〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1から図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。
まず、本実施の形態に係る製造工程により形成される二次元画像検出器について、図3から図5を用いて説明する。
図3は、本実施の形態に係る製造工程により形成される二次元画像検出器の基本構造を模式的に示す斜視図である。本二次元画像検出器は、アクティブマトリクス基板1、X線導電層(半導体層、光導電膜)12、および表面電極層(表面電極、上部電極、電極)16によって構成されている。
まず、アクティブマトリクス基板1の構造について説明する。アクティブマトリクス基板1は、ガラス基板(基板)2と、その上に形成された電極配線(ゲート電極線4aおよびデータ電極線4b)4、スイッチング素子である薄膜トランジスタ(以下、TFTと称す)(アクティブ素子)6、電荷蓄積容量8、画素電極10などを有している。
ここで、TFT6、電荷蓄積容量8、画素電極10などから画素11が構成されており、この画素11がXYマトリクス状(二次元行列状)に配置されている。そして、TFT6のゲート電極6aおよびデータ電極6b(後述する図4参照)が、それぞれゲート電極線4aおよびデータ電極線4bに接続されている。なお、画素11が、例えばXYマトリクス状のように規則的に集合配置されたものをTFTアレイ(アクティブ素子アレイ)32と称する。また、このTFTアレイ32が形成されている領域を、アクティブ素子形成エリアと称することもある。
ゲート電極線4aおよびデータ電極線4bは、それぞれアクティブマトリクス基板1の行方向および列方向に延びており、その端部でドライバLSI(回路部品)22およびアンプLSI(回路部品)20に接続されている。
また、表面電極層16は、高圧電源18と接続されており、後述するCs電極9に対して電圧を印加できるようになっている。
次に図4に基づいて、1つの画素11の構造を詳細に説明する。図4は、上記二次元画像検出器における1つの画素11の断面図である。上記画素電極10は、TFT6のドレイン電極6cを拡張して形成されているものである。そして、画素電極10は、ゲート電極線4a(図3参照)によりTFT6のゲート電極6aへ信号が印加されることにより、TFT6のデータ電極6bに対してスイッチング可能なように、すなわちデータ電極線4b(図3参照)と、画素電極10(図3参照)との間の電気的接続状態に対してスイッチング可能なように形成されている。
また、画素電極10は、ゲート絶縁膜24を介して対向するCs電極9との間で電荷蓄積容量8を形成している。そして、この電荷蓄積容量8は、Cs電極9と表面電極層16との間に高圧電源18により電圧が印加されることにより、X線導電層12からの画像情報としての電荷を受けて保持するものである。
上記TFT6は、薄膜を順次積層することにより形成されており、ゲート電極6a、ゲート絶縁膜24、アモルファスシリコン層(a−Si層、チャネル層)26を有している。また、TFT6は、それぞれ別々のコンタクト層(a−Si(n+ 型)層)28を介してアモルファスシリコン層26上に積層されているデータ電極6bおよびドレイン電極6cを有している。
そして、画素11の画素電極10上を除く部分に絶縁保護膜30が形成されており、これによりTFT6などが保護されている。
上記のような構成であるアクティブマトリクス基板1上には、その周辺部を除くほぼ全面に、例えば非晶質(アモルファス)セレニウム(以下、a−Seと称す)からなるX線導電層12が形成されており、さらにその上に表面電極層16が形成されている。
なお、上記は、二次元画像検出器の基本構造について説明しているため、実際には上記以外の構成要素を含む場合もある。例えば、画素電極10や表面電極層16からの漏れ電流を防止するために、各電極とX線導電層12との間に電荷阻止層や誘電層(図示せず)などを設ける場合もある。
次に、上記二次元画像検出器の動作原理について図3および図4に基づいて説明する。
X線導電層12にX線が入射すると、X線導電層12内に電荷(電子−正孔)が発生する。つまり、X線導電層12は、電磁波情報を電荷情報に変換する作用を有している。発生した電子および正孔は、高圧電源18により表面電極層16とCs電極9との間に印加された電圧の作用で、それぞれ+電極側(図では表面電極層16側)および−電極側(図ではCs電極9側)に移動し、その結果、電荷蓄積容量8に電荷が蓄積されることになる。
上記のようにして電荷蓄積容量8に蓄積された電荷は、ドライバLSI22からゲート電極線4aに入力される信号によってTFT6をオン状態にすることで、データ電極線4bを通じてアンプLSI20に取り出される。ここで、電極配線4(ゲート電極線4aおよびデータ電極線4b)、TFT6、電荷蓄積容量8は、上記のようにXYマトリクス状に配置されているため、各ゲート電極線4aに入力する入力信号を順次走査することで、放射線による二次元的な画像情報を得ることが可能になる。
以上のような基本構造を有する二次元画像検出器の全体的な構成について図5を用いて説明する。図5は、本実施の形態に係る製造工程により形成される二次元画像検出器の全体的な構成を示す平面図である。
図5に示すように、アクティブマトリクス基板1には、その周辺部を除いてXYマトリクス状に画素11が配置されており、その画素11上をX線導電層12および表面電極層16が覆っている。なお、同図では、破線で囲んだ最小の領域が画素11を表しており、画素11の集合がTFTアレイ32である。また、X線導電層12が形成されている領域を太い実線で囲んだ領域で表している。
また、アクティブマトリクス基板1の周辺部には、アンプLSI20およびドライバLSI22が配置されている。そして、アンプLSI20およびドライバLSI22と、データ電極線4bおよびゲート電極線4a(図3参照)とは、例えばTAB(Tape Automated Bonding)形態やCOG(Chip on Glass )形態で接続されている。なお、図5では、その接続部分を省略している。また、同図では、ドライバLSI22およびアンプLSI20を一部省略し、実際に設置されるドライバLSI22およびアンプLSI20の数より少なく表している。
次に、上記二次元画像検出器の製造方法について図1および図2を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る二次元画像検出器の製造工程を順に示した工程図であり、図2(a)から図2(h)は、図1の各工程における二次元画像検出器の状態を示す断面図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る二次元画像検出器の製造工程は、TFTアレイ作製工程(工程P1)、表面保護層形成工程(工程P2)、TFTアレイ分断工程(工程P3)、エッジ面取り工程(工程P4)、表面保護層除去工程(工程P5)、X線導電層形成工程(工程P6)、表面電極層形成工程(工程P7)、実装工程(工程P8)を含んでいる。これらの各工程における二次元画像検出器の断面を、それぞれ図2(a)から図2(h)に表している。以下において、各工程について対応する図2(a)から図2(h)に基づいて説明する。
TFTアレイ作製工程(工程P1)では、アクティブマトリクス型液晶表示装置と同様の製造工程により、マザーガラス基板(基板)1a上にTFTアレイ32を作製する。具体的には、マザーガラス基板1a上に上記電極配線(ゲート電極線4aおよびデータ電極線4b)4や、各画素11に設けられたTFT6、電荷蓄積容量8、画素電極10など(図3または図4参照)を形成する。なお、図2(a)では、図を簡略化してマザーガラス基板1aおよび画素電極10のみを表している(以下においても同様に表す)。
ここで、マザーガラス基板1aとしては、550mm×650mm×厚み1.1mmのものを用いた。これは、TFTアレイ32を作製する製造装置が、一般に特定のサイズの基板にのみ対応するものであり、上記マザーガラス基板1aとしては、そのサイズに適合するものを使用する必要があるためである。また、TFTアレイ32を形成する有効領域は、430mm×430mmとなるようにした。これは、作製する二次元画像検出器に必要な画像取込み領域から決定される。
なお、TFTアレイ32の具体的な製造方法としては、アクティブマトリクス型液晶表示装置の分野で周知のため、詳細の説明は省略する。
次に、表面保護層形成工程(工程P2)では、マザーガラス基板1a上のTFTアレイ32を形成した領域を覆うようにして表面保護層(保護部材)34を形成する。ここでは、表面保護層34として感光性樹脂を用いる。具体的には、液晶や半導体などの製造工程におけるフォトリソグラフィ工程で用いるフォトレジストを用いることができる。
このフォトレジストを用いた表面保護層34の形成は、次のようにして行う。まず、フォトレジストをスピン塗布することにより、マザーガラス基板1aの表面に約2μmの厚みのフォトレジストを付与する。次に、通常のフォトリソグラフィ工程と同様に、露光・現像を行うことにより、フォトレジストをパターニングする。
ここで、フォトレジストのパターンは、TFTアレイ32が形成されている領域にフォトレジストが存在し、かつ、次の工程(工程P3)においてマザーガラス基板1aからアクティブマトリクス基板1を所定のサイズに切り出す際の分断ライン1b近傍にはフォトレジストが存在しないようにする。このようにしてマザーガラス基板1a上に形成したフォトレジストを表面保護層34とする。
なお、感光性樹脂としては、上記のフォトレジスト以外にも、感光性アクリル樹脂など、ネガ型/ポジ型を問わず用いることが可能である。具体的には、東京応化工業株式会社製のフォトレジストOFPR(登録商標)シリ−ズや、帝人株式会社製のTFR(登録商標)シリ−ズなどを用いることができる。
上記では、感光性樹脂を用いて表面保護層34を形成する方法について説明したが、その他にも次の各方法により表面保護層34を形成することができる。
まず、印刷法による表面保護層34の形成が可能である。印刷法としては、スクリーン印刷、凹版印刷、凸版印刷など周知の印刷法を利用することができる。これらの印刷法では、感光性を有しない各種の材料であっても、その材料の塗布およびパターニングを同時に行うことができる。
また、水溶性樹脂(例えば、水溶性ワックスなど)を用いて表面保護層34を形成することも可能である。表面保護層34を水溶性樹脂で形成すると、後の表面保護層除去工程(工程P5)において表面保護層34を除去する際に、特殊な溶剤を用いることなく水や温水を用いることができる。したがって、溶剤によるX線導電層12の汚染や、環境汚染などの問題を軽減することができる。
この場合、水溶性樹脂の塗布方法としては、上記と同様にスピン塗布により塗布することができる。また、水溶性樹脂が熱可塑性のものである場合は、一般的に知られている加熱しながら塗っていく方法を用いることもできる。いずれの場合も、この水溶性樹脂が感光性でないときは、上記分断ライン1bの近傍を予め治具などにより保護しておいて塗布を行うか、またはマザーガラス基板1a全面に塗布した後で分断ライン1b近傍の水溶性樹脂を除去するようにする。
次に、TFTアレイ分断工程(工程P3)では、マザーガラス基板1aからアクティブマトリクス基板1を所定のサイズに切り出す。アクティブマトリクス基板1として必要なサイズは、TFTアレイ32が形成されている有効領域(ここでは、430mm×430mm)と、その周辺に駆動回路(アンプLSI20、ドライバLSI22(図5参照))を実装するための領域とを含むサイズである。ここでは、アクティブマトリクス基板1のサイズを、480mm×480mmとする。
マザーガラス基板1aを切断する手段としては、ダイヤモンドスクライブ法を用いる。ダイヤモンドスクライブ法とは、ダイヤモンド刃を用いてガラスなどの表面にスクライブ線(罫書き線)を引くことによりマイクロクラックを形成し、その部分に力を加えてガラスなどを分断する方法である。このダイヤモンドスクライブ法は、用いる装置が安価であり、スループット(処理能力)が優れているという利点を有する一方、スクライブ線を形成する際にガラスの破片(カレット)が飛散しやすいという問題点も併せて有している。
しかし、本実施の形態では、上記の表面保護層形成工程(工程P2)において、TFTアレイ32を形成した領域を覆うようにして表面保護層34を形成しているため、ガラスの破片が直接TFTアレイ32の表面に付着することを防止することができる。そのため、TFTアレイ32が汚染されたり、TFTアレイ32に傷が付くことを防ぐことができる。
また、本実施の形態では、上記の表面保護層形成工程(工程P2)において、表面保護層34をパターニングして形成しており、分断ライン1b近傍には表面保護層34が存在しないため、スクライブ線の形成が容易である。
なお、マザーガラス基板1aを切断する手段としては、上記のダイヤモンドスクライブ法以外に、ダイヤモンドブレードなどを用いたダイシング法を用いることもできる。この方法は、切断部に処理水をかけながら切断処理を行うものであり、その際に、処理水、ガラスの研削粉、ブレードの摩耗粉などの汚染物が発生する。この方法を用いた場合であっても、上記と同様、表面保護層34によりこれらの汚染物からTFTアレイ32を保護することができる。
上記ダイヤモンドスクライブ法やダイシング法により切断したアクティブマトリクス基板1の切断辺は、エッジが脆く欠けやすい状態にある。したがって、次のエッジ面取り工程(工程P4)により面取り処理を行うことが望ましい。
エッジ面取り工程(工程P4)では、上記エッジの面取りを行う。面取り処理は、通常、面取り部分(エッジ部分)に処理水をかけながら砥石を用いて研磨する方法が一般的であり、本実施の形態でもこの方法を用いる。この場合も、処理水、ガラスの研磨粉、砥石の摩耗粉などの汚染物が発生する。しかし、上記のTFTアレイ分断工程(工程P3)と同様、表面保護層34によりこれらの汚染物からTFTアレイ32を保護することができる。
次に、表面保護層除去工程(工程P5)において、アクティブマトリクス基板1から表面保護層34を除去する。表面保護層34としてフォトレジストを用いた場合では、表面保護層34を除去するために専用のレジスト剥離液を用いることが好ましく、その他にも各種有機溶剤を用いることができる。また、表面保護層34として水溶性樹脂を用いた場合では、水または温水を用いることができ、超音波洗浄やジャグジーなどを使用するとさらに効果的である。
次に、X線導電層形成工程(工程P6)において、アクティブマトリクス基板1上にX線導電層12を形成する。ここでは、真空蒸着法によりa−Se膜を成膜することにより、X線導電層12を形成する。そして、TFTアレイ32が形成された領域のほぼ全面をa−Se膜が覆い、かつ、a−Se膜の膜厚が約500〜1500μmとなるように成膜する。
このとき、X線導電層12を形成する下地となるアクティブマトリクス基板1の表面は、上記の表面保護層34の作用により、汚染されずにクリーンな状態が保たれている。したがって、この上に成膜するa−Se膜は、膜質が非常に安定したものとなる。
次に、表面電極層形成工程(工程P7)において、X線導電層12上に表面電極層16を形成する。ここでは、表面電極層16として、Au(金)を真空蒸着法により約0.5μmの膜厚となるように成膜する。
次に、実装工程(工程P8)において、アクティブマトリクス基板1の周辺部にドライバLSI22やアンプLSI20を実装する。これらの実装形態としては、前述したTAB形態やCOG形態などの形態をとることができる。ただし、これらの実装時に発生する熱によりX線導電層12としてのa−Se膜が結晶化しないように、アクティブマトリクス基板1の温度をコントロールし、温度上昇を抑制しながら実装を行う。ここでは、TAB形態をとるものとする。
また、表面電極層16と高圧電源18(図3参照)を接続するためのセンサバイアスリード線16aを表面電極層16に接続する。
そして、上記のようにして形成した二次元画像検出器を、これ以降の組み立て工程へと送り、高圧電源18(図3参照)などの他の部品と組み立てることにより装置が完成する。これ以降の工程については説明を省略する。
なお、上記の工程(図1参照)において、工程P6から工程P8の順序を入れ替え、実装工程(工程P8)、X線導電層形成工程(工程P6)、表面電極層形成工程(工程P7)の順に行ってもよい。
以上の工程では、TFTアレイ分断工程(工程P3)およびエッジ面取り工程(工程P4)の際に、TFTアレイ32が表面保護層34によって保護されている。したがって、これらの工程により発生する汚染物が、TFTアレイ32に直接触れることを回避することができる。そのため、TFTアレイ32の性能を良好に保ち、かつ、X線導電層12の膜質を向上させることができる。その結果、本実施の形態に係る製造工程では、二次元画像検出器の製造歩留り、および二次元画像検出器の信頼性を向上させることができる。
なお、本実施の形態では、X線による画像を検出するための二次元画像検出器について説明しており、光導電膜としてはX線導電層12について説明した。しかし、本発明は、これに限られるものではなく、X線の他にも可視光線、赤外線、紫外線など、様々な波長域の電磁波を対象とすることができる。X線以外の電磁波を対象とする場合には、対象とする電磁波に合わせて上記X線導電層12を適宜変更すればよい。
また、上記のX線導電層12としてのa−Se膜は、可視光線に対しても良好な光導電性を有している。そこで、これを用いて高電界印加時のアバランシェ効果を利用した高感度イメージセンサの開発も進められている。この高感度イメージセンサの製造工程においても、本発明は有効である。
上記したa−Se膜が、汚染や加熱により結晶化(特性劣化)する現象は、結晶化温度の高低差はあるものの、非晶質材料全般に共通の現象である。したがって、例えば、アモルファスSi、アモルファスSiC、アモルファスSiGeなどを光導電膜とした場合であっても本発明は有効である。
さらに、上記では、X線導電層12を形成することにより二次元画像検出器を製造する場合について説明したが、X線導電層12を形成する前の段階までの工程は、アクティブマトリクス基板1の製造工程である。したがって、二次元画像検出器以外であっても、例えば液晶表示装置などのようにアクティブマトリクス基板1を用いる装置の製造工程に応用することができる。
(変形例)
次に、本実施の形態における一変形例について図6および図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。図6は、本変形例に係る二次元画像検出器の製造工程を順に示した工程図であり、図7(a)から図7(i)は、図6の各工程における二次元画像検出器の状態を示す断面図である。
図6に示すように、本変形例に係る二次元画像検出器の製造工程は、TFTアレイ作製工程(工程P1)、表面保護層形成工程(工程P2)、TFTアレイ分断工程(工程P3)、エッジ面取り工程(工程P4)、ドライバ・アンプ実装工程(工程P8a)、表面保護層除去工程(工程P5)、X線導電層形成工程(工程P6)、表面電極層形成工程(工程P7)、バイアスリード線実装工程(工程P8b)を含んでいる。
また、これらの各工程における二次元画像検出器の断面を、それぞれ図7(a)から図7(i)に表している。以下において、各工程について対応する図7(a)から図7(i)に基づいて説明する。なお、上記の工程と同等の処理を行う工程については、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
本変形例においては、上記の実装工程(工程P8)を、ドライバ・アンプ実装工程(工程P8a)およびバイアスリード線実装工程(工程P8b)に分割して行う。そして、ドライバ・アンプ実装工程(工程P8a)を、エッジ面取り工程(工程P4)と表面保護層除去工程(工程P5)との間で行う。
つまり、エッジ面取り工程(工程P4)を行った後、表面保護層34がTFTアレイ32を覆っている状態でドライバLSI22やアンプLSI20を実装する(ドライバ・アンプ実装工程(工程P8a))。これらの実装に関しては上記と同様にして行う。
ここで、ドライバLSI22やアンプLSI20を実装する際には、例えばACF(anisotropic conductive film )を用いた異方導電接続や、半田を用いたワイヤーボンディング接続などのように、熱を加えることにより接着する処理が含まれる。このような処理においては、汚染物となり得るガスやダストが発生し、TFTアレイ32やX線導電層12が汚染される可能性がある。しかし、本変形例においては、ドライバLSI22やアンプLSI20を実装する際に、TFTアレイ32は表面保護層34により保護されており、またX線導電層12は未形成であるため、これらが汚染されることを回避することができる。
そして、ドライバLSI22やアンプLSI20を実装した後、表面保護層除去工程(工程P5)において表面保護層34を除去し、X線導電層形成工程(工程P6)、表面電極層形成工程(工程P7)を行う。
さらに、表面電極層形成工程(工程P7)により表面電極層16を形成した後、表面電極層16にセンサバイアスリード線16aを接続するバイアスリード線実装工程(工程P8b)を行う。
以上の工程では、TFTアレイ分断工程(工程P3)およびエッジ面取り工程(工程P4)に加えて、ドライバ・アンプ実装工程(工程P8a)においてもTFTアレイ32が表面保護層34によって保護されている。また、X線導電層12は、これらの工程終了後に形成される。したがって、これらの工程により発生する汚染物が、TFTアレイ32やX線導電層12に直接触れることを回避することができる。
そのため、TFTアレイ32の性能をさらに良好に保ち、かつ、X線導電層12の膜質をさらに向上させることができる。その結果、本変形例に係る製造工程では、二次元画像検出器の製造歩留りおよび信頼性をさらに向上させることができる。
また、上記の工程では、X線導電層形成工程(工程P6)より前の段階でドライバ・アンプ実装工程(工程P8a)を行うので、ドライバ・アンプ実装時に熱処理を行ったとしても、その熱でX線導電層12に悪影響を与えることはない。
〔実施の形態2〕
本発明の別の実施の形態について図8から図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、実施の形態1において説明した構成要素と同等の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記しその説明を省略する。
図8は、本実施の形態に係る二次元画像検出器の製造工程を順に示した工程図であり、図9(a)から図9(g)は、図8の各工程における二次元画像検出器の状態を示す断面図である。
図8に示すように、本実施の形態に係る二次元画像検出器の製造工程は、TFTアレイ作製工程(工程P1)、X線導電層形成工程(工程P6)、表面電極層形成工程(工程P7)、表面保護部材形成工程(工程P2a)、TFTアレイ分断工程(工程P3)、エッジ面取り工程(工程P4)、実装工程(工程P8c)を含んでいる。
また、これらの各工程における二次元画像検出器の断面を、それぞれ図9(a)から図9(g)に表している。以下において、各工程について対応する図9(a)から図9(g)に基づいて説明する。なお、実施の形態1において説明した工程と同等の処理を行う工程については、同一の符号を付記し、その説明を一部省略する。
まず、TFTアレイ作製工程(工程P1)によってマザーガラス基板1a上にTFTアレイ32を形成する。
次に、X線導電層形成工程(工程P6)によってX線導電層12としてのa−Se膜を形成する。ここで、マザーガラス基板1aにTFTアレイ32を形成した直後にX線導電層12を形成するので、X線導電層12を形成する下地となるTFTアレイ32の表面が汚染される可能性は極めて小さい。したがって、TFTアレイ32が汚染されることなく、X線導電層12の膜質を良好に形成することができるので、非常に安定したTFTアレイ32およびX線導電層12を形成することができる。
次に、表面電極層形成工程(工程P7)により、X線導電層12上に表面電極層16を形成する。
次に、表面保護部材形成工程(工程P2a)により、実施の形態1における表面保護層34(図2(b)から図2(d)参照)の代わりに表面保護部材(保護部材)35を設置する。この表面保護部材35は、保護ガラス板35a、シール材(接合材)35bおよびシールテープ35cから構成されている。
この表面保護部材35を次のようにして設置することにより、X線導電層12および表面電極層16を保護する。
まず、マザーガラス基板1aにおけるX線導電層12が形成されている領域の外周に、X線導電層12を取り囲んでシール材35bを形成する。シール材35bとしては、マザーガラス基板1aおよび保護ガラス板35aとの密着性が良好であり、a−Se膜に熱の影響を与えることなく硬化することが可能なものが適している。このようなシール材35bとして、例えば光硬化性接着剤やシリコーンシール材などが好ましい。
そして、このシール材35bを介してマザーガラス基板1aに対向するように、つまり、X線導電層12および表面電極層16を覆うようにして洗浄済みの保護ガラス板35aを設置する。ここでは、板厚0.7mmのものを用いた。
上記のように、保護ガラス板35とマザーガラス基板1aとの材質が同じであると、両者が固定された状態になっても、両者の熱膨張係数が等しいために熱膨張差に起因する基板の反りの発生を回避することができる。なお、保護ガラス板35aの代わりに、PET(polyethylene terephthalate)などの樹脂シートを用いることも可能である。
保護ガラス板35aには、後にセンサバイアスリード線16aを実装するための貫通孔35dを形成し、その貫通孔35dを予めシールテープ35cにより封止しておく。なお、シール材35bを保護ガラス板35aに形成した後、マザーガラス基板1aに設置するようにしてもよい。
ここで、シール材35bとマザーガラス基板1aとの間、シール材35bと保護ガラス板35aとの間、およびシールテープ35cと保護ガラス板35aとの間が、それぞれ密封される(気密性を有する)ようにする。そうすることにより、後の工程で用いる処理水や、発生するガラス粉などが表面保護部材35の内部に進入することを防ぐことができ、X線導電層12および表面電極層16を汚染物から保護することができる。
次に、TFTアレイ分断工程(工程P3)により、マザーガラス基板1aからアクティブマトリクス基板1を所定のサイズに切り出す。そして、エッジ面取り工程(工程P4)により、アクティブマトリクス基板1の切断辺の面取りを行う。
ここで、実施の形態1において説明した、ダイヤモンドスクライブ法またはダイヤモンドブレードを用いたダイシング法、および砥石による研磨を行う。この際に、上記したようにガラスの破片などの発生や、処理水の使用などにより、汚染物がアクティブマトリクス基板1に接することになる。しかし、本実施の形態では、表面保護部材35の作用により、実施の形態1と同様に、X線導電層12および表面電極層16が汚染されることや損傷を受けることを防止することができる。
次に、実装工程(工程P8c)により、ドライバLSI22やアンプLSI20、およびセンサバイアスリード線16aを実装する。ここで、ドライバLSI22やアンプLSI20の実装は、実施の形態1における実装工程(工程P8)と同様にして行う。また、センサバイアスリード線16aの実装は、保護ガラス板35aからシールテープ35cを剥がすことにより、貫通孔35dを介して行う。そして、貫通孔35dからセンサバイアスリード線16aを引き出す。
ドライバLSI22やアンプLSI20の実装は、貫通孔35dがシールテープ35cにより封止されている状態で行うことが好ましい。これにより、実施の形態1における変形例と同様に、ドライバLSI22やアンプLSI20の実装時におけるX線導電層12および表面電極層16の汚染を防ぐことができる。
なお、図15(a)は、保護ガラス板35aにセンサバイアスリード線16aを引き出す貫通孔35dを設けた図9(d)の状態を上方から見たとき(保護ガラス板35aに対してマザーガラス基板1aとは反対側から見たとき)の平面図を示している。例えば、図15(b)の平面図で示すように、予め保護ガラス板35aのコーナー部分や周縁部分に切り欠き35eを設けて表面電極層16の一部を露出させ、この露出した部分においてセンサバイアスリード線16aを実装するようにしてもよい。
また、保護ガラス板35aに上記の貫通孔35dや切り欠き35eを設けずに、図16に示すように、保護ガラス板35aの外部で露出されるように、表面電極層16の一部を外部に引き出した表面電極引き出し部16bを表面電極層16に形成するようにしてもよい。
このような貫通孔35d、切り欠き35e、表面電極引き出し部16bは、アクティブマトリクス基板1へのドライバLSI22やアンプLSI20の実装領域を避けて設置する必要があるため、保護ガラス板35aのコーナー部分、もしくはその部分と表面電極層16で対応する部分に形成することが好ましい。また、貫通孔35d、切り欠き35eは、保護ガラス板35aの対角コーナーの2か所、あるいは全コーナーの4か所など、必要に応じて複数箇所に設けてもよく、表面電極引き出し部16bについても同様に、表面電極層16の複数箇所に設けても構わない。
このように、保護ガラス板35aに貫通孔35dや切り欠き35eを設けたり、表面電極層16に表面電極引き出し部16bを設けることで、センサバイアスリード線16aを簡便に実装することが可能となる。そして、保護ガラス板35aをマザーガラス基板1aに設置した状態でも、上記の貫通孔35dや切り欠き35eまたは表面電極引き出し部16bを介して表面電極層16に簡便にバイアス電圧を印加することが可能となる。
なお、実装工程(工程P8c)後において再度シール材35bを用いることにより、表面保護部材35の内部(表面保護部材35とアクティブマトリクス基板1とで囲まれた空間)を、電気絶縁性を有する物質により充填された状態に保つことが好ましい。
ここで、電気絶縁性を有する物質としては、絶縁性ガス(例えば、N2 など)や、電気絶縁材(例えば、信越化学工業製のシリコーンオイルKF96や、住友スリーエム製の不活性液体フロリナートFC−40など)などが適している。
これにより、表面電極層16とCs電極9(図4参照)との間に印加する電圧が大きくなった際に、放電が起こることを抑制することができる。また、さらに、大気中の水分が結露することによりX線導電層12やTFTアレイ32が汚染されることを防ぐことができ、二次元画像検出器の対環境性を向上させることができる。
なお、図17に示すように、保護ガラス板35aの外側表面(保護ガラス板35aにおけるX線導電層12との対向面とは反対側の面)の略全面にAl、Niなどの金属膜45を設けるようにしてもよい。この金属膜45を設けることにより、二次元画像検出器の電気的シールドや遮光を強化することが可能となり、さらには静電気の蓄積を防止することができる。
以上の工程では、TFTアレイ分断工程(工程P3)、エッジ面取り工程(工程P4)、および実装工程(工程P8c)において、TFTアレイ32およびX線導電層12が表面保護部材35によって保護されている。したがって、これらの工程により発生する汚染物が、TFTアレイ32やX線導電層12に直接触れることを回避することができる。そのため、TFTアレイ32の性能を良好に保ち、かつ、X線導電層12の膜質を向上させることができる。その結果、二次元画像検出器の製造歩留りおよび信頼性を向上させることができる。
また、表面保護部材35は、二次元画像検出器の完成後においても設置しておくことができ、半永久的にX線導電層12が形成された領域を保護することができる。そして、表面保護部材35の内部を、放電や結露が生じにくい状態に保つことが可能になる。これにより、さらに、二次元画像検出器の信頼性および対環境性を向上させることができる。
また、表面保護部材35は、アクティブマトリックス基板1上に設けられているため、TFTアレイ32やX線導電層12を含む最小領域を保護することができる。したがって、例えばメンテナンスなどにおいて二次元画像検出器を部品単位で細かく分解する場合などにおいても、TFTアレイ32やX線導電層12が汚染物から保護されている状態を維持することができる。
上述してきた例においては、表面保護部材35を構成する部材として、保護ガラス板35aを用いた例を示したが、保護ガラス板35aの代替品として、各種セラミック基板や樹脂シート(板)を使用することも可能である。セラミック基板(ガラス基板を含む)からなる固体基板を用いれば、アクティブ素子アレイが形成されている基板を補強することができるというメリットがある。一方、樹脂シート(板)からなる固体基板を用いれば、加工性が良いため前述した貫通孔や切り欠きを簡便に形成することができるというメリットと、セラミック基板に比べて軽量であるために、二次元画像検出器の軽量化が可能であるというメリットとがある。
ところで、保護ガラス板35aの代替品としては、X線導電層12へのX線の入射をできるだけ妨げない材質から構成することが望ましい。たとえば、セラミック基板の場合、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコンの何れか1つのセラミック材料を用いることが好ましい。なぜなら、Ba、Pb、Snなどの原子番号が大きく原子を多く含有するセラミック基板は、それ自身でX線を多く吸収してしまうため、二次元画像検出器の感度低下を招く可能性が高くなるためである。したがって、上記のような材料からなるセラミック基板を用いれば、セラミック基板自身でのX線の吸収量が減り、セラミック基板を設置することによる二次元画像検出器の感度低下を回避することが可能となる。
また、上記の各セラミック材料を任意の割合で混合するようにすれば、その混合割合に応じて熱膨張係数を任意に設定することができ、アクティブ素子アレイが形成されている基板に略等しい熱膨張係数のセラミック基板を作成することが可能になる。したがって、両基板(セラミック基板とアクティブ素子アレイが形成されている基板)を固着した場合に、熱膨張係数差に起因する基板の反りの発生を抑制することができる。
一方、樹脂シート(板)の場合、特にSi元素を含有しない樹脂材料(例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン、ポリイミド、塩化ビニル樹脂、ナイロン、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン)を選択して使用すれば、樹脂シート自身ではX線をほとんど吸収せず、二次元画像検出器の感度低下をさらに回避することが可能になる。例えば、上述のセラミック基板と樹脂シートとでX線の吸収量を比較すると、同じ1mm厚の基板を想定した場合、セラミック基板では平均10%程度のX線が吸収されるが、樹脂シート(板)の場合は平均3%程度しか吸収されない。さらに樹脂シートの場合は、薄いフレキシブルなシート形態で使用することも可能であり、その場合、さらにX線の吸収量を減らすことが可能であるため有用である。
以上のことから、表面保護部材35は、X線導電層12へのX線の入射を妨げない材質から構成するものとする。以下においても、二次元画像検出器の完成後においてX線導電層12上に存在する部材は、上記と同様とする。
なお、上記のように表面保護部材35を設置する二次元画像検出器では、表面電極層16への給電方法を図10に示すように変更することができる。図10は、本実施の形態に係る二次元画像検出器の製造工程を応用して形成される二次元画像検出器の断面図である。
この二次元画像検出器では、保護ガラス板35aの表面電極層16に対応する面に導電層40を有しており、保護ガラス板35aと表面電極層16との間に導電材(導電性部材)42が充填されている。そして、センサバイアスリード線16aが、X線導電層12にX線が入射する領域以外の部分(例えば、図10に示すように、X線導電層12と対向していない保護ガラス板35aの部分)における導電層40に接続されている。
このような構成とすることで、X線導電層12に電界を印加するための表面電極層16への給電部分、つまりセンサバイアスリード線16aをより柔軟に設置することが可能になる。したがって、X線画像を取り込む領域にセンサバイアスリード線16aがかぶさることを回避でき、画像を検出する際に影などが生じることによる画質低下を回避できる。
また、導電材42が存在することによりX線導電層12周辺が同電位となるため、上記した電気絶縁材により保護ガラス板35aと表面電極層16との間を充填する場合と同様に、この場合もX線導電層12周辺での放電を防止することが可能になる。
この二次元画像検出器を形成するためには、上記工程において、予め一方の面に導電層40を形成した保護ガラス板35aを用い、上記表面保護部材形成工程(工程P2a)を行う際に、表面電極層16と導電層40との隙間に導電材42を挟み込むとよい。そして、実装工程(工程P8c)において、上記位置にセンサバイアスリード線16aを接続すればよい。導電材42としては、例えば導電性ゴムシートや導電性粘着シート、導電性ペースト、導電性接着剤などを用いることが好ましい。さらにこれらの中でも、X線の吸収量が比較的少ないカーボンを導電性顔料として用いた材料が特に好ましい。なお、この場合、貫通孔35dは不要である。
また、他の形成方法としては、上記工程において、予め一方の面に導電層40を形成した保護ガラス板35aを用いることにより、上記表面保護部材形成工程(工程P2a)を行い、また実装工程(工程P8c)において、上記位置にセンサバイアスリード線16aを接続するとともに、貫通孔35dから導電材42を注入する方法も可能である。この導電材42としては、例えば導電性液晶や導電性樹脂、液体金属などを用いることが好ましい。
ここで、以上の工程により形成される二次元画像検出器の特徴点およびその作用・効果をまとめると、次のようになる。
本実施の形態により形成される二次元画像検出器は、基板(ガラス基板2)と、該基板上に設けられたアクティブ素子アレイ(TFTアレイ32)と、入射する電磁波に応じて電荷を生じ、該電荷が前記アクティブ素子アレイによって読み出されるように前記アクティブ素子アレイ上に設けられた半導体層と、前記基板上に設けられ、前記半導体層(X線導電層12)を覆う保護部材(表面保護部材35)とを備えていることを特徴としている。
上記の構成では、二次元画像検出器の使用環境において生じる汚染物が、アクティブ素子アレイや半導体層に直接触れることを防止することができ、アクティブ素子アレイや半導体層の性能劣化を防止し、信頼性の高い二次元画像検出器を提供することができる。
ここで、前記保護部材の前記半導体層と対向する部分が固体基板(保護ガラス板35a)からなることが好ましい。
上記の構成では、固体基板として、例えばガラス基板や樹脂シートのように最初から固体材料であり、溶剤などの半導体層に対する汚染物を含まないものを用いることができる。したがって、保護部材が半導体層に接触することがあっても、半導体層を汚染することを回避することができる。
さらに、上記二次元画像検出器は、前記保護部材が気密性を有していることが好ましい。
上記の構成では、保護部材により半導体層が外部に対して気密された状態を維持させることができる。したがって、二次元画像検出器の使用環境によって生じる結露などの現象を防止することができ、アクティブ素子アレイや半導体層の性能劣化をさらに効果的に防止し、さらに信頼性の高い二次元画像検出器を提供することができる。
また、上記二次元画像検出器は、前記半導体層と前記保護部材との間が絶縁性部材により充填されていてもよい。
上記の構成では、半導体層と保護部材との間を絶縁性部材で充填することにより、二次元画像検出器を使用する際に半導体層に高電圧を印加するような場合であっても、半導体層周辺で放電が起こることを回避することができる。したがって、上記したアクティブマトリクス素子や半導体層の汚染防止に加えて、放電による半導体層の性能劣化を防止することができる。したがって、さらに信頼性の高い二次元画像検出器を提供することができる。
さらに、上記二次元画像検出器は、前記絶縁性部材が絶縁性ガスであることが好ましい。
絶縁性部材がガスであることによって、半導体層と保護部材との間をより確実に絶縁性ガスで充填することができる。
さらに、上記二次元画像検出器は、前記半導体層上に形成された電極(表面電極層16)と、前記保護部材の前記電極に対向する面に形成された導電層40と、前記電極と前記導電層との間に充填された導電材42とを備えていることが好ましい。
上記の構成では、X線画像を取り込む領域にセンサバイアスリード線16aがかぶさることを回避でき、画像を検出する際に影などが生じることによる画質低下を回避できる。
(変形例)
次に、本実施の形態における一変形例について図11および図12に基づいて説明すれば、以下の通りである。図11は、本変形例に係る二次元画像検出器の製造工程を順に示した工程図であり、図12(a)から図12(g)は、図11の各工程における二次元画像検出器の状態を示す断面図である。
図11に示すように、本変形例に係る二次元画像検出器の製造工程は、TFTアレイ作製工程(工程P1)、X線導電層形成工程(工程P6)、表面電極層形成工程(工程P7)、表面保護膜形成工程(工程P2b)、TFTアレイ分断工程(工程P3)、エッジ面取り工程(工程P4)、実装工程(工程P8d)を含んでいる。
また、これらの各工程における二次元画像検出器の断面を、それぞれ図12(a)から図12(g)に表している。以下において、各工程について対応する図12(a)から図12(g)に基づいて説明する。なお、上記において説明した工程と同等の処理を行う工程については、同一の符号を付記し、その説明を一部省略する。
上記では、保護ガラス板35aや樹脂シートを用いて構成される表面保護部材35を設置する場合について説明したが、本変形例においては、常温で成形可能な樹脂を用いることにより表面保護部材35に代わる表面保護膜(保護部材)36を形成する場合について説明する。
まず、上記と同様にして、TFTアレイ作製工程(工程P1)、X線導電層形成工程(工程P6)、および表面電極層形成工程(工程P7)を行う。
次に、表面保護膜形成工程(工程P2b)により、上記における表面保護部材35(図9(d)から図9(g)参照)の代わりに表面保護膜36を形成する。
ここで、表面保護膜36形成時に加熱が必要な場合は、X線導電層12としてのa−Se膜が結晶化するおそれがある。このa−Se膜は、結晶化が促進される温度(耐熱温度)が60〜80℃と比較的低温であり、耐熱温度以上に熱すると光電変換の特性が劣化することになる。
したがって、表面保護膜36としては、X線導電層12の耐熱温度未満の温度で成形可能な材料、例えば、光硬化性材料や室温硬化性樹脂などが適している。具体的には、光硬化性アクリル樹脂、2液硬化性エポキシ樹脂、1液硬化性および2液硬化性シリコーン樹脂、2液硬化性ポリウレタン樹脂、2液硬化性ポリエステル樹脂などの幅広い材料を、表面保護膜36として用いることができる。また、常温で硬化が可能な光硬化性樹脂やシリコーンシール材を表面保護膜36として用いることができるとも言える。
これらを用いて、X線導電層12を覆うようにして表面保護膜36としての樹脂層を形成する。形成方法としては、X線導電層12が形成されている領域およびその周辺領域にのみ樹脂を塗布できるように、印刷法やマスクを利用したスプレー塗布法などを用いることができる。ここで、印刷法としては、スクリーン印刷、凹版印刷、凸版印刷など周知の印刷法を利用することができる。また、スプレー塗布法では、表面保護膜36を形成する領域以外の部分をマスクしたマザーガラス基板1aに、表面保護膜36を形成する樹脂を霧状にして吹き付けることにより塗布を行う。
また、上記以外にも、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂などのフレキシブルシートを、粘着剤(または接着剤)を用いて、X線導電層12や表面電極層16が形成されている領域に貼り付ける(または、転写する)ことにより表面保護膜36として用いてもよい。この場合、マザーガラス基板1aへの設置時点では既に固体状態にある樹脂材料を固体基板として使用することになるので、表面保護膜36として常温硬化が可能な樹脂(例えばポリイミド樹脂など)を使用することができる。
つまり、ポリイミドなどの絶縁性フレキシブルシートからなる粘着シート(粘着テープ)を、マザーガラス基板1a上のX線導電層12が形成されている領域に貼り付けることにより表面保護膜36としてもよいということである。この方法は、工程を簡素化できる簡便な方法であり、それゆえ、表面保護膜36の形成を容易に行うことができる。
このようにして形成した表面保護膜36は、上記と同様に、X線導電層12における放電や結露を防止することができる。
次に、上記と同様にして、TFTアレイ分断工程(工程P3)およびエッジ面取り工程(工程P4)を順次行う。
そして、実装工程(工程P8d)を行う。ここで、ドライバLSI22やアンプLSI20の実装は、上記実装工程(工程P8c)と同様にして行う。また、センサバイアスリード線16aの実装は、表面保護膜36の一部に孔をあけて表面電極層16を露出させ、表面電極層16の露出した部分にセンサバイアスリード線16aを接続することにより行う。
以上の工程では、上記と同様に、汚染物がTFTアレイ32やX線導電層12に直接触れることを回避することができる。そのため、TFTアレイ32の性能を良好に保ち、かつ、X線導電層12の膜質を向上させることができる。その結果、二次元画像検出器の製造歩留りおよび信頼性を向上させることができる。
また、表面保護膜36は、二次元画像検出器の完成後においても設置しておくことができ、半永久的にX線導電層12が形成された領域を保護することができる。そして、表面保護膜36により、X線導電層12に放電や結露が生じにくい状態に保つことが可能になる。これにより、さらに、二次元画像検出器の信頼性および対環境性を向上させることができる。
なお、本変形例における表面保護膜36を形成後、さらに、上記の表面保護部材35(図9(d)参照)を設置するようにしてもよい。これにより、X線導電層12をより確実に保護することができる。
ここで、以上の工程により形成される二次元画像検出器の特徴点およびその作用・効果をまとめると、次のようになる。
本実施の形態により形成される二次元画像検出器は、基板(ガラス基板2)と、該基板上に設けられたアクティブ素子アレイ(TFTアレイ32)と、入射する電磁波に応じて電荷を生じ、該電荷が前記アクティブ素子アレイによって読み出されるように前記アクティブ素子アレイ上に設けられた半導体層と、前記基板上に設けられ、前記半導体層(X線導電層12)を覆う保護部材(表面保護膜36)とを備えており、前記保護部材が、前記半導体層の耐熱温度未満の温度で形成可能な材料からなることが好ましい。
上記の半導体層は、例えばa−Se膜のように結晶化が促進される温度(耐熱温度)が60〜80℃と比較的低温のものがある。この半導体層を耐熱温度以上にすると、光電変換の特性が劣化することになる。上記の構成では、保護部材を、半導体層の耐熱温度未満の温度で形成可能な材料(例えば、シリコーン樹脂など)で形成するため、上記のように半導体層の特性を劣化させることを回避することができる。
さらに、上記二次元画像検出器は、前記保護部材が、樹脂からなる表面保護膜36と、該表面保護膜36を覆う固体基板(保護ガラス板35a)と、該固体基板を前記基板に固定する接合材(シール材35b)とからなることが好ましい。
上記の構成では、半導体層を二重に保護することになり、より一層半導体層の保護効果を向上させることができる。
なお、本発明において、表面保護部材35、表面保護膜36は、二次元画像検出器の製造過程における課題と、二次元画像検出器の完成後の課題との2つの課題を両方とも解決する目的で導入した。このとき、上記後者の課題を解決することだけに着目した場合は、二次元画像検出器の製法は上述してきた製法に限定される必要はない。たとえ、本発明とは異なる製法で製造された二次元画像検出器であっても、完成品としての構造が本発明と同じものであれば、その完成品において本発明の二次元画像検出器と同様の効果を得ることができる。
なお、上述した各実施形態には、二次元画像検出器における結露や放電などに代表される使用環境上の問題を解決し、対環境性の良好な二次元画像検出器に係る発明も含まれている。
すなわち、基板と、該基板上に設けられたアクティブ素子アレイと、入射する電磁波に応じて電荷を生じ、該電荷が前記アクティブ素子アレイによって読み出されるように前記アクティブ素子アレイ上に設けられた半導体層と、前記基板上に設けられ、前記半導体層を覆う保護部材とを備えていることを特徴とする二次元画像検出器に係る発明が、上述した各実施形態に含まれている。
上記の構成では、アクティブ素子アレイ上の半導体層を覆う保護部材が設けられている。したがって、二次元画像検出器の使用環境において生じる汚染物が、アクティブ素子アレイや半導体層に直接触れることを防止することができる。ここで、保護部材は、基板上に設けられているため、アクティブ素子アレイや半導体層を含む最小領域を保護することができる。したがって、例えばメンテナンスなどにおいて二次元画像検出器を部品単位で細かく分解する場合などにおいても、アクティブ素子アレイや半導体層が汚染物から保護されている状態を維持することができる。
その結果、製造後においても、アクティブ素子アレイや半導体層の性能劣化を防止し、信頼性の高い二次元画像検出器を提供することができる。
また、半導体層を覆うように保護部材を設けることにより、半導体層に高電圧を印加するような場合であっても、半導体層周辺で放電が起こることを回避することができる。したがって、上記したアクティブマトリクス素子や半導体層の汚染防止や性能劣化の防止に加えて、放電による素子破壊をも防止することができる。さらに、保護部材によって、半導体層が外気と接触することがなくなり、結露によって半導体層の特性が劣化するのを防止することができる。
上記の二次元画像検出器において、前記半導体層と前記保護部材との間が、電気絶縁性を有する物質により充填された状態であることが好ましい。
上記の構成では、半導体層と保護部材との間を、電気絶縁性を有する物質により充填された状態にすることにより、二次元画像検出器を使用する際に半導体層に高電圧を印加するような場合であっても、半導体層周辺で放電が起こることを回避することができる。したがって、上記したアクティブマトリクス素子や半導体層の汚染防止に加えて、放電による半導体層の性能劣化を防止することができる。したがって、さらに信頼性の高い二次元画像検出器を提供することができる。
あるいは、上記の二次元画像検出器において、前記半導体層と前記保護部材との間が、導電性部材により充填された状態であることが好ましい。
上記の構成では、半導体層と保護部材との間が導電性部材により充填されていることにより、この領域を同電位に保つことができる。したがって、この場合も半導体層周辺で放電が起こることを回避することができる。
さらに、上記の構成では、半導体層に電界を印加する場合には、導電性部材に給電すればよいため、給電部分をより柔軟に設置することが可能になる。したがって、画像を取り込む領域にリード線などがかぶさることを回避でき、画像を検出する際に影などが生じることによる画質低下を防止できる。
その結果、信頼性が高く、かつ、画質が良好な二次元画像検出器を提供することが可能になる。
上記の二次元画像検出器において、さらに、前記保護部材が、樹脂からなる表面保護膜と、該表面保護膜を覆う固体基板と、該固体基板を前記基板に固定する接合材とからなることが好ましい。
上記の構成では、半導体層を二重に保護することになり、より一層半導体層の保護効果を向上させることができる。
また、基板と、該基板上に設けられたアクティブ素子アレイと、入射する電磁波に応じて電荷を生じ、該電荷が前記アクティブ素子アレイによって読み出されるように前記アクティブ素子アレイ上に設けられた半導体層と、前記半導体層にバイアス電圧を印加できるように前記半導体層上に設けられた表面電極層と、前記基板上に設けられ、前記半導体層および前記表面電極層を覆う保護部材とを備えていることを特徴とする二次元画像検出器に係る発明も、上述の各実施形態に含まれている。
上記の構成では、アクティブ素子アレイ上の半導体層および表面電極層を覆う保護部材が設けられている。したがって、二次元画像検出器の使用環境において生じる汚染物が、アクティブ素子アレイや半導体層あるいは表面電極層に直接触れることを防止することができる。
ここで、保護部材は、基板上に設けられているため、アクティブ素子アレイや半導体層、表面電極層を含む最小領域を保護することができる。したがって、例えばメンテナンスなどにおいて二次元画像検出器を部品単位で細かく分解する場合などにおいても、アクティブ素子アレイや半導体層、表面電極層が汚染物から保護されている状態を維持することができる。
その結果、製造後においても、アクティブ素子アレイや半導体層、表面電極層の性能劣化を防止し、信頼性の高い二次元画像検出器を提供することができる。
また、半導体層および表面電極層を覆うように保護部材を設けることにより、表面電極層を介して半導体層に高電圧を印加するような場合であっても、半導体層および表面電極層の周辺で放電が起こることを回避することができる。したがって、上記したアクティブマトリクス素子や半導体層および表面電極層の汚染防止や性能劣化の防止に加えて、放電による素子破壊をも防止することができる。さらに、保護部材によって、半導体層および表面電極層が外気と接触することがなくなるので、結露によって半導体層および表面電極層の特性が劣化するのを防止することもできる。
上記の二次元画像検出器において、さらに、前記保護部材が塗布または転写によって形成される樹脂材料からなることが好ましい。
上記の構成では、保護部材として、例えばスプレー法や印刷法などの塗布、粘着剤を用いた転写により簡便に形成が可能な塗布型の樹脂材料を用いるので、保護部材を簡便に形成することができる。
また、上記樹脂材料として、例えば低温で成膜できる材料を用いれば、二次元画像検出器の半導体層として耐熱温度の低いa−Seを用いた場合でも、a−Seの光電変換特性を劣化させることなく保護部材を形成することができる。
上記の二次元画像検出器において、さらに、前記保護部材が前記基板への設置時に既に固体状態である固体基板からなることが好ましい。
上記の構成では、基板への設置時に既に固体状態である固体基板は、半導体層に対する汚染物(例えば溶剤、イオンなど)を含まない。したがって、保護部材の基板への設置時に、保護部材が半導体層や表面電極層に接触することがあっても、半導体層や表面電極層の汚染を確実に回避することができる。
上記の二次元画像検出器において、さらに、前記保護部材が前記基板への設置時に既に固体状態である固体基板と、前記固体基板を前記基板に固定する接合材とからなっていることが好ましい。
上記の構成では、保護部材が基板への設置時に既に固体状態である固体基板と、固体基板を基板に固定する接合材とからなっている。このとき、接合材を、例えば固体基板の周辺部に枠状に配置すれば、接合材と固体基板とによって、半導体層や表面電極層が外部に対して気密された状態を維持することができる。したがって、二次元画像検出器の使用環境によって生じる汚染、結露などの発生を防止することができ、アクティブ素子アレイや半導体層、表面電極層の性能劣化を効果的に防止し、さらに信頼性の高い二次元画像検出器を提供することができる。
上記の二次元画像検出器において、さらに、前記固体基板がセラミック基板であることが好ましい。
上記の構成では、セラミック基板からなる固体基板を、アクティブ素子アレイが形成されている基板に設置したときに、当該基板を補強することができる。
上記の二次元画像検出器において、さらに、前記セラミック基板がガラス基板であることが好ましい。
セラミック基板(固体基板)をガラス基板で構成すれば、アクティブ素子アレイが形成されている基板をガラス基板で構成したときに、上記両基板の熱膨張係数が同じになる。これにより、アクティブ素子アレイが形成されている基板と固体基板(保護部材)とが固定された状態でも、熱膨張係数の差に起因する基板の反りの発生を回避することができる。
上記の二次元画像検出器において、さらに、前記セラミック基板が酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化シリコン、炭化シリコンのうち何れか1つで形成されていることが好ましい。
上記構成のように、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化シリコン、炭化シリコンのうち何れか1つでセラミック基板(固体基板)を構成すれば、セラミック基板をガラスで構成した場合に比べて、固体基板でのX線吸収量が減るため、固体基板の設置による二次元画像検出器の感度低下を回避することが可能になる。
上記の二次元画像検出器において、さらに、前記セラミック基板が酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化シリコン、炭化シリコンのうち、複数の材料を任意の割合で混合して形成されていることが好ましい。
上記の各セラミック材料を任意の割合で混合して固体基板を構成する場合は、その混合割合に応じて熱膨張係数を任意に設定することができる。これにより、アクティブ素子アレイが形成されている基板と略等しい熱膨張係数のセラミック基板を作成して、熱膨張係数の差に起因する基板の反りの発生を確実に回避することができる。
上記の二次元画像検出器において、さらに、前記固体基板が樹脂基板であることが好ましい。
上記の構成では、樹脂基板からなる固体基板を、アクティブ素子アレイが形成されている基板に設置したときに、当該基板を補強することができる。また、樹脂基板は加工性に優れており、例えば、貫通孔や切り欠きを簡便に形成することができる。これにより、上記貫通孔や切り欠きを介して表面電極層にバイアス電圧を確実に印加することができる。また、樹脂基板はガラス等のセラミック基板に比べて軽量であるため、二次元画像検出器の軽量化に寄与できる。
上記の二次元画像検出器において、さらに、前記樹脂基板がSi元素を含有しない樹脂から形成されていることが好ましい。
上記の構成では、Si元素を含有しない樹脂基板を用いることで、Siを含有するガラス基板やセラミック基板に比べて、固体基板でのX線吸収量が減る。これにより固体基板の設置による二次元画像検出器の感度低下を確実に回避することが可能になる。
上記の二次元画像検出器において、さらに、前記半導体層と前記保護部材との間が、電気絶縁性を有する物質により充填された状態であることが好ましい。
上記の構成では、半導体層と保護部材との間を、電気絶縁性を有する物質により充填された状態にすることにより、二次元画像検出器を使用する際に表面電極層を介して半導体層に高電圧を印加するような場合であっても、半導体層または表面電極層の周辺で放電が起こることを回避することができる。したがって、上記したアクティブマトリクス素子や半導体層および表面電極層の汚染防止、結露防止に加えて、放電による素子破壊や半導体層および表面電極層の性能劣化を確実に防止することができる。
上記の二次元画像検出器において、さらに、前記半導体層と前記保護部材との間が、導電性部材により充填された状態であることが好ましい。
上記の構成では、半導体層と保護部材との間が導電性部材により充填されていることにより、この領域を同電位に保つことができる。したがって、表面電極層を介して半導体層に高電圧を印加するような場合であっても、半導体層または表面電極層の周辺で放電が起こることを回避することができる。したがって、上記したアクティブマトリクス素子や半導体層および表面電極層の汚染防止、結露防止に加えて、放電による素子破壊や半導体層および表面電極層の性能劣化を確実に防止することができる。
さらに、上記の構成では、半導体層に電界を印加する場合には、導電性部材に給電すればよいため、給電部分をより柔軟に設置することが可能になる。したがって、画像を取り込む領域にリード線などがかぶさることを回避でき、画像を検出する際に影などが生じることによる画質低下を防止できる。
上記の二次元画像検出器において、さらに、前記保護部材における前記半導体層との対向面とは反対側の面に金属膜が形成されていることが好ましい。
上記の構成では、保護部材における半導体層との対向面とは反対側の面に金属膜を形成することにより、二次元画像検出器の電気的シールドや遮光を強化することができ、さらには静電気の蓄積を防止することができる。
上記の二次元画像検出器において、さらに、前記保護部材には、前記表面電極層にバイアス電圧を印加するための貫通孔または切り欠きが設けられていることが好ましい。
上記の構成では、保護部材に貫通孔または切り欠きが設けられているので、保護部材を基板に設置した状態でも、上記の貫通孔または切り欠きを介して表面電極層に簡便にバイアス電圧を印加することができる。なお、上記の貫通孔や切り欠きは、保護部材の例えば周縁部分に形成される場合を想定することができる。
上記の二次元画像検出器において、さらに、前記表面電極層には、前記表面電極層にバイアス電圧を印加するための表面電極引き出し部が、前記保護部材から一部露出するように設けられていることが好ましい。
上記の構成では、表面電極層に、保護部材から一部露出するように表面電極引き出し部が設けられているので、保護部材を基板に設置した状態でも、この表面電極引き出し部を介して表面電極層に簡便にバイアス電圧を印加することができる。