JP4406544B2 - 電子冷却器の診断システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子冷却器およびその診断システムに関するもので、例えば、環境用測定装置等の試料流体の除湿器またはその除湿管理システムとして特に有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来、発生源用分析装置や環境大気用分析装置あるいは自動車排気ガス分析装置などの大気汚染分析装置においては、試料流体中の除湿を目的として、電子冷却器(以下「冷却器」という。)が多用されている。また、化学プロセスを始め、各種研究用・現場用の成分測定用の分析装置にも冷却器は多く利用されている。
【0003】
一般に、前記冷却器として、例えば図9に示すものが知られている(例えば特許文献1参照)。すなわち、図9において、21はサーモモジュールで、これを両側からセラミックなどの絶縁性素材よりなる一対の支持プレート22,23で支持すると共に、この支持プレート22,23間の全周に充填して形成されたシーリング材としてのシリコンゴムよりなる密閉壁24でサーモモジュール21を支持プレート22,23に封入して冷却部25が形成されている。26は冷却部25の冷却面である支持プレート22に重ねられた熱交換器で、この熱交換器26と冷却器25との間には、それらの熱伝導をよくするために、シリコングリス膜27を介在させている。28は熱交換器26を貫通して設けられたガス供給管で、これに除湿されるサンプルガスが供給される。29は冷却部25の放熱面である支持プレート23側に配置されたフィンなどで形成された放熱部材である。30は熱交換器26に重ねた固定プレートで、その両端ブロック図を貫通する固定ボルト31を、放熱部材29に形成されたねじ孔32にねじ込んで、熱交換器26、冷却部25が互いに固定されて、冷却器が構成される。このように構成された冷却器においては、ガス供給管28に供給されたサンプルガスが熱交換器26を通過する間に、サンプルガスが含む水分をガス供給管28の内面に結露させて除去することができる。なお、温度センサ3(図示せず)は別途冷却器に内蔵されている。
【0004】
また、冷却器は、長期間の使用により徐々に劣化し除湿能力の低下を生じることがあり、特に冷却器の周囲の温度(以下「周囲温度」という。)が高温の場合には冷却部の負荷が大きいことから劣化を加速させる結果となる。一部用途によっては、周囲温度を基準に冷却温度を変動させることで、劣化を防止することが行われていた(例えば特許文献1参照)。
【0005】
一方、分析装置の性能は、こうした除湿能力つまり冷却能力に依存することが多く、冷却能力を如何に管理するかが、装置の重要な保守・点検項目となっている。特に長期の連続測定を必要とする大気汚染分析装置では、長期間の使用によって上記の冷却能力の劣化が生じることが多く、特に管理が重要となる。従来、こうした冷却器の能力は、上記温度センサあるいは別途冷却部に設けられた冷却温度検出部の出力のみをもとに管理されていた。具体的には、これらの出力が設定温度を一定温度以上超えた場合に、「電子冷却器の異常」の警報を出力する方法が一般的であった。
【0006】
【特許文献1】
実開平6−63117号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、昨今、冷却器が搭載される各種分析装置においては、リモートメンテナンスや自己診断機能の要請が強くなってきており、装置全体の機能だけでなく、各部品レベルでの診断機能は欠かせないものとなっている。特に省人化・省力化が必要な現場設置型の分析装置では、なお一層こうした要請が強くなってきている。
【0008】
また、従来行われていた警報は、通常、冷却器の冷却温度よりも高い温度(警報温度)に設定されるが、冷却器が全く動作しないという故障モードに対しては、周囲温度が警報温度に達しない限り警報は発しないという不都合が生じる。あるいは、冷却器自体が異常発熱を発生した場合であっても、分析装置が屋外に置かれ、冬季における周囲温度が低い場合には、その異常を検知できないという不都合も生じる。さらに、現場での保守時等において冷却器の温度設定を誤った場合にあっても、警報温度に達することがなければ、本来の冷却温度になっていない状態(無制御状態)で作動する可能性がある。つまり、上記のような冷却温度検出部の出力を用いる従来の管理方法では、冷却器が故障もしくは異常な状態であっても、その状態が認識できないまま作動していることがあり、分析装置の測定値の信頼性に影響する可能性があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、冷却器の作動状態を正確に把握し、保守を容易にするとともに、冷却器を搭載した分析装置の測定精度の向上に寄与する電子冷却器の診断システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、電子冷却器について鋭意研究したところ、下記の電子冷却器の診断システムによって上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明に係る電子冷却器の診断システムは、冷却温度の検出手段および電子冷却器の作動の劣化、異常または故障状態を判断する演算処理手段を有するとともに、
予め正常な初期状態において、周囲温度の上昇に伴い該冷却温度が上昇し設定温度を超えるときの周囲温度を電子冷却器の該設定温度における能力限界温度として設定し、
該演算処理手段において、該設定温度における実動時の冷却温度、周囲温度関係から、
(1)実動時の冷却温度が、設定温度近傍を除き、周囲温度と略同じとなり電子冷却器停止時と同じ状態となった場合を、故障状態、
(2)実動時の冷却温度が周囲温度を超える状態となった場合を、発熱による動作の異常状態、
(3)周囲温度が該設定温度よりも低い状態であって、実動時の冷却温度が周囲温度よりも低い状態、および周囲温度が該設定温度よりも高い状態であって、実動時の冷却温度が該設定温度よりも低い状態となった場合を、過冷却による動作の異常状態、
と判断するとともに、周囲温度が前記能力限界温度以下の条件において、実動時の冷却温度が該設定温度を超える状態を、劣化モードとし、前記能力限界温度と、下式1に基づき算定される実動時の限界温度の差によって、該劣化モードにおける劣化レベルを判断することを特徴とする。
[実動時の限界温度]=[周囲温度]−([冷却温度]−[設定温度]) …式1
こうした構成によって、特に従来困難であった劣化状態を含め、冷却器の作動状態を正確に把握し、保守を容易にするとともに、冷却器を搭載した分析装置の測定精度の向上に寄与する電子冷却器を提供することができる。
【0012】
また、このように、限界温度という1つの尺度によって、現状の劣化レベルを定量的に判断することができる電子冷却器の診断システムを提供することができる。
【0013】
上記電子冷却器の診断システムであって、前記劣化モードにおいて、設定温度と前記能力限界温度の中間に複数の基準温度を設定し、周囲温度が各基準温度以下の条件において冷却温度が設定温度を超える状態から、保守・準備・交換の各作業を必要とするか否かを判断することを特徴とする。こうした構成によって、冷却器の作動状態を正確に把握するとともに、予め電子冷却器の特性から設定可能な複数の管理基準を設けることで冷却器の状態に応じた的確な保守管理を容易にする電子冷却器の診断システムを提供することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明は、冷却温度の検出手段を有する電子冷却器であって、該冷却温度および周囲温度から該冷却器の劣化状態を判断する演算処理手段を有することを特徴とする。本発明者は、従来の冷却器本体からの冷却温度情報だけで判断するのではなく、周囲温度という客観的な情報とリンクすることによって、冷却器の作動状態をより正確に把握することができることを見出したもので、自己診断機能をより確実なものとすることができる。
【0015】
一般に、冷却器の劣化モードは、図1に示すような概念で捉えることができる。冷却器が正常な状態での冷却温度Aと周囲温度Bとの関係は、冷却器の設定温度(以下「設定温度S」という。図1では約15℃として表示。)までは両者略同じ値となり(O−S)、周囲温度Bが設定温度Sを超えると冷却温度Aは略設定温度Sとなり(S−T)、さらに周囲温度Bが高くなり冷却器の能力限界温度(以下「限界温度T」という。図1では約40℃として表示。)を超えると、冷却温度Aは周囲温度Bに応じて上昇していく(T−U)。一方、冷却器が故障した状態であって、冷却器に電源が入っていない状態と同じ場合には、冷却温度Aは周囲温度Bと略同じであり、周囲温度Bの上昇に伴い、冷却温度Aも上昇することとなる(O−S−V)。冷却器の劣化モードは、上記の2つの状態の中間に位置づけすることができ、当初、前者の状態であった冷却器が徐々に後者の状態に移行していく過程であり、具体的には、限界温度Tが変化していくことで捉えることができる。また、冷却器が故障した状態であって、動作が異常となった状態には、2つの場合があり、1つには、冷却器の発熱によって冷却温度Aが常に周囲温度Bよりも高くなる場合、他の1つには、冷却器の過冷却によって冷却温度Aが常に周囲温度Bよりも低くなる場合が挙げられる。
【0016】
つまり、上記の各温度の関係を考察するに、設定温度Sは任意に設定可能であるが、実動時の限界温度は設定温度Sおよび冷却器の劣化モードによって変化する一方、冷却器作製当初の限界温度Tと設定温度Sとの関係は事前に求めることができるものである。冷却器の劣化が進み破線の状態になった場合を仮定すると、具体的には図1における点Pおよび点P’の状態に該当するが、前者Pは「冷却温度a:15℃、周囲温度b:20℃」の状態、後者P’は「冷却温度a’:22℃、周囲温度b’:34℃」の状態となり、P’は設定温度であるs:15℃を維持できない状態である。この状態において、下式1によって、実動時の限界温度を計算すると、t’=27℃を求めることができる。
t’=b’−(a’−s) …式1
【0017】
つまり、初期状態の限界温度tが40℃であることから、限界温度レベルにおいて劣化が13℃(40℃−27℃)相当分進んでいると見ることができる。本発明においては、このように、限界温度という1つの尺度によって、現状の劣化レベルを定量的に判断することができる。
【0018】
以上のように、冷却温度Aが設定温度Sと異なる温度となった状態から、従来困難であった冷却器の劣化状態を判断することができることを見出したものである。つまり、これら3つの要素「冷却温度A」「周囲温度B」「設定温度S」から「実動時の限界温度」を求めることによって、冷却器の正常・故障の判断だけでなく、劣化の有無あるいは劣化の進捗状態を把握することができ、精度の高い自己診断機能有する冷却器の提供が可能となる。また、こうした劣化状態の情報を蓄積し経時的な変化を追跡することで冷却器の準備期間および交換時期を推算することができ、保守時期や部品の準備時期を予め設定することが可能となる。つまり、横軸に時間、縦軸に同一設定温度における限界温度をとると、通常、図2に示すような関係曲線となり、保守・準備・交換の各時期を推定することができ、リモートメンテナンスの実現および部品在庫の削減など保守の効率化に寄与することができる。
【0019】
図3は、本発明の一例を示す構成図である。電子冷却器1の内部には、既述の各構成部材に加え、演算処理手段6が設けられ、冷却部2の温度検出手段4および周囲温度検出手段5からの出力がインプットされている。冷却部2の温度は、既述のように別途設けられた温度センサ3からの出力を基に制御されるが、むろん、温度検出手段4を温度センサ3と兼用することは可能である。ここで、温度センサ3あるいは温度検出手段4としては、例えば、各種熱電対、サーミスタ、測温抵抗体などが多用されているが、これらに限定されるものではない。また、周囲温度については、他の目的に用いられている非接触の放射温度計などの情報を利用することも可能である。
【0020】
また、本発明は、電子冷却器の診断システムであって、冷却温度の検出手段、周囲温度の検出手段、および両温度検出手段の出力を入力する演算処理手段を有する電子冷却器において、該演算処理手段が電子冷却器の特性から設定可能な複数の基準温度を基に該冷却器の作動状態を判断することが特徴である。つまり、上述のような劣化モードにおける冷却温度と周囲温度との関係曲線から、冷却器の劣化状態を推算できるとの知見から、予め、電子冷却器の特性から設定可能な複数の基準温度を設定しておくことで、冷却器の作動状態を正確に把握する電子冷却器の診断システムが可能となる。
【0021】
具体的には、図4のような基準となる関係曲線(以下「基準曲線」という。例えば、図4では設定温度を0℃と仮定した場合の曲線を表す。)における限界温度を、基準温度として演算処理手段に設定し、例えば、基準曲線で保守・準備・交換の各作業を必要とする基準温度P・Q・Rを任意に設定することが可能である。これによって、冷却器の使用条件つまり設定温度に依存しない冷却器自体の劣化状態を把握することができる。また、上述のように、保守・準備・交換の各作業時期に相当する複数の基準温度を設定することで、演算処理部から各作業指示を出力することができ、確度の高い自己診断が可能な冷却器の診断システムを実現することができる。
【0022】
なお、上記では基準温度を、設定温度を0℃と仮定した場合を例にとり説明したが、むろんこれに限定されるものではなく、冷却器の使用条件に合致した任意の設定温度に対する各温度とすることも可能である。例えば、図4において設定温度をsとした時は限界温度がtとなり、各々の作業と関連する基準温度をp・q・rとし、設定温度をs’とした時は限界温度はt’となり、各々の基準温度をp’・q’・r’とすることが可能である。
【0023】
また、冷却器が使用される周囲温度の条件から、電子冷却器の特性に関連する複数の基準温度を任意に設定することも可能である。詳細は後述する。
【0024】
図5に、冷却器の診断システムの一例を示す。冷却器1からの冷却温度出力および周囲温度検出手段5からの出力を受けて演算する演算処理部6に加え、システム操作および演算結果の表示を行う操作表示部7が設けられている。むろん図3に示すように、演算処理部6が冷却器1に内蔵することも可能であり、その他、操作表示部7の分離など要素の付加・変更を行うことも可能である。なお、各種保守内容の表示に加え、図1に示す「電子冷却器の動作状態」を操作表示部7に表示することによって、冷却器の作動状態、特に劣化状態を目視的に認識することができ、保守作業の効率化・迅速化を図ることができる。
【0025】
さらに、こうした管理基準を設けることで冷却器の状態に応じた的確な保守管理を容易にし、安定した除湿能力を確保することができることから、冷却器を搭載した分析装置において、測定精度の維持向上を図ることができる。つまり、例えば、ガス分析装置においては、試料ガス中の水分量は変化することによって分圧変動分の誤差を生じることになり、水分の増加によって試料ガス中の腐食成分による測定部の腐食や汚染の増大を招くおそれがあるが、冷却器の特性向上によって、こうした測定精度に与える影響を抑えることができ、分析装置の安定な稼動と精度維持を図ることができる。
【0026】
上記電子冷却器の診断システムであって、周囲温度と基準温度とを比較するステップ、冷却温度と基準温度とを比較するステップ、および周囲温度と冷却温度とを比較するステップを含む判断動作を行うことを特徴とする。こうした冷却器内部の冷却温度による判断プロセスだけでなく周囲温度を含めた判断プロセスを採用することによって、稼動している冷却器の正常、故障および劣化の有無あるいは劣化の進捗状態を把握することができ、より正確かつ客観的な冷却器の作動状態の判断が可能となる。
【0027】
具体的には、図1に示す冷却器の動作状態との関係で、図6(A)〜(D)のフローで表されるアルゴリズムを例示する。まず(1)周囲温度によって分類し、次に(2)冷却温度によって動作状態を判断する、というプロセスによって冷却器の診断をおこなうものである。このとき、電子冷却器の特性に関連する複数の基準温度を設定する。つまり、設定温度s(図の例では15℃)および限界温度t(図の例では40℃)を含めた複数の基準温度を演算処理手段に設定する。
具体的には、上記2つの温度に加え、設定温度sと劣化範囲下限温度(つまり、限界温度t)との差異g(t−=25℃)および判断に際して考慮する許容温度幅c(例えば5℃)を設定する。また、上述のように劣化モードについてさらに作業判断を診断モードに加える場合にあっては、図4に例示する保守・準備・交換に対応した各々の基準温度を設定する。
【0028】
診断フローは、
(1)第1ステップとして、図6(A)に示すように、周囲温度を基準温度sおよび限界温度tと比較し、各領域に対応して次のステップに入る。
次のステップとして、
(2−1)図6(B)に示すように、周囲温度が設定温度sよりも低い場合に、冷却温度と周囲温度とを比較し、過冷却または発熱による異常の有無を判断する。
(2−2)図6(C)に示すように、周囲温度が設定温度sよりも高く、限界温度tよりも低い場合に、冷却温度を設定温度sまたは/および周囲温度とを比較し(許容幅cを考慮する)、過冷却または発熱による異常、故障および劣化の有無を判断する。
(2−3)図6(D)に示すように、周囲温度が限界温度tを超えた場合には、冷却温度を設定温度sまたは/および周囲温度と比較し(許容幅cおよび差異gを考慮する)、過冷却または発熱による異常、故障および劣化の有無を判断する。
以上の診断フローによって異常や故障があると判断したとき、警報を発生し、保守・交換等の措置が行われ、劣化があれば、保守・準備・交換に対応した情報を発生し、保守・準備・交換等の措置が行われる。
【0029】
次に、別の実施態様を図7に例示する。具体的な診断システムにおいては、冷却器の温度調節精度(設定温度とのズレ)や劣化範囲を任意に設定する場合を考慮した基準温度によって、さらに精緻な判断が求められる。図7は基本的には図1と同様であるが、こうした考慮により基準温度と冷却器が使用される周囲温度の条件から、電子冷却器の特性に関連するさらに多くの基準温度を任意に設定した点に特徴がある。つまり、上記の例における4つの基準温度をさらに細分あるいはこれに追加し、基準温度を演算処理手段に設定する。
【0030】
ここで、上記の4つの基準温度を基に、以下のc、d、e、f、p1 、p2 、p3 を基準温度として追加し設定する方法が挙げられる。
c:周囲温度と比較し、発熱による異常と判断する温度の許容幅。図7の例では+5℃
d:周囲温度または設定温度と比較して、過冷却による異常と判断する温度の許容幅。図7の例では−5℃
e:冷却器の温度調整精度(温調精度)。図7の例では1℃
f:周囲温度に対して故障と判断する温度の測定精度。図7の例では−1℃
g:設定温度sと限界温度tとの差異。図7の例では25℃
t:限界温度。図7の例では40℃
1 =s−c+e=11(℃)
2 =s+e−f=17(℃)
3 =t−c+e=36(℃)
【0031】
図8に、図7の例における基本的な診断フローの一例を示す。
(1)図8(A)に周囲温度と基準温度(s、p1 〜p3 )との比較を行う第1ステップを示す。周囲温度によって4つの基準に分けて、次のステップに進む。
(2−1)図8(B)に示すように、周囲温度が基準温度p1 (設定温度s、許容幅cおよび温調精度eを考慮した基準温度)未満の場合に、冷却温度と周囲温度の比較するステップによって、設定温度以下での過熱または過冷却の有無を主として判断することができる。判断には、検出手段のバラツキや誤差を許容範囲とする温度c(+5℃)およびd(−5℃)を考慮する。
(2−2)図8(C)に示すように、周囲温度がp1 以上s(15℃)未満の場合において、冷却温度を基準温度(設定温度s)または/および周囲温度と比較し(許容幅cおよび温調精度eを考慮する)、過冷却または発熱による異常および故障の有無を判断する。
(2−3)図8(D)に示すように、周囲温度がs以上p2 (17℃、設定温度s、温調精度eおよび周囲温度の精度fを考慮した基準温度)未満の場合において、冷却温度を設定温度sまたは/および周囲温度と比較し(許容幅cおよび温調精度eを考慮する)、過冷却または発熱による異常および故障の有無を判断する。
(2−4)図8(E)に示すように、周囲温度がp2 以上p3 (36℃、限界温度tおよび許容幅cおよび温調精度eを考慮した基準温度)未満の場合において、冷却温度を設定温度または/および周囲温度と比較し(許容幅cおよび温調精度eを考慮する)、異常、故障および劣化の有無を判断する。
(2−5)図8(F)に示すように、周囲温度がp3 以上の場合において、冷却温度を設定温度または/および周囲温度と比較し(許容幅cおよび温調精度eを考慮する)、過冷却または発熱による異常および故障の有無を判断する。
以上の診断フローによって異常や故障があると判断したとき、警報を発生し、保守・交換等の措置が行われ、劣化があれば、保守・準備・交換に対応した情報を発生し、保守・準備・交換等の措置が行われる。
【0032】
また、別の方法として、上記の例における4つの基準温度(設定温度s、限界温度t、両者の差異gおよび許容温度幅c)のうちの差異gに代え、周囲温度の代表値と限界温度tとの差異hを基準温度の1つとし、これを基に上述のp3 に代え、p3 ’を基準温度として追加し設定する方法が挙げられる。ここで、周囲温度の代表値とは、実際に冷却器が設置された状態での周囲温度を代表する値をいい、例えば、平均周囲温度を設定することができる。
h:周囲温度の代表値と限界温度tとの差異。図7の例では平均値を20℃として20℃を設定
3 ’=s+e+h=36(℃)
このとき、診断フローにおいてp3 をp3 ’に、25℃を20℃に代えること以外は、上記と同様の方法によって異常判断を行うことができ、設置される冷却器の周囲温度を基に判断することで、実際の運転条件を反映した管理を行うことができる。このとき、代表値を季節や設置の周囲条件などの変化に合わせ変更することが好ましい。より運転条件を考慮した管理が可能となる。
【0033】
以上のように、冷却器の診断は分析装置において重要な役割を果たすことから、より冷却器の使用条件に対応した任意の基準温度を設定することが好ましい。ただし、こうした冷却器およびその診断システム、さらに診断方法は分析装置に限定されるものでないことはいうまでもない。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、冷却温度だけでなく周囲温度から冷却器の作動状態を判断する演算処理手段を有することによって、従来困難であった劣化状態を含め、冷却器の作動状態を正確に把握し、保守を容易にするとともに、冷却器を搭載した分析装置の測定精度の向上に寄与する電子冷却器を提供することができる。
【0035】
また、本発明は、冷却器の特性から設定可能な複数の基準温度を基に該冷却器の作動状態を判断する電子冷却器の診断システムによって、冷却器の作動状態を正確に把握するとともに、予め電子冷却器の特性から設定可能な複数の管理基準を設けることで冷却器の状態に応じた的確な保守管理を容易にする電子冷却器の診断システムを提供することができる。
【0036】
さらに、周囲温度と基準温度とを比較するステップ、冷却温度と基準温度とを比較するステップ、および周囲温度と冷却温度とを比較するステップを含む、周囲温度を含めた判断プロセスを確定することによって、冷却器の作動状態の客観的判断を可能とする電子冷却器の診断システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る電子冷却器の動作状態の一例を示す説明図
【図2】 本発明に係る電子冷却器の動作状態の経時的な変動の一例を示す説明図
【図3】 本発明に係る電子冷却器の構成例を示す説明図
【図4】 本発明に係る電子冷却器の診断システムの動作状態および温度設定の一例を示す説明図
【図5】 本発明に係る電子冷却器の診断システムの一例を示す説明図
図6(A)】 本発明に係る電子冷却器の診断システムにおける診断フローの一例を示す説明図
【図6(B)】 本発明に係る電子冷却器の診断システムにおける診断フローの一例を示す説明図
【図6(C)】 本発明に係る電子冷却器の診断システムにおける診断フローの一例を示す説明図
【図6(D)】 本発明に係る電子冷却器の診断システムにおける診断フローの一例を示す説明図
【図7】 本発明に係る電子冷却器の診断システムの別の実施例を示す説明図
図8(A)】 本発明に係る電子冷却器の診断システムにおける診断フローの別の実施例を示す説明図
【図8(B)】 本発明に係る電子冷却器の診断システムにおける診断フローの別の実施例を示す説明図
【図8(C)】 本発明に係る電子冷却器の診断システムにおける診断フローの別の実施例を示す説明図
【図8(D)】 本発明に係る電子冷却器の診断システムにおける診断フローの別の実施例を示す説明図
【図8(E)】 本発明に係る電子冷却器の診断システムにおける診断フローの別の実施例を示す説明図
【図8(F)】 本発明に係る電子冷却器の診断システムにおける診断フローの別の実施例を示す説明図
【図9】 従来の電子冷却器の構成例を示す説明図
【符号の説明】
A 冷却温度
B 周囲温度
S 設定温度
T 限界温度
1 電子冷却器
2 冷却部
3 温度センサ
4 温度検出手段
5 周囲温度検出手段
6 演算処理手段
7 操作表示部

Claims (2)

  1. 冷却温度の検出手段および電子冷却器の作動の劣化、異常または故障状態を判断する演算処理手段を有するとともに、
    予め正常な初期状態において、周囲温度の上昇に伴い該冷却温度が上昇し設定温度を超えるときの周囲温度を電子冷却器の該設定温度における能力限界温度として設定し、
    該演算処理手段において、該設定温度における実動時の冷却温度、周囲温度関係から、
    (1)実動時の冷却温度が、設定温度近傍を除き、周囲温度と略同じとなり電子冷却器停止時と同じ状態となった場合を、故障状態、
    (2)実動時の冷却温度が周囲温度を超える状態となった場合を、発熱による動作の異常状態、
    (3)周囲温度が該設定温度よりも低い状態であって、実動時の冷却温度が周囲温度よりも低い状態、および周囲温度が該設定温度よりも高い状態であって、実動時の冷却温度が該設定温度よりも低い状態となった場合を、過冷却による動作の異常状態、
    と判断するとともに、
    周囲温度が前記能力限界温度以下の条件において、実動時の冷却温度が該設定温度を超える状態を、劣化モードとし、
    前記能力限界温度と、下式1に基づき算定される実動時の限界温度の差によって、該劣化モードにおける劣化レベルを判断することを特徴とする電子冷却器の診断システム。
    [実動時の限界温度]=[周囲温度]−([冷却温度]−[設定温度]) …式1
  2. 前記劣化モードにおいて、設定温度と前記能力限界温度の中間に複数の基準温度を設定し、周囲温度が各基準温度以下の条件において冷却温度が設定温度を超える状態から、保守・準備・交換の各作業を必要とするか否かを判断することを特徴とする請求項記載の電子冷却器の診断システム。
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