JP4409327B2 - 金属材料の簡易成分分析法および簡易成分分析用組成物 - Google Patents

金属材料の簡易成分分析法および簡易成分分析用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、金属材料の成分元素添加量を簡易的に分析する手法に関する。
産業機器類などに使用される材料の多様化や、近年の材料リサイクルの重要性の高まりを受け、屋外や製造現場において、特殊な装置を必要とせず、金属材料の種類や組成を簡易に分析・識別できる技術へのニーズが高まっている。
ところで、金属材料にとって、化学組成は材料の物理化学特性を左右する重要な要因であるため、今までに各種分析法が実用化されている。例えば、原子吸光光度法、ICP発光分光分析法、蛍光X線分析法などが代表例である。しかし、これらの機器分析法は、分析感度が高いため装置が大型である。さらに、これらは精密機器であるため、防塵や温度管理がなされた実験室内に設置され、試験片を持ち込み分析することを前提としており、装置の可搬性はほとんど考慮されていない。
簡便な材料判別法としては、金属の種類ごとに比重、磁性、電気伝導度などが異なることを利用した手法が一部で実用化されている。例えば、炭素鋼やフェライト系ステンレス鋼は磁石に着くが、オーステナイト系ステンレス鋼やAl合金は磁石に着かないという分別法は、ゴミ回収の分野などで実用化されている。しかし、磁性や比重といった材料組成に起因して発現する特性を利用する手法では、材料間の微妙な組成の違いを判別することは困難である。例えば、磁性や電気抵抗から、ステンレス鋼にMoやCuが添加されているのか否かといった鋼種判別は極めて困難である。
このような技術背景から、材料の組成を直接分析する可搬型装置の開発も試みられており、近年、小型X線分析装置や放電を利用した分析装置が開発されている。しかし、X線発生装置や放電装置、分光装置などといった、もともと小型化が困難で、しかも精密な機構を必要とする部品を必要とするため、これら装置はきわめて高価になるという欠点がある。また、これらの装置は、X線発生装置や放電のために、100V電源や不活性ガスを充填したボンベなどを必要とし、必ずしも可搬性に優れるとは言い難く、野外での使用には不向きである。
そこで、鉄鋼やステンレス鋼などの分野では、酸液などの試薬を材料表面に付着させ、溶液の着色度合いから材料中の特定成分の有無を分析することが古くから行われている。例えば、チオシアン酸アンモニウム、塩化第一スズ、濃塩酸を所定の濃度と手順で混合した液を材料表面に付着させ、溶液内に不溶性電極を挿入し、6〜9Vの起電力の電池で金属材料を陽極電解し、通電を切った後も溶液が赤色を保持するか否かからステンレス鋼のMo含有の有無を判別する手法が、非特許文献1に開示されている。
一方、非特許文献2においては、材料をグラインダで削った際の火花の飛び散り方から、ステンレス鋼を含めた鉄鋼材料の鋼種を判定する方法が規格化されている。しかし、この方法は、材料の削り方や火花形態の見分け方に熟練を必要する。また、その原理上、微妙な成分量の差違を識別することは困難である。
また、Mnは炭素鋼、低合金鋼やステンレス鋼において重要な合金元素であり、非特許文献2においても、Mn含有有無を識別する手段が開示されている。すなわち、鉄鋼材料がMnを含むと火花の流線と呼ばれる部分が黄色みのある白色で、破裂と呼ばれる部分は白色となることなどが示されている。しかし、これらはいずれも定性的であり、Mn含有量を精度良く推定するには熟練が不可欠である。このように、熟練と経験を必要とせずに、簡便に金属材料のMn含有量を判断できる方法は未だ確立されていない。
ところで、溶液中のMnイオンの分析法として、0.5〜1.8mol/Lの硫酸リン酸混合液に、検液を加えKIO4でMnイオンを酸化し、紫色のMnO4 -(吸収主波長525nmあるいは545nm)として計測する方法や、検液を4mol/L硝酸に溶解し、これにNaBiO3を加えMnイオンをMnO4 -に酸化し、生成したMnO4 -をFe2+やNaAsO2などで滴定する定量方法が、それぞれ非特許文献3と、非特許文献4に開示されている。
「防錆・防食技術」(日本プラントメンテナンス協会 実践保全技術シリーズ編集委員会編、p.140〜143、1992年初版、(社)日本プラントメンテナンス協会発行) JIS G 0566「鋼の火花試験方法」 日本分析化学会編「分析化学データブック」p.103、丸善、1994年発行 分析化学会編「分析化学便覧」(p.176、丸善、1991年発行)
まず、金属材料表面に分析試薬を付着させ、溶液の着度合いから材料組成を判定する今までの簡易手法では、溶液の色を判定する際に、銀白色の金属表面での反射光や金属表面の色彩などに邪魔され、溶液の着色度合いが見にくいという欠点があった。このため、従来法では、微量成分分析や微妙な濃度の差異を判別することは困難であった。
また、このような試薬を付着させる手法では、薬液が金属母地を充分侵食することが第一条件であるが、今までの手法では、滴下した試薬が下地金属を溶解できたのか否かが不明瞭であった。そのため、発色剤を加えた後に溶液が変色しない場合、本当に目的とする成分が含有されていないのか、それとも金属の耐食性が高く単に薬液が下地を侵食していないのかを区別することが、たとえ経験と訓練をつんだ者であっても迷うことが多かった。そのため、過度に薬液を付着させたり、着色までの判定時間を過度に延ばすなどの試行錯誤を行う必要があり、過侵食による妨害イオン濃度の増加や時間経過による発色イオンの退色などを招き、かえって分析精度を低下させてしまう要因となっていた。
また、非特許文献3,4に記載のものは金属材料を酸類に溶解しやすいように細かく切り子状に加工した上で、金属試料を酸液に溶解濃縮した溶液試料に対する技術である。金属試験片に薬液を付着させ、概ね30秒以内の極く短時間でMn濃度を判定する際の手順や好適な分析試薬、再現性のある発色状態の確認方法などは未だ見出されていない。
すなわち、極短時間で金属を溶解する溶解溶液組成や、溶解可否の確認方法、極短時間で精度良くMnイオンを検出する発色剤、発色を鮮明化し屋外・屋内などの分析環境や対象とする金属材料に関わらず再現性のある発色状態を得る方法、またそのための分析用組成物や携行時の安全性確保策などに関しては、何ら具体的な例示はなされていない。
本発明者は、このような従来技術の短所を補い、未解決の課題を解決するため種々の試験研究を行い、本発明を完成させた。
本発明の主旨は、以下の通りである。
(1) 金属材料の表面に薬品を付着し、その着色度合いから金属材料の成分を判定する手法において、金属溶解用の酸液であってハロゲン化イオンを含むものを付着し、続いて、この酸液に対し不溶性の白色成分(酸不溶性白色物質)と特定の金属イオンを有色化する成分(発色剤)を加えることで、金属表面に白色の沈着物層を形成し金属イオンの着色を鮮明化した上で、その着色度合いから特定成分の含有量を判定することを特徴とする金属材料の簡易成分分析法。
(2) 金属溶解用の酸液が、硝酸イオンを含むことを特徴とする上記(1)の金属材料の簡易成分分析法。
(3) 上記(1)又は(2)の方法において、金属溶解用の酸液が、酸と固体塩の混合溶液であることを特徴とする金属材料の簡易成分分析法。
(4) 酸不溶性白色物質と発色剤が、混合された粉末、顆粒もしくは錠剤であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の金属材料の簡易成分分析法。
(5) 酸不溶性白色物質が、酸化チタンもしくは酸化ケイ素のいずれか、もしくはそれらの混合物であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の金属材料の簡易分析法。
(6) 金属材料の成分分析元素がMnの場合、発色剤として、+6価以下の低次Mnイオンを+7価のMnO4 -に変える酸化剤を使用することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の金属材料の簡易成分分析法。
(7) 酸化剤が、+5価のBiを含む化合物であることを特徴とする上記(6)の金属材料の簡易成分分析法。
(8)Biを含む化合物が、KBiO3もしくはNaBiO3あるいは、これらの混合物であることを特徴とする上記(7)の金属材料の簡易成分分析法。
(9)金属材料がステンレス鋼であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の金属材料の簡易成分分析法。
(10)ステンレス鋼の簡易成分分析法であって、溶解溶液が5mol/L以上の硝酸イオンと0.1mol/L以上の塩化物イオンを含む溶液であることを特徴とする上記(9)の金属材料の簡易成分分析法。
(11)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の簡易成分分析法において、溶液の着色度合いを予め作製した色見本と比較することで特定成分の含有量を定量分析することを特徴とする金属材料の簡易成分分析法。
(12)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の簡易成分分析法において、溶液の着色度合いをカメラで撮影し、撮影画像の色調を予め作製した色見本と比較することで特定成分の含有量を定量分析することを特徴とする金属材料の簡易成分分析法。
(13)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の簡易成分分析法において、溶液の着色度合いを分光光度計で測定し特定成分の含有量を定量分析することを特徴とする金属材料の簡易成分分析法。
(14)発色剤と酸不溶性白色物質が混合されている金属材料の簡易成分分析用組成物であって、酸不溶性白色物質が、酸化ケイ素、もしくは酸化チタン酸化ケイ素混合物であることを特徴とする金属材料の簡易成分分析用組成物。
(15)簡易成分分析用組成物が、顆粒もしくは錠剤状に成形されたものであることを特徴とする上記(14)記載の金属材料の簡易成分分析用組成物。
(16)Mnイオンの発色剤が、+6価以下の低次Mnイオンを+7価のMnO4 -に変える酸化剤を含むことを特徴とする上記(14)又は(15)に記載の金属材料の簡易成分分析用組成物。
(17)酸化剤が、+5価のBiを含有する化合物であることを特徴とする上記(16)の金属材料の簡易成分分析用組成物。
(18)+5価のBiを含有する化合物が、KBiO3もしくはNaBiO3あるいは、これらの混合物であることを特徴とする上記(17)の金属材料の簡易成分分析用組成物。
(19)香料を含有することを特徴とする上記(14)〜(18)のいずれかの金属材料成分の簡易成分分析用組成物。
本発明によれば、特別な装置を必要とせず、広範囲の金属材料の成分組成を短時間で簡便に推定することが可能な分析技術を提供できる。
以下に、本発明の限定理由について述べる。
本発明は、最初に金属材料の表面に酸液を付着させ、その後この酸液に対し不溶性の白色成分(酸不溶性白色物質)と特定の金属イオンを有色化する成分(発色剤)を加える方法である。酸液と発色剤を予め混合しておくと、分析手順としては簡便であるが、発色剤が酸液と反応し発色効力を失いやすいという欠点がある。また、酸液に酸不溶性白色物質を混合しておくことも、分析手順の簡素化という点では好ましいが、酸不溶性白色物質が触媒作用を発揮し、酸液の分解や変質を助長する危険性がある。また、予め酸不溶性白色物質を酸液に混合しておくと、金属溶解に伴い酸不溶性白色物質が汚れ、発色を鮮明化する効果が弱くなる。このため、酸液を付着させた後に、発色剤と酸不溶性白色物質を加える必要がある。
尚、本発明では上記の理由で、酸液を付着させた後に、発色剤や不溶性白色物質を加えるとしているが、実際の分析作業に際しては、たとえ最初に発色剤などを金属材料に付着させ、後から酸液を付着させた場合であっても、実質上、酸液を最初に付着させたのと同一の状況となることがあり、本発明はそのような状況をも包含するものである。
例えば、具体的には、図2(c)に示すように、発色剤と不溶性白色物質などを混合した物(分析用組成物)の顆粒を、まばらに付着させてから酸液をその一部に付着させた場合である。この時には、酸液が下地金属を溶解することで濡れ性が変化し、酸液が広がるため、ミクロ的には酸液を付着させてから発色剤などを加えていることと同一である。
また、図2(d)に示すように、大きな錠剤からなる分析用組成物を金属表面に配置し、酸液を後から付着させた際には、錠剤すべてに酸液がしみ込む前に、酸液による下地金属侵食が起こり、最終的には金属イオンを含む酸液が分析用組成物の錠剤にしみ込むことになり、先に酸液を付着させてから発色剤など加えることとミクロ的には全く同一である。
まず、酸液組成であるが、本発明のような金属材料表面に試薬を付着させ、この変色状態から材料組成を判定する手法においては、常温において短時間で金属母地を溶解し、金属成分をイオンとして酸液に移行させる必要がある。このため、最初に材料表面に付着させる試薬はアルカリ液や中性試薬ではなく、酸液に限定した。
酸としては、対象とする金属を数秒程度の短時間で溶解できるものであれば種類を問わない。対象とする材料ごとに、金属母地を侵食しやすい酸の種類が異なるため、その種類や濃度を全て例示することはできないが、対象とする材料の脱不働態化pHよりも酸性度を高めた硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、フッ酸などの単独酸や、これらを数種以上を含有する混酸を使用することで良好な結果を得ることができる。また、必要に応じて、エチレングリコールなどからなる増粘剤を加えることもできる。
ここで、脱不働態化pHとは、金属材料表面に存在する酸化物皮膜が、耐食性を失う耐酸限であり、ビーカーに酸液を作製し、これに対象とする材料を浸漬し、一定時間経過後の重量変化を計測し、誤差範囲以上の重量変化が現れる限界のpHとして簡単に決定することができる実験値である。普通鋼ではpH4程度、SUS304ステンレス鋼ではpH2程度である。脱不働態化pHが2であれば、水素イオンが0.01mol/Lよりも濃くなるように酸液を調合すれば良いことになる。
ところで、本発明で使用する酸液としては、硝酸イオンを含む溶液が好適である。これは、酸液が金属母地を侵食したか否かを容易に判別できるためである。硫酸や塩酸の場合、酸液に金属が侵食されても酸成分自体の色は変わらず、金属主成分が溶出し数分のオーダーで徐々に溶液の色が変わるのみであり、発色剤を加えるタイミングが分かりにくい。さらに発色剤による有色反応が現れなかった際に、酸液自体が下地金属を溶解できなかったことが原因ではないかとの疑念が常につきまとう。これはリサイクル・金属回収などの現場のように、調査対象とする材料を限定できない場面で深刻な問題となる。
しかし、酸液中に硝酸イオンが存在すると、下地金属(M)の溶解反応に伴い、下式に従い、無色の硝酸イオン(NO3 -)の還元と生成物の分解などが起こり、黄色のNOx(黄色)が生成し、酸液が黄色に着色する。
NO3 - → +NOx (黄色の亜硝酸類生成:カソード反応)
M → M+ (金属溶解:アノード反応)
すなわち、硝酸イオンを含む酸液を使用する際には、金属溶解である上記アノード反応に伴い、必ず上記カソード反応が進行するため、酸液により金属が溶解されたのか否かを、液の色から、確実に、しかも経験のない者でも容易に判断することができる。
さらに、分析に際して、酸液が黄色化してから、発色剤を投入するという確実な目安を得ることが可能となり、手順や発色剤投入タイミングの手違いを防止できるという従来にない利点を有する。逆に、本発明で硝酸イオンを含む酸液を使用した際には、酸液が黄色に着色してから発色剤などを加えることが分析原理上好ましい。しかし、材料の耐食性に比較し、酸液の侵食性が過度に強う場合には、黄色の変色とほぼ同時に溶解金属イオンの色に酸液が着色することもある。可能であれば、金属に酸液を付着させ3〜15秒程度で黄色化し、その後更に60秒以上経過して溶出金属イオンの色に除々に変わって行く程度の酸液の濃度や組成が好ましい。但し、本発明は、酸液付着後すぐに溶液が溶解金属イオンの色になってしまう酸液や分析手法を排除するものではない。
ところで、ステンレス鋼などの不働態化性の金属材料では、硝酸単独や単なる酸類のみの混合物では脱不働態化(下地金属の溶解)が行われないことがある。このような場合には、酸に加え金属材料の溶解を促進する成分(溶解促進剤)を含む溶液を使用することが望ましい。ここで、溶解促進剤とは、不働態阻害剤や腐食促進剤などとも呼称される物質で、溶媒や溶質として金属材料と接触した際に、腐食性を示す物質のことを意味する。溶解促進剤は、金属材料に応じて多くの組み合わせがあり、本発明は具体的な薬剤を限定するものではない。分子構造などから一義的に限定できるものではないが、例えば、P.A.Schweiter編「Corrosion Resistance Tables(3rd Edition)」(Marcel Dekker,Inc、1991年発行)に各種金属材料が腐食しやす物質一覧として整理されているものであれば、その機能を有する。これら表に開示されている腐食性物質を酸に混合することで良好な結果を得ることができる。一般には、多くの金属材料において、メルカプト基を有する化合物、SCN-、ClO4 -、S23 2-、H2S、S46 2-、SO3 2-イオンなどを単独もしくは複合で利用することで良好な結果を得ることができる。
更に耐食性の高い材料や溶解を極く短時間で完了させたい場合には、溶解促進剤としてハロゲン化物イオンを含む酸液を使用することが好ましい。ハロゲン化物イオンとは、F-、Cl-、Br-、I-イオンである。これらイオンは特に、金属表面皮膜の保護性を低下させ、溶解を助長する効果が高い。尚、この際、ハロゲン化物イオンの添加の形態はNaFやNaClのような固体塩であっても、HFやHClなどの液体の酸類であっても構わない。
ところで、上述した酸液であるが、輸送時の安全性を高める必要がある際には、分析現場において、酸と固体塩を混合し、金属溶解用の酸液を作製することが好ましい。例えば、硝酸とハロゲン化物イオンの混合液を使用する場合には、分析作用としては、硝酸へのハロゲン化物イオンの添加をNaFやNaClのような固体塩で行っても、HFやHClなどの液体の酸類であっても同じであるが、分析試薬類の運搬時の安全性を重視する際には、ハロゲン化物イオンをNaFやNaClのような固体塩から調合する方法が望ましい。
すなわち、液体状である硝酸は、たとえ密閉容器に保存した場合であっても、漏洩の危険性があるため飛行機や船舶などでは、安全運航上の規制から持ち込みを制限されることがある。しかし、硝酸は国内各地・世界各国で市販されている汎用試薬であり、現地で調達することが容易である。したがって、NaClのような安全な固体塩の形で塩化物イオンを携行し、現地にて、そこで調達した硝酸と混合することで目的の酸液を作製することが安全である。具体的には、小型容器の中に所定量の固体NaClを入れ、分析現場まで飛行機や船舶などを乗り継ぎ携行する。そして、現地にて硝酸を手配し、NaClを入れた容器の標線まで、硝酸と水を加え目的とする酸液を調合するという手法を用いることが可能である。この際、硝酸と塩酸という2つの液体試薬を現地で調達・混合することに比較し、ハロゲン化物イオンをNaFやNaClのような固体塩から調合することの方が安全性や利便性に優れる。
また、同様に、硝酸イオンと塩化物イオンを含む酸液の場合、NaNO3粉末を携行・運搬し、現地で塩酸のみを調達して混合することも可能である。酸液成分の内、どれを固体塩で携行するかは、目的地で入手しやすい酸液の種類を調査した上で判断することができる。逆に、不測の事態に備え、各種酸液に対応できるように、数種類の固体塩を携行・運搬することも有効である。
次に、本発明は、対象とする材料を金属材料としているが、これは金属が酸液による溶解が容易なためである。しかし、逆に酸液で材料を溶解する特徴から、耐食性の低いAlやMg合金などの場合、対象とする添加元素以外の成分が多量に溶解してしまうこともあり本発明はやや不向きである。逆に、酸液を使用しているためNi基やTa基合金など極めて耐食性に優れる材料にも不向きな点があり、適度な耐食性を有するステンレス鋼への適用が好適である。
そして、分析対象がステンレス鋼である場合には、硝酸イオンと塩化物イオン濃度を規定した酸液を使用することが望ましい。これは、ステンレス鋼は硝酸で不働態化するものの塩化物イオンの存在で、孔食的溶解が起こり下地金属を効率よく溶解することができるためである。硝酸イオン濃度が5mol/L未満では、ステンレス鋼の孔食的溶解を短時間に起こすことは不可能である。また、塩化物イオンの濃度が0.1mol/L未満でも、ステンレス鋼の孔食的溶解を短時間に起こすことは不可能である。このように、ステンレス鋼に対して、特に短時間で下地金属を溶解する場合には、5mol/L以上の硝酸イオンと0.1mol/L以上の塩化物イオンを含む酸液を使用することが好ましい。
次に、本発明の特徴の一つである「特定の金属イオンを有色化する成分(発色剤)に加え、酸液滴に不溶性の白色成分(酸不溶性白色物質)を加える」理由について述べる。従来の手法は図1(a)に示すように、酸液で金属を溶解する液、もしくは酸液で溶解した後に、特定の金属イオンと反応し発色させる発色剤を添加するのみである。したがって、この場合は、銀白色の金属表面での反射光に邪魔され、液の着色度合いが見にくいという欠点があり、微量成分分析や微妙な濃度の差異は判別することが困難であった。そこで、本発明では、同じく図1(b)に示すように、酸での金属溶解後に、液滴中に発色剤に加え酸に不溶性の白色成分(酸不溶性白色物質)を加えることとした。これにより、金属表面に白色の沈着層が形成され下地金属の表面色や乱反射の影響を排除し発色が鮮明化されると共に、対象とする材料の表面性状に依存しない再現性の高い発色状態の観察・計測が可能となる。この際、白色物質と金属イオン発色剤は同時に加えても、別々に加えても構わない、別々に加える際には、その順番も問わない。尚、この場合には、発色剤は固形物でも液体状の試薬でも構わない。
但し、分析作業効率の観点からは、酸不溶性白色物質と発色剤が予め混合された粉末、顆粒もしくは錠剤であることが好ましい。顆粒あるいは錠剤の際には、酸不溶性白色物質と金属イオン有色化剤に加え、顆粒化や錠剤化のための補助剤や、酸液滴内での顆粒や錠剤の崩壊を助ける添加剤などを更に含有することができる。
尚、ここで言う酸不溶性とは、ある物質が分析に使用する酸液にまったく、またはほとんど溶けないことを言う。具体的には、50μL程度の酸液の液滴を作製し、そこに当該物質を酸液が完全に乾燥しない程度の少量(例えば0.01g程度)を加えた際に、下地金属の全部あるいは一部を覆い隠せる程度の溶解残存物が形成されるもののことである。使用する酸液の濃度や発色剤と組み合わせにも依存するため、酸不溶性白色物質を溶解度などにより規定することはできないが、目安としては、水100gに対して、0.01g以下程度の溶解度の物質(便覧などに記載されている)から、酸液に対する安定性を加味して選定することで目的の性能を有する物質を容易に選定することができる。
また、ここで言う白色とは、発色した金属イオンの色を鮮明化する手助けになる程度の白さという意味で厳密な無彩色ではない。イオンの発色の強さにも依存するが、粉末を固体状態に加圧成形した状態で、JIS Z 8723のL***表色系(光源C)において、a*が10以下−10以上であり、かつb*が10以下−10以上の無彩色の物質の中から、使用する酸液に対して安定なものという基準により容易に選定することが可能である。
尚、濃度の高い酸を使用し、精度の高い分析を行うときは、酸不溶性白色物質として、酸化チタンもしくは酸化ケイ素のいずれか、もしくは混合物を使用することが好適である。これらは、いずれも固体単結晶としては無色透明であるが、粉末とすることで無彩色で白色度が極めて高くなる。しかも、水溶液に対する溶解度が極めて低く、強い酸液に対しても不溶性であるという特徴を備えている。
次に、特定の金属イオンを有色化する成分(発色剤)であるが、発色剤は、その作用機構から大きくは、(1)錯イオン形成物質、(2)酸化還元剤、に分類されるが、本発明はそのいずれも包含するものである。そして、本発明は具体的な化合物に限定されるものではなく、一般に知られている金属イオンと反応し、発色するものであれば何でもよい。例えば、各金属に対して、括弧内の試薬や錯体が代表例である。Fe(チオシアン酸塩、アセチルアセトン、1−10フェナントロリン)、Ag(p−ジメチルアミノベンジリデンローダニン、ジチゾン)、Al(8−キノリノール、アルミノン錯体)、Bi(ヨウ化カリウム)、Ca(2−ヒドロキシルアニル)、Cd(ジチゾン)、Co(ニトロソR塩錯体、2−ニトロソ−1−ナフトール)、Cr(ジフェニルカルバジド、酸化による有色+6価イオン検出)、Cu(ジエチルジチオカルバミン酸塩)、Hg(ジチゾン)、Mg(キシリジルブルーII)、Mo(チオシアン酸塩、ジチオール)、Ni(ジメチルグリオキシム)、Pb(ジチゾン)、Sb(ローダミンB、ヨウ化カリウム)、Sn(フェニルフルオロン)、Ti(過酸化水素、ジアンチピリルメタン)、V(N-ベンゾイル−N-フェニルヒドロキシルアミン)、W(チオシアン酸塩と塩化ズズ)、Zn(ジチゾン、ジンコン)。これら例の単独あるいは組み合わせによって良好な結果を得ることができる。必要に応じて、発色を安定させる目的でpH調整剤や有機溶媒などを加えることができる。
特に、対象とする金属イオンの価数が+3価以下の場合には、強い発色をえるには酸を中和し弱酸や弱アルカリ領域にpHを制御する必要があり、中和剤(pH調整剤やpH緩衝剤)の添加が望まれる。
尚、Mnを分析する時の発色剤は、+6価以下の低次Mnイオンを+7価で紫色のMnO4 -に変える酸化剤を使用することが好適である。これは、金属から酸溶解するとMnはMn2+として溶液中に存在するが、Mn2+と錯イオンを形成し強く発色させる薬剤が特殊で高価なことと、+6価以下の低次のMnからなる有色錯イオンは酸液中で分解し無色になりやすいためである。これに対して、MnO4 -イオンは酸液中でも安定であり強く発色するためである。
Mnの+6価以下の低次イオンをMnO4 -に変える酸化剤は、特に物質名を規定するものではないが、pH=0(25℃)における標準水素電極基準での酸化還元電位が概ね1.5V以上の物質であれば程度の差異はあるが効果を発揮する。具体的には、HClO、IO4 -、Ce4+、BrO4 -、N2O(g)、H22、AmO2 +、CO3+、HN3、Ni34、Ag2+、S28 2-、O3、+6価Crイオン、F2O、O(g)、F2、OH、F2(g)などである。ここで(g)が気体状態の物質を意味する。これらイオンや化学種を含む、もしくは酸液や水との反応などで発生させる物質の単独あるいは組み合わせによって良好な結果を得ることができる。
尚、酸化反応を瞬時に完了し、高感度で強い発色を得るには、+5価のBiを含む化合物を使用することが望ましい。具体的には、Bi24(Biが+3価と+5価の混合原子化状態をとる)、Bi25などである。
更に、酸化反応の早さや高感度で強い発色に加え、薬物の安定性、入手の容易性などの点から、KBiO3もしくはNaBiO3、あるいは、これらの混合物を使用することが最も望ましい。先の述べた特性に加え、KBiO3とNaBiO3は、塩化物イオンと反応分解し、Mnイオンを瞬時に発色させると共に、酸液中に存在する塩化物イオンの金属溶解作用を低下させる機能を有する。
したがって、ステンレス鋼中のMn成分を分析する場合には、金属を溶解する酸液として硝酸イオンと塩化物イオンを共に含む溶液を使用し、発色剤としてKBiO3かNaBiO3、あるいは混合物を使用することが最も効果的である。すなわち、発色剤添加により、発色効果に加え、酸液中の塩化物イオンによる下地金属溶解作用を停止させることができ、過剰に下地金属が溶解して、妨害金属イオン濃度が際限なく増加することを防ぐ作用もあるためである。
次いで、着色度合いから目的とする金属濃度を判定する方法であるが、対象金属元素が含まれているのか否かの判定であれば、目視で発色の有無を確認するのみで構わない。しかし、対象とする元素の添加濃度を%オーダーで定量する際には、予め作製した色見本と比較することで特定成分の含有量を定量分析することが望ましい。本発明では、酸の液滴内に白色沈殿物を形成するため、白画用紙などを利用し色見本を作製し、濃度判定に利用することが可能である。白色沈着物層の存在により、試験金属の表面状態に依存しない、汎用的な色見本を作製でき、定量分析に使用することができる訳である。
更に、定量的に濃度を判定する際には、液滴の着色度合いをカメラで撮影し、撮影画像の色調を機器計測することが望ましい。機器計測方法としては、例えば、デジタルカメラで液滴の色を撮影し、発色状態をRGB値などで定量化するものである。
そして、更に高い精度を必要とする際には、装置が高価になり可搬性は犠牲になるが、着色度合いを分光光度計で測定することが望ましい。光ファイバーなどの光を導く機能を有する分光光度計の使用が好適である。
ところで、金属材料表面に酸液を付着し、その後この酸液に対し不溶性の白色成分と特定の金属イオンを有色化する成分(発色剤)を加える本発明の方法においては、発色剤と酸不溶性白色物質を予め混合して一つの分析用組成物としておくことが分析手順簡略化にとって極めて好適である。そこで、本発明では分析用組成物として、発色剤と酸不溶性白色物質が均一に混合されたものを規定した。
均一に混合された形態は、粉末でも構わないが、必要に応じて、顆粒もしくは錠剤状に成形したものとすることができる。粉末に比較し、顆粒や錠剤の方が、酸液からなる液滴に試薬を加えることが容易な場合が多い。また、酸不溶性白色物質として、酸化チタンもしくは酸化ケイ素の片方、あるいは両方を混合した組成物が、分析精度の点からは好適である。
更に、分析対象成分がMnの場合には、Mnイオンを有色化させる成分として、+6価以下の低次Mnイオンを+7価のMnO4 -に変える酸化剤を発色剤として、酸不溶性白色物質と混合した分析用組成物とすることが望ましい。また、酸化反応を瞬時に完了し、高感度で強い発色を得るには、+5価のBiを含む化合物を発色剤とした分析用組成物がより望ましい。具体的な化合物としては、Bi24(Biが+3価と+5価の混合原子化状態をとる)、Bi25などの使用で良好な結果を得られる。更に、酸化反応の早さや高感度で強い発色に加え、薬物の安定性、入手の容易性などの点から、KBiO3もしくはNaBiO3、あるいはこれらの混合物を発色剤とする分析法用成物が最も望ましい。
また、これら分析用組成物には、必要に応じて香料を加えることが好ましい。分析作業は屋外や屋内の換気の良い場所で行うのは当然であるが、分析作業に伴い酸特有の臭いが発生し、作業環境の快適性を低下させることが懸念される。分析用組成物に香料を加えることで、このような作業快適性が低下することを防ぐことが可能となる。
尚、本発明では「化合物」と「混合物」という言葉を使用しているが、化合物とは2種以上の原子が化学結合によって結びついている物質のことであり、混合物とは化合物が機械的に混ざり合っているものをさす。
以下、実施例によって、本発明を詳説するが、本発明は実施例の記載に限定されるものではない。
(実施例1)
予め化学組成をICP発光分光分析法で決定した表1のA〜Eのステンレス鋼試料に対して、Mn含有の有無の判定を行い、その検出感度を比較することで、発色剤に加え、酸に不溶性の白色物質(酸不溶性白色物質)を加えることの効果を確認した。すなわち、7.5mol/L硝酸と0.5mol/LのNaClからなる常温の酸液(酸液No.1)を作製し、これら#320研磨された金属試験片の表面に約100μL滴下し、黄色化を確認(この間およそ5秒)した後に粉末状の分析用組成物約0.05gを液滴の中心付近にすぐに加え、液滴を目視で観察し、紫色への変色有無(Mn含有の有無)を調査した。分析用組成物としては、NaBiO3とTiO2粉末をほぼ等容積ずつ均一に混合した粉末(分析用組成物No.1)と、NaBiO3のみで酸不溶性白色物質を含まないもの(分析用組成物No.2)を比較した。
結果を表2に示す。ここで陰性とは液滴に紫色の変色が見られなかったもの、陽性とは程度の差異はあるものの紫色の変色を確認できたものであり、陽性とはMnを含有していることを検出できていることにあたる。発色がかすかな際には、発色剤が液滴に均一に混ざり、しかも酸不溶性白色物質が金属表面に広がるように、細いガラス棒で分析用組成物をかき回した。表2に示すように、白色物質を含む組成物を使用した本発明では、1.58%のMn含有を検出することができたが、白色物質を加えない比較例では9.45%Mnのみを検出できただけである。このように発色剤に加え酸に不溶性の白色物質を加えることで、金属表面の色調や表面の反射に妨害されずに、液滴の発色状態を鮮明に認識でき高い分析感度を実現できることが分かった。尚、この結果から、ここで作製した分析用組成物No.1での分析下限は概ね1%Mn程度であると推定される。
そこで、今度は、これら金属試料A〜Eに対して得られた酸液No.1と分析用組成物No.1での発色状態に基づいて紫色の濃さの異なるMn含有量との関係を示した5段階の色見本を作製した。そして、色見本の作製には使用しなかった金属試料Fを、酸液No.1と分析用組成物No.1で分析し、色見本からMn濃度の定量を試みた。その結果、試験片FのMn含有量は3.25%越、6.15%未満との結果を得た。このように、分析値がピンポイントではなく、ある範囲としてしか得られないが、本発明は金属材料に対する簡便法としては従来にない高い定量分析精度を有することが確認された。これは、酸不溶性の白色物質を使用することで、金属イオンの発色状態を鮮明化すると共に、発色を見る際の地の色(白色)を統一することで、標準色見本の作製が可能となったためである。
同様に、金属試料A〜Eに対して得られた酸液No.1と分析用組成物No.1での発色状態をデジタルカメラで撮影し、BMP形式の画像ファイルとして電子媒体に記録し、液滴の色調をRGB値として読み取り検量線作製した。そして、作製した検量線を用い、試料FのMn濃度を分析した結果、Mn含有量5.02%との結果を得た。同じく、金属試料A〜Eに対して得られた酸液No.1と分析用組成物No.1での液滴の色調を光ファイバーで分光光度計に導き525nmの吸光度とMn濃度との検量線を作製した。そして作製した検量線を用いて、試料FのMn濃度を分析した結果、Mn含有量4.24%との結果を得た。尚、吸光度計測のブランク試料は、純水の液滴に分析用組成物No.1を加えた状態を使用した。このように発色度合い(吸光度)を機器計測し、予め作製した検量線と比較照合することで、簡便で、しかも精度の高い分析を行うことが可能となることが分かる。
Figure 0004409327
Figure 0004409327
(実施例2)
ICP発光分光分析法で化学組成を決定した表3に示す金属材料のMn含有量に関して、最初に付着させる酸液の組成を変えて検討を行った。ここで、金属GとHは比較的Mn添加量の高いステンレス鋼、IはMn添加量が低くMoを加えた耐食ステンレス鋼、JはややMn添加量が高く更にMoとNiも多く添加された高耐食ステンレス鋼である。また、KはNi基合金、LはTi合金である。尚、表中「−」は含有量をICP発光分光分析法で決定しなかったことを意味している。
分析結果を表4に整理した。ここでは、Mnイオンに対する紫色変色有無を意味する陰性・陽性に加え、酸液を滴下して5秒後の酸液滴の色調も観察し記載した。尚、金属試験片は#320研磨したものを用いた。酸液としては、7.5mol/L硝酸と0.5mol/LのNaClの常温の酸液(酸液No.1)に加え、7.5mol/L塩酸(酸液No.2)を比較調査した。また、分析用組成物としては、先の実施例と同じく、NaBiO3とTiO2粉末をほぼ等容積ずつ均一に混合した粉末(分析用組成物No.1)を用いた。
その結果、表4に示すように、「酸液No.1+分析用組成物No.1」の組み合わせの場合、G〜Jのステンレス鋼に関しては、分析用組成物No.1のMn分析下限がおよそ1%と推定されることから、試験片G(2.86%Mn)=陽性、試験片H(7.85%Mn)=陽性、試験片I(0.25%Mn)=陰性、試験片J(3.25%Mn)=陽性、という正確な判定を行うことができた。しかし、酸液No.2を使用した例では、高耐食ステンレス鋼である試験片Jに陰性反応がでた。このように、耐食性の高いステンレス鋼を含めステンレス鋼全般をカバーする際には、酸液が5mol/L以上の硝酸イオンと0.1mol/L以上の塩化物イオンを含む溶液であることが好適であることが分かる。すなわち、硝酸イオンに加え金属材料の溶解を促進する成分(ここではステンレス鋼に対する塩化物イオン)を含む酸液を使用することが、短時間に金属を溶解し、分析感度を高めるうえで好適であることが分かる。
また、表4には、Ni基合金とTi合金の分析結果も示した。試料K、L共に、使用した分析用組成物の感度以上のMnを含有しているが、酸液No.1およびNo.2共に陰性反応であった。これは、いずれも金属試験片の耐食性が高く、酸液で下地金属を充分溶解することができなかっためである。しかし、酸液No.1は硝酸イオンを添加しているため酸液が黄色化が起こらず、分析によりMnイオン陰性反応が信憑性のないことが判定できる。これに対して、硝酸イオンを含まない酸液No.2では、たとえ下地金属を侵食できた場合でも液が変色することはないため試料KとLに対するMnイオン陰性の信憑性を疑うことはできない。その結果、現実にはMnを含有するものの、耐食性が高く酸液に侵食が足りなかったことが原因であるにもかかわらず、Mnを含有しないという誤って結果を得てしまうおそれが強い。このように、酸液として、硝酸イオンを含む溶液を使用することが好適であることが分かる。
また、表5は、酸液No.3(7.5mol/L 硝酸+1mol/Lフッ酸+0.5mol/L NaCl混合液、25℃)と、前述の分析用組成物No.1を用い試験片KとLを分析した結果である。HFを酸液に加えることで、これら耐食材料の分析を行うことができることが分かる。F-はハロゲン化物イオンであり、強い金属溶解性を示すイオンである。このように、耐食性の高い素材を対象とする際には、硝酸イオンに加え金属材料の溶解を促進する成分(この場合にはF-)を含む溶液を使用することが好適であることが分かる。
Figure 0004409327
Figure 0004409327
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(実施例3)
先の表1に示したA〜EのMn添加ステンレス鋼試料(表面#320研磨)に対して、種々の分析用組成物の効果を調査した。結果を表6に示す。酸液No.1を金属材料表面に滴下し、黄色化を確認(この間およそ5秒)した後に、直ちに分析用組成物を加え発色状態を目視で確認した。陽性とはMnイオンの存在を示す紫色の発色が得られたことを示す。*印を付けて[陽性]と示したものは、発色が極めて弱く判断に迷ったため、ステンレス板をホットプレートで80℃に加温した上で、酸液の付着と分析用組成物の添加を再度行い80℃で発色反応が得られことを示している。また、**印を付けて、<陰性>と示したものは、ステンレス板をホットプレートで80℃に加温することでも発色反応を確認することができなかったことを示している。
ここで使用した分析組成物中の酸化剤であるが、KIO4、K228、Bi24、Bi25、NaBiO3(「A群」と呼称する)は、Mn2+を1g/L含有する0.5mol/L 硝酸水溶液に、これら試薬を加えると溶液が紫色に変化することから、+6価以下の低次Mnイオンを+7価のMnO4 -に変える酸化剤であることを確認できた試薬である(KIO4、K228は80℃加熱で変色確認、他は25℃)。これに対して、NaIO3、NaClO4、Bi23(「B群」と呼称する)は、80℃加熱の同じ操作において、Mn2+を+7価のMnO4 -に変えることができないことが確認された試薬である。しかし、いずれも、Feなどの遷移金属に対しては、貴な酸化還元電位を有する酸化剤という点では共通している試薬化合物である。
すなわち、表6に示すように、Mnイオンを+7価のMnO4 -に変える酸化力を有する試薬を発色剤として使用することで、金属材料の表面に分析試薬を付着させ、その色調変化から材料組成を判定する手法において、Mn含有有無を精度良く検出できることが分かる。
Mnの+6価以下の低次イオンをMnO4 -に変えるということから、
MnO4 - + 8H+ +5e- = Mn2+ + 4H2
およそ1.5Vである、この反応の平衡電位を越える化合物であれば同様の効果を示すことは明らかである。表6に示した化合物のうち、日本化学会編「化学便覧」(ページII−473、丸善、1984年発行)に酸化還元電位が掲載されているのものを示すと、
[A群(本発明)]KIO4(1.653V)、K228(2.123V)
[B群(比較例)]NaIO3(1.195V)、NaClO4(1.19V)
となっており、実施例に示した以外の化合物であっても、酸化還元電位(25℃、水素電極基準、pH=0)が1.5Vを越える化合物であれば良好な結果が得られることが分かる。
また、表6のNo.5の分析用組成物は、Bi24(Biが+3価と+5価の混合原子化状態をとる)の例である。これは、+5価のBiを含むためMnイオンを紫色化する作用を有し、3.25%であればMnを検出できることが分かる。同じく、分析用組成物No.6はBi25であり、これは全てのBiが+5価であり、No.5よりも分析限界濃度が低く高感度であることが分かる。
一方、比較例であるNo.11の試薬はBi23であり、Biを含有するものの、その価数が+3価であり、MnイオンをMnO4 -まで酸化する作用もなく、金属材料の表面に分析試薬を付着させ、その色調変化から材料組成を判定する手法において、Mn含有有無を特に高感度に検出するには、+5価のBiを含む化合物を使用することが良好な結果を導く必要要件であることが分かる。
更に、分析用組成物No.7はNaBiO3の例である。これら実施例中最も感度が高い。発色も綺麗であったことから、最も好適な試薬であることが分かる。NaBiO3の作用の本質は、BiO3 -イオンであり、K塩であっても全く同じ効果を示すことは自明である。
また、分析用組成物No.8は、発色剤と酸不溶性白色物質に加え、香料を加えたものである。5人の被験者に対して、分析作業の快適性に関して調査した結果、5人中4人が、香料なしのNo.7に比較し、香料入りのNo.6の分析用組成物の方が作業時に快適感を感じたとの回答を得た。したがって、作業快適性を高める際には、分析有効成分に加え、香料を含有する分析用組成物を使用することが有効である。
Figure 0004409327
(実施例4)
表7に示す各種金属材料(表面#320研磨)に対して、表8に示す酸、発色剤、酸不溶性白色物質などを用い分析を実施し本発明の有効性を確認した。結果も表8に整理した。
実施例(1)はMo含有の確認へ適用した例である。発色剤を2種類使用し酸化と有色錯イオン形成を同時に行うように分析用組成物を調合した。発色剤の内、NaIO4は酸化作用を、CH363(SH)2は錯イオン形成作用を分担している。酸化剤種類を選ぶことで、Mnイオンの妨害を低く抑えている。
実施例(2)はTiを分析した例である。この例では、H22が唯一の発色剤成分であるが、これは酸化作用に加え有色錯イオン形成の2つの作用を兼ね備えている。ここでも酸化剤としての能力が+5価のBiを含む化合物よりも低いH22を使い、Tiイオンを低次なものから高次なものに酸化しているため、Mnの妨害を排除することができている。このように、金属イオンを酸で溶出した低次のものから、発色に適した高次のものに酸化する際には、目的とする物質の酸化還元電位と薬剤の酸化還元電位や酸化特性を考え合わせ最適なものを選別することで、他金属イオンの妨害を排除することができる。
実施例(3)はPbを分析した例である。この例では、発色剤は有色錯イオン形成作用を有するものであり、アルカリ域で強い発色が得られる試薬を使用している。このため、分析用組成物にpH調整剤を添加した。また、この例では、酸化作用のある薬剤は使用していないことから、このためCrやMnなどの酸化剤により発色妨害が出やすい金属の影響を極めて低く抑えることができている。
実施例(4)は、Crを分析した例である。ここでも発色剤を2種類使用している。NaIO4は酸化作用を、(C65NHNH)2COは有色の錯イオン形成作用を分担している。この例でも、酸化剤の種類を選ぶことで、Mnイオンの妨害を低く抑えている。
以上のように、Mn以外の金属元素であっても、特定の金属イオンを有色化する成分(発色剤)と、酸不溶性白色物質を加えることで、精度良く簡便に金属材料の組成を分析できることが分かる。
Figure 0004409327
Figure 0004409327
本発明の特徴である酸不溶性白色物質が金属表面に沈着層を形成し、金属表面色や反射光の影響を排除し、発色剤による液滴の着色度合いを鮮明化する機構を、従来技術との対比を含めて模式的に示したもの。 酸液を後から滴下した場合であっても、ミクロ的には最初に酸液を付着させ後から分析用組成物を加えることと同一な例。
符号の説明
(a):従来技術の一例
(b):本発明の例
(c):分析用組成物をまばらに付着させた後に、酸を滴下した例
(d):大きな分析用組成物を置き、その後に酸を滴下した例

Claims (19)

  1. 金属材料の表面に薬品を付着し、その着色度合いから金属材料の成分を判定する手法において、金属溶解用の酸液であってハロゲン化イオンを含むものを付着し、続いて、この酸液に対し不溶性の白色成分(酸不溶性白色物質)と特定の金属イオンを有色化する成分(発色剤)を加えることで、金属表面に白色の沈着物層を形成し金属イオンの着色を鮮明化した上で、その着色度合いから特定成分の含有量を判定することを特徴とする金属材料の簡易成分分析法。
  2. 金属溶解用の酸液が、硝酸イオンを含むことを特徴とする請求項1記載の金属材料の簡易成分分析法。
  3. 請求項1又は2記載方法において、金属溶解用の酸液が、酸と固体塩の混合溶液であることを特徴とする金属材料の簡易成分分析法。
  4. 酸不溶性白色物質と発色剤が、混合された粉末、顆粒もしくは錠剤であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の金属材料の簡易成分分析法。
  5. 酸不溶性白色物質が、酸化チタンもしくは酸化ケイ素のいずれか、もしくはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の金属材料の簡易成分分析法
  6. 金属材料の成分分析元素がMnの場合、発色剤として、+6価以下の低次Mnイオンを+7価のMnO4 -に変える酸化剤を使用することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の金属材料の簡易成分分析法。
  7. 酸化剤が、+5価のBiを含む化合物であることを特徴とする請求項記載の金属材料の簡易成分分析法。
  8. Biを含む化合物が、KBiO3もしくはNaBiO3あるいは、これらの混合物であることを特徴とする請求項記載の金属材料の簡易成分分析法。
  9. 金属材料がステンレス鋼であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の金属材料の簡易成分分析法。
  10. ステンレス鋼の簡易成分分析法であって、溶解溶液が5mol/L以上の硝酸イオンと0.1mol/L以上の塩化物イオンを含む溶液であることを特徴とする請求項記載の金属材料の簡易成分分析法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の簡易成分分析法において、溶液の着色度合いを予め作製した色見本と比較することで特定成分の含有量を定量分析することを特徴とする金属材料の簡易成分分析法。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載の簡易成分分析法において、溶液の着色度合いをカメラで撮影し、撮影画像の色調を予め作製した色見本と比較することで特定成分の含有量を定量分析することを特徴とする金属材料の簡易成分分析法。
  13. 請求項1〜10のいずれかに記載の簡易成分分析法において、溶液の着色度合いを分光光度計で測定し特定成分の含有量を定量分析することを特徴とする金属材料の簡易成分分析法。
  14. 発色剤と酸不溶性白色物質が混合されている金属材料の簡易成分分析用組成物であって、酸不溶性白色物質が、酸化ケイ素、もしくは酸化チタン酸化ケイ素混合物であることを特徴とする金属材料の簡易成分分析用組成物。
  15. 簡易成分分析用組成物が、顆粒もしくは錠剤状に成形されたものであることを特徴とする請求項14記載の金属材料の簡易成分分析用組成物。
  16. Mnイオンの発色剤が、+6価以下の低次Mnイオンを+7価のMnO4 -に変える酸化剤を含むことを特徴とする請求項14又は15に記載の金属材料の簡易成分分析用組成物。
  17. 酸化剤が、+5価のBiを含有する化合物であることを特徴とする請求項16記載の金属材料の簡易成分分析用組成物。
  18. +5価のBiを含有する化合物が、KBiO3もしくはNaBiO3あるいは、これらの混合物であることを特徴とする請求項17記載の金属材料の簡易成分分析用組成物。
  19. 香料を含有することを特徴とする請求項14〜18記載のいずれかの金属材料成分の簡易成分分析用組成物。
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