JP4397358B2 - 光変調装置及び光変調器の制御方法 - Google Patents
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Description
・直接変調方式光通信システムにおける電気−光変換回路としては、強度変調−直接検波方式(直接変調方式)が最も簡易な方式である。この方式は、半導体レーザに流れる電流をデータ信号の"0"、"1"により直接オン/オフして光の発光/消光を制御するものである。しかし、レーザ自身を直接オン/オフすると半導体の性質で光信号に波長変動(チャーピング)が生じる。波長変動はデータ伝送速度(ビットレート)が速くなる程、悪影響を与える。これは波長が違うと伝搬速度が変化するという波長分散の性質がファイバにあるためであり、直接変調により波長変動が生じると伝搬速度の遅速が生じ、ファイバを伝搬する間に波形が崩れ、長距離伝送、高速伝送が困難となる。
図中、1は1Gbps以上の長距離伝送に用いられる分布帰還型半導体レーザ(DFB-LD)、2はMZ型光変調器、3a、3bは光ファイバである。MZ型変調器2は透明なLiNbO3基板上に、(1) レーザダイオード1からの光信号を導く入力光導路2aと、(2) 分岐光導路2b,2cと、(3) 変調光を出力する出力光導路2dが形成されると共に、(4) 分岐した両側の光導路2b,2cの光信号に位相変調を与える二つの信号電極2e,2fと、(5) 一方の信号電極2eにNRZの電気駆動信号を入力する信号入力端子2gが形成されている。
MZ型光変調器1の電極間印加電圧と光出力特性は(b)に示すように印加電圧に応じて周期的に変化する特性を有している。Aは発光の頂点、Bは消光の頂点であり、1周期の電圧幅は2Vπである。従って、データが"1"のとき信号電極2e,2f間に振幅Vπの電圧を入力することにより発光し、データが"0"のとき信号電極2e,2f間に電圧0を入力することにより消光する。
低周波重畳回路6はMZ型光変調器2の駆動信号を低周波数f0の信号で振幅変調し、受光器8は光変調器2の出力光を電気信号に変換し、位相比較器10は駆動信号に与えた低周波信号と光信号に含まれる低周波信号成分との位相比較を行い、バイアス供給回路12は位相差θが零となるように信号電極に印加するバイアス電圧を制御する。
一方、特性曲線がaからbあるいはcに示すように左または右にずれると(動作点が左右にずれると)、光出力の上下包絡線ELU,ELLが共に同位相で変調された信号となり、かつ、f0成分を含む信号となる。又、特性曲線bと特性曲線cとでは出力光の上下の包絡線ELU,ELLの位相が反転する。
以上より、駆動信号にかけた低周波信号SLFと光信号中に含まれる低周波信号成分の位相を比較することにより、動作点の変動方向を検出することができ、該位相差が零となるようにバイアス電圧制御を行うことができる。
時分割(TDM)方式によって大容量化を図る場合、波長分散(GVD)が伝送距離を制御する要因になる。分散耐力はデータ伝送速度(ビットレート)の二乗に反比例するために、10 Gb/sシステムにおいて約800ps/nmであった分散耐力が、40 Gb/sシステムにおいては、1/16の約50 ps/nmと厳しくなる。波長分散による波形劣化を低減する方法の一つとして、光デュオバイナリ変調方式が考えられている(例えば A.J.Price et al.,"Reduced bandwidth optical digital intensitymoudulation with improved chromatic dispersion tolerance",Electron.Lett.,vol.31,No.1,pp.58-59,1995)。
図37において、1は半導体レーザ(DFB-LD)、2はMZ型光変調器であり、両側光導路の光信号にそれぞれ位相変調を与える2つの信号電極と各々の信号電極に相補的な駆動信号を入力する駆動信号入力端子を備えている。
21は40Gb/sの2値のNRZ電気入力信号を符号化するプリコーダ、22はプリコーダ出力を40GHzのクロックで打ち抜いて記憶し、非反転信号D及び反転信号*Dを出力するD-FF(D型フリップフロップ)、23a,23bはD-FFの出力位相を調整する位相調整部、24a,24bは振幅調整部、25a,25bはビットレート(=40Gb/s)の1/4程度の帯域を有する電気の低域透過フィルタ、26a,26bはバイアス調整回路(バイアスティ)、27a,27bは終端器である。プリコーダ21によって符号化された2値のNRZ電気入力信号を低域フィルタ25a,25bを透過することで符号が反転した3値の電気信号S1,S2にし、更に、これらをバイアス調整回路26a,26bを通すことで、相補的な3値の電気駆動信号(プッシュプル信号)S1′,S2′を発生してMZ型光変調器2の2つの対称信号電極に印加する。
(1) bn="0"ならcn=cn-1(符号不変)
(2) bn="1"ならcn=1−cn-1(符号反転)
となる。
(3) プリコーダの出力cnが"0"の連続になる場合("00"符号不変)、低域透過フィルタ25aの出力は0.0レベルになる。
(4) プリコーダの出力cnが"1"の連続になる場合("11"符号不変)、低域透過フィルタ25aの出力は1.0レベルになる。
(5) プリコーダの出力cnの符号が反転する場合("01"又は"10")、低域透過フィルタ25aの出力は0.5レベルになる。
(1)入力データが anが"1"でMZ型光変調器2の信号電極間に2Vπまたは0が入力すると"1"が出力し(発光)、
(2)入力データがanが"0"でMZ型光変調器2の信号電極間にVπが入力すると"0"が出力する(消光)。
光デュオバイナリ変調方式は、前述のように従来のNRZ変調方式に比べ、光信号スペクトルの帯域幅が約半分になるという特徴があり、波長分散による影響を低減することができる。
また、光デュオバイナリ変調方式によれば波長多重(WDM)方式において、より高密度にチャネルを配置することができる。すなわち、波長多重(WDM)技術によって大容量化を図る場合、光増幅器が増幅できる波長帯域幅が制限要因の一つとなる。しかし、光デュオバイナリ変調方式を用いれば、その光信号スペクトルの狭帯域性を利用することができ、光増幅器の増幅帯域幅内に、より高密度にチャネルを配置することができる。
このため、光デュオバイナリ変調方式においても、NRZ変調方式と同様に動作点変動に応じてバイアス電圧を制御する必要がある。しかし、NRZ変調方式による動作点補償方式をそのまま光デュオバイナリ方式に適用すると以下の問題が生じる。図40はNRZ変調方式による動作点補償方式をそのまま光デュオバイナリ方式に適用した場合の説明図である。
また、別の問題として、従来のABC制御方法は、片側駆動構成のマッハツェンダ型光変調器を用いることを想定しており、光デュオバイナリ方式やNRZ方式、RZ方式において両側駆動構成の光変調器を用いる場合の動作点設定に関しても考慮する必要がある。
(1) 駆動信号の上下の包絡線の位相が一致するように該駆動信号に低周波信号を重畳する、
(2) 駆動信号の上または下のいずれかの包絡線のみ変化するように該駆動信号に低周波信号を重畳する、
(3) 駆動信号の上下の包絡線の振幅が異なるように低周波信号を該駆動信号に重畳する、
(4) 駆動信号の上下の包絡線の周波数が異なるように低周波信号を該駆動信号に重畳する、
(5) 駆動信号の上下の包絡線の位相が異なるように該駆動信号に低周波信号を重畳する、などの方法がある。
(1)NRZ方式、RZ方式において両側駆動構成の光変調器を用いる場合であっても、簡単な構成で、光変調器から出力する光信号より低周波信号成分を検出して、変調器の電圧対光出力特性の変動に伴う動作点変動を補償することができる。すなわち、電圧対光出力特性の発光の頂点とそれに隣接する消光の頂点の間の振幅Vπを有する駆動信号で光変調器を駆動する際、振幅Vπ/2の相補的な2つの駆動信号を発生し、これら駆動信号で光変調器をプッシュプル駆動するため、、光変調器から出力する光信号より低周波信号成分を確実に検出して動作点変動を補償することができ、しかも、波長変動を減少することができる。
(2) 光変調器の電圧対光出力特性において変調に用いる範囲をシフト可能なように構成することにより、波長変動(チャーピング)を伝送に有利な方向に設定し、あるいは、電圧対光出力特性曲線の形状のうち適正の形状範囲を選択して光変調器を駆動することができる。
(3) 光変調器の電圧対光出力特性上の動作点を所定の初期値に設定可能なように構成することにより、運用開始時や、運用中に動作点変動が大きくなってバイアス電圧が許容範囲以上に大きくなった時、強制的にバイアス点を零に設定し直して再起動することができる。
(5) 分岐された各両側光導路の中央部に半波長板を挿入することにより、任意の偏光に対しても変調ができる。
(6) 光変調器から出力する光信号から前記重畳した周波数f0の低周波信号成分を検出する代わりに、周波数2・f0の周波数信号成分を検出して光変調器の動作点変動を制御するようにもできる。すなわち、動作点変動が零であれば、周波数2・f0の信号成分が最大になるから、該信号成分が最大になるように制御すれば、光変調器の電圧対光出力特性の変動に伴う動作点変動を補償することができる。
(a)概略構成
図1は本発明の光変調装置の第1の概略構成図であり、51は半導体レーザ(DFB-LD)、52は電圧対光出力特性が周期的に変化する光変調器(例えばMZ型光変調器)、53は光変調器の電圧対光出力特性の二つの発光の頂点A,Aまたは二つの消光の頂点B,Bの間の振幅2・Vπで駆動する電気駆動信号を生成する駆動信号発生部、54は所定の低周波信号を発生する低周波発振器、55は該低周波信号を駆動信号SDに重畳する低周波重畳部、56は光変調器52から出力される光信号を分岐する光分岐器、57は光変調器から出力される光信号に含まれる前記低周波信号成分を検出し、該低周波信号成分に基づいて光変調器の動作点変動を検出する低周波信号検出部、58は光変調器の動作点変動の方向に応じて該光変調器のバイアス電圧を制御して動作点位置を制御する動作点制御部である。
低周波信号を駆動信号に重畳する方法としては、
(1) 駆動信号(入力電気信号)SDの上下の包絡線の位相が一致するように該駆動信号に低周波信号を重畳する第1の方法(図2)、
(2) 駆動信号の上または下のいずれかの包絡線のみ変化するように該駆動信号に低周波信号を重畳する第2の方法(図3)、
(3) 駆動信号の上下の包絡線の振幅が異なるように低周波信号を重畳する第3の方法(図4)、
(4) 駆動信号の上下の包絡線の周波数が異なるように低周波信号を重畳する第4の方法(図5)、
(5) 駆動信号の上下の包絡線の位相が異なるように低周波信号を重畳する第5の方法(図6)、がある。
以上では光変調器を規定しなかったが、光変調器52として、(1) LiNbO3基板上に形成され、光入力側で分岐し、また、光出力側で結合する光導路52a,52bと、(2) 分岐した両側の光導路の光信号に位相変調を与える二つの信号電極52c,52dと、(3) 各々の信号電極に相補的な駆動信号を入力する二つの駆動信号入力端子52e,52fと、(4) バイアス電圧入力端子52gを備えた両側駆動のLN光変調器(MZ型光変調器)を使用する。
かかる両側駆動の光変調器を使用する場合、駆動信号発生部53は光変調器の電圧対光出力特性の発光の頂点Aとそれに隣接する消光の頂点B間の振幅Vπを有し、かつ、互いに相補的な2つの駆動信号(プッシュプル駆動信号)SD,SD′を発生し、低周波重畳部55は少なくとも一方の駆動信号SDに低周波信号SLFを重畳して信号電極52fに入力し、他方の駆動信号SD′を信号電極52cに入力して両側駆動する。尚、両側駆動型光変調器をNRZ変調方式、RZ変調方式等に用いる場合にも、前述の低周波信号重畳方法を適用できる。
(a)第1実施例
図7は第1実施例の光変調装置の構成図であり、光変調器として両側駆動のLN変調器(MZ型光変調器)を用いると共に、該光変調器に印加する電気駆動信号のオン側とオフ側の包絡線が同位相になるように低周波変調を行う例である。図8は図7の各部の信号波形図である。
図7において、51は半導体レーザ(DFB-LD)、52は電圧対光出力特性が周期的に変化するMZ型光変調器である。このMZ型光変調器52において、52a,52bはLiNbO3基板上に形成され、光入力側で分岐し、また、光出力側で結合する光導路、52c,52dは分岐した両側の光導路の光信号に位相変調を与える2つの信号電極、52e,52fは各々の信号電極に相補的な駆動信号を入力する駆動信号入力端子、52g,52hは信号電極にバイアス電圧を入力するバイアス電圧入力端子である。
第1実施例において光変調器52に印加する変調器駆動電圧の振幅は2・Vπ(電圧対光出力特性の2つの発光の頂点A,A間の電圧)である。このため、駆動回路61,62から出力する互いに反転した振幅Vπの駆動信号(図8の(a),(d)参照)を光変調器52に入力するプッシュプル変調を行う。このプッシュプル変調により光変調信号の波長変動(チャーピング)を零にし、伝送波形劣化を小さくできる。
容量C1,C2,C3は、光変調器の信号電極に与えるバイアス電圧をこの位置で遮断するものである。但し、容量C3は低周波信号SLFが透過できるよう、充分大きな値にする必要がある。
以上、図7では駆動回路61のみに低周波重畳を行う方法を示したが、駆動回路61,62から出力する駆動信号に同時に逆位相で同様の低周波振幅変調を行うことも可能である。この場合、図8の(d)-(f)で示す光変調器印加電圧の低周波変調振幅は2倍になる。
(1) 低周波発振器54の出力とバイアス供給回路58の出力端子を接続してバイアス電圧Vb1を周波数f0の低周波信号で変化する点、
(2) バイアス重畳回路55を介して低周波信号で振幅が変化するバイアス電圧Vb1を光変調器52の信号電極52cに入力している点である。
なお、容量C1,C2,C3は、光変調器の信号電極に与えるバイアス電圧をこの位置で遮断して駆動回路や低周波発振器に入力するのを防止するものである。
図9の構成でも各部の信号波形は図10に示すように第1実施例の波形と同じになる。すなわち、振幅2・Vπを有し、オン側、オフ側の包絡線EU,ECが共に周波数f0の低周波で、かつ、同位相で変調された変調器駆動電圧(図10の(d)-(f)参照)が光変調器52に印加する。以後の動作点制御は第1実施例と同じである。
図11において、第1実施例と異なる点は、
(1) 低周波発振器54の出力とバイアス供給回路58の出力端子を接続してバイアス電圧Vb1を周波数f0の低周波信号で変化する点、
(2) 電極52c,52dをそれぞれ駆動信号用とバイアス電圧用の電極52c1,52c2;52d1,52d2に分離している点、
(3) 信号用電極52c1,52d1に駆動回路61、62から出力する駆動信号を入力している点、
(4) バイアス重畳回路55を介して低周波信号で振幅が変化するバイアス電圧Vb1を光変調器52のバイアス電圧用電極52c2に入力し、バイアス電圧Vb2(=0)をバイアス電圧用電極52d2に入力し定る点、
(5) 容量C1,C2を削除した点、
である。
尚、図11では第1変形例(図9)の構成において、電極を駆動信号用とバイアス電圧用に分離した場合であるが、図7の第1実施例の構成において、電極を駆動信号用とバイアス電圧用に分離することもできる。
図13は第2実施例の光変調装置の構成図、図14は図13の各部の信号波形図である。第2実施例は第1実施例と低周波信号を重畳する方法が異なるが、図13の第2実施例において図7の第1実施例と同一部分には同一符号を付している。
第1実施例では、光変調器52の入力端に低周波重畳回路55を設け、駆動信号SDの中心電圧を低周波信号で変化させる構成になっているが、第2実施例では駆動回路61,62の利得を低周波信号で変化させることにより、駆動信号を低周波信号で振幅変調する構成になっている。
図13において、51は半導体レーザ(DFB-LD)、52はMZ型光変調器、53は駆動信号発生部で、振幅Vπを有し、かつ、互いに相補的な2つの駆動信号(プッシュプル駆動信号)SD,SD′(図14の(a),(e))を発生する。54は周波数f0の低周波信号SLFを発生する低周波発振器、55′は振幅変調信号発生部で、低周波信号SLFを入力され、位相が1800ずれた2つの振幅変調信号SAM1,SAM2(図14の(c),(f))を発生する。振幅変調信号発生部55′は駆動信号に低周波信号を重畳する低周波重畳手段としての機能を有している。
尚、図14において"1","0"は入力電気信号の論理に対応する。プッシュプル駆動のため、駆動信号(d)が"1"の瞬間に駆動信号(g)も"1"になるため、(d)-(g)の包絡線EUはd1-g1となる。同様に、駆動信号(d)が"0"の瞬間に駆動信号(g)も"0"になるため、(d)-(g)の包絡線ELはd0-g0となる。(e)は(a)の反転信号である。
図15において、第2実施例と異なる点は、
(1) 電極52c,52dをそれぞれ駆動信号用とバイアス電圧用の電極52c1,52c2;52d1,52d2に分離している点、
(2) 信号用電極52c1,52d1に駆動回路61、62から出力する駆動信号を入力している点、
(3) バイアス電圧Vb1(=Vb),Vb2(=0)を光変調器52のバイアス電圧用電極52c2に入力し、バイアス電圧Vb2(=0)をバイアス電圧用電極52d2に入力している点、
(4) 容量C1,C2を削除した点、
である。
図17は第3実施例の光変調装置の構成図であり、図13の第2実施例と同一部分には同一符号を付している。第2実施例では駆動信号SD,SD′の両方を低周波信号で振幅変調し、これにより変調器駆動電圧のオン側及びオフ側を同位相の低周波信号で変調する。第3実施例では駆動信号SD,SD′の一方のみ低周波信号で振幅変調し、これにより変調器駆動電圧のオン側あるいはオフ側の一方のみ低周波信号で変調する。
図17において、図13の第2実施例と異なる点は、周波数f0の低周波信号SLFを振幅変調信号SAM1として駆動回路61のゲイン制御端子に入力し、駆動回路62のゲインは制御していない点である。振幅変調信号SAM1を駆動回路61のゲイン制御端子に入力すると該駆動回路の利得が変化する。この結果、駆動回路61は図18の(c)で示すような駆動信号を出力する。一方、駆動回路62はゲインが一定であるため、バイアス電圧Vb2(=0)を中心とする図18の(e)で示す駆動信号を出力する。この結果、光変調器52に印加する変調器駆動電圧は両電極52c,52dに与える電位差(図18の(c)-(e))となり、図3の原理図で示す波形となる。従って、以後、光変調器52から出力する光信号に含まれる周波数0の低周波信号成分が零となるように動作点制御を行う。
図19は第4実施例の光変調装置の構成図であり、図13の第2実施例と同一部分には同一符号を付している。第2実施例では駆動信号SD,SD′を低周波信号SAM1及びその反転信号SAM2でそれぞれ変調し、これにより変調器駆動電圧のオン側及びオフ側を同位相の低周波信号で変調する。第4実施例では駆動信号SD,SD′を振幅の異なる同一位相の低周波信号SAM1,SAM2により振幅変調し、これにより変調器駆動電圧のオン側、オフ側を同位相で、振幅の異なる低周波信号で変調する。
(1) 振幅変調信号発生部55′に変えて、ゲインの異なるアンプで構成した第1、第2の振幅変調信号発生部55a,55bを設け、それぞれに低周波信号SLFを入力した点、
(2) 第1の振幅変調信号発生部55aから出力する振幅変調信号SAM1を駆動回路61のゲイン制御端子に入力し、第2の振幅変調信号発生部55bから出力する振幅変調信号SAM2を駆動回路62のゲイン制御端子に入力した点である。
駆動回路61,62に与える振幅変調信号SAM1,SAM2を図20の(c)および(f)に示すように振幅変えることによって、各駆動回路61,62は図20の(d)および(g)に示す駆動信号を出力する。この結果、光変調器52に印加する変調器駆動電圧は両電極52c,52dに与える電位差(図20の(d)-(g))となり、図4の原理図で示す波形となる。従って、以後、光変調器52から出力する光信号に含まれる周波数0の低周波信号成分が零となるように動作点制御を行う。
図21は第5実施例の光変調装置の構成図であり、図13の第2実施例と同一部分には同一符号を付している。第2実施例では駆動信号SD,SD′を同一の低周波信号SAM1及びその反転信号SAM2でそれぞれ変調し、これにより変調器駆動電圧のオン側及びオフ側を同位相の低周波信号で変調する。第5実施例では駆動信号SD,SD′を周波数の異なる低周波信号SAM1,SAM2により振幅変調し、これにより変調器駆動電圧のオン側、オフ側を異なる周波数信号で変調する。
(1) 周波数f1,f2の低周波信号をそれぞれ発生する第1、第2の低周波信号発生器54a,54bを設けた点、
(2) 周波数f1の低周波信号SLF1を振幅変調信号SAM1として駆動回路61のゲイン制御端子に入力し、周波数f2の低周波信号SLF2を振幅変調信号SAM2として駆動回路62のゲイン制御端子に入力している点、
(3) 低周波発振器54a,54bから出力する低周波信号SLF1,SLF2と受光信号に応じた電気信号をそれぞれ入力され、受光信号に含まれる周波数f1,f2の低周波信号成分を検出して出力する第1、第2の位相比較器57c1.57c2を設けた点、
(4) 第1、第2の位相比較器57c1.57c2から出力する信号を平滑化するローパスフィルタ57d1,57d2を設けた点、
(5) 受光信号に含まれる周波数f1,f2の低周波成分の平均値を演算してバイアス供給回路58に入力する平均化回路57eを設けた点、
(6) バイアス供給回路58は前記平均値が零となるようにバイアス電圧を制御する点である。
図23は第6実施例の光変調装置の構成図であり、図13の第2実施例と同一部分には同一符号を付している。第2実施例では駆動信号SD,SD′を低周波信号SAM1及びその反転信号SAM2でそれぞれ変調し、これにより変調器駆動電圧のオン側及びオフ側を同位相の低周波信号で変調する。第6実施例では駆動信号SD,SD′を位相の異なる低周波信号SAM1及びその反転信号SAM2でそれぞれ変調し、これにより変調器駆動電圧のオン側及びオフ側を異なる位相の低周波信号で変調する。
(1) 周波数f0の低周波信号SLFを所定時間Tだけ遅延する第1の遅延回路71を設け、この遅延回路71から出力する遅延信号を振幅変調信号SAM2として駆動回路62のゲイン制御端子に入力する点、
(2) 低周波信号SLFを第1の遅延回路71の遅延時間の半分(=T/2)、遅延して位相比較器57cに入力する第2の遅延回路72を設けた点、
(3) 位相比較器57cは遅延差T/2の遅延回路72から出力する低周波信号と光信号中の低周波信号成分との位相比較をすることによって光変調器におけるバイアス点の変化の方向を検知する点である。
例えば、光変調器52のバイアス点が変動すると、その変化方向に応じた位相遅延であって遅延量T/2の低周波信号成分が光信号中に現れる。よって、遅延差T/2の遅延回路72を介して入力する低周波信号と光信号中の低周波信号を位相比較することによって、光変調器におけるバイアス点の変化の方向を検知することができる。
図25は第7実施例の光変調装置の構成図であり、図7の第1実施例と同一部分には同一符号を付している。又、各部の信号波形は図8の第1実施例における信号波形と同じになる。
第1実施例では低周波発振器54で発生した周波数f0と同じ周波数成分を光信号中から検出して動作点制御を行ったが、図2〜図6の原理説明図から分かるように、光変調器の動作点が最適値にあるとき、光信号中に周波数f0の2倍(=2・f0)の低周波信号成分が現われ、該信号成分が最大になる。そこで、第7実施例では、光信号中に含まれるこの周波数2・f0の低周波信号成分を検出し、該信号成分が最大になるように動作点制御を行う。
以上の実施例では、光変調器52の電圧対光出力特性の発光の頂点Aとそれに隣接する消光の頂点B間の振幅Vπを有し、かつ、±Vπの互いに相補的な2つの駆動信号(プッシュプル駆動信号)SD,SD′を発生して両側駆動型光変調器の2つの信号電極に入力し、これにより光変調器に2・Vπの変調器駆動電圧を印加する。
しかし、プッシュプル変調により光変調信号の波長変動(チャーピング)を零にし、伝送波形劣化を小さくする目的であれば、必ずしも光変調器に2・Vπの変調器駆動電圧を印加する必要はない。そこで、第8実施例では振幅Vπ/2の互いに相補的な2つの駆動信号SP,SP′を発生して両側駆動型光変調器の2つの信号電極に入力し、これにより光変調器にVπの変調器駆動電圧を印加してNRZ光信号又はRZ光信号を生成する。
(1) 振幅Vπ/2の互いに相補的な2つの駆動信号SP,SP′を発生するプッシュプル駆動信号発生部74を設けた点、
(2) 低周波重畳回路55において、変調器駆動電圧のオン側とオフ側の包絡線EU,ELの位相が1800ずれるように駆動信号SPに周波数f0の低周波信号を重畳する点(図27の(c)参照)、
(3) 変調器駆動電圧の振幅をVπにし、かつ、該変調器駆動電圧のオン側とオフ側の包絡線EU,ELの位相が1800ずれるようにした点(図27の(d)-(f)参照)、である。
光変調器52の動作点が最適値から変化した場合、光変調器52から出力する光信号中に変化の方向に応じた位相の低周波信号成分が生じるから(図35参照)、以後、該低周波信号成分を打ち消す方向に光変調器のバイアス電圧Vb1を制御する。
以上第8実施例によれば、プッシュプル変調により光変調信号の波長変動(チャーピング)を零にし、伝送波形劣化を小さくでき、しかも、バイアス電圧制御により動作点変動を補償することができる。
又、以上では、変調器駆動電圧のオン側とオフ側の包絡線EU,ELの位相が1800ずれるように駆動信号SPに周波数f0の低周波信号を重畳したが、以下のようにすることもできる。すなわち、
(1) 変調器駆動電圧のオン側とオフ側の包絡線EU,ELのいずれかの包絡線のみ変化するように駆動信号に低周波信号を重畳する、あるいは、
(2) 変調器駆動電圧のオン側とオフ側の包絡線EU,ELの振幅が異なるように駆動信号に低周波信号を重畳する、あるいは、
(3) 変調器駆動電圧のオン側とオフ側の包絡線EU,ELの周波数が異なるように駆動信号に低周波信号を重畳する、あるいは、
(4) 変調器駆動電圧のオン側とオフ側の包絡線EU,ELの位相が異なるように駆動信号に低周波信号を重畳し、光信号から低周波数f0と同じ周波数成分を検出して動作点制御を行う。これら動作点制御に際しては、第2実施例〜第6実施例の構成を適用することができる。
光変調器の電圧対光出力特性は電圧2・Vπを1周期とする周期性を備えている。従って、光変調器の電圧対光出力特性上の駆動範囲を切り換える機能を光変調装置に付加することができる。
例えば、NRZ変調においてVπの駆動振幅で変調を行う場合、図28(a)に示すようにバイアス電圧をVbAとVbBとの間でVπ分シフトさせる機能を光変調装置に付加し、該バイアス電圧のシフトにより、駆動電圧の範囲をAからBに変化させる。この動作点シフトは、両側駆動の光変調器を用いてNRZ信号、RZ信号を生成する第8実施例の光変調装置(図26参照)にも、そのまま適用できる。
以上の動作点切替は、波長変動(チャーピング)を伝送に有利な方向に設定する場合や、電圧対光出力特性曲線の形状が適正な範囲を選択する必要がある場合などに適用でき、外部からの切替信号によって意図的に一定電圧分シフトさせることで実現できる。
動作点切替回路81は外部からの切替信号CSによってバイアス電圧を一定電圧分シフトし、電圧対光出力特性の駆動範囲を切り替えるものである。
動作点リセット回路82は外部からの動作点リセット信号RSにより、強制的にバイアス点を零に設定しなおすものである。(1) システム運用開始時や、(2)システム運用中のバイアス点ドリフトが大きくなって安定化制御された変調器のバイアス電圧が許容範囲以上に大きくなった場合などにおいて、バイアス点をリセットする必要がある。かかる場合、動作点リセット回路82は外部から入力する動作点リセット信号RSにより、強制的にバイアス点を零に設定する。
尚、図29の動作点シフト及び動作点リセットの構成を図26の第8実施例にそのまま適用することができる。
以上の各実施例においては、光変調器の外部に光分岐部56および受光器57aを設けたが、図30(a)に示すように、受光器37aを光変調器52のLiNbO3基板52i内に内蔵させ、光変調器内に生じる放射光強度を検出することで同様の機能を満たすように構成することもできる(ECOC'97vol.2 pp167-170,Y,Kubota et al.,"10Gb/s Ti;LiNb03 Mach-Zehnder modulator with Built-inMonitor Photodiode Chip")。
すなわち、MZ型光変調器52の消光時、分岐光導路52a,52bを伝搬する1800位相のずれた光が結合しても実際には光エネルギーは消えず、光導路の幅でモードの結合が生じ、余剰モードによる放射光が干渉点から光導路の外側に放射する。この放射光は基板を真上から見ると、図30(b)に示すように分岐光導路52a′の延長線方向に放射する。そこで、該延長線方向の所定の位置に孔HLを掘って受光器57aを埋め込み、該受光器に電気配線を行う。このようにすれば、光分岐器や外部の受光器が不要になり構成を簡略化できる。
光源と光変調器の間のファイバ引回しが長い場合や定偏波構成になっていない場合などでは、光変調器が任意の偏波に対して変調を行えるように構成する必要がある。図31はかかる場合に対応できるMZ型光変調器の構成例であり、52a,52bは光変調器内で二つに分岐された光導路、52c,52dは各光導路中の光信号を変調するための電気信号が入力される電極、91、92は光導波路の中央部に挿入された半波長板であり、孔を掘って複屈折性を持つ材質を光導路中に埋め込み、その幅を複屈折による偏波モード間の行路差が信号波長のλ/2となるようにする。
よって、光導路の前半と後半の各々に、必要とされる位相変調量を得るための電極長等の設計を行うことで、任意の偏光が入射した場合においても変調を行うことが可能になる。
以上、本発明を実施例により説明したが、本発明は請求の範囲に記載した本発明の主旨に従い種々の変形が可能であり、本発明はこれらを排除するものではない。
また、本発明によれば、光変調器の電圧対光出力特性上の動作点を所定の初期値に設定可能なように構成したから、運用開始時や、運用中に動作点変動が大きくなってバイアス電圧が許容範囲以上に大きくなった場合、強制的にバイアス点を零に設定しなおして再起動することができる。
また、本発明によれば、光変調器の基板内にフォトダイオードを埋め込んで光導路からの漏れ光を検出し、該検出光より低周波成分を抽出するように構成したから、光分岐器等が不要になり構成を簡単にできる。
また、本発明によれば、分岐された各両側光導路の中央部に半波長板を挿入するように構成したから、任意の偏光に対しても変調ができる。
52 MZ型光変調器
52a,52b 光導路
52c,52d 信号電極
53 駆動信号発生部
54 低周波発振器
55 低周波重畳回路
56 光分岐器
57a 分岐光を電気信号に変換するフォトダイオード等の受光器
57b 増幅回路
57c 位相比較器
58 バイアス供給回路(動作点制御部)
74 プッシュプル駆動信号発生部
Claims (16)
- 光入力側で分岐し、光出力側で結合する光導路と、両側の光導路の光信号に位相変調を与える二つの信号電極と各々の信号電極に相補的な駆動信号を入力する二つの駆動信号入力端子を備え、かつ、電圧対光出力特性が周期的に変化する特性を備えた光変調器に、電圧対光出力特性の発光の頂点とそれに隣接する消光の頂点または二つの発光の頂点の間の振幅を有する駆動信号を入力して光信号を変調する光変調装置において、
前記振幅の1/2の相補的な駆動信号を発生し、それぞれ前記各信号電極に入力する駆動信号発生部、
所定の低周波信号を発生する低周波発振器、
該低周波信号から相補的な低周波信号を生成し、低周波信号成分が前記光変調器から出力される光信号に含まれるように、前記駆動信号発生部に前記相補的な低周波信号を供給することにより前記相補的な駆動信号に重畳する低周波重畳手段、
前記光変調器から出力される光信号に含まれる前記低周波信号成分を低周波信号として検出するフォトダイオード、
該フォトダイオードにより検出された該低周波信号に基づいて光変調器の動作点変動を検出する動作点変動検出手段、
前記光変調器の動作点変動の方向に応じて光変調器の動作点を制御する動作点制御手段を、
備えたことを特徴とする光変調装置。 - 前記動作点制御手段は光変調器の動作点変動に基づいて前記一方の信号電極のバイアス電圧を制御して光変調器の動作点を制御し、他の信号電極に与える駆動信号の電圧中心をアース電圧に固定する手段を設けた、ことを特徴とする請求項1記載の光変調装置。
- 前記低周波重畳手段は、前記駆動信号の利得を制御することにより前記低周波信号を重畳すること、
を特徴とする請求項1又は請求項2記載の光変調装置。 - 前記低周波重畳手段は、前記駆動信号の上下の包絡線の位相が反転するように該駆動信号に低周波信号を重畳すること、
を特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の光変調装置。 - 前記低周波重畳手段は、前記駆動信号の上下の包絡線の振幅が異なるように該駆動信号に低周波信号を重畳すること、
を特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の光変調装置。 - 前記低周波重畳手段は、前記駆動信号の上下の包絡線の周波数が異なるように該駆動信号に低周波信号を重畳すること、
を特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の光変調装置。 - 前記低周波重畳手段は、前記駆動信号の上下の包絡線の位相が異なるように該駆動信号に低周波信号を重畳すること、
を特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の光変調装置。 - 前記光変調器の電圧対光出力特性において変調に用いる範囲をシフトする動作点切り換え手段を備えたこと、
を特徴とする請求項1記載の光変調装置。 - 前記光変調器の電圧対光出力特性上の動作点を所定の初期値に設定するリセットスイッチを有すること、
を特徴とする請求項1記載の光変調装置。 - 前記低周波信号検出手段は光変調器の光導路から漏れる光を検出し、該検出光より低周波信号成分を検出すること、
を特徴とする請求項1記載の光変調装置。 - 光変調器は、二つに分岐された光導波路の中央部に挿入された半波長板を有し、任意の偏光に対しても変調可能に構成したこと、
特徴とする請求項1記載の光変調装置。 - 両側の光導路の光信号に位相変調を与える二つの信号電極と各々の信号電極に相補的な駆動信号を入力する二つの駆動信号入力端子を備え、かつ、電圧対光出力特性が周期的に変化する特性を備えた光変調器に、電圧対光出力特性の発光の頂点とそれに隣接する消光の頂点または二つの発光の頂点の間の振幅を有する駆動信号を入力して光信号を変調する光変調器の制御方法において、
前記振幅の1/2の相補的な駆動信号を発生し、
所定の低周波信号から相補的な低周波信号を生成し、低周波信号成分が前記光変調器から出力される光信号に含まれるように、前記相補的な低周波信号を前記相補的な駆動信号に重畳し、
前記光変調器から出力する光信号に含まれる前記低周波信号成分を低周波信号としてフォトダイオードにより検出し、
該検出した低周波信号に基づいて光変調器の動作点変動を検出し、
動作点変動の方向に応じて光変調器の動作点を制御する
ことを特徴とする光変調器の制御方法。 - 前記駆動信号の上下の包絡線の位相が反転するように該駆動信号に低周波信号を重畳すること、
を特徴とする請求項12記載の光変調器の制御方法。 - 前記駆動信号の上下の包絡線の振幅が異なるように該駆動信号に低周波信号を重畳すること、
を特徴とする請求項12記載の光変調器の制御方法。 - 前記駆動信号の上下の包絡線の周波数が異なるように該駆動信号に低周波信号を重畳すること、
を特徴とする請求項12記載の光変調器の制御方法。 - 前記駆動信号の上下の包絡線の位相が異なるように低周波信号を重畳すること、
を特徴とする請求項12記載の光変調器の制御方法。
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