JP4395482B2 - 溶融塩電解方法及び溶融塩電解槽 - Google Patents

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Description

本発明はMgの電解製造等に用いられる溶融塩電解方法、及びその溶融塩電解方法を実施するための溶融塩電解槽に関する。
金属チタンを工業的に製造する方法の一つとしてクロール法がある。クロール法は還元工程と真空分離工程とに分かれており、還元工程では反応容器内の溶融MgにTiCl4 を滴下することによりスポンジチタンが製造される。還元工程に続く真空分離工程では、スポンジチタンが入った反応容器内を加熱しつつ真空排気することにより、スポンジチタン中に含まれる未反応Mg及び副生物が分離除去される。こうして製造されたスポンジチタンは破砕、電極形成、アーク溶融の各工程を経てチタンインゴットとされる。
クロール法の還元工程で使用される金属Mgは通常、電解反応により製造されたものが使用される。電解反応による金属Mgの製造では、MgCl2 を主成分とする溶融塩が電解槽に投入される。電解槽は電解室とこれに隣接するMg回収室とを備えており、電解室では溶融塩中のMgCl2 がMgの融点以上の温度で電気分解される。この電気分解により生じた溶融状態の金属MgがMg回収室に導かれ、溶融塩上に浮上して溶融Mg層を形成する。これを汲み出すことにより、金属Mgが得られる。
このような金属Mgの電解製造では、電解槽での電解効率がMg製造コストに与える影響が大きいために、その電解効率の改善による製造コスト低減が強く求められており、その観点から、電解槽内の溶融塩(浴塩)の温度を一定に維持する操業が求められている。すなわち、溶融塩の温度が低下すると、電解生成物であるMgが固化して短絡現象を引き起し、逆に溶融塩の温度が上昇すると、溶融塩の吸湿性の促進やMgと溶融塩の比重差の減少を起因とするMg回収効率の低下による電流効率の低下を引き起こすのである。
電解槽における溶融塩温度の調節原理は次のとおりである。電解電流(DC通電)による入熱と、電気分解(電解効率に比例)や壁放熱、冷却水による抜熱といった出熱との差を、補助電極(AC通電)による入熱や熱交換器の稼働による抜熱で相殺している。入熱は電解電流量(通電量)に比例するので、電解槽内の熱バランスにおいて通電量は重要なファクターであるが、夜間の安価な電力を有効に使用するために、通電量は夜間において増加することが望ましく、その場合は入熱量の増加により熱交換器による抜熱量は増大することになる。熱交換器の抜熱量が不足すると、溶融塩温度が上昇するために電流効率が低下する他、夜間の通電量増大が不可能となり、電力コストが上昇する。このため、電解槽内の熱交換器は、電解操業における電力コスト低減のために重要な役割を果たしている(特許文献1)。
そして、この熱交換器としては、安全性の点から、内部に空気を流通させる空冷式が多用されており、これを電解槽内の溶融塩中に浸漬して内部に空気を流通させることにより、溶融塩を冷却する。構造としては、主管である両側の縦管の間に枝管である横管を複数段に設けたものが多く、熱交換器の材質としては鉄又はステンレス鋼が用いられている(特許文献2)。
特開平4−214889号公報 特開2004─307914号公報
ところで、電解槽に使用される熱交換器は、高通電状態が続く場合や電解効率が比較的低い電解槽の場合など、その稼働率が上昇すると、抜熱能力が低下することがあった。熱交換器の抜熱能力が低下すると稼働率が更に上がるので、更に抜熱能力が低下することになり、場合によっては溶融塩の温度を一定に保てないために電解効率が低下し、電力コストに悪影響を与えることもあった。このため、従来からも熱交換器の抜熱能力を補うための対策が種々考えられてきた。一つは送風能力のアップであり、今一つは熱交換器における伝熱面積のアップである。しかしながら、何れの対策も抜本的な能力向上策とは言えないことが判明した。
すなわち、送風能力をアップすると、一時的には抜熱能力を向上させることが可能である。しかし、操業を続けると抜熱能力が低下する問題が発生し、特に熱交換器の稼働率が高いときに能力低下が顕著となった。一方、伝熱面積のアップに関しては、枝管(横管)の本数を増加させることを試みた。結果は、熱交換器の稼働率が低いときは抜熱能力が高いが、稼働率が高くなると抜熱能力が低下し、その低下が次第に顕著になるというものであった。このように、送風能力のアップも伝熱面積のアップも、抜熱能力の抜本的な向上策にはなり得ず、熱交換器の高稼働率時における抜熱能力の低下を回避できないために、最悪の場合は電解操業における生産速度の低下を余儀なくされる。
しかも、これらの対策は設備の大型化や設備コストのアップを伴う。例えば送風能力のアップは送風機の大型化による設備費増大を招く。また、伝熱面積のアップは枝管(横管)の本数増大による設備の大型化及びこれによるコストアップを招く上に、電解槽の構造上、その大型化に限界があるという問題もある。特に、マルチポーラ型電解槽においては入熱量が多いために熱交換器の抜熱能力の安定化が重要であった。
本発明の目的は、熱交換器の抜熱能力の低下を抜本的に防止でき、しかも設備の大型化やそのコストアップを回避できる高効率かつ安定的で経済的な溶融塩電解方法を提供することにある。本発明の別の目的は、熱交換器の抜熱能力の低下を抜本的に防止でき、しかも設備の大型化やそのコストアップを回避できる高効率かつ安定的で経済的な溶融塩電解槽を提供することにある。
上記目的を達成するめに、本発明者は熱交換器の抜熱能力が低下する原因を詳細に調査した。その結果、以下の事実が判明した。
溶融塩電解槽における熱交換器としては、前述したとおり、熱冷媒である空気を供給する一方の主管(縦管)とこれを排出する他方の主管(縦管)の間を複数本の枝管(横管)で接続したものが多用されている。抜熱能力が低下した熱交換器を調査したところ、熱媒体である空気が流通する管体の表面には、固体の溶融塩成分(塩化物,フッ化物)やMgが低下の程度に応じて多く付着しており、特に空気が入る給気側の主管と枝管の給気側の部分に偏って付着する傾向が認められた。そして、この調査結果から、本発明者は抜熱能力の低下原因を次のように考えた。
熱交換器の給気側は溶融塩温度と熱交換器内部の温度差が大きいために、熱交換器の表面温度が極端に低下し、溶融塩成分やMgが管体表面で凝固して付着しやすい。付着物は断熱層となり、溶融塩から管体への熱伝導を阻害し、抜熱能力を低下させる結果、熱交換器の稼働率を上昇させる。通常の稼働率では熱交換器の停止中に熱交換器内部の温度が上昇するため、付着物は再び溶解するので、抜熱能力の低下は生じない。しかし、稼働率が上がると溶解除去が可能な時間が短くなるため、完全除去前に稼働が始まり、その結果として固形物の付着が進む。固形物の付着が進むと抜熱能力が低下し、稼働率が上昇するため、益々抜熱能力が低下するという悪循環に陥る。
従来対策としての送風能力のアップが、熱交換器の抜熱能力低下に一時的にしか効力を発揮せず、その抜本的対策とならないのは、送風能力のアップにより固形物の付着が促進されるからである。また、伝熱面積をアップするために熱交換器の枝管本数を増加させても同様に抜本的な対策とならず、稼働率が高まるにつれて給気側の主管から各枝管へ次第に付着が広がって付着面積が増大することが理由である。
付着固形物の溶解を促進するために、溶融塩の温度を上げるのは効果的である。しかし、その一方で溶融塩の温度上昇による電流効率の低下が起こり、トータルでは効率的な対策とは言えない。
このような知見を背景として、本発明者は次に、固形物の付着が給気側の部分に偏る傾向に着目した。換言すれば、空気が出る排気側までは固形物の付着は起こらないのである。溶融塩電解槽における熱交換器では、これまでは空気の流通方向が固定されており、一方の主管から空気を供給する場合は他方の主管から空気を排出する(引用文献1,2参照)。このため、給気側の管体でのみ固形物の付着が進み、排気側の管体では固形物の付着は起こらない。これは、排気側では空気温度が上昇し、熱交換器の表面温度が高いためと考えられる。本発明者は排気側で固形物が付着しないことに着目して、操業途中で通気方向を切り替えることを企画し、実操業で各種の試験を実施した。すなわち、給気側に固形物が付着した段階で、空気の流通方向を変え、固形物が付着する給気側を表面温度が高い排気側へ変更するのである。その結果、それだけの操作で付着物は消滅した。
なお、特許文献1に記載されているように、熱交換器の給気側ダクトをバーナーで加熱すれば、一見、熱交換器への付着物を溶解除去できるように思えるかもしれない。しかし、熱交換器を連続稼働させて何とか抜熱が間に合っているという状態の電解槽において、熱交換器をバーナーで加熱すれば冷却不足に陥ることが明らかであるので、これは到底採用することはできない対策である。また冷却と加熱を繰り返すことになれば、そのエネルギーロスも大きい。
本発明はかかる知見に基づいてなされたものであり、溶融塩電解槽内の熱交換器における熱媒体の流通方向を反転させる溶融塩電解方法、及び溶融塩の温度を制御する熱交換器を槽内に備えており、且つその熱交換器における熱媒体の流通方向を切り替える切り替え機構を備えた溶融塩電解槽を要旨とする。
本発明の溶融塩電解方法及び溶融塩電解槽においては、電解槽内の熱交換器における熱媒体の流通方向を反転切り替えすることにより、それまでの給気側が排気側に変わる。給気側では熱媒体が熱交換初期(溶融塩冷却初期)であるために媒体温度が低く、管体表面に固形物が付着するが、その反対に排気側では熱媒体が熱交換後期(溶融塩冷却後期)であるために温度が高く、管体表面に固形物が付着していた場合はその付着物が溶解除去される。したがって、熱交換器における熱媒体の流通方向の反転切り替えにより、それまで給気側であった管体では、排気側への変更により表面に付着する固形物が溶解除去される。その一方で、新たに給気側となった管体では、熱交換器の稼働が続くと冷媒温度の低下により表面に固形物が付着し始める場合があるが、再度流通方向を反転させればその付着物が除去される。
かくして、送風機の大型化熱交換面積の増大といった熱交換器の設備増大を行わず、また付着物の除去作業を行うことなく、配管系統の若干の設計変更のみで固形物の付着に伴う諸問題を抜本的に解決することができる。
ちなみに、通常の操業では、熱交換器の使用期間が長いために、熱媒体の流通方向の反転操作を適当周期で繰り返すことになり、反転のタイミングとしては熱交換器の抜熱能力の所定量の低下を検知したときが好ましい。反転操作の早すぎるタイミングは切替え機構への負荷を過大にし、反転タイミングが遅れた場合は固形物の付着に伴う稼働率の上昇、電流効率の低下による電力コストの増大を招き、所期の効果が得られないおそれがある。この観点から、一定周期で反転操作を行う場合の反転周期は20秒以上(10秒ごとに反転)が好ましい。反転周期の上限については60日以下(30日ごとに反転)が好ましく、30日以下(15日ごとに反転)が更に好ましく、2日以下(1日ごとに反転)が特に好ましい。
典型的な熱交換器は空冷式であり、その熱交換器は電解槽内の溶融塩に浸漬した状態で熱媒体である空気の流通方向の反転操作をされる。
本発明では又、溶融塩電解槽内の熱交換器の近傍で溶融塩の攪拌を行うことも効果的である。この攪拌操作により、管体の表面に付着した固形物の除去をすることができる。攪拌のための手段としては、熱交換器の近傍でのArガスなどの不活性ガスによるガスバブリングが簡易で好ましい。
本発明の溶融塩電解方法は、熱交換器における熱媒体流通方向を反転させるという簡単な手段で固形物の付着が限度以上に進むのを阻止することができる。したがって設備コストの増大を抑制しつつ、固形物の付着による電流効率の低下、及びこれによる電力コストの増大を回避することができる。
また、本発明の溶融塩電解槽は、熱交換器における熱媒体の流通方向を切り替える切り替え機構を備えることにより、固形物の付着が限度以上に進むのを阻止することができ、これにより設備コストの増大を抑制しつつ、固形物の付着による電流効率の低下、及びこれによる電力コストの増大を回避することができる。
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態を示す溶融塩電解槽の概略構成図である。
本実施形態の溶融塩電解槽は、Mg製造用のマルチポーラ型電解槽である。この電解槽は電極によりMgを生成する電解室と、これに隣接して連通するMg回収室とを備えており、図1は電解室に隣接するMg回収室10を示している。
Mg回収室10は耐火物からなる槽本体11と、槽本体11の上面開口部を塞ぐ蓋体12とで構成されている。電解室で生成されたMg30は対流等によりMg回収室10に流入し、槽本体11内の溶融塩40上に浮上して堆積する。溶融塩40上のMg30は、適宜槽外へ汲み出される。
電解槽内の溶融塩40の温度管理の重要性は前述したとおりである。この温度管理のために、蓋体12を貫通して槽本体11内に挿入された槽内温度計13により、Mg30又は溶融塩40の上部の温度が測定される。また、温度制御手段、特に冷却手段として、Mg回収室10内に熱交換器20が設置されて、Mg回収室10内の溶融塩40に浸漬されている。
この熱交換器20は、両側一対の主管21,21’と、主管21,21’の間を繋ぐ複数の枝管22,22・・とを備えている。主管21,21’は下端が閉塞された垂直な縦管である。複数の枝管22,22・・は、縦方向に所定間隔で複数段に配置された水平な横管であり、Mg回収室10内の溶融塩40に浸漬するレベルにあって、両側の主管21,21’と連通している。これらの管体は、例えば鉄により構成されており、耐久性の向上及び溶融塩40への鉄の溶出防止等を目的として内外面に溶融AlメッキによるAl合金被覆を施されている。
主管21,21’の各上部は、蓋体12を貫通して槽本体11の上に突出している。主管21,21’の各突出部には、排気を制御する第1バルブ23,23’がそれぞれ設けられており、第1バルブ23,23’より基端側(下側)には、送風機25が空気供給管26,26’を介して並列的に接続されている。そして、この空気供給管26,26’には、給気を制御する第2バルブ24,24’がそれぞれ設けられており、第1バルブ23,23’、第2バルブ24,24’、送風機25及び空気供給管26,26’により、熱交換器20における熱媒体の流通方向を切り替える切り替え機構が構成されている。なお、この切り替えのために、供給空気温度及び排出空気温度を計測する空気温度計27,27’が主管21,21’の各上部、ここでは空気供給管26,26’の接続点より基端側(下側)に取付けられている。
次に、上記溶融塩電解槽を用いたMg電解製造操業法を、本発明の溶融塩電解方法の実施形態として説明する。
夜間において通電量を増大させるが、これに伴って溶融塩40の温度が上昇する。これを放置すると電流効率が低下するので、熱交換器20を作動させて、溶融塩40の温度を所定範囲内に管理する。溶融塩40の温度は槽内温度計13により測定される。
具体的には、一方の主管21の側において、排気用の第1バルブ23を閉じ、給気用の第2バルブ24を開く。また他方の主管21’の側においては、逆に排気用の第1バルブ23’を開き、給気用の第2バルブ24’を閉じる。そして、この状態で送風機25を作動させる。これにより、熱媒体としての冷却用の空気が、一方の主管21から複数の枝管22,22・・に並列的に供給され、これらをa方向に通過して他方の主管21’から排出される。
空気が管体を通過する過程で溶融塩40が冷却され、その温度が下がることにより、電流効率の低下が阻止される。
この状態で電解操業を続けると、熱交換器20においては、給気側の主管21及び複数の枝管22,22・・における主管21の近傍に固形物が偏って付着する。これは給気側の温度が排気側の温度に比べて低いためである。この付着により熱交換器20の抜熱能力が低下し、熱交換器20の稼働率が上ることにより、付着がますます進行し、熱交換器20の抜熱能力が更に低下するという悪循環に陥る。その結果、夜間の安価な電力の使用量を減らすとか、電流効率の低下を余儀なくされるといった問題が発生する。
そこで、本実施形態の溶融塩電解方法では、所定周期、或いは熱交換器20の給気側における固形物の付着の進行による抜熱能力の低下を検知して、熱交換器20における空気の流通方向を切り替える。すなわち、その流通方向を反転させる。具体的には、熱交換器20の給気側であった主管21の側において、排気用の第1バルブ23を閉状態から開状態へ切り替え、給気用の第2バルブ24を開状態から閉状態へ切り替える。反対に、排気側であった主管21’の側においては、排気用の第1バルブ23’を開状態から閉状態へ切り替え、給気用の第2バルブ24’を閉状態から開状態へ切り替える。これにより、冷却用の空気は主管21’から複数の枝管22,22・・へ並列的に供給され、これらをb方向に通過して主管21から排出される。すなわち、熱交換器20の給気側は排気側に、排気側は給気側にそれぞれ切り替わり、熱交換器20における空気の流通方向が反転する。
その結果、熱交換器20の排気側(切り替え前は給気側)に付着していた固形物が自然に溶解除去される。一方、給気側(切り替え前は排気側)では固形物の付着が始まる場合がある。その場合は、熱交換器20における空気流通方向の反転操作を、所定周期で、或いは熱交換器20の給気側における固形物の付着の進行による抜熱能力の低下を検知して繰り返す。これにより、熱交換器20における固形物の付着、これによる抜熱能力の低下が所定レベル以下に抑制され、その結果として、経費のかかる送風機25の能力増強や熱交換器20における伝熱面積増大(能力増強)を行うことなく、夜間の安価な電力の安定的な使用が可能になり、溶融塩40の温度上昇による電流効率の低下を阻止することが可能となる。
次に、本発明の実施例を示し、従来例と比較することにより本発明の効果を明らかにする。
図1に示す溶融塩電解槽を使用した実際のMg電解製造操業において、熱交換器20の抜熱能力変化を120日間にわたって調査した。調査結果を表1に示す。熱交換器20の抜熱能力は〔送風量×ΔT(供給空気温度と排出空気温度の差)〕に比例する値となり、ΔTは「空気温度計27の測定温度」−「空気温度計27’の測定温度」(送風方向によっては「空気温度計27’の測定温度」−「空気温度計27の測定温度」)により算出可能である。本例では、この熱交換器20の抜熱能力を、固形物の付着がない状態(抜熱能力が最大の状態)を100%とする比率で評価した。
熱交換器における空気流通方向を変えない従来例の場合は、操業開始から熱交換器の抜熱能力が徐々に低下し、120日経過した時点では64%になった。実施例1として、熱交換器における空気流通方向を60日周期で反転させた。すなわち30日ごとに3回反転操作を行った。抜熱能力の最低値は69%に抑制された。実施例2として、熱交換器における空気流通方向を30日周期で反転させた。すなわち15日ごとに7回反転操作を行った。抜熱能力の最低値は71%に抑制された。実施例3として、熱交換器における空気流通方向を2日周期で反転させた。すなわち1日に1回の割合で反転操作を行った。抜熱能力の最低値は77%に抑制された。実施例4として、熱交換器における空気流通方向を8時間周期で反転させた。すなわち4時間に1回の割合で反転操作を行った。抜熱能力の最低値は85%に抑制された。
実施例5として、抜熱能力の変化を測定し、90%まで低下した時点で空気流通方向のの反転操作を行った。反転操作に伴って抜熱能力は回復し、更に熱交換器を作動させ続けることにより、抜熱能力は再び低下し、90%まで低下した時点で空気流通方向を反転する操作を繰り返した。言うまでもなく抜熱能力の最低値は90%に維持される。実施例5において、熱交換器の下部付近に耐熱パイプを挿入してArガスをバブリングすることにより、その下部付近で溶融塩を攪拌した。これが実施例6であり、実施例5と同様に抜熱能力の最低値は90%に維持された。ただし、空気流通時間、すなわち熱交換器の作動時間は5%低減した。これはガスバブリングによる溶融塩の攪拌により、熱交換器に付着した固形物の溶解除去が促進され、抜熱能力の回復が速やかに行われたためと、熱交換器への固形物の付着が抑制され、抜熱能力の低下が抑制されたためと考えられる。
本発明は、入熱量が多く熱交換器の負担が大きくなるマルチポーラ型電解槽において特に有効である。
本発明の一実施形態を示す溶融塩電解槽の概略構成図である。
符号の説明
10 Mg回収室
11 槽本体
12 蓋体
13 槽内温度計
20 熱交換器
21,21’ 主管
22 枝管
23,23’,24,24’ バルブ
25 送風機
26,26’ 空気供給管
27,27’ 空気温度計
30 Mg
40 溶融塩

Claims (6)

  1. 溶融塩電解槽内の熱交換器における熱媒体の流通方向を反転させることを特徴とする溶融塩電解方法。
  2. 溶融塩電解槽内の熱交換器が空冷式であり、その熱交換器を電解槽内の溶融塩に浸漬した状態で熱媒体の流通方向を反転させる請求項1に記載の溶融塩電解方法。
  3. 熱交換器の奪熱能力の低下を検知したときに熱媒体の流通方向を反転させる請求項1に記載の溶融塩電解方法。
  4. 熱媒体の流通方向の反転操作を繰り返す請求項1に記載の溶融塩電解方法。
  5. 溶融塩電解槽内の熱交換器の近傍で溶融塩の攪拌を行う請求項1に記載の溶融塩電解方法。
  6. 溶融塩の温度を制御する熱交換器を槽内に備えており、且つその熱交換器における熱媒体の流通方向を切り替える切り替え機構を備えていることを特徴とする溶融塩電解槽。
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