本願発明ではコグニティブラジオによる通信を行うために、周波数利用状況を管理する階層化されたデータベースネットワークを導入する。本願では、コグニティブラジオによる無線通信システムと、この無線システムを支えるデータベースネットワークから構成されるシステムをコグニティブ通信システムと呼んでいる。無線通信システムは、少なくともコグニティブラジオによる無線通信を行う複数の無線通信機と、電波を受信して周囲の周波数利用状況を検出する検出装置と、最低1つの周波数利用状況データベース装置からなる。データベースネットワークはこのようなコグニティブラジオの無線通信システムに含まれるデータベース装置を含んでいる。また、周波数利用状況の検出装置は無線通信機が使用できる周波数に関して、そのシステム中の無線通信機が送出している電波以外の電波を検出して、無線通信システム内のデータベース装置に通知する。検出装置は無線通信機が兼ねても良いし、データベースに付随していても良い。もちろん、独立した検出装置であっても良い。
無線通信機はコグニティブラジオの通信機であるため、他の無線システムで用いられる電波の合間を縫って周波数を利用する。その周波数には他の無線システムにライセンスされた周波数も含む。データベースネットワークにはこのような無線通信システムが1つ以上、多くの場合は多数接続されている。
データベースに登録される周波数利用状況の出所はいくつかある。まず、上述のような無線通信システム内の検出装置によって検出された周波数の利用状況が登録される。また、法律上の禁止帯域のような、予め決定されており検出の必要がないシステムによる利用状況がある。後者は、受信のみのシステムであるため検出装置による検出が出来ないシステムの周波数を含む。
本願では、周波数利用状況のデータベースをネットワーク化し、さらに階層化することを特徴としている。ネットワーク化することによって、無線通信システムが単独では知りえない情報、例えば他の同様の無線通信システムにおける周波数利用状況検出装置によって検出された情報を知ることが可能となる。例えば、通信半径が自身より著しく小さいため自身では受信することが出来ないが、自身の出力した電波によって影響を受けるかも知れないシステムの情報や、法律上の禁止帯域についての地域毎の情報、さらに、テレビ受像機の受信チャンネルのような情報を、ネットワークを介して得ることができる。
データベースに登録される周波数利用状況は、基本的に位置情報が付随している。さらに、無線通信機の位置も検出可能である。例えば、無線通信機はGPSで自身の位置を検出できる機能を有している、あるいは、位置が既知のアクセスポイント、基地局や他の無線通信機などからの相対位置によって知ることができる。
さらに、無線通信機の送信パワー、可能性のある送信周波数などから電波到達距離を予測できる。無線通信機の位置と電波到達距離から電波到達範囲を知ることができるので、無線通信システム内のデータベース装置に登録されている周波数利用状況から、その電波到達範囲内で使用されている、あるいは、使用されていない周波数が判る。従って、通信に必要なパラメータ、例えば、ビットレート、SN比、通信距離などに基づいて無線通信機の利用可能な周波数を、使用中周波数を避けるように選択することができる。
本願発明ではデータベースネットワークが階層化されている。フラットなデータベースネットワークでは、無線通信システム内のデータベースを含む各々のデータベースが、周囲から集めた情報を全て自分の判断で整理・登録しなければならない。また、情報が不足している場合は、不足している範囲が広範囲にわたっていても、自力でそれを収集する必要がある。データベースを階層化することによって、このようなデータ、特に、他のデータベースによって収集された情報の整理や、不足しているデータの収集などを上位データベースに任せることができる。無線通信システム内データベースのような下位のデータベースは、自身の無線通信システム内で収集された情報以外については、必要な情報は基本的に上位のデータベースから得ることができる。その結果、データベース装置の処理負荷が軽減できる。無線通信システム内のデータベース装置は、例えば、アクセスポイントに付随するもの、さらには、無線通信機に付随するものであるため、データベース装置の負荷が軽減されることによって、これらの機器を簡素で小型なものにすることが可能となる。
データベースに登録される周波数利用状況の出所としては、コグニティブラジオではないが電波を出す、あるいは電波を受信して利用するシステムからの送信中・受信中チャンネルの申告を含む。これは、法律上の禁止帯域のような予め決定されており検出の必要がないシステムと同様に、受信のみのシステムであるため検出装置による検出が出来ないシステムの周波数を含む。例えば、テレビ受像機などである。この他にも他の無線による通信システムが申告機能を有していても良い。このようにすることによって、電波が利用されている状況をより確実に把握することが可能となり、コグニティブラジオの無線通信システムが他と共存しやすくなる。
また、本願のデータベース装置は、それぞれが管轄する空間的範囲を有しており、上位のデータベース装置ほどその範囲は広い。すなわち、上位のデータベース装置の空間的範囲はそれに接続する下位のデータベース装置の空間的範囲より広い。また、上位のデータベース装置の空間的範囲は、基本的にはそれに接続する下位のデータベース装置の空間的範囲を含んでいる。このように構成することによって、下位のデータベース装置、例えば、無線通信システム内のデータベース装置は、それに繋がる上位のデータベース装置から、簡単にその無線通信システムの周囲の周波数利用状況を得ることができる。
無線通信システム内の無線通信機の電波到達範囲は、基本的にその無線通信システムが存在する場所の周囲である。従って、その周囲の周波数利用状況をそれが接続する上位データベース装置から得られれば、必要な周波数利用状況を有するデータベースを自力で探す場合に比べて、その手続きが非常に簡単になる。なお、データベース装置が管理する空間的範囲は、そのデータベース装置が無線通信システム内のデータベースである場合、その無線通信システムに接続される無線通信機の電波到達範囲とは必ずしも一致しない。それは、前述のように、電波到達範囲内の他の全ての電波を検出手段が検出できるとは限らないからである。従って、そのデータベース装置の空間的範囲は、そのデータベース装置に接続する検出手段が電波を検出できる範囲となる。
上述のように、各々のデータベース装置は、それが収集した情報を必要に応じて整理して登録する。その整理・登録の際に本願発明では、その情報の通知者に対応して情報の処理の仕方を変えるようにする。情報の通知者とは、例えば、無線通信システム内のデータベースであれば、検出装置、上位データベース装置であり、上位データベース装置であれば、さらにその上位データベース装置、下位データベース装置である。
コグニティブラジオによる通信は、その性格からも類推できるように、種々雑多な通信機が、アドホックに通信を開始し、必要が無くなれば通信をやめてしまうような通信方法が主流になると予想される。従って無線通信システムに含まれるデータベース装置は、一時的に必要なときに上位データベース装置に接続することが多い。また、法的な規制による仕様を満たす以外は、様々なメーカの様々な性能の無線通信機、データベース装置が入り混じり、完全な統制を取ることが難しいシステムになると予想される。
性能が様々であることや、必要に応じて一時的に接続されることが多いこと、場合によっては、自身の動作を有利にするために意図的に情報を操作するような通知者が出現する可能性もあり、通知された周波数利用状況をすべて鵜呑みにするとシステムの運用に支障をきたす可能性がある。
本願発明では、通知された利用状況を、通知者によってフィルタリングすることにより、信頼のおけるデータベースを構築できるようにし、その結果、正しい周波数利用状況に基づいて無線通信機が使用する周波数を決定できるようにする。
また本願発明においては、上位のデータベース装置は下位のデータベース装置を必要に応じて認証する。そして、上位のデータベース装置は認証された下位データベース装置から通知された周波数利用状況を信頼して用いる。このようにすることにより、下位データベース装置の性能・機能を保証し、信頼のおける周波数利用状況を入手することが可能となる。
また、下位のデータベース装置は、それが接続する上位データベース装置から通知された周波数利用状況は信頼して用いる。無線通信システム内のデータベース装置が下位データベース装置となっている場合、その無線通信システムの周囲の周波数利用状況は、上位データベース装置から入手する。従って、これを信頼せずには通信が成り立たない。望ましくは、下位データベース装置が上位データベース装置から情報を入手する際、その上位データベース装置が信頼できるデータベースであること、例えば、さらに上位のデータベース装置から認証を受けていることを確認するとよい。
本願での周波数利用状況の出所の一つに、予め利用が決定されている周波数、すなわち、利用状況の検出の有無によらず固定的に利用が決定されている周波数がある。これは、法的規制による送信禁止帯域を含んでいる。
現状では、特定の周波数が、特定の用途、特定の無線送信機にライセンスされるが、これらの無線送信機の多くは、位置や電波を送信する方向が予め決定している。このような周波数を送信禁止帯域とする場合、全ての場所で送信禁止としても良いが、そのシステムに影響が及ばない場所においてはその周波数を使用できるようになる可能性が高い。すなわち、送信禁止帯域情報は場所に依存した情報になる可能性が高い。
本願発明では、法的規制による送信禁止帯域の情報は上位のデータベース装置が管理する。コグニティブラジオの無線通信機は、前述のようにアドホックに無線通信を行う可能性が高い。本願発明における無線通信システムもアドホックなシステムであって、それに含まれるデータベース装置も一時的に上位データベースに接続し、必要が無くなれば離れていくような振舞いをする可能性が高い。また、データベース装置が無線通信機に内蔵されるような構成の場合、データベース装置の位置が時間によって変化する可能性がある。前述のように、送信禁止帯域の詳細が場所によって変化する場合、各々のデータベース装置にあらゆる地域に関するデータを持たせると記憶量が増大する。従って、このような情報は上位のデータベース装置が管理し、無線通信システムに含まれるような下位データベース装置は上位データベース装置から自身の位置に対応する情報をもらうようにする。このようにすることによって、下位データベース装置の負荷を軽減しつつ、細やかな周波数の利用が可能となる。
また、コグニティブラジオ用の無線通信機は、他のシステムにライセンスされた周波数で送信出来る能力を持っている。従って、万一にでも、周囲の電波利用状況を確認すること無く、勝手な周波数で勝手に通信を始めることがあってはならない。また、法的規制による送信禁止周波数を上位データベース装置が管理する場合には、上位データベースからの情報を取得せずに送信周波数が決定されてはならない。そこで、本願発明では、その無線通信機が存在する無線通信システム内のデータベース装置が上位データベース装置に接続して、周囲の周波数利用状況や法的規制による送信禁止帯域の情報を取得しない限り、コグニティブラジオによる無線通信は行えないようにする。このようにすることによって、周囲の周波数利用状況を鑑みて送信可能な利用周波数を決定することを確実にすることが可能となる。
また、上位のデータベース装置が管轄する範囲は、行政上の地区に対応していてもよい。例えば、上位のある階層は国、その下は都道府県、その下は市区、・・・といった具合である。このようにすることによって、その管轄する範囲が明確となり、下位データベース装置が接続すべき上位データベース装置が明確に決定され、接続が容易になる。また、地区を管轄するデータベースは、信頼性の高いものである必要があり、地区を管轄させるための性能・仕様・管理者の資格等を厳密に認証する可能性が高い。従って、本願発明のように構成することによって、上位データベース装置に、不適格なデータベース、例えば、上位データベース装置になる能力を持たなかったり、悪意を持って周波数利用状況を改竄するようなデータベース装置が入り込むことが無くなり、信頼性が高いデータベースネットワークを構築することが出来る。
さらに本願発明では、データベース装置に記載される周波数には、それぞれ送信可能ランクが記載されている。ランクでは無条件で利用可・利用不可の2種類の他に、無線通信機の利用条件、すなわち、無線通信機の条件、無線通信機が接続されるデータベースの条件、データベースに接続する検出装置の条件に対応して、より細かなランクを設定する。各々のランクでは指定された利用条件を満たせば送信可である。条件は例えば、検出装置が、その周波数について検出可能であるならば、あるいは、検出装置の性能がいくつ以上であるならば、などである。コグニティブラジオでは、空いている周波数、場合によっては時間を見つけて使用するが、それは、空いている周波数を的確に判断できる能力を有していることが前提となる。本願発明では、無線通信システムの周囲の周波数利用状況は上位データベース装置から取得できるが、その無線通信システム内の周波数利用状況は、その無線通信システムが検出すべきものとしている。また、無線通信機は主にその無線通信システムがカバーする領域で通信を行う。従って、検出システムの機能が貧しく十分な検出が行えない場合、あるいは、行えていないと想像される場合には、利用できないといったランク付けを行う。
このようにすることによって、不十分な検出によって、あるいは検出に失敗して、本当は使用しているのに未使用と判断しコグニティブラジオの無線通信機が使用してしまうといった事態を避けることが出来る。このようなランク付けがなされず、使用可と不可しかないと、データベースとしては、検出機能が不十分な場合を考慮して、このような周波数は不可に分類するしかない。その結果、コグニティラジオとして使用できる帯域は著しく減少してしまう。本願発明のような途中のランクを設けることによって、利用できる周波数を増やすことが可能となる。
以下、本発明の実施例を、図面を参照して説明する。
図1は本発明のコグニティブ通信システムの概略構成を示す図である。図1において、コグニティブ通信システム1は、階層化ネットワークを構成する複数のデータベース装置2−1〜2−n、1つ以上の無線通信システム3で構成される。
データベース装置2−1〜2−nによる階層化ネットワークは、データベース装置2−1を最上位とし、データベース装置2−2をその下の層、データベース装置2−3をそのさらに下の層、データベース装置2−4を最下層としている。これらのデータベース装置は、互いに有線または無線の通信手段で接続されており、情報のやり取りが可能である。図1は、論理的なチャンネルによってデータベース装置どうしが接続されている様子を示している。論理的なチャンネルとは、必要に応じてデータのやり取りができるように接続可能な通信手段を指す。具体的構成は、例えば、物理層は無線(無線LANや固定無線アクセス、本発明のコグニティブ通信システム用の専用制御チャンネル等)や有線(イーサネット(R)、加入者線、専用線等)の種々の媒体を取っている。物理媒体は、1つのデータベースネットワーク内でも、種々異なっていて良い。これらのチャンネルではそれぞれの物理層に対してプロトコルが決定されている上位層までは通信手段の仕様に従い、さらにその上位層に、本発明に用いる周波数利用状況データをやり取りするための固有のプロトコルが実装されている。
無線通信システム3は、データベース装置2−4、コグニティブラジオによる無線通信を行う複数の無線通信機5a〜5c、無線通信システム3内およびその近傍の周波数利用状況を検出するための利用状況検出装置4を備えている。
図2にデータベース装置2−4の概略構成を示す。図2において、データベース装置2−4は、無線通信システム3がカバーする領域に存在し、後述する利用状況検出装置4で検出対象とした周波数とその帯域、当該帯域での周波数利用状況検出結果、利用状況検出装置4の位置情報を登録し、保存する登録部201、登録された利用状況を無線通信システム3に含まれる無線通信機5に配布する配布部202を備える。登録部201は、周波数利用状況検出結果を該周波数が利用される場所に基づいて整理して記載、登録する。配布部203は例えば無線機であり、登録部201に登録されている情報を無線信号で送出する機能を有する。
データベース装置2−3aは、データベース装置2−4と同じ階層のデータベース装置を複数統合する。同じく、データベース装置2−2aは、データベース装置2−3aと同じ階層のデータベース装置(データベース装置2−3b〜2−3m)を統合する。最上位のデータベース装置2−1は、データベース装置2−2aとこれと同等階層のデータベース装置(例えば、2−2k)を複数統合する。
以下、図3を用いて、利用状況検出装置4の構成を説明する。
図3において、利用状況検出装置4は、無線信号を送信・受信するためのアンテナ401、アンテナ401で受信した信号を周波数変換し、受信処理を行うと共に、送信すべき信号を変調し、高周波に変換する送受信処理部402、受信した信号を解析し、無線通信システム3内およびその近傍の周波数利用状況を検出する利用状況検出部403、検出結果をデータベース装置2−4に通知する通知部404を備えている。図1の例では、利用状況検出装置4は、データベース装置2−4に直接有線で接続されているが、データベース装置2−4に無線で接続する独立した機器でもよい。さらに、利用状況検出装置4は、無線通信機5a〜5cがその機能を兼ね備えても良い。したがって、無線通信システム3内に1つである必要は無く、複数有っても良い。利用状況検出装置4の機能としては、無線通信機5a〜5cが送出できる周波数の電波を受信できる無線受信機である。
以下、利用状況検出装置4の動作を説明する。
利用状況検出装置4の利用状況検出部403によって検出された周波数利用状況は、通知部404によってデータベース装置2−4に通知される。通知内容は、少なくとも利用状況検出装置4が測定を行った周波数と、その周波数で実際に電波が受信されたか否かの情報を含む。利用状況検出装置4は基本的には、無線通信システム3内の無線通信機5a〜5cが出した電波以外の電波を検出する。検出方法は利用状況検出装置4の構成による。無線通信機5a〜5cが送信している電波の周波数は、無線通信システムの管理情報をやり取りするための制御チャンネルから知ることができる。従って、例えば、利用状況検出装置4が、指定された各周波数ポイントについてそれぞれ測定するような場合は、無線通信機5a〜5cが使用している周波数は除いて測れば良い。また、利用状況検出装置4が利用可能な全周波数をスイープして測定するような場合は、その測定結果から無線通信機5a〜5cが利用中の周波数を除けばよい。測定データから無線通信機5a〜5cが利用中の周波数を除く作業は、利用状況検出装置4が行っても良いし、データベース装置2−4が通知された情報から除外してもよい。なお、無線通信機5a〜5cによる電波の利用状況は、その電波を利用している無線通信機5a〜5c自身からの申告に基づいてデータベース装置2−4に登録するか、制御チャンネル等での管理情報からデータベース装置2−4がこれを検知すると良い。
利用状況検出部403によって検出された周波数利用状況は、利用状況検出装置4の位置と共にデータベース装置2−4に通知される。利用状況検出装置4の位置検出は、例えばGPSを利用した座標による検出や、他の装置からの相対的な位置検出による。利用状況検出装置4にGPSが付随されていても良いし、データベース装置2−4内に利用状況検出装置4が内蔵されている場合は、データベース装置2−4の位置をそのまま用いればよい。相対的な位置検出は、例えば、位置が既知のリファレンス端末(図示せず)からの遅延量測定を用いた三辺測量を行うことで実現できる。データベース装置2−4やリファレンス端末の位置は、それらが固定ならば設置時に手入力された情報から知ることができる。利用状況検出装置4の位置情報は、通知する周波数利用状況に付随して通知しても良いし、データベース装置2−4が、別途検出しておいた位置情報または別途通知された位置情報を、通知された周波数利用状況に付加しても良い。利用状況検出装置4がデータベース装置2−4に内蔵される機器であるならば、後者の方法で良く、無線通信機5が利用状況検出装置4の機能を兼ね備えているならば前者の方法が望ましい。パーソナルエリアネットワーク(PAN)などのように無線通信システム3の通信エリアが狭く、例えば半径1m程度であるならば、無線通信システム3を構成するいずれかの機器が位置検出機能を備えていれば良く、その情報に基づいて位置を通知すればよい。
次にデータベース装置2−4の動作について説明する。
データベース装置2−4は、利用状況検出装置4によって測定された情報を整理して登録する機能を持つ。基本的には電波検出位置と当該電波を持つ周波数毎に整理して、その位置において当該電波を持つ周波数が利用中か否かを登録する。利用状況検出装置4が無線通信システム3内に1つしか無く、その位置が固定ならば、位置ごとの整理は必要ないが、後述するように外部から他の位置に関する周波数利用状況を得る場合もあるので、位置も同時に記憶しておく。利用状況検出装置4が複数ある場合は、位置毎に周波数利用状況を整理する。
データベース装置2−4は、無線通信機5a〜5cが利用中の周波数を知ることができるので、無線通信機5a〜5cが利用中の周波数も同時に登録する。この場合、データベース装置2−4は、無線通信機5a〜5cの位置も利用状況検出装置4の位置と同様の方法で検出して登録する。このとき、無線通信機5a〜5cの送信パワーから電波の到達範囲が推測できるので、その範囲内で利用中であることを同時に登録するとよい。
データベース装置2−4は、無線通信システム3内の電波利用状況を把握する一方で、上位のデータベース装置2−3から法的規制による禁止帯域などの予め利用が決定されている周波数の情報を取得する。
予め利用が決定されている周波数の情報は、まとめて最上位のデータベース装置2−1が有しており、全ての下位データベース装置が上位のデータベース装置から情報を得ればよい。あるいは、それぞれのデータベース装置2−2a〜2−2k,2−3a〜2−3mが、自己の管轄する領域の情報について予めすぐ上位のデータベース装置から取得して保持していてもよい。データベース装置2−3aが管轄する領域は、その下位データベース装置2−4が管轄する領域を含むので、データベース装置2−4は、接続する上位データベース装置2−3aから、無線通信システム3の範囲での予め利用が決定されている周波数の情報を得ることが出来る。このような情報は地域ごとに異なる可能性が高いので、これらの情報には位置情報が記載されている。データベース装置2−4は、上位のデータベース装置から得た予め利用が決定されている周波数の情報を当該周波数が利用される位置情報と共に記憶する。
なお、データベース装置間を接続する回線は、無線通信システム3で用いる制御チャンネルと同様の無線チャンネル、無線LANなどの他の無線システム、あるいは有線でもよい。データベース装置間は、直接接続されている必要は無く、インターネット等を介して接続してもよい。
データベース装置2−4は、無線通信システム3の周囲で、無線通信システム3内の利用状況検出装置4では測定しきれていない情報をデータベース装置2−3aから得る。これは、利用状況検出装置4が検出した利用状況が有効な範囲が、必ずしも無線通信機5a〜5cの電波到達範囲の和と一致しているとは限らないからである。このような周囲の利用状況は、無線通信システム3と同様の他の無線通信システム(図示せず)内のデータベース装置からデータベース装置2−3aに上げられた情報である。
データベース装置2−4には、利用状況検出装置4による検出情報、無線通信機5a〜5cの送信周波数情報、データベース装置2−3aから得られたその周辺の予め利用が決定されている周波数の情報、無線通信システム3周囲の同様のデータベース装置から上げられた周波数利用状況が集められる。データベース装置2−4はこれらの情報を周波数と位置ごとに整理して登録する。なお、整理する際、自システムで検出された情報か上位データベース装置から得た情報かを、項目を設けて区別しておく。
データベース装置2−4は、このように整理された周波数利用状況のうち、自システムで検出した情報、すなわち、利用状況検出装置4による検出情報、無線通信機5の送信周波数情報をデータベース装置2−3aに通知する。データベース装置2−3aは、下位データベース装置からの情報が複数通知されるので、これを、予め利用が決定されている周波数の情報と合わせて周波数、位置毎に整理する機能を備える。
データベース装置2−3aは、データベース装置2−4と同様、必要に応じてデータベース装置2−2aからデータベース装置2−3aが管轄する領域の周辺の情報を取得して登録する。データベース装置2−3aには、上位データベース装置2−2aから入手した情報か、下位データベース装置2−4から入手した情報かを区別する欄を設け、登録の際、これを記憶しておく。そして、データベース装置2−2aに通知する周波数利用状況は、下位データベース装置2−4から取得した情報のみとする。
データベース装置2−2aも同様に、複数の下位データベース装置から取得し、集まってきた情報を整理し、上位データベース装置2−1に通知する。データベース装置2−1も同様に集まってきた情報を整理して保持する。
このように、下位データベース装置が上位データベース装置に通知する周波数利用状況は、その下位から通知された情報、または、利用状況検出装置や後述する利用チャンネル申告機能から申告された情報のみであり、周波数利用状況を整理登録したデータベースそのものではない。一方、上位データベース装置が下位データベース装置に配布する情報は、地理範囲的な制限はするが、周波数利用状況を整理登録したデータベースの登録情報そのものである。
データベース装置2−4は、上述のようにして自身が存在するその無線通信システム3の管轄範囲内および周辺の周波数利用状況を得る。無線通信システム3内の無線通信機5a〜5cは、この情報を基にして決定した周波数で通信を行う。決定は、無線通信機5a〜5cが行おうとしている通信の内容にも依存する。例えば、依存する情報としては、通信距離や必要とする帯域、ビットレート、通信相手の受信機性能などである。それらの情報から電波到達範囲を推定し、その範囲内で共通に空いており、必要な帯域が確保できる周波数を決定する。このとき、必要な通信を行うために送信パワーが法規制を超えてしまうような周波数は除外する。周波数の決定は、無線通信機5a〜5cがデータベース装置2−4から周波数利用状況を得て自身で決定しても良いし、データベース装置2−4が無線通信機から帯域等のパラメータの申告を受けて決定し、無線通信機5a〜5cに通知してもよい。
このような構成を採ることによって、コグニティブラジオによる通信を行う無線通信機5a〜5cが使用する周波数を決定するための情報を容易かつ、確実に収集することができる。
なお、データベース装置2−3aには、図4のように他の無線を利用するシステムから周波数利用状況の申告がなされてもよい。
図4は、図1に示したコグニティブ通信システムにホームネットワーク6が追加された場合を示すシステム構成図である。図4において、データベース装置2−3aには、ホームネットワーク6が接続されている。ホームネットワーク6はテレビ受像機7が含まれており、テレビ受像機7には周波数利用状況申告手段として、利用チャンネル申告装置8が備えられている。利用チャンネル申告装置8は、テレビ受像機7に接続しているアンテナの位置とテレビ受像機が受信中のチャンネルをホームネットワーク6、さらに、インターネット等の通信回線を介してデータベース装置2−3aに申告するものである。
この利用チャンネル申告機能は、テレビのように電波を利用しているが、ほぼ受信のみで電波を送出していないために、利用状況検出装置4ではその利用が検出できないシステムに適用する。テレビの他には、ラジオや災害放送等の受信機が利用チャンネル申告装置8を持つと良い。もちろん、電波を出している他の無線システムがこの機能を利用することで、より確実に自身の動作をコグニティブ無線通信システムに通知するようにしても良い。
利用チャンネル申告装置8は、テレビ受像機がテレビチャンネルの受信を開始したら、データベース装置2−3aに受信中のチャンネルの情報を申告する。このとき利用チャンネル申告装置8は、アンテナの位置を含む領域を管轄する上位データベース装置2−3aに受信中のチャンネルの情報を申告する。また、受信チャンネルが変化した場合および利用を終了した場合もその旨通知する。さらに、受信中は特に変化が無くとも定期的に通知を行うとよい。この場合、データベース装置2−3aは、このような申告のリストを保持し、定期的な通知が途絶えて一定期間が経過したら受信が終了したものとみなしても良い。このような申告によって通知された電波利用が行われている位置が、無線通信システム3の範囲と重なる(無線通信機5a〜5cの電波到達範囲と重なる)ものに関して、データベース装置2−4は、データベース装置2−3aから情報を得て、周波数と位置ごとにデータベース装置に登録する。
データベース装置2−3aは、複数の下位データベース装置2−4からの情報と、利用チャンネル申告機能8による情報と、予め利用が決定されている周波数の情報とを合わせて周波数利用状況を利用されている周波数および位置毎に整理し、必要な部分を上位のデータベース装置2−2aに通知する。この場合、周波数利用状況のデータに他のシステムからの申告による情報が加わっていることになる。また、データベース装置2−4には、利用状況検出装置4による検出情報、無線通信機5の送信周波数情報、データベース装置2−3aから得られたその周辺の予め利用が決定されている周波数の情報、無線通信システム3の周囲の他の同様のデータベース装置から上げられた周波数利用状況に加えて、申告によって利用が検出された周波数の状況も同時に集められる。データベース装置2−4は同様にこれも含めて情報を周波数と位置ごとに整理して登録する。
本発明のコグニティブ通信システムでは、上位のデータベース装置ほど広い領域を管轄しており、その管轄領域の中の周波数利用状況を把握している。その結果、下位データベース装置は必要に応じて上位データベース装置から、整理された周囲の利用状況を取得することができる。
上述のように、上位のデータベース装置が単純に広い領域の周波数利用状況を細かい位置情報と共に記憶しておいても良いが、上位のデータベース装置の負荷を減らすために、上位のデータベース装置は位置の解像度を落としても良い。これは例えば、以下のようにする。
データベース装置2−4から通知された情報はデータベース装置2−3aで整理される。データベース装置2−3aは複数の下位データベース装置や、テレビ受像機等からの申告による情報を位置と周波数ごとに整理するが、その際、情報の提供元である下位データベース装置や利用周波数を申告した装置を識別する項目を設け、申告元を記憶しておく。次に、データベース装置2−3aは、位置のマップを作成し、落としたい解像度にメッシュを切る。各メッシュの升内の情報を、ORをとるか平均化するなどして解像度を落とした情報を周波数ごとに作成する。このとき、提供元情報はその升目内に関してまとめて保持しておく。その結果、データベース装置2−3aは場所解像度の粗い周波数利用状況と、細かい周波数利用状況の二種類を持つことになる。データベース装置2−4に供給する周辺の利用状況は、細かい周波数利用状況から必要な領域を取り出したものである。一方で、データベース装置2−2aに上げる周波数利用状況は粗い周波数利用状況とする。データベース装置2−2aに集まる周波数利用状況はこのような解像度の低い情報であり、これを整理した情報も解像度が低い。
データベース装置2−2aも同様にデータの提供元を周波数利用状況と共に記憶しておき、下位データベース装置2−3に通知する際に、データの提供元も同時に配布する。自身の領域の周辺についてデータベース装置2−2aから提供を受けたデータベース装置2−3aは、自身が上位のデータベース装置2−2aに上げた情報に含まれない周波数や場所に関しては、データベース装置2−2aからの情報をそのままデータベース装置に登録するが、自身がデータベース装置2−2aに上げた情報に含まれる周波数と位置に関しては、各々の位置、周波数のポイントについて、情報の出所に自分以外が含まれていないかチェックする。自分以外が含まれていた場合、上位データベース装置に再びアクセスして、上位データベース装置を介してその情報の提供元から、解像度を落とす前の情報を取得する。取得した解像度を落とす前の情報を自身の解像度の高い周波数利用状況に登録する。データベース装置2−2aも同様のことを行う。
このような、すり合わせの作業は特に、自身が管轄する領域の外側に近い地点で発生する。その結果、自身が持つ周波数利用状況は、自身が管轄する領域に関しては解像度の細かいほぼ完全な情報が得られ、さらに、その外側に関しては、解像度の低い情報が得られることになる。解像度を落とした後の周波数利用状況を解像度の細かい周波数利用状況に自身の周辺の状況として登録する場合、解像度が落ちていることを、項目を用意して記しておくとよい。
データベース装置2−4を利用する無線通信機5a〜5cの電波到達範囲があまり広くない場合は、データベース装置2−3aは管轄する範囲内について解像度を落としていない周波数利用状況を有している。したがって、データベース装置2−4は必要な位置範囲について解像度の細かい周辺の周波数利用状況をデータベース装置2−3aから得て、それを登録・整理したデータベースを作成することができる。データベース装置2−4の情報を利用する無線通信機5a〜5cが使用できる周波数は、そこから問題なく決定することができる。
図5は、上述した方法によってデータベース装置2−4が得ることが出来る周波数利用状況の場所解像度のイメージを示す。一番小さい円9−4は、各々のデータベース装置2−4が管轄する範囲であり、その外側9−3はデータベース装置2−3aが管轄する範囲である。その外側の円9−2はデータベース装置2−2aが管轄する範囲であり、最も外側の円9−1は、データベース装置2−1が管轄する範囲である。範囲9−1と範囲9−2の内側にある升目は解像度に相当する。下位のデータベース装置は必要に応じてその周囲の周波数利用状況を上位のデータベース装置から得るが、図1の例は、最大の範囲まで取得した例である。必ずしも最大範囲まで得る必要はなく、無線通信システム内で使用する無線通信機の電波到達範囲に応じて取得する範囲を拡大縮小すればよい。例えば、範囲の広い無線通信システム10のようなシステムがあり、データベース装置2−3aが範囲9−3内に存在する場合に得る周波数利用状況は、無線通信システム10で示した範囲とその近傍の外側を含む。その際、位置によっては図5に示すように解像度の粗い情報を得ることになる。無線通信システム10の無線通信機の電波到達範囲は非常に広い。従って実際のところ、この範囲内に関して解像度が細かい周波数利用状況は必要ない。すなわち、無線通信システム10の無線通信機の送出する電波が細かい場所ごとに届く届かないを制御することは不可能であるからである。このような理由から、上位データベース装置に登録する周波数利用状況は解像度を落としても事実上差し支えない。
ただし、範囲9−3の端の方にある無線通信システムは、そのすぐ外側で突然周波数利用状況の解像度が落ちると困るかもしれない。そのような場合、上位データベース装置2−3a、2−2aを経由して、隣接する必要な情報を有するデータベース装置2−3bからその周囲の解像度の細かい情報を取得するとよい。
なお、予め利用が決定された情報に関しては、その地域が、解像度を荒くした場合のメッシュと一致するとは限らないので、それぞれの正しい範囲ごとに記憶しておくようにすると良い。法的規制による送信禁止帯域などは、適用地域の解像度はさほど細分化されないと予想されるので、そのまま記憶してもデータベース装置の負荷増大には繋がらない。あるいは、場所の地点毎ではなく、範囲を規定するベクトル情報として記憶すると、上位データベース装置のメモリ量を削減できる。
なお、これまで述べてきたようにそれぞれの階層のデータベース装置はそれが管轄する領域、すなわち空間的範囲を持っており、上位のデータベース装置はそれに接続する下位データベース装置の管轄する範囲を含んでいる。また、同じ上位データベース装置に接続する複数の下位データベース装置は、基本的に互いに近い位置にかたまって存在する。このようにすると、下位データベース装置がその周囲の周波数利用状況を集めようとしたとき、すぐ上の層のデータベース装置にアクセスするだけでよいので、情報収集の手続きが簡素化できる。
この空間的範囲は、図5のような円でもよいし、地域をメッシュに区切った四角でもよい。1つの例として、行政上の地区でも良い。図6に本発明のコグニティブ通信システムにおけるデータベース装置が管轄する範囲と対応する行政上の地区の例を示す。
図6の例では、データベース装置11−1が管轄する範囲は世界、11−2a〜11−2kが管轄する範囲は国、11−3a〜11−3mが管轄する範囲は県、11−4が管轄する範囲は市区、11−5が管轄する範囲は町村であって、個々の無線通信システム12に含まれるデータベース装置11−6はその最下層に接続される。申告によって利用周波数を通知するテレビ受像機のような装置は、11−5に接続することになる。このように行政上の地域区分に対応して階層を設定すると、無線通信システムの位置や無線通信機の位置から接続すべきデータベース装置が一元的に決定でき、手続きが簡素化できる。
さらに、利用状況検出装置が適切な間隔で配置されていないために、空白となる位置や周波数が発生することがある。完全な空白でなくても、配置されている利用状況検出装置の性能が悪いか、電波伝搬環境が悪く、十分な検出ができていないこともある。このような場合は、その空白の部分は検出が不十分として原則的に使用しないようにする。位置的な空白が出来ている場合には、その位置では、アンライセンスバンドのみ使用可とするとよい。
これまでの例では、無線通信システムが内蔵するデータベース装置は常に最下層に接続し、また、申告によって利用を通知するシステムは下から2番目のデータベース装置に通知していた(前述の図4を参照)。すなわち、下から2番目のデータベース装置が種々雑多なシステムを下位に持つ構成であった。このような構成によれば、無線通信システムに含まれるデータベース装置が接続する階層が決定しているため、接続すべき上位データベース装置が容易に決定できる。また、種々雑多なシステムに繋がる階層が1つのみであるため、望ましくない情報や操作をブロックする機能は下から2番目の階層のみに備えて置けばよくなる。
図7は、無線通信システムに内蔵されるデータベース装置が上位階層に直接接続されるコグニティブ通信システムの構成例を示す。
図7の構成におけるデータベース装置は、図1と同様に階層化されたネットワークを構成している。無線通信システム3のデータベース装置16は図1と同様に下から2番目の階層のデータベース装置13−3aに接続しているが、無線通信システム14のデータベース装置15は、より上位のデータベース装置13−2aの下に接続している。図7においては、接続する上位データベース装置は、その無線通信システム内の無線通信機の電波到達範囲、すなわち、おおよそ通信距離に対応して接続する上位階層を選択している。それぞれのデータベース装置が、それぞれ管轄する範囲を有することはこれまでと同様である。無線通信システム内のデータベース装置は、その無線通信システムの電波到達範囲を含む、あるいは、そのデータベース装置の管轄する範囲を含む上位データベース装置に接続する。図5における範囲の広い無線通信システム10の場合、接続する上位データベース装置は、図7の例では最上層13−1になる。また、図7における無線通信システム14の例では、接続するデータベース装置の階層は以下のように決定されている。すなわち、無線システム14の電波到達範囲または無線通信システムのエリアを、仮に図4に示した場合、範囲9−3や範囲9−3を管轄するデータベース装置と同じ階層のデータベース装置の管轄する空間的範囲には納まりきらない。しかし、無線システム14の電波到達範囲は範囲9−2内には含まれる。そこで、図7において、範囲9−2に相当する領域を管轄するデータベース装置13−2に接続している。このようにすることにより、必要な周辺の周波数利用状況をすぐ上位のデータベース装置から取得することが可能となって、手続きが簡素化される。
なお、データベース装置の階層選択の際、無線通信システム内における無線通信機の電波到達範囲の和とするか、通信距離すなわち無線通信システムのエリアとするか、その無線通信システム内のデータベース装置が管轄する範囲すなわちその無線通信システム内の利用状況検出装置が検出できる範囲とするかは種々選択が可能である。通常、無線通信システムのエリアよりはその無線通信システムに含まれる全無線通信機の電波到達範囲の和を取った領域の方が広い。利用状況検出装置は、それがどのように設置されているか、すなわち、データベース装置に付随するのか、無線通信機の機能に含まれるかによって管轄する空間的範囲の大きさが変わる。最も望ましいのは、接続している上位データベース装置から必要な周波数利用状況をすぐに得られる電波到達範囲で決まる範囲とすることである。ところが、無線通信システムのエリアは無線通信機の位置検出手段から直接検出でき、データベース装置が管轄するエリアはデータベース装置の内容を構築する際に決定されているのに対し、電波到達範囲は、無線通信機の位置、出力パワー、場合によっては周囲の電波伝搬環境等から推定する必要があり処理ステップが多くなる。もちろん、最終的に無線通信機が使用する周波数を決定するためには電波到達範囲を知らなければならないが、無線通信機が移動する可能性があるような場合には、データベース装置が上位データベース装置に接続する段階で、これを定めるのは若干無駄である。そこで、暫定的に、無線通信システムのエリアや無線通信システム内のデータベース装置が管轄する範囲に基づいて接続する上位データベース装置を決定するようにしてもよい。この場合、電波到達範囲がその上位データベース装置が管轄する範囲からはみ出す可能性もあるが、その場合は、図1で説明したような方法によって、その周囲の情報をさらにその上位のデータベース装置や範囲が隣接するデータベース装置から得れば良い。
なお、1つの無線通信システム内で通信距離が極端に異なる通信をほぼ同時期に行う可能性がある場合は、最下層に接続するとよい。図1、図5で説明したような方法で、最下層のデータベース装置が周辺の状況を広めに取得することは容易だからである。
図7におけるデータベース装置15は階層としては最下層ではなく、下から二番目の層のデータベース装置となる。しかし、データベース装置15は無線通信システム14内にあり、無線通信システム14の構成、動作にもよるが、一時的にネットワークに接続するだけのものや、継続して存在することが保証されないもの、上位データベース装置としては処理能力や容量が小さいもの、さらには、上位データベース装置としての望ましい処理をこなす意図がないもの、などが含まれる可能性がある。このような理由でデータベース装置15に下位データベース装置を単純に接続できるようにすることは問題がある。
そこで、下位データベース装置を接続できるか否かで、データベース装置をランク付けするとよい。例えば、長期的に接続しないもの、電源供給が不安定であるもの、上位データベース装置としての処理をこなせないもの、位置が移動するもの、等は上位データベース装置としては、ランクが低いものとし、固定的に設置され、能力が高いものをランクの高いものとする。基本的に、下位データベース装置が上位データベース装置に接続する際、高ランクのデータベース装置を選択して接続する。適切な階層と位置の高ランクなデータベース装置に接続できない場合は、やむを得ず低ランクのデータベース装置に接続するが、この場合は、可能な限り速やかに適切な高ランクのデータベース装置を見つけて、再接続するようにする。具体的には、さらに、その上位のデータベース装置に問い合わせるなどである。再接続出来ない場合は、上位データベース装置が突然稼動を停止した際に、周波数利用状況が収集できなくなり、その結果、コグニティブラジオによる無線通信が出来なくなることを認識しておく。
本発明では、精度の高い周波数利用状況に基づいたコグニティブラジオ通信が可能であるよう、基本的には、上位データベース装置に接続できない場合は、コグニティブラジオによる無線通信を中止する。すなわち、上位データベース装置が突然無くなった場合、そのデータベース装置に接続していた下位データベース装置を含む無線通信システムは、いったんコグニティブラジオによる通信を停止する。その後、通信を再開したいならば、適切な上位データベース装置を見つけるか、見つけられなければ、さらに、その上位のデータベース装置に接続しても良い。必要以上に高い階層に接続した場合、得られる周波数利用状況の解像度が荒くなり、その結果、使用できる周波数が少なくなる。
また、本発明では適切な中間階層のデータベース装置が存在しない場合には、上位データベース装置がその下位データベース装置を兼ねてもよい。その場合、適格のある下位データベース装置が接続されたら処理を移すか、あるいは、自身が適正な上位データベース装置の下位となっても良い。極端な例では、自身が全階層のデータベース装置として存在し、単独で周波数を決定できるような機能を有していても良いが、この場合、付近の電波使用状況の検出性能が著しく損なわれるため、使用できる周波数は例えばアンライセンスバンドのみなどにすると良い。
これまで、1つの無線通信システム内にデータベース装置は1つである場合を述べてきたが、必ずしも1つである必要はない。例えば、それぞれの無線通信機内にデータベース装置が内蔵されていてもよい。このような場合、1つの無線通信システム内のデータベース装置間に上下関係を設け、代表を決定して上位データベース装置に接続するとよい。上下関係は例えば、インターネットゲートウェイに近い、処理能力が高い、電波伝搬環境が安定している、などの条件により決定する。代表以外のデータベース装置は代表となったデータベース装置から周波数利用状況を取得するとよい。あるいは、図1における最下層のデータベース装置2−4とその上位の2−3aのような関係を構築してもよい。例えば、無線通信機が利用状況検出装置も兼ねる場合は、無線通信機が単独で小さな無線通信システムを構築するようなイメージである。利用状況検出装置を兼ねない場合は、単に上位データベース装置から周波数利用状況を取得すれば良い。さらに、複数のデータベース装置の位置が離れている場合には、複数が代表となって動作してもよい。無線通信機は位置が近いデータベース装置の方を選んで情報を取得すればよい。
無線通信機内にデータベース装置を内蔵しているものと、内蔵していないものでは動作の自律性が異なる可能性がある。例えば、データベース装置を内蔵している無線通信機は、自主的に周波数を決定できるが、内蔵していないものは決定権が無いなどである。
これまで述べてきたように、本発明における階層構造のデータベース装置のネットワークには種々雑多な下位データベース装置が接続してくる可能性がある。また、無線通信機に利用状況検出装置が内蔵される場合で、データベース装置と無線通信機が同一管理者でない場合、無線通信機に内蔵された利用状況検出装置からのデータは必ずしも信頼できるとは限らず、故意にデータを書き換える可能性も有る。このような周波数利用状況データの混乱を防ぐために本発明では、図8に示すように、各々のデータベース装置は通知された利用状況をその通知者に対応してフィルタリングするフィルタ処理部を具備する。図8に示すように、フィルタ処理部801はデータベース装置(例えばデータベース装置2−4)に備えられており、周波数利用状況の情報が入力される。ここで、例えば、データベース装置と無線通信機が同一管理者であるか否かが検出され、同一管理者であれば供給された周波数利用状況の情報を登録部201に供給する。一方、同一管理者でない場合は、フィルタリングして登録部201に供給しない。
例えば、データベース装置に利用状況検出装置が内蔵されている場合や、信頼可能として登録されている利用状況検出装置に関しては、そこからの通知を信用すればよい。また、上位のデータベース装置が下位のデータベース装置からの通知を信用するか否かも同様に決定すればよい。
本発明では、上位データベース装置は下位データベース装置が接続要求をしてきた時に、必要に応じてこれの認証を行う認証部を備える。図9に示すように、上位データベース装置(例えば2−3a)に認証部901を設ける。認証部901は、周波数利用状況の通知を行うステップに入る前(下位データベース装置、例えばデータベース装置2−4からの接続要求時)に、認証を行う。認証の結果、不正なデータベース装置からの接続要求であれば、認証結果として、接続不可の応答を返す。接続可の場合はその旨の応答を返し、周波数利用状況の通知を受ける。認証部901における認証の方法は種々可能である。例えば、その物理層アドレスを元に製造者、シリアル番号を特定する。あるいは、認証用のデータベース装置を別途用意し、周波数利用状況データベース装置購入時に認証用データベース装置に暗号化したIDを登録し、認証時にこれを参照して認証を行うなどである。IDは例えば、データベース装置のソフトに暗号化して組み込んだり、さらに電子透かしのようにして組み込むとよい。ソフトの違法な改造があった場合や、ハードの違法な開封があった場合に無効になるようにしておくとよい。
IDを使用する場合には、電子透かしを用いれば認証用データベース装置は用意せずに上位データベース装置と下位データベース装置間の単独の認証という形態をとることも可能である。また、無線通信システムに含まれる下位データベース装置の認証の際に、上位データベース装置は、下位データベース装置の位置、稼動状態、利用状況検出装置の性能、無線通信機の電波到達範囲、無線通信機の数などを同時に通知させ、その後の周波数利用状況の通知や周波数利用状況の要求に矛盾が無いかどうかを随時確認するとよい。
さらに、中間階層の下位データベース装置を認証する際は、そのさらに下位にデータベース装置が接続する時の認証を義務付けると良い。中間階層に相当するデータベース装置であって、下位認証機能を持たないものは認証しない。その結果、その下位データベース装置はさらなる下位データベース装置を持たなくなる。あるいは、さらなる下位データベース装置を持ったとしても、そこから上げられた情報は信用しないなどである。さらに、中間階層の下位データベース装置を認証する際には、それに上位データベース装置としての能力があるかどうかの適格性も同時に認証するとよい。このような認証は利用状況検出装置の認証や、利用状況を同様に申告するテレビ受像機などに内蔵される利用チャンネル申告機能の認証にも使用できる。
また、下位のデータベース装置は、接続する上位のデータベース装置からの情報を信用することとする。これは、下位に接続している以上信用せざるを得ないためである。下位データベース装置は上位データベース装置に接続する際、上位データベース装置がさらに、その上位データベース装置にIDの認証や適格性の認証を受けているかどうかを確認すると良い。認証を受けていない場合は、他の上位データベース装置を選択するとよい。
本発明の構成では、各々のデータベース装置はそれぞれそれが管轄する空間的範囲を有しているが、同じ階層のデータベース装置の空間的範囲が互いに排他的である必要はなく、一部が重なるような領域を有していても良い。従って、その位置を管轄する上位データベース装置は他にもあるかもしれない。やむを得ず認証を受けていない上位データベース装置に接続する場合は、自身から上げた周波数利用状況が反映されず、物理的には利用可能であるにもかかわらず利用不可とされる周波数があることを認識しておく必要がある。
なお、周波数利用状況は基本的に周波数と場所の関数であるが、レーダの周波数を共用する場合などは時間の関数となっていてもよい。電波を利用する低軌道衛星搭載のレーダのような場合には、比較的ゆっくりした時間で変化をするため、周波数利用状況データベース装置の更新という形で対応すればよい。一方、アンテナの旋回周期が数秒程度の地上レーダの場合には、周波数利用状況データベース装置の更新という形では対応しきれない。このような場合は、以下のようにするとよい。
レーダの稼動状況は、テレビ受像機の場合と同様の申告機能による通知によるか、あるいは予め利用が決定されている周波数の情報に含まれる。どちらにしても、レーダが必要とする空間的範囲に対応する上位データベース装置がその利用状況を把握している。レーダの稼動状況を記憶する際、上位データベース装置は、レーダのパラメータ、すなわち、位置と周波数、レーダの電波到達距離、旋回周期という形で記憶する。そのデータベース装置が管理する周波数利用状況には、レーダの利用周波数に関して、そのレーダの電波到達範囲内の地点には(他のシステムがその周波数を利用していない限り)条件付利用可という送信可能ランク設定をする。その際、データベース装置の登録情報にはどのレーダに基づいてそのランク設定がなされたかを記載しておく。送信可能ランクについての詳細は後述する。データベース装置に登録された周波数利用状況を下位データベース装置に通知する際、上位データベース装置は下位データベース装置にレーダのパラメータも同時に通知する。下位データベース装置が保有する周波数利用状況の解像度が同じであるならば、そのまま利用する。同じでない場合には、通知されたパラメータに基づいて下位データベース装置は、自身が管轄する領域については、このレーダの周波数利用状況を自身の周波数利用状況の解像度に合わせて再登録する。このようにして、無線通信システム内のデータベース装置にまで登録される。この段階で条件付利用可というランクになっており、各無線通信機はこのレーダの周波数を使用したいときは、データベース装置からレーダのパラメータをもらい、自身の位置でこのパラメータに添ったレーダの電波を検出できるか確認する。従って、無線通信機は利用状況検出装置を兼ねている必要がある。検出できない場合には利用を中止する。検出できた場合には、検出されたレーダ電波の周期に従って、その空き時間を利用すればよい。なお、クロックは機器ごとに微妙に異なる可能性があるので、タイミング修正のために、利用中も出来るだけレーダ電波を受信するようにすると良い。
異なる方法として、レーダが利用の申告機能を有する場合には、レーダから直接タイミングを取得方法もある。すなわち、レーダが特定の方角を向いた瞬間に信号をデータベース装置に送信する。データベース装置は遅延を設けず、これを下位データベース装置に中継する。さらに下位データベース装置がある場合にはやはり遅延を設けずに中継する。無線通信システム内のデータベース装置は、このタイミング情報をこの周波数を利用しようとする無線通信機にやはり遅延を設けずに中継する。このタイミング情報と、レーダの位置、無線通信機の位置からその位置にレーダ電波が到達するタイミングを推測し、その時刻を余裕を持って避けるようにして使用する。
次に図10を用いて送信可能ランクについて説明する。上述のように周波数利用状況にはそれぞれ送信可能ランクが設定される。ランクは、少なくとも送信可、送信不可、条件付送信可の3種類に分類される。条件が複数ある場合には、条件の組み合わせによって3種類以上あっても良い。図10に示すように、範囲17上の地点は送信可のランクに分類される。送信可のランクは、ある周波数f1についてその位置で無条件に使用できることを示す。無線通信機は、送信パワーや周波数、場合によっては屋内、屋外、障害物等電波伝搬条件、指向性等に対応して電波到達範囲が決定できるので、その範囲内の地点全てで送信可のランクになっていれば、無条件で周波数f1で送信することが出来る。従って、例えばある無線通信機の電波到達範囲が20−1の様であれば、この無線通信機は周波数f1を使用できる。一方、送信不可のレベルは、その位置において、周波数f1は使用不可であることを示す。したがって、ある無線通信機の電波到達範囲に1つでもそのような地点があれば、その無線通信機は周波数f1で送信することは出来ない。例えば図10の送信不可ランクの地点を含む範囲19上の地点がそのような範囲に該当する。無線通信機の電波到達範囲が20−2の様である場合、この無線通信機は周波数f1を使用することが出来ない。
条件付送信可のランクは一定の条件を満たせば、その地点で周波数f1を使用することが出来るというものである。図10の例では、範囲18上の地点が条件付送信可ランクの地点であり、例えば電波到達範囲20−3や20−4のような無線通信機は、指定された条件を満たしていればその周波数を使用することが出来る。
送信可能ランクに適用される条件は以下のようである。例えば、上述したレーダ電波の時間的な隙間を利用してコグニティブラジオによる無線通信を行う場合を想定した条件がある。すなわち、レーダの電波を受信でき、かつ、自身が出力するタイミングをレーダ電波の空白期間に同期できることを条件とする。このような条件は、そのレーダの電波が及ぶ範囲、あるいはレーダの性能に影響を及ぼす範囲の地点に対し、そのレーダの周波数および周囲の周波数に対して設定される。
条件の他の例では、例えば、その無線通信システムのデータベース装置が上位のデータベース装置から周波数利用状況を取得する頻度が定められた頻度以上であり、かつ、無線通信機にそれを通知する頻度も一定以上であって、特定の周波数についてランクや条件の変更があり、それが通知に含まれていた場合にその変更に即座に対応できることといったものがある。これは、ランクや条件の変更が比較的緩やかな場合、例えば、前述の低軌道衛星からのレーダ電波の場合などで、利用できる時間から出来ない時間に変わるときに、確実にその周辺でのコグニティブラジオの無線通信機による通信を止めたいときに使用する。
条件の他の例では、例えば無線通信システム内のデータベース装置および無線通信機が、上位データベース装置あるいは無線通信システム内のデータベース装置からの送信停止命令をいつでも受けることが出来、送信停止命令を受けたならすぐに送信を停止できることといったものがある。これは、例えば、防災無線のように、普段は使用しないが、使用する場合にはすぐに使用したいシステムの周波数を共用する場合の条件である。この場合、上位データベース装置が下位データベース装置に、また、無線通信システム内のデータベース装置が無線通信機に対して割り込みを掛けるように停止命令を伝えなければならないので、割り込みが出来るあるいは受けられる装置、システムであることも条件となる。
条件の他の例としては、その無線通信システム内の利用状況検出装置の検出性能に関するものがある。その周波数がその周波数をライセンスされたシステムによっていつ使用されるかが不明な場合に、ライセンスシステムにより使用が検出されたらすぐにコグニティブラジオの通信を停止できるように、少なくとも、その周波数の電波を検出できること、常時、または定期的に検出を行うことを条件とする。また、それを使用する無線通信機の電波到達範囲内で確実に検出できるだけの検出性能を持つことを条件とする。このようにランク付けをすることによって、より細やかな周波数の利用が可能となる。
なお、データベース装置が管轄する空間的範囲は、無線通信機が周波数利用状況検出手段を兼ねる場合、無線通信機が点在する範囲に近くなる。このような範囲は無線通信機が移動する場合、その移動とともに変化していく。また、利用状況検出装置の検出する周波数に制限がある場合、範囲が周波数ごとに変化することもある。また、上位データベース装置の場合は、その範囲が予め決定している場合を除いては、それに直接・間接に下位に繋がるデータベース装置に接続する利用状況検出装置が点在する範囲となる。
無線通信システムに含まれるデータベース装置が必要に応じてアドホックに上位データベース装置に接続するような場合、適切な上位データベース装置を見つける方法が問題となる。もちろん、今まで種々述べてきたような方法によって位置や性能によって上位データベース装置を選択するのであるが、まずは、その接続方法を確保しなければならない。本発明では、インターネット内にデータベース装置のデータベースを用意することで、これを解決する。すなわち、接続すべき上位データベース装置を見つけたい下位データベース装置は、まず、アドレスが予め既知のデータベース装置のデータベース装置にアクセスして、自身の位置や範囲を申告し、近くの上位データベース装置のインターネットアドレスを入手する。入手したインターネットアドレスに従って、アクセスし、上位データベース装置に接続する。上位データベース装置が前述のような上位データベース装置として望ましくないデータベース装置である場合は、再びデータベース装置のデータベース装置にアクセスして別の上位データベース装置を入手すればよい。
この時、データベース装置のデータベース装置は、特定のデータベース装置にその処理能力を超えて下位データベース装置が集中したり、また、同じ階層のデータベース装置が管轄する空間的範囲が、不必要に、すなわち、能力に対応せずアンバランスにならないよう、負荷分散を行うとよい。
以上、詳述したように、本発明のコグニティブ通信システムは、コグニティブラジオを行う無線通信システムのための周波数利用状況管理データベース装置をネットワーク化し階層化することによって、無線通信システム単独では知りえない周波数の利用に関する情報をネットワークを介して得ることができ、その結果、その電波到達範囲内の他のシステムに悪影響を及ぼさない周波数を確実に選択することが可能となる。さらに、他のデータベースによって収集された情報の整理や、不足しているデータの収集などを上位データベースに任せることができ、下位データベースは上位データベースに接続するだけで必要な情報を容易に得ることが出来、その結果、データベース装置の処理負荷が軽減でき、無線通信システムのための機器を簡素で小型なものにすることが可能となる。