JP4396858B2 - オルガノハロシラン製造用金属珪素粒子の選定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ロコー(Rochow)反応によるオルガノハロシランの製造に用いる金属珪素粒子の選定方法に関する。
メチルクロロシラン等のオルガノハロシランの合成は、工業的には、ハロゲン化アルキルやハロゲン化フェニル等の有機ハロゲン化物と金属珪素粒子との銅触媒及び適当な助触媒を添加した混合触媒の存在下で直接反応させる、いわゆるRochow反応によって250〜500℃で行われている。この反応において、メチルクロロシラン合成においては最も需要の多いジメチルジクロロシランの選択率を上げること、またフェニルシラン合成にあっては需要の多いジフェニルジクロロシラン、フェニルトリクロロシランの需要に見あった組成で得つつ、反応速度を高く保つことがキーテクノロジーである。
更に、この反応は、反応が定常状態になるまでの賦活に要する時間が長く、その一方で定常状態は比較的短く、時間と共に触体活性が低下することにより、ジオルガノジクロロシランの収率が低下し、例えばメチルシラン合成にあっては、副反応によるジシラン等の高留分やメチルトリクロロシラン等が増加し、反応器内の触体交換が必要となるので、この賦活時間の短縮も大きな問題である。Rochow反応は、流動床、撹拌流動床での反応が主に用いられているために、流動床の形成に適した金属珪素粒子の粒度に関しては種々の提案がなされている。
この反応では、原材料費の中に占める金属珪素のコストが高いため、金属珪素の反応率を高めると同時に、通常、主成分のジオルガノジクロロシランのほかに多種類の副生成物が副生するが、この副生成物の生成比率をオルガノクロロシランの需給バランスに沿った反応条件で制御することが重要である。この反応は、工業的には通常、反応系の中に触体を追加する方式で流動床、振動流動床、撹拌流動床等の反応器を用いて行っているが、反応自体は金属珪素粒子表面で起こり、かつ触媒系も固体であるという極めて複雑な気−固不均一系の反応であるために、この機構は必ずしも明らかになっていない。そして、使用する金属珪素粒子の性状(産地、メーカー、製造装置、破砕方法等の因子)によって、この反応の成績が大きく左右されることは経験的に知られており、これについての提案もいくつか提出されているが定説はなく、新規の金属珪素にあっては、予め試験を行った後に本使用の可否を決めている状態である。このように、反応に影響を及ぼす金属珪素の因子については明らかになっていないために、この点が極く最近でも金属珪素の学会では活発に議論されている(例えば、Silicon for the Chemical Industry IV:Geirenger,Norway,June 3−5,1998)。
重要なことは、反応物である金属珪素粒子の反応活性度であるが、これについてもいろいろな角度から検討されており、この点につき様々な提案(例えば、金属珪素そのものの特性)がなされている。更に具体的に説明すると、金属珪素中に不純物として存在するアルミニウムは、Rochow反応の助触媒として有効であることは既に公知のことであるが、同レベルの量でも活性なものとそうでないものがあるために、H.M.Rongらは、金属珪素中に不純物として存在するアルミニウムの中の活性なもののみが必要であるとして、その測定法を提示してその使用を奨めている(非特許文献1:Proceeding Silicon for the Chemical Industry IV,pp.69−74(1998))。また、特許文献1:特開平6−234776号公報においては、金属珪素中の不純物である金属間化合物の分散状態の定量法及び反応性制御のための選択の基準を開示しており、これによると、金属珪素塊を切断し、表面を鏡面仕上げして顕微鏡で微視的にその形態を観察し、その構造因子をQF値として数値化し、この値が18〜60である金属珪素を使用することが最も反応性が高く、好ましいとしている。更に、使用触体の形態から、溶融した金属珪素に銅を加え評価する方法も提案されている(特許文献2:米国特許第5281739号明細書)。
しかしながら、本発明者等がこれらの追試をした結果、いずれもこれらの方法によっては判別できず、むしろこれらはいずれも特殊な限られた系においてのみ有効であることがわかり、一般的な方法として採用できるものではなかった。
一般に、金属珪素は表面が酸化されており、安定な酸化珪素で覆われているので、一定の厚さ以上は内部の酸化が進まず、安定に作られている。しかし、珪素自体は酸化性が非常に高く、空気中で酸化膜を有しない金属珪素はないことは半導体用シリコンをみてもわかるように公知のことである。Rochow反応用の金属珪素粒子表面は、多少なりともある程度の酸化膜があって、これがRochow反応に影響を及ぼすことがわかっている。メチルシラン反応における金属珪素の酸化膜と反応性・選択性について、G.J.Hutchingらの報告(非特許文献2:Silicon for the Chemical Industry,Geirenger,Norway,pp.85−98(1992))やG.Larozeの報告(非特許文献3:Silicon for the Chemical Industry II,Leon,Norway,pp.121−127(1994))があり、酸化膜の反応性及び選択率に対する影響について述べてはいるが、これらは金属珪素粒子について、酸化膜をXPSという局所分析によって測定しており、また、J.L.Falconerら(非特許文献4:J.Catal.vol.159,pp.31−41(1996))は、シリコンウェーハを用いて、酸化膜、結晶の方位と反応性について論じているが、実際のRochow反応用金属珪素粒子表面には当てはまらず、いずれも測定法を確立した上で工業的に用いる金属珪素粒子を規定するものではなかった。
このように、従来提案されている方法は、必ずしも工業用として一般的なものではなく、他の因子を完全に同一にした条件下で、これらの判断基準によって判別した金属珪素粒子について実際にRochow反応を実施した場合、反応の成績にばらつきが大きかった。このように、従来提案されている金属珪素粒子の性状規定は特殊な反応系において適用できるものであり、工業的に実用化し得る活性な金属珪素粒子とその評価法が求め続けられてきた。
特開平6−234776号公報 米国特許第5281739号明細書 M.Eie,A.Gangstad,H.M.Rongら:Proceeding Silicon for the Chemical Industry IV,1998,pp.69−74. G.J.Hutching,R.W.Joynerら:Silicon for the Chemical Industry,1992,pp.85−98. G.Laroze:Silicon for the Chemical Industry II,1994,pp.121−127. J.Catal.vol.159,1996,pp.31−41.
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、このようなRochow反応において、活性な金属珪素粒子を容易且つ確実に選択使用することができるオルガノハロシラン製造用金属珪素粒子の選定方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、Rochow反応で用いる金属珪素粒子の活性について、表面酸素量として測定される金属珪素表面に形成している酸化膜の厚さ、多少が大きく関わっていること、この場合、この表面酸素量の測定法として、金属珪素粒子と、この金属珪素粒子を得るために粉砕すべき金属珪素原料の小塊とを、金属中酸素分析法(不活性ガス融解炉酸素分別法)により別々に測定し、その差を表面酸素量とする測定法が有効であり、こうして得られた表面酸素量が0.24重量%以下である金属珪素粒子を選択使用するようにすれば、有機ハロゲン化物と金属珪素粉末を直接作用させて対応するオルガノハロシランを合成するために必要な高い活性を有する金属珪素粒子を確実に選定することができ、当該反応においてネックであった触体の反応の食い付きと称せられる定常状態になるまでの反応賦活時間を短縮し、更に定常状態にあっては反応速度を高めても選択性を改善でき、結果として、珪素の有効利用率を高めることができ、また、金属珪素については、それを粉砕した金属珪素粒子につき実用上予め反応試験を別に実施して、その反応活性度を評価した後に工業的に使用していたが、このような迂回プロセス問題も解決することができることを知見したものである。
従って、本発明は、平均粒径が10μm〜10mmの金属珪素粒子を銅触媒の存在下にオルガノハライドと反応させてオルガノハロシランを製造する方法において用いる上記金属珪素粒子の選定方法であって、上記金属珪素粒子の酸素量が0.30重量%以下であって、上記金属珪素粒子及び粉砕してこの金属珪素粒子を得るための金属珪素原料の小塊をそれぞれ金属中酸素分析することにより得られた酸素濃度の差を表面酸素量とし、該表面酸素量が0.24重量%以下である金属珪素粒子を選択使用することを特徴とするオルガノハロシラン製造用金属珪素粒子の選定方法を提供する。この場合、金属珪素粒子が、上記表面酸素量が0.2重量%以下であり、0.003g・酸素/m 2 ・Si表面積未満を有するものであることが好ましい
本発明によれば、従来、塩化メチル等ハロゲン化アルキル又は塩化ベンゼン等ハロゲン化アリールと金属珪素の銅触媒及び助触媒存在下におけるオルガノクロロシラン合成反応(いわゆるRochow反応)において、長い期間を要する定常状態に至るまでの賦活時間(誘導期)の短縮及びシラン生成の反応速度や選択率は重要な課題であり、これを解決する方法は、触媒組成の改善と共に、更に金属珪素粒子そのものの改善が必要であったが、本発明は、シラン反応の機構を解明することにより、金属珪素粒子を最適化するもので、これによりRochow反応のこれら問題点を解決し、特に望ましいジオルガノジハロシランの選択率を高めることが可能となり、ひいては反応成績の向上を達成することができる。更に、ばらつきの大きな先行反応試験を省略でき、Rochow反応を定量的に管理することが可能となる。
本発明によれば、Rochow反応における活性な金属珪素粒子を提供することができ、これによって、反応速度、特に賦活期での反応速度と賦活期自体の短縮につながり、Rochow反応そのものの成績を向上することができる。また、これにより、ばらつきが大きい予備試験反応を行うことなく、金属珪素粒子の活性度そのものを予め定量的に予見できるものであり、Rochow反応用金属珪素粒子として最適なものが選定でき、工業的に重要であり、実に画期的なものである。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明は、金属珪素粒子にハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール等のオルガノハライド(有機ハロゲン化物)を銅触媒存在下で作用させて、一般式(1)
mnSiX4-m-n …(1)
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基等のアリール基を示し、Xは塩素、臭素等のハロゲン原子を示し、mは1,2又は3、nは0,1又は2であるが、m+nは4以下の整数である。)
で示されるオルガノハロシランを合成する、いわゆるRochow反応により使用される反応物である金属珪素粒子に関するもので、この反応のネックであったところの反応が定常反応に至るまでの賦活に要する時間、即ち誘導期を短縮し、定常状態における高活性を持続できる活性な金属珪素粒子の選定、その活性度評価法とRochow反応における当該粒子の使用に関するものである。
更に詳述すると、金属珪素は、珪石を炭材と共に高温のアーク炉で2500℃以上の温度で還元して製造されており、大きな電気エネルギーが必要で、必然的にコストが高い材料である。それ故に、これを原料として作られるシリコーン樹脂の先駆体であるオルガノハロシランのコストは、この高価である金属珪素のシランへの転化率と共に(この反応では副反応により種々の副生シランが生成するので)、需要バランスに見あった有効なシランの生成率(即ち、選択率)、更に工業的プロセスとして重要視される反応速度の大小によって極めて左右される。従って、このような観点より、シリコーンメーカーでは生成物の選択率及び反応速度を一括して反応性と称しており、自社製造装置で高い反応性を発揮できる金属珪素を求めている。一方、金属珪素メーカーにおいても、このRochow反応及びRochow反応に近似している半導体原料であるトリクロロシラン製造用金属珪素については、全金属珪素消費量の半分以上がこれらの産業で使用されているために、実際に反応のシミュレーションを行い、反応性が高く選択率もよい金属珪素を創製するための研究を、金属珪素メーカーの立場より、不純物量、不純物の形態、製造方法、冷却方法等いろいろな角度から改善研究を行っているのが実情である。このようなケミカル用金属珪素についての研究の成果は、二年に一回の間隔でノルウェーで定期的に開催されている金属珪素についての国際学会“Silicon for Chemical Industry”で報告され、情報交換されているが、現在のところ、Rochow反応自体も明確に解明されておらず、金属珪素の評価も各社各様であるのが現状である。
Rochow反応は、触媒を介して、高温で固体である金属珪素と高温で気体であるオルガノハライドとの気−固不均一系反応であり、その反応性は金属珪素の結晶としての性質によるところが大きいことが予想されることから、特開平6−234776号公報の提案であるところの金属珪素中の不純物である金属間化合物の分散状態の定量法及び反応性制御のための選択の基準は、一見理にかなっており、参考となる。この方法にあっては、金属珪素塊を切断し、表面を鏡面仕上げし、その面について顕微鏡で微視的に金属学的な形態の観察を行い、その構造因子をQF値として数値化し、この値が18〜60である金属珪素を使用することが最も反応性が高く好ましいとしている。
しかし、通常の工業用金属珪素について、本発明者等が結晶子の大きさを解析した結果、珪素は結晶性が高いため、工業用グレードの金属珪素の結晶子はmmオーダーであることがわかった。一方、実際に反応に用いられる金属珪素粒子は高々100μm程度であり、このことからRochow反応に用いられる金属珪素粒子は結晶子が数個以下であることがわかった。即ち、これらにより、顕微鏡的に観察してみられる金属珪素中の不純物である金属間化合物の形態は、必ずしも反応性を左右する金属珪素の結晶性を表してはいないことがわかった。
また、このゾーンの部分では結晶欠陥が存在するので、金属珪素の粉砕によりこの不純物を含んだ部分は選択的に表面に出るようになるので、H.M.RongらがProceeding Silicon for the Chemical Industry,p.69(1998)等で提唱している活性なアルミニウム説は、その測定法(塩酸水溶液での抽出量によって測定)より、金属珪素粒子の表面に存在しているアルミニウムが活性であることを示唆しているとしてよい。しかし、この部分は粉砕により選択的に表面に出る上に、抽出量はアルミニウムの存在量に比例し、抽出率はほぼ一定となり、このH.M.Rongらの方法を当該反応に当てはめるわけにはいかない。
前述の通り、Rochow反応は、高温で気体であるオルガノハライドと高温でも固体である金属珪素粒子との気−固不均一系反応であるので、G.Larozeの報告(Silicon for the Chemical Industry II,Leon,Norway,p.121−127(1994))やJ.L.Falconerらの報告(J.Catal.vol.159,p.31−41(1996))からわかるように、その反応性が金属珪素粒子の結晶方位、酸化膜等の表面状態に大きく関わっていることは十分に予想されることである。しかし、J.L.Falconerらの報告を詳細に調べると、実は半導体用シリコンを用いてメチルシラン反応における金属珪素の酸化膜と選択性について述べているのみであり、実際の工業的な金属珪素粒子に当てはめるのには無理がある。また、G.Larozeの報告では具体的な測定方法については明らかにしていない。
珪素は空気中での反応性が高いので、金属珪素表面には空気との接触により酸化膜が形成されている。一般に、金属珪素塊の粉砕、輸送、貯蔵等は、粉砕中での粉塵爆発の危険性を回避するために、不活性ガス中又は酸素濃度の低い雰囲気下で行っているが、必ずしも完全に酸素を断っているわけではなく、表面には必ず酸化膜が存在しているのが実状である。そしてまた、保管条件によっても反応性が異なることも経験的に知られている。
一方、工業用金属珪素製造工程においては、アルミニウム、カルシウム等の不純物を減少させるために、レードルと呼ばれるタップ容器にタップ後、溶融状態で下方より酸素又は空気を吹き込んで、これら不純物を酸化物として除去する精製工程があるが、この工程において珪素も若干酸化するが、この場合、生成する一酸化珪素は蒸気圧が高いこと、更に、前述の通り珪素は結晶性が高いので、酸化珪素(一酸化珪素、二酸化珪素)は冷却による結晶成長に伴いスラグとして排除される故に、金属珪素中には酸素は殆ど存在しない。
従って、金属珪素粒子の不活性ガス溶融炉酸素分析法により測定される酸素の大半は、その表面に存在する酸素であることが本発明者等によりわかった(表1)。もちろん、製法によりスラグの小粒子を内部に含む場合もあり得るので、その確認は分析上必要である。
以上のような検討の結果、金属珪素粒子の表面酸素は、金属珪素粒子及びその小塊(当該粒子を得るために粉砕する金属珪素原料の小塊)それぞれにつき、不活性ガス融解炉酸素分析装置(一般的に金属中酸素分析装置と称せられており、例えば、堀場製作所製EMGA−650がある)によって酸素量を測定し、この差を表面酸素量とする。更に、この値を金属珪素粒子の表面積で除して、単位面積当たりの酸素量を算出することが有効であることを見出したものである。
試料について更に詳細に説明すると、金属珪素粒子は酸化性が高いので、不活性気流中で試料採取を行い、試料秤取等、測定時のハンドリングも不活性ガスで充満したグローブボックス中で行う。試料の装置への装着時も速やかに行い、空気との接触をできるかぎり避ける。金属珪素小塊は、粗砕した金属珪素塊の中から20〜100mgの小塊を採取し、その小塊をそのまま測定する。この差を計算することにより、実際にRochow反応に供せられる金属珪素粒子表面酸素量を測定する。
本発明の特徴は、金属珪素粒子表面の酸化膜量を測定することによる金属珪素の選定であり、種々の金属珪素について比較した結果、平均粒径が10μm〜10mmの金属珪素粒子であって、その表面に存在する上記測定による酸素量が0.3重量%以下であり、好ましくは0.01g・酸素/m2・Si表面積以下であることが必須であった。即ち、この評価において、金属珪素粒子表面に存在する酸素量を金属珪素粒子及びその小塊を金属中酸素分析法(不活性ガス融解炉酸素分析法)により別々に測定した後に、その差を表面酸素量とする測定方法が適切であり、これにより、予め別に反応させて試験する必要もなくなり、定量的な管理も可能になるものである。
以上のように、本発明は、上記評価法による表面酸素量が0.24重量%以下、更に好ましくは0.2重量%以下の金属珪素粒子を選定するものである。この場合、表面酸素量の下限は特に制限されるものではない。また更に、上記金属珪素粒子の選定基準としては0.01g・酸素/m2・Si表面積以下、特に0.005g・酸素/m2・Si表面積以下、とりわけ0.003g・酸素/m2・Si表面積未満であることがよい。
本発明のオルガノハロシランは、上記金属珪素粒子を用いる以外は、公知の方法及び条件を採用して行うことができる。例えば、銅触媒、助触媒としては、公知のものを用いることができ、有機ハロゲン化物としては、塩化メチル、塩化エチル、塩化フェニル等、製造すべきオルガノハロシランに応じたアルキル基、アリール基をもつハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリールを用いることができ、本発明では例えば上記式(1)で示されるオルガノハロシラン、特にm=2,n=0のジオルガノジハロシランを高収率で製造することができる。
なお、上記銅触媒の添加量は、金属珪素100重量部に対し0.1〜10重量部とすることができる。また、この銅触媒には公知の各種助触媒を加えることができる。
図1は、オルガノハロシランの製造装置の一例を示し、1は流動床反応器であり、その下部に原料供給管2を介して原料供給槽3が連結しており、これから反応器1の下部に金属珪素及び上記銅触媒又は銅触媒と助触媒との混合触媒が導入される。また、4は加熱器5を介装する原料有機ハロゲン化物管であり、反応器1の底部に連結され、反応器1の底部から有機ハロゲン化物のガス又は蒸気が導入されて、上記金属珪素及び触媒の流動床1aが反応器1内に形成されるものである。なお、図中6は冷却器である。
ここで、上記有機ハロゲン化物のガス又は蒸気は、定常状態において線速2〜10cm/秒で導入することが好ましい。また、反応は通常250〜350℃で行うことができる。
反応で得られたオルガノハロシランは、反応器1の頂部に連結された排出管7より第1サイクロン8に導入され、随伴する固体粒子を分離した後(この固体粒子は固体粒子返送管9より流動床1aに戻される)、更に第2サイクロン10でなお随伴する固体粒子を分離し(この固体粒子は分離粒状物貯蔵槽11に貯蔵される)、次いで第1シラン凝縮器12、更には第2シラン凝縮器13でオルガノハロシランが凝縮され、シラン貯蔵槽14に貯蔵される。このように固体粒子が分離され、オルガノハロシランが凝縮、分離された後の排ガスは、その一部又は全部が循環ガスコンプレッサー15が介装された有機ハロゲン化物返送管16を通って再び反応器1に戻される。なお、この返送管16は上記原料有機ハロゲン化物管4に連結されているものである。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例で部は重量部を示す。
〔実験例〕
表1に示す種々の金属珪素粒子につき、分析、反応性評価を行った。結果を表1に併記する。
Figure 0004396858
〔実施例,比較例〕
図1に示したようなスパイラル撹拌機を有した直径8cmのスチール製の反応器に、表2に示した平均粒径50μm程度の粉砕後空気中で保管した各種の金属珪素粉末(産地の異なる)100部を仕込み、反応器内に窒素ガスを線速2cm/秒で導入し、スパイラル撹拌機で撹拌しながら流動させ、280℃まで昇温した。その後、スタンピングにより製造した鱗片状銅箔粉であって、空気透過式比表面積:0.80m2/g,平均粒径:47μm,かさ比重:1.9g/cm3の鱗片状の銅触媒及びアンチモン、真鍮、青銅を主とした助触媒を混合した混合触媒3部を添加し、反応温度を280〜300℃にコントロールしながら塩化メチルを徐々に添加し、反応させ、最終的に線速7cm/秒にして反応を継続した。反応を6時間継続したところで反応を終了させた。この間の平均シラン生成速度と金属珪素消費率、生成シランの組成を表3に示す。
比較として、粉砕時に空気との接触を大きくして表面酸素量が多い金属珪素粒子について、実施例と同一条件で反応させた結果を表3に併せて示す。
Figure 0004396858


Figure 0004396858
オルガノハロシランの製造装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 流動床反応器
1a 流動床
2 原料供給管
3 原料供給槽
4 原料有機ハロゲン化物管
5 加熱器
6 冷却器
7 排出管
8 第1サイクロン
9 固体粒子返送管
10 第2サイクロン
11 分離粒状物貯蔵槽
12 第1シラン凝縮器
13 第2シラン凝縮器
14 シラン貯蔵槽
15 循環ガスコンプレッサー
16 有機ハロゲン化物返送管

Claims (2)

  1. 平均粒径が10μm〜10mmの金属珪素粒子を銅触媒の存在下にオルガノハライドと反応させてオルガノハロシランを製造する方法において用いる上記金属珪素粒子の選定方法であって、上記金属珪素粒子の酸素量が0.30重量%以下であって、上記金属珪素粒子及び粉砕してこの金属珪素粒子を得るための金属珪素原料の小塊をそれぞれ金属中酸素分析することにより得られた酸素濃度の差を表面酸素量とし、該表面酸素量が0.24重量%以下である金属珪素粒子を選択使用することを特徴とするオルガノハロシラン製造用金属珪素粒子の選定方法。
  2. 金属珪素粒子が、上記表面酸素量が0.2重量%以下であり、0.003g・酸素/m 2 ・Si表面積未満を有するものである請求項1記載の選定方法。
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