JP4409124B2 - 介護用マット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マット本体の表面からエアーを送出する介護用マットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、マット本体の表面からエアーを送出して、寝たきりの使用者の床擦れを防止するように構成した介護用マットは、特開平10−201799号公報で示されるように既に知られている。
上記公報の介護用マットは、マット本体の表面に凹入部を複数形成し、該凹入部内にビーズ状の通気性を有するクッション部材を充填し、該クッション部材中に送気管を介してエアーポンプから乾燥エアーを送給する構成にしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
然し、上記公報のような構成による介護用マットは、マット本体の表面に複数の凹入部を個々に陥没状に形成する加工が、マット成型時に同時行うことが困難で、また連続的な切削加工もできず煩雑になると共に、クッション部材の充填を要するので、構造及び製作が複雑でコスト高になる等の欠点がある。
また使用者の患部等の要部に対し、エアーを効率よく集中的に送給することや、軽量化をさせて取扱い性の向上を図ることも困難である等の課題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記従来の課題を解決するための本発明による介護用マットは、第1に、マット本体2の表面側に上向きに開口した凹溝状の通気路20を設け、該通気路20内に送気装置5と連通する送気管3を沿設すると共に、送気管3の管路方向に使用者の身体の所定部位に対し集中的に送気を行う送気孔3aを開設し、且つ該送気孔3aより小径な補助送気孔3bを周壁に多数形成し、上記送気管3に対し管体方向にスライド可能に閉鎖部材6を設け、該閉鎖部材6をスライド移動させることによって送気管3に開設した複数の送気孔3aを選択可能に開閉させ、集中的に送気を行なう位置を変更調節する。
【0005】
第2に、マット本体2の長手方向に複数の通気路20を略平行状に形成し、各通気路20内に送気管3を配設すると共に、各送気管3をマット本体2の一側に設置されて送気装置5と連通する分配管4と連結し、これらの上方を通気性を有する補助マット1aで被覆している。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図面において符号1は本発明に係わる介護用マットであり、使用者が身体を延ばした状態で寝ることができるように、一般的な大きさと方形状に形成された連続気泡のウレタン製のマット本体2に、その表面の所定部位に上向きに開口した凹溝状の通気路20を刻設すると共に、該通気路20内に使用者の身体の所定部位に対し、集中的に送気を行う送気孔3aと、該送気孔3aより径小な補助送気孔3bを管路方向に多数有した送気管3を沿設し、該送気管3を送気装置5と連通している。
【0007】
そして、図示例の介護用マット1は、マット本体2の長手方向に複数の通気路20を略平行状に形成し、各通気路20内に送気管3を各配設すると共に、各送気管3をマット本体2の一側に設置された送気装置5と連通する分配管4で接続し、これらの上方を通気性を有する補助マット1aで被覆し、該補助マット1aの上部の全体を敷布1bで覆っている。
【0008】
以下各部の詳細な構成について説明する。マット本体2は、シングル用ベッドとして一般的な方形状で、縦長さが略1900ミリ程度で横長さ(巾)が略900ミリ程度とし、厚さを略80ミリ程度にしている。
そして、図1〜図3で示すように巾の中心部及びその両側に略170ミリ程度離間させた位置において、凹溝状の3本の通気路20を深さ略20ミリ、巾15ミリ程度の大きさでマット本体2の全長と同長さに形成している。
【0009】
これにより、マット本体2と通気路20の形成を、例えばウレタン材の押し出し成形加工機によって同時連続的に形成することができ、帯板状に長く形成された部材を、その後に所定のマット長さに巾方向切断するだけで、マット本体2を簡単に製作することができる。
また平板状に形成されたブロック状のマットの場合に、その表面に対し凹溝切削加工によって通気路20を形成するときは、マットの一側から他側に向けて切削具をストレート状に移動させるだけで、通気路20を一連に簡単に形成することができる等の利点があり、両端を開放端に形成した通気路20であっても、後述する本発明の構成によって、送気装置5から送給される温風等の送気(エア)を、通気路20の開放端から無駄に漏出させることを防止することができるようにしている。
【0010】
また、図示例のマット本体2は、使用者の足部が位置する下手側端から略250ミリ程度の位置に、前記3本の通気路20を巾方向の一側に向けて横断するように切欠した配管路21を、前記通気路20よりもやや大きな凹溝状に刻設形成し、配管路21内に分配管4を配管した状態で各送気管3を接続し、両者をマット本体2の表面から突出しないようにしている。
尚、上記マット本体2は、マット本体2及び送気管3を可撓性を有する部材で形成しているので、従来のものと同様に図示しない屈曲可動方式のベッド枠上に設置し、起伏自在に使用することもできる。
【0011】
次に、送気管3及び分配管4について説明する。先ず送気管3は、その先端部を止め栓30で封止すると共に、送気孔3aを上向きにした状態で通気路20内に沿設し、基部側を分配管4に突設した接続管40で接続支持する。
また、送気管3に開口させる送気孔3aは直径5ミリ程度とし、図3に示すように足部側に送気せしめる送気孔31を分配管4から所定間隔L1(略100ミリ程度)隔てた位置に開口させていると共に、これより長い間隔L2(略500〜600ミリ程度)上手側に送気孔32を開口し、さらに送気方向下手側に小間隔L3(略100ミリ程度),同L4(略100ミリ程度),同L5(略70ミリ程度)の距離を有して、送気孔33,34,35を開設し、使用者の腰部及び足首部等の要部に対し、主として集中的に送気を行うようにしている。尚、この他送気孔3aは使用者の患部等の要部に対して送気を行うように任意に開設してもよい。
【0012】
またこの実施形態において送気管3は、例えば株式会社ユニホース社製の「シーパーホース」のような、無数の補助送気孔(ミクロ状孔)3bを有する多孔質状の可撓性パイプを用いるとよく、この場合には送気管3に各種の送気孔3aを前記の送気孔31,32,33,34,35等のように開設するだけで、補助送気孔3bの機械的な孔明け加工を不要にすることができると共に、管路全体のミクロ状の補助送気孔3bから緩やかに送気をして、管路内の送気圧を抑制しながら送気孔3aによる送気を緩やかにして、送気孔3aにおける噴出音の発生を抑制することができる等の特徴がある。
【0013】
上記「シーパーホース」は、ゴム樹脂或いは合成樹脂等のホース素材中に、エアーや水を活性化させると共に温熱効果等で知られる高活性セラミックパウダー等を混入して、製造過程において無数のミクロ状孔を多孔質状に可撓性を有して成形されたものであり、主として地中に埋設された状態で、ホース中に送水した水をミクロ状孔から植物に対し送給する灌水パイプとして、汎用されているものである。
尚、上記のような多孔質状の送気管3を用いない場合には、送気孔3aよりも小径な補助送気孔3bを送気管3の略全長に孔明け加工によって形成する。
【0014】
また上記送気孔3aは、図3,図4で示すように例えば足部等の特定の送気孔31の近防に使用者の身長差や患部の位置に対応させる上で、補正用の予備送気孔31aを開口すると共に、該予備送気孔31aと送気孔31を択一的に閉鎖可能なシャッター(閉鎖部材)6を設け、該閉鎖部材6は送気管3に弾力性を有して管体方向にスライド可能に嵌挿したCリング状のシャッターにしている。
これによれば、マット本体2上に使用者が腰部の中心を例えば送気孔33を基準孔位置にして寝た状態において、閉鎖部材6を送気孔31を閉鎖するように移動させると、送気方向下手側の送気孔31aを開放するので、この部に対する集中的な送気位置を簡単な構成によって容易に変更調節することができ、介護用マット1を快適に使用することができる等の特徴がある。
尚、閉鎖部材6及び予備送気孔31aは、必要により他の送気孔32,33・・等にも設置するとよい。
【0015】
また分配管4は、可撓性を有する連結管40を介してマット本体2の外部の所望位置に設置される送気装置5と連結していると共に、各通気路20の下手側に位置して配管路21内に横設していることから、通気路20の下手側を横断状態に閉鎖するので、ストレート状の凹溝に形成された通気路20の下手側開放端から、通気路20を流れるエアーの漏出をせき止めて抑制する遮断部材を兼ねるようにしている。
また通気路20の他側は、前記止め栓30を径大に形成するか、或いは通気路20内に気密に嵌入する閉鎖部材25を設置することによって閉鎖する。
【0016】
また本発明の介護用マット1は、前述のように分配管4をマット本体2に直接的に設置してもよいが、図示例のように平板を側面視でL字状に屈曲させ、底面部70と起立面部71とを形成した介装部材7を配管路21に嵌挿設置して配管すると、介護用マット1の性能をより向上させることができる。
即ち介装部材7の底面部70は、配管路21の底部に敷設させた状態で、その上面に分配管4を載置することにより、温風で加熱状態の分配管4とマット本体2との間の断熱部材になり、マット本体2の加熱を防止して耐久性及び熱効率の向上を図るようにしている。
【0017】
そして起立面部71は、分配管4の背後に起立して後方側の通気路20の開口端部を閉鎖状に塞ぐので、この部からのエアーの漏出を的確に防止すると共に、マット本体2と分配管4の直接的な接触を防止する等の利点がある。
また、この実施形態において介装部材7は、イオン発生用金属部材(マイナスイオン化部材)としての作用効果が顕著で且つ比較的廉価で加工も行い易い銅板を用いている。
これにより、介装部材7に接触するエアーをマイナスイオン化させて、マット本体2をマイナスイオン雰囲気にし、使用者にマイナスイオン化させたエアーを簡潔な構成を以て送給し、エアーの送給効果に併せてマイナスイオン作用も簡単に付与することができる等の特徴がある。
【0018】
尚、上記イオン用金属部材は銅部材に限ることなく、湿気水分の殺菌や滅菌並びにマット中の微生物の駆除等に有効な金属イオンを出す銀やチタン並びにこれらの化合物等からなるマイナスイオン化部材を触媒部材として用いてもよい。
また上記触媒部材は適宜な形状を以て通気路20内に敷設したり、送気管3に巻き付けるようにしてもよく、この場合触媒部材は編目状又は布織状に構成するとよい。
【0019】
更に、送気管3をマイナスイオン化部材で直接的に形成するようにすると、更に効果的に使用することができる。
即ち、この場合には前記多孔質状の送気管3の製造過程において、ホース素材中にエアーや水を活性化させると共に温熱効果等で知られる高活性セラミックパウダー等を配合する際に、これに併せて上記のようなマイナスイオン化部材をパウダー状で混入することにより簡単に製作することができ、またその使用においては、送気管3中で流動するエアーがホース素材中のマイナスイオン化部材と勢いよく接触するので、マイナスイオン化されたエアーを、送気孔3a及び多孔質状の補助送気孔3bから、簡潔な構成を以て効果的に送出することができる等の特徴がある。
【0020】
次に図6,図7を参照し送気装置5について説明する。この送気装置5は、マット本体2の外部で所定の位置に設置可能な機箱(コントロールボックス)5aに、送風機50とその送風口に連なる加熱部51と、両者の運転操作を送風量調節及びエアー加熱温度調節可能に司る送風スイッチ52及び加熱スイッチ53等からなる操作部55とを設置している。
そして上記加熱部51は、中空筒内にヒーター56を内装し送風機50側から送給されるエアーを加熱するようにしており、集束された先端部の送出筒57から加熱エアー(温風)を送出し、該送出筒57に銅製のマイナスイオン化部材からなるワンタッチ型接手等の接手41を介し、連結管40を着脱可能に取着し、該連結管40を介し温風を分配管4側に向けて送出するようにしている。
また加熱部51の送出側には温度センサ58を設け、前記加熱スイッチ53で設定された調節温度となるように、温度検知制御を行うことができるようにしている。
【0021】
以上のように構成した介護用マット1は、通気路20及び配管路21内に送気管3と分配管4を設置した状態のマット本体2に、補助マット1a及び敷布1bを敷設した状態で、畳等の床面上又は適宜の構成からなるベッド枠上に載置して簡単に使用することができ、また操作部55の操作によって送気装置5から連結管40,分配管4,送気管3を介し、所望の温度と風力の温風を3本の送気管3に送給する。
これにより、各送気管3に形成した複数の送気孔3aから、使用者の身体の各適所に向けて温風を送出すると共に、管体の略全長に均一に形成したミクロ状孔の補助送気孔3bからも温風を緩やかに送出し、これらの温風は補助マット1a及び敷布1bを通過する際に全体に拡散させながら送出する。
従って、介護用マット1の使用環境を好適に維持して快適な使用を可能にすると共に、寝たきりの身体と介護用マット1の接触面でも通気を円滑に行うので、床擦れ等の改善及び防止効果を奏することができる。
【0022】
このとき、マット本体2の表面側に上向きに開口した凹溝状の通気路20を刻設し、該通気路20内に送気装置5と連通する送気管3を沿設すると共に、送気管3の管路方向に使用者の身体の所定部位に対し集中的に送気を行う送気孔3aを開設し、且つ該送気孔3aより経小な補助送気孔3bを管体方向に多数形成してなる介護用マット1は、送気管3の特定カ所に開口した送気孔3aから温風を送出する際に、管体の略全長に形成している補助送気孔3bからも温風を緩やかに送出しているので、送気装置5から連続的に送給される温風を径大な送気孔3aから送出させても比較的緩やかに送出されることになり、送気孔3aから送出される温風が該送気孔3aから集中的に噴出されることに伴う、エアー噴出音(騒音)を低減させることができ、またその上方の補助マット1aによってもこれを拡散して抑制する。
【0023】
従って、本発明による介護用マット1は、従来のもののように騒音によって使用を妨げることなく、また送気孔3aと補助送気孔3bによってマット本体2の要部の略全面に送気をすることができるから、送気管3に各種の送気孔3aを選択的に形成するだけの簡潔で廉価な加工手段によって、使用感覚を向上せしめ快適な使用を可能にすることができる等の利点がある。
尚、送気管3は上記のような多孔質状のパイプを用いない場合には、送気孔3aの他に補助送気孔3bを多数形成することによって行うことができる。
【0024】
またこの際、マット本体2の長手方向に複数の通気路20を略平行状に形成し、各通気路20内に送気管3を配設すると共に、各送気管3をマット本体2の一側に設置されて、送気装置5と連通する分配管4と連結してなる介護用マット1は、マット本体2の長手方向に沿って通気路20を一側から他側に向けてストレートな凹溝状に形成し送気管3を設置するので、複数の通気路20の成形をマット本体2の成型時に連続的な加工によって同時に行うことができる。
そして、分配管4は通気路20を横断するように設置し仕切り部材として兼用させるので、ストレート凹溝状の通気路20から温風の漏出を防止し温風の利用効率を向上せしめながら、簡潔で廉価な構成の介護用マット1を提供することができる等の利点がある。
【0025】
尚、本発明の実施形態では介護用マット1はベッド状のものを図示したが、これに限ることなく、例えば椅子に載置して使用したり、車両等のシートにも簡単に使用することができる。
また送気装置5は、図1,図2の点線で示すようにマット本体2の内部にコンパクトに纏めて組み込んだり、側面に直接的に装着してもよく、また空調機器と連結したり、用途によってはこれと置き換えてもよい。
【0026】
【発明の効果】
以上のように構成した本発明は、次のような効果を奏することができる。
(1)マット本体の表面側に上向きに開口した凹溝状の通気路を刻設し、該通気路内に送気装置と連通する送気管を沿設すると共に、送気管の管路方向に使用者の身体の所定部位に対し集中的に送気を行う送気孔を開設し、且つ該送気孔より経小な補助送気孔を管体方向に多数形成した介護用マットにすることにより、エアーを大きな吹き出し音を伴うことなく、送気孔から身体の要部に向けて送出すると共に、マット本体上にエアーを緩やかに送ることができ、使用しやすい介護用マットを提供することができる。
【0027】
(2)マット本体の長手方向に複数の通気路を略平行状に形成し、各通気路内に送気管を配設すると共に、各送気管をマット本体の一側に設置されて送気装置と連通する分配管と連結し、これらの上方を通気性を有する補助マットで被覆したことにより、マット本体に通気路を簡単に形成することができると共に、送気管及び分配管をマット本体に突出させることなく、製作を簡単に行うことができる高性能な介護用マットを提供する。
【0028】
(3)送気管に開設した複数の送気孔を、閉鎖部材によって選択可能に開閉するようにしたことにより、使用者の身長差や異なる患部の位置に対応させて、集中的な送気位置を調節し快適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる介護用マットの斜視図。
【図2】 図1の横断面図。
【図3】 図1の縦断面図。
【図4】 図1の送気管と分配管等の構成を示す分解斜視図。
【図5】 通気路及び送気管の構成を示す拡大断面図。
【図6】 送気装置の斜視図である。
【図7】 送気装置の側面一部断面図である。
【符号の説明】
1 介護用マット
2 マット本体
3 送気管
3a 送気孔
3b 補助送気孔
4 分配管
5 送気装置
6 閉鎖部材(シャッタ)
7 介装部材(マイナスイオン化部材)
20 通気路
21 配管路
Claims (2)
- マット本体(2)の表面側に上向きに開口した凹溝状の通気路(20)を設け、該通気路(20)内に送気装置(5)と連通する送気管(3)を沿設すると共に、送気管(3)の管路方向に使用者の身体の所定部位に対し集中的に送気を行う送気孔(3a)を開設し、且つ該送気孔(3a)より小径な補助送気孔(3b)を周壁に多数形成し、上記送気管(3)に対し管体方向にスライド可能に閉鎖部材(6)を設け、該閉鎖部材(6)をスライド移動させることによって送気管(3)に開設した複数の送気孔(3a)を選択可能に開閉させ、集中的に送気を行なう位置を変更調節する介護用マット。
- マット本体(2)の長手方向に複数の通気路(20)を略平行状に形成し、各通気路(20)内に送気管(3)を配設すると共に、各送気管(3)をマット本体(2)の一側に設置されて送気装置(5)と連通する分配管(4)と連結し、これらの上方を通気性を有する補助マット(1a)で被覆してなる請求項1の介護用マット。
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