以下、本発明の収納装置の第1ないし第4の実施の形態を図面を参照して説明する。
以下の各実施の形態は、例えば、図1に示すように、機器であるデジタルスチルカメラに備えられる電池Aの収納装置10であり、ニッケル水素電池、アルカリ電池、マンガン電池、リチウム電池、ニッケル水素電池など、互いに種類が異なり、あるいは、同一種類の電池でも、容量が異なるために、互いに形状の異なる複数種の電池Aを利用して、機器に電力を供給できるものである。
そして、以下の各実施の形態においては、説明の簡略化のため、対象物としての箱体である電池Aは、第1ないし第3の電池A1,A2,A3を用いて説明を行う。そして、これら3種類の電池Aは、略直方体状で、基準部としての基準面11、基準面11の反対面であり位置規制面である対向面12、先端面13、この先端面13の反対側である基端面14、及び両側面15,15を備えている。なお、電池Aは、略直方体状に図示し、先端面13の一側の角部に設けた切欠部16を除き、収納装置10側に設けた受け形状に嵌合などして誤挿入を防止する外形形状については図面上省略している。そして、各電池A1,A2,A3は、厚さ寸法HはそれぞれH1,H2,H3(H1<H2<H3)、質量(自重)はW1,W2,W3(W1<W2<W3)と互いに異なるが、先端面13に設けた端子部20の3個の端子21,22,23は、基準面11に対して同一位置、同一形状に形成されている。
なお、デジタルスチルカメラなどの携帯される機器に備えられる収納装置10は、種々の姿勢方向で用いられるものであるが、以下の説明において、方向は、図1の座標(X,Y,Z)に示すように、電池Aの基準面11である-Y側を下側、Y側を上側、Y,-Y方向を上下方向及び電池Aの厚さ方向として説明する。また、-X,X方向を水平方向及び電池Aの幅方向として説明する。そして、Z方向を電池Aの挿入方向とし、-Z方向を電池Aの排出(離脱)方向とし、-Z,Z方向を前後方向及び電池Aの長さ方向として説明する。
また、収納装置10は、合成樹脂などにて略箱状に形成された装置本体24を備え、この装置本体24の内側に、3種類の厚さ寸法H1,H2,H3の電池A1,A2,A3を挿入可能な収納室25を設けている。すなわち、この収納室25は、基準受部である底面部31と、この底面部31に対向する天面部32と、奥側の端面33と、この端面33に対向し矩形状に開口した電池挿入用の開口部34と、両側の側面部35,35とを備えている。また、この収納装置10の収納室25についても、電池Aに嵌合して誤挿入を防止する形状が形成されているが、奥側の端面33と一側の側面部35との角部に形成した切欠部16と当接する受け形状36を除き、図面上は省略している。また、開口部34の周囲には、略垂直な壁部37が設けられている。
また、この開口部34は、ロック手段としての蓋部を構成する開閉可能な蓋体38により覆われ、この蓋体38の開閉により、電池装着時のロック及びロック解除が行われる。そして、この蓋体38は、水平方向を軸方向とする軸38aにより回動可能かつ上下方向に若干スライド可能に装置本体24に支持されている。すなわち、この軸38aは、装置本体24の開口部34の上側に突設された壁部37と図示しない保持部材との間に上下に移動可能に挟持されている。また、蓋体38の下端部には、フック部38bが設けられ、装置本体24の開口部34の下方に設けたフック受部34aに係脱可能になっている。さらに、この蓋体38には、図4に示すように、付勢手段である蓋用ばね39が接続され、蓋体38が開く方向(-Z方向)、かつ、フック部38bがフック受部34aに係合する方向(Y)に蓋体38を付勢している。すなわち、フック部38bがフック受部34aに係合していない状態では、蓋用ばね39の付勢力により、蓋体38は図4に示す時計回り方向tに回動し、さらに蓋用ばね39の付勢力により、開口部34を構成する面に対して90°以上開けられた開放状態で保持され、電池Aの挿入が可能になる。
そして、奥側の端面33には、装着された電池Aの端子部20に対応する接続受部としての接点部40が設けられている。すなわち、この接点部40には、所定位置に装着された電池Aの各端子21,22,23に接触して電気的に接続されるように、第1ないし第3の接点41,42,43が設けられている。そして、各接点41,42,43は、ピン状をなして収納室25に進退可能に突出する接点ピン45と、各接点ピン45を収納室25側に付勢して突出させる付勢手段としてのばね46とを備えており、この実施の形態では、接点部40は排出手段を構成している。各接点41,42,43は、図示しない配線を介して機器の電源装置に接続されている。
そして、第1の実施の形態は、図1ないし図4に示すように、3種類の電池A1,A2,A3を図3に示す収納室25の所定位置に装着でき、かつ、この所定位置に装着した状態を確実に保持できるとともに、各電池A1,A2,A3の離脱時には収納室25の開口部34から一定量だけ外方に排出できるものである。
そして、収納室25の奥側の端面33には、接点部40に加え、排出手段を構成する排出付勢部50が設けられている。この排出付勢部50は、収納した電池Aを収納室25から一定量排出するためのもので、各電池A1,A2,A3に対応して、付勢手段である3個の排出ばね51,52,53を備えている。これら排出ばね51,52,53は、上下に並んで配置された弾性変形部材である板ばねであり、形状の異なる複数の電池A1,A2,A3に対応するように所定の付勢力を有して収納室25の端面33に配設されている。すなわち、第1の電池A1には第1の排出ばね51のみが当接し、第2の電池A2には第1の排出ばね51及び第2の排出ばね52が当接し、第3の電池A3には第1ないし第3の排出ばね51,52,53が当接するように配置され、それぞれの付勢力(弾性変形負荷)で収納室25の各電池A1,A2,A3を開口部34から一定量だけ外方に排出するように付勢する。さらに、図3(a)及び(b)に示すように、各排出ばね51,52,53の下縁部は、付勢しない電池Aの上方に突出し、すなわち、第2の排出ばね52は第1の電池A1の上面である対向面12を位置規制し、第3の排出ばね53は第2の電池A2の上面である対向面12を位置規制し、収納室25の底面部31との間で上下方向の位置規制を行うようになっている。また、各電池A1,A2,A3の厚さ寸法H1,H2,H3が大きくなるほど、排出付勢部50による排出力、すなわちこれら第1ないし第3の排出ばね51,52,53の負荷F51,F52,F53を合算した付勢力も大きくなるように設定され、すなわち、第1の電池A1に対しては負荷F50はF51となり、第2の電池A2に対しては負荷F50はF51+F52となり、第3の電池A3に対しては負荷F50はF51+F52+F53となり、さらに、後に示す条件式1あるいは1−1を満足するように設定されている。
さらに、収納室25の奥側の端面33には、図2に示すように、厚さ判定部60が設けられている。この厚さ判定部60は、挿入された電池Aを厚さ寸法Hで判別するためのもので、第1ないし第3の厚さ判定スイッチ61,62,63を備えている。そして、各厚さ判定スイッチ61,62,63は、それぞれ作用ピン65と、付勢手段であるばね66と、図示しない制御手段に接続されたスイッチ本体67とを備え、各作用ピン65は、ばね66により付勢されて収納室25に所定量だけ突設し、この実施の形態では、厚さ判定部60は排出手段を構成している。そして、電池A1,A2,A3の装着時に、各電池A1,A2,A3の厚さ寸法H1,H2,H3に応じて、作用ピン65が押動され、それぞれスイッチ本体67がオンされる。なお、この実施の形態では、各厚さ判定スイッチ61,62,63は、各排出ばね51,52,53の後側に位置合わせして配置され、各排出ばね51,52,53を介して作用ピン65が押動されるようになっている。
また、電池Aの挿入方向に沿った装置本体24の天面部32には、開口32aが形成され、この開口32aの部分に位置して、電池Aの厚さ方向すなわち上下方向の動きを規制する規制手段としての位置規制部69が設けられている。この位置規制部69は、電池Aの挿入方向に沿って複数、本実施の形態では前後2カ所に設けられ、それぞれ位置規制板部70を備えている。そして、各位置規制板部70には、複数、本実施の形態では電池Aの種類に応じて規制体としての第1ないし第3の3枚の位置規制板71,72,73が回動可能に設けられている。そして、これら位置規制板71,72,73は、板状の規制板本体部71a,72a,73aと、これら規制板本体部71a,72a,73aの一端部に設けられた円筒状の軸受部71b,72b,73bと、これら軸受部71b,72b,73bからさらに突設された付勢手段接続部である引掛部71c,72c,73cとを備え、各軸受部71b,72b,73bが両側方向を軸方向とする軸部75により同軸に回動可能に軸支されている。そして、各規制板本体部71a,72a,73aは、それぞれ幅方向の中心線を中心として線対称に形成され、第1の規制板本体部71aは軸部75の両端部近傍から突設された部分の先端部同士が連結された略コの字状、第2の規制板本体部72aは、第1の規制板本体部71aの内側に沿った略コの字状、第3の規制板本体部73aは、第2の規制板本体部72aに囲まれた矩形板状をなしている。そして、これら規制板本体部71a,72a,73aは、装置本体24の開口32aの縁部に形成されたストッパ部32bに当接して収納室25に略垂直に突出する状態から、開口32aに収納されて略水平となる状態まで、回動可能となっている。
また、各位置規制板71,72,73は、それぞれ位置規制付勢部80を構成する付勢手段である規制ばね81,82,83により付勢されている。すなわち、各規制ばね81,82,83は、一端部が各位置規制板71,72,73の引掛部71c,72c,73cに係止などして接続され、他端部が装置本体24などに設けた固定部85に係止などして接続されている。そして、これら規制ばね81,82,83の付勢力により、各位置規制板71,72,73は、各規制板本体部71a,72a,73aが収納室25に突出する方向(図2及び図3における時計回り方向)に付勢され、他の力が加わっていない状態で、それぞれストッパ部32bに当接して、各規制板本体部71a,72a,73aが収納室25に略垂直に突出する状態で係止される。
また、この状態で、第1の規制板本体部71aの先端部は、第1の排出ばね51の下縁部とほぼ同じ高さ位置にあり、第2の規制板本体部72aの先端部は、第2の排出ばね52の下縁部とほぼ同じ高さ位置にあり、第3の規制板本体部73aの先端部は、第3の排出ばね53の下縁部とほぼ同じ高さ位置にある。すなわち、第3の規制板本体部73aよりも第2の規制板本体部72aが収納室25に大きく突出し、さらに、第1の規制板本体部71aがより大きく収納室25に突出する状態となっている。
そして、位置規制板部70のこれら規制ばね81,82,83に付勢された各位置規制板71,72,73は、挿入された電池Aの対向面に圧接し、移動しようとする電池Aに対してそれぞれ摩擦抵抗負荷F71,F72,F73を生じる。そして、所定位置に装着された第1の電池A1に対しては、第1の位置規制板71のみが圧接し、所定位置に装着された第2の電池A2に対しては、第1及び第2の位置規制板71,72が圧接し、所定位置に装着された第3の電池A3に対しては、第1ないし第3の位置規制板71,72,73が圧接する。このように、各電池A1,A2,A3の厚さ寸法H1,H2,H3が大きくなるほど、位置規制板部70の摩擦抵抗負荷F70、すなわちこれら第1ないし第3の位置規制板71,72,73の負荷F71,F72,F73を合算した負荷が大きくなるように設定されている。すなわち、第1の電池A1に対しては負荷F70はF71となり、第2の電池A2に対しては負荷F70はF71+F72となり、第3の電池A3に対しては負荷F70はF71+F72+F73となる。なお、この位置規制板部70の摩擦抵抗負荷F70は、後述する第2の実施の形態において各位置規制板71,72,73に接触部101を設けた負荷(F101)の場合も同様である。
次に、電池Aを収納装置10に装着する動作を説明する。
まず、蓋体38を開ける動作を説明する。
図2示す状態では、蓋体38は、図4に示す蓋用ばね39の上方(Y方向)への付勢力により、フック部38bがフック受部34aに係合し、蓋体38が閉じた状態になっている。
ここで、作業者は、蓋用ばね39の付勢力に抗して、蓋体38を下方(-Y方向)にスライドさせ、フック部38bとフック受部34aとの係合を解除する。ここで作業者が手を離すと、蓋用ばね39の付勢力により、蓋体38は、開口部34を開く方向(図2及び図4における時計回り方向)に回動し、さらに蓋用ばね39の付勢力により90°以上回動して開口部34を開放した状態で保持され、電池Aの挿入が可能になる。
次に、図3(a)を参照して、厚さ寸法H1が最も小さい第1の電池A1の装着の操作を説明する。
上記のように開放された開口部34から、第1の電池A1を所定の挿入方向(Z方向)に挿入していくと、まず、第1の電池A1の先端面13が開口部34に近い側の位置規制板部70に到達する。このとき、位置規制板部70を構成する3枚の位置規制板71,72,73は、それぞれストッパ部32bに当接して付勢係止状態となっている。そして、第1の電池A1をさらに挿入すると、第1の電池A1の先端面13は、3枚の位置規制板71,72,73の1枚ないし3枚に当接し、これら位置規制板71,72,73を規制ばね81,82,83の付勢力に抗して後側上方(図3の反時計方向)に回動させる。さらに第1の電池A1が挿入され、位置規制板71,72,73のいずれかが第1の電池A1の先端面13の上側の縁部(先端面13と対向面12との交線)に当接し、さらに、第1の電池A1の上面である対向面12に当接すると、これら位置規制板71,72,73は、規制ばね81,82,83の付勢力により第1の電池A1を下方に押圧して案内し、収納室25の基準面である底面部31上に圧接する。そして、第1の電池A1の基準面11が収納室25の底面部31上に圧接された状態では、突出寸法の大きい第1の位置規制板71のみが第1の電池A1に圧接され、この第1の位置規制板71より突出寸法の小さい第2及び第3の位置規制板72,73は間隔を介して第1の電池A1に当接せず、規制ばね82,83の付勢力により収納室25内に垂直に突出した初期位置に付勢係止された状態が保持される。さらに第1の電池A1を押し込むと、2つ目の位置規制板部70においても、同様に動作し、第1の電池A1が案内される。この状態で、2枚の位置規制板71,71により、第1の電池A1は収納室25の底面部31上に圧接された状態で保持され、さらに、第2の位置規制板72が第1の電池A1の対向面12に垂直に対向し、第1の電池A1の位置規制が行われる。そして、第1の電池A1をさらに押し込むと、第1の電池A1の先端面13は、1個の排出ばね51と1個の厚さ判定スイッチ61に当接し、制御手段により第1の電池A1であることが判別されるとともに、端子21,22,23にそれぞれ接点41,42,43が当接する。
また、図3(b)に示す第2の電池A2の装着の操作は、図4に示すように蓋体38を開けた状態から、上記の第1の電池A1と同様に、第2の電池A2を開口部34から収納室25に所定の挿入方向(Z方向)に挿入し、第2の電池A2の先端面13が一つ目の位置規制板部70に到達する。すると、第2の電池A2の先端面13は、3枚の位置規制板71,72,73の2枚(71,72)ないし3枚(71,72,73)に当接し、これら位置規制板71,72,73を規制ばね81,82,83の付勢力に抗して後側上方(図3の反時計方向)に回動させる。さらに第2の電池A2が挿入され、位置規制板71,72,73のいずれかが第2の電池A2の先端面13の上側の縁部(先端面13と対向面12との交線)に当接し、さらに、第2の電池A2の上面である対向面12に当接すると、これら位置規制板71,72,73は、規制ばね81,82,83の付勢力により第2の電池A2を下方に押圧して案内し、最後は第1及び第2の位置規制板71,72が第2の電池A2を下方に押しつけ、第2の電池A2の基準面11が収納室25の基準面である底面部31上に圧接される。そして、第2の電池A2の基準面11が収納室25の底面部31上に圧接された状態では、第1及び第2の位置規制板71,72のみが第2の電池A2に圧接され、これら第1及び第2の位置規制板71,72より突出寸法の小さい第3の位置規制板73は間隔を介して第2の電池A2に当接せず、規制ばね83の付勢力により収納室25内に垂直に突出した初期位置に付勢係止された状態が保持される。さらに第2の電池A2を押し込むと、2つ目の位置規制板部70においても、同様に動作し、第2の電池A2が案内される。この状態で、4枚の位置規制板71,71,72,72により、第2の電池A2は収納室25の底面部31上に圧接された状態で保持され、さらに、第3の位置規制板73が第2の電池A2の対向面12に垂直に対向し、第2の電池A2の位置規制が行われる。そして、第2の電池A2をさらに押し込むと、第2の電池A2の先端面13は、2個の排出ばね51,52と2個の厚さ判定スイッチ61,62に当接し、制御手段により第2の電池A2であることが判別されるとともに、端子21,22,23にそれぞれ接点41,42,43が当接する。
さらに、図3(c)に示す第3の電池A3の装着の操作は、図4に示すように蓋体38を開けた状態から、上記の第1の電池A1と同様に、第3の電池A3を開口部34から収納室25に所定の挿入方向(Z方向)に挿入し、第3の電池A3の先端面13が一つ目の位置規制板部70に到達する。すると、第3の電池A3の先端面13は、3枚の全ての位置規制板71,72,73に当接し、これら位置規制板71,72,73を規制ばね81,82,83の付勢力に抗して後側上方(図3の反時計方向)に回動させる。さらに第3の電池A3が挿入され、位置規制板71,72,73が第3の電池A3の先端面13の上側の縁部(先端面13と対向面12との交線)に当接し、さらに、第3の電池A3の上面である対向面12に当接すると、これら位置規制板71,72,73は、規制ばね81,82,83の付勢力により第3の電池A3を下方に押圧して案内し、第3の電池A3を下方に押しつけ、第3の電池A3の基準面11が収納室25の基準面である底面部31上に圧接される。ここで、収納室25の断面形状すなわち開口部34の上下方向の寸法は、第3の電池A3の厚さ寸法H3に対して僅かに大きな寸法に設定されており、収納室25の上下の面により、上下に移動しないように位置規制される。さらに第3の電池A3を押し込むと、第3の電池A3の先端面13は、3個の排出ばね51,52,53と3個の厚さ判定スイッチ61,62,63に当接し、制御手段により第3の電池A3であることが判別されるとともに、端子21,22,23にそれぞれ接点41,42,43が当接する。
ここで、各電池A1,A2,A3の挿入と2カ所の位置規制板部70,70との作動関係を説明する。
図3(a)などに示すように、本実施の形態では、2カ所の位置規制板部70,70により電池Aを案内するものであるため、少なくとも、これら2カ所の位置規制板部70,70の第1の位置規制板71,71の合算した押圧力は、第1の電池A1の自重W1を保持する力量より少し大きな力量となるように設定されている。なお、合算した押圧力が電池Aの自重WAを保持できるのみならず、各位置規制板部70,70毎の位置規制板71,72,73の押圧力が、電池Aの自重WAを保持する力量より少し大きな力量に設定することが望ましい。例えば、第1の電池A1については、各位置規制板部70,70の第1の位置規制板71,71がそれぞれ第1の電池A1の自重W1を保持可能な力量より少し大きな力量に設定することが望ましい。
同様に、第2の電池A2に対する圧接は、図3(b)に示すように、第1及び第2の位置規制板71,72の押圧力で行われるため、少なくとも2カ所に設けた位置規制板部70,70の両方を合算した押圧力が第2の電池A2の自重W2を保持可能な力量より少し大きめな力量となるように設定されているが、一方の位置規制板部70の第1及び第2の位置規制板71,72のみでも第2の電池A2の自重W2を保持可能な力量より少し大きな力量に設定し、他方の位置規制板部70の第1及び第2の位置規制板71,72のみでも第2の電池A2の自重W2を保持可能な力量より少し大きな力量に設定することが望ましい。
同様に、第3の電池A3に対する圧接は、図3(c)に示すように、第1ないし第3の位置規制板71,72,73の押圧力で行われるため、少なくとも2カ所に設けた位置規制板部70,70の両方を合算した押圧力が第3の電池A3の自重W3を保持可能な力量より少し大きめな力量となるように設定されているが、一方の位置規制板部70の第1ないし第3の位置規制板71,72,73のみでも第3の電池A3の自重W3を保持可能な力量より少し大きな力量に設定し、他方の位置規制板部70の第1ないし第3の位置規制板71,72,73のみでも第3の電池A3の自重W3を保持可能な力量より少し大きな力量に設定することが望ましい。
そして、このような力量関係により、収納装置10の姿勢方向がどのような場合であっても、各電池A1,A2,A3の基準面11となる下面を収納室25の基準面となる底面部31に圧接して位置決めすることができる。
なお、この第1の実施の形態の構成では、各電池A1,A2,A3を重力落下方向の姿勢とすると、すなわち開口部34を下方に向けると、各電池A1,A2,A3が開口部34から落下して取り出されるので、電池Aの挿入時には、収納装置10の姿勢方向は、電池Aが自由落下しない方向とする。
次に、各電池A1,A2,A3を収納室25に装着し保持する係止操作(ロック操作)について説明する。
なお、図4においては、収納室25に第3の電池A3が挿入され、この第3の電池A3が各排出ばね51,52,53、各接点41,42,43、及び各厚さ判定スイッチ61,62,63に当接した状態を示しているが、他の第1及び第2の電池A1,A2についても、これら部材の当接関係及び位置規制板71,72,73の押圧関係が異なるだけで他は同一であり、一般的に電池Aについて説明する。また、この図4の状態は、電池Aが収納室25内に装着されている時に、蓋体38が開けられ電池Aが収納室25から一定量排出された状態と同一の状態を示している。
まず、図4に示す状態まで電池Aを挿入した状態で手を離して挿入動作を一旦中止する。そして、この電池挿入状態から、蓋体38を蓋用ばね39の付勢力に抗して開口部34を閉じる方向(図4における反時計回り方向)に回動する。すると、この蓋体38が電池Aの基端面14に当接して電池Aを収納室25内に押し込み始める。さらに、各電池A1,A2,A3の先端面13に対応して当接する各排出ばね51,52,53、各接点41,42,43のばね46、及び各厚さ判定スイッチ61,62,63のばね66の負荷に抗して、収納室25の開口部34の面まで電池Aを押し込む。そして、蓋体38を、蓋用ばね39の付勢力に抗して一旦下方(-Y方向)にスライドさせた状態でさらに蓋体38を挿入方向に押し込み、ロック解除位置にしてから、今度は反対の上方(Y方向)にスライドさせ、フック部38bとフック受部34aとを係合させて手を離すと、蓋用ばね39の付勢力により、図2に示すように、フック部38bとフック受部34aとの係合が保持された係止状態になり、電池Aが収納室25の所定位置に保持され、電池Aを収納装置10に装着する動作が完了する。
そして、この電池Aを収納室25に装着し保持する係止操作は、図示しない第1及び第2の電池A1,A2についても同様に、蓋体38を閉じてロックするものであるが、第1の電池A1については、先端面13に当接して負荷を加えるのは、各接点41,42,43のばね46の他、第1の電池A1に対応する第1の排出ばね51と、第1の厚さ判定スイッチ61のばね66であり、第2の電池A2については、先端面13当接して負荷を加えるのは、各接点41,42,43のばね46の他、第2の電池A2に対応する第1及び第2の排出ばね51,52と、第1及び第2の厚さ判定スイッチ61,62のばね66であり、各電池A1,A2,A3の厚さ寸法H1,H2,H3に応じて排出方向に加わる負荷が異なっている。
そして、このように蓋体38が閉じられた状態で、電池Aの基準面11と収納室25の基準面である底面部31とが密着するとともに、電池Aの端子21,22,23にそれぞれ若干押し込まれた状態で接点41,42,43が圧接して電気的に接続される所定位置に電池Aが保持される。また、この状態で、対応する厚さ判定スイッチ61,62,63の作用ピン65が確実に押し込まれてスイッチ本体67がオンになり、制御手段により厚さが判定される。
そして、第1及び第2の電池A1,A2については、2カ所の位置規制板部70,70の1個あるいは2個の位置規制板71,72の付勢力により収納室25の底面部31に押しつけられる。さらに、これら電池A1,A2を付勢しない位置規制板72,73は、位置規制ばね82,83により付勢され、ストッパ部32bに当接して軸部75から各電池A1,A2に向かい垂直状態で係止されており、収納装置10に衝撃力が加わり、あるいは電池Aに加速度が加わって、各電池A1,A2がこれら位置規制板72,73に押圧された際にも、規制ばね81,82,83には過負荷が加わらず、各電池A1,A2を収納室25の底面部31に圧接した状態のまま保持できる。
さらに、第1及び第2の電池A1,A2について、排出ばね52,53により電池A1,A2の厚さ方向の位置規制が行われる。
すなわち、図3(a)に示すように、第1の電池A1については、収納室25への装着状態において、第1の排出ばね51は第1の電池A1により挿入方向に押しつけられ、収納室25の奥側の端面33に近接した状態となるが、第2の排出ばね52は、第1の電池A1の対向面12から所定の寸法分上方に離間して配置され、第1の電池A1の上側に突出した状態になっている。また、金属板の板ばねにて形成された第2の排出ばね52は、挿入方向には弾性変形するが、金属板の幅方向である上下方向にはほとんど弾性変形せずに電池Aの自重WAに抗する剛性を有する。そこで、この第2の排出ばね52の下側の縁部が第1の電池A1の対向面12に当接することにより、第1の電池A1を強固に位置規制する位置規制手段を兼ねる。
また、図3(b)に示すように、第2の電池A2については、収納室25への装着状態において、第1及び第2の排出ばね51,52は第2の電池A2により挿入方向に押しつけられ、収納室25の奥側の端面33に近接した状態となるが、第3の排出ばね53は、第2の電池A2の対向面12から所定の寸法分上方に離間して配置され、第2の電池A2の上側に突出した状態になっている。また、金属板の板ばねにて形成された第3の排出ばね53は、挿入方向には弾性変形するが、金属板の幅方向である上下方向にはほとんど弾性変形せずに電池Aの自重WAに抗する剛性を有する。そこで、この第3の排出ばね53の下側の縁部が第2の電池A2の対向面12に当接することにより、第2の電池A2を強固に位置規制する位置規制手段を兼ねる。
このように、位置規制板72,73での位置規制に加え、排出ばね52,53によっても位置規制を行い、電池Aを複数か所で位置規制することにより、収納装置10に衝撃力が加わり、あるいは電池Aに加速度が加わった際などの負荷を分散し、各部材の強度耐久性が容易に向上する。
一方、第3の電池A3については、収納室25の形状全体により全周を位置規制できるとともに、2カ所の位置規制板部70,70の全ての位置規制板71,72,73が第3の電池A3を弾性的に押圧し、安定して支持される。
なお、電池Aを収納室25に収納していない状態で蓋体38を閉じる際は、蓋体38を閉じる際に電池Aを押し込む負荷がない点で上記の動作と異なっている。すなわち、電池Aを取り出した状態で、蓋体38を蓋用ばね39の付勢力に抗して開口部34を閉じる方向(図4における反時計回り方向)に回動し、開口部34の周囲に当接させる。そして、蓋体38を、蓋用ばね39の付勢力に抗して一旦下方(-Y方向)にスライドさせた状態でさらに蓋体38挿入方向に押し込み、ロック解除位置にしてから、今度は反対の上方(Y方向)にスライドさせ、フック部38bとフック受部34aとを係合させて手を離すと、蓋用ばね39の付勢力により、図2に示すように、フック部38bとフック受部34aとの係合が保持された係止状態になり、蓋体38を閉じる動作が完了する。
次に、電池Aの離脱動作を説明する。
まず、第1の電池A1の離脱操作について説明する。
蓋体38を開く動作は、電池Aが入っていない蓋体38を開ける動作と同様であり、図3(a)に示すように、第1の電池A1を装着した状態から、蓋用ばね39の付勢力に抗して、蓋用ばね39を下方(-Y方向)にスライドさせ、フック部38bとフック受部34aとの係合を解除する。ここで作業者が手を離すと、蓋用ばね39の付勢力により、蓋体38は、開口部34を開く方向(図2及び図4における時計回り方向t)に回動し、さらに蓋用ばね39の付勢力により、90°以上回動して開口部34を開放した状態で保持され、電池Aの挿入が可能になる。
すると、挿入されていた第1の電池A1は、後述するように、電池A1の質量W1と位置規制板部70の位置規制板71の摩擦抵抗負荷F71に抗して、第1の排出ばね51の排出負荷F51、接点部40すなわち各接点41,42,43の排出負荷F40、及び、厚さ判定部60の第1の厚さ判定スイッチ61の排出負荷F61(=F60)を合算した適切な排出負荷により、図4に示す当接位置まで排出されて停止する。そこで、作業者は、第1の電池A1が収納室25から突出した部分を手で持ち、収納室25から第1の電池A1を取り出すことができる。
また、第2の電池A2の離脱操作は、第1の電池A1の離脱操作と同様であるが、第2の電池A2の電池質量W2と位置規制板部70の位置規制板71,72の摩擦抵抗負荷F71+F72に対応して、第1及び第2の排出ばね51,52の排出負荷F51+F52、接点部40すなわち各接点41,42,43の排出負荷F40、及び、厚さ判定部60の第1及び第2の厚さ判定スイッチ61,62の排出負荷F61+F62(=F60)を合算した、より大きい適切な排出負荷(排出力)で第2の電池A2を排出する点で、第1の電池A1の離脱動作と相違している。
さらに、第3の電池A3の離脱操作も、第1の電池A1の離脱操作と同様であるが、第3の電池A3の電池質量W3と位置規制板部70の位置規制板71,72,73の摩擦抵抗負荷F71+F72+F73に対応して、第1ないし第3の排出ばね51,52,53の排出負荷F51+F52+F53、接点部40すなわち各接点41,42,43の排出負荷F40、及び厚さ判定部60の第1ないし第3の厚さ判定スイッチ61,62,63の排出負荷F61+F62+F63(=F60)を合算した、より大きい適切な排出負荷(排出力)で第3の電池A3を排出する点で、第1及び第2の電池A1,A2の離脱動作と相違している。
ここで、電池Aの離脱動作の際の排出負荷について一般式を用いて説明すると、電池Aの質量をWAとし、各電池A1,A2,A3に対応した位置規制板部70の摩擦抵抗負荷をF70、排出付勢部50の負荷をF50、接点部40の負荷をF40、厚さ判定部60の負荷をF60とすると、
(式1) F50+(F40+F60) > (F70+WA)
の条件式を満たすことにより、合算された排出負荷により、収納装置10の全ての姿勢方向において、例えば、電池Aの重力負荷方向の姿勢、すなわち開口部34が上方を向いている状態でも、電池Aを取り出しやすい位置まで排出できる。
さらに、
(式1-1) F50 > (F70+WA)
の条件式を満たす場合は、排出付勢部50の排出ばね51,52,53の負荷だけで電池Aを排出できる。
このように、収納装置10は、各電池A1,A2,A3の質量W1,W2,W3に対応する排出力を有しており、収納装置10の全ての姿勢方向において、各電池A1,A2,A3を収納室25の開口部34から一定量排出し、作業性良く電池Aを取り出すことができる。
このように、本実施の形態の収納装置10によれば、蓋体38を開いて開口部34から収納室25に各電池A1,A2,A3を挿入し、再び蓋体38閉じるという簡略な作業で、互いに形状が異なる電池A1,A2,A3を所定位置に収納し、これら電池A1,A2,A3の端子21,22,23を接点41,42,43に確実に接続することができ、作業性を向上できる。
すなわち、厚さ寸法H1,H2,H3が互いに異なる各電池A1,A2,A3は、蓋体38を開いて開口部34から収納室25に各電池A1,A2,A3を挿入することにより、収納室25に厚さ方向に突出して回動可能に配置された位置規制板部70の位置規制板71,72,73に当接し、これら位置規制板71,72,73によりいわば片寄せするように案内して収納室25の底面部31に当接し、上下方向に位置合わせできる。
この装着作業の際、位置規制板部70は、各電池A1,A2,A3に対応して位置規制板71,72,73が設けられ、各電池A1,A2,A3の厚さ寸法H1,H2,H3が大きくなるほど規制ばね81,82,83により付勢される位置規制板71,72,73による押圧力が大きくなるように設定されているため、各電池A1,A2,A3を収納室25の底面部31に適切な圧力で確実に圧接できる。
さらに、各電池A1,A2,A3が所定位置に装着された状態では、各電池A1,A2を付勢していない位置規制板72,73は電池A1,A2の対向面12に対して略垂直に保持され、各電池A1,A2にそれぞれ対応して、各電池A1,A2の対向面12に対して略垂直に保持されるとともに僅かな所定の間隔を介して先端部が対向する位置規制板72,73が各電池A1,A2に対応して設けられているため、これら位置規制板72,73各電池A1,A2の厚さ方向への移動を阻止する位置規制手段として機能するため、収納装置10に衝撃力が加わり、あるいは、電池Aに加速度がかかった際にも、規制ばね81,82,83には過負荷が加わらず、各電池A1,A2,A3を収納室25の底面部31に圧接した状態のまま位置決めして保持できる。
同様に、各電池A1,A2,A3と弾性変形する方向に当接していない排出ばね52,53は、厚さ方向への移動を阻止する位置規制手段として機能するため、複数カ所で分散して力を受けることができ、耐久性を向上できる。
そして、このように位置規制板72,73及び排出ばね52,53が移動を阻止する位置規制を行うため、位置規制板71,72,73の規制ばね81,82,83のばね力量は、最大でも電池Aの質量WAを保持する力量があれば良く、衝撃力に耐えるような大きなばね力量は不要であり、装置の小型化が図られるとともに、電池Aの挿入動作を容易にできる。
このように、位置規制板72,73及び排出ばね52,53は、複数の機能を奏する部材を兼用するものであり、部品点数を削減し、構造を簡略化して、製造コストを低減できる。
また、蓋体38を開けると、排出付勢部50の排出ばね51,52,53、厚さ判定部60及び接点部40の付勢力により、電池Aを一定量だけ排出し、作業性良く電池Aを取り出すことができる。また、これら部材による排出力は、各電池A1,A2,A3の外形形状すなわち厚さ寸法H1,H2,H3が大きくなるほど、排出力も大きくなるように設定されており、さらに、上記の式1あるいは式1-1を満たすように設定されているため、収納装置10の姿勢方向にかかわらず、すなわち全姿勢方向で、全ての電池Aを確実に排出できる。
さらに、各電池A1,A2,A3に対して適切な排出力を設定でき、電池Aに必要以上の排出力が加わることを抑制できるため、ロック手段を構成する蓋体38、フック部38b及びフック受部34aなどの耐久性を向上できる。
また、位置規制部69の位置規制板部70の第1ないし第3の位置規制板71,72,73は、電池Aの挿入時には逃げ方向に摺接しながら回動し、電池Aの排出時には、かみつき方向に摺接するため、電池Aの挿入時に要する力を小さくして作業性を向上できるとともに、電池Aの排出時には摺動抵抗を大きくして、電池A一定量以上排出されることを抑制できる。
また、位置規制部69の位置規制板部70は、規制ばね81,82,83に付勢されて回動可能に設けられた複数の位置規制板71,72,73が、電池Aの外形に応じて可変するため、外形が平面上の電池Aについても確実に位置規制できる。このため、電池A及び収納室25は、位置を規制し保持するための凹部あるいは凸部を形成する必要がなく、外形を平面で構成することが可能になる。
そこで、電池A及び収納室25に小さな寸法の凹凸を形成する必要がなく、強度を向上し、取り扱いを容易にできる。例えば、プラスチック成形により電池A及び収納室25の凹部あるいは凸部を形成した場合には、損傷が生じた場合に全体を交換することが必要になり、修理性が良くないが、本実施の形態では破損しやすい部分を減らし、耐久性を容易に向上できる。
さらに、位置規制部69の位置規制板部70は、ユニット構造として構成できるため、損傷が生じた場合にも、修理が容易であり、保守のコストを低減できる。
また、対象物である電池Aの外形寸法が変更され、あるいは、異なる形状の電池Aが追加された場合でも、位置規制板部70の位置規制板71,72,73を変更しあるいは追加することにより、容易に対応できる。
なお、上記の各実施の形態では、厚さ判定部60として、位置規制板部70及び排出付勢部50とは独立した厚さ判定スイッチ61,62,63を備えたが、厚さ判定部60を、これら位置規制板部70あるいは排出付勢部50と一体的に構成し、すなわち、位置規制板部70あるいは排出付勢部50に厚さ判定部60を兼用させることもできる。
例えば、排出付勢部50と一体的に構成する場合は、図5に示すように、収納室25に挿入された電池Aに当接して押動される排出付勢部50の排出ばね51,52,53を、導電性を有する金属板などの部材で形成し、これら排出ばね51,52,53を可動接点とし、これら排出ばね51,52,53に対向する接点90を設けるのみで厚さ判定部60を構成でき、構成を簡略化し、部品点数を削減して、製造コストを低減できる。なお、この構成では、(式1.1)において説明した厚さ判定部60の負荷F60が無くなるため、他の排出負荷、例えば排出付勢部50の排出負荷を大きく設定する。
また、厚さ判定部60を位置規制板部70と一体的に構成する場合は、図示しないが、各位置規制板71,72,73の軸受部71b,72b,73bあるいは軸部75に、回動位置に対応する導通パターン部を設けるとともに、各位置規制板71,72,73の回動に伴い軸受部71b,72b,73bあるいは軸部75に対して相対的に回動する部材に、導通パターン部に接触する導電性を有するブラシを設け、ブラシスイッチを構成することもできる。そして、これら導通パターン部とブラシとの導通状態すなわちこのブラシスイッチの導通状態を検出することにより、各位置規制板71,72,73をスイッチとして機能させる機能こともできる。この構成においても、構成を簡略化し、部品点数を削減して、製造コストを低減できる。
次に、図6ないし図8を参照して、第2の実施の形態について説明する。
この第2の実施の形態は、箱体である電池Aの離脱時に、電池Aが一定量排出された状態を保持し、収納装置10の姿勢方向に関わらず、例えば、収納装置10の姿勢方向が電池Aが重力落下する姿勢方向であっても、収納室25から排出された電池Aが落下しないように保持できる落下防止構造を有するものである。
図6ないし図8は、蓋体38が開けられ電池Aが収納室25から一定量排出された状態、あるいは、電池Aを収納室25に挿入後で蓋体38を閉操作する前の状態において、収納装置10を電池Aが重力落下する姿勢方向とした際に、電池Aが摩擦抵抗により保持されている状態を示している。図6及び図7は、第2の電池A2を挿入した場合を示し、図8は、最大の厚さ寸法H3の第3の電池A3を挿入した場合を示している。
この第2の実施の形態では、図6に示すように、第1の実施の形態の構成に加え、各位置規制板部70の第1ないし第3の位置規制板71,72,73の電池Aに接触する部分に、それぞれそれぞれ所定の摩擦抵抗負荷を有する接触部101が設けられ、また、図7に示すように、収納室25の底面部31に所定の摩擦抵抗負荷を有する摩擦抵抗部材102が設けられ、また、図8に示すように、収納室25の天面部32に、位置規制板73の接触部101を最大の厚さ寸法H3を有する第3の電池A3に圧接させる付勢部103を設けたもので、他の接点部40、排出付勢部50、及び厚さ判定部60などの構成は第1の実施の形態と同一である。
すなわち、規制ばね81,82,83の付勢力により電池Aの基準面11を収納室25の底面部31に片寄せする位置規制板71,72,73の各電池A1,A2,A3の対向面12に接触する部分に、接触部101を設けたため、この接触部101と対向面12との間にかみつき方向の摩擦抵抗負荷を発生させ、電池Aの自由落下を容易に防止できるようになっている。ここで、規制ばね81,82,83により付勢される第1ないし第3の位置規制板71,72,73が電池Aの対向面12を収納室25の底面部31に押圧し片寄せする押圧加重は、電池Aの外形形状が大きくなるほど大きくなるため、摩擦抵抗負荷も比例して大きくなる。なお、この接触部101は、位置規制板71,72,73を構成する部材よりも摩擦抵抗の大きい部材を位置規制板71,72,73に接着して形成したが、接着の他に、別部材をコーティングし、あるいはいわゆるスナップフィットなどの嵌め込みなどにより形成することもできる。また、この構成は、電池Aの位置を規制する部材を、排出時の落下防止部材として兼用するもので、部品点数の増加が抑制されている。
また、収納室25の底面部31の摩擦抵抗部材102は、接触部101による落下防止方向の負荷の補助として必要に応じて設けられるもので、規制ばね81,82,83の付勢力を増加させることなく、落下防止方向の摩擦抵抗負荷を増加させることができる。なお、この摩擦抵抗部材102も、別部材の接着あるいはコーティングなどにより形成されている。
さらに、付勢部103は、最大の厚さ寸法H3を有する第3の電池A3が挿入された際に、この第3の電池A3の対向面12に当接する第3の位置規制板73の接触部101を押圧して、第3の電池A3を底面部31の摩擦抵抗部材102に押しつけるもので、接触部101に加え付勢部103と摩擦抵抗部材102とで電池A3を挟持して、規制ばね81,82,83の付勢力を増加させることなく、落下防止方向の摩擦抵抗負荷を増加させることができる。また、この付勢部103は、収納室25の天面部32に取り付けられた弾性部材である板ばねなどの付勢手段により構成されている。
なお、この構成では、電池Aの挿入時においても、電池Aの対向面12と接触部101及び付勢部103との間、及び、電池Aの基準面11と摩擦抵抗部材102との間で摩擦抵抗負荷が生じ、挿入力量が増加する。しかしながら、位置規制板部70の接触部101は逃げ方向に作動するため、挿入方向では負荷抵抗として一部作用するだけであり、排出方向ではかみつき方向に作動するので、負荷抵抗の全てを作用させることができる。
次に、電池Aの装着動作及び離脱動作を説明する。
まず、図6を参照して、接触部101を設け、摩擦抵抗部材102及び付勢部103を設けていない構成について説明する。
図6において、電池A2を挿入し、各排出ばね51,52,53、各厚さ判定スイッチ61,62,63、及び各接点41,42,43に当接させるまでの動作は第1の実施の形態と同一であり、図示しない規制ばね81,82,83の負荷により電池A2の基準面11を収納室25の底面部31に押圧し片寄せした状態になっている。
そして、このように、第2の電池A2を挿入し、各排出ばね51,52,53、各厚さ判定スイッチ61,62,63、及び各接点41,42,43に当接させた後、蓋体38を閉操作する前の状態において、第2の電池A2が重力落下する方向の姿勢をとっている状態でも、第2の電池A2の対向面12と規制ばね81,82に付勢された位置規制板71,72の接触部101との間に生じるかみつき方向の摩擦抵抗負荷により、いわば係止状態で、第2の電池A2を挿入された状態で排出位置と同じ位置に保持できる。
すなわち、位置規制板71,72,73は、位置規制手段と同時に、落下防止用部材としても作用している。
なお、ここでは第2の電池A2について説明したが、第1の電池A1及び第3の電池A3についても同様であり、第1の電池A1については、規制ばね81により付勢された第1の位置規制板71の接触部101の摩擦抵抗負荷により保持された状態になり、第3の電池A3については、規制ばね81,82,83に付勢された第1ないし第3の位置規制板71,72,73の接触部101の摩擦抵抗負荷により保持された状態になる点のみが異なる。
そこで、電池Aが排出位置で保持され、さらに、落下防止されるための条件を満足する荷重関係条件式は、電池Aの質量をWAとし、各電池A1,A2,A3に対応した位置規制板部70の接触部101の摩擦抵抗負荷をF101、排出付勢部50の負荷をF50、接点部40の負荷をF40、厚さ判定部60の負荷をF60とすると、
(式2-1) F50+F40+F60 > F101+WA
かつ
(式2-2) F101 > WA
となり、さらに、式2-1に代えて、
(式2-11) F50 > F101+WA
を満たす場合は、排出付勢部50の負荷F50のみで、排出が可能になる。
なお、ここで、規制ばね81,82,83により付勢される位置規制板71,72,73が、電池Aの基準面11を収納室25の底面部31に押圧し片寄せする押圧荷重は、電池Aの外形形状が大きくなるほど大きくなるため、接触部101の摩擦抵抗負荷F101も、比例して大きくなる。
また、排出時のみならず電池Aの挿入時においても、電池Aの対向面12と各位置規制板71,72,73の各接触部101との間で摩擦抵抗負荷が生じ挿入力量が増加する。しかしながら、位置規制板部70の接触部101は逃げ方向に作動するため、挿入方向では負荷抵抗として若干増加するだけであり、排出方向ではかみつき方向に作動するので、負荷抵抗の全てを作用させ、効率良く電池Aの落下を防止できる。
次に、図7を参照して、接触部101及び摩擦抵抗部材102を設け、付勢部103を設けていない構成について説明する。
この構成では、図6の構成に加え、収納室25の底面部31に摩擦抵抗負荷を有する摩擦抵抗部材102が接着あるいはコーティングなどして形成され、落下防止方向の負荷の補助力を付加することにより、規制ばね81,82,83や接触部101の小型化や耐久性の向上が図られている。
この構成では、各操作については、上記の図6に示す構成と同一であるが、落下防止の荷重関係式は異なり、電池Aが排出位置で保持され、さらに、落下防止されるための条件を満足する荷重関係条件式は、電池Aの質量をWAとし、各電池A1,A2,A3に対応した位置規制板部70の接触部101の摩擦抵抗負荷をF101、収納室25の摩擦抵抗部材102の摩擦抵抗負荷をF102、排出付勢部50の負荷をF50、接点部40の負荷をF40、厚さ判定部60の負荷をF60とすると、
(式2-3) F50+F40+F60 > F101+F102+WA
かつ
(式2-4) F101+F102 > WA
となり、さらに、式2-3に代えて、
(式2-31) F50 > F101+F102+WA
を満たす場合は、排出付勢部50の負荷F50のみで、排出が可能になる。
また、この構成でも、排出時のみならず電池Aの挿入時においても、電池Aの対向面12と各位置規制板71,72,73の各接触部101との間及び電池Aの基準面11と収納室25の底面部31の摩擦抵抗部材102との間で摩擦抵抗負荷が生じ挿入力量が増加する。しかしながら、位置規制板部70の接触部101は逃げ方向に作動するため、挿入方向では負荷抵抗として一部増加するだけであり、排出方向ではかみつき方向に作動するので、負荷抵抗の全てを作用させ、効率良く電池Aの落下を防止できる。
次に、図8を参照して、接触部101及び摩擦抵抗部材102に加え、付勢部103を設けた構成について説明する。
図6及び図7の構成において、最大の厚さ寸法H3を有する第3の電池A3が装着される際、この第3の電池A3の質量W3が他の電池より相当大きい場合、位置規制ばね83の付勢力を増大し位置規制板73に設けられた接触部101を大きくするなどして摩擦抵抗を比例して大きくする必要が生じる。
そこで、第3の電池A3が装着される際のみ落下防止方向の摩擦抵抗負荷を増大させるように、収納室25の天面部32に付勢部103を設け、第3の電池A3が挿入されると、この第3の電池A3の対向面12に当接する第3の位置規制板73の接触部101を押圧し、いわば第3の電池A3の対向面12と付勢部103との間で第3の位置規制板73の接触部101を挟持することにより、接触部101を第3の電池A3の対向面12に圧接することにより、第3の位置規制板73の規制ばね83による押圧負荷に、付勢部103の圧接負荷が追加されるため、規制ばね81,82,83の付勢力を増加させることなく、落下防止方向の摩擦抵抗負荷を増加させることができる。
また、この図8の構成では、第1及び第2の電池A1,A2の場合は、図6及び図7に示す構成と同一の動作となり、荷重関係式も式2-1ないし式2-4と同一になる。
そこで、第3の電池A3が排出位置で保持され、さらに、落下防止されるための条件を満足する荷重関係条件式は、電池Aの質量をWAとし、第3の電池A3に対応した位置規制板部70の接触部101の摩擦抵抗負荷をF101、収納室25の摩擦抵抗部材102の摩擦抵抗負荷をF102、付勢部103による摩擦抵抗負荷の増大部をF103、排出付勢部50の負荷をF50、接点部40の負荷をF40、厚さ判定部60の負荷をF60とすると、
(式2-5) F50+F40+F60 > F101+F102+F103+WA
かつ
(式2-6) F101+F102+F103 > WA
となり、さらに、式2-3に代えて、
(式2-51) F50 > F101+F102+F103+WA
を満たす場合は、排出付勢部50の負荷F50のみで、排出が可能になる。
また、この構成でも、第3の電池A3の挿入力量が増加し、落下防止負荷(F101+F102+F103)とほぼ等しい挿入力量が生じる。一方、第1及び第2の電池A1,A2の場合は、上記の図7に示す構成と同一であり、排出時のみならず電池Aの挿入時においても、電池Aの対向面12と各位置規制板71,72,73の各接触部101との間及び電池Aの基準面11と収納室25の底面部31の摩擦抵抗部材102との間で摩擦抵抗負荷が生じ挿入力量が増加する。しかしながら、位置規制板部70の接触部101は逃げ方向に作動するため、挿入方向では負荷抵抗として一部増加するだけであり、排出方向ではかみつき方向に作動するので、負荷抵抗の全てを作用させ、効率良く電池Aの落下を防止できる。
そして、上記の図6ないし図8に示す状態から、第1の実施の形態と同様に蓋体38を閉じることにより、電池Aを所定位置に装着し保持することができる。
次に、電池Aの離脱動作を説明する。
図6に示す構成において、電池Aの装着状態から、第1の実施の形態と同様に蓋体38を開けると、例えば第2の電池A2については、排出手段を構成する排出ばね51,52(負荷F50=F51+F52)、接点41,42,43(負荷F40)、及び厚さ判定スイッチ61,62(F60=F61+F62)の合算された排出負荷により、電池Aが排出される。
この際、第1及び第2の位置規制板71,72の接触部101(負荷F101)は、電池Aの対向面12とかみつき方向で圧接し、落下防止のための摩擦抵抗負荷を生じている。
そして、上記の合算された排出負荷は、落下防止のための摩擦抵抗負荷に抗して電池Aを排出ばね51,52,53などとの当接位置まで排出するので、電池Aを手で持ち作業性良く収納室25から取り出すことができる。
そして、この際の荷重関係条件式は、収納装置10の全ての姿勢方向で電池Aを当接位置(排出位置)まで排出でき、かつ、この当接位置において、収納装置10が電池Aの重力落下方向の姿勢をとっても、電池Aが落下しないことを満たすものとする必要がある。
なお、第1の電池A1の排出負荷は、第1の排出ばね51(負荷F50=F51)、接点41,42,43(負荷F40)、及び厚さ判定スイッチ61(F60=F61)の合算された排出負荷となり、摩擦抵抗負荷は、各位置規制板部70の第1の位置規制板71の接触部101(負荷F101)により生じる。また、第3の電池A3の排出負荷は、第1ないし第3の排出ばね51,52,53(負荷F50=F51+F52+F53)、接点41,42,43(負荷F40)、及び厚さ判定スイッチ61,62,63(F60=F61+F62+F63)の合算された排出負荷となり、摩擦抵抗負荷は、各位置規制板部70の第1ないし第3の位置規制板71,72,73の接触部101(負荷F101)により生じる。
そこで、各負荷に代表値を用いて荷重関係式を表すと、電池Aの質量をWAとし、各電池A1,A2,A3に対応した位置規制板部70の接触部101の摩擦抵抗負荷をF101、排出付勢部50の負荷をF50、接点部40の負荷をF40、厚さ判定部60の負荷をF60とすると、
(式3-1) F50+(F40+F60) > F101+WA
かつ、
(式3-2) F50+(F40+F60) > F101 > WA
の条件式を満たすことにより、合算された排出負荷により、収納装置10の全ての姿勢方向において、例えば、電池Aの重力負荷方向の姿勢、すなわち開口部34が上方を向いている状態でも、全ての電池Aを取り出しやすい位置まで排出できるとともに、開口部34が下方を向いている状態でも、全ての電池Aの自重WAによる重力方向での落下を防止できる。
さらに、
(式3-11) F50 > F101+WA
かつ、
(式3-21) F50 > F101 > WA
の条件式を満たす場合は、排出付勢部50の排出ばね51,52,53の負荷だけで電池Aを排出できる場合である。
これら式3-1ないし式3-21に示す条件式を満たすように、収納装置10の排出付勢部50の負荷F50は、電池Aの厚さ寸法Hが大きくなるほど排出力も大きくなっており、各電池A1,A2,A3の質量W1,W2,W3に対応する排出力を有しているため、収納装置10の全ての姿勢方向において、各電池A1,A2,A3を収納室25の開口部34から一定量排出し、作業性良く電池Aを取り出すことができる。さらに、各位置規制板部70の接触部101を付勢する規制ばね81,82,83の合算した負荷は、電池Aの厚さ寸法Hが大きくなるほど大きくなり、落下防止用の摩擦抵抗負荷も大きくできるため、収納装置10の全ての姿勢方向において、全ての電池Aの自重WAによる重力方向での落下を防止できる。
次に、図7を参照して、接触部101及び摩擦抵抗部材102を設け、付勢部103を設けていない構成の離脱動作について説明する。
この構成では、図6の構成に加え、収納室25の底面部31に摩擦抵抗負荷を有する摩擦抵抗部材102が接着あるいはコーティングなどして形成され、摩擦抵抗負荷F102が増加している。
そこで、各負荷に代表値を用いて荷重関係式を表すと、電池Aの質量をWAとし、各電池A1,A2,A3に対応した位置規制板部70の接触部101の摩擦抵抗負荷をF101、収納室25の摩擦抵抗部材102の摩擦抵抗負荷をF102、排出付勢部50の負荷をF50、接点部40の負荷をF40、厚さ判定部60の負荷をF60とすると、
(式4-1) F50+(F40+F60) > F101+F102+WA
かつ、
(式4-2) F50+(F40+F60) > F101+F102 > WA
の条件式を満たすことにより、合算された排出負荷により、収納装置10の全ての姿勢方向において、例えば、電池Aの重力負荷方向の姿勢、すなわち開口部34が上方を向いている状態でも、電池Aを取り出しやすい位置まで排出できるとともに、電池Aの自重WAによる重力方向での落下を防止できる。
さらに、
(式4-11) F50 > F101+F102+WA
かつ、
(式4-21) F50 > F101+F102 > WA
の条件式を満たす場合は、排出付勢部50の排出ばね51,52,53の負荷だけで電池Aを排出できる場合である。
このように、収納室25の底面部31に摩擦抵抗負荷を有する摩擦抵抗部材102を設けることにより、位置規制板部70の接触部101による落下防止方向の補助力とすることができ、規制ばね81,82,83の付勢力を小さくしても落下防止方向に十分な負荷を確保でき、全ての電池Aに対して、確実な落下防止を行うことができる。
次に、図8を参照して、接触部101及び摩擦抵抗部材102に加え、付勢部103を設けた構成の離脱動作について説明する。
この図8の構成では、第1及び第2の電池A1,A2の場合は、図6及び図7に示す構成と同一の動作となり、荷重関係式も式4-1ないし式4-21と同一になる。
一方、最大の厚さ寸法H3を有する第3の電池A3が装着されている状態では、付勢部103が第3の位置規制板73の接触部101を押圧し、いわば第3の電池A3の対向面12と付勢部103との間で第3の位置規制板73の接触部101を挟持することにより、第3の位置規制板73の規制ばね83による押圧負荷に、付勢部103の圧接負荷が追加されている。
そこで、各負荷に代表値を用いて荷重関係式を表すと、電池Aの質量をWAとし、各電池A1,A2,A3に対応した位置規制板部70の接触部101の摩擦抵抗負荷をF101、収納室25の摩擦抵抗部材102の摩擦抵抗負荷をF102、付勢部103による摩擦抵抗負荷の増大部をF103、排出付勢部50の負荷をF50、接点部40の負荷をF40、厚さ判定部60の負荷をF60とすると、
(式4-1) F50+(F40+F60) > F101+F102+F103+WA
かつ、
(式4-2) F50+(F40+F60) > F101+F102+F103 > WA
の条件式を満たすことにより、合算された排出負荷により、収納装置10の全ての姿勢方向において、例えば、電池Aの重力負荷方向の姿勢、すなわち開口部34が上方を向いている状態でも、電池Aを取り出しやすい位置まで排出できるとともに、第3の電池A3が他の電池A1,A2に対して相当重い場合にも、自重WAによる重力方向での落下を防止できる。
さらに、
(式4-11) F50 > F101+F102+F103+WA
かつ、
(式4-21) F50 > F101+F102+F103 > WA
の条件式を満たす場合は、排出付勢部50の排出ばね51,52,53の負荷だけで電池Aを排出できる場合であり、第3の電池A3を含み全ての電池Aをさらに確実に排出できる。
すなわち、最大の形状の第3の電池A3が装着される場合は、各位置規制板部70の接触部101が浅い角度で第3の電池A3の対向面12に当接し、かみつき方向に作用する落下防止力量が小さくなる可能性があるが、本実施の形態では、最大の形状の第3の電池A3が装着される場合は、この第3の電池A3の対向面12と付勢部103との間に接触部101を挟み込み、接触部101を第3の電池A3に圧接することにより、摩擦抵抗負荷を増加させ、第3の電池A3を含み全ての電池Aに対して確実な落下防止を行うことができる。
このように、この第2の実施の形態によれば、外形形状が大きくなるほど排出力を大きくして、全ての電池Aを一定量排出できる第1の実施の形態の効果に加え、電池Aの排出動作時には、位置規制板71,72,73に設けた接触部101がかみつき方向で作用するため、負荷抵抗を効率良く作用できるとともに、外形形状が大きくなるほど落下防止力も大きくなるため、電池Aを一定量排出された状態で保持し、電池Aの自重WAによる落下を確実に防止できる。
また、このように落下を防止する接触部101は、挿入時及び挿入後に位置規制を行う位置規制板71,72,73に設けられており、部品を兼用して、耐久性の向上及び装置の小型化を容易に実現できる。
また、電池Aの挿入時には、位置規制板71,72,73が逃げ方向に回動するため、挿入時の抵抗は小さくでき、作業性を向上できる。
なお、かみつき方向の力を作用させて、電池Aを効率良く保持するとともに、挿入負荷を小さくして作業性及び耐久性などを向上するためには、収納室25の底面部31に摩擦抵抗部材102を設けるのみならず、位置規制板71,72,73に接触部101を設けることが望ましい。
なお、付勢部103は、第3の位置規制板73の接触部101のみならず、他の位置規制板71,72の接触部101を第3の電池A3に圧接する構成とすることもできる。
次に、図9を参照して、第3の実施の形態を説明する。
この第3の実施の形態は、上記の各実施の形態の構成において、電池Aの対向面12に当接する位置規制板部70の第1ないし第3の位置規制板71,72,73を回動可能に付勢する規制ばね81,82,83の押圧荷重を調整可能としたものである。すなわち、上記の第1及び第2の実施の形態において、初期設定の他、耐久性能の限界及び経時変化に伴う摩擦係数の変化、あるいは電池Aの仕様変更により外形が同一であっても質量が変更された場合などにおいても、第1の実施の形態で示したように、電池Aを収納室25の底面部31に圧接して位置決め保持し、また、第2の実施の形態で示したように、電池Aを一定量だけ排出して重力による落下を防止する機能を確保できるようになっている。
そして、この構成では、第1及び第2の実施の形態の構成に加え、各規制ばね81,82,83に対し、それぞれ付勢力調整手段111,112,113が備えられ、各付勢力調整手段111,112,113は、それぞればね調整係止部材115、調整レバー116、及び図示しないロック機構などを備えている。そして、ばね調整係止部材115は、図示しない保持部材に設けられ、電池Aの挿入方向(Z,-Z方向)に沿って進退可能に設けられ、固定部85に代わり各規制ばね81,82,83の端部が接続されるばね接続部118,118と、調整レバー116に接続される係合部119とを備えている。また、調整レバー116は、それぞれ軸120を中心に独立して回動可能に設けられ、この軸120から延設された操作部121と、軸120から他の方向に延設された作用軸122とを備えている。そして、各作用軸122の先端部が、ばね調整係止部材115の係合部119に回動可能に接続されている。そこで、操作部121を回動操作することにより、ばね調整係止部材115がスライドし、各規制ばね81,82,83を伸縮させて付勢力を調整する。また、ロック機構は、調整レバー116すなわちばね調整係止部材115の移動をロックし、あるいは許容するようになっている。
次に、調整動作を説明する。
この調整動作は、第1の規制ばね81、第2の規制ばね82、第3の規制ばね83の順に行う。
まず、第1の電池A1に当接する第1の位置規制板71を時計回り方向tに付勢する第1の規制ばね81に対応する付勢力調整手段111について、ロック機構を操作してロックを解除し、調整レバー116を操作して、調整係止部材115をスライドさせ、規制ばね81を伸縮させて負荷を調整し、収納装置10の姿勢を第1の電池A1の電池の重力落下方向にして蓋体38を開いても装着した第1の電池A1が自由落下しないように調整する。そして、調整の完了後、ロック機構により調整レバー116及び調整係止部材115を固定する。
次いで、第1の電池A1の負荷調整が完了した状態で、第2の電池A2の調整を行う。すなわち、第2の電池A2に当接する第2の位置規制板72を時計回り方向tに付勢する第2の規制ばね82に対応する付勢力調整手段112について、ロック機構を操作してロックを解除し、調整レバー116を操作して、調整係止部材115をスライドさせ、規制ばね82を伸縮させて負荷を調整し、収納装置10の姿勢を第2の電池A2の電池Aの重力落下方向にして蓋体38を開いても装着した第2の電池A2が自由落下しないように調整する。そして、調整の完了後、ロック機構により調整レバー116及び調整係止部材115を固定する。
次いで、第2の電池A2の負荷調整が完了した状態で、第3の電池A3の調整を行う。すなわち、第3の電池A3に当接する第3の位置規制板73を時計回り方向tに付勢する第3の規制ばね83に対応する付勢力調整手段113について、ロック機構を操作してロックを解除し、調整レバー116を操作して、調整係止部材115をスライドさせ、規制ばね83を伸縮させて負荷を調整し、収納装置10の姿勢を第3の電池A3の電池Aの重力落下方向にして蓋体38を開いても装着した第3の電池A3が自由落下しないように調整する。そして、調整の完了後、ロック機構により調整レバー116及び調整係止部材115を固定する。
なお、電池Aを一定量排出するための条件式を満足させるため、排出付勢部50の負荷F50は、初期設定において、電池Aの質量WAの最大値を想定した値に設定しておくことにより、調整機構を設けずに対応できる。
次に、使用状態における付勢力の再調整動作について説明する。
すなわち、耐久性能の限界及び経時変化に伴う摩擦係数の変化、あるいは電池Aの仕様変更により外形が同一であっても質量が変更された場合などにおいて、第1の実施の形態で示したように電池Aを収納室25の底面部31に圧接して位置決め保持できなくなり、また、第2の実施の形態で示したように、電池Aを一定量だけ排出して重力による落下を防止する各荷重関係の条件式を満足できなくなる可能性があるが、このような場合の解決方法として、位置規制付勢部80の規制ばね81,82,83の押圧荷重を調整し、機能の確保を図るものである。
ここでは、第1の電池A1を収納室25に収納し、各位置規制板部70の第1の位置規制板71の接触部101が第1の電池A1の対向面12に当接し、第1の電池A1の基準面11を収納室25の底面部31に圧接保持する構成において、電池形状が同一であっても、質量が大きくなった場合に、収納装置10の姿勢を第1の電池A1の質量W1が全て位置規制板部70に負荷される姿勢方向で、第1の電池A1の基準面11を収納室25の底面部31に圧接保持できない場合に、規制ばね81の負荷を増加させ、圧接保持する調整方法について説明する。
まず、蓋体38を開け、第1の電池A1を第1の実施の形態の図4と同様の位置とし、さらに、収納装置10の姿勢方向を、第1の電池A1の質量W1が全て位置規制板部70に負荷される姿勢方向とする。そして、図示しないロック機構によるロックを解除すると、付勢力調整手段111の調整レバー116が軸120を中心に回動可能になるので、調整レバー116の操作部121を反時計回り方向に回動する。すると、この調整レバー116に係合部119で連結された調整係止部材115が収納室25の奥側(Z方向)にスライドし、規制ばね81を伸張させて、負荷を増加させ、押圧力量が第1の電池A1の質量を超え、(W1+α)となるように調整する。そして、第1の電池A1の基準面11が収納室25の底面部31に圧接保持されたことを目視など何らかの方法で確認した後、調整レバー116をロック機構により固定する。
また、第2及び第3の電池A2,A3についても、同様に、それぞれ対応する付勢力調整手段112,113の調整レバー116を反時計回り方向に回動することにより、規制ばね82,83を伸張させて、負荷を増加させ、押圧力量が各電池A2,A3の質量を超え、(W2+α,W3+α)となるように調整することができる。
但し、第2の電池A2に対する付勢力調整手段112の調整は、第1の電池A1の付勢力調整手段111の調整後に行い、第3の電池A3の付勢力調整手段113の調整は、第1及び第2の電池A1,A2の付勢力調整手段111,112の調整後に行う必要がある。
そして、第2及び第3の電池A2,A3についても、基準面11が収納室25の底面部31に圧接保持されたことを目視など何らかの方法で確認した後、調整レバー116をロック機構により固定する。
次に、同じく図9において、第1の電池A1を収納室25に収納し、各位置規制板部70の第1の位置規制板71の接触部101が第1の電池A1の対向面12に当接し、第1の電池A1の基準面11を収納室25の底面部31に圧接保持する構成において、第2の実施の形態の電池Aを、一定量だけ排出し、重力方向の自由落下を防止する各荷重関係の条件式を満足させることができない場合に、規制ばね81の負荷を増加させ、電池Aを一定量だけ排出し、かつ、重力方向の自由落下を防止する調整方法について説明する。
なお、ここでは、電池Aを一定量排出するための条件式を満足させるため、排出付勢部50の負荷F50は、初期設定において、電池Aの質量WAの最大値を想定した値に設定しておくことにより、各荷重関係の条件式(式3-1)の調整は行わない構成としている。
まず、収納装置10の姿勢方向を、第1の電池A1が重力落下する姿勢方向とし、蓋体38を開け、第1の電池A1を第2の実施の形態の図6と同様の位置とする。そして、第2の実施の形態で説明した各荷重関係の条件式(式3-2)を満足させ、第1の電池A1が一定量排出された際に自由落下しないように、上記と同様に付勢力調整手段111の調整レバー116を操作して調整し、規制ばね81を伸張させて、負荷を増加させる。
この時の負荷は、電池Aの質量をWAとし、各電池A1,A2,A3に対応した位置規制板部70の接触部101の摩擦抵抗負荷をF101、排出付勢部50の負荷をF50、接点部40の負荷をF40、厚さ判定部60の負荷をF60とすると、
(式3-2) F50+(F40+F60) > F101 > WA
の条件式を満たすようにする。さらに、排出付勢部50の排出ばね51,52,53の負荷だけで電池Aを排出する場合は、
(式3-21) F50 > F101 > WA
の条件式を満たすようにする。
そして、この荷重関係の条件式を満たすことにより、収納装置10の全ての姿勢方向において、電池Aの自重WAによる重力方向での落下を防止でき、一定量だけ排出された状態でかみつき方向に作用する接触部101の摩擦抵抗負荷F101により電池Aを取り出しやすい位置で保持できる。
そして、第1の電池A1が重力方向に自由落下しないことを目視など何らかの方法で確認した後、調整レバー116をロック機構により固定する。
また、第2及び第3の電池A2,A3についても、同様に、それぞれ対応する付勢力調整手段112,113の調整レバー116を反時計回り方向に回動し、規制ばね82,83を伸張させて、負荷を増加させ、荷重関係の条件式(式3-2)を満足させることができるように調整することにより、第2及び第3の電池A2,A3が重力方向に自由落下せず、一定量だけ排出された状態でかみつき方向に作用する接触部101の摩擦抵抗負荷F101により取り出しやすい位置で保持できる。
但し、第2の電池A2に対する付勢力調整手段112の調整は、第1の電池A1の付勢力調整手段111の調整後に行い、第3の電池A3の付勢力調整手段113の調整は、第1及び第2の電池A1,A2の付勢力調整手段111,112の調整後に行う必要がある。
そして、第2及び第3の電池A2,A3についても、重力方向に自由落下しないことを目視など何らかの方法で確認した後、調整レバー116をロック機構により固定する。
なお、この調整作業については、電池Aを一定量排出するための条件式を満足させるため、排出付勢部50の負荷F50は、初期設定において、電池Aの質量WAの最大値を想定した値に設定しておくことにより、各荷重関係の条件式(式3-1)の調整は行わない無調整方式としたが、規制ばね81,82,83についても、負荷荷重を調整できる構造とすることもできる。
このように、この第3の実施の形態によれば、位置規制付勢部80の規制ばね81,82,83の押圧荷重を調整する調整機構を設けたため、耐久性能及び経時変化に伴う摩擦係数の変化、及び外形形状が同一であっても質量が変更された場合などでも、確実に落下防止を実現することができる。
なお、上記の図9に示す構成では、調整レバー116は軸120を中心に回動し、調整係止部材115をスライドさせて引張りコイルばねである各規制ばね81,82,83を伸縮させて負荷を調整する構成について説明したが、この構成に限られず、回転ダイヤルやリードねじなどを組み合わせて付勢力調整手段を構成することもできる。
また、上記の各実施の形態では、規制ばね81,82,83に引張りコイルばねを使用しているが、この構成に限られず、ねじりコイルばねや板ばねなどの付勢手段を用い、各付勢手段に対応した付勢力調整手段を構成することもできる。
次に、図10を参照して、第4の実施の形態を説明する。
この第4の実施の形態では、上記の各実施の形態において、収納室25の奥側の端面33に排出付勢部50のみを設け、他の圧接力を有する接点部材である接点部40及び厚さ判定部60は、収納室25の奥側の端面33以外の面に設けた場合の、各電池A1,A2,A3の位置規制及び落下防止方法について説明する。
そして、この図10は、厚さ判定部60が収納室25の一方(X側)の側面部35に設けられ、接点部40が他方(-X側)の側面部35に設けられている場合に、第1の電池A1が収納室25に装着されている場合の斜視図である。なお、この収納室25には、上記の各実施の形態と同様に、位置規制部69の一対の位置規制板部70すなわち第1ないし第3の位置規制板71,72,73及び規制ばね81,82,83や、蓋体38などが設けられているが、説明の簡略化のため、図面上省略して説明する。
そして、この構成では、排出付勢部50は、上記の各実施の形態と同様に、電池Aを排出するための弾性変形部材である3個の排出ばね51,52,53は、形状の異なる複数電池に対応して、収納室25の奥側の端面33に弾性変形可能に設けられている。そして、各排出ばね51,52,53の付勢力を合算した排出付勢部50の排出力は、下記の条件式7-1及び7-2を満たすように、各電池A1,A2,A3の厚さ寸法H1,H2,H3が大きくなるほど排出力も大きくなるように設けられており、さらに、電池Aと当接していない排出ばね52,53の下側の端面が電池Aの対向面12と所定の間隔で対向することにより、電池Aの厚さ方向の位置規制を行うことができるようになっている。
また、厚さ判定部60の第1ないし第3の厚さ判定スイッチ61,62,63は、各電池A1,A2,A3に対応して、電池Aの側面15に当接するように、それぞれ収納室25の側面部35から収納室25内に突出可能かつ回動可能に設けられた作用レバー131と、各作用レバー131を付勢する付勢手段であるばね132と、作用レバー131の回動に伴ってオンオフされるスイッチ本体133とを備えている。また、各作用レバー131が電池Aの側面15に当接する部分には、摩擦抵抗負荷を有する部材により当接部131bが設けられている。そして、電池Aが挿入されると、電池Aの側面15と圧接した厚さ判定スイッチ61,62,63の作用レバー131の当接部131bが収納室25内側から外側に向かい軸131aを中心に回動し、スイッチ本体133をオンすなわち導通状態とする。
また、各厚さ判定スイッチ61,62,63の当接部131bの各電池A1,A2,A3に対する摩擦抵抗負荷は、位置規制板部70と同様に、各電池A1,A2,A3の厚さ寸法H1,H2,H3が大きくなるほど摩擦抵抗負荷が大きくなるように設けられ、さらに、これら厚さ判定スイッチ61,62,63の作用レバー131の内、電池Aの側面15に当接しないものは、第1の実施の形態の排出ばね51,52,53と同様に、下側の端縁が電池Aの対向面12に所定の間隔で対向し、電池Aの厚さ方向の位置規制を行う。
すなわち、第1の電池A1に対しては、第1の厚さ判定スイッチ61の作用レバー131が回動して対応するスイッチ本体133がオンになるとともに、第2の厚さ判定スイッチ62の作用レバー131の下端の縁部が第1の電池A1の対向面12に所定の間隔で対向し、第1の電池A1の厚さ方向の位置規制を行う。
また、第2の電池A2に対しては、第1及び第2の厚さ判定スイッチ61,62の作用レバー131が回動して対応する2個のスイッチ本体133がオンになるとともに、第3の厚さ判定スイッチ63の作用レバー131の下端の縁部が第2の電池A2の対向面12に所定の間隔で対向し、第2の電池A2の厚さ方向の位置規制を行う。
また、第3の電池A3に対しては、第1ないし第3の厚さ判定スイッチ61,62,63の作用レバー131が回動し、対応する3個のスイッチ本体133がオンになる。
なお、電池Aの挿入時には、摩擦抵抗負荷を有する部材により当接部131bと摺接し、若干の摩擦抵抗負荷を生じるが、挿入負荷が少し増加する程度に設定されており、挿入不具合とはならない。
このように、この第4の実施の形態では、電池Aの厚さ方向の位置規制は、上記の各実施の形態に示す位置規制部69の位置規制板部70,70及び排出付勢部50に加え、厚さ判定部60の合計3カ所で行われることになる。
また、この実施の形態では、電池Aの端子部20の3個の端子21,22,23は、他方の側面15の共通位置に設けられており、これら端子21,22,23の位置に対応して、第1ないし第3の接点41,42,43は、収納室25の他方の側面部35から突出するように設けられている。すなわち、第1ないし第3の接点41,42,43は、図示しない保持部材に取り付けられた弾性変形可能かつ導電性を有する板状の接点部材141をそれぞれ備えており、これら接点部材141がそれぞれ端子21,22,23に当接して圧接導通状態になる。
そして、挿入した電池Aが排出付勢部50に当接したところで蓋体38を閉じると、各電池A1,A2,A3に対応する排出ばね51,52,53が押し込まれ、所定位置に装着して保持される。
また、各厚さ判定スイッチ61,62,63の作用レバー131の当接部131bと、電池Aの端子部20に圧接する接点部材141には、排出方向と反対方向の摩擦抵抗負荷が生じ、位置規制部69の位置規制板部70,70による落下防止負荷の補助力として作用する。
そこで、電池Aを挿入し、この電池Aが排出付勢部50、厚さ判定部60,及び接点部40などに当接した後、蓋体38を閉動作する前の状態において、電池Aが重力落下方向の姿勢をとっても、電池Aの対向面12に規制ばね81,82,83に付勢された第1ないし第3の位置規制板71,72,73の接触部101が接触するかみつき方向の摩擦抵抗負荷に、厚さ判定部60及び接点部40の摩擦抵抗負荷が追加され、電池Aは収納室25から一定量排出された位置で保持される。
次に、この第4の実施の形態の電池Aの収納室25への着脱操作を説明する。なお、上記の各実施の形態と同様の動作を行う位置規制部69の位置規制板部70,70すなわち第1ないし第3の位置規制板71,72,73及び規制ばね81,82,83、排出付勢部50、及び蓋体38などについては説明を省略する。
まず、電池Aの装着動作を説明する。
第1の電池A1を、蓋体38を開いた開口部34から収納室25の中へ挿入すると、位置規制部69の位置規制板部70,70の規制ばね81,82,83に付勢され収納室25に突出する回動可能な各位置規制板71,72,73に当接する。すると、第1の電池A1の対向面12が押圧され、第1の電池A1の基準面11が収納室25の底面部31に圧接される。
また、ばね132に付勢され収納室25の一方の側面部35から突設された厚さ判定スイッチ61,62,63の作用レバー131の当接部131bの内、第1の厚さ判定スイッチ61が挿入された第1の電池A1に圧接され、作用レバー131が収納室25の内側から外側に向かい軸131aを中心に回動し、スイッチ本体133を導通状態とする。
このとき、第2のの厚さ判定スイッチ62の作用レバー131の下端の縁部が第1の電池A1の対向面12に所定の間隔で対向し、第1の電池A1の厚さ方向の位置規制を行う。
また、第1ないし第3の接点41,42,43の図示しない保持部材に取り付けられた接点部材141が、それぞれ電池Aの共通位置に設けられた端子21,22,23に当接して圧接導通状態になる。
そして、第1の電池A1が排出ばね51に当接したところで手を離し、蓋体38を閉じると、排出ばね51が押し込まれて弾性変形した状態になり、さらに、蓋体38をロックすることにより、第1の電池A1が装着され所定位置に保持される。
また、この挿入時にも、厚さ判定スイッチ61の作用レバー131の当接部131bと、電池Aの端子部20に圧接する接点部材141には、排出方向と反対方向の摩擦抵抗負荷が生じ、挿入力量が増加する。
なお、電池Aの端子部20の3個の端子21,22,23と第1ないし第3の接点41,42,43の導通タイミングは、各電池Aが排出付勢部50の排出ばね51,52,53に当接した後に導通するような位置関係とすることもできる。
また、電池Aの一方の側面15と当接する厚さ判定部60の作用レバー131の当接部131bに、摩擦抵抗負荷を増大させる部材を設け、落下防止負荷の補助力を増加させる構造とすることもできる。
そして、この装着動作において、電池Aを挿入し、排出付勢部50、厚さ判定部60、接点部40などに当接させた後、蓋体38が閉操作される前の状態においても、電池Aが重力落下方向の姿勢をとっている時、電池Aの対向面12と規制ばね81,82,83に押圧された位置規制板部70の摩擦抵抗部材である接触部101との間に生じるかみつき方向の摩擦抵抗負荷F101に、接点部40の負荷F40と、厚さ判定部60の負荷F60が追加されることにより、電池Aは、収納室25から一定量排出された位置で保持される。
この時の第2の実施の形態における落下防止荷重関係式(式2-1)、(式2-2)は、接点部材による摩擦抵抗負荷を接点部40の負荷F40、厚さ判定部60の負荷F60とし、電池Aの質量をWAとし、各電池A1,A2,A3に対応した位置規制板部70の接触部101の摩擦抵抗負荷をF101、排出付勢部50の負荷をF50とすると、
(式6-1) F50 > (F101+F40+F60)+WA
かつ
(式6-2) F101+F40+F60 > WA
との条件を満たすと、全ての電池Aに対し、一定量排出された状態で電池Aの自重WAによる重力落下方向での落下が防止される。
次に、電池Aの離脱動作を説明する。
図10に示す構成において、蓋体38を開くと、電池Aは排出付勢部50の排出力量で一定量排出されるとともに、位置規制板部70の接触部101のかみつき方向に作用する摩擦抵抗負荷F101により落下しないように保持される。上記の第1ないし第3の実施の形態との相違点は、電池Aの装着状態において、蓋体38を開くと、電池Aは排出付勢部50の排出力量のみで排出される点と、端子部20の端子21,22,23と接点部40の接点41,42,43とが圧接される接点部40の負荷F40と、作用レバー131の当接部131bが電池Aの側面15を押圧する厚さ判定部60の負荷F60とが、排出方向と反対方向の摩擦抵抗負荷となり、位置規制板部70の接触部101の摩擦抵抗負荷F101による落下防止負荷の補助力として作用する点である。
そして、この時の第2の実施の形態における落下防止荷重条件式(式3-1)、(式3-2)は、接点部材による摩擦抵抗負荷を接点部40の負荷F40、厚さ判定部60の負荷F60とし、電池Aの質量をWAとし、各電池A1,A2,A3に対応した位置規制板部70の接触部101の摩擦抵抗負荷をF101、排出付勢部50の負荷をF50とすると、
(式7-1) F50 > (F101+F40+F60)+WA
かつ、
(式7-2) F50 > F101+F40+F60 > WA
となり、これら条件式を満たすことにより、収納装置10の全ての姿勢方向において、例えば、電池Aの重力負荷方向の姿勢、すなわち開口部34が上方を向いている状態でも、電池Aを取り出しやすい位置まで排出できるとともに、電池Aの自重WAによる重力方向での落下を防止できる。
そこで、一定量排出された状態の電池Aを手で取り出し、蓋体38を閉じることにより、離脱操作が完了する。
また、第2及び第3の電池A2,A3においても同様の動作により排出されるが、第2の電池A2については第1及び第2の排出ばね51,52で排出し、第3の電池A3については、第1ないし第3の排出ばね51,52,53で排出するが、各排出ばね51,52,53の付勢力を合算した排出付勢部50の排出力は、上記の条件式7-1及び7-2を満たすように、各電池A1,A2,A3の厚さ寸法H1,H2,H3が大きくなるほど排出力も大きくなるように設けられており、さらに、電池Aと当接していない排出ばね52,53の下側の端面が電池Aの対向面12と所定の間隔で対向することにより、電池Aの厚さ方向の位置規制を行うことができる。
また、第2及び第3の電池A2,A3に対する厚さ判定部60の作用レバー131の当接部131bの摩擦抵抗負荷は、第2の電池A2に対しては第1及び第2の厚さ判定スイッチ61,62の当接部131bが摩擦抵抗負荷となり、第3の電池A3に対しては、第1ないし第3の厚さ判定スイッチ61,62,63の当接部131bが摩擦抵抗負荷となるため、位置規制板部70の摩擦抵抗負荷と同様に、各電池A1,A2,A3の厚さ寸法H1,H2,H3が大きくなるほど摩擦抵抗負荷も大きくなる。さらに、電池Aと当接していない厚さ判定スイッチ62,63の下側の端縁が、電池Aの対向面12に所定の間隔で対向し、電池Aの厚さ方向の位置規制を行うことができる。
なお、上記の各実施の形態では、対象物となる電池Aは、3種類の形状としたが、この構成に限られず、2種類、あるいは4種類以上の複数種類とすることもできる。
また、上記の各実施の形態では、位置規制板部70は収納室25の2カ所に設けたが、この構成に限られず、対処物となる電池Aの大きさや質量などに応じて、1カ所とし、あるいは3カ所以上の複数カ所に設けることもできる。
また、上記の各実施の形態では、図面上省略したが、電池Aと収納室25との間で嵌合する凹凸形状を設け、電池Aの挿入方向などを規制する誤挿入防止形状を設けることができる。
また、上記の各実施の形態では、蓋体38は、回動可能かつスライド可能に支持され、また、開放方向及びスライドロック方向に付勢されており、電池Aのロックの解除操作は、蓋体38をスライドさせロックを解除することにより、蓋体38が回動方向に回動し、収納室25の開口部34から電池Aを取り出す構成であるが、この構成に限られず、例えば、上記の構成に加え、蓋体38を一旦挿入方向すなわち収納室25の奥側に押し込んだ状態で、蓋体38をスライドさせロックを解除する操作を可能とし、不意にロックが解除されにくい構成とすることもできる。
そして、上記の各実施の形態では、蓋体38は、蓋用ばね39により回動し、90°以上開いた状態で保持されるが、この構成に限られず、蓋体38は、対象物を挿入する際に障害とならない位置まで回動すれば良い。例えば、約90°開くものとし、あるいは、軸38aが開口部34から離間している場合には、90°未満とすることもできる。
また、蓋体38は、ばねなどの付勢手段により、フック部38bとフック受部34aとの係合を保持するロックの作用のみを行い、回動は手動などで行う構成とすることもできる。
さらに、蓋体38は、必ずしも回動により開口部34を開閉するものに限られず、ロックについてもばねなどの付勢手段を用いないこともできる。例えば、蓋体38は、スライドにより開閉するものとしても良く、また、ロックについては、蓋体とは別部材のロック部材を用いることもできる。
また、上記の各実施の形態では、形状が異なる複数の対象物及び収納装置について、厚さ寸法Hのみが異なる3種類の電池Aを対象物とし、厚さ方向の位置規制を行う規制手段について説明したが、この構成に限られず、規制手段を収納室の1つ以上のいずれかの面に設けることにより、厚さ方向に代えて、あるいは、厚さ方向とともに、幅方向及び長さ方向など複数カ所の形状が異なる複数の電池などの箱状の対象物を同様に位置規制することができる。
また、上記の各実施の形態では、接続部及び接続受部について、互いに直接接触して電気的に接続される端子部20と接点部40とを備えた構成を説明したが、この構成に限られず、適宜の接続部及び接続受部を用いて電力を供給しあるいは信号を送受信する構成とすることもできる。また、接続部及び接続受部について、互いに直接接触するものに限られず、いわゆる無接点方式で電池を充電する充電装置や、非接触式のICカードの読み取り装置などについても、対象物としての電池やICカードを正確に位置決めして収納し、効率の良い充電や正確な信号の送受信を実現できる。