数搬送波からなるブロック124,125,126について、それぞれのブロック124,125,126に使用する周波数帯域や伝送する情報に要求されるQoS(Quality of Service)に基づいて拡散率とスペクトル拡散方式を決定して送信処理を行う。データ分割装置137は、メディアアクセスコントローラ7から伝送路環境、使用周波数帯域、送信データに要求されるQoSを受け取り、データを分割しブロックを形成する。その後の各送信系統での変調処理は第1図と同様である。受信側では、復調器138は、メディアアクセスコントローラ7からブロックごとに、受信信号に関する使用帯域、スペクトル拡散方式、拡散率、同一情報を割り付けたキャリア配置情報を受け取り、復調を実施する。各系統での復調処理は第1図と同様である。なお、ディジタル信号処理により各系統に設けているデバイスを共通化することもできる。
第22図で、それぞれのブロック124,125,126は帯域幅Wa1,Wa2,Wa3を有している。また、ブロック124,125,126内にある各搬送波にはそれぞれAからIという情報が割り付けられている。第23図は第22図に示したそれぞれのブロック124,125,126ごとに個々の搬送波を直接スペクトル拡散した場合の周波数スペクトル概念図である。第23図では、第22図の各ブロック124,125,126にあった搬送波は、より広い帯域幅を持ち、各ブロックも拡散後のブロック127,128,129として形成し帯域幅Wb1,Wb2,Wb3に広がっている。また、第24図は、第22図に示したそれぞれのブロック124,125,126ごとに同一情報をもつ搬送波を複数搬送波に割り付けることでスペクトル拡散した場合の周波数スペクトル概念図である。第24図では各搬送波に割り付けられた情報は規則正しく割り付けられているが、前記第16図と第18図に示したように情報の割り付け方を変えることもある。第25図は第22図に示した各ブロック124,125,126をそれぞれ一括して直接スペクトル拡散した場合の周波数スペクトル概念図を示した図である。また図示していないが、各ブロック127〜135は第23図、第24図、第25図に示した拡散方式のいずれかを独立に採用し変復調する場合もある。第21図に示した実施形態において、通信環境に応じて拡散率や拡散方式を独自に変えられるため、ブロック127〜135の伝送に利用する伝送帯域環境に応じて拡散率と拡散方式を選択することで通信品質の向上(耐ノイズ性、伝送速度)が図れる。例えば、減衰量の急激な落ち込みによる周波数選択性フェージングがある場合には、同一情報の複数搬送波への割り付けによるスペクトル拡散方式は、前記第14図に示したように安定した通信が行える。一方、周波数選択性フェージングが顕著でない帯域に対しては直接拡散によるスペクトル拡散方式を用いて可能であり、ハードウェアの簡素化を図ることができる。その他に、例えば、制御信号等の通信に不可欠な情報に対しては高い拡散率を適用して耐ノイズ性がある情報伝送を行い、一方で例えば、音声情報のように誤りよりも、即時性と広帯域通信(ブロードバンド)が要求される場合には、制御信号に適用した拡散率よりも低い拡散率を設定し、より多くのデータを伝送させることでこの要求を実現できる。従って、この手段を用いることでQoSの向上を図ることができる。
〔OFDMのスペクトル拡散〕
第26図は、複数搬送波86,87,88に分割して情報を割り付けた情報信号に用いる特殊な場合としてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex:直交周波数分割多重)を適用した場合の周波数スペクトル概念図である。OFDMは互いのサブキャリアが直交するように周波数軸上に配列される変調方式である。
第27図は、OFDM信号をより広い通信帯域幅Wbに拡散した場合の搬送波89の周波数スペクトル概念図である。これにおける具体的な拡散又は帯域割り付けは、前記した第12図、第16図、第18図、第20図、第23図、第24図、第25図と同様である。ただし、第12図、第16図、第18図、第23図、第24図の拡散又は帯域割り付けを適用した場合は、OFDMは、拡散又は帯域割り付け後の個々のサブキャリアが拡散処理後も直交を保つように処理される。
第28図は、OFDM信号にスペクトル拡散を適用する場合のOFDM変調の処理構成図である。送信時、入力データI,Qの値は、直並列変換器111に送られる。直並列変換器111においてデータを並列にし、拡散符号(拡散符号乗積装置112)により拡散した後に高速逆フーリエ変換器(IFFT)113で、各サブキャリアの直交関係が保たれるようにOFDM変調をしている。そして、並直列変換器114によりシリアルデータに変換された後、DA変換器へ出力される。
また、第29図は、OFDMの複数搬送波に同一情報を割り付ける場合の処理構成図である。入力データI,Qの値は、直並列変換器115において並列にされ、data1からdata5には同一情報が割り付けられており、同一情報116をIFFT117に入力させることで結果的に同一情報116が複数搬送波に割り付けられ、周波数ダイバーシティを実現している例である。そして、このデータは、並直列変換器118によりシリアルデータに変換された後、DA変換器へ出力される。
さらに、第30図は、OFDM信号を一括して直接拡散する場合の処理構成図である。入力データI,Qの値は、直並列変換器119において並列にされ、高速逆フーリエ変換器(IFFT)120を通した後に、並直列変換器121によりシリアルデータに変換された後、拡散符号(拡散符号乗積装置122)により拡散される。なお、第30図で示したような、OFDM変調した信号を拡散符号乗積装置122により一括して拡散する方式では、拡散後にサブキャリア同士の直交性が崩れる場合がある。
これらの処理により、周波数利用効率が良いOFDMを、より広い帯域を使って通信するため、限られた周波数帯域より大きな拡散率又はダイバーシティ効果を得ることが可能である。
また、OFDMは、高速フーリエ変換(FFT)や高速逆フーリエ変換(IFFT)を利用して変復調が実現できるため、サブキャリアごとのフィルタ、周波数シンセサイザ、ミキサといった装置が不要になる。第28図のように、スペクトル拡散をOFDM信号に適用する場合に対しても、同様の処理を適用して、スペクトル拡散後のOFDM信号はIFFT113により発生させる場合もあり、処理を1チップ化できる。従って、簡素なハードウェアにより、OFDMのスペクトル拡散処理が実現できる。それ以外にも、IFFTによるOFDM変調を行った後に掛算器等を用いてスペクトル拡散処理を実行する場合もあるが、総じてハードウェアが簡素化できる。また、受信側のOFDM復調時にFFTを用いる場合にも同様のことが言える。
なお、第12図、第16図、第18図、第23図、第24図の方式は、各搬送波に情報を分割して割り付けているため、1つの搬送波の帯域幅は第8図の単一搬送波36と比較して狭い場合もある。また、ノイズレベルの高い1MHz以下の周波数帯においても、十分なSN比が確保できる帯域が局所的に存在する。1MHzから30MHzの帯域を使うことでより安定した通信ができることはもちろんであるが、前記のように狭い帯域幅の搬送波であれば1MHz以下の帯域を利用しても通信が可能である。この結果、さらに多くの搬送波を利用して通信することができ、より一層の高速通信を行うことができる。
〔送信端電圧70[dBμV] (RBW=9kHz、準尖頭値)の電力線搬送通信装置〕
次に、電力線搬送通信装置1aの送信端電圧を70[dBμV](RBW=9kHz、準尖頭値)とした実施形態について説明する。(RBW=9kHz、準尖頭値)は、測定条件であり、RBW(Resonance Band Width)は測定の帯域幅である。準尖頭値は、準尖頭値検波方式によって得られる値で、人間の聴覚特性を考慮して、信号振幅の時間変化に時定数を考慮した減衰波形を組み合わせ、その時間平均で評価する方法によって得られる値である。
第31図は、家庭内の電力線のコモンモードインピーダンスを複数測定し、その結果を統計処理して、分布を図示したものである。また、第32図は、家庭内の電力線の不平衡減衰量を複数測定しその結果を統計処理して、分布を図示したものである。一般に、帯域幅(RBW)が9kHzにおける電力線20からの、離隔距離が3mでの漏洩電界強度I[dBμV/m]は、I=24+Vd−Zc−LCLで表すことができる。Vdは9kHz帯域幅(RBW)当りのモデムの送信端電圧[dBμV]、Zcはコモンモードインピーダンス[dBΩ]、LCLは不平衡減衰量[dB]である。これによると、漏洩電界は、電力線搬送通信装置1aの送信端電圧とコモンモードインピーダンスと、不平衡減衰量に依存する。漏洩電界を低くするには電力線搬送通信装置1aの送信端電圧を下げるか、コモンモードインピーダンスと不平衡減衰量を共に高くすることで実現できる。しかし、コモンモードインピーダンスと不平衡減衰量は電力線20の敷設状況に依存するため、送信端電圧を抑えることで漏洩電界を抑制する。統計解析の結果、95%以上のコンセント間で、コモンモードインピーダンスは30[dBΩ]から65[dBΩ]、不平衡減衰量は10dBから50dBを占める(第31図、第32図参照)。さらに、コモンモードインピーダンスが30[dBΩ]で、不平衡減衰量が10dBの時、電力線搬送通信装置1aの送信端電圧を9kHz帯域幅において70[dBμV]とした場合、漏洩電界強度は上式より、54[dBμV/m]とすることができる。これは、送信端電圧を70[dBμV]以下に抑えた電力線搬送通信装置であれば、95%以上のコンセント間においてその漏洩電界強度が54[dBμV/m]に抑えられることを示している。54[dBμV/m]は、これ以下にすれば他の機器で使われる通信帯域に対して影響を与えない値である。例えば、第33図は、環境電界強度の測定結果の例である。第33図によれば、約7MHz以下では周囲の電気機器等によるノイズにより54[dBμV/m]をはるかに上回る環境電界が観測されており、また、7MHz以上の周波数帯域においても、54[dBμV/m]を上回る環境電界が存在し、その強度は、70[dBμV/m]を超えるものもある。さらに送信端電圧が70[dBμV]時の漏洩電界強度54[dBμV/m]は、ほぼ最悪値と考えることができるため、ほとんどのコンセント間ではこれを下回る漏洩電界強度になる。
従って、送信端電圧を70[dBμV]にした電力線搬送通信装置1aが発生する漏洩電界強度54[dBμV/m]は他の通信との両立性、即ち他の機器で使われる通信帯域に大きな影響を与えることなく電力線搬送通信を行うことができる。しかし、送信端電圧を下げた場合、SN比が低くなるため、特にノイズや減衰が大きい電力線では通信が困難となるが、スペクトル拡散によるプロセスゲインや同一情報の複数帯域割り付けによる周波数ダイバーシティ効果により、送信端電圧70[dBμV]でも安定した通信を実現できる。
〔OFDM出力信号のサンプリングによるスペクトル拡散(OFDM信号生成手段、アナログ変換手段、ホールド制御手段)〕
第34図は、本発明に係る第6実施形態の電力線搬送通信装置1aの構成を示す図である。第1図等と共通する部分については同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。第34図に示す電力線搬送通信装置1aには、送信側に直並列変換器94、高速逆フーリエ変換器(IFFT)97、並直列変換器98、DA変換器99、ホールド制御装置100、GI付加器101を備えている。また、受信側に受信アンプ90、サンプリング同期回路91、AD変換器92、GI除去器93、直並列変換器94、高速フーリエ変換器(FFT)95、並直列変換器96を備えている。まず、送信処理について説明する。送信時、コンスタレーションマッピングされたデータは、直並列変換器94に送られる。直並列変換器94においてデータを並列にし、その並列データに対して高速逆フーリエ変換器97によりOFDM変調処理を行う。そして、並直列変換器98によりシリアルデータに変換された後、DA変換器99によりアナログ信号に変換される。
第35図はDA変換器99の出力波形を示したものである。また、第36図は、第34図の電力線搬送通信装置1aにおけるホールド制御装置100の出力波形を示した図である。ホールド制御装置100は、第35図に示すDA変換器出力波形102に対し、第36図に示すようにパルス状又はインパルス状に近い信号(ホールド時間制御回路出力波形103)に変換する。ホールド制御装置100は、ホールド時間を制御する手段を持った回路であり、例えば、第37図に示す半導体スイッチング素子104等で代用することが可能である。第37図は、ホールド制御装置の一例を示す回路図である。半導体スイッチング素子104で、DA変換器99のDA出力とアース123又はそれに相当する電位を持った端子とを交互に切り替えることで第36図の波形を得ることができる。ただし、アース123の電位は実装上0[V]とすることができない場合もあり、絶対電位0[V]に限ってはいない。第35図に示すDA変換器出力波形(OFDM信号波形)102の周波数スペクトルの概念図は第38図のようになる。一方、第36図に示すホールド時間制御回路出力波形(OFDM信号波形)103の周波数スペクトルの概念図は第39図のようになる。ホールド時間を制御して、時間軸信号をパルス又はインパルス状に近い波形にすることで、第38図のスペクトル105と同様の情報を持ったスペクトル106〜110が周波数軸上に複数現れる。この現象は、連続アナログ信号をPAM(Pulse Amplitude Modulation)信号化した際に観測される現象と同一である。理論的な詳細説明は省略するが、同一情報をもったスペクトルのパルス幅Wは、第37図のスイッチ104によりDA出力状態(以下、有値という)とアースに接続された状態(以下、ヌル値という)の時間比で決定される。スイッチ104が理想状態であれば、例えば1MHzの帯域幅を持ったOFDMベースバンドと同一の情報を持った複数のスペクトルを30MHzまで発生させる場合には、有値とヌル値の比は1:60にすることで達成できる。前記のホールド制御装置100の出力は、GI付加器101によりガードインターバル(遅延波による影響を防ぐためOFDMの先頭部分に付加する時間)が付加され送信アンプ13により信号の増幅が行われ、BPF14により所定帯域外の信号を除去して送信される。第34図ではミキサを使用していないが、これは、IFFT97の基数をサブキャリア数の倍にし、入力値とその入力値の複素共役の値とを同時にIFFT処理することで、IFFT出力がI,Q変調された状態で出力されるためである。また、周波数変換にあっては、フィルタ制限を行うことで希望の信号のみを利用することができるからである。従って、図中にはミキサを示していないが、ここにミキサを利用してI,Q変調や周波数変換を実現しても構わない。受信側も同様である。この送信信号は、前記及び図示したプロセスによって得られた信号に限定されるものではない。つまり、本発明は、第35図のDA変換器出力波形102のホールド時間制御を行うところにある。
一般にOFDMにスペクトル拡散や帯域割り付けを適用する場合には、拡散後の帯域幅に比例して、一連の変復調処理を行うDSP(Digital Signal Processor)やCPU(Central processing Unit)の処理能力の高速性が要求される。例えば、同一の情報を割り付けた搬送波を複数の周波数に拡散する場合(第29図)、FFT基数が同一情報を持った搬送波をいくつ送信するかに応じて処理能力が増加し、その演算を処理する高速性が要求される。また、各搬送波を拡散符号により拡散する直接拡散方式(第28図)では、FFT基数は増えないが、拡散率に応じてシンボルレート、即ちチップレートが短くなるため、その短い時間に、OFDM変調処理を行うだけの高速性が要求される。
一方、本発明によれば、OFDM変調は、ベースバンド処理を行うことができる演算量があればよく、拡散又は帯域割り付けは、ホールド制御装置100により実行されるため、DSPやCPUの処理は少なくてすむ。例えば、OFDMベースバンド信号の帯域幅が1MHzだった場合、30MHzの帯域を使って帯域割り付けを行うと、第29図の処理方式ではCPU等のクロックが60MHz必要であるのに対し、本発明では2MHzでよいため、電力線搬送通信装置1aを安価にできる効果がある。
〔サンプリングによるスペクトル拡散後のディジタル変換手段、OFDM復調手段〕
再度、第34図に戻り、受信処理(OFDM復調)について説明する。まず、電力線搬送通信装置1aは他の電力線搬送通信装置1b,1c,1d,1eにより送信された送信信号を受信して、BPF18により不要な帯域外の信号を除去した後、受信アンプ90によりAD変換器92に適切な値が入力するように受信信号のゲイン調整を行う。同時にサンプリング同期回路91により有値の部分(第37図のスイッチ104によりDA出力状態、即ち送信側におけるDA変換器99の出力状態の時間に相当する部分)とAD変換器92のサンプリングクロックが合致するようにサンプリングクロックの同期を行う。この同期情報を基にAD変換器92において受信アンプ90通過後の信号の有値部分のみサンプリングを行う。サンプリング同期回路91により、有値部分にサンプリングクロックの同期を取るので、AD変換器92はベースバンド部分のみを処理することができる能力を持った動作周波数のものでよい。例えばOFDMのベースバンド帯域幅が1MHzであれば、必要動作周波数は2MHz程度である。サンプリングされた信号はGI除去器93でガードインターバルを除去され、直並列変換器94を経て、高速フーリエ変換器95によるOFDM信号の復調が行われる。その信号(データ)を並直列変換器96によりシリアルデータ列に変換し、コンスタレーションデマッパ4でコンスタレーション配置に基づいてデマッピングされ、等価器/判定器5により信号等価が行われる。等価器/判定機5の等価器は通信線の通信路歪(伝送路歪ともいう)を補正するためのものであり、通信路歪の補正処理を行った信号が判定器により信号判定される。その後、復号器6により誤り訂正復号を行い、復調ビット列を得る。この復調ビット列はメディアアクセスコントローラ7に入力される。メディアアクセスコントローラ7は、入力データを所定フォーマットの通信パケットに変換し、プロトコル変換器8に出力する。プロトコル変換器8は、この通信パケットを、パソコン26等とのインタフェース(例えばイーサ(R)やUSB等)が取れるようにプロトコル変換して、パソコン26等に情報を出力する。電力線20は、電源供給線であるため、一般家庭では、配電盤/ブレーカ22に接続されているので、電力線搬送通信装置1aの信号が配電盤/ブレーカ22を介して同一の外部配電線に接続されている家屋へ伝送される可能性がある。これを抑制する目的でブロッキングフィルタ21を、電力線20に設ける場合がある。
第34図から第39図を用いて説明した一連の処理では、OFDMに複数の同一スペクトル106〜110を発生させて(第39図参照)送信することで、受信側での周波数ダイバーシティ効果により、通信の信頼性が向上している。また、同時に、OFDMをスペクトル拡散することで生じるDSPやCPUの演算量を低減している。なお、受信時は、ヌル値部分に乗ったノイズはサンプリングされないため、逆拡散効果、即ち変調時のSN比と比較して復調時にSN比が改善する効果が得られる(プロセスゲイン)。
このような処理を行うことで、全ての信号通信帯域をAD変換器92やDSP等により処理する方式と比較して、低演算で逆拡散及び復調が実現できる。また、OFDM信号のホールド時間を制御することで得られる効果は、電力線20以外の、一般のペア線の通信又は無線による通信においても、得られるため、本発明を一般のペア線や無線による通信に適用することも可能である。
第34図から第39図に示す方式は、第34図に示すDA変換器99によるディジタルアナログ変換後のアナログ波形について、半導体スイッチング素子104を用いることで、第36図のホールド時間制御回路出力波形103を得ることを可能にしている。このホールド時間制御回路出力波形103は、DA変換器99でアナログ信号に変換する前のディジタル信号において、あるサンプルクロックに並直列変換器98から送出された値とその次のサンプルクロックに並直列変換器98から送出された値との間に、拡散率に応じてメディアアクセスコントローラ7から指定されたサンプルクロック数だけゼロないし所定値以下の値を挿入し、これを全てのディジタル信号にわたって実行したものをDA変換器99の入力としてディジタルアナログ変換を行うことで得る事もできる。これは、半導体技術の発達により高性能なDSPによって安価に演算量が多い処理が可能になった場合やソフトウェアにより変復調を実現する場合などには有効である。この場合、第34図に示すホールド制御装置100は不要である。また、受信側においては、第34図に示すAD変換器92によりディジタル信号に変換された後、送信時に挿入したゼロないし所定値以下にした値に相当する部分を平均値レベル検出や波形相関を用いて検出して除去し、除去した以外のAD変換器92の出力データに対して復調処理を行う。
以上説明したとおり、本発明の電力線搬送通信装置は、既存の電力線を用いて高信頼の通信を実現することができる。新たに通信線を施設する必要がないため設備コストが安価で済み、導入が促進される。

Claims (4)

  1. 電気機器が接続される電力線に接続し、前記電力線を通信線として用いて、前記電力線に接続される他の1つ又は1つ以上の電力線搬送通信装置と通信する電力線搬送通信装置であって、送信信号を、高速逆フーリエ変換器によりOFDM変調してOFDM信号を生成する手段と、前記OFDM変調したOFDM信号をディジタルアナログ変換器によりアナログ信号に変換する手段と、前記OFDM信号のベースバンド帯域幅が1MHzである場合、2MHzのサンプリング速度で前記アナログ信号を一定間隔ごとにサンプリングし、サンプリングしたときのサンプリング間隔の1/61のホールド時間で個々のサンプル値をホールドし、前記ホールド時間経過後に次のサンプリングまでサンプリングした振幅を前記電力線搬送通信装置のアースの電位の値にするホールド制御手段と、を備えることを特徴とする電力線搬送通信装置。
  2. 電力線搬送通信装置は、アナログディジタル変換器により受信信号のサンプリングを行ってディジタル信号に変換する手段と、前記ディジタル信号に対して高速フーリエ変換器によりOFDM復調を行う手段とを、備えることを特徴とする請求項1に記載の電力線搬送通信装置。
  3. 前記電力線搬送通信装置は、その送信端電圧の上限を70[dBμV](RBW9kHz、準尖頭値)以下として、前記電力線搬送通信装置によって発生される漏洩電界強度の上限を抑え、前記電力線に接続される他の前記電力線搬送通信装置によって行われる他の通信と両立させて通信することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電力線搬送通信装置。
  4. 前記電力線搬送通信装置は、
    少なくとも、周波数1MHzから30MHzの帯域を通信に使用することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電力線搬送通信装置。
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