JP4399392B2 - 電力融通装置 - Google Patents
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Description
[電力融通装置1の構成の説明]
図1は、実施形態の電力融通装置1の概略構成を示すブロック図である。
電流測定器15a、15bは、東京方ATき電回路及び大阪方ATき電回路の末端に設置されたAT1及びAT2側からトロリ線上を列車負荷へ流れる電流(以下、「東京方/大阪方トロリ送出し電流」という。)をそれぞれ測定する。また、電流測定器16a、16bは、レールからAT1及びAT2へ流れる電流(以下、「東京方/大阪方AT吸上電流」という。)をそれぞれ測定する。また、電流測定器17a、17bは、AT1及びAT2側からき電線へ流れる電流(以下、「東京方/大阪方き電線送出し電流」という。)をそれぞれ測定する。また、電流測定器18a、18bは、電力変換器10a、10bの交流側における入出力電流をそれぞれ測定する。また、電圧測定器19a、19bは、東京方ATき電回路及び大阪方ATき電回路の末端におけるトロリ線−き電線間き電電圧(以下、「東京方/大阪方き電末端電圧」という。)をそれぞれ測定する。
以下、東京方検知回路11a及び大阪方検知回路11bにおいて、それぞれのATき電回路における有効電力成分、無効電力成分及び高調波電流を検知する方法について、図2(a)〜(c)に基づいて説明する。なお、図2(a)〜(c)は東京方検知回路11aの詳細な構成等を示す図であるが、大阪方検知回路11bについても、東京方検知回路11aと同様の構成であるので、ここでは図示及び説明を省略する。
以下、本実施形態の電力融通装置1による有効電力の融通の具体的な例について、図3〜図5に基づいて説明する。なお、図3〜図5において想定しているATき電回路等の概要は以下の通りである。即ち、電力融通装置1は、電力系統がそれぞれ異なるA変電所及びB変電所からそれぞれ電力を供給される東京方ATき電回路と大阪方ATき電回路との末端においてき電系統を区分するためのき電区分所に設置されている。また、東京方ATき電回路及び大阪方ATき電回路には中間点にそれぞれ補助き電区分所が設けられており、各変電所、補助き電区分所及びき電区分所にはそれぞれATが設置されている(き電区分所において東京方ATき電回路末端に設置されているATを特にAT1と称す。)。また、それぞれのATき電回路において、変電所、補助き電区分所及びき電区分所は10km間隔で設けられている。また、各変電所からのき電電圧は60kVであり、トロリ線−レール間電圧及びき電線−レール間電圧はそれぞれ30kVである。
ATき電回路においては、列車負荷の負荷電流は、その列車負荷の両隣にあるATから吸上げられる(即ち、AT吸上電流)。列車負荷の両隣にあるATによるAT吸上電流の比率は、列車負荷の位置によって変化し、列車負荷がATに近づくにつれてそのATにおけるAT吸上電流の比率が大きくなる。したがって、図3に示すように、AT同士のき電区分の中間点に列車負荷が存在する場合、き電区分所に設置されたAT1におけるAT吸上電流は、負荷電流の半分(即ち、400A)となる。したがって、電力融通装置1によって、このAT吸上電流400A分に相当する有効電力(400A×30kV=12MW)の1/3の有効電力(67A×60kV=約4MW)が大阪方ATき電回路から取り込まれ、東京方ATき電回路へ供給されている。この融通電力の大きさは、負荷全体の約17%に相当する。
この場合、列車負荷がき電区分所に設置されたAT1に近づくにつれてAT吸上電流が大きくなり、その値は720Aとなっている。したがって、電力融通装置1によって、このAT吸上電流720A分に相当する有効電力(720A×30kV=21.6MW)の1/3の有効電力(120A×60kV=約7.2MW)が大阪方ATき電回路から取り込まれ、東京方ATき電回路へ供給されている。この融通電力の大きさは、負荷全体の約30%に相当する。このように、本実施形態の電力融通装置1によれば、列車負荷がATき電回路末端に近いほど、より大きな有効電力が融通される。
この場合、列車負荷が東京方ATき電回路の末端のき電区分所と、補助き電区分所との間に存在しないことから、き電区分所のAT1にAT吸上電流が流れていない。したがって、電力融通装置1による有効電力の融通は行われない。
本実施形態の電力融通装置1によれば以下のような効果を奏する。即ち、東京方及び大阪方ATき電回路において、その検知した有効電力成分に基づいて、東京方及び大阪方ATき電回路の末端側から互いに電力を融通することができる。これにより、ATき電回路末端における電圧降下を効果的に抑制することができる。また、ATき電回路末端からの列車負荷への距離に応じて有効電力の融通量が調節されるので、き電回路における電力損失を低減することができ、より効果的な電力融通を行うことができる。
Claims (8)
- 第1の単巻変圧器き電方式のき電回路(以下、「ATき電回路」という。)におけるトロリ線及びき電線の末端に交流側が接続された第1の電力変換器と、
前記第1のATき電回路とは電力系統が異なる第2のATき電回路におけるトロリ線及びき電線の末端に交流側が接続された第2の電力変換器とを備え、
前記第1の電力変換器と前記第2の電力変換器とは、それぞれの直流側において互いに接続されており、
更に、前記第1のATき電回路末端に設置された単巻変圧器(以下、AT)によってレールから吸収される電力の有効成分、又は前記末端に設置されたATと前記第1の電力変換器とから列車負荷へ供給される電力の有効成分(以下、これらを総称して「有効電力成分」ともいう。)の少なくとも何れかを検知する第1の有効電力検知手段と、
前記第2のATき電回路側における前記有効電力成分を検知する第2の有効電力検知手段と、
前記第1及び第2の有効電力検知手段によってそれぞれ検知された有効電力成分に基づいて、前記第1及び第2のATき電回路間における有効電力融通量を算出する電力融通算出手段と、
前記電力融通算出手段によって算出された有効電力融通量に基づいて、前記第1及び第2のATき電回路間で有効電力の融通を行うように前記第1及び第2の電力変換器を制御する制御手段とを備えること
を特徴とする電力融通装置。 - 請求項1に記載の電力融通装置において、
前記第1の有効電力検知手段は、レールから前記第1のATき電回路末端に設置されたATへ流れる電流の測定値に基づいて前記有効電力成分を検知し、
前記第2の有効電力検知手段は、レールから前記第2のATき電回路末端に設置されたATへ流れる電流の測定値に基づいて前記有効電力成分を検知すること
を特徴とする電力融通装置。 - 請求項1に記載の電力融通装置において、
前記第1の有効電力検知手段は、前記第1のATき電回路末端に設置されたAT側からトロリ線上を列車負荷へ流れる電流の測定値に基づいて前記有効電力成分を検知し、
前記第2の有効電力検知手段は、前記第2のATき電回路末端に設置されたAT側からトロリ線上を列車負荷へ流れる電流の測定値に基づいて前記有効電力成分を検知すること
を特徴とする電力融通装置。 - 請求項1に記載の電力融通装置において、
前記第1の有効電力検知手段は、前記第1のATき電回路末端に設置されたATからき電線へ流れる電流の測定値と、前記第1の電力変換器からの交流側入出力電流の測定値とに基づいて前記有効電力成分を検知し、
前記第2の有効電力検知手段は、前記第2のATき電回路末端に設置されたATからき電線へ流れる電流の測定値と、前記第2の電力変換器からの交流側入出力電流の測定値とに基づいて前記有効電力成分を検知すること
を特徴とする電力融通装置。 - 請求項1に記載の電力融通装置において、
前記第1のATき電回路末端に設置されたATによってレールから吸収される電力の無効成分、又は前記第1のATき電回路末端に設置されたAT及び前記第1の電力変換器から列車負荷へ供給される電力の無効成分(以下、これらを総称して「無効電力成分」ともいう。)を検知する第1の無効電力検知手段と、
前記第2のATき電回路における前記無効電力成分検知する第2の無効電力検知手段と、
前記第1及び第2のATき電回路に流れる高調波電流をそれぞれ検知する第1及び第2の高調波検知手段とを備え、
前記制御手段は、前記第1及び第2の無効電力検知手段と第1及び第2の高調波検知手段とによってそれぞれ検知した無効電力成分及び高調波電流に基づいて、前記第1及び第2のATき電回路へそれぞれ無効電力及び高調波電流を補償するように前記第1及び第2の電力変換器を制御すること
を特徴とする電力融通装置。 - 請求項5に記載の電力融通装置において、
前記第1の有効電力検知手段、第1の無効電力検知手段及び第1の高調波検知手段は、レールから前記第1のATき電回路末端に設置されたATへ流れる電流の測定値に基づいて、それぞれ前記有効電力成分、無効電力成分及び高調波電流を検知し、
前記第2の有効電力検知手段、第2の無効電力検知手段及び第2の高調波検知手段は、レールから前記第2のATき電回路末端に設置されたATへ流れる電流の測定値に基づいて、それぞれ前記有効電力成分、無効電力成分及び高調波電流を検知すること
を特徴とする電力融通装置。 - 請求項5に記載の電力融通装置において、
前記第1の有効電力検知手段、第1の無効電力検知手段及び第1の高調波検知手段は、前記第1のATき電回路末端に設置されたAT側からトロリ線上を列車負荷へ流れる電流の測定値に基づいて、それぞれ前記有効電力成分、無効電力成分及び高調波電流を検知し、
前記第2の有効電力検知手段、第2の無効電力検知手段及び第2の高調波検知手段は、前記第2のATき電回路末端に設置されたAT側からトロリ線上を列車負荷へ流れる電流の測定値に基づいて、それぞれ前記有効電力成分、無効電力成分及び高調波電流を検知すること
を特徴とする電力融通装置。 - 請求項5に記載の電力融通装置において、
前記第1の有効電力検知手段、第1の無効電力検知手段及び第1の高調波検知手段は、前記第1のATき電回路末端に設置されたATからき電線へ流れる電流の測定値と、前記第1の電力変換器からの交流側入出力電流の測定値とに基づいて、それぞれ前記有効電力成分、無効電力成分及び高調波電流を検知し、
前記第2の有効電力検知手段、第2の無効電力検知手段及び第2の高調波検知手段は、前記第2のATき電回路末端に設置されたATからき電線へ流れる電流の測定値と、前記第2の電力変換器からの交流側入出力電流の測定値とに基づいて、それぞれ前記有効電力成分、無効電力成分及び高調波電流を検知すること
を特徴とする電力融通装置。
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