JP4409658B2 - プロセスデータ評価方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子力プラント等のプラントの状態を表すプロセスデータを評価して定常状態のプラントのプロセスデータ(プラント整定中のプロセスデータ;以下、静特性データとする)を抽出するプラントデータ評価方法および装置、静特性データ抽出方法および装置ならびにプログラムを記憶した記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力プラント等のプラント本体やそれに付随する設備機器等の性能評価や健全性確認を行うためには、整定中(定常状態)のプラントの状態量(プロセス量)を表すプロセスデータ(静特性データ)を採取して評価する必要がある。
【0003】
したがって、初期の内は、大勢の人がプラントに張り付いてプラントがデータ採取の条件(定常状態)になったのを確認してから、マニュアルでプロセスデータを採取していたが、近年は、プロセスコンピュータの整備等により必要なデータの大半は、自動的に採取することが可能になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来において、プロセスデータを自動的に採取する場合には、予め設定された任意の一定時間の間隔で機械的に採取する方法が一般的にとられている。
【0005】
しかしながら、上述したプロセスデータ自動採取方法においては、プラントの状態(状況)とは関係無しにプロセスデータを採取している。
【0006】
したがって、プロセスデータ採取タイミングによっては、プラントの各設備機器等に対応する各計測項目(パラメータ)の中の所定のパラメータのプロセス量が変動していて静特性データとしては不適当なプロセスデータを採取することや、あるいはプラントが長時間に渡って略同一の状態(定常状態)にある際において同様のプロセスデータを大量に採取しまうことが頻繁に発生する。
【0007】
上述したプロセスデータ採取に係る課題を解決するための従来の方策としては、採取したプロセスデータを人手(マニュアル)で評価し、各パラメータ毎のプロセスデータの前後関係等から変動している箇所(非定常状態)のプロセスデータを見つけだす。
【0008】
そして、見つけ出した非定常状態のプロセスデータを採取したプロセスデータから間引きして定常状態のプラントから採取されたプロセスデータ(静特性データ)を抽出している。
【0009】
また、定常状態のプロセスデータが連続する領域では、その定常状態のプロセスデータを全て抽出しても、それらを記憶するメモリの容量が減少する等却って不都合な点が生じるため、連続した定常状態にあるプロセスデータの内、1つだけを代表して抽出し、その代表データ以外のプロセスデータを間引いている。
【0010】
すなわち、従来のプロセスデータ自動採取方法においては、プロセスデータを採取した後で、プラントの挙動を理解している熟練者のマニュアルによる処理に基づいて採取したプロセスデータを評価し、プラント性能評価・健全性確認に必要なプロセスデータ(静特性データ)を熟練者のマニュアル処理により抽出しているため、そのマニュアル評価処理および抽出処理を行う熟練者の負担を増大させていた。
【0011】
また、上記マニュアル評価処理およびマニュアル抽出処理に多大な時間を要する結果となり、プロセスデータ評価処理効率および静特性データ抽出処理効率を悪化させていた。
【0012】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、プラントから採取されたプロセスデータを自動的に評価し、プラント性能評価・健全性確認に必要な静特性データのみを自動的に抽出して他のプロセスデータを間引くことを可能にして、プロセスデータ評価・静特性データ抽出処理に関する熟練者の負担をなくし、プロセスデータ評価処理効率および静特性データ抽出処理効率を大幅に向上させることができるプロセスデータ評価方法および装置ならびに静特性データ抽出方法および装置を提供することをその目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための第1の発明によれば、プラントから収集された前記プラントの状態を表す各パラメータ毎の連続した複数のプロセスデータから少なくとも1つのパラメータを指定し、指定したパラメータの複数の連続したプロセスデータを評価してその定常性を判断するプラントデータ評価方法であって、前記指定されたパラメータの複数のプロセスデータを、連続した2個以上のプラントデータをそれぞれ含む複数のグループに分割するステップと、分割した各グループの2個以上のプロセスデータを各グループ毎に統計処理して各グループ毎の移動平均値をそれぞれ求めるステップと、1番目に統計処理されたグループの移動平均値を中心として任意の幅をもつ基準範囲を設定するステップと、設定された基準範囲と、求められた各グループの移動平均値とを2番目に統計処理されたグループの移動平均値から最後に統計処理されたグループの移動平均値までを順次比較し、比較した一のグループの移動平均値が前記基準範囲内にあるか否かを判断するステップと、比較した一のグループの移動平均値が前記基準範囲外となった場合に、設定されている前記基準範囲を、当該比較した一のグループの移動平均値を中心とした任意の幅をもつデータ範囲を新たな基準範囲として設定するステップと、を備え、前記比較した一のグループの移動平均値が前記基準範囲内にあるか否かを判断するステップにおいて、前記比較した一のグループの移動平均値が前記基準範囲内にあると判断された場合、前記比較した一のグループのプラントデータは、前記基準範囲内にあると判断されたグループのプラントデータと同一の定常状態であると判断する一方、前記比較した一のグループの移動平均値が前記基準範囲外にあると判断された場合、前記比較した一のグループの次以降のグループの移動平均値に対しては、前記再設定された基準範囲と比較することを特徴とする。
【0016】
上記目的を達成するための第の発明によれば、プラントから収集された前記プラントの状態を表す各パラメータ毎の連続した複数のプロセスデータから少なくとも1つのパラメータを指定し、指定したパラメータの複数の連続したプロセスデータを評価してその定常性を判断するプロセスデータ評価方法であって、前記指定されたパラメータの複数のプロセスデータを、連続した2個以上のプラントデータをそれぞれ含む時系列に連続した複数のグループに分割するステップと、分割した各グループの2個以上のプロセスデータを各グループ毎に統計処理して前記分割した各グループの2個以上のプロセスデータの最大データ値および最小データ値をそれぞれ求めるステップと、1番目に統計処理されたグループの最大データ値および最小データ値の間のデータ範囲を基準範囲に設定するステップと、設定された基準範囲と、求められた各グループの最大データ値および最小データ値の間のデータ範囲とを2番目に統計処理されたグループの最大データ値および最小データ値の間のデータ範囲から最後に統計処理されたグループの最大データ値および最小データ値の間のデータ範囲までを順次比較し、比較した一のグループの前記データ範囲が前記基準範囲内にあるか否かを判断するステップと、比較した一のグループの前記データ範囲が前記基準範囲外となった場合に、設定されている前記基準範囲を、当該比較した一のグループの前記データ範囲を新たな基準範囲に再設定するステップと、を備え、前記比較した一のグループの前記データ範囲が前記基準範囲内にあるか否かを判断するステップにおいて、前記比較した一のグループの前記データ範囲が前記基準範囲内にあると判断された場合、前記比較した一のグループのプラントデータは、前記基準範囲内にあると判断されたグループのプラントデータと同一の定常状態であると判断する一方、前記比較した一のグループの前記データ範囲が前記基準範囲外にあると判断された場合、前記比較した一のグループの次以降のグループの前記データ範囲に対しては、前記再設定された基準範囲と比較することを特徴とする。
【0017】
上記目的を達成するための第の発明によれば、プラントから収集された前記プラントの状態を表す各パラメータ毎の連続した複数のプロセスデータから少なくとも1つのパラメータを指定し、指定したパラメータの複数の連続したプロセスデータから静特性データを抽出する静特性データ抽出方法であって、前記指定されたパラメータの複数のプロセスデータに対して、最初に抽出されたプロセスデータのデータ値から任意に設定されたスキップ幅でスキップしていき、前記スキップ後の各データ値と最も近接したデータ値のプロセスデータをそれぞれ選び出すステップと、選び出した各プロセスデータが定常状態であるか否かを、前記指定されたパラメータの複数のプロセスデータを統計処理して最大データ値および最小データ値を求めるステップおよび判断ステップ、あるいは前記指定されたパラメータの複数のプロセスデータを統計処理して前記指定パラメータの標準偏差を求めるステップおよび判断ステップを実行することにより判断するステップと、定常状態であると判断されたプラントデータを静特性データとして抽出するステップとを備えている。
【0018】
上記目的を達成するための第の発明によれば、プラントから収集された前記プラントの状態を表す各パラメータ毎の連続した複数のプロセスデータから少なくとも1つのパラメータを指定し、指定したパラメータの複数の連続したプロセスデータから静特性データを抽出する静特性データ抽出方法であって、前記指定されたパラメータの複数のプロセスデータに対して、最初に抽出されたプロセスデータのデータ値から任意に設定されたスキップ幅でスキップしていき、前記スキップ後の各データ値を超えたプロセス値を有する時系列的に最初のプロセスデータをそれぞれ選び出すステップと、選び出した各プロセスデータが定常状態であるか否かを、選び出した各プロセスデータを統計処理して最大・最小データ値を求めるステップおよび判断ステップ、あるいは前記指定されたパラメータの複数のプロセスデータを統計処理して前記指定パラメータの標準偏差を求めるステップおよび判断ステップを実行することにより判断するステップと、定常状態であると判断されたプラントデータを静特性データとして抽出するステップとを備えている。
【0020】
上記目的を達成するための第の発明によれば、プラントから収集された前記プラントの状態を表す各パラメータ毎の連続した複数のプロセスデータから少なくとも1つのパラメータを指定し、指定したパラメータの複数の連続したプロセスデータから静特性データを抽出する静特性データ抽出装置であって、前記指定されたパラメータの複数のプロセスデータに対して、最初に抽出されたプロセスデータのデータ値から任意に設定されたスキップ幅でスキップしていき、前記スキップ後の各データ値と最も近接したデータ値のプロセスデータをそれぞれ選び出す手段と、選び出した各プロセスデータが定常状態であるか否かを、選び出した各プロセスデータを統計処理して最大データ値および最小データ値を求めるステップおよび判断ステップ、あるいは前記指定されたパラメータの複数のプロセスデータを統計処理して前記指定パラメータの標準偏差を求めるステップおよび判断ステップを実行することにより判断する手段と、定常状態であると判断されたプラントデータを静特性データとして抽出する手段とを備えている。
【0021】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照にして説明する。
【0022】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る静特性データ抽出装置の概略構成を示すブロック図である。
【0023】
図1によれば、静特性データ抽出装置1は、原子力発電プラント等のプラント2から、その複数の設備機器等に対応する複数の計測項目(パラメータ)の連続した複数のプロセスデータを自動的に収集して各パラメータ毎に蓄積するデータサーバ3と、例えばオペレータのマニュアル操作により後述する複数のパラメータから少なくとも1つのパラメータを指定可能なパラメータ指定部4と、処理プログラム保持用・処理データ一時記憶用の内部記憶装置(ROM・RAM)および静特性データ記憶用の外部記憶装置(磁気ディスク等)を有するメモリ5と、このメモリ5に記憶された処理プログラムに従って、パラメータ指定部4により指定されたパラメータの複数のプロセスデータをデータサーバ3から読み出し、読み出した複数のプロセスデータを評価してプラント2の性能評価・健全性確認に必要な静特性データを抽出する評価・抽出用プロセッサ(以下、単にプロセッサと記載する)6と、抽出された静特性データ等を表示するための表示部7とを備えている。
【0024】
次に本実施形態の静特性データ抽出装置1の全体動作について、特に、プロセッサ6の処理を中心に説明する。
【0025】
プラント2が例えば起動・停止過程において、プラント2の状態を表すプラントデータは、各パラメータ毎に連続して収集されてデータサーバ3に蓄積されている。
【0026】
このとき、評価抽出処理用のオペレータは、パラメータ指定部4をマニュアル操作して、例えば特定のパラメータを指定する。
【0027】
プロセッサ6は、パラメータ指定部4により指定されたパラメータに応じて、メモリ5に記憶された処理プログラムに従って、図2に示す処理を行う。
【0028】
すなわち、プロセッサ6は、指定されたパラメータに対応する複数の時系列的に連続したプロセスデータをデータサーバ3から読み出し(ステップS1)、それぞれのプロセスデータとそのプロセスデータを中心として前後N個(Nはパラメータ指定部4を介して任意に指定されており、例えば本実施の形態では2個)の連続したプロセスデータ(都合3個のプロセスデータ)とをそれぞれ含む複数のグループに分割する(ステップS2)。
【0029】
このステップS2の処理における複数のグループ化の仕方は2通りある。
【0030】
例えば、指定パラメータの複数のプロセスデータが点数12の時系列データDと仮定した場合、図3に示すように、比較する点数(3点)毎に区切ってグループ化する方法であれば、GA1〜GA3の3グループとなり、データを間引くことになる。一方、図3に示すように、各データ毎に時系列的に順次グループ化する方法であればGB1〜GB7の7グループとなる。なお、本実施形態では、後者のグループ化を行ったとする。
【0031】
次いで、プロセッサ6は、分割した各グループの複数のプロセスデータの最小データ値(最小値)Minおよび最大データ値(最大値)Maxをそれぞれ求める(ステップS3)。
【0032】
そして、プロセッサ6は、求められた各グループ毎の最小値Minと最大値Maxとの差(差の絶対値、以下、本明細書では、「差」とは「差の絶対値」を表す)を各グループ毎にそれぞれ求める(ステップS4)。なお、最大値Maxと最小値Minとの差を変動幅f(f=|Max−Min|)とする。
【0033】
例えば、指定パラメータの複数のプロセスデータが点数7の時系列データDAであれば、図4に示すように、最大値Max、最小値Minおよび変動幅fがそれぞれ求められる。
【0034】
続いて、プロセッサ6は、求められた各グループ毎の変動幅fと予め任意に設定されメモリ5に保持されたしきい値Sと比較し、変動幅fがしきい値S以下であるか否か判断する(ステップS5)。
【0035】
ここで、図5に示すように、指定パラメータの複数のプロセスデータが点数8の時系列データDB(D1〜D8)であれば、データグループ(データD1〜D3、データD2〜D4、…、データD6〜D8)毎にその変動幅fとしきい値Sとがそれぞれ比較され、最も小さい変動幅f´(データD5〜D7)のみがしきい値S以下である場合、すなわち、f´≦Sの場合には、ステップS5の判断の結果はYESとなり、プロセッサ6は、変動幅f´に対応するプロセスデータD5〜D7が定常状態、すなわち、静特性データと判定して(ステップS6)、定常状態のプロセスデータD5〜D7を抽出してメモリ5に記憶し(ステップS7)、処理を終了する。
【0036】
一方、変動幅f´(データD5〜D7)以外の変動幅f(データD1〜D3、…、データD4〜D6、データD6〜D8)がしきい値Sより大きい場合、すなわち、f>Sの場合には、ステップS5の判断の結果はNOとなり、プロセッサ6は、変動幅fに対応するプロセスデータD1〜D3、…、プロセスデータD4〜D6、プロセスデータD6〜D8を過度状態と判定し、これら過度状態のプロセスデータをメモリ5に記憶せずに間引きして処理を終了する(ステップS8)。
【0037】
この結果、メモリ5には、指定パラメータの複数のプロセスデータの中から定常状態のプロセスデータ(静特性データ)のみが自動的に記憶され、非定常状態のプロセスデータが間引きされる。
【0038】
以上述べたように、本実施形態の静特性データ抽出装置1によれば、プラント2から収集されたパラメータ毎の複数のプロセスデータを、連続するデータの変動幅に応じて自動的に評価することにより、静特性データのみを自動的に抽出してメモリ5に記憶することができる。
【0039】
したがって、熟練者によるプロセスデータ評価・静特性データ抽出処理を不用にしてプロセスデータ評価・静特性データ抽出処理にかかる時間の大幅短縮およびプロセスデータ評価・静特性データ抽出処理の省力化をそれぞれ実現でき、プロセスデータ評価処理効率および静特性データ抽出処理効率を向上させることができる。
【0040】
(第2の実施の形態)
本実施形態の静特性データ抽出装置1Aにおいては、メモリ5Aに記憶されたプロセッサ6Aの処理プログラムおよびこの処理プログラムに従ったプロセッサ6Aの処理が前掲図1に示した静特性データ抽出装置1と異なるため、静特性データ抽出装置1Aの構成についての説明を省略し、プロセッサ6Aの処理を中心に説明する。
【0041】
プロセッサ6Aは、ステップS1と同様に、指定パラメータに対応する複数の時系列的に連続したプロセスデータをデータサーバ3から読み出し(図6;ステップS10)、読み出した時系列的に連続したプロセスデータを統計処理して移動平均値を求め(ステップS11)、求めた移動平均値の標準偏差を求める(ステップS12)。
【0042】
例えば、指定パラメータの複数のプロセスデータが点数7の時系列プロセスデータDC(D1〜D7)と仮定した場合、図7上段に示すように、プロセスデータDCの移動平均値はプロセスデータD4として求められ、このプロセスデータD4に対応する標準偏差が図7下段に示すように求められる。
【0043】
そして、プロセッサ6Aは、求められた移動平均値に対応する標準偏差と予め任意に設定されメモリ5に保持されたしきい値S1と比較し、標準偏差がしきい値S1以下であるか否か判断する(ステップS13)。
【0044】
今、図7にすように、移動平均値に対応する標準偏差はしきい値S1以下であるため、標準偏差≦S1、すなわち、ステップS13の判断の結果はYESとなり、プロセッサ6Aは、対応するプロセスデータD1〜D7が定常状態、すなわち、静特性データと判定して(ステップS14)、定常状態のプロセスデータD1〜D7を抽出してメモリ5Aに記憶し(ステップS15)、処理を終了する。
【0045】
一方、標準偏差がしきい値S1より大きい場合、すなわち、標準偏差>S1の場合には、仮に、ステップS13の判断の結果はNOとなり、プロセッサ6Aは、対応するプロセスデータD1〜D7を過度状態と判定し、これら過度状態のプロセスデータをメモリ5Aに記憶せずに間引きして処理を終了する(ステップS16)。
【0046】
この結果、メモリ5Aには、第1実施形態と同様に、指定パラメータの複数のプロセスデータの中から定常状態のプロセスデータ(静特性データ)のみが自動的に記憶され、非定常状態のプロセスデータが間引きされる。
【0047】
以上述べたように、本実施形態の静特性データ抽出装置1Aにおいても、プラント2から収集されたパラメータ毎の複数のプロセスデータを、移動平均値の標準偏差に応じて自動的に評価することにより、静特性データのみを自動的に抽出してメモリ5Aに記憶することができるため、プロセスデータ評価・静特性データ抽出処理時間の大幅短縮、プロセスデータ評価・静特性データ抽出処理の省力化、プロセスデータ評価処理効率および静特性データ抽出処理効率の向上をそれぞれ実現できる。
【0048】
なお、本実施形態においては、時系列的に連続したプロセスデータの標準偏差として、移動平均値の標準偏差を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の値(例えば中間値等)の標準偏差を用いることも可能である。
【0049】
(第3の実施の形態)
本実施形態の静特性データ抽出装置1Bにおいては、メモリ5Bに記憶されたプロセッサ6Bの処理プログラムおよびこの処理プログラムに従ったプロセッサ6Bの処理が前掲図1に示した静特性データ抽出装置1と異なるため、静特性データ抽出装置1Bの構成についての説明を省略し、プロセッサ6Bの処理を中心に説明する。
【0050】
プロセッサ6Bは、ステップS1と同様に、指定パラメータに対応する複数の時系列的に連続したプロセスデータをデータサーバ3から読み出し(図8;ステップS20)、読み出した時系列的に連続したプロセスデータを、予め指定された個数(例えば、3個以上)の任意のグループGr.1〜Gr.nに順次グループ化する(図3;GB1〜GB7と同様のグループ化;ステップS21)。
【0051】
次いでプロセッサ6Bは、各グループGr.1〜Gr.nのプロセスデータを各グループ毎に連続的に統計処理して、それぞれの移動平均値Av(G1)、Av(G2)、…、Av(Gn)を求める(ステップS22)。
【0052】
続いて、プロセッサ6Bは、連続的に統計処理して求められた各グループの移動平均値Av(G1)〜Av(Gn)の中の時系列的に先に統計処理した移動平均値Av(G1)を基準とし、この基準移動平均値Av(G1)と任意に設定されたしきい値(S)とに基づいて判定基準範囲Av(G1)±Sを設定する(ステップS23)。
【0053】
次いでプロセッサ6Bは、上記基準移動平均値Av(G1)の時系列的において直後に統計処理して得られた移動平均値Av(G2)を判定基準範囲Av(G1)±Sと比較し、この判定基準範囲Av(G1)±S内(上限と下限との範囲内)に移動平均値Av(G2)が含まれているか、すなわち、「Av(G1)−S≦Av(G2)≦Av(G1)+S」を満足するか否か判断する(ステップS24)。
【0054】
ここで、図9に示すように、移動平均値Av(G2)は、判定基準範囲Av(G1)−S〜Av(G1)+Sから外れている(すなわち、「Av(G2)<Av(G1)−S、あるいはAv(G1)+S<Av(G2)」)ため、ステップS24の判断の結果はNOとなり、プロセッサ6Bは、グループGr.2のプロセスデータは、グループGr.1のプロセスデータと同一の定常状態ではないと判断し(ステップS25)、そのグループG2の移動平均値Av(G2)を基準としたしきい値(S)に基づく判定基準範囲Av(G2)±Sを設定し(ステップS26)、全てのグループGr.1〜Gr.nに対して定常状態判定処理が終了したか否か判断する(ステップS27)。
【0055】
今、グループGr.2に対する判定処理が終了した状態であるため、ステップS27の処理はNOとなり、プロセッサ6Bは、ステップS23と同様に、基準となる移動平均値Av(G2)としきい値(S)とに基づいて判定基準範囲Av(G2)±Sを設定して(ステップS28)ステップS24の処理に移行し、「1→2」、「2→3」に読み替えて、基準移動平均値Av(G2)の直後の移動平均値Av(G3)が判定基準範囲Av(G2)±S内であるか否か、すなわち、「Av(G2)−S≦Av(G3)≦Av(G2)+S」を満足するか否か判断する。
【0056】
このとき、図9に示すように、移動平均値Av(G3)は、判定基準範囲Av(G2)−S〜Av(G2)+S内であるため、ステップS24の判断の結果はYESとなり、プロセッサ6Bは、グループGr.3のプロセスデータは、グループGr.2のプロセスデータと同一の定常状態であると判断してグループGr.3のプロセスデータを抽出してメモリ5Bに一時的に記憶し(ステップS29)、全てのグループGr.1〜Gr.nに対して定常状態判定処理が終了したか否か判断する(ステップS30A、S30B)。
【0057】
仮に、グループGr.n=グループGr.8とすると、ステップS30の処理はNOとなり、ステップS24の処理に移行して、次の移動平均値Av(G4)に対して同一の判定基準範囲Av(G2)−S〜Av(G2)+Sを用いてステップS24の判断処理を行う。
【0058】
図9に示すように、移動平均値Av(G4)〜Av(G7)は、何れも判定基準範囲Av(G2)−S〜Av(G2)+Sの範囲内であるため、ステップS24、ステップS29の処理が繰り返され、グループGr.4〜Gr.7のプロセスデータは、グループGr.2のプロセスデータと同一の定常状態であると判定される(ステップS30A)。
【0059】
一方、図9に示すように、移動平均値Av(G8)は、判定基準範囲Av(G2)−S〜Av(G2)+Sの範囲外であるため、ステップS24の判断の結果はNOとなり、移動平均値Av(G8)に対応するグループGr.8のプロセスデータは、グループGr.2のプロセスデータと同一の定常状態ではないと判定される(ステップS25参照)。
【0060】
このとき、全てのグループAv(G1)〜グループAv(G8)に対する定常状態判定処理が終了しているため、ステップS27の判断処理はYESとなり、プロセッサ6Bは、図10に示すステップS31の処理に移行する。
【0061】
プロセッサ6Bは、各グループGr.1〜Gr.8の定常状態判定処理により同一の定常状態のプロセスデータとして抽出されメモリ5Bに一時的に記憶された各グループGr.2〜Gr.7のプロセスデータにおける最初のグループ(例えば、グループGr.2)のプロセスデータをメモリ5Bから読み出す(ステップS31)。
【0062】
今、図11に示すように、読み出したグループGr.2の同一定常状態のプロセスデータをD(t1)〜D(tk=t8)とすると、プロセッサ6Bは、読み出したグループGr.2における時系列的に配列されたプロセスデータD(t1)〜D(t8)の最初のプロセスデータD(t1)から予め任意に設定された時間間隔Δt後のプロセスデータD(t1+Δt=t5)を抽出してメモリ5Bに記憶し、同一グループGr.2の同一定常状態にある他のプロセスデータ(プロセスデータD(t1+Δt)を除くプロセスデータD(t1)〜D(tk))をメモリ5Bから消去して間引く(ステップS32)。なお、D(t1+Δt)に一致したプロセスデータが存在しない場合には、最も近接したプロセスデータを抽出する。
【0063】
そして、プロセッサ6Bは、同一定常状態の全てのグループGr.2〜Gr.7に対してプロセスデータ抽出・間引き処理が終了したか否か判断する(ステップS33)。
【0064】
今、グループGr.2に対するプロセスデータ抽出・間引き処理が終了した状態であるため、ステップS33の処理はNOとなり、プロセッサ6Bは、同一定常状態の他のグループGr.3〜Gr.7のプロセスデータに対してステップS31〜ステップS33の処理を繰り返し行い、各グループGr.2〜Gr.7毎に1つのプロセスデータ(静特性データ)のみを抽出し、他のプロセスデータを間引く。
【0065】
そして、同一定常状態の全てのグループGr.2〜Gr.7に対してプロセスデータ抽出・間引き処理が終了すると、ステップS33の判断はYESとなり、プロセッサ6Bは処理を終了する。
【0066】
この結果、メモリ5Bには、指定パラメータの複数のプロセスデータの中から定常状態のプロセスデータ(静特性データ)のみを抽出して非定常状態のプロセスデータを間引くことに加えて、同一定常状態の複数のプロセスデータが時系列的に連続している場合には、その同一定常状態の複数のプロセスデータから1つのプロセスデータのみを抽出して、他の同一定常状態のプロセスデータを間引くことができる。
【0067】
したがって、本実施形態の静特性データ抽出装置1Bにおいては、プラント2から収集された複数のプロセスデータから定常状態のプロセスデータである静特性データのみを自動的に抽出することに基づくプロセスデータ評価・静特性データ抽出処理時間の大幅短縮、プロセスデータ評価・静特性データ抽出処理の省力化、プロセスデータ評価処理効率および静特性データ抽出処理効率の向上に加えて、同一定常状態の複数の静特性データを大量にメモリ5Bに記憶することがないため、メモリ5Bの空き容量を大きく確保することができる。
【0068】
なお、本実施形態では、プロセスデータ抽出・間引き処理として、最初のプロセスデータD(t1)から予め任意に設定された時間間隔Δt後のプロセスデータD(t1+Δt)を抽出してメモリ5Bに記憶して他のプロセスデータを間引いたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0069】
例えば、図12に示すように、読み出したグループの同一定常状態のプロセスデータをD(t1)〜D(tk=t9)とすると、それらプロセスデータD(t1)〜D(t9)における時系列的に中間に位置するプロセスデータD(t5)を抽出してメモリ5Bに記憶して他のプロセスデータを間引くことも可能である。なお、この抽出・間引き処理において、時系列的に中間に位置するプロセスデータが複数(グループ内のプロセスデータが複数の場合)存在する場合には、その複数のプロセスデータのどちらか一方、あるいは平均値を代表のプロセスデータとして抽出する。
【0070】
また、他のプロセスデータ抽出・間引き処理の例として、平均値を用いることも可能である。
【0071】
すなわち、前掲図10のステップS32の代りに、図13に示すように、プロセッサ6Bは、読み出したグループGr.2のプロセスデータD(t1)〜D(t8)を統計処理してその平均値[{D(t1)+D(t2)+…+D(t7)+Dt8}/8]を求め、その平均値をグループGr.2のプロセスデータD(t1)〜D(t8)の代表値(代表プロセスデータ)としてメモリ5Bに記憶し、グループGr.2のプロセスデータD(t1)〜D(t8)をメモリ5Bから消去して間引くことも可能である(ステップS32A参照)。
【0072】
(第4の実施の形態)
本実施形態の静特性データ抽出装置1Cにおいては、メモリ5Cに記憶されたプロセッサ6C用処理プログラムおよびこの処理プログラムに従ったプロセッサ6Cの処理が前掲図1に示した静特性データ抽出装置1と異なるため、静特性データ抽出装置1Cの構成についての説明を省略し、プロセッサ6Cの処理を中心に説明する。
【0073】
プロセッサ6Cは、ステップS1およびステップS20と同様に、指定パラメータに対応する複数のプロセスデータをデータサーバ3から読み出し(図14;ステップS40)、ステップS21と同様に、読み出したプロセスデータを指定個数の任意のグループGr.1〜Gr.nに順次グループ化する(ステップS41)。
【0074】
次いでプロセッサ6Cは、各グループGr.1〜Gr.nのプロセスデータを各グループ毎に連続的に統計処理して、それぞれの最大データ値および最小データ値Max(G1)およびMin(G1)、Max(G2)およびMin(G2)、…、Max(Gn)およびMin(Gn)を求める(ステップS42)。
【0075】
続いて、プロセッサ6Cは、連続的に統計処理して求められた各グループの最大データ値および最小データ値Max(G1)およびMin(G1)〜Max(Gn)およびMin(Gn)の中の時系列的に先に統計処理した最大データ値および最小データ値Max(G1)およびMin(G1)を基準値とする(ステップS43)。
【0076】
次いでプロセッサ6Cは、基準最大・最小データ値Max(G1)・Min(G1)から時系列的に直後に統計処理して得られた最大・最小データ値Max(G2)・Min(G2)を基準最大・最小データ値Max(G1)・Min(G1)と比較し、最大データ値Max(G2)および最小データ値Min(G2)間のデータ範囲が基準最大データ値Max(G1)および基準最小データ値Min(G1)間のデータ範囲から外れているか否か、すなわち、「Max(G2)<Min(G1)orMax(G1)<Min(G2)を満足するか否か判断する(ステップS44)。
【0077】
ここで、グループGr.1〜Gr.5とすれば、図15に示すように、Min(G2)が基準範囲Max(G1)〜Min(G1)の範囲内である(すなわち、「Min(G1)<Min(G2)orMax(G2)<Max(G1)」)ため、ステップS44の判断の結果はNOとなり、プロセッサ6Bは、グループGr.2のプロセスデータは、グループGr.1のプロセスデータと同一の定常状態であると判断してグループGr.2のプロセスデータを抽出してメモリ5Cに一時的に記憶し(ステップS45)、全てのグループGr.1〜Gr.nに対して定常状態判定処理が終了したか否か判断する(ステップS46A、S46B)。
【0078】
今、グループGr.n=グループGr.5とすると、ステップS46Bの処理はNOとなり、ステップS44の処理に移行して、次の最大データ値Max(G3)および最小データ値Min(G3)に対して同一の判定基準(最大データ値Max(G1)およびMin(G1)を用いてステップS44の判断処理を行う。
【0079】
図15に示すように、最大データ値Max(G3)および最小データ値Min(G3)〜最大データ値Max(G4)および最小データ値Min(G4)は、基準範囲Max(G1)〜Min(G1)の範囲内であるため、ステップS45〜ステップS46の処理が繰り返され、グループGr.3〜Gr.4のプロセスデータは、グループGr.1のプロセスデータと同一の定常状態であると判定される(ステップS46A)。
【0080】
一方、図15に示すように、最大データ値Max(G5)および最小データ値Min(G5)は、何れも基準範囲Max(G1)〜Min(G1)から外れているため、ステップS44の判断の結果はYESとなり、プロセッサ6Cは、最大データ値Max(G5)および最小データ値Min(G5)に対応するグループGr.5のプロセスデータは、グループGr.1のプロセスデータと同一の定常状態ではないと判定する(ステップS47)。
【0081】
そして、プロセッサ6Cは、全てのグループGr.1〜Gr.n(=Gr.5)に対して定常状態判定処理が終了したか否か判断する(ステップS48B)。
【0082】
このとき、グループGr.5が最終グループでなければ、ステップS48Bの判断処理はNOとなり、プロセッサ6Cは、ステップS43と同様に、判定された最大データ値Max(G5)および最小データ値Min(G5)を基準として(ステップS49)、その直後の最大データ値Max(G6)および最小データ値Min(G6)が基準範囲Max(G1)〜Min(G1)から外れているか否かを判断するようになっている。
【0083】
本実施形態では、グループGr.5は、最終グループであるため、ステップS48Aの判断はYESとなり、プロセッサ6Bは、前掲図10のステップS31〜ステップS33の処理(あるいは、前掲図13のステップS31、ステップS32AおよびステップS33)のプロセスデータ抽出・間引き処理を行うことにより、同一の定常状態と判断された各グループGr.1〜Gr.4の複数のプロセスデータの中から、各グループ毎に1つの代表となるプロセスデータのみを抽出して、他の同一定常状態のプロセスデータを間引くことができる。
【0084】
この結果、第実施形態と同様に、プロセスデータ評価・静特性データ抽出処理時間の大幅短縮、プロセスデータ評価・静特性データ抽出処理の省力化、プロセスデータ評価処理効率および静特性データ抽出処理効率の向上に加えて、メモリ5Cの空き容量を増大させることができる。
【0085】
(第5の実施の形態)
本実施形態の静特性データ抽出装置1Dにおいては、メモリ5Dに記憶されたプロセッサ6D用処理プログラムおよびこの処理プログラムに従ったプロセッサ6Dの処理が前掲図1に示した静特性データ抽出装置1と異なるため、静特性データ抽出装置1Dの構成についての説明を省略し、プロセッサ6Dの処理を中心に説明する。また、本実施形態では、プラント2が例えば起動過程において、プラント2の状態を表すプラントデータが各パラメータ毎に連続して収集されてデータサーバ3に蓄積されているものとする。
【0086】
このとき、プロセッサ6Dは、ステップS1と同様に、指定パラメータに対応する複数のプロセスデータをデータサーバ3から読み出す(図16;ステップS50)。
【0087】
そして、プロセッサ6Dは、例えば、プラント起動過程における指定パラメータのプロセス値が出力上昇に伴い増加傾向にあることを利用して、その複数の時系列的プラントデータの中から、例えばパラメータ指定部4を介して任意に設定された下限値(を有するプロセスデータ)(a)(あるいは指定下限値に近接するプロセス値を有するプロセスデータ)から任意に設定された上限値(を有するプロセスデータ)(d)の間で、任意に設定されたステップ幅(b)を用いて目標となる値{c(x)=a+bx,c(x)≦d,x=0、1、2、…、n}を設定し、最初の設定値c(x)=c(0)=aに一番近接するプロセスデータを検索して抽出する(ステップS51)。
【0088】
次いで、プロセッサ6Dは、抽出したプロセスデータが上述した第1の実施の形態で説明した変動幅に基づく評価抽出処理(ステップS3〜S5参照、但し、抽出したプロセスデータの前後のプロセスデータでグループを形成するものとする)、あるいは第2の実施の形態で説明した標準偏差に基づく評価抽出処理(ステップS11〜S13参照)を実行して、上記抽出プロセスデータが定常状態であるか否か判定する(ステップS52)。
【0089】
このとき、ステップS52の判定の結果NO、すなわち、上記抽出プロセスデータが定常状態でないと判断された場合には、プロセッサ6Dは、c(x)=c(0)=aに次に近接するプロセスデータを抽出して(ステップS53)ステップS52の判定処理に戻り、定常状態であるか否かを判定する。
【0090】
このステップS52〜ステップS53の処理を繰り返し行い、抽出プロセスデータが定常状態であると判定された場合(ステップS52→YES)、プロセッサ6Dは、判定されたプロセスデータを抽出してメモリ5Dに記憶し(ステップS54)、下限値(a)から上限値(d)の間の全ての設定値に対して上述したプロセスデータ評価・抽出処理が終了したか否か判断する(ステップS55)。
【0091】
今、下限値aに対応するプロセスデータに対する評価・抽出処理が終了した状態であるため、ステップS55の判断処理はNOとなり、プロセッサ6Dは、次の設定値(c(x)=c(1)=a+bに一番近接するプロセスデータを検索して抽出し(ステップS56)、抽出した設定値に近接するプロセスデータに対してステップS52の判定処理を行う。
【0092】
例えば、図17に示すように、最初に抽出されたプロセスデータc(0)=aからc(1)=a+bの範囲内のプロセスデータはスキップされ、c(1)=a+bに一番近接するプロセスデータDJは、定常状態ではないため抽出されず、スキップされる。
【0093】
そして、c(1)=a+bに次に近接するプロセスデータDKは、定常状態であるため抽出され、メモリ5Dに記憶される。
【0094】
以下、x=2、3、…、nに基づく設定値c(2)、c(3)、…、c(n)に対応するプロセスデータに対して上述したステップS52〜ステップS54の処理を実行することにより、各設定値c(0)〜c(n)に対応する1つの定常状態のプロセスデータを抽出してメモリ5Dに記憶することができる。
【0095】
そして、プロセッサ6Dは、x=nの設定値c(n)に対応するプロセスデータに対する定常状態判定処理が終了すると、ステップS55の判断はYESとなり、処理を終了する。
【0096】
以上述べたように、本実施形態によれば、時系列的に連続して採取されたプロセスデータの中から、プラント2の静特性評価に必要な最低限の定常状態のプロセスデータのみを抽出し、他の過度状態のプロセスデータおよび同一定常状態のプロセスデータを間引くことができるため、第3および第4実施形態と同様に、プロセスデータ評価・静特性データ抽出処理時間の大幅短縮、プロセスデータ評価・静特性データ抽出処理の省力化、プロセスデータ評価処理効率および静特性データ抽出処理効率の向上、およびメモリ5Dの空き容量の増大をそれぞれ実現できる。
【0097】
(第6の実施の形態)
本実施形態の静特性データ抽出装置1Eにおいては、メモリ5Eに記憶されたプロセッサ6E用処理プログラムおよびこの処理プログラムに従ったプロセッサ6Eの処理が前掲図1に示した静特性データ抽出装置1と異なるため、静特性データ抽出装置1Eの構成についての説明を省略し、プロセッサ6Eの処理を中心に説明する。また、本実施形態では、プラント2が例えば起動過程において、プラント2の状態を表すプラントデータが各パラメータ毎に連続して収集されてデータサーバ3に蓄積されているものとする。
【0098】
このとき、プロセッサ6Eは、ステップS1と同様に、指定パラメータに対応する複数のプロセスデータをデータサーバ3から読み出す(図18;ステップS60)。
【0099】
そして、プロセッサ6Eは、第5実施形態と同様に、例えばプラント起動過程における指定パラメータのプロセス値が出力上昇に伴い増加傾向にあることを利用して、その複数の時系列的プラントデータの中から、例えばパラメータ指定部4を介して任意に設定されたプロセス値(を有するプロセスデータ)を初期点とし、この初期点プロセス値を有するプロセスデータ(あるいは初期点プロセス値に一番近接するプロセス値を有するプロセスデータ)(a)から任意に設定された上限値(を有するプロセスデータ)(d)の間で、任意に設定されたステップ幅(b)で目標となる値{c(x)=a+bx,c(x)≦d,x=0、1、2、…、n}を設定し、最初の設定値c(x)=c(0)=aよりも大きなプロセスデータを時系列的に検索し、時系列で最初のプロセスデータを抽出する(ステップS61)。
【0100】
次いで、プロセッサ6Eは、第5実施形態と同様に、抽出したプロセスデータが上述した第1の実施の形態で説明した変動幅に基づく評価抽出処理(ステップS3〜S5参照)、あるいは第2の実施の形態で説明した標準偏差に基づく評価抽出処理(ステップS11〜S13参照)を実行して、上記抽出プロセスデータが定常状態であるか否か判定する(ステップS62)。
【0101】
このとき、ステップS62の判定の結果NO、すなわち、上記抽出プロセスデータが定常状態でないと判断された場合には、プロセッサ6Eは、ステップS62で判定したプロセスデータに対して時系列で次のプロセスデータを抽出して(ステップS63)ステップS62の判定処理に戻り、定常状態であるか否かを判定する。
【0102】
このステップS62〜ステップS63の処理を繰り返し行い、抽出プロセスデータが定常状態であると判定された場合(ステップS62→YES)、プロセッサ6Eは、判定されたプロセスデータを抽出してメモリ5Eに記憶し(ステップS64)、下限値(a)から上限値(d)の間の全ての設定値に対して上述したプロセスデータ評価・抽出処理が終了したか否か判断する(ステップS65)。
【0103】
今、下限値aに対応するプロセスデータに対する評価・抽出処理が終了した状態であるため、ステップS65の判断処理はNOとなり、プロセッサ6Eは、次の設定値(c(x)=c(1)=a+b×x(x=1)よりも大きなプロセスデータを時系列的に検索し、時系列で最初のプロセスデータを抽出し(ステップS66)、抽出したプロセスデータに対してステップS62の判定処理を行う。
【0104】
例えば、図19に示すように、最初に抽出されたプロセスデータc(0)=aからc(1)=a+bの範囲内のプロセスデータはスキップされ、c(1)=a+bよりも大きく、かつ時系列的に最初のプロセスデータDPは、定常状態ではないため抽出されず、スキップされる。
【0105】
そして、c(1)=a+bよりも大きく、かつプロセスデータDPに対して時系列で次のプロセスデータDQは、定常状態であるため抽出され、メモリ5Eに記憶される。
【0106】
以下、x=2、3、…、nに基づく設定値c(2)、c(3)、…、c(n)に対応するプロセスデータに対して上述したステップS62〜ステップS64の処理を実行することにより、各設定値c(0)〜c(n)に対応する1つの定常状態のプロセスデータを抽出してメモリ5Eに記憶することができる。
【0107】
そして、プロセッサ6Eは、x=nの設定値c(n)に対応するプロセスデータに対する定常状態判定処理が終了すると、ステップS65の判断はYESとなり、処理を終了する。
【0108】
以上述べたように、本実施形態によれば、第5実施形態と同様に、時系列的に連続して採取されたプロセスデータの中から、プラント2の静特性評価に必要な最低限の定常状態のプロセスデータのみを抽出し、他の過度状態のプロセスデータおよび同一定常状態のプロセスデータを間引くことができるため、第5実施形態と同様に、プロセスデータ評価・静特性データ抽出処理時間の大幅短縮、プロセスデータ評価・静特性データ抽出処理の省力化、プロセスデータ評価処理効率および静特性データ抽出処理効率の向上、およびメモリ5Eの空き容量の増大をそれぞれ実現できる。
【0109】
なお、上述した第1〜第6実施形態によれば、パラメータ指定部4を介して1つのパラメータを指定し、指定した1つのパラメータに対応する複数の時系列的に連続したプロセスデータの中から定常状態のプロセスデータを抽出したが、本発明はこれに限定されるものではなく、指定パラメータを複数個指定してもよい。
【0110】
この場合、複数の指定パラメータに対応する複数の時系列的に連続したプロセスデータ毎に上述したプロセスデータ評価・静特性データ抽出処理が行われることになる。
【0111】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係るプロセスデータ評価方法および装置、静特性データ抽出方法および装置、ならびにプログラムを記憶した記憶媒体によれば、指定パラメータに対応するプロセスデータを人手を用いることなく自動的に評価し、静特性データのみを抽出して不必要なプロセスデータを自動的に間引くことができるため、熟練者によるプロセスデータ評価・静特性データ抽出処理を不用にしてプロセスデータ評価・静特性データ抽出処理にかかる時間の大幅短縮およびプロセスデータ評価・静特性データ抽出処理の省力化を図ることができる。したがって、プロセスデータ評価処理効率および静特性データ抽出処理効率を向上させることができ、延いてはプラント性能評価・健全性確認処理の効率を大幅に向上させることができる。
【0112】
特に、本発明では、複数のパラメータ毎の連続したプロセスデータの内、指定された特定のパラメータのプロセスデータの中で連続的に定常な状態の箇所を見付けだし、プラントの定常状態が長期に渡って続いている箇所を検出することが可能である。したがって、従来手作業で行っていた長時間に渡る定常状態の箇所を同定する作業を省くことができ、プロセスデータ評価・静特性データ抽出処理の省力化およびプラント性能評価・健全性確認処理効率の向上に寄与することができる。
【0113】
また、本発明では、プラント定常状態の箇所でその代表値を抽出し、それ以外のプロセスデータを間引くことが可能となる。したがって、従来手作業で行っていた定常状態が連続している箇所の代表プロセスデータの抽出処理を省くことができ、プロセスデータ評価・静特性データ抽出処理の省力化およびプラント性能評価・健全性確認処理効率の向上に寄与することができる。
【0114】
さらに、本発明では、プラントから連続して採取した複数のプロセスデータより静特性評価に必要な最低限のプロセスデータを抽出することが可能となるため、従来手作業で行っていた定常状態と過渡状態の同定及びプロセスデータの間引き処理を省くことができ、プロセスデータ評価・静特性データ抽出処理の省力化およびプラント性能評価・健全性確認処理効率の向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る静特性データ抽出装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】図1に示すプロセッサの処理の一例を示す概略フローチャート。
【図3】図2におけるプロセスデータグループ化処理を説明するための図。
【図4】第1実施形態における最大値、最小値および変動幅を説明するための図。
【図5】図2におけるステップS5の判定処理を説明するための図。
【図6】本発明の第2実施形態におけるプロセッサの処理の一例を示す概略フローチャート。
【図7】図6におけるステップS12の標準偏差を求める処理およびステップS13の判断処理を説明するための図。
【図8】本発明の第3実施形態におけるプロセッサの処理の一例を示す概略フローチャート。
【図9】図9におけるステップS24の判断処理を説明するための図。
【図10】第3実施形態におけるプロセッサの処理の一例を示す概略フローチャート。
【図11】図10におけるステップS32の抽出処理を説明するための図。
【図12】ステップS32の抽出処理の他の例を説明するための図。
【図13】第3実施形態におけるプロセッサの処理の他の例を示す概略フローチャート。
【図14】本発明の第4実施形態におけるプロセッサの処理の一例を示す概略フローチャート。
【図15】図14におけるステップS44の判断処理を説明するための図。
【図16】本発明の第5実施形態におけるプロセッサの処理の一例を示す概略フローチャート。
【図17】図16におけるステップS52の判定処理を説明するための図。
【図18】本発明の第6実施形態におけるプロセッサの処理の一例を示す概略フローチャート。
【図19】図18におけるステップS62の判定処理を説明するための図。
【符号の説明】
1、1A〜1E 静特性データ抽出装置
2 プラント
3 データサーバ
4 パラメータ指定部
5、5A〜5E メモリ
6、6A〜6E 評価抽出プロセッサ
7 表示部

Claims (5)

  1. プラントから収集された前記プラントの状態を表す各パラメータ毎の連続した複数のプロセスデータから少なくとも1つのパラメータを指定し、指定したパラメータの複数の連続したプロセスデータを評価してその定常性を判断するプロセスデータ評価方法であって、
    前記指定されたパラメータの複数のプロセスデータを、連続した2個以上のプラントデータをそれぞれ含む時系列に連続した複数のグループに分割するステップと、
    分割した各グループの2個以上のプロセスデータを各グループ毎に統計処理して各グループ毎の移動平均値をそれぞれ求めるステップと、
    1番目に統計処理されたグループの移動平均値を中心として任意の幅をもつ基準範囲を設定するステップと、
    設定された基準範囲と、求められた各グループの移動平均値とを2番目に統計処理されたグループの移動平均値から最後に統計処理されたグループの移動平均値までを順次比較し、比較した一のグループの移動平均値が前記基準範囲内にあるか否かを判断するステップと、
    比較した一のグループの移動平均値が前記基準範囲外となった場合に、設定されている前記基準範囲を、当該比較した一のグループの移動平均値を中心とした任意の幅をもつデータ範囲を新たな基準範囲として設定するステップと、を備え、
    前記比較した一のグループの移動平均値が前記基準範囲内にあるか否かを判断するステップにおいて、前記比較した一のグループの移動平均値が前記基準範囲内にあると判断された場合、前記比較した一のグループのプラントデータは、前記基準範囲内にあると判断されたグループのプラントデータと同一の定常状態であると判断する一方、前記比較した一のグループの移動平均値が前記基準範囲外にあると判断された場合、前記比較した一のグループの次以降のグループの移動平均値に対しては、前記再設定された基準範囲と比較することを特徴とするプロセスデータ評価方法。
  2. プラントから収集された前記プラントの状態を表す各パラメータ毎の連続した複数のプロセスデータから少なくとも1つのパラメータを指定し、指定したパラメータの複数の連続したプロセスデータを評価してその定常性を判断するプロセスデータ評価方法であって、
    前記指定されたパラメータの複数のプロセスデータを、連続した2個以上のプラントデータをそれぞれ含む時系列に連続した複数のグループに分割するステップと、
    分割した各グループの2個以上のプロセスデータを各グループ毎に統計処理して各グループ毎の最大データ値および最小データ値をそれぞれ求めるステップと、
    1番目に統計処理されたグループの最大データ値および最小データ値の間のデータ範囲を基準範囲に設定するステップと、
    設定された基準範囲と、求められた各グループの最大データ値および最小データ値の間のデータ範囲とを2番目に統計処理されたグループの最大データ値および最小データ値の間のデータ範囲から最後に統計処理されたグループの最大データ値および最小データ値の間のデータ範囲までを順次比較し、比較した一のグループの前記データ範囲が前記基準範囲内にあるか否かを判断するステップと、
    比較した一のグループの前記データ範囲が前記基準範囲外となった場合に、設定されている前記基準範囲を、当該比較した一のグループの前記データ範囲を新たな基準範囲に再設定するステップと、を備え、
    前記比較した一のグループの前記データ範囲が前記基準範囲内にあるか否かを判断するステップにおいて、前記比較した一のグループの前記データ範囲が前記基準範囲内にあると判断された場合、前記比較した一のグループのプラントデータは、前記基準範囲内にあると判断されたグループのプラントデータと同一の定常状態であると判断する一方、前記比較した一のグループの前記データ範囲が前記基準範囲外にあると判断された場合、前記比較した一のグループの次以降のグループの前記データ範囲に対しては、前記再設定された基準範囲と比較することを特徴とするプロセスデータ評価方法。
  3. 前記同一の定常状態と判断された各グループの2個以上のプロセスデータから何れか1つのプロセスデータを前記各グループの代表のプロセスデータとして抽出することにより、前記各グループの他のプロセスデータを間引きするステップとを備えたことを特徴とする請求項1または2記載のプロセスデータ評価方法。
  4. 前記間引きステップは、前記各グループの2個以上のプロセスデータにおける時系列的な起点となるプロセスデータから任意に指定された一定時間経過後のプロセスデータを前記各グループの代表のプロセスデータとして抽出することにより、前記各グループの他のプロセスデータを間引きするステップである請求項3記載のプロセスデータ評価方法。
  5. 前記各グループの2個以上のプロセスデータの中から時系列的に中間のプロセスデータ前記各グループの代表のプロセスデータとして抽出することにより、前記各グループの他のプロセスデータを間引きするステップとを備えたことを特徴とする請求項3記載のプロセスデータ評価方法。
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