JP4409473B2 - 無線通信システムおよびパルス送受信方法 - Google Patents
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Description
無線送信による消費電力を大幅に低減するデータ変調方式としてPPM(Pulse Position Modulation)方式がある。この方式は複数のビット分のデータを1つのフレームに割り当て、フレーム内のどこか1つにパルスを立てることでデータを表す。例えば、16値PPMでは1フレームに4ビット分(0〜15)のデータを割り当てる。1フレームは、パルス16個分の時間で構成され、その中に1つパルスを立てる。具体例としては、図9のように、‘0000’(=0)を送信するときには、0番目のパルス位置(時間)に、‘1011’(=11)を送信するときには、11番目のパルス位置(時間)に、‘1111’(=15)を送信するときは、15番目のパルス位置(時間)にパルスを立てればよい。このように、4ビットのデータを送るのに1つのパルスを送信すればよいため、消費電力を大幅に削減することができる。
なお、従来技術として、特許文献1および特許文献2が知られている。
また、過去一定時間のピーク値の平均を基準にして、電波の反射などによる干渉を除去することで誤り率を良化する方法や(例えば、特許文献1参照)、予め登録されたパルスパターンを、ランダムな間隔で繰り返し送信することで連続してフレーム衝突が起こることを避け、一定時間内に受信する方法(例えば、特許文献2参照)はあるが、これらの方法においても、フレーム衝突が起こったフレームについては、正確にデータを受信できなくなるという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、PPM方式において、フレーム衝突が起きた場合でも、特定フレームの分離・抽出を可能とすることで、消費電力が低く、かつ、誤り率の小さい無線通信システムおよびパルス送受信方法を提供することにある。
fn(i1)−fm(i1)≠fn(i2)−fm(i2)
但し、n、mは0〜kの整数かつn≠m
f0(i)=i
送信データi1、i2は0〜N−1の整数かつi1≠i2
を全てのn、m、i1、i2について満たすことを特徴とする。
fn(i1)−fm(i1)≠fn(i2)−fm(i2)
但し、n、mは0〜kの整数かつn≠m
f0(i)=i
送信データi1、i2は0〜N−1の整数かつi1≠i2
を全てのn、m、i1、i2について満たすことを特徴とする。
まず、変換fの満たすべき条件を説明する。いま、図5に示すように、RFIDタグAがパルス位置iA(=値iA)およびf(iA)で送信し(401)、RFIDタグBがRFIDタグAのフレームから時間τ(パルス幅のτ倍)遅れたフレームのパルス位置iBおよびf(iB)で送信を行い(402)、リーダが双方の送信データを受信した場合を考える(403)。このとき、リーダにて、冗長フレームに変換fの逆変換f−1を施すと、RFIDタグAが送信したパルスについては、データフレームのパルス位置と一致し(404)、RFIDタグBが送信したパルスについては、一致しない(405)ように変換fを選ぶと、受信側では、データフレームと冗長フレームの逆変換との相関をとったときに相関が検出されたパルスだけを抽出することで、RFIDタグAのデータを分離・抽出することが可能となる(406)。
f−1(f(iA))=iA・・・(1)
f−1(f(iB)+τ)≠iB+τ・・・(2)
式(2)の両辺に、変換fを施して、両辺から(iB+τ)を引くと、
f(iB)−iB≠f(iB+τ)−(iB+τ)・・・(3)
ここで、i1=iB、i2=iB+τとして、式(3)を一般化すると、τ≠0なので、i1≠i2である0〜15の任意の値i1、i2について、
f(i1)−i1≠f(i2)−i2・・・(4)
となる。
本実施形態では、式(1)および式(4)を満たす変換fとして、図2に示すfを用いる。ここで、f0は変換前の値(i1、i2)、f1は変換後の値(f(i1)、f(i2))であり、f1−f0が全て異なる値となっているため、式(4)を満たしている。
100は、IDなどのデータを無線送信するRFIDタグである。101は、RFIDタグ100が送信するデータを格納した送信データテーブルである。102は、送信データテーブル101から読み出したデータに変換fを施して、冗長フレームのデータを生成する冗長化処理である。103は、データフレームおよび冗長フレームの各データを、パルス幅が10マイクロ秒の16値PPM方式でパルス信号に変換する16値PPM処理である。104は、16値PPM処理103が出力したパルス信号によって高周波信号を変調し、無線送信する送信処理である。
なお、図1における処理部114、115は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびマイクロプロセッサにより実現されるものであってもよい。
f(0)=15・・・(5)
冗長化処理102は、このデータフレームのデータ「0」と冗長フレームのデータ「15」を出力する。16値PPM処理103は、冗長化処理102からデータ「0」、「15」を受けると、16値PPM方式により変調して、図3のように幅10マイクロ秒のパルスをデータフレームの頭と冗長フレームの150マイクロ秒の位置に立てたパルス信号を出力する。このパルス信号は、送信処理104から、無線送信される。
ここで、図2から明らかなように、バッファ113の第16番目〜第31番目のデータ(冗長フレーム)の逆変換(f−1)は次のようになる。
15→0
14→1
・・・・
0 →15
したがって、相関検出処理114の処理は、図4(c)に示すように、バッファ113の第0番目〜第15番目の各記憶スロットのデータに各々、バッファ113の第16番目〜第31番目の記憶スロットのデータを加算する処理となる。この結果、相関検出処理114の出力の第0番目〜第15番目のデータはそれぞれ、同図に示すように、
第1番目=バッファ113の第30番目
第2番目=0
第3番目=0
第4番目=0
第5番目=バッファ113の第5番目
第6番目=0
・・・・・
第15番目=0
となる。この加算結果から明らかなように、図1の構成によれば、RFIDタグAについては相関検出処理114から、データフレームと冗長フレームのデータが加算されて出力され、一方、RFIDタグBについては、データフレームと冗長フレームのデータがそれぞれ個別に(加算されないで)出力される。したがって、データ復調処理115において、一定の閾値(図4(c)参照)以上、かつ、最大値のデータを抽出することにより、RFIDタグAのデータのみを正確に検出することができる。
ここで、相関検出処理114の出力するデータは、特定のRFIDタグの送信したデータが時間的に連続しているとは限らず、複数のRFIDタグが送信したデータが入り混じって出力される。例えば、図4の例では、RFIDタグAから送信された「0」を抽出しているが、その20マイクロ秒後には、RFIDタグBからの送信である「3」を抽出する。しかし、同一のRFIDタグから送信されたデータであれば、相関検出処理114が出力する間隔はフレームの送信間隔に一致するので、相関検出処理114が出力するデータを受けるデータ復調処理115は、データを分離することが可能である。
このように、上述した回路は、変換fによる相関が検出されるとデータを出力するので、送受信機間でフレームの同期をとるための信号であるプリアンブルが不要であり、かつ、2つまでのフレームが衝突した場合でも、特定のフレームを抽出できる無線通信システムが可能となる。
fn(i1)−fm(i1)≠fn(i2)−fm(i2)・・・(6)
n、mは0〜kかつn≠m、位置i1、i2は0〜15かつi1≠i2
を満たす必要がある。
そこで、本実施形態では、冗長フレームを2個付加する。この場合のブロック構成は図1と同じである。ただし、冗長化処理102では、図6に示す変換f1とf2を用いて、冗長フレームのデータを生成する。例えば、データフレームのデータが「0」とすると、f1(0)=12、f2(0)=6なので、冗長化処理102は、「0」、「12」、「6」を出力する。16値PPM処理103は、このデータ「0」、「12」、「6」を各々16値PPM方式により変調したパルス信号を出力する。また、バッファ113は、データフレームと2個の冗長フレームをあわせた48パルス分(480マイクロ秒)の受信強度データを格納する。相関検出処理114は、図7に示すように、バッファ113の2個の冗長フレーム部分それぞれに対応する逆変換f1 −1およびf2 −1に基づきデータを並び替えて、各パルス位置について、データフレーム部分との和を算出し、出力する。
Yi=Σj|Xi,j−Mi|・・・(7)
ここで、iは逆変換後の位置を表し、範囲は0〜15である。jは、フレームを表し、範囲は0〜kである(0はデータフレーム)。Σjは、jについての総和を表す。Xi,jは、逆変換後のj番目のフレーム(j=0はデータフレーム)のi番目の位置における受信強度の値を表す。Miは、逆変換後のi番目の位置における受信強度の全てのフレームの平均値を表し、
Mi=(ΣjXi,j)÷(k+1)・・・(8)
である。
例えば、バッファ113の内容が、データフレーム部分は、
“5、0、0、1、7、0、0、0、3、0、0、2、0、0、0、0”
冗長フレーム部分1は、
“0、0、1、0、0、0、0、0、0、0、8、0、1、0、4、0”
冗長フレーム部分2は、
“0、0、0、0、3、0、0、0、0、0、5、1、0、1、1、0”
であったとする。相関検出処理114は、冗長フレーム部分1にf1の逆変換を施して、次のようにデータの並べ替えを行う。
11番目の位置→1番目の位置
6番目の位置→2番目の位置
10番目の位置→3番目の位置
・・・・
3番目の位置→15番目の位置
これにより、データ列R1
“1、0、0、8、0、0、0、0、4、0、0、0、0、1、0、0”
を得る。
同様に冗長フレーム部分2にf2の逆変換を施して、データ列R2
“0、0、1、1、1、0、0、0、3、0、0、0、0、5、0、0”
を得る。
相関検出処理114は、各位置について、データフレーム部分と上記データ列R1およびデータ列R2の和をとって、
“6、0、1、10、8、0、0、0、10、0、0、2、0、6、0、0”
を出力する。
“6、−、−、10、8、−、−、−、10、−、−、−、−、6、−、−”
を得る(“−”は、破棄を表す)。第1および第2の実施形態であれば、ここで最大値を抽出することになるが、ここでは上述のYiが最小値という条件を用いる。そのために、まず、データフレーム部分およびデータ列R1、データ列R2より、式(8)を用いて、各位置の平均値Miを算出して、
i=0番目:(5+1+0)÷3=2
i=1番目:(0+0+0)÷3=0
i=2番目:(0+0+1)÷3=0
i=3番目:(1+8+1)÷3=3
・・・・
i=15番目:(0+0+0)÷3=0
より、
“2、0、0、3、3、0、0、0、3、0、0、1、0、2、0、0”
を得る(簡略化のため、小数点以下は四捨五入)。
i=0番目:|5−2|=3
i=1番目:|0−0|=0
i=2番目:|0−0|=0
i=3番目:|1−3|=2
・・・・
i=15番目:|0−0|=0
より、データ列S0
“3、0、0、2、4、0、0、0、0、0、0、1、0、2、0、0”
を得る。データ列R1(Xi、1)と平均値Miの差の絶対値(|Xi、1−Mi|)および、データ列R2(Xi、2)と平均値Miの差の絶対値(|Xi、2−Mi|)も同様にして、算出し、データ列S1
“1、0、0、5、3、0、0、0、1、0、0、1、0、1、0、0”
およびデータ列S2
“2、0、1、2、2、0、0、0、0、0、0、1、0、3、0、0”
を得る。データ列S0、S1、S2の和(Σj|Xi,j−Mi|)をとって、データ列Y
“6、0、1、9、9、0、0、0、1、0、0、3、0、6、0、0”
を得る。
“6、−、−、10、8、−、−、−、10、−、−、−、−、6、−、−”
に戻って、閾値以上の条件を満たしたデータがあるのは、0、3、4、8、13番目の位置である。これらの位置のYiは、データ列Yより、それぞれ、「6」、「9」、「9」、「1」、「6」となるので、最小は「1」でその位置は8番目である。これより、データ復調処理115は、「8」を出力する。
これにより、RFIDタグとリーダの位置関係やアンテナの向きなどにより、受信強度が小さくなるRFIDタグの送信したデータについても、受信強度が大きいRFIDタグの送信したパルスに影響されることなく、分離・抽出することができる。
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
101…送信データテーブル
102…冗長化処理
103…16値PPM処理
104…送信アンテナ
110…リーダ
111…受信アンテナ
112…A/D変換
113…バッファ
114…相関検出処理
115…データ復調処理
401…RFIDタグAの送信データ
402…RFIDタグBの送信データ
403…リーダの受信データ
404…一致する
405…一致しない
406…相関をとったデータ
601…16値PPM(96bit/packet)
602…16値PPM(192bit/packet)
603…16値PPM(96bit/packet)+冗長フレーム
604…16値PPM(96bit/packet)+冗長フレーム×2+偏差最小
605…OOK
Claims (8)
- PPM方式によって送信データを変調し、無線発信する無線送信機と、前記無線送信機によって発信された無線信号を受信する無線受信機とからなる無線通信システムであって、
前記無線送信機は、
送信データを所定の変換規則に従って変換して冗長データを生成する冗長化手段と、
前記送信データおよび前記冗長データを各々PPM方式によってパルス信号に変換しデータフレームおよび冗長フレームを生成するPPM変調手段と、
前記PPM変調手段によって生成されたデータフレームおよび冗長フレームを高周波信号に乗せて発信する発信手段とを具備し、
前記無線受信機は、
前記無線送信機から発信された信号を受信し、パルス信号に復調する受信手段と、
前記受信手段から出力されるパルス信号を読み込むバッファレジスタと、
前記バッファレジスタに読み込まれた冗長フレームを逆変換して前記バッファレジスタに読み込まれたデータフレームとの相関を取る相関検出手段と、
前記相関検出手段の出力に基づいて送信データを復調するデータ復調手段と
を具備することを特徴とする無線通信システム。 - 前記冗長化手段は、
1≦k(k:正の整数)であるk個の所定の変換規則に従って、送信データを変換してk個の冗長データを生成し、
前記データフレームは、
フレーム長をN(N:正の整数)とし、
前記変換規則は、
n個目の前記冗長データを生成する変換規則をfn、m個目の前記冗長データを生成する変換規則をfmと表記して、
fn(i1)−fm(i1)≠fn(i2)−fm(i2)
但し、n、mは0〜kの整数かつn≠m、
f0(i)=i
送信データi1、i2は0〜N−1の整数かつi1≠i2
を全てのn、m、i1、i2について満たすこと
を特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。 - 前記相関検出手段は、
前記バッファレジスタに読み込まれた冗長フレームを逆変換して前記バッファレジスタに読み込まれたデータフレームとの、各位置についての和からなるデータ列を出力し、
前記データ復調手段は、
前記相関検出手段が出力したデータ列のうち、値が最大であり、かつ、予め決められた閾値を越えているデータを抽出して、そのデータの位置に対応するデータを出力すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線通信システム。 - 前記データ復調手段は、
前記相関検出手段が出力したデータ列のうち、予め決められた閾値を越えており、かつ、前記バッファレジスタに読み込まれた冗長フレームを逆変換して前記バッファレジスタに読み込まれたデータフレームとの偏差の絶対値の和が最小であるデータを抽出して、そのデータの位置に対応するデータを出力することを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。 - PPM方式によって送信データを変調し、無線発信する無線送信機と、前記無線送信機によって発信された無線信号を受信する無線受信機とからなる無線通信システムにおけるパルス送受信方法であって、
前記無線送信機が、送信データを所定の変換規則に従って変換して冗長データを生成する冗長化過程と、
前記無線送信機が、前記送信データおよび前記冗長データを各々PPM方式によってパルス信号に変換しデータフレームおよび冗長フレームを生成するPPM変調過程と、
前記無線送信機が、前記PPM変調過程によって生成されたデータフレームおよび冗長フレームを高周波信号に乗せて発信する発信過程と、
前記無線受信機が、前記無線送信機から発信された信号を受信し、パルス信号に復調する受信過程と、
前記無線受信機が、前記受信過程から出力されるパルス信号を読み込むバッファリング過程と、
前記無線受信機が、前記バッファリング過程で読み込まれた冗長フレームを逆変換して前記バッファリング過程で読み込まれたデータフレームとの相関を取る相関検出過程と、
前記無線受信機が、前記相関検出過程の出力に基づいて送信データを復調するデータ復調過程と
を具備することを特徴とするパルス送受信方法。 - 前記冗長化過程は、
1≦k(k:正の整数)であるk個の所定の変換規則に従って、送信データを変換してk個の冗長データを生成し、
前記データフレームは、
フレーム長をN(N:正の整数)とし、
前記変換規則は、
n個目の前記冗長データを生成する変換規則をfn、m個目の前記冗長データを生成する変換規則をfmと表記して、
fn(i1)−fm(i1)≠fn(i2)−fm(i2)
但し、n、mは0〜kの整数かつn≠m
f0(i)=i
送信データi1、i2は0〜N−1の整数かつi1≠i2
を全てのn、m、i1、i2について満たすこと
を特徴とする請求項5に記載のパルス送受信方法。 - 前記相関検出過程は、
前記バッファリング過程で読み込まれた冗長フレームを逆変換して、前記バッファリング過程で読み込まれたデータフレームとの、各々の位置についての和からなるデータ列を出力し、
前記データ復調過程は、
前記相関検出過程が出力したデータ列のうち、値が最大であり、かつ、予め決められた閾値を越えているデータを抽出して、そのデータの位置に対応するデータを出力すること
を特徴とする請求項5または請求項6に記載のパルス送受信方法。 - 前記データ復調過程は、
前記相関検出過程が出力したデータ列のうち、予め決められた閾値を越えており、かつ、前記バッファレジスタに読み込まれた冗長フレームを逆変換して前記バッファレジスタに読み込まれたデータフレームとの、各々の位置についての偏差の絶対値の和が最小であるデータを抽出して、そのデータの位置に対応するデータを出力すること
を特徴とする請求項7に記載のパルス送受信方法。
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