JP4398748B2 - パルスアーク溶接方法およびパルスアーク溶接装置 - Google Patents

パルスアーク溶接方法およびパルスアーク溶接装置 Download PDF

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Description

本発明は、溶融池内で発生する溶融金属の振動を制御するようにしたパルスアーク溶接方法およびパルスアーク溶接装置に関する。
2種類のパルス電流波形を予め定める周期で交互に切り替え、アーク圧力などの変化を利用して溶融池の挙動やビード形状を強制的に制御するようにした溶接方法および溶接装置が提案されている(特許文献1、2)。
特許第2993174号 特許第3327457号
適切な溶接条件を定めることができた場合、上記の技術により品質に優れる溶接を行うことができる。
しかし、ワークの形状や寸法は様々であり、ワークの形状や寸法が同じであっても溶接姿勢によって最適な溶接条件は異なる。溶接条件が変わると溶融池の挙動も変化するので、上記従来技術によって所望の効果を得るためには、予め膨大なデータを準備しておく必要があった。
また、溶融池の振動は、溶接電流・アーク電圧変化などの周波数解析で求められるが、装置が複雑・大形化するとともに、インプロセスでの検出も容易ではない。
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決し、予め適切な溶接条件を求めておかなくても、溶込み深さを制御することができるパルスアーク溶接方法およびパルスアーク溶接装置を提供するにある。
第1のパルス電流(以下、「基準パルス」という。)を用いる基準パルス溶接条件と、第2のパルス電流(以下、「制御パルス」という。)を用いる制御パルス溶接条件を、制御パルスによるアーク圧力が基準パルスによるアーク圧力よりも大きくなるように、制御パルスのパラメータを設定しておく。そして、基準パルス溶接条件による基準パルス溶接中に溶接条件を制御パルス溶接条件に切り換えると、制御パルスにより溶融池は強く押し下げられる。この状態で溶接条件を基準パルス溶接条件に切り換えると、溶融池に加えられるアーク圧力が低下することにより溶融池が盛り上がり、溶融池には制御パルスの大きさに応じた振動が生じる。本発明者は、基準パルスの平均アーク電圧を微小短絡が発生する程度に設定すると、この時に発生する短絡は溶融池の振動にほぼ同期することを見出した。
以上の知見に基づき、本発明の第1の手段は、基準パルス溶接を行う場合の基準パルス溶接条件と、制御パルス溶接を行う場合の制御パルス溶接条件と、継続基準パルス期間と、制御パルス溶接期間と、を定めておき、前記基準パルス溶接条件で溶接される基準パルス溶接期間中にワイヤと母材の短絡が検出された場合は、短絡発生から前記継続基準パルス期間経過後、溶接条件を前記制御パルス溶接条件に切り替え、前記制御パルス溶接期間経過後、溶接条件を前記基準パルス溶接条件に切り換えるようにして、溶接ワイヤと母材との間にパルス電流とベース電流を交互に供給して溶接を行うパルスアーク溶接方法において、前記基準パルス溶接期間の最大値を最大基準パルス溶接期間として定めておき、前記最大基準パルス溶接期間が経過しても短絡が発生しない場合は、前記基準パルス溶接条件において前記ベース電流を供給するベース期間を予め定める量(≧0)だけ増加させることを特徴とする。
その際、短絡を評価するための短絡評価期間を定めておき、前記短絡評価期間中に発生する短絡評価期間内に発生した短絡時間の積算値/短絡評価期間で定義される短絡発生時間の平均値が予め定める判定時間より大きくなった場合に短絡と判定する。また、短絡が検出された時期が前記基準パルス周期の途中である場合、次の前記基準パルス周期の開始を待って前記継続基準パルス期間の計時を開始する。さらに、前記継続基準パルス期間と前記制御パルス溶接期間を、パルス周期の個数で設定する。
なお、前記短絡発生時間の平均値Tが予め定める短絡軽減判定時間よりも長い場合は、前記基準パルス溶接条件において前記ベース電流を供給するベース期間を予め定める量(≧0)だけ減少させる。
また、本発明の第2の手段は、基準パルス溶接を行う場合の基準パルス溶接条件と、制御パルス溶接を行う場合の制御パルス溶接条件と、継続基準パルス期間と、制御パルス溶接期間と、を定めておき、前記基準パルス溶接条件で溶接される基準パルス溶接期間中にワイヤと母材の短絡が検出された場合は、短絡発生から前記継続基準パルス期間経過後、溶接条件を前記制御パルス溶接条件に切り替え、前記制御パルス溶接期間経過後、溶接条件を前記基準パルス溶接条件に切り換えるようにして、溶接ワイヤと母材との間にパルス電流とベース電流を交互に供給して溶接を行うパルスアーク溶接装置において、前記基準パルス溶接期間の最大値を最大基準パルス溶接期間として定めておき、前記最大基準パルス溶接期間が経過しても短絡が発生しない場合は、前記基準パルス溶接条件において前記ベース電流を供給するベース期間を予め定める量(≧0)だけ増加させる制御手段を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、予め適切な溶接条件を求めておかなくてもパラメータ設定により目的に応じて溶融池金属の挙動をインプロセスで広範囲に制御することができる。
また、2種類(基準パルスおよび制御パルス)のパルス波形パラメータはもとより、短絡を検出してから溶融池制御パルスを発生させる迄の遅延期間(継続基準パルス期間)、ならびに溶融池制御パルスの発生期間をそれぞれ独立かつ自由に設定・変更することが可能であるため、目的に応じて溶融池金属の挙動をインプロセスで広範囲に制御することができる。
さらに、溶接期間中に生じる溶融池金属の振動現象を検出し、溶融池の振動を適切な状態に制御することにより、例えばビード形状を所望形状にすることができる。
以下、図面を参照し、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は本実施形態に係るパルスアーク溶接方法を行う場合の出力波形を模式的に示す図
であり、上段はアーク電圧、下段は溶接電流を示している。
1周期(1個)の基準パルスは、基準ピーク期間Tp1と基準べース期間Tb1とから
構成され、基準ピーク期間Tp1における電圧値は基準ピーク電圧Vp1、基準べース期
間Tb1における電圧値は基準べース電圧b1である。また、1周期(1個)の制御パ
ルスは、制御ピーク期間Tp2と制御べース期間Tb2とから構成され、制御ピーク期間
Tp2における電圧値は制御ピーク電圧Vp2、制御べース期間Tb2における電圧値は
制御べース電圧b2である。そして、溶接回路には、基準ピーク電圧Vp1、基準べー
ス電圧Vb1、制御ピーク電圧Vp2、制御べース電圧Vb2に応じた溶接電流が流れる
同図に示すように、本実施形態では、基準パルス溶接条件による基準パルス溶接期間中に短絡が発生しても、予め定めるパルス周期(以下、「継続基準パルス期間」という。図では2周期。)Tdが経過するまでは基準パルス溶接を継続し、継続基準パルス期間Td経過後に出力を制御パルス溶接条件による制御パルス溶接に切り替える。そして、予め定める期間(制御パルス期間)Tcが経過すると、溶接条件を再び基準パルス溶接条件に切り替える。
なお、同図に示すように、継続基準パルス期間Tdの計時を短絡検出と同時に実行せず、次のパルス周期の開始を待ち、次のパルス周期の開始に合わせて計時を始めるようにすると、制御が容易になる。
図2は本発明の実施形態に係るパルスアーク溶接装置の構成図である。パルスアーク溶接装置は、溶接電流回路とその制御部とから基本的に構成されている。溶接電流回路は、整流器1、インバータ制御回路2、変圧器3、整流器4およびリアクタ5から構成され、制御部は、第1および第2の出力制御回路12,13、パルス切替器11、短絡検出回路14、PWM制御回路10およびCPU16から構成されている。
前記溶接電流回路では、商用交流30が整流器1により直流に変換され、インバータ制御回路2により交流出力に変換される。インバータ制御回路2から出力される高周波交流出力は、変圧器3により溶接に適する電圧に降圧され、整流器4により整流される。整流器4により整流された直流出力は、リアクタ5により平滑されて溶接ワイヤ6と母材9に供給され、ワイヤ送給ローラ7によって送給される溶接ワイヤ6と母材9との間にアーク8が形成される。リアクタ5にはインダクタンスL2の二次巻線5aが設けられている。インバータ制御回路2はPWM制御回路10によって駆動され、PWM制御回路10は後述するCPU16の出力制御プログラムに基いて制御される。
制御部には、前述のように第1および第2の出力制御回路12,13が設けられている。第1の出力制御回路12は基準パルスの波形を規定する回路であり、第2の出力制御回路13は制御パルスの波形を規定する回路である。第1の出力制御回路12は、CPU16から入力される基準ピーク電圧値、基準ベース電圧値、基準ピーク期間、基準べース期間を規定する制御信号をパルス切替器11に入力する。第2の出力制御回路13は、CPU16から入力される制御ピーク電圧値、制御ベース電圧値、制御ピーク期間、制御べース期間を規定する制御信号をパルス切替器11に入力する。切替器11はCPU16からの指令に応じて第1または第2の出力制御回路12,13のいずれかを選択し、PWM制御回路10に接続する。
短絡検出回路14はCPU16からの指令信号に基づき、後述する継続基準パルス期間Tdを除く基準ベース期間Tb1における二次巻線5aの端子間電圧e2(ただし、e2=−L2(di/dt)である。)の値を調べ、端子間電圧e2が負の場合は、短絡が発生したと判定する。この場合、短絡発生信号を直ちにCPU16に出力するように構成しても良いが、この実施形態における短絡検出回路14は以下のように動作する。
すなわち、短絡検出回路14は、基準パルス期間における予め定める期間(例えば、200ms。以下、「短絡評価期間Tk」という。)中に発生する短絡発生時間の平均値T(短絡評価期間Tk内に発生した短絡時間の積算値/短絡評価期間Tk)が予め定める判定時間Tjより大きくなった場合に、短絡が発生したものとして短絡検出信号をCPU16に出力する。
このように、短絡発生時間の平均値Tを短絡検出信号として利用すると、短絡が発生する度に短絡発生と判定する場合に比べて安定な制御を行うことができる。
なお、短絡時に端子間電圧e2が負になるのは、短絡が発生すると溶接ワイヤ6と母材9との間に短絡解放電流が流れるため、電流値が増加してdi/dtが正の値になるからである。また、制御パルス期間における端子間電圧e2を測定しないのは、制御パルス電流の立上り期間においても端子間電圧e2が正の値となるためである。
ワイヤ送給制御回路15は、CPU16からの指令信号に基いてワイヤ送給ローラ7を駆動する。なお、この実施形態におけるて溶接ワイヤの8の送給速度は一定である。
パーソナルコンピュータ17は、RS232Cを利用して、出力制御に必要な各種制御パラメータの設定値をCPU16へ入力する。
図3は、本実施形態に係るパルスアーク溶接装置の動作手順を示すフローチャートである。
まず、基準パルスの固定パラメータである基準ピーク電圧Vp1、基準ベース電圧Vb1および基準ピーク期間Tp1を設定した後(図中の手順S10)、ワイヤ送給速度WFと基準パルスの平均アーク電圧を規定するパラメータである基準ベース期間Tb1を設定する(S20)。
そして、短絡が生じない場合にアーク電圧を自動的に低減させる短絡促進制御のパラメータである短絡促進Tb1増加率α(ただし、α≧0)、および最大基準パルス溶接期間Tmaxを入力する(S30、S40)。なお、短絡促進制御の詳細については後述する。
続いて制御パルスの固定パラメータである制御ピーク電圧Vp2、制御ベース電圧Vb2および制御ピーク期間Tp2を設定した後(S50)、制御パルスの平均アーク電圧を規定するパラメータである制御ベース期間Tb2を設定する(S60)。
また、制御パルス発生期間Tcを規定する制御パルス発生数Ncを入力すると共に(S70)、短絡検出後も基準パルスの出力を継続する継続基準パルス期間Tdを規定する継続基準パルス数ndを入力する(S80)。この結果、継続基準パルス期間Tdはnd(Tp1+Tb1)として、制御パルス発生期間TcはNc(Tp2+Tb2)として与えられる。
このように、継続基準パルス期間Tdおよび制御パルス発生期間Tcを、それぞれのパルス周期の個数ndおよびNcを用いて設定すると、パルス波形を変化させる時期をパルス周期の完結点であるそれぞれのベース期間終了時に合わせることができ、パルス波形の変化に伴う溶滴移行の乱れなどを抑制することができる。
次に、短絡を評価するための短絡評価期間Tkと制御パルスへ移行を指令するためのしきい値とする短絡判定時間Tjを入力する(S90)。
以上で制御パラメータの設定が終了する。
以下、起動信号の入力を監視し(S100)、ONの場合はS110の処理を行い、OFFの場合はS240の処理を行う。
S110では溶接が既に開始されているかどうかを判定し、溶接が既に開始されている場合はS180の処理を行い、溶接が開始されていない場合はS120の処理を行う。
S120では基準パルス溶接期間カウンタT0、短絡発生時間の平均値T、継続パルス数カウンタnおよび制御パルス数カウンタNを初期化し、溶接開始制御シーケンスに従ってアークを発生させ(S130)、S10およびS20で設定されたパラメータに従った基準パルス溶接を開始する(S140)。
基準パルス溶接が開始されると、基準パルスのみの溶接(制御パルスなし)かどうかを判定し(S150)、制御パルスなしの場合はS100の処理を行い、制御パルスありの場合はS160の処理を行う。
S160では基準パルス溶接期間カウンタT0が最大基準パルス溶接期間Tmaxを超えていないかどうかを判定し、基準パルス溶接期間カウンタT0が最大基準パルス溶接期間Tmaxを超えていない場合はS100の処理を行う。また、基準パルス溶接期間カウンタT0が最大基準パルス溶接期間Tmaxに達した場合は、S30で設定された短絡促進Tb1増加率αを用いて、基準パルス溶接のベース期間Tb1をTb1(1+α)に変更して基準パルス溶接の平均アーク電圧を低下させた後(S170)、S100の処理を行う。なお、短絡促進Tb1増加率αの設定が0の場合は、S170の短絡促進制御は事実上実行されないこととなる。
S180では、制御パルスのあり/なしを判定し、制御パルスなしの場合はS140の処理を行い、制御パルスありの場合はS190の処理を行う。
S190では短絡発生時間の平均値Tと短絡判定時間Tjとを比較し、短絡発生時間の平均値Tが短絡判定時間Tjを超えていない場合はS140の処理を行い、その他の場合はS200の処理を行う。
なお、短絡発生時間の平均値Tが短絡判定時間Tjに達しても、そのタイミングがパルス期間あるいはベース期間などパルス周期の途中である場合は、そのパルス周期中は継続パルス数カウンタnの作動を停止させ、次のパルス周期開始と同時に継続パルス数カウンタnを動作させる。
S200では継続パルス数カウンタnのカウントを開始し、継続パルス数カウンタnが継続基準パルス数ndに到達すると、溶接条件を制御パルス条件に切り替え、S50およびS60で設定されたパラメータに従った制御パルス溶接を行うと共に(S210)、制御パルス数カウンタNのカウントを開始する(S220)。そして、制御パルス数カウンタNが制御パルス数Ncに到達すると、4種類のカウンタ(T0、T、nおよびN)をクリアして(S230)、S140の処理を行う。
また、S240では溶接終了処理を行うかどうかを判定し、溶接終了処理を行う場合は溶接終了制御シーケンスに従って溶接を終了し(S250)、溶接が継続されている場合はS10へ戻り、S10からS90で設定された制御パラメータの設定値に変更がないかどうかを監視する。
次に、S170における処理である短絡促進制御についてさらに説明する。
図4は、短絡促進制御の動作の一例を示すタイムチャートである。
基準パルス溶接のベース期間をTb1からTb1(1+α)へ増加させると、基準パルス溶接の平均アーク電圧はΔVavだけ低下し、溶接ワイヤの先端と母材とが接近するので、短絡が発生しやすくなる。平均アーク電圧をΔVav低下させた後、次の最大基準パルス溶接期間Tmaxが経過しても短絡が発生しない場合は、再度ベース期間を(1+α)倍に増加させて平均アーク電圧を低下させる。以下、短絡が検出されるまでこの動作を繰返し、短絡が検出されると短絡促進制御は停止される。
以上、アーク電圧の初期設定が高すぎて短絡が発生しない場合について述べたが、反対にアーク電圧の初期設定が低すぎて過大な短絡が発生する場合がある。
以下、アーク電圧の初期設定が低すぎた場合にアーク電圧を補正する短絡軽減制御ついて説明する。
図5は短絡軽減制御を行う場合の手順を示すフローチャートであり、上記図3に示した手順に追加される手順である。
図3に示したフローチャートに対して、同図(a)に示すように、短絡軽減Tb1減少率β(ただし、β≧0)を設定するためのS35をS30とS40との間に追加する。また同図(b)示すように、短絡軽減判定期間Tjmaxを設定するS95をS90とS100との間に追加する。さらに、同図(c)に示すように、S193とS197を、S190とS200との間に追加する。以下、同図(c)により、短絡軽減制御を行う場合の手順について説明する。
図5(c)において、短絡発生時間の平均値Tを短絡軽減判定時間Tjmaxと比較し(S193)、短絡検出時間の平均値Tが短絡軽減判定時間Tjmaxよりも短い場合はS100の処理を行い、短絡検出時間の平均値Tが短絡軽減判定時間Tjmax以上である場合は、S35で設定された短絡軽減Tb1減少率βを用いて、基準パルス溶接のベース期間Tb1をTb1(1−β)に変更して基準パルス溶接の平均アーク電圧を上昇させた後(S197)、S100の処理を行う。なお、短絡軽減Tb1減少率βの設定が0の場合は、S197の短絡促進制御は事実上実行されないこととなる。
図6は、短絡軽減制御の動作の一例を示すタイムチャートである。
アーク電圧の初期設定が低すぎてアーク起動直後から短絡を生じる場合、短絡評価期間Tkにおける短絡検出時間の平均値Tが短絡軽減判定時間Tjmax以上を超えるので、ベース期間Tb1を短絡軽減Tb1減少率βだけ減少させて平均アーク電圧をΔVav2増加させる。平均アーク電圧をΔVav2増加させた後、次の短絡評価期間Tkにおける短絡検出時間の平均値Tが短絡軽減判定時間Tjmax以上を超える場合は、再度ベース期間をTb1(1−β)に変更して基準パルス溶接の平均アーク電圧をΔVav2上昇させる。以下、短絡評価期間Tkにおける短絡検出時間の平均値Tが短絡軽減判定時間Tjmax未満になるまでこの動作を繰返す。
なお、図7に示すように、制御パルス溶接から基準パルス溶接に移行した後に、短絡を検出しない短絡検出無効期間Txを設けるようにしてもよい。このように短絡検出無効期間Txを設けると、パルス電流波形の切り替えに伴う不安定現象が発生しても、その影響を受けることがない。
以上説明したように、この実施形態では、継続基準パルス期間Tdを除く基準ベース期間Tb1に発生する短絡を検出し、継続基準パルス期間Tdおよび制御パルス溶接期間Tcは短絡を検出しないように構成したので、安定な制御を行うことができる。
また、短絡評価期間Tk中に発生する短絡発生時間の平均値Tにより短絡を評価するようにしたので、短絡の発生信号そのものを短絡検出信号として利用する場合に比べて、安定な制御を行うことができる。
なお、短絡評価期間Tk中に発生する短絡発生時間の平均値Tを短絡判定時間Tjと比較するようにしたが、短絡評価期間Tk中に発生する短絡発生時間の積分値を短絡判定時間Tjと比較するようにしてもよいことは言うまでもない。
図8および図9は、本実施形態に係るよるパルスアーク溶接装置を用いて溶接をした結果の一例を示す図であり、上段は短絡検出の有無を、下段は電圧波形(電流波形)を示している。
ここで、図8は制御パルス数Ncを5に固定して継続基準パルス数Ndを1〜7の間で変化させた場合を、図9は継続基準パルス数Ndを1に固定して制御パルス数Ncを0〜10の間で変化させた場合を、それぞれ示している。
なお、溶接条件は下記(1)〜(5)に示す通りである。
(1)溶接ワイヤ:JIS YGW17ソリッドワイヤ
(2)シールドガス:Ar+20%CO2
(3)基準パルス溶接条件:
・ピーク電圧Vp1:40V
・ベース電圧Vb1:10V
・ピーク期間Tp1:17ms
・ベース期間Tb1:48ms
(4)制御パルス溶接条件:
・ピーク電圧Vp2:48V
・ベース電圧Vb2:10V
・ピーク期間Tp2:1.1ms
・ベース期間Tb2:32ms
(5)ワイヤ送給速度WF:6m/min
いずれの場合も溶融池金属の振動周波数を適切に制御することができ、良好な溶接結果を得ることができた。
以上説明したように、本実施形態では、基準パルス溶接の平均アーク電圧を微小短絡が発生する程度に設定し、溶接期間中に短絡が検出されたら制御パルスを発生させるようにしたので、制御パルスへ移行するまでの時間、制御パルスの発生個数、制御パルスパラメータ、基準パルスパラメータおよび基準パルスの平均アーク電圧などの設定値を変えてアーク圧力を変化させることにより、溶融池金属の振動周波数などを任意に制御することができる。
また、短絡判定時間Tjの値を変化させることによって、比較的アーク電圧が高く微小短絡しか発生しない状態、あるいは比較的アーク電圧が低くやや大きい短絡が発生する状態など、制御パルスを発生させる時期を広範囲に選択することができる。
さらに、次の再アーク起動時の平均アーク電圧(ベース期間Tb1)の初期値は、上記短絡促進制御あるいは短絡軽減制御によって定められた最終の値を選択するか、それとも短絡促進制御・短絡軽減制御を行う前の設定値とするかを選択できるようにしておくと便利である。
本発明の実施形態に係るパルスアーク溶接方法を行う場合の出力波形を模式的に示す図である。 本発明の実施形態に係るパルスアーク溶接装置の構成図である。 本発明の実施形態に係るパルスアーク溶接装置の動作手順を示すフローチャートである。 短絡促進制御の動作の一例を示すタイムチャートである。 短絡軽減制御を行う場合の手順を示すフローチャートである。 短絡軽減制御の動作の一例を示すタイムチャートである。 本発明の実施形態の変形例を示すタイムチャートである。 本発明の実施形態に係るパルスアーク溶接装置を用いて溶接をした結果の一例を示す図である。 本発明の実施形態に係るパルスアーク溶接装置を用いて溶接をした結果の一例を示す図である。
符号の説明
1 整流器
2 インバータ制御回路
3 変圧器
4 整流器
5 リアクタ
6 溶接ワイヤ
9 母材
11 切替器
12 第1の出力制御回路(基準パルス出力制御回路)
13 第2の出力制御回路(制御パルス出力制御回路)
14 短絡検出回路
15 ワイヤ制御制御回路
16 CPU
Tc 制御パルス溶接期間
Td 継続基準パルス期間
Tjk 短絡評価期間
Tj 判定時間

Claims (7)

  1. 基準パルス溶接を行う場合の基準パルス溶接条件と、制御パルス溶接を行う場合の制御パルス溶接条件と、継続基準パルス期間と、制御パルス溶接期間と、を定めておき、
    前記基準パルス溶接条件で溶接される基準パルス溶接期間中にワイヤと母材の短絡が検出された場合は、短絡発生から前記継続基準パルス期間経過後、溶接条件を前記制御パルス溶接条件に切り替え、前記制御パルス溶接期間経過後、溶接条件を前記基準パルス溶接条件に切り換えるようにして、溶接ワイヤと母材との間にパルス電流とベース電流を交互に供給して溶接を行うパルスアーク溶接方法において、
    前記基準パルス溶接期間の最大値を最大基準パルス溶接期間として定めておき、
    前記最大基準パルス溶接期間が経過しても短絡が発生しない場合は、前記基準パルス溶接条件において前記ベース電流を供給するベース期間を予め定める量(≧0)だけ増加させること
    を特徴とするパルスアーク溶接方法。
  2. 短絡を評価するための短絡評価期間を定めておき、前記短絡評価期間中に発生する短絡
    評価期間内に発生した短絡時間の積算値/短絡評価期間で定義される短絡発生時間の平均
    値が予め定める判定時間より大きくなった場合に短絡と判定することを特徴とする請求項
    1に記載のパルスアーク溶接方法。
  3. 前記短絡が検出された場合、
    のパルス周期の開始を待って前記継続基準パルス期間の計時を開始することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパルスアーク溶接方法。
  4. 前記継続基準パルス期間と前記制御パルス溶接期間を、パルス周期の個数で設定するこ
    とを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のパルスアーク溶接方法。
  5. 前記継続基準パルス期間の計時が開始されてから少なくとも前記制御パルス溶接期間が
    経過する迄は、短絡を検出しないことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記
    載のパルスアーク溶接方法。
  6. 前記短絡発生時間の平均値が予め定める短絡軽減判定時間以上の場合は、前記基準パルス溶接条件において前記ベース電流を供給するベース期間を予め定める量(≧0)だけ減少させることを特徴とする請求項に記載のパルスアーク溶接方法。
  7. 基準パルス溶接を行う場合の基準パルス溶接条件と、制御パルス溶接を行う場合の制御パルス溶接条件と、継続基準パルス期間と、制御パルス溶接期間と、を定めておき、前記基準パルス溶接条件で溶接される基準パルス溶接期間中にワイヤと母材の短絡が検出された場合は、短絡発生から前記継続基準パルス期間経過後、溶接条件を前記制御パルス溶接条件に切り替え、前記制御パルス溶接期間経過後、溶接条件を前記基準パルス溶接条件に切り換えるようにして、溶接ワイヤと母材との間にパルス電流とベース電流を交互に供給して溶接を行うパルスアーク溶接装置において、
    前記基準パルス溶接期間の最大値を最大基準パルス溶接期間として定めておき、
    前記最大基準パルス溶接期間が経過しても短絡が発生しない場合は、前記基準パルス溶接条件において前記ベース電流を供給するベース期間を予め定める量(≧0)だけ増加させる制御手段を備えていること
    を特徴とするパルスアーク溶接装置
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