以下、添付の図面を参照しながら、本発明に係る実施の一形態について説明する。ただし、ここでは、インターネット上のユーザ(建築設計者)からの要求に応じて、設備設計者(エレベータ設計者)および意匠設計者(エレベータカゴ内装設計者)がエレベータの設計を段階的に進めるビジネスを一例として挙げることとする。
最初に、本実施の形態に係るネットワークシステムの構成について説明する。
図1に示すように、このネットワークシステムには、建築設計者側の情報処理システムと、設備設計者側の情報処理システムと、が含まれている。
建築設計者側の情報処理システムには、インターネットに接続されたWWW(world wide web)クライアントである1台以上のユーザ端末60(以下、建築設計者用端末60と呼ぶ)が含まれている。この建築設計者用端末60は、ユーザの入力等に応じてプログラム実行可能な通常のハードウエア構成を有する情報処理装置であり、その内蔵ハードディスクには、WWWを利用するために必要なブラウザ61、標準プロダクトモデル対応のCADプログラム、OS(Operation System)等の各種プログラムがあらかじめインストールされている。なお、この建築設計者用端末60には、入力装置62(マウス、キーボード等)、エレベータ設計支援サイトの一連のWebページ(後述)等が表示されるディスプレイ装置63が接続されている。
一方、設備設計者側の情報処理システムには、インターネットに接続されたWWWサーバ10、データベースサーバ20、複数のユーザ端末30,40、これらを相互に接続しているLAN50(local area network)、等が含まれている。
WWWサーバ10は、外部からの指示に応じて、メモリ上にプログラムをロードし、それを実行することができる通常のハードウエア構成を有する情報処理装置であり、その内蔵ハードディスクには、ブラウザからリクエストを受け付けると利用可能なファイルをブラウザに与えるhttpd(HyperText Transfer Protocl Daemon)、httpdからのデータを処理するCGI(Common Gateway Interface)スクリプト、CGIスクリプトによって起動されるエレベータ設計支援プログラム、OS(Operation System)、等のソフトウエアがインストールされている。なお、これらのソフトウエアは、いずれも、可搬型記憶媒体からインストールされたものであると、ネットワークを介してインストールされたものであるとを問わない。
さらに、WWWサーバ10の内蔵ハードディスクには、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63にエレベータ設計支援サイトの一連のWebページ(後述)を表示させるためのHTMLドキュメントも格納されている。
WWWサーバ10は、これらのソフトウエアおよびCPU等のハードウエアにより実現される機能構成として、(1)エレベータの設計に必要な情報を段階的に受け付けるデータ受付部18、(2)エレベータの購入価格の見積り依頼を建築設計者から受け付けると、エレベータ購入価格の見積り額を提供する価格見積り依頼受付け部16、(3)エレベータの据付け構造の検討依頼を建築設計者から受け付けると、エレベータの据付図データを建築設計者側から取出し可能とする据付図作図依頼受付け部13、を有している。ここで、データ受付部18には、(4)エレベータの設置建屋に関する情報(建屋の用途、建屋のフロアー数、建屋の各フロアーの居住人口等)を建築設計者から受け付けると、エレベータ機種・台数計画案を建築設計者に提供するエレベータ機種・台数計画案作成受付け部11、(5)エレベータ本体についての要求仕様データを建築設計者から受け付けると、その要求仕様データに合致するエレベータのCADシンボルを建築設計者に提供するシンボル提供依頼受付け部12、(6)エレベータ内装についての要求仕様データを建築設計者から受け付けると、その要求仕様データに合致する意匠図データおよびパースデータを建築設計者に提供する意匠図作図依頼受付け部15、(7)エレベータ内装についての特殊な要求仕様データを建築設計者から受け付けるとともに、その要求仕様データに合致した意匠図データおよびパースデータを建築設計者に提供するデザインイメージ生成依頼受付け部14、が含まれている。
データベースサーバ20は、外部からの指示に応じてプログラムを実行可能な通常のハードウエア構成を有する情報処理装置であり、その内蔵ハードディスクには、データベース検索等のデータベース処理が定義されたデータベース管理システムプログラム、データ通信制御プログラム、OS等がインストールされている。そして、このデータベースサーバ20は、データベース管理システムプログラムのデータベース処理対象となる以下のデータベース21A〜21Gが格納された外部記憶装置21を有している。
エレベータ機種・基本価格・台数計画情報データベース21Aには、建屋の用途(オフィスビル、マンション等)ごとに、その用途の建屋のために作成されたエレベータ機種・基本価格・台数計画マップがそれぞれ登録されている。各エレベータ機種・基本価格・台数計画マップは、いずれも、建屋のフロアー数および居住人口の組合せを検索キーとして、推奨エレベータ機種・基本価格・台数計画情報、すなわち、推奨エレベータのカゴ容量(定員、積載荷重等)、推奨エレベータの搬送速度、推奨エレベータ1台当たりの基本価格、推奨エレベータの設置台数を取得することができるようになっている。例えば、オフィスビルについてのエレベータ機種・基本価格・台数計画マップのデータ構造は、概念的に、図2のように示される。このエレベータ機種・基本価格・台数計画マップは、オフィスビルのフロアー数204および居住人口204と、推奨エレベータ機種・基本価格・台数計画情報(推奨エレベータのカゴ容量200と、推奨エレベータの搬送速度201と、推奨エレベータ本体1台当たりの基本価格202と、推奨エレベータの設置台数203)と、を対応付けている。このため、このエレベータ機種・基本価格・台数計画マップによれば、例えば、フロアー数「10階」および居住人口「300人」のオフィスビルに対する推奨エレベータ機種・基本価格・台数計画情報として、搬送速度「105m/min」、カゴ容量「9人」、エレベータ本体1台当たりの基本価格「E円」、設置台数「2台」を取得することができる。なお、図2に示した具体的な数値は、説明の便宜上、一例として入れたものに過ぎない。
オプション価格データベース21Bには、図3に示すように、エレベータの本体および意匠のオプション仕様項目の仕様として選択可能なオプション仕様ごとに、オプション仕様データ300、オプション見積り価格301が登録されている。このため、このオプション価格データベース21Bによれば、建築設計者が希望するオプション仕様データを検索キーとして、そのオプション仕様のオプション見積り価格、すなわち、そのオプション仕様を施した場合にエレベータ本体の基本価格に上乗せされる金額を取得することができる。
顧客仕様管理データベース21Cには、依頼案件ごとに、その案件に割り当てられた案件ID、その案件に関する総合仕様管理情報、その案件についての検討済み情報、付加情報(建築設計者のメールアドレス等)が登録される。
この顧客仕様管理データベース21Cに登録された各案件の総合仕様管理情報には、各エレベータの号数および仕様管理情報が含まれている。そして、図4に示すように、各エレベータの仕様管理情報400には、建築設計者が仕様を選択することができるオプション仕様項目ごとに、それぞれ、オプション仕様項目名401、そのオプション仕様項目について選択された仕様の仕様データ402および見積り価格403が格納されている。それぞれの仕様データ402および見積り価格403のフィールドには、当初、エレベータの設置建屋の用途に応じてあらかじめ定めた仕様の仕様データおよび見積り価格がデフォルト値として記述されているが、その後、建築設計者が、オプション仕様のなかから適当なオプション仕様を選択すると、このオプション仕様のオプション仕様データおよび見積り価格が上書きされる。なお、オプション仕様項目401の仕様データ402として記述される空値は、そのオプション仕様項目に関連する施工が行われないことを示す。
また、図5に示すように、顧客仕様管理データベース21Cに登録された各案件の検討済み情報500には、建築設計者に順次提供される各サービスごとに、サービス名501、建築設計者がサービス提供を受けた日付けを表す情報(サービス提供日)502、サービス提供を受けるために建築設計者が提供した情報(ユーザ提供情報)503、サービス提供を受けることによって建築設計者が取得した情報(ユーザ取得情報)504が記述されている。例えば、ある案件について建築設計者が1月15日に後述のエレベータ機種・台数計画サービスの提供を受けた場合、その案件の検討済み情報500は、サービス名「エレベータ機種機種・台数計画」501に対応付けられた各フィールド502,503,504に、建築設計者がサービス提供を受けた日付け「1月15日」、建築設計者が提供した後述の建屋情報、建築設計者が取得したエレベータ機種・基本価格・台数計画案が記述される。
CADシンボル管理データベース21Dには、エレベータの用途ごとに、各種エレベータのCADシンボルが登録されている。各CADシンボルには、それぞれ、構造上の特徴(サイズ、形状等)を表す構造情報、設置のために確保する必要があるスペース(以下、占有スペースと呼ぶ)を表す有効スペース情報、エレベータの仕様情報(カゴ容量、ドア開き方向等)、エレベータの構成機器の型式、付加情報等が含まれている。
意匠図管理データベース21Eには、エレベータの内装デザインごとに、意匠図データの格納ファイル、パースデータの格納ファイル、意匠図データおよびパースデータの作成に用いた仕様データ(天井デザインパターン、材質データ、ドア開き方向、カゴ容量)が登録されている。
建築図管理データベース21Fには、建築設計者から建築図データを受け付けた案件ごとに、顧客仕様管理データベース21Cと共通の案件ID、建築図データが登録される。
据付図管理データベース21Gには、据付図データの作成依頼を受け付けた案件ごとに、顧客仕様管理データベース21Cと共通の案件ID、完成した据付図データの格納ファイルが登録される。
デザイン情報管理データベース21Hには、建築設計者が特殊内装仕様を希望した案件について、顧客仕様管理データベース21Cと共通の案件ID、意匠図作成のために建築設計者から提供されたデザイン情報ファイルおよびその関連情報、デザイン情報ファイルおよびその関連情報を利用して作成されたパースデータの格納ファイル名、建築設計者が希望した特殊内装仕様に割り当てられたオプション仕様データ、が登録される。ここで言うデザイン情報ファイルとは、建築設計者が希望する特殊内装デザインの画像データ等が格納されたデザイン電子ファイルのことである。
さて、複数のユーザ端末30,40のなかには、エレベータの据付け設計を行う設備設計者が使用するユーザ端末30(以下、設備設計者用端末30と呼ぶ)と、エレベータの意匠設計を行う意匠設計者が使用するユーザ端末40(以下、意匠設計者用端末40と呼ぶ)とが、少なくとも1台ずつ含まれている。
設備設計者用端末30は、外部からの指示に応じてプログラムを実行可能な通常のハードウエア構成を有する情報処理装置であり、その内蔵ハードディスクには、標準プロダクトモデル対応のCADプログラム、エレベータの据付図データBの作成を支援するエレベータ据付図生成支援プログラム、OS等がインストールされている。設備設計者用端末30は、これらのプログラムおよびCPU等のハードウエアにより実現される機能構成として、(1)建築図データの検索をデータベースサーバ20に要求することによって得られた建築図データAから、エレベータの据付け構造を決定するために必要な構造特徴を抽出する建築データ読込み部31、(2)建築データ読込み部31が抽出した構造特徴に基づき干渉チェックを行う干渉チェック部32、(3)建築データAに変更が生じた場合に、変更前後の建築データの構造特徴の差分を抽出する仕様訂正管理部33、(4)設備設計者が据付図を作成するための作図用エディタ(不図示)、等を有している。
さらに、この設備設計者用端末30の内蔵ハードディスクには、構造特徴データベース36が格納されている。この構造特徴データベース36には、据付図の作図依頼があった案件ごとに、案件ID、昇降路へのエレベータ据付けに関連する3種類の建築要素(柱、壁、梁)のオブジェクトが登録される。
一方、意匠設計者用端末40は、外部からの指示に応じてプログラムを実行可能な通常のハードウエア構成を有する情報処理装置であり、その内蔵ハードディスクには、標準プロダクトモデルのCADプログラム、エレベータの意匠図データを作成を支援するエレベータ意匠図作成支援プログラム、OS等がインストールされている。意匠設計者用端末40は、これらのプログラムおよびCPU等のハードウエアによって実現される機能構成として、(1)依頼案件のデザイン情報ファイル等の検索をデータベースサーバ20に要求する要求仕様読込部41、(2)意匠設計者がエレベータ意匠図を作成するための作図用エディタ(不図示)、等を有している。
つぎに、以上説明したネットワークシステムにおいて実現されるエレベータ設計支援処理について、図6および他の図(図7〜図26)により説明する。ここでは、サービスの提供を受けるべき建築設計者は、建築設計者用端末60上でCADプログラムを起動し、それにより立ち上がったCADウィンドウ上でエレベータ付き建屋の建築設計を行っていることとする。
図6に示すように、本実施の形態に係るエレベータ設計支援処理は、建築設計者サイドから見ると、以下の5つの段階的な処理(第一段階S1000、第二段階S2000、第三段階S3000、第四段階S4000、第五段階S5000)に分けられる。
(1)第一段階(S1000)
図7に、この第一段階(S1000)における処理のフローチャートを示す。
建屋には、その建屋内の交通需要に応じたエレベータが設置される必要がある。例えば、建屋の用途(オフィスビル、マンション等)によって、設置エレベータの最適な必要搬送能力は異なるし、同じ用途の建屋であっても、その建屋の高さによって、設置エレベータの最適な搬送速度は異なる。したがって、エレベータ付き建屋を建築設計している建築設計者は、前もって、そのエレベータ付き建屋の用途および居住人口に適したエレベータの機種(カゴ容量、搬送速度)および設置台数を知っておく必要がある。また、エレベータの価格には幅があるため、建築設計者は、建屋全体の予算との関係で、自己の建築設計中の建屋に適したエレベータの購入にかかる費用を、建築設計の初期段階からできるだけ正確に把握しておくことが望ましい。
そこで、建築設計者は、まず、建築設計者用端末60上でブラウザ61を起動し、エレベータ設計支援サイトのWebドキュメントのURL(Uniform Resource Locaters)を入力する。これにより、そのURLの示すWebドキュメントの送信リクエストが、建築設計者用端末60上のブラウザ61からWWWサーバ10へ送信される。WWWサーバ10上では、htttpdが、このリクエストで指定されたWebドキュメントをドキュメントツリーから検索し、そのWebドキュメントを建築設計者用端末60に返信する。これにより、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63には、図8に示すエレベータ設計支援サイトのトップページ600が表示される。このトップページ600には、案件IDを入力するための案件ID入力ボックス601、建築設計者に対する提供サービスのアンダーライン付き名称一覧602〜605が配置されている。
このトップページ600上で、建築設計者が、まず、案件ID入力ボックス601に何も入力せずに、提供サービス名一覧から「機種・台数計画サービス」602を選択すると、エレベータ設計支援サイトの建屋情報入力ページが、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上で開かれる。
図9(a)に示すように、この建屋情報入力ページ610には、エレベータを設置する建屋に関する情報(建屋用途、フロアー数、居住人口:以下、これらをまとめて建屋情報と呼ぶ)を入力するための各種ツールが配置されている。具体的には、エレベータの設置建屋の用途を入力するためのビル用途入力ボックス611、エレベータの設置建屋のフロアー数を入力するためのビル階床数入力ボックス612、エレベータの設置建屋の各フロアーの居住人口を入力するための居住人口入力ボックス613、すべての入力ボックスのデータ設定を確定するためのOKボタン614、が配置されている。建築設計者が機種・台数計画サービスの提供を受けるには、これら各入力ボックス611,612,613に適当なデータをそれぞれ入力し、さらにOKボタン614をクリックする必要がある。ただし、各入力ボックス611,612,613には、それぞれ、入力データ候補が一覧表示されたプルダウンメニューを開くためのボタン611A,612A,613Aが付属しているため、建築設計者は、各入力ボックス611,612,613に付属のボタン611A,612A,613Aをクリックすることによって開かれたプルダウンメニューの一覧のなかから、各入力ボックスへの入力データとして適当な入力データ候補を選択するだけでよい。例えば、建屋用途入力ボックス611の付属ボタン611Aがクリックされると、エレベータの設置建屋の標準的な用途(オフィスビル、官庁ビル、マンション等)が一覧表示されたプルダウンメニュー611aが開かれる。建築設計者は、このプルダウンメニュー611aの建屋用途一覧のなかから適当な建屋用途を1つ選択することによって、建屋用途入力ボックス611への入力データを決定すればよい。
建築設計者が、これら各入力ボックス611,612,613へのデータ入力を完了してから、さらにOKボタン614をクリックすると、各入力ボックス611,612,613内の設定データを含むデータ検索要求がWWWサーバ10へ送られる(S1001)。
WWWサーバ10の機種・台数計画依頼受付け部11は、このデータ検索要求を受け付けると、そのなかから建屋情報(建屋用途、フロアー数、居住人口)を取り出し、この建屋情報を検索キーとしたデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。この要求に応じて、データベースサーバ20は、機種・台数計画・基本価格データベース21Aを検索し、検索キーの1つ(建屋用途)に対応付けられたエレベータ機種・台数計画・基本価格マップ(図2参照)のなかから、残り2つの検索キー(フロアー数および居住人口)に対応付けられたエレベータ機種・基本価格・台数計画情報を取得する。そして、このとき得られたエレベータ機種・基本価格・台数計画情報を返信する(S1002)。
WWWサーバ10の機種・台数計画依頼受付け部11は、そのエレベータ機種・基本価格・台数計画情報を建築設計者用端末60に返信する。これにより、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63には、エレベータ設計支援サイトのエレベータ機種・台数計画案表示ページが開かれる。図9(b)に示すように、このエレベータ機種・台数計画案表示ページ620上には、WWWサーバ10からのエレベータ機種・基本価格・台数計画情報のうち、建築設計者指定の建屋用途と、エレベータの推奨カゴ容量と、エレベータの推奨搬送速度と、エレベータの推奨設置台数とが、エレベータ機種・台数計画案621として表示される(S1003)。このエレベータ機種・台数計画案621を参照することによって、建築設計者は、自己の建築設計中の建屋に適したエレベータ機種・台数計画案を把握することができる。
また、このエレベータ機種・台数計画案表示ページ620上には、あわせて、エレベータ購入価格の見積り要求の送信を指示するための見積りボタン622、現在表示中のエレベータ機種・台数計画案等を保存するか否かを建築設計者に問うメッセージ624、メッセージ624に対する返答を受け付ける2つのアンダーライン付き文字「Y」「N」623も表示されている。ここで、建築設計者は、以下に示すように、エレベータ購入価格の見積りを必要とする場合であれば、見積りボタン622をクリックし、エレベータ購入価格の見積りを必要としない場合であれば、2つのアンダーライン付き文字「Y」「N」623のいずれか一方をクリックすればよい。
エレベータ購入価格の見積りを必要とする建築設計者が、ここで、エレベータ機種・台数計画案表示ページ620上の見積りボタン622をクリックすると(S1004)、建屋情報を含む見積り要求が建築設計者用端末60からWWWサーバ10に送信され、以下のエレベータ価格見積り処理(S1005)が実行される。これにより、建築設計者は、エレベータに関する詳細な情報を入力せずに、自己の建築設計中の建屋に適したエレベータの購入価格の見積り額およびその内訳を知ることができる。
WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、建築設計者用端末60から見積り要求を受け付けると、そのなかから建屋情報(建屋の用途、フロアー数、居住人口)を取り出し、この建屋情報を検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。この要求に応じて、データベースサーバ20は、前述のS1002と同様なデータベース検索処理によってエレベータ機種・基本価格・台数計画情報を取得し、そのエレベータ機種・基本価格・台数計画情報をWWWサーバ10に返信する。
WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、各種建屋用途ごとに、それぞれ、仕様管理情報400と同じデータ構造の仕様管理情報作成用構造体データを保持している。それらの構造体データに含まれている各仕様項目の仕様データおよび見積り価格のフィールドには、初期値として、対応する建屋用途の建屋に設置される標準的なエレベータの仕様の仕様データおよび見積り価格がそれぞれ記述されている。WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、建屋情報に含まれている建屋用途に対応する仕様管理情報作成用構造体データに記述された仕様データのうち、空値以外のものを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。この要求に応じて、データベースサーバ20は、各検索キー(仕様データ)に対応付けられたオプション見積り価格301をオプション価格データベース21Bからそれぞれ取り出し、それらをWWWサーバ10に返信する。
このようにして建築設計者指定の建屋情報に応じたオプション仕様のオプション見積り価格およびエレベータ機種・基本価格・台数計画情報を取得すると、WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、エレベータ機種・基本価格・台数計画情報に含まれていた基本価格にすべてのオプション見積り価格を加算し、この加算値を、エレベータ1台当たりの購入価格の見積り額とする。さらに、エレベータ機種・基本価格・台数計画情報に含まれていた設置台数と、エレベータ1台当たりの購入価格の見積り額との積を算出し、この算出結果を、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額とする。そして、WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、エレベータ1台当たりの購入価格の見積り額と、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額とを建築設計者用端末60に送信する。あわせて、エレベータ1台当たりの購入価格の見積り額の算出に用いた各オプション見積り価格およびその検索に用いた仕様データも、エレベータ1台当たりの購入価格の見積り額の内訳として建築設計者用端末60に送信する。
これにより、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上には、エレベータ設計支援サイトの価格見積り額表示ページが開かれる。この価格見積り額表示ページ740上には、図10に示すように、エレベータ1台当たりの購入価格の見積り額641とその見積り額の内訳642、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額643が表示されるとともに、OKボタン644が配置されている。建築設計者が、この価格見積り額表示ページ640上で見積り額等を確認してから、さらにOKボタン644をクリックすると、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上には、再度、エレベータ機種・台数計画案表示ページ620が開かれる。
一方、エレベータ購入価格の見積りを必要としない建築設計者が、エレベータ機種・台数計画案表示ページ620上の見積りボタン622をクリックせずに(S1004)、エレベータ機種・台数計画案表示ページ620上の2つのアンダーライン付き文字「Y」「N」623のうちのいずれか一方の文字をクリックすると(S1006)、以下に示すように、クリックした文字の種類に応じた処理が実行される。なお、すでに見積り額等を確認した建築設計者が、再表示されたエレベータ機種・台数計画案表示ページ620上で2つのアンダーライン付き文字「Y」「N」623のうちのいずれか一方をクリックした場合にも(S1006)、同様な処理が実行される。
エレベータ機種・台数計画案表示ページ620上の一方のアンダーライン付き文字「N」がクリックされると(S1006)、再度、図8のトップページが建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上で開かれ、それまで表示されていたエレベータ機種・台数計画案等の情報が建築設計者用端末60上から失われる(S1009)。したがって、表示中のエレベータ機種・台数計画案がその後の建築設計作業に不要であると判断した場合には、建築設計者は、ここで(S1006)、エレベータ機種・台数計画案表示ページ620上のアンダーライン付き文字「N」をクリックすればよい。
これに対して、エレベータ機種・台数計画案表示ページ620上の他方のアンダーライン付き文字「Y」がクリックされると(S1006)、エレベータ機種・基本価格・台数計画案および建屋情報を含むデータ保存要求が建築設計者用端末60からWWWサーバ10に送信され、現在表示中のエレベータ機種・基本価格・台数計画案および建屋用途を保存するための以下の処理(S1007)が実行される。したがって、表示中のエレベータ機種・台数計画案等がその後の建築設計作業に必要と判断した場合には、建築設計者は、ここで(S1006)、エレベータ機種・台数計画案表示ページ620上のアンダーライン付き文字「Y」をクリックする必要がある。
WWWサーバ10の機種・台数計画依頼受付け部11は、エレベータ機種・基本価格・台数計画案および建屋情報を含むデータ保存要求を受け付けると、それに含まれていた建屋用途に対応する仕様管理情報作成用構造体データを、エレベータ台数分、仕様管理情報として含む総合仕様管理情報を作成する。そして、この総合仕様管理情報と、データ保存要求に含まれていた情報(エレベータ機種・基本価格・台数計画案、建屋情報)と、現在の日付とを含んだデータベース登録要求をデータベースサーバ20に送信する。この要求に応じて、データベースサーバ21は、それらの情報を顧客仕様管理データベース21Cに新規登録する。これにより、総合仕様管理情報は、新規案件IDに対応付けられた総合仕様管理情報として登録され、その他の情報(現在の日付、建屋情報、エレベータ機種・基本価格・台数計画案)は、新規案件IDに対応付けられた検討済み情報500に含まれる情報502,503,504として登録される(S1007)。
顧客仕様管理データベース21Cへの新規登録が終了すると、このとき登録した新規案件IDが、WWWサーバ10を介して、データベースサーバ20から建築設計者用端末60に返信される。これにより、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上では、図9(c)に示すような、エレベータ設計支援サイトの案件ID確認ページ630が開かれる(S1008)。この案件ID確認ページ630上には、建築設計者の依頼案件に割り当てられた新規案件ID631が表示されるとともに、OKボタン632が配置されている。建築設計者が、新規案件ID631を確認したあとOKボタン632をクリックすると、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上でエレベータ設計支援サイトのトップページ600が再度開かれるとともに、今回提供されたサービスのサービス名「機種・台数計画サービス」と案件ID631とが建築設計者用端末60のブラウザ61によって保存される。
このように、本実施の形態に係るエレベータ設計支援処理の第一段階によれば、建築設計者は、建屋の建築設計の初期段階で決定できる建屋情報(建屋の用途、建屋のフロアー数、各フロアーの居住人口)を入力すれば、エレベータに関する詳細な情報を入力しなくても、建築設計中の建屋の用途について標準的な内外装を備えたエレベータの購入価格を容易に知ることができる。すなわち、自己が建築設計中の建屋にエレベータを設置するかどうかを検討しているような、エレベータに関する詳細なイメージを持っていない段階であっても、建築設計者は、自己が建築設計中の建屋に設置するエレベータの購入価格として現実性のある額を把握することができる。このため、建屋の建築設計の初期段階であっても、自己が建築設計中の建屋の予算との兼ね合いで、エレベータを設置可能かどうかを検討することもできる。
以上においては、未定のオプション仕様項目に設定されるべき仕様を、建屋用途ごとに定めているが、必ずしも、このようにする必要はない。例えば、一連のオプション仕様項目に設定されるべき仕様を、エレベータタイプ(グレード、寒冷地向け、バリアフリー等)ごとにパッケージ仕様として定めておき、エレベータの仕様として建築設計者が指定したエレベータタイプのパッケージ仕様に含まれる仕様の価格を、オプション見積り価格データベースからそれぞれ取り出して、それらの各価格をエレベータ基本価格に加算するようにしてもよい。このようにする場合には、図33(a)(b)に示すように、エレベータタイプ名3301とパッケージ仕様3302との対応情報が登録されたテーブル3300を、パッケージ仕様管理データベース21Iとしてデータベースサーバ20の外部記憶装置21に格納しておけばよい。なお、エレベータタイプの指定は、建屋情報入力ページで建築設計者から受け付けるようにしてもよいし、別途設けたページで受け付けるようにしてもよい。
また、以上においては、建屋用途とフロアー数と居住人口とだけから、エレベータ1台当たりの本体価格が定まるようにしているが、さらに別の情報も加味して、エレベータ1台当たりの本体価格が定まるようにしてもよい。例えば、図33に示すように、エレベータタイプごとにタイプ名とエレベータ1台当たりの本体価格とを対応付けた情報202Aを、推奨エレベータ1台当たりの本体価格202の代わりにエレベータ機種・基本価格・台数計画マップに格納しておくことによって、エレベータの仕様として建築設計者が指定したエレベータタイプのエレベータ1台当たりの本体価格が各建屋用途のエレベータ機種・基本価格・台数計画マップから取得されるようにしてもよい。これにより、建築設計者が指定したエレベータタイプのエレベータ1台当たりの本体価格、すなわち、エレベータタイプの相違による価格差が誤差として含まれない本体価格を算出することができる。このため、建築設計者は、エレベータの購入価格をより正確に把握することができるようになる。
(2)第二段階(S2000)
図11に、この第二段階(S2000)における処理のフローチャートを示す。
建築設計者は、エレベータ機種・台数計画案を決定した後、さらに建屋の建築設計を進め、エレベータの納まりを検討する段階にまできたら、再度、自己の建築設計者用端末60とWWWサーバ10とのコネクションを確立して、自己の建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上でエレベータ設計支援サイトのトップページ600(図8参照)を開く。
前回のサーバアクセスにより得たエレベータ機種・台数計画案に基づき検討を進める建築設計者は、前回のサーバアクセス時に発行された案件IDを案件ID入力ボックス601に入力してからリターンキーを押すと、トップページ600上のテキストがそのスタイルを変化させる。具体的には、トップページ600上の提供サービス名一覧のうち、入力案件IDに対応する保存中のサービス名「エレベータ機種・台数計画サービス」602の次に表示されているサービス名、すなわち、建築設計者が次に提供を受けるべきサービスのサービス名「エレベータCADシンボル提供サービス」603が強調表示される。これにより、建築設計者は、前回のサーバアクセスから相当時間経過していても、今回のサーバアクセスで最初に受けるべきサービスを一見して把握することができる。
そのあと、建築設計者が、提供サービス「エレベータCADシンボル提供サービス」603を選択すると、案件ID入力ボックス601に入力された案件IDを検索キーとするデータベース検索が、WWWサーバ10を介してデータベースサーバ20に要求される。この要求に応じて、データベースサーバ20は、検索キー(案件ID)に対応付けられた検討済み情報500を顧客仕様管理データベース21Cから取り出し、それを返信する(S2001)。
この返信データを受け付けた建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上では、エレベータ設計支援サイトのエレベータ仕様入力ページが開かれる。図12に示すように、このエレベータ仕様入力ページ650上には、返信データにユーザ提供情報として含まれていた建屋用途651Aおよびフロア数651Bが表示されるとともに、設置台数分のエレベータのそれぞれについて、エレベータの用途を入力するための入力ボックス652、エレベータ本体の仕様データを設定するための仕様入力ボックスが配置される。ここでは、仕様入力ボックスの具体例として、ドア開き方向の入力を受け付けるためのドア開き方向入力ボックス653、カゴ容量の入力を受け付けるためのカゴ容量入力ボックス654、トランクを設置するか否かの別の入力を受け付けるためのトランク有無入力ボックス655、搬送速度の入力を受け付けるための搬送速度入力ボックス656、カウンターウエイトの位置の入力を受け付けるためのカウンターウエイト位置入力ボックス657を挙げてある。
建築設計者は、このエレベータ仕様入力ページ650上に配置された入力ボックス652,653,654,655,656,657にそれぞれ適当な仕様データを設定する必要がある。ただし、各エレベータの2つの入力ボックス654,657には、返信データのユーザ取得情報に含まれていたエレベータ機種・基本価格・台数計画案のカゴ容量および搬送速度がすでに設定されているため、ここでは、各エレベータ用の他の入力ボックス652,653,655,656に適当な仕様データを設定するだけでよい(S2002)。
また、このエレベータ仕様入力ページ650上にはさらにシンボル表示ボタン658が配置されており、建築設計者が、各エレベータ用の入力ボックスへのデータ設定を終えてから、そのシンボル表示ボタン658をクリックすると、各設置エレベータの入力ボックス内の設定データを含むCADシンボル検索要求がWWWサーバ10に送られる。WWWサーバ10のシンボル提供依頼受付け部12は、このCADシンボル検索要求を受け付けると、それに含まれていた各エレベータについての設定データを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20にそれぞれ要求する。これらの要求のそれぞれに応じて、データベースサーバ20は、検索キーのうちの1つ(用途)に対応付けられているCADシンボルのうち、他の検索キー(ドア開き方向、カゴ容量、トランク設置の有無、搬送速度、カウンターウエイト位置)が仕様情報に合致するCADシンボルをCADシンボルデータベース21Dから取りだし、それをWWWサーバ11に返信する(S2003)。
WWWサーバ10は、これらの返信データを受け付けると、それらに含まれていたCADシンボルを建築設計者用端末60に送信する。これにより、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上には、エレベータ設計支援サイトのエレベータシンボル表示ページが開かれる(S2004)。図13に示すように、このエレベータシンボル表示ページ660上には、エレベータ仕様入力ページ650に表示されていた建屋用途666Aおよびフロア数666Bとともに、建築設計者がエレベータ仕様入力ページ650上で各エレベータについて設定したデータ(エレベータ用途、ドア開き方向、カゴ容量、トランク有無、搬送速度、カウンターウエイト位置)662とが表示されている。さらに、これらの設定データ662によって検索された各エレベータのCADシンボル661、すなわち、建築設計者の要求仕様に合致した各エレベータの構造および有効スペースがパラメトリック表現で表示されている。建築設計者は、このCADシンボル661を、ドラッグ・アンド・ドロップで、CADウィンドウ上の作成中の建築設計図に配置することによって、自己の要求仕様を満たすエレベータが周辺建築要素と干渉を起こすか否かを、一見して確認することができる。例えば、建築設計図上の周辺建築要素(柱、壁等)にCADシンボル661が重なり合えば、建築設計者は、自身の要求仕様を満たすエレベータが、建築設計図上の昇降路内に納まりきらないものであると判断し、作成中の建築設計図上の昇降路寸法を再検討する必要があることを認識することができる。
また、このエレベータシンボル表示ページ660上には、エレベータ購入価格の見積り要求の送信を指示するための見積りボタン663、現在表示中のCADシンボルおよび関連情報等を保存するか否かを建築設計者に問うメッセージ664、メッセージ664に対する返答を受け付ける2つのアンダーライン付き文字「Y」「N」665が表示されている。建築設計者は、以下に示すように、表示中のエレベータの購入価格の見積りを必要とする場合であれば、見積りボタン663をクリックし、表示中のエレベータの購入価格の見積りを必要としない場合であれば、2つのアンダーライン付き文字「Y」「N」665のいずれか一方をクリックすればよい。
表示中のエレベータの購入価格の見積りを必要とする建築設計者が、ここで、見積りボタン669をクリックすると(S2005)、表示中の設定データ662とトップページ600上で入力済みの案件IDとを含む見積り要求が建築設計者用端末60からWWWサーバ10に送信され、以下のエレベータ価格見積り処理(S2006)が実行される。これにより、建築設計者は、エレベータについての要求仕様が完全には決定していない段階であっても、その時点までに固まっている要求仕様が反映されたエレベータの購入価格の見積り額およびその内訳を知ることができる。
建築設計者用端末60から見積り要求を受け付けたWWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、その見積り要求に含まれていた案件IDを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。このデータベース要求に応じて、データベースサーバ20は、顧客仕様管理データベース21Cを検索し、検索キー(案件ID)に対応付けられた総合仕様管理情報を取得する。そして、データベースサーバ20は、このとき得られた総合仕様管理情報をWWWサーバ10に返信する。
WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、データベースサーバ20からの返信データを受け付けると、その返信データに含まれていた総合仕様管理情報内の各エレベータの仕様管理情報400をそれぞれ修正する。具体的には、データエレベータ仕様入力ページ650上で各エレベータについて設定したデータ(エレベータ用途、ドア開き方向、カゴ容量、トランク有無、搬送速度、カウンターウエイト位置)のうち、オプション仕様項目の仕様データに該当するものを、そのエレベータの仕様管理情報400の所定のオプション仕様項目の仕様データ402に上書きする。例えば、トランクを設置するか否の別を表す仕様データが、オプション仕様項目「トランク」の仕様データに該当する場合であれば、各エレベータの仕様管理情報400には、それぞれ、そのエレベータにトランクを設置するか否かを表す仕様データが、オプション仕様項目「トランク」の仕様データに上書きされる。
その後、WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、各エレベータの仕様管理情報400に記述されている仕様データのうち、空値以外のものを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。この要求に応じて、データベースサーバ20は、各検索キーに対応付けられたオプション見積り価格301をオプション価格データベース21Bからそれぞれ取り出し、それらをWWWサーバ10に返信する。
WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、この返信データを受付けると、その返信データに含まれていたオプション見積り価格をエレベータごとに集計する。そして、検討済み情報500に含まれていた基本価格を各集計値にそれぞれ加算し、それらの加算値を、エレベータ各機の購入価格の見積り額とする。さらに、エレベータ各機の購入価格の見積り額を集計し、その集計値を、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額とする。そして、WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、エレベータ1台当たりの購入価格の見積り額と、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額とを建築設計者用端末60に送信する。あわせて、エレベータ1台当たりの購入価格の見積り額の算出に用いた各オプション見積り価格およびその検索に用いた仕様データも、エレベータ1台当たりの購入価格の見積り額の内訳として建築設計者用端末60に送信する。
これにより、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上には、図20に示した価格見積り額表示ページ700が開かれる(S2006)。この価格見積り額表示ページ700上には、各エレベータ1台当たりの購入価格の見積り額702とその見積り額の内訳703、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額701が表示されるとともに、OKボタン704が配置されている。建築設計者が、この価格見積り額表示ページ700上で見積り額等を確認してから、さらにOKボタン704をクリックすると、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上には、再度、エレベータシンボル表示ページ660が開かれる。
一方、エレベータ購入価格の見積りを必要としない建築設計者が、エレベータシンボル表示ページ660上の見積りボタン663をクリックせずに(S2005)、エレベータシンボル表示ページ660上の2つのアンダーライン付き文字「Y」「N」665のうちのいずれか一方の文字をクリックすると(S2007)、以下に示すように、クリックした文字に応じた処理が実行される。なお、すでに見積り額等を確認した建築設計者が、再表示されたエレベータシンボル表示ページ660上の2つのアンダーライン付き文字「Y」「N」665のうちのいずれか一方の文字をクリックした場合も、同様な処理が実行される。
エレベータシンボル表示ページ660上の一方のアンダーライン付き文字「N」がクリックされると(S2007)、再度、トップページ600が建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上で開かれ、それまで表示されていたCADシンボルおよび設定データ等の情報が建築設計者用端末60上から失われる(S2009)。したがって、例えば、エレベータの購入価格の見積り額等の参照によって、エレベータ本体についての要求仕様を再検討する必要があると判断した場合等には、建築設計者は、ここで、エレベータシンボル表示ページ660上の一方のアンダーライン付き文字「N」をクリックすればよい。
これに対して、エレベータシンボル表示ページ660上の他方のアンダーライン付き文字「Y」がクリックされると(S2007)、トップページ600で入力済みの案件ID、エレベータシンボル表示ページ660上に表示中のCADシンボルおよび設定データを含むデータ保存要求が建築設計者用端末60からWWWサーバ10に送信され、そらの情報を保存するための以下の処理(S2008)が実行される。したがって、表示中のCADシンボルがその後の建築設計作業に必要と判断した場合には、建築設計者は、ここで、エレベータシンボル表示ページ660上のアンダーライン付き文字「Y」をクリックする必要がある。
WWWサーバ10のシンボル提供依頼受付け部12は、建築設計者用端末60からデータ保存要求を受け付けると、それに含まれていた案件IDを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。データベースサーバ20は、この要求を受け付けると、検索キー(案件ID)に対応付けられた総合仕様管理情報を顧客仕様管理データベース21Cから取り出す。そして、データベースサーバ20は、このとき得られた総合仕様管理情報をWWWサーバ10に返信する。
つぎに、WWWサーバ10のシンボル提供依頼受付け部12は、データ保存要求に含まれていた各エレベータの設定データのうち、オプション仕様項目の仕様データに該当するものを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。この要求に応じて、データベースサーバ20は、各検索キーに対応付けられたオプション見積り価格301をオプション価格データベース21Bからそれぞれ取り出し、それらをWWWサーバ10に返信する。WWWサーバ10のシンボル提供依頼受付け部12は、この返信データを受け付けると、それに含まれていたオプション見積り価格と、その検索キーとして用いられた仕様データとによって、総合仕様管理情報の各仕様管理情報を修正する。具体的には、各エレベータごとに、それぞれ、オプション価格データベース21Bから取り出されたオプション見積り価格およびその検索キーとして用いられた仕様データを、仕様管理情報400の所定仕様項目の見積り価格403および仕様データ403に上書きする。
その後、WWWサーバ10のシンボル提供依頼受付け部12は、この総合仕様管理情報のデータベース登録をデータベースサーバ20に要求する。この要求に応じたデータベースサーバ20によって、顧客仕様管理データベース21Cに登録されている総合仕様管理情報群のうち、データ保存要求に含まれていた案件IDに対応する総合仕様管理情報が、新たな総合仕様管理情報で更新される。
また、WWWサーバ10のシンボル提供依頼受付け部12は、データ保存要求に含まれていた各エレベータの設定データおよびCADシンボル、現在の日付のデータベース登録をデータベースサーバ20に要求する。これに応じて、データベースサーバ20は、顧客仕様管理データベース21Cに登録されている検討済み情報群のうち、データ保存要求に含まれていた案件IDに対応する検討済み情報500に、それらの情報を登録する。これにより、データ保存要求に含まれていた案件IDに対応する検討済み情報500は、サービス名「エレベータCADシンボル提供」501に対応付けられた各フィールド502,503,504に、サービス提供日、ユーザ提供情報、ユーザ取得情報として、現在の日付、各エレベータの設定データ(エレベータ用途、ドア開き方向、カゴ容量、トランク有無、搬送速度、カウンターウエイト位置)、各エレベータのCADシンボルが記述される。
このようにして顧客仕様管理データベース21Cのデータ更新が終了すると、その旨のメッセージが、データベースサーバ20から、WWWサーバ11を介して建築設計者用端末60に送信される。このメッセージを受け付けた建築設計者用端末60側では、エレベータ設計支援サイトのトップページ(図8参照)がディスプレイ装置63上で再度開かれるとともに、今回提供されたサービスのサービス名「エレベータCADシンボル提供サービス」が建築設計者用端末60のブラウザ61によって保存される。
このように、本実施の形態に係るエレベータ設計支援処理の第二段階によれば、建築設計者は、自己の建築設計中の建屋に設置するエレベータ本体の仕様が完全には決まっていない段階であっても、その時点までに決まっている要求仕様が反映された標準的なエレベータまたはエレベータ集合体の購入価格の見積り額およびその内訳を知ることができる。このため、建築設計者は、エレベータ本体について現時点までに決めてある要求仕様を、自己が建築設計中の建屋の予算との兼ね合いで変更する必要があるかどうかを検討することができる。その結果、エレベータの仕様が完全に決まってしまってから、その仕様を建屋全体の予算との関係で大幅に変更しなければならないことが判明するような事態の発生が防止される。
(3)第三段階(S3000)
図14に、この第三段階(S3000)における処理のフローチャートを示す。
建築設計者は、その後の建築設計の過程において、設備設計者に据付図作成を依頼することができる段階にまできたら、再度、自己の建築設計者用端末60とWWWサーバ10とのコネクションを確立し、自己の建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上でエレベータ設計支援サイトのトップページ600を開く。
前回のサーバアクセス時に保存しておいたCADシンボルを用いて建築図データを作成した建築設計者が、トップページ600上の案件ID入力ボックス601に案件IDを入力してからリターンキーを押すと、トップページ600上のテキストがそのスタイルを変化させる。具体的には、トップページ600上の提供サービス名一覧のうち、入力案件IDに対応付けられた保存中のサービス名「エレベータCADシンボル提供サービス」603の次に表示されているサービス名、すなわち、建築設計者が次に提供を受けるべきサービスのサービス名「エレベータ据付図作図サービス」604が強調表示となる。これにより、建築設計者は、前回のサーバアクセスから相当時間経過していても、今回のサーバアクセスで最初に受けるべきサービスを一見して把握することができる。
ここで、建築設計者が、提供サービス「エレベータ据付図作図サービス」604を選択すると、案件IDを含む検討済み情報検索要求が、WWWサーバ10に送信される。WWWサーバ10の据付図作図依頼受付け部13は、この検討済み情報検索要求を受け付けると、それに含まれていた案件IDを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。この要求に応じて、データベースサーバ20は、検索キー(案件ID)に対応付けられた検討済み情報500を顧客仕様管理データベース21Cから取り出し、それを返信する(S3001)。
この返信データを受け付けた建築設計者用端末60には、エレベータ設計支援サイトの据付図作図依頼ページが開かれる。図15に示すように、この据付図作図依頼ページ670には、案件ID671が表示されるほか、エレベータの設置台数を入力するためのエレベータ設置台数入力ボックス674、エレベータ設置建屋の用途を入力するための建屋用途入力ボックス672、エレベータ設置ビルのフロアー数を入力するためのビル階床数入力ボックス673、各エレベータの本体の仕様(カゴ容量、搬送速度、ドア開き方向、カウンターウエイト位置)を入力するための入力ボックス675、建築図データのファイル名を入力するための建築図データ入力ボックス676、据付図の希望納期(日付)を入力するための作図納期入力ボックス677、各入力ボックスの設定データの送信を指示するための送信ボタン678が配置されている。この据付図作図依頼ページ670上の各入力ボックス672〜677のデータ設定を行う必要があるが、この場合には、建築図データ入力ボックス676および作図納期入力ボックス677以外の入力ボックス672〜675には、すでにデフォルトデータ(返信データに含まれていた検討済み情報のユーザ提供情報)が設定されている。したがって、建築設計者は、建築図データ入力ボックス676および作図要期入力ボックス677にデータを設定するだけでよい。
さて、ここで、建築設計者が、建築図データ入力ボックス676および作図納期入力ボックス677にデータを設定してから、さらに送信ボタン678をクリックすると、表示中の案件IDと、建築図データ入力ボックス676内のファイル名に該当する建築図データファイルと、その他の入力ボックス672,673,674,675,677内の設定データとを含む据付図作図要求がWWWサーバ10へ送信される(S3002)。
WWWサーバ10は、この据付図作図要求を受け付けると、それに含まれていた建築図データおよび案件IDとのデータベース登録をデータベースサーバに要求する。これに応じて、データベースサーバ20は、それら建築図データファイルと案件IDとを対応付けて建築図管理データベース21Fに登録し、WWWサーバ10にデータベース登録終了を通知する(S3003)。
WWWサーバ10の据付図作図依頼受付け部13は、この通知を受け取ると、建築データファイル名、案件IDおよび納期の要否を通知する設備設計者宛て電子メールの配信をネットワーク上のメールサーバに要求する。設備設計者は、この電子メールを参照することによって、依頼案件の存在およびその納期等を知り、その後、適当な時期が到来したら、案件IDを含む所定のコマンドを自己の設備設計者用端末30に入力する。これにより、設備設計者用端末30上で以下の処理が実行される。
まず、建築データ読込み部31は、案件IDを含むデータベース検索をデータベースサーバ20に要求することによって、その案件IDに対応付けられた建築図データを建築図管理データベース21Fから取得する(S3004)。
つぎに、建築データ読込み部31は、この建築図データが表す建築図上に、1つのCADシンボルの位置を原点とし、かつ、そのCADシンボルの正面方向をY方向とする新たな3次元直交座標系を定義する。そして、昇降路内にでっぱる可能性のある3種類の建築要素(柱、壁、梁)、すなわち、各CADシンボルの近傍に存在する3種類の建築要素(柱、壁、梁)のオブジェクトを建屋の各階ごとに抽出し、それらのオブジェクトを案件IDとともに特徴構造データベース36に登録する。また、建築データ読込み部31は、このとき抽出された3種類の建築要素のオブジェクトのうち、各階の壁オブジェクトと原点のCADシンボルとの平行性をチェックし、原点のCADシンボルに対して各階の壁オブジェクトが傾いていたら、その傾きに応じた回転角だけ、建築図上の全オブジェクトを回転移動させる。また、原点のCADシンボルに対して他のCADシンボルが傾いていたら、その傾きに応じた回転角だけ、建築図上の全オブジェクトを回転移動させる。これにより、建築図上にドラッグ・アンド・ドロップでCADシンボルが配置されたことに起因する、建築図データの誤差が修正される(S3005)。
つぎに、干渉チェック部32が、特徴構造として抽出された各オブジェクトの座標に基づき、それらのオブジェクトが、各CADシンボルの表す占有スペースに食い込んでいないかどうかを判断する(S3006)。
ここで、いずれかのエレベータの占有スペースに食い込んだオブジェクトがあれば、干渉チェック部32は、エレベータと周辺建築要素とが干渉を起こすと判断し、その旨を通知する建築設計者宛て電子メールの配信をネットワーク上のメールサーバに要求する。この電子メールの着信により、建築設計者は、エレベータと周辺建築要素との間に干渉が起こることを認識することができるため、ただちに、作成中の建築図データの変更の検討に入ることができる。そして、建築設計者が、自己のユーザ端末60から設備設計者用端末30へ修正後の建築図データを返信すると、建築データ読込み部31が、修正後の建築図データから特徴構造を抽出し、仕様訂正管理部33が、今回抽出された特徴構造と前回抽出された特徴構造(特徴構造データベース36に格納されている特徴構造)との差分を抽出する(S3007)。そして、今度は、この差分に該当するオブジェクトに関してのみ干渉の有無を再チェックする(S3006)。
一方、いずれのエレベータの占有スペースにもオブジェクトが食い込んでいなければ、干渉チェック部32は、エレベータと周辺建築要素とが干渉を起こさないと判断し、その旨を出力する。設備設計者は、この出力を確認してから、自己の設備設計者用端末30上で据付図の作成を開始することによって、エレベータとその周辺建築要素とが適切な位置関係にあるか否かを確認する手間を省くことできる。したがって、設備設計者は、CADシンボルが表すエレベータの取付構造の強度計算を行い、CADシンボルが表すエレベータの各構成機器を建築図上に配置を行うだけで、建築設計者から依頼された据付図データを完成させることができる(S3008)。
そして、建築設計者から依頼された据付図データを完成させたら、設備設計者は、その据付図データが格納されたファイルと案件IDとを据付図管理データベース21Gに登録するとともに、顧客仕様管理データベース21Cに登録されているその案件の検討済み情報500に、現在の日付け、据付図の作成に使用した建築図データファイル名、据付図データファイル名を、サービス名「エレベータ意匠図作図サービス」501に対応付けられた各フィールド502,503,504の情報として登録する必要がある(S3009)。さらに、据付図完成を通知する電子メールを、据付図作図依頼元に宛てて送信する必要がある(S3010)。
そして、建築設計者は、電子メールの着信によって据付図データの完成を知ると、その据付図データをダウンロードするため、自己の建築設計者用端末60上でブラウザを起動し、図16(a)に示すような据付図ダウンロードページ680を自己の建築設計者用端末のディスプレイ装置63上で開く。この据付図ダウンロードページ680上には、案件IDを入力するための案件入力ボックス681、据付図データのダウンロードを指示するためのアンダーライン付き文字列682が配置されている。この据付図ダウンロードページ680上で、建築設計者が、案件IDを案件入力ボックス681に入力し、さらにアンダーライン付き文字列682をクリックすると、今回提供されたサービスのサービス名「エレベータ据付図作図サービス」と案件入力ボックス681内の案件IDとが建築設計者用端末60のブラウザ61によって保存されるとともに、案件入力ボックス681内の案件IDを含む据付図検索要求がWWWサーバ10に送信される。WWWサーバ10の据付図作図依頼受付け部13は、この据付図検索要求を受け付けると、それに含まれていた案件IDを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。これに応じて、データベースサーバ20は、その案件IDに対応付けられた据付図データファイルを据付図管理データベース21Gから取りだす。そして、この据付図データファイルが建築設計者用端末60にダウンロードされる。これにより、建築設計者は、自己の要求仕様が反映された1台または複数台のエレベータを建屋に適切に据え付けるための据付図を得ることができる。
なお、この第三段階の処理においては、新たな要求仕様データを建築設計者から受け付けていないため、第二段階における見積り額に上乗せされる費用が発生しないと仮定して、エレベータ購入価格を新たに見積っていない。しかし、実際には、据付け図を作成する段階で施工費用等が決定され、エレベータの購入価格の見積り額が変わってくることもある。したがって、図16(b)に示すように、据付図ダウンロードページ680に見積りボタン682を設けておき、この第三段階においても、見積りボタンが建築設計者に選択されたら、第二段階で算出された見積り額を施工費用額等に応じて修正し、その修正後の額をエレベータの購入価格の見積り額として建築設計者に提示するようにしてもよい。
(4)第四段階(S4000)
図17に、この第四段階(S4000)における処理のフローチャートを示す。
建築設計者は、据付図データが完成すると、今度は、エレベータの内装仕様を検討する必要がある。この段階にまできたら、再度、自己の建築設計者用端末60とWWWサーバ10とのコネクションを確立し、自己の建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上でエレベータ設計支援サイトのトップページ600を開く。
設備設計者用端末30で作成された据付図データを入手した建築設計者が、トップページ600上の案件ID入力ボックス601に案件IDを入力してからリターンキーが押すと、トップページ600上のテキストがそのスタイルを変化させる。具体的には、トップページ600上の提供サービス名一覧のうち、入力案件IDに対応付けられている保存中のサービス名「エレベータ据付図作図サービス」604の次に表示されているサービス名、すなわち、建築設計者が次に提供を受けるべきサービスのサービス名「エレベータ意匠図作図サービス」605が強調表示となる。これにより、建築設計者は、今回のサーバアクセスで最初に受けるべきサービスを容易に把握することができる。
ここで、建築設計者が、提供サービス一覧から、希望の提供サービス「エレベータ意匠図作図サービス」605を選択すると、トップページ600上で入力された案件IDを含む検索要求が、WWWサーバ10を介してデータベースサーバ20に送られる。この要求に応じて、データベースサーバ20は、検索キー(案件ID)に対応付けられた検討済み情報500を顧客仕様管理データベース21Cから取り出し、それを返信する(S4001)。
この返信データを受け付けた建築設計者用端末60のディスプレイ装置130には、エレベータ設計支援サイトのエレベータ意匠仕様検討ページが開かれる。図18に示すように、この意匠仕様検討ページ690上には、トップページ600で入力された案件ID691A、検討済み情報のうちの所定の情報(ここでは、建屋用途691B、建屋のフロア数691C、エレベータ1号機についての既定の仕様データ691D)が表示されるほか、エレベータ1号機の内装仕様データを設定するためのツール、例えば、エレベータの天井デザインタイプを選択するためのアイコン群692、エレベータの側板材質を選択するためのリストボックス693、エレベータの床材質を選択するためのリストボックス694、ハンドレールの取付け有無および材質を選択するための2つのチェックボタン695Aおよびリストボックス695B、次のエレベータの内装仕様データの設定処理に進むためのボタン696が配置されている。なお、このエレベータ意匠仕様検討ページ690上には、エレベータ購入価格の見積り要求の送信を指示するための見積りボタン697、各エレベータの内装仕様データ等を保存するか否かを建築設計者に問うメッセージ、メッセージに対する返答を受け付ける2つのアンダーライン付き文字「Y」「N」698も配置されているが、この段階においては、これらは非アクティブ状態になっている。
建築設計者が、このエレベータ意匠仕様検討ページ690上で、エレベータ1号機の内装仕様データの設定を行ってからボタン696をクリックすると、エレベータ1号機についての既定の仕様データ691Dの代わりに、エレベータ2号機についての既定の仕様データが表示され、それまでエレベータ1号機の内装仕様データを設定するためのものであったツール692,693,694,695A,695B,696が、エレベータ2号機の内装仕様データを設定するためのツールとなる。このようにして、建築設計者が、各エレベータの内装仕様データを順次設定すると(S4002)、いずれかのエレベータの内装仕様データのなかに、特殊天井デザインタイプの指定または特殊材質の指定が含まれているか否かが判断される(S4003)。
その結果、特殊天井デザインタイプおよび特殊材質のうちの少なくともいずれか一方の指定が含まれていれば、その後の処理が、後述の第五段階(S5000)に移行する。
一方、特殊天井デザインタイプおよび特殊材質のいずれの指定も含まれていなければ、各エレベータのカゴ容量と、各エレベータのドア開き方向と、各エレベータの内装仕様データ(天井デザインタイプ名、材質データ、ハンドレール取付の有無等)とを含む検索要求が建築設計者端末60からWWWサーバ10に送信される。なお、設置エレベータが1機だけである場合には、建築設計者が、エレベータ意匠仕様検討ページ690上で、エレベータ1号機の内装仕様データの設定を行ってからボタン696をクリックすると、エレベータ1号機についての既定の仕様データ691D等の表示は変化せず、ただちにエレベータ1号機について設定された内装仕様データ等を含む検索要求が建築設計者端末60からWWWサーバ10に送信される。
WWWサーバ10の意匠図作図依頼受付け部15は、この検索要求を受け付けると、各エレベータごとに、カゴ容量、ドア開き方向、内装仕様データ(材質データ、天井デザインタイプ名、ハンドレール取付の有無等)を検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。この要求を受け付けたデータベースサーバ20は、その要求に含まれているデータ(カゴ容量、ドア開き方向、内装仕様データ)に対応付けられたパースデータファイルを意匠図管理データベース21Eから取り出し、それらを返信する(S4004)。
これにより、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上に開かれていたエレベータ意匠仕様検討ページ690上には、図19に示すように、エレベータ1号機についての既定の仕様データ791Dが再表示されるほか、返信データに含まれていたエレベータ1号機のパースデータ699がグラフィカルに表示される。建築設計者が、このエレベータ意匠仕様検討ページ690上でボタン696をクリックするごとに、表示中のパースデータ699等に代えて、つぎのエレベータのパースデータ699等が表示される。そして、最後のエレベータのパースデータ699等が表示されると、見積りボタン697および2つのアンダーライン付き文字「Y」「N」698がアクティブ状態となる(S4005)。なお、設置エレベータが1機だけであれば、そのエレベータのパースデータ699が表示されたときに、すでに、見積りボタン797および2つのアンダーライン付き文字「Y」「N」798がアクティブ状態となっている。
ここで、建築設計者は、以下に示すように、エレベータ購入価格の見積りを必要とする場合であれば、見積りボタン697をクリックし、エレベータ購入価格の見積りを必要としない場合であれば、2つのアンダーライン付き文字「Y」「N」698のいずれか一方をクリックすればよい。
エレベータ購入価格の見積りを必要とする建築設計者が、エレベータ意匠仕様検討ページ690上の見積りボタン697をクリックすると(S4006)、トップページ600で入力済みの案件IDと、エレベータ意匠仕様検討ページ690上で設定した各エレベータの内装仕様データとを含む見積り要求が建築設計者用端末60からWWWサーバ10に送信され、以下のエレベータ価格見積り処理(S4007)が実行される。これにより、建築設計者は、自己の要求仕様を満たす内装を有するエレベータの購入価格の見積り額およびその内訳を知ることができる。
WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、建築設計者用端末60から見積り要求を受け付けると、それに含まれていた案件IDを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。この要求に応じて、データベースサーバ20は、検索キー(案件ID)に対応付けられた総合仕様管理情報および検討済み情報500を顧客仕様管理データベース21Cから取り出して、それらを返信する。
WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、データベースサーバ20からの返信データを受け付けると、その返信データに含まれていた総合仕様管理情報内の各エレベータの仕様管理情報400をそれぞれ修正する。具体的には、エレベータ意匠仕様検討ページ690上で各エレベータについて設定した内装仕様データを、そのエレベータの仕様管理情報400の所定のオプション仕様項目の仕様データ402に上書きする。例えば、各エレベータの仕様管理情報400のオプション仕様項目「床材」の仕様データ402には、それぞれ、建築設計者がそのエレベータの床材質について選択した仕様データを上書きする。
その後、WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、各エレベータの仕様管理情報400に記述されている仕様データのうち、空値以外のものを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。この要求に応じて、データベースサーバ20は、各検索キーに対応付けられたオプション見積り価格301をオプション価格データベース21Bからそれぞれ取り出し、それらをWWWサーバ10に返信する。
WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、この返信データを受付けると、その返信データに含まれていたオプション見積り価格をエレベータごとに集計する。そして、検討済み情報500に含まれていた基本価格を各集計値にそれぞれ加算し、それらの加算値を、エレベータ各機の購入価格の見積り額とする。さらに、エレベータ各機の購入価格の見積り額を集計し、その集計値を、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額とする。そして、エレベータ1台当たりの購入価格の見積り額と、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額とを建築設計者用端末60に送信する。あわせて、エレベータ1台当たりの購入価格の見積り額の算出に用いた各オプション見積り価格およびその検索に用いた仕様データも、エレベータ1台当たりの購入価格の見積り額の内訳として建築設計者用端末60に送信する。
これにより、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上には、図20に示した見積り額表示ページ700が開かれる。この価格見積り表示ページ700上には、前述したように、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額701が表示されるとともに、エレベータ1台当たりの価格の見積り額702およびその内訳703が各エレベータごとに表示される。建築設計者が、この価格見積り表示ページ700上で、見積り額等を確認してからOKボタン704をクリックすると、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上には、再度、エレベータエレベータ意匠仕様検討ページ690が開かれる。
一方、エレベータ購入価格の見積りを必要としない建築設計者が、エレベータ意匠仕様検討ページ690上の見積りボタン697をクリックせずに(S4006)、エレベータ意匠仕様検討ページ690上の2つのアンダーライン付き文字「Y」「N」698のうちのいずれか一方の文字をクリックすると(S4008)、以下に示すように、クリックした文字に応じた処理が実行される。なお、すでに見積り額等を確認した建築設計者が、再表示されたエレベータ意匠仕様検討ページ690上の2つのアンダーライン付き文字「Y」「N」698のうちのいずれか一方の文字をクリックした場合も、同様な処理が実行される。
エレベータ意匠仕様検討ページ690上の一方のアンダーライン付き文字「N」がクリックされると(S4008)、再度、トップページ600が建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上で開かれ、それまで表示されていたエレベータパースおよび内装仕様データ等の情報が建築設計者用端末60上から失われる(S4010)。したがって、例えば、エレベータの購入価格の見積り額等の参照によって、各エレベータの内装についての要求仕様を再検討する必要があると判断した場合等には、建築設計者は、ここで(S4008)、エレベータ意匠仕様検討ページ690上の一方のアンダーライン付き文字「N」をクリックすればよい。
これに対して、エレベータ意匠仕様検討ページ660上の他方のアンダーライン付き文字「Y」がクリックされると(S4008)、トップページ600で入力済みの案件IDと、各エレベータのパースデータファイル名と、各エレベータの内装仕様データとを含むデータ保存要求が建築設計者用端末60からWWWサーバ10に送信され、それらの情報を保存するための以下の処理(S4009)が実行される。したがって、ここで(S4008)、表示中の各内装仕様データがその後の建築設計作業に必要と判断した場合には、建築設計者は、エレベータ意匠仕様検討ページ690上のアンダーライン付き文字「Y」をクリックする必要がある。
WWWサーバ10の意匠図作図依頼受付け部15は、建築設計者用端末60からデータ保存要求を受け付けると、それに含まれていた案件IDを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。データベースサーバ20は、この要求を受け付けると、検索キー(案件ID)に対応付けられた総合仕様管理情報を顧客仕様管理データベース21Cから取り出す。そして、データベースサーバ20は、このとき得られた総合仕様管理情報をWWWサーバ10に返信する。
つぎに、WWWサーバ10の意匠図作図依頼受付け部15は、データ保存要求に含まれていた各内装仕様データ(側板材質データ、床材質データ、天井デザインタイプ名、ハンドレール取付の有無等)を検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。この要求に応じて、データベースサーバ20は、各検索キー(内装仕様データ)に対応付けられたオプション見積り価格301をオプション価格データベース21Bからそれぞれ取り出し、それらをWWWサーバ10に返信する。WWWサーバ10の意匠図作図依頼受付け部15は、この返信データを受け付けると、それに含まれていたオプション見積り価格と、その検索キーとして用いられた内装仕様データとによって、総合仕様管理情報の各仕様管理情報400を修正する。具体的には、各エレベータごとに、それぞれ、オプション価格データベース21Bから取り出されたオプション見積り価格およびその検索キーとして用いられた内装仕様データを、仕様管理情報400の所定仕様項目の見積り価格403および仕様データ403に上書きする。
その後、WWWサーバ10の意匠図作図依頼受付け部15は、この総合仕様管理情報のデータベース登録をデータベースサーバ20に要求する。これに応じて、データベースサーバ20は、顧客仕様管理データベース21Cに登録されている総合仕様管理情報群のうち、データ保存要求に含まれていた案件IDに対応する総合仕様管理情報を、新たな総合仕様管理情報で更新する。
また、WWWサーバ10の意匠図作図依頼受付け部15は、データ保存要求に含まれていた各エレベータの情報(パースデータファイル名、内装仕様データ)と現在の日付とのデータベース登録をデータベースサーバ20に要求する。これに応じて、データベースサーバ20は、顧客仕様管理データベース21Cに登録されている検討済み情報群のうち、データ保存要求に含まれていた案件IDに対応する検討済み情報500に、それらの情報を登録する。これにより、データ保存要求に含まれていた案件IDに対応する検討済み情報500には、サービス名「エレベータ意匠図作図サービス」501に対応付けられた各フィールドに、現在の日付、各エレベータの内装仕様データ(天井デザインタイプ名、材質データ、ハンドレール取付の有無等)、各エレベータのパースデータファイル名が、サービス提供日502、ユーザ提供情報503、ユーザ取得情報504として記述される。
このようにして顧客仕様管理データベース21Cのデータ更新が終了すると、その旨のメッセージが、データベースサーバ20から、WWWサーバ11を介して建築設計者用端末60に送信される。このメッセージを受け付けた建築設計者用端末60側では、図16に示した据付図ダウンロードページとほぼ同様なレイアウトの意匠図ダウンロード画面が開かれる。建築設計者が、この意匠図ダウンロード画面上において、案件ID入力ボックスに案件IDを入力してから、据付図データのダウンロードを指示するためのアンダーライン付き文字列をクリックすると、案件IDを含む意匠図検索要求がWWWサーバ10に送信される。WWWサーバ10の意匠図作図依頼受付け部15は、この要求を受け付けると、それに含まれていた案件IDを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。これに応じて、データベースサーバ20は、その案件IDに対応付けられた検討済み情報500を顧客仕様管理データベース21Cから取り出し、それを、WWWサーバ10に送信する。
WWWサーバ10の意匠図作図依頼受付け部15は、この返信データを受け付けると、そのなかに含まれている検討済み情報500のユーザ取得情報群のうち、サービス名「エレベータ意匠図作図サービス」に対応付けられているユーザ取得情報504を返信データから取り出す。そして、このユーザ取得情報504に含まれている各パースデータファイル名を検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。これに応じて、データベースサーバ20は、各検索キー(パースデータファイル名)に該当するパースデータに対応付けられた意匠図データファイルを意匠図管理データベース21Eから取り出す。これらの意匠図データファイルが、建築設計者用端末60にダウンロードされる。これにより、建築設計者は、1台または複数台のエレベータの内装に自己の要求仕様を反映させるための意匠図を得ることができる。
このように、本実施の形態に係るエレベータ設計支援処理の第四段階によれば、建築設計者は、自己の建築設計中の建屋に設置するエレベータの内装についての要求仕様が決めれば、その要求仕様が内装に反映されたエレベータまたはエレベータ集合体の見積り額およびその内訳を知ることができる。すなわち、建築設計者は、現在抱いている内装イメージをそのまま採用した場合に、エレベータまたはエレベータ集合体の購入価格がどの程度の額になるのかを知ることができる。このため、建築設計者は、エレベータの内装について現時点までに決めてある要求仕様を、自己が建築設計中の建屋の予算との兼ね合いで変更する最終必要があるかどうかを検討することができる。その検討結果に応じて、エレベータの内装仕様を調整することができるため、実際のエレベータ購入価格が大幅な予算オーバーとなる事態の発生が防止される。
なお、ここでは、エレベータ意匠仕様検討ページ690において、エレベータの意匠に関して建築設計者が定める仕様を内装仕様だけとしたが、各フロアのエレベータ出入口の意匠仕様もエレベータ意匠仕様検討ページ690でそれぞれ定めることができるようにしてもよい。このようにする場合には、各フロアのエレベータ出入口に、建築設計者指定の意匠仕様を施すためのオプション見積り価格も、エレベータ各号機の購入価格の見積り価格に加える必要がある。
(5)第五段階(S5000)
図21に、この第五段階(S5000)の前半における処理のフローチャート示す。
前述の第四段階のS4003において、いずれかのエレベータの内装仕様データのなかに、特殊天井デザインタイプおよび特殊材料のうちのいずれか一方の指定が含まれていた場合、建築設計者用端末60では、エレベータ意匠仕様検討ページ690上で設定された内装仕様データが、ブラウザ61によって、提供中のサービス名「エレベータ意匠図作図サービス」と案件IDとに対応付けて保存される。そして、ディスプレイ装置63には、エレベータ設計支援サイトの特殊意匠図作図依頼ページが開かれる。図22に示すように、この特殊意匠図作図依頼ページ710上には、内装仕様データに特殊天井デザインタイプおよび特殊材質のうちの少なくとも一方の指定が含まれていたエレベータについての既定データの確認情報711が表示され、さらに、この確認情報711のうち、特殊指定に関する情報241aの近傍には、ファイル名入力ボックス713が配置される。このファイル名入力ボックス713には、建築設計者が適当な描画ツールで作成した画像データ等が格納されたデザイン情報ファイルのファイル名が入力される。なお、図22には、エレベータ号1機の内装仕様データに特殊天井デザインタイプ名が含まれていた場合に表示される特殊意匠図作図依頼ページ710上のレイアウトが示してある。
建築設計者は、デザイン情報ファイルの電子ファイル名を、この特殊意匠図作図依頼ページ710上のファイル名入力ボックス713に入力する必要がある。例えば、図23に示すような特殊天井デザインをエレベータ1号機に希望している場合であれば、そのデザインの画像データおよびそのデザインの各部の材質データ等が格納されたデザイン情報ファイルのファイル名を、天井デザインタイプに関する表示情報の近傍に配置された入力ボックスに入力すればよい。
また、この特殊意匠図作図依頼ページ710上には、意匠図の希望納期(日付)を入力するための作図納期入力ボックス714が配置されているため、建築設計者は、作図納期入力ボックス714に適当なデータを入力してから、送信ボタン715をクリックする必要がある。
さて、建築設計者が、この特殊意匠図作図依頼ページ710上で、各入力ボックス713,714にそれぞれ適当なデータを入力してから、送信ボタン715をクリックすると、確認情報711と各入力ボックス713,714内の設定データと案件IDとを含むデータ保存要求がWWWサーバ10へ送信される(S5001)。
WWWサーバ10のデザインイメージ生成依頼受付け部14は、このデータ保存要求を受け付けると、それに含まれていたファイル名のデザイン情報ファイルをアップロードする。そして、このデザイン情報ファイルと、データ保存要求に含まれていた確認情報と、案件IDとを含んだデータベース登録要求をデータベースサーバ20に送信する。データベースサーバ20は、この要求を受け付けると、それに含まれていた情報をデザイン情報管理データベース21Hに登録する。その後、WWWサーバ10にデータベース登録終了を通知する(S5002)。
WWWサーバ10のデザインイメージ生成依頼受付け部14は、この通知を受け取ると、案件IDおよび納期を通知する意匠設計者宛て電子メールの配信をネットワーク上のメールサーバに要求する。意匠設計者は、この電子メールの内容を参照することによって、依頼案件の存在およびその納期等を知り、その後、適当な時期が到来したら、案件IDを含む所定のコマンドを自己の意匠設計者用端末40に入力する。これ応じて、意匠設計者用端末40の要求仕様データ読込み部41が、案件IDを含むデータベース検索をデータベースサーバ20に要求し、その案件IDに対応付けられたデザイン情報ファイルおよび確認情報をデザイン情報管理データベース21Hから取得する。意匠設計者は、このとき得られたデザイン情報ファイルおよび確認情報に基づき、エレベータの内装構造を決定する。そして、その決定結果に基づき、エレベータの意匠図データおよびパースデータを作成するとともに、デザイン情報ファイルに含まれていた画像が表すデザインを実現するために必要な費用を見積もる(S5004)。
意匠設計者は、これらの処理を終えたら、デザイン情報ファイルに含まれていた画像が表すデザインを実現するために必要な費用の見積り額(オプション見積り価格)と、所定の規則にしたがって定めた新規なオプション仕様データとを対応付けて、オプション価格データベース21Bに登録する。また、意匠設計者は、完成した意匠図データおよびパースデータを、所定の規則にしたがって定めた新規な名前の電子ファイルにそれぞれ格納し、それらのファイルを内装仕様データとともに意匠図管理データベース21Eに登録する。さらに、意匠設計者は、特殊内装仕様が指定されたエレベータについて作成したパースデータのファイル名、エレベータの特殊内装仕様に関連して登録したオプション仕様データを、依頼案件IDと同じ既登録案件IDに対応付けて、デザイン情報管理データベース21Hに登録する。最後に、依頼案件の意匠図データの完成をWWWサーバ10に通知する(S5005)。
図24および図25に、その後の処理のフローチャート、すなわち、第五段階における後半の処理のフローチャートを示す。
WWWサーバ10のデザインイメージ生成依頼受付け部14は、意匠設計者からの通知を受け取ると、意匠図の完成を通知する建築設計者宛て電子メールの配信をネットワーク上のメールサーバに要求する。建築設計者は、この電子メールの着信によってエレベータ意匠図データ等の完成を知ってから、再度、エレベータ設計支援サイトのエレベータ意匠仕様検討ページ690を開くと、その上の各ツール692,693,694,695A,695Bは、案件IDと提供中のサービス名「エレベータ意匠作図サービス」とに対応して保存されたエレベータ1号機の内装仕様データが設定されたときの状態となっている。すなわち、第四段階のS4002において、建築設計者が、エレベータ1号機の内装仕様データを設定したときの状態が再現されている。そして、ボタン696をクリックすると、その上の各ツール692,693,694,695A,695Bが、今度は、案件IDおよび提供中のサービス名「エレベータ意匠作図サービス」に対応付けて保存されたエレベータ2号機の内装仕様データが設定されたときの状態となる。すなわち、第四段階のS4002において、建築設計者が、エレベータ2号機の内装仕様データを設定したときの状態が再現される。建築設計者が、すべてのエレベータの内装仕様データを確認し終わると、案件ID、各エレベータのカゴ容量と、各エレベータのドア開き方向と、各エレベータの内装仕様データとを含む検索要求が建築設計者端末60からWWWサーバ10に送信される(S5006)。
この検索要求を受け付けたWWWサーバ10のデザインイメージ生成依頼受付け部14は、各エレベータごとに、パースデータファイルのデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。具体的には、内装仕様データに特殊内装仕様の指定を含むエレベータについては、トップページ600で入力済みの案件IDを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求し、内装仕様データに特殊内装仕様の指定を含まないエレベータについては、エレベータ意匠仕様検討ページ690に再表示されたデータ(カゴ容量、ドア開き方向、内装仕様データ)を検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する(S5007)。
その結果、内装仕様データに特殊内装仕様の指定を含むエレベータについては、検索キー(案件ID)に対応付けられたパースデータファイル名のうち、そのエレベータについて作成されたパースデータファイル名がデザイン情報管理データベース21Hから取り出され、さらに、そのパースデータファイル名のパースデータファイルが意匠図管理データベース21Eから取り出される(S5008)。一方、内装仕様データに特殊内装仕様の指定を含まないエレベータについては、カゴ容量、ドア開き方向、内装仕様データに対応付けられたパースデータファイルが意匠図管理データベース21Eから取り出される(S5009)。
WWWサーバ10のデザインイメージ生成依頼受付け部14は、すべてのエレベータについてパースデータファイルを取得し終わると(S5010)、それらのパースデータファイルを建築設計者用端末60に送信する。これにより、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上に開かれていたエレベータ意匠仕様検討ページ690上には、第四段階の場合と同様、エレベータ1号機についての既定の仕様データ791Dが再表示されるほか、返信データに含まれていたエレベータ1号機のパースデータ699がグラフィカルに表示される。そして、建築設計者が、このエレベータ意匠仕様検討ページ690上でボタン696をクリックするごとに、表示中のパースデータ699等に代えて、つぎのエレベータのパースデータ699等が表示される。そして、最後のエレベータのパースデータ699等が表示されると、見積りボタン697および2つのアンダーライン付き文字「Y」「N」698がアクティブ状態となる(S5011)。ここで、建築設計者は、以下に示すように、エレベータ購入価格の見積りを必要とする場合であれば、見積りボタン697をクリックし、エレベータ購入価格の見積りを必要としない場合であれば、2つのアンダーライン付き文字「Y」「N」698のいずれか一方をクリックすればよい。
エレベータ購入価格の見積りを必要とする建築設計者が、エレベータ意匠仕様検討ページ690上の見積りボタン697をクリックすると(S5012)、トップページ600で入力済みの案件IDと、エレベータ意匠仕様検討ページ690上に再表示された各エレベータの内装仕様データとを含む見積り要求が建築設計者用端末60からWWWサーバ10に送信され、以下のエレベータ価格見積り処理(S5013)が実行される。これにより、建築設計者は、自己の要求仕様を満たす特殊内装を有するエレベータの購入価格の見積り額およびその内訳を知ることができる。
WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、建築設計者用端末60から見積り要求を受け付けると、それに含まれていた案件IDを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。この要求に応じて、データベースサーバ20は、検索キー(案件ID)に対応付けられた総合仕様管理情報および検討済み情報500を顧客仕様管理データベース21Cから取り出し、それらを返信する。WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、この返信データを受け付けると、そのなかに含まれていた総合仕様管理情報内の各エレベータの仕様管理情報400をそれぞれ修正する。具体的には、各エレベータごとに、それぞれ、見積り要求に含まれていた内装仕様データを仕様管理情報400の所定のオプション仕様項目の仕様データ402に上書きする。
さらに、WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、内装仕様データに特殊内装仕様の指定を含むエレベータに関して、案件IDを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。これに応じて、データベースサーバ20は、検索キー(案件ID)に対応付けられたオプション仕様データをデザイン情報管理データベース21Hから取り出し、それを返信する。WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、この返信データを受け付けると、総合仕様管理情報内の仕様管理情報のうち、内装仕様データに特殊内装仕様の指定を含むエレベータの仕様管理情報400をさらに修正する。具体的には、エレベータの仕様管理情報400に含まれた仕様データのうち、特殊内装仕様の指定が記述されている仕様データ402に、その特殊内装仕様に割り当てられたオプション仕様データを上書きする。
その後、WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、各エレベータの仕様管理情報400に記述されている仕様データのうち、空値以外のものを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。この要求に応じて、データベースサーバ20は、各検索キーに対応付けられたオプション見積り価格301をオプション価格データベース21Bからそれぞれ取り出し、それらをWWWサーバ10に返信する。WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、この返信データを受付けると、その返信データに含まれていたオプション見積り価格をエレベータごとに集計する。そして、検討済み情報500に含まれていた基本価格を各集計値にそれぞれ加算し、それらの加算値を、エレベータ各機の購入価格の見積り額とする。さらに、エレベータ各機の購入価格の見積り額を集計し、その集計値を、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額とする。そして、エレベータ1台当たりの購入価格の見積り額と、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額とを建築設計者用端末60に送信する。あわせて、エレベータ1台当たりの購入価格の見積り額の算出に用いた各オプション見積り価格およびその検索に用いた仕様データも、エレベータ1台当たりの購入価格の見積り額の内訳として建築設計者用端末60に送信する。
これにより、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上には、図20に示した価格見積り表示ページ700が開かれる。この価格見積り表示ページ700上には、前述したように、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額701が表示されるとともに、エレベータ1台当たりの価格の見積り額702およびその内訳703が各エレベータごとに表示される。建築設計者が、この価格見積り表示ページ700上で、見積り額等を確認してからOKボタン704をクリックすると、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上には、再度、エレベータエレベータ意匠仕様検討ページ690が開かれる。
一方、エレベータ購入価格の見積りを必要としない建築設計者が、エレベータ意匠仕様検討ページ690上の見積りボタン697をクリックせずに(S5012)、エレベータ意匠仕様検討ページ690上の2つのアンダーライン付き文字「Y」「N」698のうちのいずれか一方の文字をクリックすると(S5014)、以下に示すように、クリックした文字に応じた処理が実行される。なお、すでに見積り額等を確認した建築設計者が、再表示されたエレベータ意匠仕様検討ページ690上の2つのアンダーライン付き文字「Y」「N」698のうちのいずれか一方の文字をクリックした場合も、同様な処理が実行される。
エレベータ意匠仕様検討ページ690上の一方のアンダーライン付き文字「N」がクリックされると(S5014)、再度、トップページ600が建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上で開かれ、それまで表示されていたエレベータパースおよび内装仕様データ等の情報が建築設計者用端末60上から失われる(S5016)。したがって、例えば、エレベータの購入価格の見積り額等の参照によって、各エレベータの内装についての要求仕様を再検討する必要があると判断した場合等には、建築設計者は、ここで(S5014)、エレベータ意匠仕様検討ページ690上の一方のアンダーライン付き文字「N」をクリックすればよい。
これに対して、エレベータ意匠仕様検討ページ660上の他方のアンダーライン付き文字「Y」がクリックされると(S5014)、トップページ600で入力済みの案件IDと、各エレベータのパースデータファイル名と、エレベータ意匠仕様検討ページ660上で再表示された各エレベータの内装仕様データとを含むデータ保存要求が建築設計者用端末60からWWWサーバ10に送信され、それらの情報を保存するための以下の処理(S5015)が実行される。したがって、ここで(S5014)、表示中の各内装仕様データがその後の建築設計作業に必要と判断した場合には、建築設計者は、エレベータ意匠仕様検討ページ690上のアンダーライン付き文字「Y」をクリックする必要がある。
WWWサーバ10の意匠図作図依頼受付け部15は、建築設計者用端末60からデータ保存要求を受け付けると、それに含まれていた案件IDを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。データベースサーバ20は、この要求を受け付けると、検索キー(案件ID)に対応付けられた総合仕様管理情報を顧客仕様管理データベース21Cから取り出し、それを返信する。WWWサーバ10の意匠図作図依頼受付け部15は、この返信データを受け付けると、それに含まれていた案件IDを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。この要求に応じて、データベースサーバ20は、検索キー(案件ID)に対応付けられた総合仕様管理情報を顧客仕様管理データベース21Cから取り出し、それを返信する。
WWWサーバ10の意匠図作図依頼受付け部15は、この返信データを受け付けると、そのなかに含まれていた総合仕様管理情報内の各エレベータの仕様管理情報400をそれぞれ修正する。具体的には、各エレベータごとに、それぞれ、データ保存要求に含まれていた内装仕様データを仕様管理情報400の所定のオプション仕様項目の仕様データ402に上書きする。
さらに、WWWサーバ10の意匠図作図依頼受付け部15は、内装仕様データに特殊内装仕様の指定を含むエレベータに関して、案件IDを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。これに応じて、データベースサーバ20は、検索キー(案件ID)に対応付けられたオプション仕様データをデザイン情報管理データベース21Hから取り出し、それを返信する。WWWサーバ10の意匠図作図依頼受付け部15は、この返信データを受け付けると、総合仕様管理情報内の仕様管理情報のうち、内装仕様データに特殊内装仕様の指定を含むエレベータの仕様管理情報400をさらに修正する。具体的には、エレベータの仕様管理情報400に含まれた仕様データのうち、特殊内装仕様の指定が記述されている仕様データ402に、その特殊内装仕様に割り当てられたオプション仕様データを上書きする。
その後、WWWサーバ10の意匠図作図依頼受付け部15は、各エレベータの仕様管理情報400に記述されている仕様データのうち、空値以外のものを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。この要求に応じて、データベースサーバ20は、各検索キーに対応付けられたオプション見積り価格301をオプション価格データベース21Bからそれぞれ取り出し、それらをWWWサーバ10に返信する。
WWWサーバ10の意匠図作図依頼受付け部15は、この返信データを受け付けると、それに含まれていたオプション見積り価格と、その検索キーとして用いられた内装仕様データとによって、総合仕様管理情報の各仕様管理情報400を修正する。具体的には、各エレベータごとに、それぞれ、オプション価格データベース21Bから取り出されたオプション見積り価格およびその検索キーとして用いられた内装仕様データを、仕様管理情報400の所定仕様項目の見積り価格403および仕様データ403に上書きする。
その後、WWWサーバ10の意匠図作図依頼受付け部15は、この総合仕様管理情報のデータベース登録をデータベースサーバ20に要求する。これに応じて、データベースサーバ20は、顧客仕様管理データベース21Cに登録されている総合仕様管理情報群のうち、データ保存要求に含まれていた案件IDに対応する総合仕様管理情報を、新たな総合仕様管理情報で更新する。
つぎに、WWWサーバ10の意匠図作図依頼受付け部15は、データ保存要求に含まれていた各エレベータの情報(パースデータファイル名、内装仕様データ)と現在の日付とのデータベース登録をデータベースサーバ20に要求する。これに応じて、データベースサーバ20は、顧客仕様管理データベース21Cに登録されている検討済み情報群のうち、データ保存要求に含まれていた案件IDに対応する検討済み情報500に、それらの情報を登録する。これにより、データ保存要求に含まれていた案件IDに対応する検討済み情報500には、サービス名「エレベータ意匠図作図サービス」501に対応付けられた各フィールドに、現在の日付、各エレベータの内装仕様データ(天井デザインタイプ名、材質データ、ハンドレール取付の有無等)、各エレベータのパースデータファイル名が、サービス提供日502、ユーザ提供情報503、ユーザ取得情報504として記述される。
このようにして顧客仕様管理データベース21Cのデータ更新が終了すると、その旨のメッセージが、データベースサーバ20から、WWWサーバ11を介して建築設計者用端末60に送信される。このメッセージを受け付けた建築設計者用端末60側では、図16に示した据付図ダウンロードページとほぼ同様なレイアウトの意匠図ダウンロード画面が開かれる。建築設計者が、この意匠図ダウンロード画面上において、案件ID入力ボックスに案件IDを入力してから、据付図データのダウンロードを指示するためのアンダーライン付き文字列をクリックすると、案件IDを含む意匠図検索要求がWWWサーバ10に送信される(S5017)。
WWWサーバ10の意匠図作図依頼受付け部15は、この要求を受け付けると、それに含まれていた案件IDを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。これに応じて、データベースサーバ20は、その案件IDに対応付けられた検討仕様済み情報500を顧客仕様管理データベース21Cから取り出し、それを、WWWサーバ10に送信する。WWWサーバ10の意匠図作図依頼受付け部15は、その返信データを受け付けると、そのなかに含まれている検討仕様済み情報500のユーザ取得情報群のうち、サービス名「エレベータ意匠図作図サービス」501に対応付けられているユーザ取得情報504を取り出す。そして、このユーザ取得情報504に含まれている各パースデータファイル名を検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。これに応じて、データベースサーバ20は、各検索キー(パースデータファイル名)に該当するパースデータに対応付けられた意匠図データファイルを意匠図管理データベース21Eから取り出す(S5018)。これらの意匠図データファイルが、建築設計者用端末60にダウンロードされる。これにより、建築設計者は、1台または複数台のエレベータの内装に自己の希望する特殊な仕様を反映させるための意匠図を得ることができる(S5019)。
このように、本実施の形態に係るエレベータ設計支援処理の第五段階によれば、建築設計者は、自己の建築設計中の建屋に設置するエレベータに特殊な内装を希望する場合であっても、その仕様が内装に反映されたエレベータまたはエレベータ集合体の見積り額およびその内訳を知ることができる。すなわち、建築設計者は、現在抱いている特殊な内装イメージをそのまま採用した場合に、エレベータまたはエレベータ集合体の購入価格がどの程度の額になるのかを知ることができる。このため、建築設計者は、エレベータの内装について現時点までに決めてある要求仕様を、自己が建築設計中の建屋の予算との兼ね合いで変更する最終必要があるかどうかを検討することができる。その検討結果に応じて、エレベータの内装仕様を調整すれば、実際のエレベータ購入価格が大幅な予算オーバーとなる事態を防止することができる。
以上述べたように、本実施の形態に係るエレベータ設計支援処理によれば、エレベータの仕様が完全には決定されていない段階であっても、未決定の仕様に標準的な仕様が採用されていると仮定して、エレベータの購入価格が見積もられるため、建築設計者は、エレベータの仕様を決めていく各段階において、必要に応じて随時、エレベータの購入価格としてより現実性のある額を把握することができる。すなわち、建築設計者には、建築設計中、自己の要求が予算の点において実現性のあるものかどうかを適正に判断する機会が与えられる。
以上においては、各オプション仕様の実現に必要となる費用をオプション見積り額としてそれぞれオプション価格データベース21Bに登録しておき、建築設計者指定のオプション仕様の実現に必要となるオプション見積り額をオプション価格データベース21Bから取得するようにしているが、必ずしも、このようにする必要はない。例えば、オプション仕様の実現に必要となる費用を、オプション仕様の部品展開によって求めるようにしてもよい。具体的には、オプション仕様に用いられる組立て品を最小部品(それ以上展開できない部品)まで展開することによって、オプション仕様の所要最小部品を求め、それら所要最小部品の価格の合計を、オプション仕様の実現に必要な費用として求めるようにすればよい。ただし、この場合、オプション仕様に用いる組立て品を最上位とする部品間の親子関係が格納された部品表データベースと、最小単位の各部品の価格(材料費等)が登録された原価データベースとを、オプション価格データベース21Bの代わりに設けておく必要がある。さらに、子部品から親部品が形成されるまでに要する経費(加工費、組立て費等)を、部品間の親子関係に対応付けて原価データベースに登録しておき、オプション仕様の部品展開により得られる親子関係に対応付けられた経費も、オプション仕様の所要最小部品の合計価格に加算されるようにすれば、エレベータ購入価格をより正確に見積もることができる。
なお、以上では、第二段階以下の処理において、前段階の処理において定められた仕様項目の仕様データもWWWサーバ10に送信されるようにしているが、前段階の処理において定められた仕様データに変更が加えられる可能性がない場合には、前段階の処理において定められた仕様データ以外の仕様データと案件IDとがWWWサーバ10に送信されるようにしてもよい。前段階の処理において定められた仕様データは、案件IDを検索キーとするデータベース検索によって取得することができるからである。このことは、以下においても同様である。
以上の第二段階〜第五段階の処理においては、仕様データが未設定のオプション仕様項目に、デフォルトとして定められた仕様データが設定されているものとして、エレベータ購入価格の見積り額を算出しているが、それ以外の方法によって、エレベータ購入価格を見積もるようにしてもよい。以下、エレベータ購入価格の見積り方法の他の具体例を挙げておく。
(1)エレベータ購入価格の見積り額を直接取得することができるデータベースを、第二段階〜第五段階の各段階ごとに設ける方法
この方法を採用する場合には、図35に示すように、オプション価格データベース21Bに代えて、以下の3種類のエレベータ見積り価格管理データベース(CADシンボル提供サービス用エレベータ見積り価格管理データベース21B1、据付図作図サービス用エレベータ見積り価格管理データベース21B2、意匠仕様検討サービス用エレベータ見積り価格管理データベース21B3)を、データベースサーバ20の外部記憶装置21に設ける必要がある。
CADシンボル提供サービス用エレベータ見積り価格管理データベース21B1には、CADシンボル提供サービスにおいて見積り要求がなされるまでに定まる仕様項目のうち、エレベータ1台当たりの購入価格に影響を与える仕様項目の仕様データに、エレベータ1台当たりの購入価格を対応付けた情報が格納されている。具体的には、図36に示すように、エレベータ1台当たりの購入価格に影響を与える仕様項目(ここでは、エレベータ用途、ドア開き方向、トランクの有無、搬送速度、階床数とする)の仕様データ3501とエレベータ1台当たりの購入価格の見積り額3502との対応情報が登録されたエレベータ見積り価格管理テーブル3500が建屋用途ごとに格納されている。なお、このエレベータ見積り価格管理テーブル3500に登録されている見積り額3502は、対応する仕様データ3501を満す、標準的な内装が施されたエレベータ1台当たりの価格である。
据付図作図サービス用エレベータ見積り価格管理データベース21B2には、据付図作図サービスにおいて見積り要求がなされるまでに定まる仕様項目のうち、エレベータ1台当たりの購入価格に影響を与える仕様項目の仕様データに、エレベータ1台当たりの購入価格を対応付けた情報が格納されている。具体的には、図37に示すように、エレベータ1台当たりの購入価格に影響を与える仕様項目(ここでは、エレベータ用途、ドア開き方向、トランクの有無、搬送速度、ガイドレールサイズ、階床数とする)の仕様データ3601とエレベータ1台当たりの購入価格の見積り額3602との対応情報が登録されたエレベータ見積り価格管理テーブル3600が建屋用途ごとに格納されている。なお、このエレベータ見積り価格管理テーブル3600に登録されている見積り額3602は、対応する仕様データ3601を満す、標準的な内装が施されたエレベータ1台当たりの価格である。
意匠仕様検討サービス用エレベータ見積り価格管理データベース21B3には、意匠仕様検討サービスにおいて見積り要求がなされるまでに定まる仕様項目のうち、エレベータ1台当たりの購入価格に影響を与える仕様項目の仕様データに、エレベータ1台当たりの購入価格を対応付けた情報が格納されている。具体的には、図38に示すように、エレベータ1台当たりの購入価格に影響を与える仕様項目(ここでは、エレベータ用途、ドア開き方向、トランクの有無、搬送速度、レールサイズ、フロア数、側板材質、床材材質、ハンドレールの有無および材質、天井デザインパタン名とする)の仕様データ3701とエレベータ1台当たりの購入価格の見積り額3702との対応情報が登録されたエレベータ見積り価格管理テーブル3700が建屋用途ごとに格納されている。なお、このエレベータ見積り価格管理テーブル3700に登録されている見積り額3702は、対応する仕様データ3701を満す、標準的な内装が施されたエレベータ1台当たりの価格である。
第二段階〜第四段階の各処理においては、これらの見積り価格管理データベース21B1,21B2,21B3を利用して、以下のように、エレベータの購入価格の見積り額が定められる。
i)第二段階(S2000)の処理(図6、図11参照)
第二段階の処理では、エレベータシンボル表示ページ660の見積りボタン669がクリックされると(S2005)、S2006において、以下の処理が実行される。
表示中のデータ662,666A,666Bのうち、エレベータ1台当たりの購入価格に影響を与える仕様項目(ここでは、建屋用途、フロア数、エレベータ用途、ドア開き方向、トランクの有無、搬送速度)の仕様データを含んだ見積り要求が建築設計者用端末60からWWWサーバ10に送信される。この見積り要求を受け付けたWWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、その見積り要求に含まれていた情報(建屋用途、フロア数、エレベータ用途、ドア開き方向、トランクの有無、搬送速度)を検索キーとするデータベース検索を、エレベータの各号ごとにデータベースサーバ20に要求する。これらのデータベース要求のそれぞれに応じて、データベースサーバ20は、CADシンボル提供サービス用エレベータ見積り価格管理データベース21B1を検索し、検索キーの1つ(建屋用途)に対応付けられたエレベータ見積り価格管理テーブル3500から、残りの検索キー(フロア数、エレベータ用途、ドア開き方向、トランクの有無、搬送速度)に対応付けられた見積り額3502を取り出す。そして、データベースサーバ20は、このとき得られた、エレベータ各号機の見積り額をWWWサーバ10に返信する。
WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、この返信データを受付けると、その返信データに含まれていた、エレベータ各号機の見積り額を合計し、その合計値を、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額とする。そして、WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、エレベータ各号機の購入価格の見積り額と、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額とを建築設計者用端末60に送信する。
これにより、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上には、エレベータ各号機の購入価格の見積り額と、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額とが表示された価格見積り額表示ページ700が開かれる。
なお、ここでは、見積り価格の内訳けを価格見積り額表示ページ700に表示しないこととしたが、CADシンボル提供サービス用エレベータ見積り価格管理データベース21B1のエレベータ見積り価格管理テーブル3500に、エレベータ購入価格の見積り額3502の内訳けを格納しておくことによって、前述の場合と同様、エレベータ購入価格の見積り額の内訳けが価格見積り額表示ページ700に表示されるようにしてもよい。
ii)第三段階(S3000)の処理(図6、図14参照)
第三段階の処理では、S3008において、設備設計者は、据付図の作成中、エレベータ1台当たりの購入価格に影響を与える仕様項目の仕様データとして、各エレベータのガイドレールサイズを決定する。そこで、ここでは、建築設計者から依頼された据付図データが完成されたら、顧客仕様管理データベース21Cに登録されている検討済み情報500のユーザ提供情報として、各エレベータのガイドレールのサイズが、前述の建築図データファイル名とともに登録されるようにする(S3009)。
そして、エレベータ購入価格の見積りを必要とする建築設計者が、据付図ダウンロードページ680上で、案件入力ボックス681に案件IDを入力してから見積りボタン682をクリックすると、案件入力ボックス681内の案件IDを含む見積り要求が、建築設計者用端末60からWWWサーバ10に送信され、以下のエレベータ価格見積り処理が実行される。
この見積り要求に応じて、WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、その要求に含まれていた案件IDを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。この要求に応じて、データベースサーバ20は、検索キー(案件ID)に対応付けられた検討済み情報500を顧客仕様管理データベース21Cから取り出して、それを返信する。
WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、データベースサーバ20からの返信データを受け付けると、その返信データに含まれていた検討済み情報500のうちの所定の情報(建屋用途、フロア数、エレベータ用途、ドア開き方向、トランクの有無、搬送速度、ガイドレールサイズ)を検索キーとするデータベース検索をエレベータ各号機ごとにデータベースサーバ20に要求する。これらの要求のそれぞれに応じて、データベースサーバ20は、据付図作図サービス用エレベータ見積り価格管理データベース21B2を検索し、検索キーの1つ(建屋用途)に対応付けられたエレベータ見積り価格管理テーブル3600から、残りの検索キー(フロア数、エレベータ用途、ドア開き方向、トランクの有無、搬送速度、ガイドレールサイズ)に対応付けられた見積り額3602を取り出す。そして、データベースサーバ20は、このとき得られた、エレベータ各号機の見積り額をWWWサーバ10に返信する。
WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、この返信データを受付けると、その返信データに含まれていた、エレベータ各号機の見積り額を合計し、その合計値を、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額とする。そして、WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、エレベータ各号機の購入価格の見積り額と、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額とを建築設計者用端末60に送信する。
これにより、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上には、エレベータ各号機の購入価格の見積り額と、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額とが表示された価格見積り額表示ページが開かれる。
なお、ここでは、見積り価格の内訳けを価格見積り額表示ページに表示しないこととしたが、据付図作図サービス用エレベータ見積り価格管理データベース21B2のエレベータ見積り価格管理テーブル3600に、エレベータ購入価格の見積り額3602の内訳けを格納しておくことによって、エレベータ購入価格の見積り額の内訳けが価格見積り額表示ページに表示されるようにしてもよい。
また、ここでは、エレベータ購入費用に影響を与える仕様項目の仕様データとして、ガイドレールサイズだけを設備設計者が定めることとしているが、実際には、それ以外にも、エレベータ購入費用に影響を与える仕様項目の仕様データを設備設計者が定める可能性がある。そのような可能性がある場合には、その仕様データも、エレベータ1台当たりの購入価格の見積り額の検索キーとして用いられるように、その仕様データを、さらに、据付図作図サービス用エレベータ見積り価格管理データベース21B2の仕様データ3601に付加しておけばよい。
iii)第四段階(S4000)の処理(図6、図17参照)
第四段階の処理では、エレベータ意匠仕様検討ページ690上の見積りボタン697がクリックされると(S4006)、S4007において、以下の処理が実行される。
トップページ600で入力済みの案件IDと、エレベータ意匠仕様検討ページ690上で設定した各エレベータの内装仕様データとを含む見積り要求が建築設計者用端末60からWWWサーバ10に送信される。WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、建築設計者用端末60からの見積り要求を受け付けると、それに含まれていた案件IDを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。この要求に応じて、データベースサーバ20は、検索キー(案件ID)に対応付けられた検討済み情報500を顧客仕様管理データベース21Cから取り出して、それらを返信する。
WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、データベースサーバ20からの返信データを受け付けると、その返信データに含まれていた検討済み情報500のうちの所定の情報(建屋用途、フロア数、エレベータ用途、ドア開き方向、トランクの有無、搬送速度、ガイドレールサイズ)と、建築設計者用端末60からの見積り要求に含まれていた内装仕様データとを検索キーとするデータベース検索を、エレベータ各号機ごとにデータベースサーバ20に要求する。これらの要求のそれぞれに応じて、データベースサーバ20は、意匠仕様検討サービス用エレベータ見積り価格管理データベース21B3を検索し、検索キーの1つ(建屋用途)に対応付けられたエレベータ見積り価格管理テーブル3700から、残りの検索キー(フロア数、エレベータ用途、ドア開き方向、トランクの有無、搬送速度、ガイドレールサイズ、天井デザインパタン名、側板材質、床材質、ハンドレールの有無および材質)に対応付けられた見積り額3702を取り出す。そして、データベースサーバ20は、このとき得られた、エレベータ各号機の見積り額をWWWサーバ10に返信する。
WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、この返信データを受付けると、その返信データに含まれていた、エレベータ各号機の見積り額を合計し、その合計値を、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額とする。そして、WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、エレベータ各号機の購入価格の見積り額と、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額とを建築設計者用端末60に送信する。
これにより、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上には、エレベータ各号機の購入価格の見積り額と、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額とが表示された価格見積り額表示ページ700が開かれる。
なお、ここでは、見積り価格の内訳けを価格見積り額表示ページ700に表示しないこととしたが、意匠図仕様検討サービス用エレベータ見積り価格管理データベース21B3のエレベータ見積り価格管理テーブル3500に、エレベータ購入価格の見積り額3702の内訳けを格納しておくことによって、前述の場合と同様、エレベータ購入価格の見積り額の内訳けが価格見積り額表示ページ700に表示されるようにしてもよい。
また、各フロアのエレベータ出入口等のような、各フロアごとに異なる意匠が施される可能性がある仕様項目の仕様データをエレベータ意匠仕様検討ページ690でそれぞれ定めることができるようした場合には、そのような仕様項目の各仕様データと見積り額とを対応付けた見積り価格管理テーブルを別途設けておき、WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16が、この見積り価格管理テーブルの検索によって各フロアごとに得られた見積り額を、意匠仕様検討サービス用エレベータ見積り価格管理データベース21B3から得られた見積り額3702に加算することによって、エレベータ1台当たりの購入価格の見積り額を得るようにすればよい。
(2)過去の取引きにおけるエレベータ実績価格から、エレベータの購入価格を見積もる方法
この方法を採用する場合には、オプション価格データベース21Bに代えて、実際に取引き契約が成立したエレベータの購入価格(実績価格)を、所定の仕様データに対応付けて保存するためのエレベータ実績価格管理データベースを、データベースサーバ20の外部記憶装置21に設ける必要がある。そして、エレベータの取引き契約が成立するごとに、エレベータの実購入価格が、エレベータ実績価格として、そのエレベータの所定の仕様データとともにデータベースに登録されるようにする必要がある。例えば、建築設計者の発注指示を受け付けるボタンをエレベータ意匠仕様検討ページ690等に設けた場合には、そのボタンがクリックされたときに、WWWサーバ10の価格見積り依頼受付け部15が、第四段階または第五段階における最終見積り額を、エレベータの実購入価格としてエレベータ実績価格管理データベースに登録するようにしてもよいし、エレベータ購入価格についての交渉が建築設計者と設備設計者との間で持たれる場合には、エレベータ購入価格についての合意が建築設計者と設備設計者との間で得られたときに、その価格を、設備設計者が、エレベータの実績価格としてデータベースエレベータ実績価格管理に登録するようにするようにしてもよい。
さて、このようなエレベータ実績価格管理データベースの登録データを利用して、以下のように、エレベータ購入価格の見積り額が定められる。なお、ここでは、第一段階(S1000)で建築設計者が指定するフロア数を、エレベータの実績価格(一案件で取り引されたエレベータ全号機トータルの価格)とともにエレベータ実績価格管理データベースに登録される仕様データとした場合を例に挙げることとする。
第一段階(S1000)の処理において、エレベータ機種・台数計画案表示ページ620上の見積りボタン622がクリックされると(S1004)、S1005において、建屋情報のフロア数を含む見積り要求が建築設計者用端末60からWWWサーバ10に送信される。WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、この見積り要求を受け付けると、エレベータ実績価格管理データベースのすべての登録データの検索をデータベースサーバ20に要求する。この要求に応じて、データベースサーバ20は、エレベータ実績価格管理データベースからすべての登録データを取り出し、それらをWWWサーバ10に返信する。
この返信データを受け付けたWWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、フロア数を入力とし、かつ、エレベータ実績価格を出力とするエレベータ実績価格モデルを、その返信データに含まれていたデータ群に基づき算出する。例えば、エレベータ実績価格がフロア数に対して線形であると考えて、最小二乗法により、図39に示すような線形関数3800を、エレベータ実績価格モデルとして算出する。そして、WWWサーバ10の価格見積依頼受付部16は、このとき得られたエレベータ実績価格モデルに、建築設計者用端末60からの見積り要求に含まれていたフロア数を入力することによって、エレベータ実績価格の推定値を算出し、この推定値を、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額として、建築設計者用端末60に返信する。また、最小二乗法を用いたことによる誤差3801も、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額とともに建築設計者用端末60に返信してもよい。
これにより、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上には、設置台数分のエレベータの購入価格の見積り額が表示された価格見積り額表示ページが開かれる。また、WWWサーバ10からの返信データに誤差が含まれていた場合には、それも、設置台数分のエレベータ購入価格の見積り額の変動幅として、価格見積り額表示ページに表示される。
なお、ここでは、WWWサーバ10が見積り要求を受け付けるごとに、エレベータ実績価格モデルを算出しているが、必ずしも、このようにする必要はない。例えば、定期的に、新たなエレベータ実績価格モデルを算出するようにしてもよいし、所定数の取引きが終了するごとに、それらの取引きにおけるエレベータ実績価格と、エレベータ実績価格モデルから得られた推定値との誤差をそれぞれ算出し、それらの誤差の平均が所定の値を超えたら、エレベータ実績価格モデルを新たに算出するようにしてもよい。
また、ここでは、エレベータ実績価格管理データベースのすべての登録データを用いてエレベータ実績価格モデルを算出しているが、適当なグループ別(例えば、建屋用途別、顧客別、エレベータ用途等)にエレベータ実績価格モデルを算出するようにしてよい。このようにする場合には、エレベータ実績価格管理データベースからエレベータ実績価格をグループごとに取り出すことできるように、グループの識別情報(建屋用途、顧客、エレベータ用途等)もエレベータ実績価格とともにエレベータ実績価格管理データベースに登録されるようにする必要がある。そして、例えば、第一段階では、建築設計者指定の建屋用途と建屋用途が共通するグループの登録データをエレベータ実績価格モデルの算出に用い、第二段階では、第一段階でエレベータ実績価格モデル算出に用いた登録データのうち、さらにエレベータ用途も建築設計者指定のエレベータ用途と共通するグループの登録データをエレベータ実績価格モデルの算出に用いる、というように、エレベータ実績価格モデル算出に用いる登録データが順次絞り込まれるようにしてもよい。また、顧客別にエレベータ実績価格モデルを算出するようにした場合には、取引案件数に応じた割引きがなされるように、エレベータ実績価格モデルの傾きが、エレベータ実績価格管理の登録データ数に応じて調整(登録データ数が多ければ、モデルの傾きが小さく)されるようにしてもよい。
また、ここでは、エレベータ実績価格モデルの入力をフロア数としたが、建屋の規模に相関する他の仕様項目の仕様データ(各フロアの居住人口等)をエレベータ実績価格モデルの入力としてもよい。
ところで、以上においては、建築設計者が見積りを希望していた場合に、その時点で定まるエレベータ購入価格の見積り額を建築設計者に提示しているが、さらに、それまでの経緯における見積り額推移を見積り履歴として提示するようにしてもよい。以下、そのような機能を実現させるための構成について、未設定のオプション仕様項目にデフォルト仕様データが設定されているものとしてエレベータ購入価格を見積る前述の場合を例に挙げて説明する。
このようにするには、顧客仕様管理データベース21Cには、さらに、図27に示す仕様履歴情報を登録する必要がある。この仕様履歴情報900には、顧客仕様管理データベース21Cの総合仕様管理情報が更新されるごとに、その更新日の日付901と新たな総合仕様管理情報902とが追加される。すなわち、WWWサーバ20は、建築設計者用端末60からのデータ保存要求に応じて、顧客仕様管理データベース21Cの総合仕様管理情報を新たな総合仕様管理情報で更新すると(第一段階のS1007、第二段階のS2008、第四段階のS4009、第五段階のS5015)、その後さらに、その総合仕様管理情報をその日の日付に対応付けて仕様履歴情報900に追加する。
また、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63に表示される価格見積り表示ページ700上には、図26に示すように、見積り履歴の表示を指示するための見積履歴ボタン705をさらに配置しておく必要がある。この見積履歴ボタン705が建築設計者によってクリックされた場合に、案件IDを含む見積り履歴検索要求が建築設計者用端末60からWWWサーバ20が送信され、以下の処理が実行されるようにすればよい。
WWWサーバ20の価格見積り依頼受付け部16は、建築設計者用端末60からの見積り履歴検索要求を受け付けると、まず、それに含まれていた案件IDを検索キーとするデータベース検索をデータベースサーバ20に要求する。これに応じて、データベースサーバ20が、検索キー(案件ID)に対応付けられた検討済み情報500および仕様履歴情報900を顧客仕様管理データベース21Cから取り出して、それらをWWWサーバ20に返信すると、WWWサーバ20の価格見積り依頼受付け部16は、その返信データに含まれていた仕様履歴情報900に格納されている各総合仕様管理情報902ごとに、それぞれ、第一段階のS1005、第二段階のS2006、第三段階のS4007、第四段階のS5013において用いられた方法と同様な方法によって、エレベータ1台当たりの購入費用の見積り額および設置台分のエレベータの購入費用の見積り額を算出する。そして、その算出結果、すなわち、エレベータ各機の購入費用の見積り額および設置台分のエレベータの購入費用の見積り額を、その算出に用いた総合仕様管理情報の更新日の日付901、すなわち、見積り日に対応付けて、建築設計者用端末60に返信する。あわせて、エレベータ各機の購入価格の見積り額の算出に用いたオプション見積り価格およびその検索に用いた仕様データも、エレベータ1台当たりの購入価格の見積り額の内訳として建築設計者用端末60に送信する。これにより、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63には、図26の価格見積り額表示ページ600上に重ねて、図28に示す見積り履歴表示ページ710が表示される。この見積り表示ページ710上には、スクロールバー付きリストボックス711、ページを閉じるためのボタン717が配置されている。リストボックス711内の複数の項目には、返信データに含まれていた見積り日ごとの情報、すなわち、見積り日の日付け713、設置台分のエレベータの購入費用の見積り額715、各エレベータ1台当たりの購入費用の見積り額714が、見積り日の日付の新しい順にソートされて表示されている。また、エレベータ1台当たりの購入費用の見積り額714の隣には、それぞれ、その見積り額の内訳を表示させるための内訳表示ボタン716が配置されている。いずれかの内訳表示ボタン716がクリックされると、その内訳表示ボタン716の隣の見積り額714の算出に用いられた内訳721が表示されたページ720が開かれる。
このように、それまでの経緯における見積り額推移を見積り履歴として提示することによって、建築設計者は、新たな見積り額と過去の見積り額とを比較検討することができる。なお、ここでは、未設定のオプション仕様項目にデフォルト仕様データが設定されているものとしてエレベータ購入価格を見積もる場合を例に、見積り履歴を建築設計者に提示する処理を説明したが、エレベータ購入価格の見積り額をデータベースから直接取得することとした場合、過去の取引きにおけるエレベータ実績価格からエレベータ購入価格を見積もることとした場合にであっても、各段階で得られた見積り額を仕様履歴情報の代わりに保存しておくようにすれば、建築設計者に見積り履歴を提示することは可能である。
ところで、建築設計者は、自己の建築設計中の建屋に設置するエレベータのおおまかな予算が指定されている場合等には、その予算の範囲で、どのような装備のエレベータを実現できるのか知りたいと思うことがある。そこで、上述のシステムを拡張し、さらに以下の機能を付加することによって、このようなニーズを満足させるようにしてもよい。
この場合のWWWサーバ10は、図29に示すように、ソフトウエア等により実現される機能構成として、図1に示した前述の各機能構成部11,12,13,14,15の他、さらに、(7)エレベータの予算を建築設計者から受け付けると、その予算の範囲で作成したエレベータ仕様案を建築設計者に提供する仕様案作成依頼受付け部17を有している。この仕様案作成依頼受付け部17は、建屋の用途ごとに仕様案作成用情報を有している。図31に示すように、それぞれの仕様案作成用情報910には、エレベータのグレードごとに、そのグレードの名前911、そのグレードのエレベータの標準装備を表す標準仕様情報913、そのグレードに属する装備予算の範囲912が格納されている。そして、標準仕様情報913には、建築設計者が仕様を選択することができるオプション仕様項目ごとに、それぞれ、オプション仕様項目名913A、グレードに応じて設定されたデフォルト仕様データ913Bが格納されている。
そして、エレベータ設計支援サイトのトップページ600でサービス名「エレベータ機種・台数計画サービス」602がクリックされた場合に開かれる建屋情報入力ページ610には、図30に示すように、図9に示した前述のツール611,611A,612,612A,613,613A,614の他、さらに、エレベータの予算の入力を受け付けるための予算入力ボックス615が配置される。そして、OKボタン614がクリックされた場合には、予算入力ボックス615に設定された予算も、他の入力ボックス611,612,613に設定された建屋情報(建屋用途、フロアー数、居住人口)とともに建築設計者用端末60からWWWサーバ10に送信されるようにする。なお、予算入力ボックス651に予算を設定するか否かは建築設計者の任意であり、予算入力ボックス651に予算が設定されていない場合には、前述の場合と同様、建屋情報だけを含むデータ検索要求がWWWサーバ10に送信され、エレベータ機種・台数計画案621が表示されたエレベータ機種・台数計画案表示ページ620が建築設計者用端末60のディスプレイ装置63上で開かれる。
WWWサーバ10の機種・台数計画依頼受付け部11は、建屋情報と予算とを含むデータ検索要求を受け付けると、前述の場合と同様、データ検索要求から建屋情報を取り出し、この建屋情報を検索キーとしたデータベース検索をデータベースサーバ20に要求することによって、エレベータ機種・基本価格・台数計画案を取得するが、その後、さらに、以下の処理を実行するようにする。
WWWサーバ10の機種・台数計画依頼受付け部11は、データ検索要求に含まれていた予算を、エレベータ機種・基本価格・台数計画案に含まれているエレベータ設置台数で割ることによって、エレベータ1台当たりの予算を算出する。そして、エレベータ1台当たりの予算から、エレベータ機種・基本価格・台数計画案に含まれている基本価格を差し引くことによって、1台のエレベータの装備予算額を算出する。そして、この装備予算額を含む予算範囲に対応するグレード名911および標準仕様情報913を、建屋情報の建屋用途に対応付けられた仕様案作成用情報910から取り出して、それらを、エレベータ機種・基本価格・台数計画情報とともに建築設計者用端末60に返信する。
これにより、建築設計者用端末60のディスプレイ装置63には、エレベータ機種・台数計画表示ページ620の代わりにエレベータ仕様案表示ページが開かれる。図32に示すように、このエレベータ仕様案表示ページ730上には、建築設計者が設定した予算721、エレベータ機種・台数計画案情報722が表示されるほか、建築設計者が設定した予算内で購入可能なエレベータのグレード名723、そのグレードのエレベータの標準装備を表す標準仕様情報723が表示される。建築設計者は、これらの情報を参考に、予算の見直し、その後の建築設計を進めていくことができる。
以上、エレベータを受注製品とした場合を例に説明したが、ユーザの要求を反映させながら段階的に設計を進める必要がある受注生産品、すなわち、大量生産に適さない製品であれば、エレベータ以外の製品を受注製品とすることができることは言うまでもない。