本発明は光走査装置及びそれを用いた画像形成装置に関し、特に光源手段から光変調され出射した光束を偏向手段としての回転多面鏡(ポリゴンミラー)により反射偏向させ、結像光学系を介して被走査面上を光走査して画像情報を高速で記録するようにした、例えば電子写真プロセスを有するレーザービームプリンタ(LBP)やデジタル複写機やマルチファンクションプリンタ(多機能プリンタ)等に好適な光走査装置に関するものである。
従来よりレーザービームプリンタ等の光走査装置においては光源手段から画像信号に応じて光変調され出射した光束を、例えば回転多面鏡(ポリゴンミラー)より成る光偏向器により周期的に偏向させ、fθ特性を有するfθレンズ系によって感光性の記録媒体(感光ドラム)面上にスポット状に収束させ、該記録媒体面上を光走査して画像記録を行なっている。
図13は従来の光走査装置の要部概略図である。
同図において光源手段91から出射した発散光束はコリメーターレンズ92によって略平行光束もしくは収束光束とされ、開口絞り93によって該光束(光量)を整形して副走査方向のみに屈折力を有するシリンドリカルレンズ94に入射している。シリンドリカルレンズ94に入射した光束のうち主走査断面内においてはそのままの状態で出射し、副走査断面内においては収束して回転多面鏡(ポリゴンミラー)から成る光偏向器95の偏向面95a近傍にほぼ線像として結像している。
そして光偏向器95の偏向面95aで反射偏向された光束をfθ特性を有するfθレンズ系(走査光学手段)96を介して被走査面としての感光ドラム面97上へ導光し、該光偏向器95を矢印A方向に回転させることによって該感光ドラム面97上を矢印B方向(主走査方向)に光走査して画像情報の記録を行っている。
上記の光走査装置においては感光ドラム面97上を光スポットで走査する前に該感光ドラム97面上における画像形成を開始するタイミングを調整するために、光検出器としてのBD(beam detector)センサ−99が設けられている。このBDセンサー98は光偏向器95で反射偏向された光束の一部であるBD光束、即ち感光ドラム面97上の画像形成領域を走査する前の画像形成領域外の領域を走査している時の光束を受光する。このBD光束はBDミラー98で反射され、BDレンズ(不図示)で集光されてBDセンサー99に入射する。そしてこのBDセンサー99の出力信号からBD信号(同期信号)を検出し、このBD信号に基づいて感光ドラム面97における画像記録の開始タイミングを調整している。
同図における結像光学系96は副走査断面内において光偏向器95の偏向面95aと感光ドラム面97とが共役関係となるように構成しており、これより偏向面95aの面倒れを補正している。
この様な光走査装置において、近年では、さらなる印字の高精度が求められている。最近では青色レーザー(ブルーレーザー)など波長500(nm)以下の短波長の光束を使うことで、光走査装置が被走査面上に形成するスポットを小径化して印字の高精彩化を図っている(特許文献1参照)。
特開2002−277803号公報
従来の光走査装置において、被走査面上における像面深度は一般的に次のように表される。
(像面深度)=a×λ×(Fナンバー)2・・・(A)
ただし、aは比例定数(1.64程度)、λは光源から発振する光束の波長(mm)、Fナンバーは結像光学系の射出側のFナンバー(FNo)である。
波長λが短くなることで関係式(A)より像面深度が小さくなるのは明らかである。最近は光学部品の低コスト化から光学部品は樹脂成形品(プラスチック)を使用することが多くなっている。
樹脂は環境の変動(特に温度変化)によって屈折率などの特性が変わりやすいという問題点があり、印字中に温度変化が起きると像面湾曲が大きく変動してしまう。特に短波長の光束を使用した場合は前述したように像面深度が非常に狭くなるので、像面湾曲が変動することでスポットが急激に肥大して、印字特性を悪化させるという問題点がある。
さらに短波長の光束を用いるときの特有の問題として、波長が変動したときの光学素子の材料の屈折率の変動が赤色光もしくは赤外光を使用したときよりも4〜8倍程度大きいということがある。光源から発振する光束の初期波長誤差や複数の光源を使用した際の光源から発振される光束の各波長のバラツキがあると、屈折率が大きく変動して各光束間で像面上の特性に差が発生してしまう。
本発明は短波長の光束を用いたときであっても、環境変動や波長変動に対して特に主走査方向の像面特性の劣化が少なく、高精彩な画質が得られる光走査装置及びそれを用いた画像形成装置の提供を目的とする。
請求項1の発明の光走査装置は、波長λが450nm以下の光束を発する光源手段と、前記光源手段から発せられた光束を偏向手段に導光する1枚以上の入射光学素子を有する入射光学系と、前記偏向手段により偏向された光束を被走査面上に結像させる1枚以上の結像光学素子を有する結像光学系と、を具備する光走査装置において、
前記結像光学素子は、屈折光学素子又は曲面ミラーであり、
前記入射光学素子は、屈折光学素子又は曲面ミラーであり、
前記結像光学系を構成する前記偏向手段側から数えて第i番目の結像光学素子の主走査断面内のパワーをφi、前記第i番目の結像光学素子の材質の屈折率、前記屈折率の温度変化率を各々ni、dn i /dt(1/℃)、前記結像光学系の主走査断面内のパワーをφ、前記入射光学系を構成する前記光源手段側から数えて第i番目の入射光学素子の主走査断面内のパワーをφi´、前記第i番目の入射光学素子の材質の屈折率、前記屈折率の波長変化率を各々ni´、dn i ´/dλ(1/nm)、前記入射光学系の主走査断面内のパワー、前記入射光学系の主走査断面内の倍率を各々φ´、β´とするとき、
なる条件を満足することを特徴としている。
請求項2の発明の光走査装置は、波長λが450nm以下の光束を発する光源手段と、前記光源手段から発せられた光束を偏向手段に導光する入射光学系と、前記偏向手段により偏向された光束を被走査面上に導光する1枚以上の結像光学素子を有する結像光学系と、を具備する光走査装置において、
前記結像光学素子は、屈折光学素子又は曲面ミラーであり、
前記結像光学系を構成する結像光学素子のうち少なくとも1つは樹脂材料より成り、
前記結像光学系を構成する前記偏向手段側から数えて第i番目の結像光学素子の主走査断面内のパワーをφi、前記第i番目の結像光学素子の材質の屈折率、前記屈折率の温度変化率を各々ni、dni/dt(1/℃)、前記結像光学系の主走査断面内のパワーをφ、前記樹脂材料より成る結像光学素子の全系の主走査断面内のパワーをφPとするとき、
なる条件を満足することを特徴としている。
請求項3の発明は請求項2の発明において、前記入射光学系を構成する前記光源手段側から数えて第i番目の入射光学素子の主走査断面内のパワーをφi´、前記第i番目の入射光学素子の材質の屈折率、前記屈折率の波長変化率を各々ni´、dn i ´/dλ(1/nm)、前記入射光学系の主走査断面内のパワー、前記入射光学系の主走査断面内の倍率を各々φ´、β´とするとき、
但し、前記入射光学素子は、屈折光学素子又は曲面ミラーである
なる条件を満足することを特徴としている。
請求項4の発明は請求項1乃至3のいずれか1項の発明において、前記偏向手段の偏向面に入射する光束は、前記偏向面の主走査方向の幅より広い状態で入射していることを特徴としている。
請求項5の発明は請求項1乃至4のいずれか1項の発明において、前記結像光学系は、屈折光学素子と曲面ミラーの両方を含むことを特徴としている。
請求項6の発明の画像形成装置は、請求項1乃至5の何れか1項に記載の光走査装置と、前記被走査面に配置された感光体と、前記光走査装置で走査された光ビームによって前記感光体の上に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像器と、現像されたトナー像を被転写材に転写する転写手段と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器とを有することを特徴としている。
請求項7の発明の画像形成装置は、請求項1乃至5の何れか1項に記載の光走査装置と、外部機器から入力したコードデータを画像信号に変換して前記光走査装置に入力せしめるプリンタコントローラとを有していることを特徴としている。
本発明によれば短波長の光束で像面深度が浅くても、環境変動や波長変動に対して特に主走査方向の像面特性の劣化やピッチムラが少なく、高精彩な画質を得ることができる光走査装置及びそれを用いた画像形成装置を達成することができる。
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
図1は本発明の実施例1の主走査方向の要部断面図(主走査断面図)である。
ここで、主走査方向とは偏向手段の回転軸及び結像光学系の光軸に垂直な方向(偏向手段で光束が反射偏向(偏向走査)される方向)を示し、副走査方向とは偏向手段の回転軸と平行な方向を示す。また主走査断面とは主走査方向に平行で結像光学系の光軸を含む平面を示す。また副走査断面とは主走査断面と垂直な断面を示す。
同図において1は光源手段であり、例えば光源手段1から発せられる光束の波長λが450nm以下(本実施例では405nm)の半導体レーザー(短波長レーザー)より成っている。
2は開口絞りであり、通過光束を制限してビーム形状を整形している。
3は球面レンズ(コリメーターレンズ)であり、光源手段1から発せられた光束を平行光束又は略平行光束(弱収束光束、もしくは弱発散光束)に変換している。
9は貼り合わせレンズ部であり、負(凹)のパワー(屈折力)を有するレンズ9aと正(凸)のパワー(屈折力)を有するレンズ9bの2枚のレンズを貼り合わせている。
4はレンズ系(シリンドリカルレンズ)であり、副走査断面内にのみ所定のパワーを有しており、貼り合わせレンズ部9を通過した光束を副走査断面内で後述する光偏向器5の偏向面(反射面)5aにほぼ線像として結像させている。
尚、開口絞り2、球面レンズ3、貼り合わせレンズ部9、そしてシリンドリカルレンズ4等の各要素は入射光学系LAの一要素を構成している。入射光学系LAは1枚以上の入射光学素子を有し各入射光学素子の材料は全てガラス材である。
球面レンズ3、貼り合わせレンズ部9、そしてシリンドリカルレンズ4は、屈折光学素子を意味する。
5は偏向手段としての光偏向器であり、例えば8面構成の回転多面鏡(ポリゴンミラー)より成っており、モーター等の駆動手段(不図示)により図中矢印A方向に一定速度で回転している。
6は集光機能とfθ特性とを有する結像光学系(fθレンズ系)であり、ガラス材料より成る第1の走査レンズ(球面レンズ)6aと、同じくガラス材料より成る第2の走査レンズ(トーリックレンズ)6bの2枚のレンズより成り、光偏向器5によって反射偏向された画像情報に基づく光束を被走査面としての感光ドラム面8上に結像させ、かつ副走査断面内において光偏向器5の偏向面5aと感光ドラム面8との間を共役関係にすることにより、倒れ補正機能(面倒れ補正光学系)を有している。
第1の走査レンズ(球面レンズ)6aと第2の走査レンズ(トーリックレンズ)6bは、屈折光学素子を意味する。
8は被走査面としての感光ドラム面である。
本実施例において半導体レーザー1から出射した光束は開口絞り2によって該光束(光量)が制限され、球面レンズ3により略平行光束に変換され、貼り合わせレンズ部9を通過してシリンドリカルレンズ4に入射している。シリンドリカルレンズ4に入射した略平行光束のうち主走査断面においてはそのままの状態で射出する。また副走査断面内においては収束して光偏向器5の偏向面5a近傍にほぼ線像(主走査方向に長手の線像)として結像している。
そして光偏向器5の偏向面5aで反射偏向された光束は第1、第2の走査レンズ6a,6bを介して感光ドラム面8上にスポット状に結像され、該光偏向器5を矢印A方向に回転させることによって、該感光ドラム面8上を矢印B方向(主走査方向)に等速度で光走査している。これにより記録媒体としての感光ドラム面8上に画像記録を行なっている。
本実施例において、結像光学系6の主走査断面内のパワーをφとすると、環境変動(特に温度変化)により主走査断面内のパワーφがΔφだけ変化したとき、像面(被走査面)の主走査方向の変動量(移動量)Δs1は、Δφ≪φであるので、近軸で考えると、
で表すことができる。温度変化による屈折率の変化率、即ち温度が1℃変化することによって走査レンズの材質の屈折率nがdn/dt(1/℃)(屈折率の温度変化率)だけ変化すると、パワー変化Δφは
となる。関係式(1)と関係式(2)より温度変化によって結像光学系を構成するそれぞれの走査レンズの材質の屈折率nが変化することによる像面の主走査方向の移動量(ピント移動量)Δs1は
となる。
ここでφiは結像光学系6を構成する偏向手段側から数えて第i番目の結像光学素子の主走査断面内のパワー、ni、dni/dt(1/℃)は各々結像光学系6を構成する光偏向器5側から数えて第i番目の結像光学素子の材質の屈折率と、該屈折率の温度変化率である。
像面深度は1.64×λ×(Fナンバー)2で表されるので関係式(3)より
となる。
光学部材の変形や取付け位置誤差を考慮すると、25℃昇温したときの像面湾曲の変動量を像面深度に対して1/10となるのが望ましいので、450(nm)以下の波長で考えると条件式(4)は、
となる。
条件式(5)を満足させるためには、φi×dni/dtを小さくすればよい。すなわちパワーφiが大きい光学素子を温度変化率dni/dtが小さい硝材(例えばガラス等)を選ぶことによって像面の主走査方向の変動量を小さくすることができる。
さらに望ましくは上記条件式(5)を次の如く設定するのが良い。
本実施例の結像光学系6は上記の如く球面レンズ6aとトーリックレンズ6bから構成されている。
表1に結像光学系6の各レンズの光学配置、形状および使用した硝材の特性を示す。ここで「E−x」は「10−x」を示している。
本実施例において球面レンズ6a、トーリックレンズ6bの主走査断面内のパワーは表1よりそれぞれ0.0035、0.0003である。
本実施例ではトーリックレンズ6bの硝材は商品名s-BAL41((株)HOYA製)を使用しており、温度変化率dn/dtが3.4E-6と非常に小さい。したがって主走査断面内のパワーが大きくても像面の変化が非常に小さい。
この系での主走査方向のデフォーカスとスポット径との関係を図2に示す。同図に示すように許容スポット径を35μmとすると像面深度は±1.4mmである。20℃昇温したとき主走査方向の像面の移動量は0.08mmと非常に小さく、変動量が像面深度以下なのでスポット径を悪化させることがない。
尚、本実施例において入射光学系LAの各光学素子はガラス材より成るので、温度変化による屈折率の変化は少ないので温度変化によるピント移動量(Δs4)を無視することができる。
本実施例において主走査断面内における結像光学系6のパワーは0.0030なので表1の値を関係式(3)に代入すると、ΔS1=0.002となる。これは条件式(5)を十分に満足している。
次に、入射光学系LAの主走査断面内のパワーがΔφ´だけ変わることによる主走査方向の像面湾曲の変動量Δs2は、該入射光学系LAの主走査断面内のパワーと主走査断面内の横倍率(主走査倍率)を各々φ´、β´とするとき、
で表すことができる。
波長変化による光学素子の材質の屈折率の変化率(複数の発光部を有するときは各発光部から発振される光束内の波長差による屈折率の差も含む)即ち、レーザー波長が1nm変化することによって入射光学系LAの光学素子の材質の屈折率n´が波長変化、即ち入射光学系の率dn´/dλ(1/nm)(屈折率の波長変化率)だけ変化すると、Δφ´は、
となる。関係式(6)と関係式(7)より波長差(基準波長との波長差、もしくは複数の発光部(光源)間の波長差)によって入射光学系LAを構成するそれぞれの入射光学系LAの光学素子の材質の屈折率が変化することによる像面の主走査方向の移動量Δs2は
となる。
ここでφi´は入射光学系LAを構成する光源手段側から数えて第i番目の入射光学素子の主走査断面内のパワー、ni´、dni´/dλは各々入射光学系LAを構成する光源手段1側から数えて第i番目の光学素子の材質の屈折率と、該屈折率の波長変化率である。
また、レーザー波長が1nm変化することによって結像光学系6の結像光学素子の材質の屈折率が波長変化率dn/dλだけ変化すると、結像光学系6における主走査断面内のパワー変動量Δφ3は、
となる。条件式(1)と関係式(9)より温度変化によって結像光学系6を構成するそれぞれの走査レンズの材質の屈折率が変化することによる像面の主走査方向の移動量Δs3は、条件式(1)のΔφの代わりに関係式(9)のΔφ3を代入すると、
となる。
入射光学系LAの変動量Δs2と結像光学系6の変動量Δs3を合計すると波長変動に伴う全系の変動量となる。ここで、Δs2がβ´2に依存しているのに対してΔs3は1に依存している。結像光学系6の主走査倍率βは5〜20程度であり、入射光学系LAの変動が結像光学系6に対して非常に大きくなるので入射光学系LAのパワー変動を抑えることが重要である。ここで結像光学系6による移動量Δs3は小さいので無視することができる。
像面深度は1.64×λ×(Fナンバー)2で表わされるので関係式(8)より
となる。
現在製品化されているブルーレーザーの波長バラツキは1nm以上あり、光学部材の変形や取付け位置誤差を考慮すると、波長バラツキ(基準波長とのバラツキ、もしくは複数の発光部(光源)間のバラツキ)1nmに対して像面湾曲の変動量は像面深度に対して1/10となるのが望ましいので、450nm以下の波長で考えると条件式(11)は、
となる。
さらに望ましくは上記条件式(12)を次の如く設定するのが良い。
表2に入射光学系LAのレンズの光学配置、形状および使用した硝材の特性を示す。ここで「E−x」は「10−x」を示している。
本実施例において、球面レンズ3、レンズ9a(凹),9b(凸)、入射光学系LA全体の主走査断面内のパワーはそれぞれ0.024、−0.030、0.049、0.048である。表2より明らかなように、波長変化率dn/dλが大きいレンズ9a(凹)に負のパワーを持たせることで、球面レンズ3で発生する色収差を打ち消している。
光源手段(単一もしくは複数の発光部を有する光源)において1nmの波長差があった場合、波長の差によって像面の位置が0.05mmほど変化する。本実施例の主走査方向の像面深度は許容スポット径を35μmとすると±1.1mmであるので、この差は非常に小さい。
本実施例において入射光学系LA全体における主走査倍率β´が12.20であるので、表2の条件を条件式(8)に代入すると-0.003となる。これは条件式(12)を十分に満足している。
尚、入射光学系は曲面ミラーを含ませて構成しても良い。
図3は本発明の実施例2の主走査断面図である。同図において図1に示した要素と同一要素には同符番を付している。
本実施例において前述の実施例1と特に異なる点は、結像光学系16をガラス材料より成るガラスレンズ(トーリックレンズ)16aと樹脂材料より成る樹脂レンズ(アナモフィックレンズ)16bで構成したことである。その他の構成及び光学的作用は実施例1と略同様であり、これにより同様な効果を得ている。
結像光学系のレンズ構成が、ガラスレンズのみだと、図4に示す曲線(a)のように副走査方向の像面湾曲が残ってしまう。そこで本実施例は樹脂成形によってレンズ面形状を非球面にすることでパワーが最も大きいガラスレンズのみでは取りきれなかった副走査方向の像面湾曲を図4に示す曲線(b)のように良好に補正している。
ただし、樹脂レンズ16bは環境変動によって、その材質の屈折率が変わりやすいので、該樹脂レンズ16bのパワーを考慮する必要がある。
前記条件式(5)を満足させるためには、前述のようにφi×dni/dtを小さくすればよい。すなわち、樹脂より成る光学素子の主走査断面内のパワー(樹脂より成る光学素子が複数あるときには、その合計のパワー)φPを結像光学系16の主走査断面内のパワーφに対して、
|φP/φ|≦0.3・・・(13)
なる条件を満たすようなパワー配置にすることが望ましい。
更に望ましくは上記条件式(13)を次の如く設定するのが良い。
0.01≦|φP/φ|≦0.25・・・(13a)
本実施例の結像光学系16は上記の如くトーリックレンズ16aとアナモフィック面を有するアナモフィックレンズ16bから構成されている。アナモフィック面とは主走査断面内と副走査断面内において異なる結像特性(パワー)をもっている面である。
表3に結像光学系16の各レンズの光学配置、形状および使用した硝材の特性を示す。ここで「E−x」は「10−x」を示している。
アナモフィックレンズ6bを図3に示すように非球面形状にすることで、図4に示すように副走査方向の像面湾曲を曲線(a)の状態から曲線(b)の状態へと良好に補正することができる。ただし、樹脂レンズは環境変動によってその材質の屈折率が変わりやすいので樹脂レンズの主走査断面内のパワーはガラスレンズに対して小さくするのが良い。
本実施例において、トーリックレンズ16a、アナモフィックレンズ16b、結像光学系16全体の主走査断面内のパワーは表3よりそれぞれ0.0043、0.0014、0.0056である。
トーリックレンズ16a、アナモフィックレンズ16bは、屈折光学素子を意味する。
本実施例ではトーリックレンズ6aの硝材を、例えば商品名BSL7((株)HOYA製)を使用しており、温度変化率dn/dtが3.3E-6と非常に小さい。アナモフィックレンズ16bの硝材は、例えば商品名ZEONEX E48Rなどであり、温度変化率dn/dtが7.9E-5とトーリックレンズ16aに対して温度変化による屈折率変動が10倍以上敏感であるが、主走査断面内のパワーを全系の1/4以下に抑えることによって温度変化による全系におけるパワーの変動量を小さくしている。
本実施例での主走査方向の像面深度は許容スポット径を35μmとすると±1.2mmである。25℃昇温したとき主走査方向の像面の移動量は0.25mmと小さく、変動量が像面深度以下なのでスポット径を悪化させることがない。
本実施例において、表3の値を条件式(3)に代入すると7.63E-3となる。これは条件式(5)を十分に満足している。
図5(A),(B)は各々本発明の実施例3の光走査装置の要部断面図であり、同図(A)は主走査断面図、同図(B)は副走査断面図である。
本実施例において前述の実施例1と異なる点は光学系をオーバーフィルド光学系(OFS光学系)より構成したことである。その他の構成および光学的作用は実施例1と略同様であり、これにより同様な効果を得ている。
即ち、同図において1´は光源手段であり、例えば半導体レーザーによりなっている。
9´は貼り合わせレンズ部であり、負(凹)のパワー(屈折力)を有するレンズ9a´(凹)と正(凸)のパワー(屈折力)を有するレンズ9b´(凸)の2枚のレンズを有しており、光源手段1´から出射した光束を略平行光束に変換している。本実施例では貼り合わせレンズ部9´を光軸方向に移動させることにより、主走査方向の結像位置を調整している。
3´は負の屈折率を有する球面レンズであり、貼り合わせレンズ部9´で略平行光束に変換された光束を略発散光に変換している。本実施例では球面レンズ3´を光軸方向に移動させることにより、主走査方向の結像位置を調整している。また球面レンズ3´の取付け座面は後述する入射光学系の光軸と平行な平面に加工された形状より成っている。
2´は開口絞りであり、通過光束を制限してビーム形状を整形している。
4´は副走査断面内に正の屈折力を有するシリンドリカルレンズであり、開口絞り2´を通過した光束を副走査断面内で光偏向器5´の偏向面5a´にほぼ線像として結像させている。本実施例ではシリンドリカルレンズ4´を光軸方向に移動させることにより、副走査方向の結像位置を調整している。またシリンドリカルレンズ4´の取付け座面は後述する入射光学系の光軸と平行な平面に加工された形状よりなっている。
尚、貼り合わせレンズ部9´、球面レンズ3´、開口絞り2´、シリンドリカルレンズ4´、そして後述する第1、第2の走査レンズ6a´、6b´の各要素は入射光学系(第1の光学系)を構成している。また主走査断面内においては球面レンズ3´、シリンドリカルレンズ4´と第1の走査レンズ6a´、6b´との4枚のレンズでアフォーカル系を構成している。
5´は光偏向器としてのポリゴンミラーであり、モーター等の駆動手段(不図示)により図中矢印A方向に一定速度で回転している。
6´はfθ特性を有する結像光学系(第2の光学系)であり、第1、第2、第3の走査レンズ6a´,6b´、6c´のレンズより成っている。第1、第2の走査レンズ6a´,6b´はガラスレンズであり、主走査方向の像面湾曲とfθ特性とを両立させている。また第3の走査レンズ6c´はプラスチックレンズであり、主走査断面内と副走査断面内とで異なるパワーを有するアナモフィックレンズにすることで副走査方向の像面湾曲を満足させている。また第1、第2のレンズ6a´,6b´は入射光学系の一部をも構成している。
8´は被走査面としての感光ドラム面である。
本実施例において、半導体レーザー1´から光変調され出射した光束は貼り合わせレンズ部9´によって略平行光束に変換され、球面レンズ3´によって発散光束に変換され、開口絞り2´によって光束を制限してシリンドリカルレンズ4´に入射している。シリンドリカルレンズ4´に入射した光束のうち副走査断面内における光束は収束して第2、第1の走査レンズ6b´、6a´を通過して光偏向器5´の偏向面5a´に入射し、該偏向面5a´近傍にほぼ線像(主走査方向に長手の線像)として結像している。このとき偏向面5a´に入射する光束を光偏向器5´の回転軸と結像光学系6´の光軸を含む副走査断面から、該光偏向器5´の回転軸と垂直な平面(光偏向器5´の回転平面)に対して斜入射角度θ/2=度という小さな角度で入射させ、入射光束と偏向光束とを分離している(斜入射光学系)。
また主走査断面内における光束は発散して第2、第1の走査レンズ6b´、6a´を通過することによって略平行光束に変換され、光偏向器5´の偏向角の略中央から偏向面5a´に入射している(正面入射)。このときの略平行光束の光束幅は主走査方向において光偏向器5´の偏向面5a´のファセット幅に対して十分広くなるように設定している(オーバーフィル光学系)。そして、光偏向器5´の偏向面5a´で偏向反射された光束は第1、第2、第3の走査レンズ6a´,6b´,6c´を介して感光ドラム面8´に導光され、該光偏向器5´を矢印A方向に回転させることによって、該感光ドラム面8´上を矢印B方向(主走査方向)に光走査している。これにより記録媒体としての感光ドラム面8´上に画像記録を行っている。
本実施例の結像光学系6´は球面レンズ6a´、主走査断面内のみにパワーをもつシリンドリカルレンズ6b´、そして主走査断面内と副走査断面内とで異なるパワーをもつアナモフィックレンズ6c´から構成されている。
表4に結像光学系6´の各レンズの光学配置、形状及び使用した硝材の特性を示している。
本実施例において球面レンズ6a´、シリンドリカルレンズ6b´、アナモフィックレンズ6c´、結像光学系6´全系の主走査断面内のパワーは表4より−0.0025、0.0048、-7.90E-5、0.0029である。
本実施例では球面レンズ6a´およびシリンドリカルレンズ6b´の硝材は商品名s-TIH11および商品名s-BAH27(ともに(株)HOYA製)を使用しており、温度変化率dn/dtがそれぞれ5.3E-6および6.2E-6と非常に小さい。またアナモフィックレンズ6c´の硝材は例えば商品名ZEONEX E48Rなどであり、温度変化率dn/dtが7.9E-5とガラスレンズに対して敏感であるが、主走査断面内のパワーが結像光学系6´全系のパワーの1/10以下なので全系におけるパワーの変動量は小さくなっている。
この系での主走査方向のデフォーカスとスポット径の関係を図6に示す。同図に示すように許容スポット径を35μmとすると像面深度は±1.1mmである。25℃昇温したとき主走査方向の像面の移動量は0.1mmと非常に小さく、変動量が像面深度以下なのでスポット径を悪化させることがない。
本実施例において、表4の値を条件式(3)に代入すると2.93E-3となる。これは条件式(5)を十分に満足している。
図7は本発明の実施例3の入射光学系の主走査断面図である。同図において図5に示した要素と同一要素には同符番を付している。
同図における入射光学系は貼り合わせレンズ部9´、球面レンズ3´、開口絞り2´、シリンドリカルレンズ4´、第2の走査レンズ(球面レンズ)6b´、第1の走査レンズ(シリンドリカルレンズ)6a´で構成されている。尚、主走査断面内においては球面レンズ7´、シリンドリカルレンズ4´と第2、第1の走査レンズ6b´、6a´との4枚のレンズでアフォーカル系を構成している。
表5に入射光学系の各レンズの光学配置、形状および使用した硝材の特性を示す。ここで「E−x」は「10−x」を示している。
本実施例において、レンズ9a´(凹)、9b´(凸)、球面レンズ3´、シリンドリカルレンズ4´、球面レンズ,6a´、入射光学系全体の主走査断面内のパワーはそれぞれ0.090、-0.106、-0.009 、0.005、−0.002、0.009である。表5より明らかなように、波長変化率dn/dλが大きいレンズ9a´(凹)に負のパワーを持たせることで、球面レンズ3´(凸)で発生する色収差を打ち消している。
光源手段(単一もしくは複数の発光部を有する光源)において1nmの波長差があった場合、波長の差によって像面の位置が0.05mmほど変化する。本実施例の主走査方向の像面深度は許容スポット径を35μmとすると±1.1mmであるので、この差は非常に小さい。
本実施例において入射光学系LA全体における主走査倍率β´が148.73であるので、表5の条件を条件式(4)に代入すると−0.03となる。これは条件式(12)を十分に満足している。
図8(A)は本発明の実施例4の主走査断面図、図8(B)は本発明の実施例3の副走査断面図である。同図(A),(B)において図1に示した要素と同一要素には同符番を付している。
本実施例において前述の実施例1と異なる点は、結像光学系26を曲率を有する曲面ミラー(トーリックミラー)26aと樹脂材料より成る樹脂レンズ(アナモフィックレンズ)26bとの両方を用いてそれらを組み合せて構成したことである。その他の構成及び光学的作用は実施例1と略同様であり、これにより同様な効果を得ている。
樹脂レンズ(アナモフィックレンズ)26bは、屈折光学素子を意味する。
曲面ミラー26aは環境変動に対して屈折率の変化がないのでガラスレンズよりも有効な結像光学系である。実施例2と同様に曲面ミラー26aだけでは主走査方向及び副走査方向の像面湾曲が残ってしまうので、樹脂成形によってレンズ面形状を非球面にすることで、曲面ミラー26aでは取りきれなかった像面湾曲を図9に示すように良好に補正している。
ただし、樹脂レンズ26bは環境変動によってその材質の屈折率が変わりやすいので、該樹脂レンズ26bのパワーは曲面ミラー26aに対して十分小さくするのが良い。
本実施例の結像光学系26は上記の如くトーリックミラー26aとアナモフィック面を有するアナモフィックレンズ26bから構成されている。アナモフィック面とは上記の如く主走査方向と副走査方向において異なる結像特性をもっている面である。
表6に結像光学系26の各レンズの光学配置、形状および使用した硝材の特性を示す。ここで「E−x」は「10−x」を示している。
本実施例においてトーリックミラー26a、アナモフィックレンズ26b、結像光学系26全体の主走査断面内のパワーは表6よりそれぞれ0.0047、−0.0005、0.0045である。
本実施例ではアナモフィックレンズ26bの硝材は、例えば商品名ZEONEX E480などであり、温度変化率dn/dtが-7.9E-5とガラスレンズに対して敏感であるが、主走査断面内のパワーが結像光学系全系のパワーに対して1/9程度と小さいので全系におけるパワーの変動量は小さくなっている。
本実施例での主走査方向の像面深度は許容スポット径を35μmとすると±1.9mmである。20℃昇温したとき主走査方向の像面の移動量は0.02mm以下と非常に小さく、変動量が像面深度以下なのでスポット径を悪化させることがない。
本実施例において主走査断面内における結像光学系のパワーは0.0045であるので、表6の条件を関係式(3)に代入すると1.6E-3となる。これは条件式(5)を十分に満足している。
図10は本発明の実施例5の光走査装置(マルチビーム光走査装置)の要部概略図である。同図において図1に示した要素と同一要素には同符番を付している。
本実施例において前述の実施例1と異なる点は光源手段81を複数の発光部を有するマルチ半導体レーザーより構成したこと、該複数の発光部から発せられた光束の波長差によるピント変動を入射光学系LAで補正したこと、結像光学系36は樹脂材料より成る2枚の走査レンズ(光学素子)36a,36bより構成したことである。その他の構成および光学的作用は実施例1と略同様であり、これにより同様な効果を得ている。
即ち、同図において81は複数の発光部を有する光源手段である。光源手段81は波長が450(nm)以下(本実施例では405(nm))のレーザ光を発振するマルチ半導体レーザー(短波長レーザー)より成っている。尚、本実施例では光源手段を2つの発光部より構成したが、3つ以上であっても良い。
36は集光機能とfθ特性とを有する結像光学系(fθレンズ系)であり、プラスチック材料より成る第1、第2の2枚の走査レンズ36a,36bより成っている。
本実施例においてマルチ半導体レーザー81より射出した複数(本実施例では2本)の発散光束は球面レンズ3により略平行光束に変換され、貼り合せレンズ部9を通過し、開口絞り2によって該光束(光量)が制限されてシリンドリカルレンズ4に入射している。シリンドリカルレンズ4に入射した複数の光束のうち主走査断面内においてはそのままの状態で射出する。また副走査断面内においては収束して光偏向器5の偏向面5aにほぼ線像(主走査方向に長手の線像)として結像する。そして光偏向器5の偏向面5aで反射偏向された複数の光束は第1、第2の2枚のfθレンズ36a,36bにより感光ドラム面8上にスポット形状に結像され、該光偏向器5を矢印A方向に回転させることによって、該感光ドラム面8上を複数の光束で矢印B方向(主走査方向)に等速度で光走査している。これにより記録媒体である感光ドラム面8上に2本の走査線を同時に形成し、画像記録を行っている。
上記の光走査装置においては感光ドラム面8上を光スポットで走査する前に該感光ドラム8面上における画像形成を開始するタイミングを調整するために、光検出器としてのBD(beam detector)センサ−35が設けられている。このBDセンサー35は光偏向器5で反射偏向された光束の一部であるBD光束、即ち感光ドラム8面上の画像形成領域を走査する前の画像形成領域外の領域を走査している時の光束を受光する。このBD光束はBDミラー30で反射され、BDレンズ(不図示)で集光されてBDセンサー35に入射する。そしてこのBDセンサー35の出力信号からBD信号(同期信号)を検出し、このBD信号に基づいて感光ドラム8面における画像記録の開始タイミングを調整している。
前述の如く現在製品化されているブルーレーザーの波長バラツキは1nm以上あり、光学部材の変形や取付け位置誤差を考慮すると、複数の発光部(光源)の波長バラツキ1nmに対して像面湾曲の変動量は像面深度に対して1/10となるのが望ましいので、450nm以下の波長で考えると条件式(11)は、
となる。
本実施例における入射光学系LAは球面レンズ3と貼り合わせレンズ部9とシリンドリカルレンズ4から構成されている。
表7に入射光学系LAの各レンズの光学配置、形状および使用した硝材の特性を示す。ここで「E−x」は「10−x」を示している。
本実施例において、球面レンズ3、レンズ9a(凹),9b(凸)、シリンドリカルレンズ4の主走査断面内のパワーはそれぞれ0.024、−0.030、0.049、0.048である。表7より明らかなように、波長変化率dn/dλが大きいレンズ9a(凹)に負のパワーを持たせることで球面レンズ3で発生する色収差を打ち消している。
複数の発光部(光源)において1nmの波長差があった場合、波長の差によって像面の位置が0.05mmほど変化する。本実施例の主走査方向の像面深度は許容スポット径を35μmとすると±1.1mmであるので、この差は非常に小さい。
本実施例において入射光学系LA全体における主走査倍率β´が12.20であるので、表7の条件を条件式(8)に代入すると-0.003となる。これは条件式(14)を十分に満足している。
本実施例のマルチビーム光走査装置の場合、感光ドラム面8への1回の主走査方向の光走査で複数のビームが走査されるため、偏向手段の主走査方向の走査速度を変えることなく、感光ドラムの回転速度を上げることで走査速度を高速化することができるため、画像形成の高速化が達成できる。
尚、本実施例では光源手段を複数の発光部を有する光源より構成したが、これに限らず、例えば単一の光束を発する光源を複数個設けて構成しても良い。
また各実施例においては結像光学系を2枚もしくは3枚の光学素子より構成したが、これに限らず、例えば単一、もしくは4枚以上の光学素子より構成しても良い。
[画像形成装置]
図11は、本発明の画像形成装置の実施例を示す副走査方向の要部断面図である。図において、符号104は画像形成装置を示す。この画像形成装置104には、パーソナルコンピュータ等の外部機器117からコードデータDcが入力する。このコードデータDcは、装置内のプリンタコントローラ111によって、画像データ(ドットデータ)Diに変換される。この画像データDiは、実施例1〜5に示した構成を有する光走査ユニット100に入力される。そして、この光走査ユニット100からは、画像データDiに応じて変調された光ビーム103が出射され、この光ビーム103によって感光ドラム101の感光面が主走査方向に走査される。
静電潜像担持体(感光体)たる感光ドラム101は、モータ115によって時計廻りに回転させられる。そして、この回転に伴って、感光ドラム101の感光面が光ビーム103に対して、主走査方向と直交する副走査方向に移動する。感光ドラム101の上方には、感光ドラム101の表面を一様に帯電せしめる帯電ローラ102が表面に当接するように設けられている。そして、帯電ローラ102によって帯電された感光ドラム101の表面に、前記光走査ユニット100によって走査される光ビーム103が照射されるようになっている。
先に説明したように、光ビーム103は、画像データDiに基づいて変調されており、この光ビーム103を照射することによって感光ドラム101の表面に静電潜像を形成せしめる。この静電潜像は、上記光ビーム103の照射位置よりもさらに感光ドラム101の回転方向の下流側で感光ドラム101に当接するように配設された現像器107によってトナー像として現像される。
現像器107によって現像されたトナー像は、感光ドラム101の下方で、感光ドラム101に対向するように配設された転写ローラ108によって被転写材たる用紙112上に転写される。用紙112は感光ドラム101の前方(図11において右側)の用紙カセット109内に収納されているが、手差しでも給紙が可能である。用紙カセット109端部には、給紙ローラ110が配設されており、用紙カセット109内の用紙112を搬送路へ送り込む。
以上のようにして、未定着トナー像を転写された用紙112はさらに感光ドラム101後方(図11において左側)の定着器へと搬送される。定着器は内部に定着ヒータ(図示せず)を有する定着ローラ113とこの定着ローラ113に圧接するように配設された加圧ローラ114とで構成されており、転写部から搬送されてきた用紙112を定着ローラ113と加圧ローラ114の圧接部にて加圧しながら加熱することにより用紙112上の未定着トナー像を定着せしめる。更に定着ローラ113の後方には排紙ローラ116が配設されており、定着された用紙112を画像形成装置の外に排出せしめる。
図11においては図示していないが、プリントコントローラ111は、先に説明したデータの変換だけでなく、モータ115を始め画像形成装置内の各部や、後述する光走査ユニット内のポリゴンモータなどの制御を行う。
本発明で使用される画像形成装置の記録密度は、特に限定されない。しかし、記録密度が高くなればなるほど、高画質が求められることを考えると、1200dpi以上の画像形成装置において本発明の実施例1〜5の構成はより効果を発揮する。
[カラー画像形成装置]
図12は本発明の実施態様のカラー画像形成装置の要部概略図である。本実施例は、光走査装置を4個並べ各々並行して像担持体である感光ドラム面上に画像情報を記録するタンデムタイプのカラー画像形成装置である。図12において、60はカラー画像形成装置、11,12,13,14は各々実施例1〜5に示したいずれかの構成を有する光走査装置、21,22,23,24は各々像担持体としての感光ドラム、31,32,33,34は各々現像器、51は搬送ベルトである。
図12において、カラー画像形成装置60には、パーソナルコンピュータ等の外部機器52からR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色信号が入力する。これらの色信号は、装置内のプリンタコントローラ53によって、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)、B(ブラック)の各画像データ(ドットデータ)に変換される。これらの画像データは、それぞれ光走査装置11,12,13,14に入力される。そして、これらの光走査装置からは、各画像データに応じて変調された光ビーム41,42,43,44が出射され、これらの光ビームによって感光ドラム21,22,23,24の感光面が主走査方向に走査される。 本実施例におけるカラー画像形成装置は光走査装置(11,12,13,14)を4個並べ、各々がC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)、B(ブラック)の各色に対応し、各々平行して感光ドラム21,22,23,24面上に画像信号(画像情報)を記録し、カラー画像を高速に印字するものである。
本実施例におけるカラー画像形成装置は上述の如く4つの光走査装置11,12,13,14により各々の画像データに基づいた光ビームを用いて各色の潜像を各々対応する感光ドラム21,22,23,24面上に形成している。その後、記録材に多重転写して1枚のフルカラー画像を形成している。
前記外部機器52としては、例えばCCDセンサを備えたカラー画像読取装置が用いられても良い。この場合には、このカラー画像読取装置と、カラー画像形成装置60とで、カラーデジタル複写機が構成される。
本発明の実施例1の主走査断面図
本発明の実施例1のデフォーカスとスポット径の特性図
本発明の実施例2の主走査断面図
本発明の実施例2における副走査方向の像面湾曲図
本発明の実施例3の主走査断面図および副走査断面図
本発明の実施例3のデフォーカスとスポット径の特性図
本発明の実施例3の主走査断面図
本発明の実施例4の光走査装置の要部概略図
本発明の実施例4における像面湾曲図
本発明の実施例5の光走査装置の要部概略図
本発明の画像形成装置の実施例を示す副走査断面図
本発明の実施態様のカラー画像形成装置の要部概略図
従来の光走査装置の要部概略図
符号の説明
1 光源手段(半導体レーザー)
81 光源手段(マルチ半導体レーザー)
2 開口絞り
3 球面レンズ
9 貼り合わせレンズ部
4 レンズ系(シリンドリカルレンズ)
5 偏向手段(回転多面鏡)
6,16,26、36結像光学系
6a,16a,26a,36a 第1の走査レンズ
6b,16b,26b,36b 第2の走査レンズ
8 被走査面(感光体ドラム)
LA 入射光学系
11、12、13、14 光走査装置
21、22、23、24 像担持体(感光ドラム)
31、32、33、34 現像器
51 搬送ベルト
41,42,43,44 レーザビーム(光束)
52 外部機器
53 プリンタコントローラ
60 カラー画像形成装置
100 光走査装置
101 感光ドラム
102 帯電ローラ
103 光ビーム
104 画像形成装置
107 現像装置
108 転写ローラ
109 用紙カセット
110 給紙ローラ
111 プリンタコントローラ
112 転写材(用紙)
113 定着ローラ
114 加圧ローラ
115 モータ
116 排紙ローラ
117 外部機器