JP4396603B2 - ハイブリッド変速機 - Google Patents
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Description
ハイブリッド変速機に具えられたモータの他にモータを1個追加し、これを、ハイブリッド変速機により駆動しない側の車輪に対し関連して配置する技術が提案されている。
つまり、車体フロアにハイブリッド変速機の設置スペースとは別にモータおよびインバータの設置スペースを確保する必要があり、そのため、車体フロアを当該モータおよびインバータの設置が可能になるよう設計し直す面倒があった。
ハイブリッド変速機自身から2つの駆動力を、共線図上のバランスがとれた状態で、つまり、任意の変速状態が維持可能な状態で取り出し得るようなハイブリッド変速機を提案して上記の諸問題を一気に解消することを目的とする。
つまり、2要素の回転状態を決定すると他の要素の回転状態が決まる第1および第2差動装置の1要素同士を入力要素クラッチにより相互に結合可能にすると共に、これら相互に結合可能にされた要素のうち第2差動装置の要素にエンジンを結合する。
そして、これら相互に結合可能にされた要素のうちの一方に第1出力軸を結合し、また、上記相互に結合可能にされた要素以外の要素であって第2差動装置における1要素に同軸に第2出力軸を結合し、
上記相互に結合可能にされた要素以外の要素であって第1差動装置における2要素にそれぞれ第1および第2モータ/ジェネレータを結合する。
ここで、第1および第2モータ/ジェネレータをモータとして動作させたり、発電機として動作させることにより、上記連結状態と入力要素クラッチの締結・解放との組み合わせごとに任意の変速状態を維持し得るよう構成する。
第1および第2出力軸からの駆動力の配分を自由に決定することができ、従って、主たる駆動輪、従たる駆動輪の区別もなく、極めて自由度の高い4輪駆動化技術たり得る。
当該組み合わせの選択により変速比の選択幅を大きくすることができて実用上大いに有利である。
第2出力軸に係わる変速機出力は変速機の後方から変速機主軸線方向に取り出して、例えば左右後輪に向かわせるが、第1出力軸に係わる変速機出力は、ハイブリッド変速機の上下、左右、いずれかから横方向に取り出して、変速機主軸線に対し平行に延在する第1出力軸により、例えば左右前輪に向かわせることができ、このような変速機出力の取り出し態様が要求される車両において有利に適用可能である。
図1は、本発明の一実施例になるハイブリッド変速機1の制御システムを例示し、ハイブリッド変速機1を、本実施例においては後輪駆動車(FR車)用のトランスミッションとして用いるのに有用な、図2に示すごとき以下の構成となす。
これら遊星歯車組は、エンジンENGに近い前側より第4遊星歯車組G4、第1遊星歯車組G1、第2遊星歯車組G2、第3遊星歯車組G3の順に配置する。
従って、第1遊星歯車組G1、第2遊星歯車組G2、第3遊星歯車組G3、および第4遊星歯車組G4はそれぞれ、2個の要素の回転状態を決定すると他の要素の回転状態が決まる2自由度の第1差動装置G1、第2差動装置G2、第3差動装置G3、および第4差動装置G4を構成する。
複合電流2層モータ12は、内側ロータ12riと、これを包囲する環状の外側ロータ12roとを、変速機ケース11内に同心に回転自在に支持して具え、これら内側ロータ12riおよび外側ロータ12ro間における環状空間に同軸に配置した環状ステ-タ12sを変速機ケース11に固設して構成する。
環状ステータ12sと外側ロータ12roとで外側のモータ/ジェネレータである第1のモータ/ジェネレータMG1を構成し、環状ステータ12sと内側ロータ12riとで内側のモータ/ジェネレータである第2のモータ/ジェネレータMG2を構成する。
ここでモータ/ジェネレータMG1,MG2はそれぞれ、複合電流をモータ側が負荷として供給される時は供給電流に応じた個々の方向と速度(停止を含む)の回転を出力するモータとして機能し、複合電流を発電機側が負荷として印加された時は外力による回転に応じた電力を発生する発電機として機能する。
これらキャリアC1およびリングギヤR2のうち、第2遊星歯車組G2を構成するリングギヤR2には、エンジンENGの回転を入力される入力軸13(図3の共線図では入力Inとして示す)を結合する。
かくして、第1出力軸Out1に係わる変速機出力は変速機ケース11の横方向から取り出され、変速機主軸線に対し平行に延在するよう変速機ケース11に並置した第1出力軸Out1より出力することができる。
ここで、第4遊星歯車組G4および歯車15,16並びにカウンターシャフト14は、本発明における平行軸歯車組を構成する。
なお、第4遊星歯車組G4を介して第1出力軸Out1を結合する相手方は、図示例のようなキャリアC1に限らず、これに入力要素クラッチCinを介して結合可能にしたリングギヤR2でもよい。
また、第2遊星歯車組G2のキャリアC2に第2出力軸Out2を結合し、この第2出力軸Out2を、入力軸13に同軸に配置して変速機ケース11の後端から突出させる。
第3遊星歯車組G3は、第1遊星歯車組G1におけるサンギヤS1と、第2遊星歯車組G2におけるサンギヤS2との間を、非連結状態と、逆転変速状態と、一体回転状態との3種の連結状態のうちの任意の状態に連結可能にするためのもので、これがため第2遊星歯車組G2のサンギヤS2を第3遊星歯車組G3のサンギヤS3に結合し、第3遊星歯車組G3のキャリアC3を固定して上記の逆転変速状態を実現可能にするローブレーキL/Bを設けると共に、第3遊星歯車組G3のリングギヤR3およびサンギヤS3間を直結して上記の一体回転状態を実現可能にするハイクラッチH/Cを設ける。
なお上記の非連結状態は、ローブレーキL/BおよびハイクラッチH/Cを共に解放させることで実現可能である。
そして、第1出力軸Out1(図2参照)は図1に示すように傘歯車組31およびディファレンシャルギヤ装置32を介して左右前輪33L,33Rに駆動結合し、第2出力軸Out2は図1のごとくプロペラシャフト34およびディファレンシャルギヤ装置35を介して左右後輪36L,36Rに駆動結合する。
21は、エンジンENGおよびハイブリッド変速機1(モータ/ジェネレータMG1,MG2)の統合制御を司るハイブリッドコントローラで、このハイブリッドコントローラ21は後述するエンジンENGのトルクTeに関する指令をエンジンコントローラ22に供給し、エンジンコントローラ22はエンジンENGを当該指令値Teが達成されるよう運転させる。
更にハイブリッドコントローラ21は、ハイブリッド変速機1内におけるクラッチCin,H/CおよびブレーキL/Bを締結、解放制御するための信号Scbをハイブリッド変速機1に供給し、ハイブリッド変速機1は油圧源28からの油圧を用いて、この信号Scbを基に対応するクラッチCin,H/CおよびブレーキL/Bを締結、解放制御する。
第1遊星歯車組G1における要素の回転速度順は、リングギヤR1、キャリアC1、サンギヤS1であり、
第2遊星歯車組G2における要素の回転速度順はリングギヤR2、キャリアC2、サンギヤS2であり、
第3遊星歯車組G3における要素の回転速度順は、リングギヤR3、キャリアC3、サンギヤS3であり、
第4遊星歯車組G4における要素の回転速度順は、サンギヤS4、リングギヤR4、キャリアC4である。
第4リングギヤR4および第2キャリアC2にそれぞれ第1出力軸Out1および第2出力軸Out2を、図2につき前述したようにして結合する。
そして、第1サンギヤS1および第2サンギヤS2間の連結状態を、第3遊星歯車組G3により、非連結状態にしたり、または、逆転変速状態(回転数が相互に接近するよう、若しくは、逆に離反するよう変速可能な状態)にしたり、一体回転状態にするため、これらサンギヤS1,S2にそれぞれ第3リングギヤR3および第3サンギヤS3を結合すると共に、第3キャリアC3をローブレーキL/Bにより固定可能にしたり、第3リングギヤR3および第3サンギヤS3間をハイクラッチH/Cにより直結可能にする。
上記非連結状態は、ローブレーキL/BおよびハイクラッチH/Cの解放により実現可能で、また、逆転変速状態は、ローブレーキL/Bの締結およびハイクラッチH/Cの解放により実現可能で、一体回転状態は、ローブレーキL/Bの解放およびハイクラッチH/Cの締結により実現可能である。
遊星歯車組G3のギヤ比により決まる回転要素間の距離比、つまりリングギヤR3およびキャリアC3間の距離を1とした時のキャリアC3およびサンギヤS3間の距離の比をδで示す。
図3の縦軸は、0を基準として上方が前進回転(正回転)数、また、下方が後進回転(逆回転)数を示し、Nm1,Nm2が第1および第2モータ/ジェネレータMG1,MG2の回転数、Neがエンジン回転数、Noが第1および第2出力軸Out1,Out2の回転数である。
図3の縦軸には更に、第1および第2モータ/ジェネレータMG1,MG2のトルクTm1,Tm2と、エンジントルクTeと、第1および第2出力軸Out1,Out2のトルクTo1,To2とを、それぞれベクトルとして併記した。
そして車輪が同じ周速をもって路面上を転動しているため、第1および第2出力軸Out1,Out2の回転数も同じ値Noであることから、図3の共線図は、レバーG1,G2,G4が図4に例示するように一直線上に相互に重なり、図3のレバーG3が存在しなくなった共線図に等価なものとなる。
図4の共線図におけるレバーG1およびG2(G4)が、エンジントルクTeおよび出力トルクTo1,To2によってもバランスしているためには、リングギヤR1に結合した第1モータ/ジェネレータMG1のトルクTm1は、回転数を0に向かわせる発電(マイナス)トルクである必要があり、一方で、サンギヤS1に結合した第2モータ/ジェネレータMG2のトルクTm2は、逆に回転数を0から遠ざけるモータ(プラス)トルクである必要がある。
なお維持できない場合は、モータ/ジェネレータMG1,MG2の上記電力バランスを崩して、図4のレバーG1およびG2(G4)で表される変速状態(変速比)を維持することも可能である。
図5の共線図におけるレバーG1およびG2(G4)が、エンジントルクTeおよび出力トルクTo1,To2によってもバランスしているためには、第1モータ/ジェネレータトルクTm1が図4の場合と同じく、回転数を0に向かわせる発電(マイナス)トルクである必要があるが、第2モータ/ジェネレータトルクTm2が、図4の場合と逆に、回転数を0に向かわせる発電(マイナス)トルクである必要がある。
この時は、第1および第2モータ/ジェネレータMG1,MG2が共に発電動作を行うことによって、バッテリ25(図1参照)への充電を行いつつ、図5のレバーG1およびG2(G4)で表されるロー側変速状態(ロー側変速比)を維持することができる。
図6の共線図におけるレバーG1およびG2(G4)が、エンジントルクTeおよび出力トルクTo1,To2によってもバランスしているためには、第2モータ/ジェネレータトルクTm2は図4の場合と同じく、回転数を0から遠ざけるモータ(プラス)トルクである必要があるが、第1モータ/ジェネレータトルクTm1は、図4の場合と逆に、回転数を0から遠ざけるモータ(プラス)トルクである必要がある。
この時は、第1および第2モータ/ジェネレータMG1,MG2が共に、バッテリ25(図1参照)からの電力を消費しつつモータ動作を行うことによって、図6のレバーG1およびG2(G4)で表される、図4の場合よりもハイ側変速状態を維持することができる。
しかしこの変速比領域では、第2モータ/ジェネレータトルクTm2または第1モータ/ジェネレータ回転数Nm1が大きくなることから、モータ/ジェネレータMG1,MG2の大型化を避けられない。
しかしこの変速比領域では、第1モータ/ジェネレータトルクTm1または第2モータ/ジェネレータ回転数Nm2が大きくなることから、この場合もモータ/ジェネレータMG1,MG2の大型化を避けられない。
Ne+α(Ne-No)=Nm1・・・(1)
No+β(No-Ne)=Nm2・・・(2)
Te・i=To・・・(3)
i=Ne/No・・・(4)
To=To1+To2・・・(5)
Te=Te1+Te2・・・(6)
Tm1+Te1+To1=0・・・(7)
Tm2+Te2+To2=0・・・(8)
Nm2・Tm2+Nm1・Tm1=0・・・(9)
α・Tm1=To1・・・(10)
Te2=α・Tm2・・・(11)
Tm2=-(Nm1・Te・i)/{Nm1(1+β)+α・Nm2}・・・(12)
Tm1=-(Nm2・Te)/{Nm2(1+α)+β・Nm1}・・・(13)
同様に(1)式〜(11)式を、第1および第2出力軸Out1,Out2の駆動トルク(前後輪駆動トルク)To1,To2について解くと、これら前後輪駆動トルクTo1,To2は図8に示すごとくに求めることができ、変速比iMおよびiH間の変速比領域において、比較的大きな駆動力を要求されるロー側では後輪駆動、若しくは4輪駆動となし、比較的小さな駆動力でよいハイ側では前輪駆動となすことができ、車両の車輪駆動方式として変速比ごとに優れた前後輪駆動トルク配分を実現することができる。
なおこの場合、実際は図10に例示するごとくレバーG4がレバーG1上に乗ってこれら1本と見なし得るレバーとレバーG2とが相互に交差した共線図として表されるが、図9では個々のレバーが見えやすくなるよう便宜上レバーG4をレバーG1から平行にオフセットさせて示した。
図10の共線図におけるレバーG1(G4)およびG2が、エンジントルクTeおよび出力トルクTo1,To2によってもバランスしているためには、リングギヤR1に結合した第1モータ/ジェネレータMG1のトルクTm1は、回転数を0に向かわせる発電(マイナス)トルクである必要があり、サンギヤS1に結合した第2モータ/ジェネレータMG2のトルクTm2は、逆に回転数を0から遠ざけるモータ(プラス)トルクである必要がある。
なお維持できない場合は、モータ/ジェネレータMG1,MG2の上記電力バランスを崩して、図10のレバーG1(G4)およびG2で表される変速状態(変速比)を維持することも可能である。
この場合、エンジントルクTeがプラス(正)トルクであり、第1および第2出力軸Out1,Out2の出力トルクTo1,To2が共に負荷(マイナス)トルクであるも、第1モータ/ジェネレータMG1の回転数Nm1が正値であることから、エンジン回転数Neを図10の場合よりも低くするハイ側変速状態となる。
図11の共線図におけるレバーG1(G4)およびG2が、エンジントルクTeおよび出力トルクTo1,To2によってもバランスしているためには、第1モータ/ジェネレータトルクTm1が図10の場合と逆に、回転数を0から遠ざける負荷(プラス)トルクである必要があり、第2モータ/ジェネレータトルクTm2が、図10の場合と逆に、回転数を0に向かわせる発電(マイナス)トルクである必要がある。
なお維持できない場合は、モータ/ジェネレータMG1,MG2の上記電力バランスを崩して、図11のレバーG1(G4)およびG2で表される変速状態(変速比)を維持することも可能である。
この場合、エンジントルクTeがプラス(正)トルクであり、第1および第2出力軸Out1,Out2の出力トルクTo1,To2が共に負荷(マイナス)トルクであるも、第2モータ/ジェネレータMG2の回転数Nm2が負値であることから、エンジン回転数Neを図11の場合よりも更に低くする更にハイ側の変速状態となる。
図12の共線図におけるレバーG1(G4)およびG2が、エンジントルクTeおよび出力トルクTo1,To2によってもバランスしているためには、第1モータ/ジェネレータトルクTm1が図11の場合と逆に、回転数を0に向かわせる発電(マイナス)トルクである必要があり、第2モータ/ジェネレータトルクTm2が、図11の場合と逆に、回転数を0から遠ざける負荷(プラス)トルクである必要がある。
なお維持できない場合は、モータ/ジェネレータMG1,MG2の上記電力バランスを崩して、図12のレバーG1(G4)およびG2で表される変速状態(変速比)を維持することも可能である。
ところで本実施例においては、図10〜図12の何れの変速状態でも(全ての変速比領域で)、発電側モータ/ジェネレータMG1またはMG2が発電した電力でモータ側モータ/ジェネレータMG2またはMG1をモータ動作させて、バッテリ電力25(図1参照)の電力に頼ることなく変速状態(変速比)を維持し得てバッテリ25の小型化が可能である。
Nm1={(α+1)/β}Nm2+{1+(α+1)/β}No・・・(14)
Nm2=-(1/δ)N3・・・(15)
N3=-β・Ne+(1+β)No・・・(16)
Te・i=To・・・(17)
i=Ne/No・・・(18)
To=To1+To2・・・(19)
T1+T3A=Tm2・・・(20)
Tm1+T1+To1=0・・・(21)
Te+T2+To1=0・・・(22)
δ・T3B+T3A=0・・・(23)
T3B=T2・・・(24)
Nm1・Tm1+Nm2・Tm2=Pb・・・(25)
β・T2=Te・・・(26)
Tm1(α+1)=β・T1・・・(27)
Tm1=-{(1+β-i・β)/ (1+α+β)}・Te・・・(28)
Tm2=-(Pb-Nm1・Te)/Nm2・・・(29)
To2=[{(1+β)/β}-i]・Te・・・(30)
To1={(1+β)/β}・Te・・・(31)
ただし上記の式における各符号は、図10〜図12の共線図においてレバーG3をレバーG1(G4)およびG2から切り離したものに相当する図15に示した各部の回転数およびトルクを意味する。
なお、図15に示されていない上式におけるPbはバッテリ電力を意味するものとする。
第1および第2出力軸Out1,Out2の駆動トルク(前後輪駆動トルク)To1,To2は(31)式および(30)式から求めることができ、これら前後輪駆動トルクTo1,To2は本実施の例では図16に示すごときものとなる。
従って本動作形態では、大きな駆動力を必要とするロー側変速比領域において4輪駆動となし、ハイ側変速比になるにつれて前後輪駆動トルクTo1を低下させて徐々に後2輪駆動へ移行させることができ、車両の車輪駆動方式として変速比ごとに優れた前後輪駆動トルク配分を実現することができる。
これらキャリアC1およびリングギヤR2の回転数を異ならせることが可能になるも、第3遊星歯車組G3がサンギヤS1,S2間の連結状態を一体回転可能状態にするため、そして、第1および第2出力軸Out1,Out2の回転数が同じ値Noであることから、図3の共線図は、レバーG1,G2,G4が図17に例示するように一直線上に相互に重なり、図3のレバーG3がサンギヤS1,S2およびキャリアC4を一体回転させ得る共線図に等価なものとなる。
図17の共線図におけるレバーG1,G2,G4が、エンジントルクTeおよび出力トルクTo1,To2によってもバランスしているためには、リングギヤR1に結合した第1モータ/ジェネレータMG1のトルクTm1は、回転数を0から遠ざけるモータ(プラス)トルクである必要があり、サンギヤS1に結合した第2モータ/ジェネレータMG2のトルクTm2は、逆に回転数を0に向かわせる発電(マイナス)トルクである必要がある。
なお維持できない場合は、モータ/ジェネレータMG1,MG2の上記電力バランスを崩して、図17のレバーG1およびG2(G4)で表される変速状態(変速比)を維持することも可能である。
この場合、エンジントルクTeがプラス(正)トルクであり、第1および第2出力軸Out1,Out2の出力トルクTo1,To2が共に負荷(マイナス)トルクであるも、第1モータ/ジェネレータMG1の回転数Nm1が負値であり、第2モータ/ジェネレータMG2の回転数Nm2が正値であることから、出力回転数Noをエンジン回転数Neよりも高くするオーバードライブ変速比選択状態となる。
図18の共線図におけるレバーG1およびG2(G4)が、エンジントルクTeおよび出力トルクTo1,To2によってもバランスしているためには、第1モータ/ジェネレータトルクTm1が図17の場合と逆に、回転数を0に向かわせる発電(マイナス)トルクである必要があり、第2モータ/ジェネレータトルクTm2が、図17の場合と逆に、回転数を0から遠ざける負荷(プラス)トルクである必要がある。
なお維持できない場合は、モータ/ジェネレータMG1,MG2の上記電力バランスを崩して、図18のレバーG1およびG2(G4)で表される変速状態(ハイ側変速比)を維持することも可能である。
この場合、エンジントルクTeがプラス(正)トルクであり、第1および第2出力軸Out1,Out2の出力トルクTo1,To2が共に負荷(マイナス)トルクであるも、第2モータ/ジェネレータMG2の回転数Nm2も正値であることから、図17および図18の中間の変速比が選択された中間変速比状態となる。
図19の共線図におけるレバーG1およびG2(G4)が、エンジントルクTeおよび出力トルクTo1,To2によってもバランスしているためには、第1モータ/ジェネレータトルクTm1が図17の場合と同じく、回転数を0から遠ざける負荷(プラス)トルクである必要があり、第2モータ/ジェネレータトルクTm2が、図17の場合と逆に、回転数を0から遠ざける負荷(プラス)トルクである必要がある。
この時は、第1および第2モータ/ジェネレータMG1,MG2が共に、バッテリ25(図1参照)からの電力を消費しつつモータ動作を行うことによって、図19のレバーG1およびG2(G4)で表される変速状態(中間変速比)を維持することができる。
一方で変速比iM,iH間の中間変速比領域においては上記したごとく、バッテリ電力25(図1参照)からの電力の持ち出しによって変速状態(変速比)を維持するが、この中間変速比領域では、図20から明らかなごとくモータ/ジェネレータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2およびトルクTm1,Tm2が共に小さくてモータ/ジェネレータMG1,MG2の小型化が可能である。
しかし本実施例においては、図4〜図7につき前述した動作形態で実用変速範囲を図8に示すごとくハイ側変速比領域に設定し、図10〜図12につき前述した動作形態で実用変速範囲を図14に示すごとくロー側変速比領域に設定したから、図17〜図19につき上述した動作形態ではオーバードライブ変速比領域に実用変速範囲を設定することとする。
しかも前記した通り、バッテリ電力25(図1参照)の電力に頼ることなく変速状態(変速比)を維持し得てバッテリ25の小型化が可能であると共に、モータ/ジェネレータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2およびトルクTm1,Tm2が共に小さくてモータ/ジェネレータMG1,MG2の小型化も可能である。
第2出力軸Out2に係わる変速機出力は変速機の後方から変速機主軸線方向に取り出して、例えば左右後輪に向かわせるが、第1出力軸Out1に係わる変速機出力は、ハイブリッド変速機の上下、左右、いずれかから横方向に取り出して、変速機主軸線に対し平行に延在する第1出力軸Out1により、例えば左右前輪に向かわせることができ、このような変速機出力の取り出し態様が要求される車両において有利に適用し得る。
2個のモータ/ジェネレータMG1,MG2を内蔵するといえども、ハイブリッド変速機1をコンパクトに構成することができてその車載性を向上させることができる。
11 変速機ケース
ENG エンジン
12 複合電流2層モータ
MG1 第1モータ/ジェネレータ
MG2 第2モータ/ジェネレータ
13 入力軸
Out1 第1出力軸
Out2 第2出力軸
G1 第1遊星歯車組(第1差動装置)
G2 第2遊星歯車組(第2差動装置)
G3 第3遊星歯車組(第3差動装置)
G4 第4遊星歯車組(第4差動装置)
S1,S2,S3,S4 サンギヤ
R1,R2,R3,R4 リングギヤ
C1,C2,C3,C4 キャリア
Cin 入力要素クラッチ
H/C ハイクラッチ
L/B ローブレーキ
21 ハイブリッドコントローラ
22 エンジンコントローラ
23 モータコントローラ
24 インバータ
25 バッテリ
26 アクセル開度センサ
27 車速センサ
28 油圧源
31 傘歯車組
32 前輪用ディファレンシャルギヤ装置
33L,33R 左右前輪
34 プロペラシャフト
35 後輪用ディファレンシャルギヤ装置
36L,36R 左右後輪
Claims (8)
- 2要素の回転状態を決定すると他の要素の回転状態が決まる第1および第2差動装置を具え、
これら差動装置の1要素同士を入力要素クラッチにより相互に結合可能にすると共に、これら相互に結合可能にされた要素のうち第2差動装置の要素にエンジンを結合し、
該相互に結合可能にされた要素のうちの一方に第1出力軸を、また、前記相互に結合可能にされた要素以外の要素であって第2差動装置における1要素に同軸に第2出力軸を結合し、
前記相互に結合可能にされた要素以外の要素であって第1差動装置における2要素にそれぞれ第1および第2モータ/ジェネレータを結合し、
第2モータ/ジェネレータを結合した第1差動装置の要素と、前記相互に結合可能にされた要素および第2出力軸を結合された第2差動装置の要素以外の要素であって第2差動装置における要素との間を、互いに連結されていない非連結状態と、相互に回転方向が逆となるように連結する逆転変速状態と、同一回転となるように連結する一体回転状態との3種の連結状態のうちの任意の状態に連結可能とし、
前記第1および第2モータ/ジェネレータをモータとして動作させたり、発電機として動作させることにより、前記連結状態と入力要素クラッチの締結・解放との組み合わせごとに任意の変速状態を維持し得るよう構成したことを特徴とするハイブリッド変速機。 - 請求項1に記載のハイブリッド変速機において、
前記入力要素クラッチを締結すると共に前記3種の連結状態のうちの非連結状態を用いることでハイ側変速比選択モードとし、
前記入力要素クラッチを解放すると共に前記3種の連結状態のうちの逆転変速状態を用いることでロー側変速比選択モードとし、
前記入力要素クラッチを解放すると共に前記3種の連結状態のうちの一体回転状態を用いることでオーバードライブ選択モードとするよう構成したことを特徴とするハイブリッド変速機。 - 請求項1または2に記載のハイブリッド変速機において、締結することで前記一体回転状態を実現するハイクラッチと、拘束することで前記逆転変速状態を実現するローブレーキと、を有し、前記入力要素クラッチおよびハイクラッチを締結すると共に前記ローブレーキを解放することで、第1および第2出力軸間で回転差を生じないリジッド4輪駆動状態とするよう構成したことを特徴とするハイブリッド変速機。
- 請求項1〜 3のいずれか1項に記載のハイブリッド変速機において、
前記第1出力軸を左右前輪に結合し、前記第2出力軸を左右後輪に結合したことを特徴とするハイブリッド変速機。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド変速機において、
前記3種の連結状態を第3差動装置と、該第3差動装置の1要素を固定して前記逆転変速状態を提供する前記ローブレーキおよび該第3差動装置の任意の2要素間を直結して前記一体回転状態を提供する前記ハイクラッチとにより達成するよう構成したことを特徴とするハイブリッド変速機。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載のハイブリッド変速機において、
平行軸歯車組を、前記第1差動装置に同軸の第4差動装置と、これら差動装置に対して平行に並置したカウンターシャフト上の歯車とで構成し、
前記相互に結合可能にされた要素のうち第1差動装置の要素を第4差動装置の入力要素に結合し、第4差動装置の出力要素に前記カウンターシャフト上の歯車を噛合させ、第4差動装置の他の要素を第2モータ/ジェネレータおよびこれを結合すべき第1差動装置の要素に結合したことを特徴とするハイブリッド変速機。 - 請求項6に記載のハイブリッド変速機において、
前記第1〜 第4差動装置を同軸に、且つ、前記エンジンに近い側から第4差動装置、第1差動装置、第2差動装置、第3差動装置の順に配置したことを特徴とするハイブリッド変速機。 - 請求項7に記載のハイブリッド変速機において、
第1キャリアおよび第2リングギヤを入力要素クラッチにより相互に結合可能にすると共に第2リングギヤにエンジンを結合し、
第1キャリアに第4サンギヤを結合すると共に、第4リングギヤの外周に前記カウンターシャフト上の歯車を噛合させて前記第1出力軸を結合し、第2キャリアに同軸に前記第2出力軸を結合し、
第1リングギヤに前記第1モータ/ジェネレータを結合し、また、第1サンギヤを第4キャリアに結合すると共に第2モータ/ジェネレータに結合し、
第1サンギヤに第3リングギヤを結合すると共に第2サンギヤに第3サンギヤを結合し、前記ローブレーキは第3キャリアを固定可能にして第1および第2サンギヤ間を前記逆転変速状態にするよう配置し、前記ハイクラッチは第3サンギヤおよび第3リングギヤ間を直結可能にして第1および第2サンギヤ間を前記一体回転状態にするよう配置し、前記ローブレーキおよび前記ハイクラッチを共に解放することで第1および第2サンギヤ間を前記非連結状態にし得るよう構成したことを特徴とするハイブリッド変速機。
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