JP4399844B2 - 太陽電池 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、光吸収層に化合物半導体を用いた太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、CuInSe2,CuInGaSe2,CuInS2などのCIS系による化合物半導体を光吸収層に用いた太陽電池が開発されている。
【0003】
そのCIS系による化合物半導体は、直接遷移型のエネルギ帯構造を持ち、光吸収係数が大きく、薄膜化に適している。また、その禁止帯が1.0〜2.0eVの範囲にあるため、光電変換効率の高い太陽電池を得ることができる。そして、アモルファスシリコン太陽電池に比して光劣化がないという利点がある。
【0004】
従来の太陽電池では、そのCIS系によるp型化合物半導体を光吸収層に用いる場合、PN接合を得るために、その光吸収層に接してn型のバッファ層を設けるようにしている。
【0005】
図21は、従来のCIS系による化合物半導体を光吸収層に用いたサブストレート型による太陽電池の構造を示している。21は基板、22は裏面電極、23は光吸収層、24はバッファ層、25は窓層、26は透明電極、27は補助電極、28は反射防止膜である。
【0006】
また、図22は、従来のCIS系による化合物半導体を光吸収層に用いたスーパーストレート型による太陽電池の構造を示している。図中、図21と同一符号のものは同じ構成要素を示している。特にこの場合は、光の入射側に設けられる基板21にガラス等の光透過性のあるものを使用する必要がある。
【0007】
バッファ層24としては、CdS,ZnS,ZnOなどの多種の化合物半導体を用いることが検討されているが、特に近年の光電変換の高効率化が進んだ太陽電池ではすべてバッファ層24にCdSが用いられている現状である。
【0008】
CdSによるバッファ層24の形成方法としては真空蒸着法、スパッタリング法、化学析出法などがあるが、特に光電変換の高効率化が進んだ太陽電池では化学析出法によってバッファ層24を形成するようにしている。
【0009】
化学析出法は、基材を水溶液中に浸して化学反応によって基材上に膜を形成するものであり、水溶液中のイオンによる膜成長であるために均一でち密な薄膜を形成することができる。化学析出法によってバッファ層24を形成することによって太陽電池の高効率化が図られる理由としては、薄膜化による光の両穂効率の改善や膜質の改善などがあげられる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
解決しようとする問題点は、CuInSe2,CuInGaSe2,CuInS2などのCIS系による化合物半導体を光吸収層に用いて光電変換効率の高い太陽電池を製造しようとするに際して、PN接合を得るためにCdSによるバッファ層を化学析出法によって形成させる必要があることである。
【0011】
したがって、バッファ層を形成させるために製造工程が煩雑になり、また人体に有害なカドミウム化合物(CdS)を用いなければならないものになっている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光吸収層に化合物半導体を用いて太陽電池を製造するに際して、製造工程が煩雑になるとともに、人体に有害なCdSを用いたバッファ層を何ら設けることなく高効率な光発電を行わせるようにするべく、光吸収層にその表層部分の導電型を反転させる電界をかけて光起電力を生じさせる手段を設け、光吸収層の光入射の裏面側に絶縁層を介して設けられた電圧印加用の電極とその表面側に設けられた透明電極との間に、光吸収層の裏面側における表層部分の導電型を反転させる極性をもって電圧を印加して、光吸収層の裏面に設けた取出電極と透明電極との間から光起電力を取り出すようにした、MIS(Metal Insulator Semiconductor)による電界効果型の太陽電池を提供するものである。
また、本発明は、光吸収層に化合物半導体を用いて太陽電池を製造するに際して、製造工程が煩雑になるとともに、人体に有害なCdSを用いたバッファ層を何ら設けることなく高効率な光発電を行わせるようにするべく、光吸収層にその表層部分の導電型を反転させる電界をかけて光起電力を生じさせる手段を設け、光吸収層の光入射の表面側に絶縁層を介して設けられた電圧印加用の電極と光吸収層の裏面電極との間に、光吸収層の表面側における表層部分の導電型を反転させる極性をもって電圧を印加して、光吸収層の表面に設けた取出電極と裏面電極との間から光起電力を取り出すようにした、MIS(Metal Insulator Semiconductor)による電界効果型の太陽電池を提供するものである。
【0013】
MISは、金属製の電極に電圧を印加して、絶縁物を介して半導体表面を制御するデバイスの総称である。
【0014】
【実施例】
図1は、本発明によるCuInSe2,CuInGaSe2,CuInS2などからなる化合物半導体を光吸収層として用いたMISによる電界効果型の太陽電池の一構成例を示している。
【0015】
ここでは、n型の化合物半導体による光吸収層3nを用いたサブストレート型のものを示している。
【0016】
それは、基板1上にIN2O3,ITO,Al,Ag−In,Ni等のn型金属からなる裏面電極2nがスパッタリング法または真空蒸着法によって薄膜形成されている。
【0017】
基板1としては、ガラスのほか、ポリイミド、カーボンフィルム、セラミックフィルム等からなるものが用いられる。特に、可撓性をもたせるために、カーボンフィルムなどの導電性を有するものを用いる場合には裏面電極2nとの間に絶縁膜を介在させる必要がある。
【0018】
その裏面電極2n上には、例えば、CuInSe2を三次元蒸着法またはスパッタリング法によって薄膜形成したn型の光吸収層3nが設けられている。そして、その光吸収層3nの光入射の表面側には、部分的に、C,Au,Ag,M等のp型金属からなる取出電極4pがマスキングを施しながらの真空蒸着法によって形成されている。
【0019】
この取出電極4pの形成としては、その他に、光吸収層3n上に電極材を一様に成膜したうえで、エッチング等によって必要な形状に加工する方法や、スクリーン印刷による方法などが適用される。図4は、光吸収層3n上にエッチングによって形成された取出電極4pを示している。
【0020】
そして、この取出電極4pは光吸収層3nに対してショットキー接合またはヘテロ接合されている。
【0021】
また、n型の光吸収層3nとp型の取出電極4pとの間にI層を介在させるようにしてもよい。
【0022】
光吸収層3n上には、絶縁層5を介して、PやSb等の元素を添加したZnO膜やSn O 膜などからなるp型の電圧印加用の透明電極6pが形成されている。
【0023】
そして、その透明電極6p上には、Al,Ni,Ag,Auなどからなる補助電極7およびZnOなどからなる窓層8が形成され、さらにその上にSi3N4,Ta2O5,MgF2,Ta2O5/SiO2,ZnS/SiO2,ZnS/MgF2などからなる反射防止膜9が形成されている。
【0024】
補助電極7および反射防止膜9は、これを特に設けなくとも良い。
【0025】
このように構成された太陽電池にあって、図2に示すように、透明電極6pと裏面電極2nとの間に、n型の光吸収層3nの光入射の表面側における表層部分の導電型が反転するような電圧V(この場合は透明電極6p側が負電圧となるような極性にする)を印加すると、その表層部分にp型の反転層10pがあらわれ、その下側に空乏層11が形成される。
【0026】
この状態において、p型の取出電極4pはp型反転層10pに対してオーミック接続がとれた状態になる。
【0027】
そして、図3に示すように、光Pが入射して、p型反転層10pを通過して空乏層11に達すると、そこで電子−正孔対が生成され、そのうちの電子が裏面電極2nに、正孔が取出電極4pに集められて、取出電極4pと裏面電極2nとの間に光起電力Eが発生する。
【0028】
このように、本発明によれば、n型の光吸収層3nに接してp型のバッファ層を何ら設けるようなことなく、光吸収層3nにその表層部分の導電型を反転させる電界をかけることによってPN接合を電気的に派生させて、光起電力Eを生じさせることができるようになる。
【0029】
図5は、n型の化合物半導体による光吸収層3nを用いたサブストレート型の太陽電池の他の構成例を示している。
【0030】
この場合は、光吸収層3nの光入射の裏面側にp型金属からなる電圧印加用の電極2pが配されるように、それが基板1上に薄膜形成されている。
【0031】
その電圧印加用の電極2p上には、絶縁層5を介してn型の光吸収層3nが薄膜形成されている。そして、その光吸収層3nの裏面側には、部分的に、p型全属からなる取出電極4pが形成されている。
【0032】
この取出電極4pは、光吸収層3nに対してショットキー接合またはヘテロ接合されている。
【0033】
また、n型の光吸収層3nとp型の取出電極4pとの間にI層を介在させるようにしてもよい。
【0034】
光吸収層3n上には、n型の透明電極6nが形成されている。そして、その透明電極6n上には、補助電極7および窓層8が形成され、さらにその上に反射防止膜9が形成されている。
【0035】
このように構成された太陽電池にあって、図6に示すように、電圧印加用の電極2pと透明電極6nとの間に、n型の光吸収層3nの裏面側における表層部分の導電型が反転するような電圧V(この場合は電圧印加用の電極2p側が負電圧となるような極性にする)を印加すると、その表層部分にp型の反転層10pがあらわれ、その上側に空乏層11が形成される。
【0036】
この状態において、p型の取出電極4pはp型反転層10pに対してオーミック接続がとれた状態になる。
【0037】
このように構成された太陽電池にあって、入射光が空乏層11に達すると、そこで電子−正孔対が生成され、そのうちの電子が透明電極6nに、正孔が取出電極4pに集められて、取出電極4nと透明電極6pとの間に光起電力が発生する。
【0038】
図7は、p型の化合物半導体による光吸収層3pを用いたサブストレート型の太陽電池の一構成例を示している。
【0039】
それは、基板1上にC,Au,Ag,Mo等のp型金属からなる裏面電極2pがスパッタリング法または真空蒸着法によって薄膜形成されている。
【0040】
その裏面電極2p上には、p型の光吸収層3pとして、例えば、CuInGaSe2薄膜が三次元蒸着法またはスパッタリング法によって形成されている。そして、その光吸収層3pの光入射の表面側には、部分的に、In2O3,ITO,Al,Ag−In,Ni等のn型金属からなる取出電極4nがマスキングを施しながらの真空蒸着法などによって形成されている。
【0041】
そして、この取出電極4nは光吸収層3pに対してショットキー接合またはヘテロ接合されている。
【0042】
また、p型の光吸収層3pとn型の取出電極4nとの間にI層を介在させるようにしてもよい。
【0043】
光吸収層3p上には、絶縁層5を介して、B,Ga,In等の元素を添加したZnO膜や、In2O3にSnO2を10%加えたITO膜や、F等の元素を添加したSnO2膜などからなるn型の電圧印加用の透明電極6nが形成されている。
【0044】
そして、その透明電極6n上には、補助電極7および窓層8が形成され、さらにその上に反射防止膜9が形成されている。
【0045】
補助電極7および反射防止膜9は、これを特に設けなくとも良い。
【0046】
このように構成された太陽電池にあって、図8に示すように、透明電極6nと裏面電極2pとの間に、p型の光吸収層3pの光入射の表面側における表層部分の導電型が反転するような電圧V(この場合は透明電極6n側が正電圧となるような極性にする)を印加すると、その表層部分にn型の反転層10nがあらわれ、その下側に空乏層11が形成される。
【0047】
この状態において、n型の取出電極4nはn型反転層10nに対してオーミック接続がとれた状態になる。
【0048】
そして、図9に示すように、光Pが入射して、n型反転層10nを通過して空乏層11に達すると、そこで電子−正孔対が生成され、そのうちの電子が取出電極4nに、正孔が裏面電極2pに集められて、取出電極4nと裏面電極2pとの間に光起電力Eが発生する。
【0049】
このように、本発明によれば、p型の光吸収層3pに接してn型のバッファ層を何ら設けるようなことなく、光吸収層3pにその表層部分の導電型を反転させる電界をかけることによってPN接合を電気的に派生させて、光起電力Eを生じさせることができるようになる。
【0050】
図10は、p型の化合物半導体による光吸収層3pを用いたサブストレート型の太陽電池の他の構成例を示している。
【0051】
この場合は、光吸収層3pの光入射の裏面側にn型金属からなる電圧印加用の電極2nが配されるように、それが基板1上に薄膜形成されている。
【0052】
その電圧印加用の電極2n上には、絶縁層5を介してp型の光吸収層3pが薄膜形成されている。そして、その光吸収層3pの裏面側には、部分的に、n型金属からなる取出電極4nが形成されている。
【0053】
この取出電極4nは、光吸収層3pに対してショットキー接合またはヘテロ接合されている。
【0054】
また、p型の光吸収層3pとn型の取出電極4nとの間にI層を介在させるようにしてもよい。
【0055】
光吸収層3p上には、p型の透明電極6pが形成されている。そして、その透明電極6p上には、補助電極7および窓層8が形成され、さらにその上に反射防止膜9が形成されている。
【0056】
このように構成された太陽電池にあって、図11に示すように、電圧印加用の電極2nと透明電極6pとの間に、p型の光吸収層3pの裏面側における表層部分の導電型が反転するような電圧V(この場合は電圧印加用の電極2n側が正電圧となるような極性にする)を印加すると、その表層部分にn型の反転層10nがあらわれ、その上側に空乏層11が形成される。
【0057】
この状態において、n型の取出電極4nはn型反転層10nに対してオーミック接続がとれた状態になる。
【0058】
このように構成された太陽電池にあって、入射光が空乏層11に達すると、そこで電子−正孔対が生成され、そのうちの電子が取出電極4nに、正孔が透明電極6pに集められて、取出電極4nと透明電極6pとの間に光起電力が発生する。
【0059】
図12は、本発明によるCuInSe2,CuInGaSe2,CuInSなどからなる化合物半導体を光吸収層として用いたMISによる電界効果型の太陽電池の他の構成例を示している。
【0060】
ここでは、n型の化合物半導体による光吸収層3nを用いたスーパーストレート型のものを示している。
【0061】
それは、光入射側に配された基板1の裏面に反射防止膜9が薄膜形成され、さらにその下側に窓層8および補助電極7が形成されている。
【0062】
窓層8および補助電極7の下側にはp型の電圧印加用の透明電極6pが形成され、さらにその下面に絶縁層5を介してn型の光吸収層3nが薄膜形成されている。
【0063】
また、光吸収層3nの光入射の表面側には、p型金属からなる取出電極4pが部分的に形成されている。
【0064】
そして、その光吸収層3nの下側にはn型金属からなる裏面電極2nが形成されている。
【0065】
ここで、基板1としては、ガラスなどの透光性があるものが用いられる。
【0066】
取出電極4pは、光吸収層3nに対してショットキー接合またはヘテロ接合されている。
【0067】
また、n型の光吸収層3nとp型の取出電極4pとの間にI層を介在させるようにしてもよい。
【0068】
補助電極7および反射防止膜9は、これを特に設けなくとも良い。
【0069】
このように構成された太陽電池にあって、図13に示すように、透明電極6pと裏面電極2nとの間に、n型の光吸収層3nの光入射の表面側における表層部分の導電型が反転するような電圧V(この場合は透明電極6p側が負電圧となるような極性にする)を印加すると、その表層部分にp型の反転層10pがあらわれ、その下側に空乏層11が形成される。
【0070】
この状態において、p型の取出電極4pはp型反転層10pに対してオーミック接続がとれた状態になる。
【0071】
そして、図14に示すように、光Pが入射して、p型反転層10pを通過して空乏層11に達すると、そこで電子−正孔対が生成され、そのうちの電子が裏面電極2nに、正孔が取出電極4pに集められて、取出電極4pと裏面電極2nとの間に光起電力Eが発生する。
【0072】
このように、本発明によれば、n型の光吸収層3nに接してp型のバッファ層を何ら設けるようなことなく、光吸収層3nにその表層部分の導電型を反転させる電界をかけることによってPN接合を電気的に派生させて、光起電力Eを生じさせることができるようになる。
【0073】
図15は、n型の化合物半導体による光吸収層3nを用いたスーパーストレート型の太陽電池の他の構成例を示している。
【0074】
この場合は、光吸収層3nの光入射の裏面側にp型金属からなる電圧印加用の電極2pが配されるようにしている。
【0075】
その電圧印加用の電極2p上には、絶縁層5を介してn型の光吸収層3nが薄膜形成されている。そして、その光吸収層3nの裏面側には、部分的に、p型金属からなる取出電極4pが形成されている。
【0076】
この取出電極4pは、光吸収層3nに対してショットキー接合またはヘテロ接合されている。
【0077】
また、n型の光吸収層3nとp型の取出電極4pとの間にI層を介在させるようにしてもよい。
【0078】
光吸収層3n上には、n型の透明電極6nが形成されている。その透明電極6n上には補助電極7および窓層8が形成され、さらにその上に反射防止膜9が形成されている。そして、その反射防止膜9上に透光性のある基板1が設けられている。
【0079】
このように構成された太陽電池にあって、図16に示すように、電圧印加用の電極2pと透明電極6nとの間に、n型の光吸収層3nの裏面側における表層部分の導電型が反転するような電圧V(この場合は電圧印加用の電極2p側が負電圧となるような極性にする)を印加すると、その表層部分にp型の反転層10pがあらわれ、その上側に空乏層11が形成される。
【0080】
この状態において、p型の取出電極4pはp型反転層10pに対してオーミック接続がとれた状態になる。
【0081】
このように構成された太陽電池にあって、入射光が空乏層11に達すると、そこで電子−正孔対が生成され、そのうちの電子が透明電極6nに、正孔が取出電極4pに集められて、取出電極4pと透明電極6nとの間に光起電力が発生する。
【0082】
図17は、光入射の表面側に電圧印加用の電極を設けるようにしたときのp型の化合物半導体による光吸収層3pを用いたスーパーストレート型の太陽電池の一構成例を示している。
【0083】
それは基本的には図12に示す構成と同じであるが、この場合には特に、p型の裏面電極2p、p型の光吸収層3p、n型の取出電極4n、n型の電圧印加用の透明電極6nからなっている。
【0084】
この場合には、図18に示すように、透明電極6nと裏面電極2pとの間に、p型の光吸収層3pの光入射の表面側における表層部分の導電型が反転するような電圧V(この場合は透明電極6n側が正電圧となるような極性にする)を印加する。
【0085】
それにより、光吸収層3pの表層部分にn型の反転層10nがあらわれ、その下側に空乏層11が形成され、入射光がn型反転層10nを通過して空乏層11に達すると、そこで電子−正孔対が生成され、そのうちの電子が取出電極4nに、正孔が裏面電極2pに集められて、取出電極4nと裏面電極2pとの間に光起電力Eが発生する。
【0086】
図19は、光入射の裏面側に電圧印加用の電極を設けるようにしたときのp型の化合物半導体による光吸収層3pを用いたスーパーストレート型の太陽電池の他の構成例を示している。
【0087】
それは基本的には図15に示す構成と同じであるが、この場合には特に、n型の電圧印加用の電極2n、n型の取出電極4n、p型の光吸収層3p、p型の透明電極6pからなっている。
【0088】
この場合には、図20に示すように、電圧印加用の電極2nと透明電極6pとの間に、p型の光吸収層3pの光入射の裏面側における表層部分の導電型が反転するような電圧V(この場合は電圧印加用の電極2n側が正電圧となるような極性にする)を印加する。
【0089】
それにより、光吸収層3pの表層部分にn型の反転層10nがあらわれ、その上側に空乏層11が形成され、入射光が空乏層11に達すると、そこで電子−正孔対が生成され、そのうちの電子が取出電極4nに、正孔が透明電極6pに集められて、取出電極4nと透明電極6pとの間に光起電力が発生する。
【0090】
【発明の効果】
以上、本発明による太陽電池は、光吸収層に化合物半導体を用いたものにあって、光吸収層にその表層部分の導電型を反転させる電界をかけることによってPN接合を電気的に派生させて、光起電力を生じさせるようにしたもので、光吸収層と接してPN接合を得るために人体に有害なカドミウム化合物などを用いたバッファ層を何ら設ける必要がなく、PN接合の不良による発電効率の低下をきたすようなことなく高効率な光発電を行わせることができるという利点を有している。
【0091】
そして、PN接合を用いないことから、薄膜による大面積の太陽電池の製造に適しているという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるn型の光吸収層を用いて電圧印加用電極を光入射の表面側に設けたサブストレート型による太陽電池の第1の構成例を示す正断面図である。
【図2】その第1の構成例における太陽電池に電圧を印加したときの光吸収層の変化状態を示す正断面図である。
【図3】その第1の構成例における太陽電池に電圧を印加したときの光起電力の発生状態を示す正断面図である。
【図4】本発明によるn型の光吸収層を用いて電圧印加用電極を光入射の表面側に設けたサブストレート型による太陽電池の第2の構成例を示す正断面図である。
【図5】本発明によるn型の光吸収層を用いて電圧印加用電極を光入射の裏面側に設けたサブストレート型による太陽電池の第3の構成例を示す正断面図である。
【図6】その第3の構成例における太陽電池に電圧を印加したときの光吸収層の変化状態を示す正断面図である。
【図7】本発明によるp型の光吸収層を用いて電圧印加用電極を光入射の表面側に設けたサブストレート型による太陽電池の第4の構成例を示す正断面図である。
【図8】その第4の構成例における太陽電池に電圧を印加したときの光吸収層の変化状態を示す正断面図である。
【図9】その第4の構成例における太陽電池に電圧を印加したときの光起電力の発生状態を示す正断面図である。
【図10】本発明によるp型の光吸収層を用いて電圧印加用電極を光入射の裏面側に設けたサブストレート型による太陽電池の第5の構成例を示す正断面図である。
【図11】その第5の構成例における太陽電池に電圧を印加したときの光吸収層の変化状態を示す正断面図である。
【図12】本発明によるn型の光吸収層を用いて電圧印加用電極を光入射の表面側に設けたスーパーストレート型による太陽電池の第6の構成例を示す正断面図である。
【図13】その第6の構成例における太陽電池に電圧を印加したときの光吸収層の変化状態を示す正断面図である。
【図14】その第6の構成例における太陽電池に電圧を印加したときの光起電力の発生状態を示す正断面図である。
【図15】本発明によるn型の光吸収層を用いて電圧印加用電極を光入射の裏面側に設けたスーパーストレート型による太陽電池の第7の構成例を示す正断面図である。
【図16】その第7の構成例における太陽電池に電圧を印加したときの光吸収層の変化状態を示す正断面図である。
【図17】本発明によるp型の光吸収層を用いて電圧印加用電極を光入射の表面側に設けたスーパーストレート型による太陽電池の第8の構成例を示す正断面図である。
【図18】その第8の構成例における太陽電池に電圧を印加したときの光吸収層の変化状態を示す正断面図である。
【図19】本発明によるp型の光吸収層を用いて電圧印加用電極を光入射の裏面側に設けたスーパーストレート型による太陽電池の第9の構成例を示す正断面図である。
【図20】その第9の構成例における太陽電池に電圧を印加したときの光吸収層の変化状態を示す正断面図である。
【図21】従来の化合物半導体を光吸収層に用いたサブストレート型による太陽電池の構成を示す正断面図である。
【図22】従来の化合物半導体を光吸収層に用いたスーパーストレート型による太陽電池の構成を示す正断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2n n型電極
2p p型電極
3n n型光吸収層
3p p型光吸収層
4n n型取出電極
4p p型取出電極
5 絶縁層
6n n型透明電極
6p p型透明電極
7 補助電極
8 窓層
9 反射防止膜
Claims (4)
- 光吸収層に化合物半導体を用いた太陽電池であって、光吸収層にその表層部分の導電型を反転させる電界をかけて光起電力を生じさせる手段を設け、光吸収層の光入射の裏面側に絶縁層を介して設けられた電圧印加用の電極とその表面側に設けられた透明電極との間に、光吸収層の裏面側における表層部分の導電型を反転させる極性をもって電圧を印加して、光吸収層の裏面に設けた取出電極と透明電極との間から光起電力を取り出すようにしたことを特徴とする太陽電池。
- 光吸収層に化合物半導体を用いた太陽電池であって、光吸収層にその表層部分の導電型を反転させる電界をかけて光起電力を生じさせる手段を設け、光吸収層の光入射の表面側に絶縁層を介して設けられた電圧印加用の電極と光吸収層の裏面電極との間に、光吸収層の表面側における表層部分の導電型を反転させる極性をもって電圧を印加して、光吸収層の表面に設けた取出電極と裏面電極との間から光起電力を取り出すようにしたことを特徴とする太陽電池。
- 取出電極が光吸収層に対してショットキー接合またはヘテロ接合されていることを特徴とする請求項1または請求項2の記載による太陽電池。
- 取出電極と光吸収層との間にI層を介在させるようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2の記載による太陽電池。
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