JP4407832B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents
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Description
ところが、エンジンが停止する際には、圧縮行程にある気筒のピストンによる残留空気の圧縮圧力や、エンジン各部の摩擦抵抗、或いはバルブスプリングの付勢力がカムシャフトを介してクランク軸に作用する、いわゆるカム反力などクランク軸に作用するさまざまな力が寄与することによってピストンが停止する。このため、エンジン停止の際の各気筒におけるピストンの停止位置は一定せず、膨張行程気筒のピストンが例えば上死点近傍で停止していたような場合には、エンジンを始動可能な燃焼力を得るために必要な燃焼室容積が確保できずに、エンジンを始動できなくなる可能性がある。一方、膨張行程気筒のピストンが下死点近傍で停止していたような場合には、膨張行程気筒内の燃料の燃焼によりエンジンを始動しようとしても、始動に必要なピストンストロークを確保できずエンジンを始動できなくなる可能性がある。
また、膨張行程気筒のピストンが上死点近傍にあって十分な燃焼室容積が確保できず、エンジンの始動に必要な燃焼力が得られないような場合、上記特許文献1の始動装置ではエンジンを始動することができない。
このように構成されたエンジンの制御装置によれば、エンジンが停止状態にあって上記ピストン位置検出手段によって検出されたピストン位置が上記第1所定位置より上死点側にあるときには、ピストン位置が上記第1所定位置から上記第2所定位置までの間の位置となるまで、膨張行程にあると判別された気筒への空気の供給が行われることにより、膨張行程にあると判別された気筒のピストンが上記第1所定位置から上記第2所定位置までの間の範囲内に移動する。
このように構成されたエンジンの制御装置によれば、エンジンを始動する際にはエンジン停止時に膨張行程にあったと判別された気筒に対し、燃料噴射弁から燃料を供給し、点火プラグで上記供給燃料を点火することによって生じる燃焼圧によりピストンが押し下げられ、エンジンが始動する。好ましくは、燃料噴射弁から燃料を供給すると共に空気供給手段から空気を供給することにより、供給燃料の点火による燃焼圧を増大させることができる。
また、エンジン停止時に膨張行程にあった気筒のピストンが、次のエンジン始動の際に燃料の燃焼圧でエンジンを始動することが可能なピストンストロークを確保できずにエンジン始動が困難となる下死点近傍の位置で停止しても、エンジン停止の際に圧縮行程にあった気筒に空気供給手段から空気が供給されることにより、当該圧縮行程にあった気筒のピストンが下死点側に移動することにより上記膨張行程にあった気筒のピストンが上死点側に移動するので、確実にエンジンを始動することができる。
また、請求項2のエンジンの制御装置によれば、エンジン停止時に膨張行程にあった気筒や圧縮行程にあった気筒への空気の供給によって、膨張行程にあった気筒のピストンが第1所定位置から第2所定位置までの範囲内に確実に移動するので、エンジン始動の際に必要な燃焼圧が得られる燃焼室容積と、エンジン始動に必要なピストンストロークの両方を確実に確保できる。従って、停止時に膨張行程にあった気筒に供給された燃料の燃焼圧によってエンジンをより一層確実に始動することができる。
図1の全体構成図に示すように、本実施形態のエンジン1は筒内噴射型直列4気筒エンジンとして構成され、各気筒には燃料噴射弁2及び点火プラグ4が設けられている。各気筒の燃料噴射弁2は気筒内、即ち燃焼室6内に燃料を直接噴射可能に構成され、各燃料噴射弁2には図示しない燃料ポンプから所定圧力で燃料が供給される。
一方、燃焼後の排ガスは図示しない排気カムによって駆動される排気弁18の開弁に伴って排気ポート20から図示しない排気通路、触媒及び消音器などを経て外部に排出される。
また、サージタンク22には、サージタンク22内の圧力、即ち吸気圧を検出する吸気圧センサ30と、サージタンク22内の温度、即ち吸気温を検出する吸気温センサ32とが設けられている。
ECU(制御手段)52は、燃料噴射制御や点火時期制御などエンジン1を運転するための運転制御をはじめ、総合的な制御を行うための制御装置であり、CPU、メモリ、タイマカウンタなどから構成され、様々な制御量の演算を行うと共に、その制御量に基づき各種デバイスの制御を行っている。
一方、ECU52は信号待ちや渋滞等による車両の停車中には、エンジン1を一時的に自動停止させるアイドルストップ制御を実行する。本実施形態ではエンジン停止条件として、車速センサ54により検出された車速が0km/hであること、ブレーキスイッチ58によりブレーキ操作が検出されていること、及びシフト位置センサ56により検出されたシフト位置がD(ドライブ)レンジ等の走行レンジ又はN(ニュートラル)レンジであることが設定されており、これらの条件が満たされると、ECU52は燃料噴射制御及び点火時期制御を中止してエンジン1を停止させる。
図2は始動停止制御のフローチャートを示すものであり、ECU52は車両の使用中にこのフローチャートに基づく始動停止制御を所定の制御周期で実行している。この始動停止制御はイグニションスイッチ60のOFF位置以外で常に実行され、運転者のキー操作により一旦アクセサリ位置に切換えられてエンジン1が停止した後、再始動された場合でも継続するように配慮されている。
こうしてエンジン1が停止すると、次の制御周期ではステップS2でエンジン1が停止していると判定することにより、処理はステップS8に進むようになる。
一方、このような始動停止制御と並行して、ECU52は図3のフローチャートに基づく始動準備制御を行っている。この始動準備制御は、上述のようにしてエンジン1が停止した後で再始動されるときに、確実にエンジン1が始動できるようにするための制御であり、図2の始動停止制御と同様に、所定の制御周期で実行され、イグニションスイッチ60のOFF位置以外で常に実行されるようになっている。
エンジン1が運転中であって、ステップS102でエンジン1が停止していないと判定した場合には、ステップS104に進んでエンジン停止フラグF1の値を0とした後に今回の制御周期を終了する。このエンジン停止フラグF1は、値が1であることによりエンジンが停止していることを示すものであって、現在はエンジンが停止していないので値を0とする。
ステップS106ではエンジン停止フラグF1の値が1であるか否かを判定するが、この制御周期はエンジン停止後の最初の制御周期であり、エンジン停止フラグF1の値は0のままであるので、ステップS108に処理が進んでエンジン停止フラグF1の値を1とする。
ステップS118に進んだ場合、即ちピストン位置Pがクランク角Pr1より小さい場合に設定される供給空気量Qaは、膨張行程気筒のピストン14の位置を第1所定位置よりも下死点側に移動させるために膨張行程気筒に供給すべき空気量として予め実験等で求められているものであって、膨張行程気筒のピストン14の位置が上死点側に近いほど供給空気量Qaが増大するようになっている。
ステップS106ではエンジン停止フラグF1の値が1であるか否かを判定するが、エンジン停止フラグF1はエンジン停止後の最初の制御周期で値を1とされており、この制御周期以降、処理はステップS108に進まずにステップS112に直接進む。
次にステップS114に進むと、前述のように、ステップS112で検出された膨張行程気筒のピストン位置Pが第1所定位置に対応した上死点後のクランク角Pr1より小さいか否かを判定する。
一方、エンジン停止後の最初の制御周期において、ステップS116で膨張行程気筒のピストン位置Pがクランク角Pr2より大、即ちピストン14が第2所定位置よりも下死点寄りにあると判定してステップS122に進んだ場合には、ステップS118で用いたものと同じマップを用い、ステップS112で検出した現在の膨張行程気筒のピストン位置Pに対応する供給空気量Qaを読み込む。
そして次のステップS124に進むと、蓄圧器38に蓄えられている圧縮空気がエアバルブ36の開閉制御により圧縮行程気筒内に供給され、そのときに供給される空気量はステップS122で読み込んだ供給空気量Qaとなる。こうして膨張行程気筒の燃焼室6に圧縮空気が供給されることにより、圧縮行程気筒のピストン14が押し下げられ、これに伴ってクランク角で180度先行する膨張行程気筒のピストン14が上死点側に移動し、今回の制御周期が終了する。
ステップS106ではエンジン停止フラグF1の値が1であるか否かを判定するが、エンジン停止フラグF1はエンジン停止後の最初の制御周期で値を1とされており、処理はステップS108に進まずにステップS112に直接進む。
次にステップS114に進むと、ステップS112で検出された膨張行程気筒のピストン位置Pが第1所定位置に対応した上死点後のクランク角Pr1より小さいか否かを判定する。膨張行程気筒のピストン14は、前回の制御周期で圧縮行程気筒に圧縮空気が供給されることにより、第2所定位置より下死点側にある状態から上死点側に移動されているが、圧縮行程気筒に供給された空気の量が過剰でない限り、ピストン位置Pがクランク角Pr1より小さくなることはない。従って、ここではピストン位置Pがクランク角Pr1以上であると判定してステップS116に処理が進む。
膨張行程気筒のピストン14は、前回の制御周期のステップS124で第2所定位置よりも上死点側に移動するのに必要な量の空気が圧縮行程気筒内に供給されることによって上死点側に移動しており、通常は第2所定位置よりも上死点側に移動しているはずであるが、エンジン温度や摩擦抵抗の変化、或いはエンジン1に結合されている補機の状態などにより、第2所定位置よりも上死点側に移動できなかった場合も起こりえる。
なお、仮に、ステップS118及びステップS120の処理によって膨張行程気筒内に供給された空気の量が過剰であることによって、膨張行程気筒のピストン14が下死点側に移動しすぎて第2所定位置よりも下死点側となるような事態が生じた場合には、次の制御周期においてステップS116の判定によって処理がステップS122に進み、圧縮行程気筒への圧縮空気の供給によって膨張行程気筒のピストン14が上死点側に移動されるので、膨張行程気筒のピストン14は確実に第1所定位置から第2所定位置までの範囲内に移動されることになる。
また、このときの膨張行程気筒のピストン14の移動は、膨張行程気筒もしくは圧縮行程気筒に設けられたエアバルブ36から蓄圧器38に蓄えられている圧縮空気を供給することによって行われるが、より確実なエンジン始動を行うべく、後述するように膨張行程気筒の燃焼圧を高めるためにエアバルブ36及び蓄圧器38を使用することもできる。この場合、ピストン位置を調整するための空気供給手段と、燃焼圧を高めるための空気供給手段とを共用することができ、コストが増大するようなことがない。
このようにしてエンジン停止後の膨張行程気筒におけるピストン位置の調整が行われた状態にあるとき、図2の始動停止制御では前に述べたように制御周期ごとにステップS2とステップS8の処理を繰り返しているが、ステップS8ではエンジン始動指令が入力されたか否かを判定している。
そして、エンジン始動指令の入力が有り、処理がステップS8からステップS10に進むと、エンジン1の停止の際に図3の始動準備制御におけるステップS110で判別して記憶した膨張行程気筒に対し、エアバルブ36を開閉制御することにより、蓄圧器38に蓄えられている圧縮空気の供給を行う。このときの圧縮空気量Qbは、始動準備制御におけるステップS112で検出され記憶された最新の膨張行程気筒のピストン位置Pに基づき、予め記憶したマップから読み込まれて設定される。
また、図6に示すように、ピストン位置Pが下死点側に近づくほど供給空気量Qbが増加するようになっているが、これは膨張行程気筒の燃焼室6の容積の拡大に伴い膨張仕事量が減少するため、燃料を多く燃焼させて燃焼力を増大させる必要があり、これに伴い供給すべき空気量も増加させるためである。
なお、図2のフローチャートには示されていないが、ECU52はステップS14の膨張行程気筒の点火によりエンジン1が始動した後は、別のエンジン運転制御ルーチンにより、後続の各気筒に対して順次エンジン1の運転に必要な燃料噴射及び点火を実行する。
以上で本発明の一実施形態に係るエンジンの始動装置についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
また、上記実施形態では、イグニションスイッチ60のOFF位置以外で始動準備制御が常に実行されるようになっていたが、イグニッションスイッチ60がOFFとなった後も処理を継続し、膨張行程気筒のピストン14の位置が第1所定位置から第2所定位置までの範囲内となったときに、制御を終了するようにしてもよい。この場合、膨張行程のピストン14が第1所定位置から第2所定位置までの範囲内にないときには、ステップS118及びS120の処理、又はステップS122及びS124の処理によって第1所定位置から第2所定位置までの範囲内にピストン14が移動した後に始動準備制御が終了することになる。
更に、上記実施形態は、アイドルストップ制御を行うようにしたエンジン1に本発明を適用したものであったが、アイドルストップ制御を行わずにイグニッションスイッチ60の操作のみで始動及び停止するようにしたエンジンにも本発明を適用することが可能である。
2 燃料噴射弁
4 点火プラグ
36 エアバルブ(空気供給手段)
52 ECU(制御手段、気筒判別手段、ピストン位置検出手段)
Claims (3)
- 複数気筒のうちの少なくとも1つの気筒が圧縮行程にあるときに、残りの気筒の少なくとも1つが膨張行程となるエンジンの各気筒に設けられ、気筒内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、
上記燃料噴射弁により上記気筒内に噴射された燃料を点火する点火プラグと、
上記エンジンの吸気弁の開閉による吸気の供給とは独立して上記気筒内に空気を供給する空気供給手段と、
上記エンジンを停止する際に膨張行程にある気筒及び圧縮行程にある気筒をそれぞれ判別する気筒判別手段と、
上記気筒判別手段によって上記エンジンの停止時に膨張行程にあると判別された気筒のピストン位置を検出するピストン位置検出手段と、
上記エンジンが停止状態にあって上記ピストン位置検出手段によって検出されたピストン位置が、膨張行程の気筒内における燃料の燃焼圧がエンジンの始動に必要な燃焼圧となるピストン位置として予め設定された第1所定位置より上死点側にあるときには上記気筒判別手段によって膨張行程にあると判別された気筒に上記空気供給手段から空気を供給する一方、上記エンジンが停止状態にあって上記ピストン位置検出手段によって検出されたピストン位置が、膨張気筒内における燃料の燃焼圧でエンジンを始動することが可能なピストンストロークを確保できるピストン位置として上記第1所定位置より下死点側に予め設定された第2所定位置より下死点側にあるときには上記気筒判別手段によって圧縮行程にあると判別された気筒に上記空気供給手段から空気を供給する制御手段と
を備えたことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 上記制御手段は、上記エンジンが停止状態にあるときに、上記ピストン位置検出手段によって検出されたピストン位置が上記第1所定位置から上記第2所定位置までの間の範囲内となるまで上記空気供給手段からの上記空気供給を行うことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの制御装置。
- 上記制御手段は、上記エンジンを始動する際には上記気筒判別手段によってエンジン停止時に膨張行程にあると判別された気筒に対し、上記燃料噴射弁から燃料を供給し上記点火プラグで上記供給燃料を点火することを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの制御装置。
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