JP4405683B2 - ロケットエンジン用の燃焼室冷却構造 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、ロケット駆動部もしくはエンジンのための燃焼室冷却構造に関する。
【0002】
再生的に冷却されるロケット燃焼室内で冷媒の加熱を高揚する目的で、従来、ロケット燃焼室壁の熱ガス側に冷却されない縦長のリブを設けたり或いは複数の個々の管を備えた燃焼室構造が知られている。一般に燃焼室壁には高い熱負荷が作用するので、高圧の燃焼室には、例えば、銅或いは対応の銅合金のような高い熱伝導性を有する材料が要求される。
【0003】
熱ガス壁に冷却されない縦長のリブを設けるという試みでは、リブの高さ、従って取り出すことができる熱量に関する利得が、リブに作用する熱負荷が原因で非常に大きく制限される。また、小管を具備する構造型式に関しては、純幾何学的見地からして、実現可能な表面積の最大増量従って熱交換も著しく制限される。このように、上述の従来の2つの試みには、冷媒に取り出すことができる熱量が不充分であるという欠点がある。
【0004】
DE 24 06 976から、電型プラスチックセパレーション(galvanoplastische Abscheidung)により屋根の雨樋の形態にある冷却ダクトを製作することが知られている。このような冷却ダクトの開放側は別のガルバニック層により覆われる。このようにして波状に湾曲を付けられた構造のリブが形成される。この構造体は冷却ダクトを囲繞画成し、外部層により閉鎖されている。冷却ダクトを囲繞する湾曲されたこの構成体は全体に亙って比較的薄肉であり、特に外部層領域においては薄肉であり、そのため、実現できる機械的強度は極く小さい。加えるに、個々の冷却ダクトは互いに比較的大きな間隔で配設されるので、燃焼室構造全体の最適な冷却は達成されない。
【0005】
DE 1 135 405には、互いに同心状に詰め合わされ長手方向に規則的な間隔で互いに溶接されて長手方向に溶接継目が形成された複数個の管から構成されるロケット用燃焼室が記述してある。管間に介在する空間は、冷却ダクトを形成するために圧力下での変形加工により拡げられる。しかしながら、この種の構造は機械的応力を受け易く、特に、長手方向の溶接継目は、この種のロケット燃焼室が受ける高い応力に照らして構造上特に脆弱な箇所となっている。特に、3本の管を互いに同心状に配列して溶接により結合した場合には、基本的には、複数の平面内に冷却ダクトを製作することが可能である。しかしながら、燃焼室の内部から遠隔位置に位置するダクトは長手方向の継目の冷却にしか作用しない。このような構成では、冷却ダクトと燃焼室の熱ガスとの間に直接的な熱交換が行われないため、冷媒への熱伝達量の増加を効果的に達成することはできない。最後に、冷媒ダクトの形状は所望のように成形することができず自発的に生ずる変形によって予め設定されてしまう。従って、冷却ダクトの冷却性能を、冷却ダクトの形状の合目的的な調整もしくは成形及び包被により最適化することは殆ど不可能である。
【0006】
US 5,221,045には、上述のDE 1 135 405で採られている技術に類似した技術が記述されており、溶接により互いに区分的に結合されて同心状に配列された管を変形により拡開して冷却ダクトを設ける技術が開示されている。この場合にも、機械的応力耐性並びに冷却ダクトの成形に関する制約に起因し既述の問題と同じような問題が生ずる。
【0007】
よって、本発明の課題は、燃焼室の構造を介し冷却流体もしくは冷媒との達成可能な熱交換を更に改良することを可能にする手段を提供すると同時に、十分に機械的に強固で信頼性を有する構造の形態を提供することである。この課題は、請求項1の謂わゆる特徴部分の構成によって解決される。なお、従属請求項には本発明の代替実施形態が記述してある。
【0008】
或る特定の原理に基づくロケットエンジンでは、燃焼室構造を介して冷媒に供給される熱量を最大にすることが要求される。従って、本発明の目的とするところは、燃焼室内で能動的に冷却される縦長のリブによって上記の熱交換を高揚しようとするものである。リブ構造のサーモメカニカルな完全性は、大きなリブ長とも相俟ってリブの能動的な冷却により確保することができる。このようにして、従来の技術と比較し、熱伝達表面積を増加し燃焼室からの交換可能な熱量を増加することが可能になる。
【0009】
以下、添付図面を参照し本発明を説明する。
【0010】
図1及び図2は、燃焼室3を画成する内面2を有する燃焼室構造1を示す。この燃焼室構造1は、軸線4に対して回転対称に構成されている。燃焼室3の開放端部はノズル5に移行している。燃焼室3に通ずる入口には、噴射ヘッド7が配設されている。図1に示した構成例では、燃焼ガス(熱ガス)は亜音速で左から右に流れて最狭横断面部に達し、しかる後に該最狭横断面部から超音速で流れる(ラバル管)。
【0011】
図1には、燃焼室構造1の領域の切除部分が10で示してある。この切除部分10内に存在する燃焼室構造1の部分は、図2に斜視図で示してある。燃焼室構造1は、外部構成体11と内部構成体12とを含む。外部構成体11は、本発明の中心的な構成要素を表すものではない。内部構成体12から内向きに、即ち軸線4の方向に、冷却装置17が屹立して設けられている。この冷却装置17は、ベース構成体16とリブ構成体19とを含む。
【0012】
燃焼室構造1は、外部構成体11と冷却装置17とから形成するのが有利である。言い換えるならば、燃焼室構造1は本来的に、2つの部分から構成するのが有利である。外部構成体11は、冷却装置17に面する内部表面21を有しており、一体的に集成された状態でこの内部表面は上記冷却装置のジャケット外表面22に固定的に連結される。軸線4に沿い燃焼室3に向かう方向で見て、冷却装置17は、図1に示す燃焼室の円周方向に繰り返すパターンで複数の個々の縦長のリブ25から形成される内部輪郭23を有している。
【0013】
縦長のリブ25は、その高さ方向において本体部材18から燃焼室構造1の軸線4まで延び、長手方向において好適には軸線4と平行に延在する。別法として、リブ25が、軸線4を中心とするリング形状或いはヘリカル形状で長手方向に延在するような構成を採ることも可能である。
【0014】
本体部材18及びリブ25は、単一の構成要素として一体的に組み合わせて構成するのが好ましい。リブ25内に該リブの長手方向に延在するように第1の冷却ダクト31が設けられている。リブ25は、本体部材18とリブ25との間の遷移部から各リブ25の自由端までテーパを付けるのが有利である。テーパ度は実際の用途例に依存し、リブの足部厚さの10%乃至50%の範囲内にする。冷却ダクト31は、横断面がジャケット表面22から各リブ25の自由端まで連続して存在するようにするのが有利である。リブ25によって表される壁厚を介して、燃焼室内に生ずる壁熱量は、冷却ダクト31、41を流れる冷媒に伝達しなければならない。上記壁厚は壁に作用する熱負荷の関数として求められるが、所与の用途に依存する。外部構成体11が存在しないとすれば、第1の冷却ダクト31は、本体部材18のジャケット外表面22側で開口することになり、外部構成体11を内部構成体12の周囲に配設することにより各第1の冷却ダクト31の開口端部は外部構成体により覆われて閉塞されることになる。冷却ダクトは、その長手方向において関連のリブ25の長手方向に沿い延在する。冷却流体、即ち冷媒は、冷媒ダクト内を同じ方向の流れまたは向かい合う方向の流れとして通流することができる。
【0015】
それぞれ2つのリブ25或いはそれぞれ2つの第1の冷却ダクト31間の領域内で而も本体部材18の領域内に、更に第2の冷却ダクト41が設けられる。これら第2の冷却ダクトは、本体部材18内で予め定められた間隔でジャケット表面22から燃焼室3に面する本体部材18の各2つのリブ25間に位置する自由端部まで延在する。
【0016】
図3に見られるように、第2の冷却ダクト41は実質的に大きな幅とするのが有利であり、例えば、第1の冷却ダクト31と比べ、相当に低い高さで第1の冷却ダクトに類似の流れ特性を示すように該第1の冷却ダクト31の幅の2倍にするのが有利である。更にまた、図3には、冷却ダクト31の内の1つに配設されたインサート50が示してある。このインサート50は、冷却ダクト31、41の1つ或いは複数のものに適宜配設することができる。その場合、該インサート50は、燃焼室構造1の外部構成体11に対して当接するようにして冷却ダクト31、41の一部分を占めるように配置される。この種のインサート50は、リブ25の領域に延在する第1の冷却ダクト31並びに本体部材18の自由外面42に向かって延在する第2の冷却ダクト41内に設けることができよう。その場合、冷媒は、インサート50の存在しない各冷却ダクト31、41の空間を流れることになる。
【0017】
外部構成体11の機能は、冷却ダクト31、41総てを外部に対し輻射状に包被すること並びに機械的応力、特に圧力応力を吸収することにある。冷却ダクト31、41の形状並びに本体部材18及びリブ25の形態は、外部構成体11の構造や材料並びに本体部材18に外部構造11を結合する仕方に依存するものではない。
【0018】
冷却装置17を幾何学的に適切に設計することにより、換言すれば、リブ25及び冷却ダクト31、41の構造を幾何学的に適切に設計することによって、熱の給入と冷却の調和を計ることが可能であり且つ所定または所要の熱量に対応する定格で設計することが可能となる。特に、互いに充分に大きな間隔でリブ25を設けることにより、燃焼室3内の燃焼ガスから冷却装置17内への熱伝達を減少するようなリブ25間における層流の影響を殆ど回避することが可能である。
【0019】
図3において、冷却ダクト31、41は矩形の横断面を有している。しかしながら別法として、冷却ダクト31、41の横断面は他の形状を有し得ることは言うまでもない。更にまた、冷却ダクトは、燃焼室構造1内で均一な形状を有する必要もない。燃焼室構造内部で、冷却ダクト31をそれぞれ異なった形態にすることも可能であればまた冷却ダクト41をもそれぞれ異なった形態にすることも可能である。更にまた、複数の第1の冷却ダクト31を1つのリブ25内に設けることも可能であり、また複数の第2の冷却ダクト41をそれぞれ2つのリブ25間に設けることもできる。
【0020】
インサート50を設けることにより、冷却ダクトの高さ、言い換えるならば、冷媒が流れることができる各冷却ダクト31、41の容積を調整することができる。この場合、上記インサートは、各冷却ダクト31、41の長手方向全長に亙って延在する必要はなく、上記方向に部分的に設ければ良い。更にまた、インサート50は燃焼室構造1内部で異なった形状で具現することもできる。しかしながら、インサート50の代替物として、冷媒が流れる各冷却ダクト31、41の面積を変更或いは限定するために従来より知られている他の手段を採用することも可能である。冷却ダクト31、41の流体力学的特性は、製造の中間段階において構成要素自体に基づいて決定することができ、また場合により要求され得る冷却ダクトの高さの適応化は上記のような決定に基づいて実現できる。
【0021】
図2及び図3に示すように、冷却装置17、即ちリブ25と冷却ダクト31、41から成る構造は、燃焼室のベース部16と一体の構成要素とするのが好ましい。製造技術面からすれば、リブ15並びに冷却ダクト31、41は個々の燃焼室区分毎に個別に製作し、燃焼室の別の隣接区間に連続して移行するようにする。この場合、製造方法としては機械的加工方法或いは放電加工方法を用いるのが有利である。
【0022】
従来の解決方法とは対照的に、本発明による冷却は、冷却装置17を適切に適応化することにより最適化することができる。リブ25及び冷却ダクト31、41の適切な幾何学的設計により、熱の給入と冷却とを調和させ且つ所望のレベルに設定することができる。リブ25を能動的に冷却することにより、リブが軸線4に対し大きい高さを有する場合でも、リブに作用する熱力学的応力を制限することが可能であり、従来構造と比較して熱伝達表面積を相当に増大し、それにより燃焼室構造1の領域から放散することができる熱量の増加を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 噴射ヘッドを含む燃焼室構造の縦断面を概略的に示す図である。
【図2】 図1に示した燃焼室構造の一部分の斜視図である。
【図3】 熱ガス側に能動的に冷却されるリブを有し、冷却ダクトが図1に示した輪郭に沿って延在する燃焼室構造の概略断面図である。

Claims (4)

  1. 複数個の冷却ダクト(31、41)が延在する燃焼室構造であって、
    外部構成体(11)と、燃焼室の周に繰り返し設けられた複数のリブ(25)を備えた単一の本体部材(18)の形態にある燃焼室ベース構成体とを含み、
    燃焼室構造(1)は、本体部材(18)を除き軸線(4)に対して回転対称であり、
    リブ(25)の内部には少なくとも1つの第1の冷却ダクト(31)が設けられ、該第1の冷却ダクトは外部構成体(11)とは反対側の各リブ(25)の自由端(34)から本体部材(18)の外表面(22)まで延在し、
    リブ(25)は冷却ダクト(31)の境界領域を形成し、第1の冷却ダクト(31)本体部材(18)の表面(22)に開放し外部構成体(11)により被われて閉塞されて成る燃焼室構造(1)において、
    単一の本体部材(18)はベース部(16)とリブ構造部(19)とを含み、
    前記ベース部(16)にはそれぞれ2つのリブ(25)間に少なくとも1つの第2の冷却ダクト(41)が配設され、該第2の冷却ダクトは外部構成体(11)の側で該外部構成体により被われ閉塞されていることを特徴とする燃焼室構造。
  2. 請求項1に記載の燃焼室構造において、前記リブ(25)がリングもしくは螺旋形状で前記軸線(4)を中心に延在していること特徴とする燃焼室構造。
  3. 請求項1又は2のいずれかに記載の燃焼室構造において、少なくとも1つの前記第1の冷却ダクト(31)内にインサート(50)が配設され、該インサートは、該冷却ダクト(31)の通流容積を制限することを特徴とする燃焼室構造。
  4. 請求項3に記載の燃焼室構造において、少なくとも1つの前記第2の冷却ダクト(41)内にインサート(50)が配設され、該インサートは、該冷却ダクト(41)の通流容積を制限することを特徴とする燃焼室構造。
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