JP4395308B2 - 折り曲げ加工機および折り曲げ加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、折り曲げ加工機および折り曲げ加工方法に係り、特に、初回の折り曲げ加工によって発生した圧痕跡(圧痕部)とパンチの先端部とが互いにほぼ合致するようにワークを再設置して、修正折り曲げ加工を行う折り曲げ加工機および折り曲げ加工方法、並びに、上記修正折り曲げ加工の押し込み量に基づいて次のワークの折り曲げ加工を精度良く行うことができる折り曲げ加工機および折り曲げ加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、パンチとダイとを用いて、たとえば鋼板(ワーク)の折り曲げ加工が可能な折り曲げ加工機では、製品を目標の角度に折り曲げるために、加工対象であるワークの材質、板厚、曲げ長さ、折り曲げ加工に用いる金型の形状、寸法、折り曲げ加工機の剛性等を計算因子として、パンチの押し込み量(たとえばダイが移動する場合には、ダイの押し込み量;以下「D値」という。)を求め、この求めたD値に基づいて、たとえば、上記D値に応じた分だけ上記ダイを移動させて、上記ワークの折り曲げ加工を行っている。
【0003】
しかしながら、上記D値を求めて折り曲げ加工を行っても、製品を目標の角度に折り曲げることができない場合がある。その理由は、予めデータベース化されている計算因子を用いてD値を求めて加工を行った場合、実際には、上記データベース化されている計算因子と、実際のワーク等の計算因子との間に僅かな違いがあるからである。すなわち、たとえば、ワークの硬さ、板厚、金型の形状、寸法、折り曲げ加工機の剛性等に係る計算因子が、データベースのものと実際のものとの間で僅かな差異があり、また、上記折り曲げ加工機のパンチの位置決め精度においても、ごく僅かなばらつきがあるからである。
【0004】
そこで、上記ワークを折り曲げる場合、初回の折り曲げ(1回目の折り曲げ)を行った後に、この初回の折り曲げで曲げ角度を修正するための折り曲げ加工、いわゆる突き直しを行っている。なお、上記突き直しは、上記初回の折り曲げ後ワークを上記折り曲げ加工機から取り外し、上記初回の折り曲げで得られた曲げ角度を測定し、この測定した角度や、上記各計算因子に基づいて、別途D値を算出し、この別途求めた突き直し用のD値に基づいて、たとえば、上記突き直し用のD値の分だけ、パンチを移動して、上記ワークの折り曲げ修正加工を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
なお、上記初回の折り曲げでは、この折り曲げられる箇所の角度が、製品の目標角度よりも若干鈍角傾向になるようにD値を設定している。すなわち、上記初回曲げで折り曲げられた箇所の角度(180°よりも小さいほうの角度)が、上記製品の目標角度(180°よりも小さいほうの角度)よりも若干大きくなるように、上記D値を設定している。
【0006】
このようにD値を設定している理由は、初回の曲げで折り曲げられる箇所の角度が製品の目標角度よりも鋭角傾向になると、すなわち、上記初回曲げで折り曲げられた箇所の角度(180°よりも小さいほうの角度)が、上記製品の目標角度(180°よりも小さいほうの角度)よりも小さくなると、ワークの折り曲げ箇所の角度を上記製品の目標角度に修正することが困難だからである。
【0007】
つまり、初回の曲げで折り曲げられる箇所の角度が製品の目標角度より鈍角傾向である場合(曲げ量が少ない場合)には、修正したD値を用いて折り曲げ加工機で修正の折り曲げを行うことが容易にできるが、初回の曲げで折り曲げられる箇所の角度が製品の目標角度よりも鋭角傾向である場合(曲げ量が多い場合)には、折り曲げ加工機を用いた修正加工が困難であり、ハンマー等を用いて手作業による修正をしなければならないからである。
【0008】
ところで、上記突き直し用のD値に基づいて、上記ワークの折り曲げ修正加工を行うと、製品の目標角度以上に(製品の目標角度よりも鋭角傾向に)ワークが折り曲げられる場合が多く発生し、このためにワークが不良品になるか、またはワークの曲げ角度の修正を、多くの工数をかけて手作業で行う必要がある。
【0009】
一方、次の別のワーク(上記ワークと同様なワーク)の初回曲げを、上記折り曲げ加工機で、上記突き直し用のD値を用いて行うと、製品の目標角度よりも鈍角傾向にワークが折り曲げられる場合が多く発生し、上記次の別のワークにも、さらに修正用折り曲げ加工を行う必要がある。
【0010】
すなわち、従来は、最初のワーク(試し曲げ用ワーク)に鈍角傾向の初回の折り曲げ加工を行い、上記初回曲げを施した上記最初のワークを折り曲げ加工機から取り外して折り曲げ角度を計測し、この計測した折り曲げ角度に応じて突き直し用のD値を求めて修正折り曲げ加工を行い、また、上記突き直し用のD値に基づいて次の別のワーク(上記ワークと同様なワークであって、上記試し用のワークに続いてたとえば量産するワーク)に折り曲げ加工を行い、この折り曲げ加工を施した上記次の別のワークを折り曲げ加工機から取り外して折り曲げ角度を計測する各工程を何回か繰り返し、試行錯誤によって上記各ワークを製品の目標角度に折り曲げるための正確なD値を求めている。
【0011】
そして、上記試行錯誤で求めたD値を用いて各ワークを折り曲げることによって、各ワークを製品の目標角度に折り曲げるようにしている。
【0012】
【特許文献1】
特開平8−155553号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の方法では、試行錯誤でD値を求めているので、正確なD値を求めるために多くの時間と工数が必要になるという問題がある。
【0014】
なお、上述のように試し曲げを行うことなく、ワークを製品の目標角度だけ曲げる方法として、インプロセスで材料特性、金型の特性、折り曲げ加工機の特性等を測定し、すなわち、たとえば、ベンディングインジケータを使用して折り曲げ角度を直接測定する方法があるが、この測定方法では何らかの制約によって計測することができない場合が生じ、また、この測定方法を採用するとなると、測定箇所にセンサやレーザ光発射装置等を設ける必要があり、折り曲げ加工機の構成が煩雑になるという問題がある。このため、上記インプロセスによる方法は一般には採用され難い。
【0015】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、簡素な構成で、しかも、ワークを製品の目標角度に折り曲げるためのD値を容易に求めることができる曲げ加工機および曲げ加工方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、パンチとダイとを用いてワークを折り曲げ加工可能な折り曲げ加工機において、ワークの折り曲げ部位の頂上部と接触する接触子を備え、この接触子の移動量を検出することによって、前記ワークの前記ダイに対する姿勢と位置とを検出可能な位置姿勢検出手段を有し、折り曲げ加工が行われたワークの折り曲げ角度を修正するために算出された上記パンチまたは上記ダイの押し込み量で上記折り曲げ加工が行われたワークの折り曲げ部位への修正曲げ加工を行うときに、前記位置姿勢検出手段によって、前記修正曲げ加工を行うときの前記ダイに対するワークの位置と姿勢とを検出し、この検出結果により、前記折り曲げ加工の際に前記ダイに載置されたときとほぼ同じ位置と姿勢で前記ワークが前記ダイに載置されていると判断されたときに、前記修正曲げ加工を行うように構成されている折り曲げ加工機である。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の折り曲げ加工機において、上記位置姿勢検出手段の接触子は、平面状の接触部が、上記ダイの溝部の底部近傍で、上記ワークの折り曲げ部位の頂上部に当接するように設けられており、上記位置姿勢検出手段が、上記接触子および上記ダイに上記ワークが接触した状態で上記ワークを揺動したときの上記ダイに対する上記接触子の移動量を検出することによって、上記ワークの位置と姿勢とを検出可能に構成されている折り曲げ加工機である。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の折り曲げ加工機において、上記位置姿勢検出手段の接触子が複数設けられており、これらの各接触子は、上記ワークの折り曲げ部位の折り曲げ線に交差する方向で、互いが離れており、上記各接触子の接触部が、上記ダイの溝部の底部近傍で、上記ワークの折り曲げ部位に当接するように設けられており、上記位置姿勢検出手段が、上記各接触子および上記ダイに上記ワークが接触した状態で上記ワークを揺動したときの上記ダイに対する上記各接触子の各移動量を検出することによって、上記ワークの位置と姿勢とを検出可能に構成されている折り曲げ加工機である。
【0019】
請求項4に記載の発明は、パンチとダイとを用いてワークを折り曲げ可能な折り曲げ加工方法において、上記ワークに折り曲げ加工を行った後、上記ワークを上記ダイから取り外し、上記折り曲げ部位の折り曲げ角度を測定する折り曲げ角度測定工程と、上記測定の結果上記折り曲げ角度が所定の角度とは異なる場合、上記折り曲げ部位が上記所定の角度になるように修正するための上記パンチまたは上記ダイの押し込み量を算出する修正用押し込み量算出工程と、上記ダイの溝部に上記ワークを載置した状態で、上記ワークを折り曲げ線を中心に揺動しつつ、位置姿勢検出手段を用いて、上記折り曲げ加工によって発生した圧痕部と上記パンチの先端部とがほぼ合致するように、上記ワークを位置決め設置するワーク設置工程と、上記位置決め設置されたワークに対して、上記押し込み量で修正折り曲げ加工を行う工程とを有し、上記位置姿勢検出手段は、ワークの折り曲げ部位の頂上部と接触する接触子を備え、この接触子の移動量を検出することによって、前記ワークの前記ダイに対する姿勢と位置とを検出可能な手段である折り曲げ加工方法である。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の折り曲げ加工方法において、上記修正折り曲げ加工後に、上記修正用押し込み量算出工程で算出された押し込み量に基づいて、次のワークに折り曲げ加工を行う折り曲げ加工工程とを有する折り曲げ加工方法である。
【0021】
請求項6に記載の発明は、パンチとダイとを用いてワークを折り曲げ加工可能な折り曲げ加工機において、折り曲げ加工後のワークを上記ダイに対して再度位置決め設置するに際し、上記パンチまたは上記ダイを上記パンチまたは上記ダイの移動方向に振動させ、この振動の調芯作用により、上記ワークを上記ダイに対して再度位置決め設置するワーク振動位置決め手段を有し、前記調芯作用における振動は、前記ダイに載置された前記折り曲げ加工後のワークに前記ダイが接触したときの前記ダイに対する前記パンチの位置と、前記折り曲げ加工で前記パンチが前記ダイに最も近づいたときの前記ダイに対する前記パンチの位置との間でなされる折り曲げ加工機である。
【0022】
請求項7に記載の発明は、パンチとダイとを用いてワークを折り曲げ可能な折り曲げ加工方法において、上記ワークに折り曲げ加工を行った後、上記ワークを上記ダイから取り外し、上記折り曲げ部位の折り曲げ角度を測定する折り曲げ角度測定工程と、上記測定の結果上記折り曲げ角度が所定の角度とは異なる場合、上記折り曲げ部位が上記所定の角度になるように修正するための上記パンチまたは上記ダイの押し込み量を算出する修正用押し込み量算出工程と、上記ダイの溝部に上記折り曲げ加工後のワークを載置し、この載置したワークに上記パンチを接触させた状態で、上記パンチまたは上記ダイを上記パンチまたは上記ダイの移動方向に振動させ、この振動の調芯作用により、上記折り曲げ加工によって発生した圧痕部と上記パンチの先端部とがほぼ合致するように、上記ワークを位置決め設置するワーク設置工程と、上記位置決め設置されたワークに対して、上記押し込み量で修正折り曲げ加工を行う工程とを有し、前記調芯作用における振動は、前記ダイに載置された前記折り曲げ加工後のワークに前記ダイが接触したときの前記ダイに対する前記パンチの位置と、前記折り曲げ加工で前記パンチが前記ダイに最も近づいたときの前記ダイに対する前記パンチの位置との間でなされる折り曲げ加工方法である。
【0023】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る折り曲げ加工機1におけるパンチ3、ダイ5、位置姿勢検出手段7の概略構成を示す図である。
【0024】
図2は、位置姿勢検出手段7と試し曲げ用ワークWとの接触状態を示す拡大図である。
【0025】
折り曲げ加工機1は、パンチ3とダイ5とを用いて試し曲げ用ワークWや他のワーク(たとえば上記試し曲げに続いて量産するワーク)を折り曲げ加工可能に構成されている。なお、上記パンチ3、ダイ5、試し曲げ用ワークWのそれぞれは、図1や図2の紙面に垂直な方向に所定の長さだけ延びているものとする。
【0026】
折り曲げ加工機1は、たとえば「V」字状に形成されている当接部3Aを具備するパンチ3と、たとえば「V」字状に形成されている溝部(上記当接部3Aと係合可能な溝部)5Aを具備するダイ5とを備える。なお、たとえば、上記「V」字状の溝部(溝)5Aや当接部3Aは、これらの中心線に対して対称に形成されている。
【0027】
そして、ダイ5の上方部側にパンチ3が設けられており、パンチ3はダイ5に対して接近または離反する方向(上下方向)に、折り曲げ加工機1の本体部に設けられた、図示しないアクチュエータで移動自在になっている。そして、パンチ3がダイ5から離反した状態で、ダイ5にワークを載置し、続いて、パンチ3をダイ5に近づく方向(下方向)に移動し、パンチ3の当接部3Aとダイ5の溝部5AとでワークWを挟み込んでワークWを塑性変形させ、ワークWに折り曲げ加工を施すようになっている。
【0028】
なお、図1は、既に折り曲げられた試し曲げ用ワークWが、ダイ5に載置され、パンチ3がダイ5から離反している状態を示している。すなわち、図1は、たとえば、試し曲げ用ワークWに初回の折り曲げ加工を行って、パンチ3をダイ5から離反させた状態、または、試し曲げ用ワークWに初回の折り曲げ加工を行って、このワークWをダイ5(折り曲げ加工機1)から取り外し、折り曲げ角度を測定した後、再び上記試し曲げ用ワークWをダイ5に載置した状態を示している。
【0029】
また、折り曲げ加工機1は、折り曲げ加工後の試し曲げ用ワークWを上記ダイ5に対して再度位置決め設置するに際して、上記ワークWが上記ダイ5に対し再位置決め前の位置に再位置決め前の姿勢(たとえば、初回の折り曲げにおいて、試し曲げ用ワークWの折り曲げ加工のために、パンチ3がダイ5に最も接近したときにおける、上記ワークWの位置と姿勢)で設置されているか否かを検出可能な位置姿勢検出手段7を有する。
【0030】
ここで、上記位置姿勢検出手段7は、上記ダイ5の長手方向(図1の紙面に直角な方向)の一部で、たとえば、上記ダイ5の内部に形成されたスペースに設けられ、上記ダイ5の溝部5Aの底部近傍で、上記試し曲げ用ワークWの折り曲げ部位に接触部9Aが当接するように付勢された接触子9を備え、上記接触子9の接触部9Aおよび上記ダイ5に上記試し曲げ用ワークWが接触した状態で上記試し曲げ用ワークWを揺動したときの上記ダイ5に対する上記接触子9の移動量を検出することによって、再位置決めの際における上記試し曲げ用ワークWの位置と姿勢とを検出可能に構成されている。
【0031】
より詳しく説明すれば、上記位置姿勢検出手段7は、接触子9を備え、この接触子9は、たとえば図示しないリニアガイドを介して、たとえば、ダイ5の内部でダイ5に対して、上下方向に直線的に移動自在に構成され、しかも、たとえば図示しないバネ等の弾性体によって上側方向に付勢されている。また、上記付勢によって、上記接触子9が際限なく上側方向に移動しまうことを避けるために、図示しないストッパーによって、接触子9の移動ストロークが設定されている。
【0032】
接触子9の上端部には、たとえば、ワークWの折り曲げ部位の頂上部WAと接触(当接)する平面状の接触部9Aが形成されている。なおこの平面状の接触部9Aは、ほぼ水平面方向に延びて形成されている。そして、上記ストッパーによって、上記接触部9Aは、少なくとも、溝部5Aの底部(最下部)と溝部5Aの最上部との間を移動できるようになっている。
【0033】
そして、上記付勢によって、ダイ5の溝部5Aに、試し曲げ用ワークWが入り込んだ場合、接触部9Aが上記試し曲げ用ワークWに常に接触するようになっている。
【0034】
なお、上述の例では、試し曲げ用ワークWの折り曲げ部位の頂上部(ワークWの折り曲げ線)WAの近傍に、接触子9の接触部9Aが接触するように構成されているが、試し曲げ用ワークWの他の部位に接触子が接触するように構成してもよい。この場合、上記接触子の接触部は、平面状ではなくたとえば円弧状等の曲線形状に形成されていることが望ましい。
【0035】
接触子9の下端部側には、リニアエンコーダ11が設けられ、接触子9の移動量(位置)を検出できるようになっている。すなわち、上下方向に長く延びたリニアエンコーダ11の本体11Aが接触子9の下部側に一体的に設けられ、上記リニアエンコーダ本体11Aと係合しているリニアエンコーダ11の読み取りヘッド11Bが、ダイ5に一体的に設けられ、接触子9のダイ5に対する移動量を検出可能になっている。
【0036】
そして、図2に示すように、一度折り曲げられた試し曲げ用ワークWの頂上部WA近傍を接触子9の接触部9Aに接触させると共に、上記頂上部WA近傍から離隔した部位(試し曲げ用ワークWの折り曲げ線と交差する方向に離隔した部位)を、ダイ5の溝部5Aの一方の側面に接触させ、さらに、上記頂上部WAに対して、上記離隔した部位とは反対側に位置する上記試し曲げ用ワークWの部位を、ダイ5の溝部5Aの他方の側面に接触させて、上記試し曲げ用ワークWを図2の紙面に垂直な軸(折り曲げ線とほぼ平行な軸)を回転中心にして揺動させたときの、上記試し曲げ用ワークWの頂上部WA近傍の移動量(位置)を、接触子9の移動量をリニアエンコーダ11で検出することによって、検出できるようになっている。
【0037】
たとえば、図2に実線で示した位置に試し曲げ用ワークWが存在する場合には、接触子9の接触部9Aは実線で示す位置に存在し、試し曲げ用ワークWが揺動して、図2に破線で示した位置に上記試し曲げ用ワークWが存在する場合には、接触子9の接触部9Aは、図2に破線で示す位置に存在する。
【0038】
なお、リニアエンコーダ11で検出された接触子11の移動量(位置)、または、この移動量に基づいた情報が、図示しない表示手段(たとえば、折り曲げ加工機1に設けられたLCD;Liquid crystal Display)で表示されるようになっている。
【0039】
図3は、一度折り曲げられた試し曲げ用ワークWを、図2で示すように、ダイ5の溝部5Aと接触子9の接触部9Aとに接触させて、上記試し曲げ用ワークWを揺動した場合における上記試し曲げ用ワークWの揺動角度と接触子9の位置との関係を示した図である。
【0040】
図3の横軸は、図2に示す試し曲げ用ワークWの揺動角度を示し、図3の縦軸は、図2に示す接触子9の位置を示す。なお、図2では、ダイ5の溝部5Aは、ダイ5の溝部5Aの中心でダイ5の上下方向に長く延びたセンターラインCLに対して対称に形成されており、また、実線で示した試し曲げ用ワークWも、上記センターラインCLに対して対称な状態でダイ5に載置されており、この載置されている状態での試し曲げ用ワークWの揺動角度を、図3では「0°」としている。また、実線で示す試し曲げ用ワークWの折り曲げ部位の頂上部WAに接し、図2に実線で示されている接触子9の接触部9Aの位置を、図3では「0」としている。
【0041】
そして、図2において破線で示すように、試し曲げ用ワークWが実線で示す位置から右回りに揺動(回転)して破線で示すところに位置した場合、上記破線で示す試し曲げ用ワークWの揺動角度は、図3ではプラスの値になり、このとき、図2で破線で示された接触子9の接触部9Aの位置(上記破線で示す試し曲げ用ワークWの頂上部WA近傍で上記試し曲げ用ワークWに接した接触部9Aの位置)は、図3ではプラスの値になっている。
【0042】
したがって、図2において実線で示す(揺動角度が「0°」である)試し曲げ用ワークWの頂上部WAに接触部9Aが接する接触子9の位置は「0」であり、図2において実線で示す試し曲げ用ワークWの位置から、いずれの回転方向に試し曲げワークWが揺動(回転)しても、試し曲げ用ワークWの頂上部WA近傍で接触部9Aが接する接触子9の位置は、プラス方向に変位する。
【0043】
また図3に示すように、横軸を試し曲げ用ワークWの揺動角度とし、縦軸を接触子9の移動量とすると、試し曲げ用ワークWの揺動角度が小さいときには、接触子9の移動量が増える割合が小さく、試し曲げ用ワークWの揺動角度が大きくなるにしたがって、接触子9の移動量が増える割合が大きくなっている。
【0044】
次に、折り曲げ加工機1を用いて、ワークを折り曲げる場合の動作について説明する。
【0045】
図4は、折り曲げ加工機1を用いて、試し曲げ用ワークWの折り曲げ部位を所定の角度だけ折り曲げる場合の概略動作を示すフローチャートである。
【0046】
なお、パンチ3とダイ5との間が所定の間隔だけ離れており、また、上記パンチ3と上記ダイ5との間には、ワーク等が存在していない状態を、折り曲げ加工機1の初期状態とする。
【0047】
まず、オペレータが、製品の折り曲げに関するCAD情報をたとえば図面等の媒体を介して入手し(S1)、上記入手した情報に基づいて、ワークの折り曲げ順序や折り曲げに使用する金型(ダイやパンチの形態)を決定し(S3)、さらに、折り曲げの対象となる部位のD値を算出する(S5)。
【0048】
続いて、たとえば板状の試し曲げ用のワークWを、初期状態の折り曲げ加工機1のダイ5に載置し、パンチ3をダイ5の方向に移動することによって、上記試し曲げ用のワークWを挟み込んで塑性変形させ、上記試し曲げ用ワークWの折り曲げ対象となる部位に対して、ステップS5で求めたD値を用いて、図5に示すように、1回目の折り曲げ加工を行う(S7)。
【0049】
なお、図5は、試し曲げ用ワークWに対して折り曲げ加工を施した直後の状態(上記求めたD値だけパンチ3が下降した状態)を示し、この状態では、試し曲げ用のワークWは、センターラインCLに対して、左右ほぼ同じ角度βだけ折り曲げられている。
【0050】
また、図5において、試し曲げ用のワークWの頂上部WAの位置は、この頂上部WAに接触している接触部9Aを形成した接触子9の移動量(位置)を、リニアエンコーダ11で読み取ることによって求められる。そして、この求められた値(初回曲げにおける試し曲げ用ワークWの頂上部WAの位置を示す値)が、折り曲げ加工機1の動作を制御する制御手段(図示せず)に設けられたメモリに格納される。
【0051】
続いて、オペレータは、上記1回目(初回)の折り曲げを行った試し曲げ用のワークを折り曲げ加工機1の外部に取り外し(S9)、図6に示す試し曲げ用のワークWの折り曲げ角度α1または折り曲げ角度α2を測定し、この測定した角度が製品の目標角度になっているか否かを判断する(S11)。なお、図6は、1回目の折り曲げ加工終了後における試し曲げ用ワークWの折り曲げ部位の形態を示す図であり、上記折り曲げ部位において、パンチ3の先端部が接触した部分には、折り曲げ長さの方向に延びた圧痕(圧痕跡)WBが形成されている。
【0052】
そして、上記折り曲げ角度α1またはα2が、製品の目標角度の許容範囲内(所定範囲内)であれば、上記試し曲げ用ワークWの上記折り曲げ加工が終了し、さらに、上記試し曲げ用ワークWに関して他に折り曲げ加工を施す部位がない場合には試し曲げ用ワークWの加工を終了し、他に折り曲げ加工を施す部位が存在する場合には、次の折り曲げ加工を実行する(S31)。
【0053】
一方、上記折り曲げ角度が、製品の目標角度の許容範囲内ではない場合には、上記折り曲げ角度やワークの材質等の計算因子を用いて、2回目の折り曲げ加工(1回目の折り曲げ加工における折り曲げ量を、たとえば増やすように修正する加工)のためのD値を算出し(S13)、上記1回目の折り曲げ加工がされた試し曲げ用ワークWを、修正折り曲げ加工するためにダイ5に載置し、折り曲げ加工機1のラム(パンチ3)の下降を開始する(S15)。
【0054】
続いて、折り曲げ加工機1の上記表示手段に、試し曲げ用のワークWの位置や姿勢に関する情報を表示し(S17)、上記第1回目の折り曲げ加工の際にダイ5に載置されたときとほぼ同じ位置と姿勢(正しい位置と正しい姿勢)で、上記試し曲げ用ワークWがダイ5に載置されているか否かを判断する(S19)。
【0055】
すなわち、たとえば、位置姿勢検出手段7が検出した上記載置した試し曲げ用ワークWの頂上部WA近傍の位置を示す値と、折り曲げ加工機1の上記メモリに格納された上記1回目の折り曲げ加工における試し曲げ用のワークWの頂上部WAの位置を示す値との差を、ステップS17で上記表示手段に表示し、この表示された値の絶対値が所定の閾値以下になった場合、上記試し曲げ用ワークWが正しい位置と正しい姿勢でダイ5に載置(設置)されているものとオペレータが判断する。
【0056】
そして、上記1回目の折り曲げ加工の際にダイ5に載置されたときとほぼ同じ位置と姿勢(正しい位置と正しい姿勢)で、上記試し曲げ用ワークWがダイ5に載置されていない場合(S19)、オペレータは、ダイ5に載置して、頂上部WA近傍を接触子9の接触部9Aに接触させた状態で、試し曲げ用のワークWを揺動し(S21)、試し曲げ用ワークWを正しい姿勢で正しい位置に設置する。
【0057】
なお、試し曲げ用ワークWが正しい位置と正しい姿勢で、ダイ5に載置されていない場合には、図7に示すように、パンチ3やダイ5の溝部5Aに対して、試し曲げ用のワークWが傾いて設置され、すなわち、ダイ5の溝部5AのセンターラインCLに対して、試し曲げ用のワークWの折り曲げによって生じた一方の面が角度β1だけ傾き、他方の面が角度β2だけ傾いた状態で設置されている。なお、上記角度β1と上記角度β2とは互いが異なった角度である。
【0058】
このように設置された場合、試し曲げ用ワークWに形成された圧痕WBとパンチ3の先端部3Bとは互いに合致していない。すなわち、ダイ5のセンターラインCLとパンチ3の先端部3Bとは互いに一致しているが、ダイ5のセンターラインCLと圧痕WBとは互いが一致していない。この状態で試し曲げ用のワークWに修正のための折り曲げ加工を行うと、試し曲げ用のワークWが製品の目標値よりも鋭角傾向(目標値よりも多くの量)に曲がることになる。
【0059】
ステップS19で、試し曲げ用のワークWが正しい姿勢で正しい位置に設置された場合には、パンチ3が、ピンチングポイント(パンチ3と試し曲げ用のワークWとが互いに接触するポイント)まで下降したか否かを判断する(S23)。
【0060】
なお、上記判断は、例えば図示しないタッチセンサー等のセンサを用いて、パンチ3と試し曲げ用ワークWとが互いに接触したことを検知し、この検知結果を上記表示手段に表示し、この表示を見てオペレータが判断してもよいし、上記センサを設けないで、パンチ3と試し曲げ用ワークWとが互いに接触したことをオペレータが直接目視することによって判断してもよい。
【0061】
なお、図4のフローチャートで示す動作は試し曲げ用の動作であるので、試し曲げ用のワークWの折り曲げ加工の生産効率を特に考慮する必要はない。そこで、上述したように、ステップS13でパンチ3の下降が開始されるが、パンチ3は、緩やかな速度(例えば10mm/min〜20mm/minの速度)で下降する。したがって、パンチ3が下降を開始してからピンチングポイントに到達するまでの間に、オペレータは、試し曲げ用のワークWを正しい位置に正しい姿勢で設置することができる。
【0062】
ステップS23で、パンチ3が、ピンチングポイントまで下降していないと判断した場合、折り曲げ加工機1の上記表示手段に、試し曲げ用のワークWの位置や姿勢に関する情報を表示する(S17)。一方、ステップS23で、パンチ3がピンチングポイントまで下降したと判断した場合、パンチ3が、ステップS13で求めた、2回目の折り曲げ加工用のD値(修正用のD値)分だけ下降したか否かを判断する(S25)。なお、この判断は、折り曲げ加工機1に設けられたパンチ3の下降位置を検出自在なリニアエンコーダ等の位置検出手段(図示せず)によって、パンチ3の位置を検出し、この検出した値を、折り曲げ加工機1の制御手段が読み込んで判断する。
【0063】
ステップS25で、パンチ3が、ステップS13で求めた、2回目の折り曲げ加工用のD値分だけ下降していないと判断した場合、ラムの移動すなわちパンチ3の下降を続行し(S27)、一方、パンチ3が、ステップS13で求めた、2回目の折り曲げ加工用のD値分だけ下降したと判断した場合、上記試し曲げ用のワークWの上記折り曲げ加工が終了し、上記試し曲げ用のワークWに関して他に折り曲げ加工を施す部位がない場合には試し曲げ用のワークWの加工を終了し、他に折り曲げ加工を施す部位が存在する場合には、上記試し曲げ用ワークWの次の折り曲げ加工を実行する(S29)。
【0064】
ステップS29やステップS31で、試し曲げ用ワークWの折り曲げ加工を終了し、さらに、上記試し曲げ用ワークWに次の折り曲げ加工を行う箇所が無い場合には、上記試し曲げ用ワークWと同じ次のワーク(形状、板厚、曲げ箇所、曲げ幅、材質、曲げ量等が等しいワーク)を、初期状態になっている折り曲げ加工機1に設置し、折り曲げ加工機1を用い、ステップS13で求めたD値(修正用押し込み量)に基づいて、すなわちたとえば、パンチ3を上記D値の分だけ押し込んで、上記次のワーク(上記試し曲げ用ワークの折り曲げ箇所と同じ、次のワークの箇所)に折り曲げ加工を施し、上記次のワークの上記折り曲げ加工に関する工程を終了する。すなわち、上記次のワークは、通常生産されるワークであり、試し用曲げ用ワークではないので、1つの折り曲げ箇所について、2回の折り曲げ加工を行うことはなく、1回の折り曲げ加工を自動的に行うことになる。
【0065】
なお、上記次のワークの折り曲げ加工においては、加工時間を短縮し、生産効率を上げるために、パンチ3の下降速度を上記試し曲げの場合よりも、速く設定してある。
【0066】
上記動作において、ステップS15では、1回目の折り曲げ加工がされた試し曲げ用のワークWを、修正折り曲げ加工するためにダイ5に載置し、その後、折り曲げ加工機1のパンチ3の下降を開始するようにしているが、試し曲げ用ワークWをダイ5に載置し、その後、パンチ3の下降を開始することなく、ステップS17の動作を開始するようにし、ステップS19で、正しい位置と正しい姿勢で、上記試し曲げ用のワークWがダイ5に載置されたことが確認された後、パンチ3の下降を開始し、その後、ステップS23の動作に移行するようにしてもよい。さらに、正しい位置と正しい姿勢で、上記試し曲げ用のワークWがダイ5に載置されたことの確認を、折り曲げ装置1の制御手段が行い、この後、ステップS23で示す動作に以降してもよい。
【0067】
また、上記動作において、ステップS7で、初回曲げにおける試し曲げ用ワークWの頂上部WAの位置を示す値をメモリに格納し、ステップS19で、2回目の曲げ加工を行うためにダイ5に載置された試し曲げ用のワークWの頂上部WA近傍の位置の値を検出し、この検出した値と上記メモリに格納されている値との差を、表示手段に表示しているが、ステップS7でメモリに格納することなく、また、ステップS19で、2回目の曲げ加工を行うためにダイ5に載置された試し曲げ用のワークWの頂上部WA近傍の位置の値を検出し、この検出した値を単に表示手段に表示するようにしてもよい。そして、上記単に表示した値が、図3に示す閾値A内にあることをオペレータが見て、試し曲げ用のワークが正しい位置、姿勢で載置されているものと判断してもよい。
【0068】
折り曲げ加工機1を用いたワークの折り曲げによれば、試し曲げ用ワークWに1回目の折り曲げ加工を行った後、上記試し曲げ用ワークWを上記ダイ5から取り外し、上記折り曲げ部位の折り曲げ角度を測定し、この測定の結果上記折り曲げ角度が所定の目標角度とは異なる場合、上記折り曲げ部位が上記所定の角度になるように修正するための上記パンチ3の修正用押し込み量を算出し、上記ダイ5の溝部5Aに上記試し曲げ用ワークWを載置した状態で、上記試し曲げ用ワークWを折り曲げ線を中心に揺動して、上記1回目の折り曲げ加工によって発生した圧痕WBと上記パンチ3の先端部3Bとが、上記パンチ3を上記試し用ワークWに接触させたときに、ほぼ合致するように、上記試し曲げ用ワークWを位置決め設置し、この位置決め設置された試し曲げ用ワークWに対して、上記押し込み量で同一箇所に2回目の修正折り曲げ加工を行うので、上記圧痕WBと上記パンチ3の先端部3Bとが互いに合致しないことによって発生する、上記試し曲げ用ワークWの修正折り曲げ加工による曲げ過ぎを回避することができ、上記試し曲げ用ワークWを製品の目標角度に容易に折り曲げることができる。
【0069】
また、上記求めた修正用押し込み量で、上記試し曲げ用ワークWを修正曲げ加工すると、上記試し曲げ用ワークWの折り曲げ量が製品の目標角度になるので、上記求めた修正用押し込み量が正しいものであることが確認でき、すなわち、修正用押し込み量を容易に求めることができ、以後、上記試し曲げ用ワークWと同じ形態の次のワーク(たとえば量産用ワーク)を、上記修正用押し込み量で1回だけ折り曲げることで、上記次のワークの折り曲げ量を製品の目標角度にすることができる。したがって、パンチ3の正確な押し込み量を求めるために試行錯誤する必要がなくなり、ワーク(量産用ワークを含む)を製品の目標角度に折り曲げるためのD値(押し込み量)を容易に求めることができる。
【0070】
また、折り曲げ加工機1では、位置姿勢検出手段7が、ダイ5の溝部5Aの底部近傍で、ワークの折り曲げ部位に接触部9Aが当接するように付勢された接触子9を備え、上記接触子9および上記ダイ5に上記ワークが接触した状態で上記ワークを揺動したときの上記ダイ5に対する上記接触子9の移動量を検出することによって、再位置決めの際における上記ワークの位置と姿勢とを検出可能に構成されているので、ベンディングインジケータ等を使用してインプロセスで折り曲げ角度を測定する場合に比べ、折り曲げ加工機1の構成が簡素になっており、また、構成が簡素であるので、折り曲げ加工時の制約(たとえば、折り曲げ加工機の構成が複雑であることによって、特殊な形状のワークの一部が折り曲げ加工機と干渉し上記特殊な形状のワークの折り曲げ加工ができない等の制約)を受けることが少なくなる。
【0071】
なお、上記折り曲げ加工機1の動作では、ステップS7で1回目の折り曲げ加工を行った後、パンチ3がダイ5に最も接近している状態(パンチ3をステップS5で求めたD値のぶんだけ押し込んでいる状態)における試し曲げ用ワークWの頂上部WAの位置を示す値(位置姿勢検出手段7が求めた値)をメモリに格納しているが、上記値に代えて次の値(除荷後の値)をメモリに格納してもよい。ここで、上記次の値(除荷後の値)について説明する。
【0072】
パンチ3がダイ5に最も接近するまでパンチ3を下降させて、試し曲げ用ワークWを折り曲げた状態から、パンチ3を上方(試し曲げ用ワークWやダイ5から離反する方向)に低速で移動させる。このとき、上記パンチ3の上昇によって、上記試し曲げ用ワークWに加えられている荷重が除々に除かれ、上記試し曲げ用ワークWにスプリングバックが生じる。
【0073】
接触子9が上方向に付勢されているので、上記スプリングバックをしているときにおいては、上記試し曲げ用ワークWの頂上部WAは、接触子9の接触面9Aとパンチ3の先端部3Bとの間に弱い力で挟まれて上昇する。換言すれば、上記パンチ3の上昇に同期して上記接触子9が上昇する。なお、上記スプリングバックをしているときには、上記パンチ3と上記試し用ワークWの圧痕部WBとの間の相対的な位置関係は変わらない(ずれはない)。
【0074】
続いて、上記パンチ3が上昇を続けて、試し曲げ用ワークWのスプリングバックが終了すると、換言すれば、試し曲げ用ワークWが除荷された(試し曲げ用ワークWに、折り曲げのために印加されていた荷重が完全に除かれた)ときに、パンチ3が試し曲げ用ワークWから離反する。この離反するとき、接触子9が上方向に付勢されているにもかかわらず、上記接触子9の上記付勢力では試し曲げ用ワークWを持ち上げることができない。つまり、試し曲げ用ワークWの重量(質量と重力加速度との積)が、上記接触子9の付勢力よりも大きくなっている。したがって、試し曲げ用ワークWのスプリングバックが終了した後は、パンチ3が上昇を続けても、試し曲げ用ワークWの頂上部WAの位置の変化は無い。
【0075】
そして、上記パンチ3が上記試し曲げ用ワークWから離反するときの接触子9の位置を示す値が、上記次の値(除荷後の値)となる。
【0076】
このように動作する折り曲げ加工機1によれば、荷重が除荷されてスプリングバックで曲げ角度が変化した後における試し曲げ用ワークWの頂上部WAの位置を、位置姿勢検出手段7が読み取って、ステップS7でメモリに格納し、この格納した値を用いて、ステップS19で、試し曲げ用ワークWの位置を表示するので、折り曲げによるスプリングバックが試し曲げ用ワークWに存在していても、試し曲げ用ワークWに修正折り曲げを施すために上記試し曲げ用ワークWをダイ5に位置決め載置する作業を、一層正確にしかも容易に行うことができる。
【0077】
このように、上記試し曲げ用ワークWをダイ5に位置決め載置する作業を、簡素な構成の位置姿勢検出手段7を用いて正確に行うことが容易にできれば、2回目の折り曲げ加工(修正加工)のD値(ステップS13で算出されたD値)に応じた正確な角度だけ上記試し曲げ用ワークWが修正折り曲げ加工され、上記試し曲げ用ワークWを製品の目標角度に折り曲げるためのD値が正確であるか否かを確認でき、したがって、上記試し曲げ用ワークWを製品の目標角度に折り曲げるためのD値を容易に求めることができる。
【0078】
なお、パンチ3が試し曲げ用ワークWから離れたときを、タッチセンサ等のセンサで検出し、この検出をしたときに、位置姿勢検出手段7が読み取った頂上部WAの位置を、ステップS7でメモリに格納してもよい。このように動作することによって、荷重が除荷されスプリングバックで曲げ角度が変化した後における試し曲げ用ワークWの頂上部WAの位置を一層正確に検出することができる。
【0079】
また、上記実施の形態では、試し曲げ用のワークWに1回目の折り曲げ加工を施し、2回目の折り曲げ加工で同一の折り曲げ箇所に対して修正加工を行っているが、上記回数に限定されることはない。したがって、同一の折り曲げ箇所に対して行われたn(「n」は自然数)回目の折り曲げ加工に対して、n+1回目の修正折り曲げ加工を施す場合にも、上記実施の形態を適用することができる。
【0080】
[第2の実施の形態]
図8は、本発明の第2の実施形態に係る折り曲げ加工機51におけるパンチ53、ダイ55、位置姿勢検出手段57の概略構成を示す図である。
【0081】
折り曲げ加工機51では、位置姿勢検出手段57が、試し曲げ用のワークWの互いに異なる2箇所を測定可能に構成されている点が、上記第1の実施の形態とは異なり、その他の点は、上記第1の実施の形態とほぼ同様に構成され動作する。
【0082】
すなわち、位置姿勢検出手段57は、上記ダイ55の溝部55Aの底部近傍で、上記試し用のワークWの折り曲げ部位の折り曲げ線に交差する方向で、互いが僅かに離れた複数の部位に各接触部が当接するように付勢された複数の(たとえば2つの)接触子59、69を備え、上記各接触子59、69および上記ダイ55に上記試し曲げ用ワークWが接触した状態で上記試し曲げ用ワークWを揺動したときの上記ダイ55に対する上記各接触子59、69の各移動量を検出することによって、再位置決めの際における上記試し曲げ用のワークWの位置と姿勢とを検出可能に構成されている。
【0083】
ここで、より詳細に説明すると、接触子59は、ダイ55の内部で上下方向に長く設けられている。また、接触子59は、上下方向に長く延びた本体部61を備え、この本体部61は、図示しないリニアベアリングを介して、ダイ55に対して上下方向に移動自在に設けられ、しかも、第1の実施に形態に係る接触子9と同様に上方向に付勢されている。
【0084】
上記本体部61の上端部側には、試し曲げ用ワークWの折り曲げ長さの方向(折り曲げ線の方向)に延びた軸を回転中心にして、上記本体部61に対して回転自在に円筒状のローラ63が設けられ、試し曲げ用ワークWをダイ55に載置した場合、上記ローラ63の外周面の一部が、上記試し曲げ用ワークWに接触するようになっている。なお、上記ローラ63と上記試し曲げ用ワークWとの接触位置は、折り曲げ加工により形成された、上記試し曲げ用ワークWの頂上部WAから、上記折り曲げ線の方向と交差する方向(たとえば、上記折り曲げ線の方向と直交する方向)に、僅かに離れた位置にある。
【0085】
また、上記本体部61の下端部側には、たとえば、ピストンタイプのリニアエンコーダ65が設けられ、上記本体部61のローラ63が試し曲げ用のワークWに接触し、上記試し曲げ用のワークWを揺動させたときの上記本体部61の移動量を、第1の実施の形態に係る接触子とほぼ同様に、検出可能になっている。
【0086】
また、接触子69、本体部71、ローラ73、リニアエンコーダ75も、上記接触子59、本体部61、ローラ63、リニアエンコーダ65と同様に形成され、上記ローラ63と上記試し曲げ用ワークWとの接触位置とは、ダイ55のセンターラインCLに対して対称な位置で、上記ローラ73が上記試し曲げ用のワークWに接触するようになっている。
【0087】
このように、2つの接触子59、69を備えた折り曲げ加工機1によれば、第1の実施の形態と同様な効果を得ることができると共に、試し曲げ用のワークWに位置や姿勢を、互いに離れた2箇所で計測しているので、ダイ55に載置された試し曲げ用のワークWのごく僅かな傾き(折り曲げ線の方向に延びた回転軸を中心に回転したときのごく僅かな回転量)を精密に計測可能である。
【0088】
すなわち、第1の実施の形態に係る位置姿勢検出手段7では、図3に示すように、試し曲げ用のワークWの傾き(揺動角度)が小さいと、接触子9の変化量が少ないが、本実施の形態に係る位置姿勢検出手段57では、接触子59の位置と接触子69の位置との差によって、試し曲げ用のワークWの傾きを検出できるので、試し曲げ用のワークWの傾きが小さい場合でも、接触子59の位置と接触子69の位置との差が、上記第1の実施形態に比べて大きく現れ、試し曲げ用のワークWの僅かな傾きを精密に計測することができる。
【0089】
また、第1の実施の形態に係る折り曲げ加工機1では、たとえば1回目の折り曲げ加工における接触子9の値をメモリに格納し、2回目の折り曲げ加工前の試し曲げ用ワークWについての接触子9の値を検出し、この検出した値を上記メモリに格納した値と比較して(差をとって)試し曲げ用ワークWが正しい位置と姿勢でダイ55に設置されるようにしているが、第2の実施の形態に係る折り曲げ加工機51では、2つの接触子の位置を比較して(差をとって)試し曲げ用ワークWが正しい位置と姿勢でダイ55に設置されるようにしているので、メモリ自体やこのメモリに格納する動作が不要になり、折り曲げ加工機51の構成や動作を一層簡素化することができる。
【0090】
また、第2の実施の形態に係る折り曲げ加工機51では、ローラ63がワークWと転がり接触して、ワークWの位置と姿勢とを検出するように構成されているので、ワークWを揺動する際の摩擦力を小さくすることができ、ワークWの揺動がしやすくなり、ワークWの位置と姿勢とを容易に調整することができる。
【0091】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0092】
第3の実施形態に係る折り曲げ加工機は、ワークWを折り曲げるためにパンチ3とダイ5とを互いに所定の値まで近づけ、すなわち、上記パンチ3をD値ぶんだけ押し込み、この押し込んだ後、上記パンチ3を上記ダイ5から離すときに、上記ワークWのスプリングバックによる荷重がほぼ「0」になったことを検出可能な荷重検出手段101を有する(図9参照)。
【0093】
そして、上記荷重検出手段101と位置姿勢検出手段7(図1参照)とによって、上記ワークWのスプリングバックによる荷重がほぼ「0」になったときのワーク折り曲げ部位の位置を検出し、また、上記ワークWを上記ダイ5に再位置決めするために、位置姿勢検出手段7によって、上記接触子9および上記ダイ5に上記ワークWが接触した状態で上記ワークWを揺動したときの上記ワーク折り曲げ部位の位置を検出し、上記各折り曲げ部位の位置が互いにほぼ等しくなったことを検出可能になっており、その他の点は、第1の実施形態に係る折り曲げ加工機1とほぼ同様に構成されている。
【0094】
次に、上記荷重検出手段101が設置されている部分周辺における、第3の実施形態に係る折り曲げ加工機の概略構成を、図9を用いて説明する。
【0095】
上記第3の実施形態に係る折り曲げ加工機は、ワークWに折り曲げ加工を施すために、油圧シリンダ103によって、ラム105とこのラム105の下部側に設置されているパンチ3とが、たとえば上下方向に移動可能になっている。
【0096】
また、上記油圧シリンダ103のピストン103Aで区切られた、油圧シリンダ103内の各空間103C、103Dには、たとえば、制御モータ109に接続された2方向油圧ポンプ107から、各経路111A、111Bを介して、油圧作動油が供給されるようになっている。
【0097】
そして、ピストン103Aから延出しているピストンロッド103Bの先端部にはラム105が接続されており、2方向油圧ポンプ107を順回転することによって、2方向油圧ポンプ107から経路111Aを介して空間103Cに油圧作動油が供給され、ラム105とパンチ3とがダイ(図示せず)に近づき、ワークWに折り曲げ加工を施すようになっている。
【0098】
また、上記折り曲げ加工後、上記2方向油圧ポンプ107を逆回転することによって、2方向油圧ポンプ107から経路111Bを介して空間103Dに油圧作動油が供給され、ラム105とパンチ3とがダイから離反するようになっている。
【0099】
ここで、荷重検出手段101は、上記経路111Aの中間部に設置された油圧圧力センサ113を備え、この油圧圧力センサ113は、上記経路111Aおよび上記空間103C内の油圧作動油の圧力を検出可能になっている。
【0100】
そして、第3の実施形態に係る折り曲げ加工機では、上記油圧圧力センサ113で、油圧作動油の圧力を検出することによって、ワークWに折り曲げ加工を施すときに上記パンチ3に発生する荷重(曲げ荷重)を求めることができるようになっている。
【0101】
次に、パンチ3をダイに近づけて(パンチ3を下降させて)ワークWに折り曲げ加工を施した場合において、接触子9の位置の変化(パンチ3の位置の変化)と、上記パンチ3にかかる上記曲げ荷重の変化とについて、図10を用いて説明する。なお、図10の横軸は、時刻の経過を示し、図10の縦軸は、接触子9の位置(またはパンチ3の位置;パンチ3とダイ5との間の距離)と上記曲げ荷重とを示す。
【0102】
ワークWをダイに設置した後、パンチ3の下降を開始してしばらくすると、時刻t0でパンチ3とワークWとが互いに接触を開始する。さらに、パンチ3が下降を続けると、接触子9が下方向に移動する(パンチ3の位置はダイに近づく)と共に、上記ワークWの曲げ荷重が増加する。なお、上記曲げ荷重は、パンチ3とワークWとが接触した後しばらくは、ワークWが弾性変形するので、直線的に増加するが、その後は、ワークWが塑性変形するので増加傾向が鈍り、さらには減少する。
【0103】
パンチ3が時刻t1で下死点まで到達すると(パンチ3がD値まで押し込まれると)パンチ3は移動を止めて、下死点で停止した状態になる。このときの上記曲げ荷重の値はほぼ一定の値を保つ。
【0104】
パンチ3を所定の時間、上記下死点で停止した後、時刻t2で、ダイ5やワークWから遠ざけるようにパンチ3を移動(上昇)すると、ワークWの曲げ荷重は徐々に減少し、時刻t3で「0」になる。なお、上記時刻t2から時刻t3の間で減少している曲げ荷重は、ワークWのスプリングバックによる荷重であり、時刻t3で、ワークWのスプリングバックによる荷重が「0」になる。
【0105】
そして、第3の実施形態に係る折り曲げ加工機は、時刻t3における接触子9の位置P1を読み取り、メモリに記憶するようになっている。
【0106】
次に、第3の実施形態に係る折り曲げ加工機の動作について説明する。
【0107】
上記第3の実施形態に係る折り曲げ加工機では、図4に示すステップS7における1回目の折り曲げ加工後、図10の時刻t3における接触子9の位置P1を読み取り、この読み取った値をメモリに格納し、この格納した値を用いて、ステップS19(図4参照)の判断を行う点が、第1の実施形態に係る折り曲げ加工機1とは異なり、その他の点は、上記第1の実施形態に係る折り曲げ加工機1とほぼ同様に動作する。
【0108】
第3の実施形態に係る折り曲げ加工機によれば、第1の実施形態に係る折り曲げ加工機1の効果に加えて、パンチ3をワークWやダイから離反させて、上記ワークWのスプリングバックが終了したことを荷重検出手段101で検出し、この検出をしたときにおけるワークWの折り曲げ部の位置を、接触子9を用いて検出可能であるので、ワークWのスプリングバック終了時に折り曲げ部位の位置を正確に検出することができる。
【0109】
なお、上記荷重検出手段101では、油圧シリンダ103に供給される作動油の圧力を油圧圧力センサ113で検出し、ワークWの曲げ荷重(特にワークWのスプリングバックの荷重)を検出しているが、ボールネジを介して制御モータでラム105を駆動し、上記制御モータの回転駆動力を測定することによって、ワークWの曲げ荷重を検出してもよい。さらに、ラム105やパンチ3に歪ゲージを設け、ワークWの曲げ荷重を検出してもよい。
【0110】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0111】
第4の実施形態に係る折り曲げ加工機は、ワークWを折り曲げるためにパンチ3とダイ5とを互いに所定の値まで近づけ、たとえば、上記パンチ3をD値ぶんだけ押し込み、この押し込んだときの上記ワークWの折り曲げ部位の位置と、上記ワークWの折り曲げ部位の角度と、上記折り曲げ後上記パンチ3上記ダイ5から取り外すことによってスプリングバックが生じた上記ワークWの折り曲げ部位の角度とによって、上記折り曲げ加工後のワークWを上記ダイ5に対して再度位置決め設置するに際し、上記ワークWが上記ダイ5に対して再位置決め前の位置に再位置決め前の姿勢で設置されるようにするための上記ワークWの上記折り曲げ部位の位置(上記ダイ5に対する位置)を算出可能に構成されている点が、第1の実施の形態に係る折り曲げ加工機1と異なり、その他の点は上記折り曲げ加工機1とほぼ同様に構成されている。
【0112】
次に、第4の実施形態に係る折り曲げ加工機の動作について説明する。
【0113】
図11は、第4の実施形態に係る折り曲げ加工機の動作を示すフローチャートである。なお、図11で示されていない部分は、第1の実施の形態に係る折り曲げ加工機1と同様に動作する(図4参照)。
【0114】
図12は、上記第4の実施形態に係る折り曲げ加工機の動作におけるワークW等の各状態を示す図である。
【0115】
第4の実施形態に係る折り曲げ加工機は、ステップS7で、たとえば1回目の折り曲げ加工を行った(上記パンチ3をD値ぶんだけ押し込んだ)状態で、接触子9の平面状の接触部9Aと、たとえばダイ5の平面状の上端部との間の距離l1を検出し(図12(1)参照)、この検出した距離l1をメモリに記憶し(S101)、さらに、ステップS7で1回目の折り曲げ加工を行った状態で、上記ワークWの折り曲げ角度θ1(図12(1)参照)を検出し、この検出した角度θ1をメモリに記憶する(S103)。
【0116】
続いて、第1の実施形態に係る折り曲げ加工機1の場合と同様に、上記ワークWを折り曲げ加工機の外部に取り出し(S9)、この取り出したとき(ワークWにパンチ3等による外力が加えられていないとき)、すなわちワークWの折り曲げ角度がスプリングバックで若干開いたときのワークWの折り曲げ角度(仕上がり角度)θ2(図12(2)参照)を測定する(S11)。なお、角度θ2>角度θ1となっている。
【0117】
続いて、上記測定した角度θ2と、ステップS101で記憶した距離l1と、ステップS103で記憶した角度θ1とによって、図12(3)に示す距離l2を算出する(S105)。ここで、上記距離l2は、上記折り曲げ加工後のワークWを上記ダイ5に対して再度位置決め設置するに際し、上記ワークWが上記ダイ5に対して再位置決め前の位置に再位置決め前の姿勢で設置されるようにするための上記ワークWの上記折り曲げ部位の位置(ダイ5の平面状の上端部と上記ワークWの上記折り曲げ部位の位置との間の距離)を示すものである。
【0118】
続いて、第1の実施形態に係る折り曲げ加工機1と同様に、図4に示すステップS13〜ステップS17の動作を行い、上記距離l2を用いて、第1の実施形態に係る折り曲げ加工機1のステップS19と同様の判断を行う(S107)。
【0119】
第4の実施の形態に係る折り曲げ加工機によれば、ワークWを再位置決めする場合に使用する、位置姿勢検出手段7の接触子9の位置を算出しているので、上記第3の実施形態に係る折り曲げ加工機のような荷重検出手段101が不要になり、上記第3の実施形態に係る折り曲げ加工機の効果に加え、折り曲げ加工機の構成を簡素化することができる。
【0120】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
【0121】
第5の実施形態に係る折り曲げ加工機は、折り曲げ加工後のワークWをダイ5に対して再度位置決め設置するに際し、接触子9および上記ダイ5に上記ワークWが接触した状態で上記ワークWを所定の回数または所定の時間揺動したときの上記ダイ5の上端面に対する上記接触子9の位置の最小値(図15のlamin)を検出し、この後、上記ワークWの折り曲げ部位の位置と上記最小値とを互いにほぼ一致させることによって、上記ワークWが上記ダイ5に対して再位置決め前の位置に再位置決め前の姿勢で設置可能に構成されている点が、第1の実施形態に係る折り曲げ加工機1と異なり、その他の点は、上記折り曲げ加工機1とほぼ同様に構成されている。
【0122】
次に、上記第5の実施形態に係る折り曲げ加工機の動作について説明する。
【0123】
図13は、第5の実施形態に係る折り曲げ加工機の動作を示すフローチャートである。なお、図13で示されていない部分は、第1の実施の形態に係る折り曲げ加工機1と同様に動作する(図4参照)。
【0124】
図14は、上記第5の実施形態に係る折り曲げ加工機の動作におけるワークW等の各状態を示す図であり、図15は、図13に示すステップS111で、ワークWを揺動したときの接触子9の位置を示す図である。なお、図15の横軸は時刻を示し、縦軸は、上記接触子9の平面状の接触部9Aの下部側に位置している所定の基準位置UL1と、上記接触子9の接触部9Aとの間の距離を示す。
【0125】
第5の実施形態に係る折り曲げ加工機は、ステップS11(図4参照)で、ワークWの折り曲げ角度が目標角度になっているか否かを判断し、目標角度になっていない場合、ステップS13で2回目の折り曲げ加工のためのD値を算出し、1回目の折り曲げ加工後のワークWをダイ5に載置し、パンチ3の加工を開始する(S15)。
【0126】
続いて、オペレータが、上記接触子9および上記ダイ5に上記ワークWが接触した状態で、所定の回数もしくは所定の時間、上記ワークWの折り曲げ線に平行な軸を中心にして上記ワークWを揺動し(S111)、この揺動をしたときの接触子9の最小値を表示手段に表示する(S113)。
【0127】
ここで、図14(1)〜(3)に示すようにワークWを揺動すると、上記接触子9の接触部9Aの下部側に位置している所定の基準位置UL1と、上記接触子9の接触部9Aとの間の距離laが変化する。これを、時刻の経過にしたがって表すと、図15に示すようになる。そして、上記ステップS113では、上記laの最小値lamin(図15参照)を表示手段で表示する。
【0128】
続いて、上記表示された値を見ながらオペレータが、上記ワークWを設置するために、上記ワークの揺動をさらに続ける。この場合上記揺動を続けているときの接触子9の位置を別途上記表示手段に表示し、上記各2つの表示値が互いにほぼ一致したとき、オペレータは、上記ワークが上記ダイ5に対して、正しい位置・姿勢で設置されたものとし、次にパンチ3がピンチングポイントまで加工したか否かを判断する(S23。)
なお、上記laminと、上記揺動を続けているときの接触子9の位置との差を、表示手段に表示するようにしてもよい。
【0129】
上記第5の実施形態に係る折り曲げ加工機によれば、ワークWを所定の回数もしくは所定の時間揺動し、ワークWを正しい位置・姿勢でダイ5に設置するときに使用する接触子9の最小値laminを求めているので、上記第4の実施の形態に係る折り曲げ加工機のように、パンチ3をD値だけ押し込んだときの接触子9の位置l1や折り曲げ角度θ1やワークWに外力が加わっていないときの折り曲げ角度θ2を求める必要が無くなり、また、上記各値から、ワークWを正しい位置・姿勢でダイ5に設置するときに使用する接触子9の位置l2を算出する必要が無くなり、折り曲げ加工機の構成や動作を、上記第4の実施形態に係る折り曲げ加工機よりもさらに簡素化することができる。
【0130】
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
【0131】
第6の実施形態に係る折り曲げ加工機は、折り曲げ加工後のワークWをダイ5に対して再度位置決め設置するに際し、たとえば、パンチ3をこのパンチ3の移動方向に振動させて、上記ワークWを上記ダイ5に対して再位置決め前の位置に再位置決め前の姿勢で設置可能なワーク振動位置決め手段を備え、位置姿勢検出手段7が設けられていない点が、第1の実施形態に係る折り曲げ加工機1とは異なり、その他の点は、上記折り曲げ加工機1とほぼ同様に構成されている。なお、パンチ3の代わりにダイ5を移動し、振動させてもよい。
【0132】
なお、上記パンチ3の振動のストローク(振幅)の一方端(上限)は、上記ダイ5の溝部に上記折り曲げ加工後のワークWを載置して、上記パンチ3が上記ワークWへ近づき上記ワークWへ接触したときの上記パンチ3の位置であり、上記パンチ3の振動のストロークの他方の端(下限)は、上記ワークWに前回の折り曲げ、たとえば1回目の折り曲げを施したときのパンチ3のD値(上記パンチ3が上記ダイ5に最も近づいたときの上記パンチ3の位置)である。
【0133】
さらに、突き直しのとき(折り曲げ加工後のワークWの折り曲げ部位の修正折り曲げを行うとき)にワークの姿勢が大きくずれていても曲げが進行しないようにするために、上記下限を、上記D値よりも50μm程度上側の位置(50μm程度パンチ3の下降量が少ない位置)とし、上記上限を、上記ワークWのばたつきを抑えるために、上記ワークWがパンチ3、ダイ5から離れないような位置(パンチ3、ダイ5からワークにかかる力が「0」にならないような位置)とすることが好ましい。
【0134】
次に、上記第6の実施形態に係る折り曲げ加工機の動作について説明する。
【0135】
図16は、第6の実施形態に係る折り曲げ加工機の動作を示すフローチャートである。なお、図16で示されていない部分は、第1の実施の形態に係る折り曲げ加工機1と同様に動作する(図4参照)。
【0136】
図17は、上記第6の実施形態に係る折り曲げ加工機の動作におけるパンチ3の振動状態等を示す図であり、横軸は時刻を示し、縦軸はパンチ3の位置を示す。図18は、上記パンチ3の振動ストロークや振動回数を求めるときに使用されるテーブルであり、このテーブルの各値は、上記折り曲げ加工機のメモリに格納されている。
【0137】
第6の実施形態に係る折り曲げ加工機は、ステップS1〜ステップS15までは第1の実施の形態に係る折り曲げ加工機1と同様に動作する。
【0138】
続いて、ダイ5の溝部に載置された折り曲げ加工後のワークWにパンチ3を接触させた状態で、上記パンチ3を上記パンチ3の移動方向に振動させて(S121)、上記折り曲げ加工によって発生した圧痕部WB(図6参照)と上記パンチ3の先端部とを、自動調芯作用によって互いにほぼ合致させる(S123)。この後、ステップS25に進む。
【0139】
ここで、上記ステップS121とステップS123とについて、図17と図18とを用いて詳しく説明する。
【0140】
図17(1)は、ワークWに対して1回目の折り曲げ加工を行うときのパンチ3の位置の変化を示す図である。すなわち、図16のステップS7におけるパンチ3の位置の変化を示す図である。図17(1)では、パンチ3が下降を開始し、ワークWに接触するピンチングポイントP3に達し、さらに、1回目の折り曲げのD値(1度目曲げ下限)まで、パンチ3が下降を続けポイントP5に達する。この後所定の時間パンチ3は停止し、ポイントP7に達した後、パンチ3は上昇を開始する。
【0141】
図17(2)は、ワークWに対してたとえば2回目の折り曲げ加工(折り曲げ角度修正加工)を行うときのパンチ3の位置の変化を示す図である。すなわち、図16のステップS121、S123、S25におけるパンチ3の位置の変化を示す図である。図17(2)では、パンチ3が下降を開始し、ワークWに接触するピンチングポイントP9に達し、さらに、上記1回目の折り曲げのD値(1度目曲げ下限)近傍まで、パンチ3が下降を続けポイントP11に達する。この後、パンチ3は上記ポイントP9の手前まで上昇しポイントP13に達する。この後、パンチ3は上記ポイントP11とP13との間で所定の回数もしくは所定の時間振動し、ポイントP15に達する。
【0142】
上記ポイントP15に達した後、パンチ3は2回目の折り曲げのD値(2度目曲げ下限)まで下降しポイントP17に達する。この後所定の時間パンチ3は停止し、ポイントP19に達した後、パンチ3は上昇を開始する。
【0143】
また、図17(2)において、ポイントP9とポイントP5やポイントP7(図17(1)参照)との間の距離Kを「1」とし、ポイントP11とポイントP5(P7)との間の距離の比(上記距離Kに対する比)を距離比K1とし、ポイントP13とポイントP5(P7)との間の距離の比(上記距離Kに対する比)を距離比K2とする。
【0144】
そして、上記各ポイントP11やP13の値(パンチ3の振動位置とストローク)や振動回数Tを、図18に示すテーブルを参照して求める。
【0145】
たとえば、ワークWの最終の目標曲げ角度を90°とし、1回目の曲げによって上記ワークWが92°曲がった場合、図18のテーブルの上段を参照して、距離比K1=0.2、K2=0.3から振動の上限、下限(振動の位置とストローク)を求め、さらに振動回数3〜4回を求める。
【0146】
なお、図18に示すテーブルを用いることなく、上記各ポイントP11やP13の値や振動回数Tを、折り曲げ加工機にパラメータで入力し、この入力されたパラメータに基づいて求める等、その他の手段で求めてもよい。
【0147】
上記第6の実施形態に係る折り曲げ加工機によれば、パンチ3を振動させてこの振動しているときの調芯作用によって、折り曲げ加工後のワークWを正しい位置・姿勢でダイ5に再設置することができるので、位置姿勢検出手段7やワークWの折り曲げ部の位置を表示することが不要になり、折り曲げ加工機の構成を簡素化することができる。
【0148】
[第7の実施の形態]
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。
【0149】
図19は、本発明の第7の実施形態に係る折り曲げ加工機に設けられたパンチ121、ダイ123、位置姿勢検出手段125の概略構成を示す図である。
【0150】
第7の実施形態に係る折り曲げ加工機は、位置姿勢検出手段125において、ダイ123の溝部123Aの底部近傍に板状の接触部材127を設け、この接触部材127を介してワークW(図21参照)の位置と姿勢とを検出可能に構成されている点が、第2の実施の形態と異なり、その他の点は第2の実施の形態とほぼ同様に構成されている。
【0151】
すなわち、第7の実施形態に係る位置姿勢検出手段125の接触部材127は、ダイ123の溝部123Aの底部近傍で、上記ワークWの折り曲げ線に交差する方向に延伸し、上記ワークWの折り曲げ線と平行な軸CL3を揺動中心にして揺動自在に設けられており、また、上記接触部材127は、上記ダイ123に載置されたワークWに当接自在の接触面127Aを備えた板状の部材である。そして、上記接触部材127を介して、上記各接触子129A、129Bが移動するように構成されている。
【0152】
より、詳しく説明すると、位置姿勢検出手段125は、ダイ123の内部のスペースで上下方向に長く延びて、ダイ123に一体的に設けられた基材131に対して、上下方向に移動自在なホルダ133を備える。なお、このホルダ133は、上下方向に長く延びた部材で構成され、このホルダ133の中心とパンチ121とダイ123の中心(中心線CL2で示す中心)とは、互いにほぼ一致している。また、上記ホルダ133の上部側には、上記接触部材127が設けられ、この接触部材127は、上述したように軸CL3を揺動中心にして、上記ホルダ133に対して揺動自在になっている。なお、位置姿勢検出手段125では、軸CL3と中心線CL2とは互いが直交している。
【0153】
また、上記ホルダ133は、圧縮バネ134によって、上方向に付勢され、常態(ワークWが載置されておらず、パンチ3が下降していない状態)においては、上記接触部材127の接触面127Aが、ダイ123の上部側の面123Bよりも僅かに下の位置にある。そして、ワークWをダイ123の溝部123Aに載置した場合、上記ホルダ133と上記接触部材127とが下方向に移動するようになっている。
【0154】
そして、パンチ121を下降させると、ホルダ133、接触部材127、各接触子129A、129Bがパンチ121に押されて下側に移動し、ダイ123に接触するまでパンチ121を下降させると、図20に示す状態になる。
【0155】
また、上記ホルダ133の内部スペースであって、上記接触部材127の下側には、各接触子129A、129Bが設けられている。これらの各接触子129A、129Bは、上下方向に長く延びた棒状の部材で構成され、パンチ121とダイ123の中心線CL2に対して、ほぼ対称に設けられ、また、各接触子129A、129Bは、上記ホルダ133に対して上記ホルダ133の移動方向と同方向(上下方向)に各々が移動自在になっている。さらに、上記各接触子129A、129Bのそれぞれが、各作動トランス135A、135Bに設けられた圧縮バネ137A、137Bによって、上方向に付勢されている。
【0156】
そして、上記各接触子129A、129Bの上端部が上記接触部材127の下面127Bに接触している。なお、上記各接触子129A、129Bの上端部の形状は、円弧状または球状等に形成されていることが望ましい。さらに第2の実施形態で示すようにローラを介して、上記接触部材127の下面127Bに接触するようにしてもよい。
【0157】
上記作動トランス135Aは、リニアエンコーダの例であり、接触子129Aの上下方向の移動量を検出するためのものであり、上記作動トランス135Bも、リニアエンコーダの例であり、接触子129Bの上下方向の移動量を検出するためのものである。
【0158】
次に、位置姿勢検出手段125の動作について説明する。
【0159】
まず、常態では、図19に示すように、パンチ121と、ダイ123とが互いに離れており、ホルダ133、各接触子129A、129Bは、付勢されて上方に位置している。すなわち、接触部材127の接触面127Aが、ダイ123の上部側の面123Bよりも、僅かに下の位置にある。
【0160】
続いて、図21に示すように、ダイ123にワークを載置し、この載置したワークWをダイ123の溝部123A、接触部材127に接触させて、矢印AR21の方向に揺動すると、接触部材127が上下方向に移動すると共に、接触部材127が軸CL3を中心にして揺動し、これらの接触部材127の移動した位置、揺動した位置を各接触子129A、129Bを介して、各作動トランス135A、135Bで読み取る。つまり、各接触子129A、129Bの各上端部が、接触部材127の下面127Bに付勢されて接触しているので、上記接触部材127の移動、揺動したがって、各接触子129A、129Bが移動し、この移動した位置を、各作動トランス135A、135Bで読み取る。
【0161】
ここで、上述のようにワークWを揺動したときの、各接触子129A、129Bの位置の変化を、図22を用いて説明する。
【0162】
図22の横軸は、時刻を示し、縦軸は、各接触子129A、129Bの位置を示す。
【0163】
ここで、各接触子129A、129Bの位置は、基準位置UL2から各接触子129A、129Bの上端までの各距離Xa、Xbを表すこととする(図21参照)。上記位置UL2として、たとえば、上記ワークWが上記ダイ123に正しい位置、姿勢で設置されたときの、各接触子129A、129Bの位置を採用する。
【0164】
また、図22における破線のグラフは、各接触子129A、129Bの位置の値の差の変化を示し、この差の変化は図22の軸の右側の目盛りで読み取ることとする。さらに、図22における実線のグラフは、各接触子129A、129Bの位置の値の1/2(「1/2」以外の値、たとえば「1」でもよい。)の変化を示し、この和の変化は図22の軸の左側の目盛りで読み取ることとする。
【0165】
図22から理解できるように、ワークWをダイ123に載置して揺動し、各接触子129A、129Bの位置の値の差がほぼ「0」になったとき、上記ワークWは上記ダイ123に正しい位置、姿勢で設置される。または、ワークWをダイ123に載置して揺動させ、各接触子129A、129Bの位置の値の和がほぼ「0」になったとき、上記ワークWは、上記ダイ123に正しい位置、姿勢で設置される。
【0166】
そして、上記ワークWが上記ダイ123に正しい位置、姿勢で設置された状態で、第2の実施形態に係る折り曲げ加工機と同様に折り曲げ加工を行う。
【0167】
第7の実施の形態に係る折り曲げ加工機によれば、板状の接触部材127を介して、ワークWの位置と姿勢とを検出するので、長年使用しても、板状部材127の接触面127Aが主に磨耗し、上記板状部材127のみを交換すれば補修が完了し、位置姿勢検出手段125の保守が容易になる。
【0168】
なお、上記各実施の形態では、ダイの移動方向が上下方向であるが、必ずしも上下方向である必要はなく、たとえば、水平方向であってもよいし、その他の方向であってもよい。
【0169】
また、上記各実施の形態では、ダイが折り曲げ加工機の本体部に固定され、パンチが上記本体部に対して移動することによって、上記ダイとパンチとが互いに接近離隔するようになっているが、パンチが折り曲げ加工機の本体部に固定され、ダイが上記本体部に対して移動するようにしてもよいし、パンチとダイの両方が、上記本体部に対して移動するようにしてもよい。
【0170】
また、上記各実施の形態では、接触子の移動方向は、ダイとパンチとが互いに接近しまたは離反する方向と平行、たとえば、上下方向になっているが、必ずしも、上下方向である必要はなく、たとえば、パンチが上下方向に移動する場合でも、接触子が水平方向または斜め方向に移動するようにしてもよい。
【0171】
また、上記各実施の形態において、ダイの長手方向(図1の紙面に直角な方向)の一部に設けられた上記位置姿勢検出手段を、上記ダイの長手方向に複数個互いを離隔させて設けてもよい。このように、ダイの長手方向に複数個の位置姿勢検出手段を設けることによって、ワークの折り曲げ線方向の位置決め設置が容易になり、通り角度精度の良い(折り曲げ方向における曲げ角度のばらつきが少ない)折り曲げ加工をすることができる。
【0172】
さらに、上記各実施の形態において、折り曲げ加工後の試し曲げ用ワークをダイに対して、たとえばオペレータが再度位置決め設置するに際し、上記ワークが上記ダイに対して再位置決め前の位置に再位置決め前の姿勢で容易に設置されるようにするための位置姿勢指示手段を、位置姿勢検出手段の代わりに設けてもよい。
【0173】
なお、上記位置姿勢指示手段として、たとえば、パンチの先端部と同一の線上に線状のレーザ光を照射する手段を考えることができる。そして、上記照射されているレーザ光と、ダイに載置されたワークの圧痕とを、オペレータが上記ワークを旋回して互いに一致させることで、上記ワークを正しい姿勢で正しい位置に設置することができる。
【0174】
また、別の位置姿勢指示手段として、たとえば、ダイ上面やワーク上面をCCD等のカメラで撮影し、この撮影している映像をLCD等で表示すると共に、上記表示している映像中に、パンチ先端部に対して同一線上に位置する基準線を表示する手段を考えることができる。そして、上記表示されている基準線と、ダイに載置されたワークの圧痕とを、オペレータが上記ワークを旋回して互いに一致させることで、上記ワークを正しい姿勢で正しい位置に設置することができる。
【0175】
【発明の効果】
本発明によれば、簡素な構成で、しかも、ワークを製品の目標角度に折り曲げるためのD値を容易に求めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る折り曲げ加工機におけるパンチ、ダイ、位置姿勢検出手段の概略構成を示す図である。
【図2】位置姿勢検出手段とワークとの接触状態を示す拡大図である。
【図3】一度折り曲げられたワークWを、図2で示すように、ダイの溝部と接触子の接触部とに接触させて、上記ワークを揺動した場合における上記ワークの揺動角度と接触子の位置との関係を示した図である。
【図4】折り曲げ加工機を用いて、試し曲げ用のワークの折り曲げ部位を所定の角度だけ折り曲げる場合の概略動作を示すフローチャートである。
【図5】試し曲げ用のワークに対して折り曲げ加工を施した直後の状態を示す図である。
【図6】1回目の折り曲げ加工終了後における試し曲げ用のワークの折り曲げ部位の形態を示す図である。
【図7】パンチやダイの溝部に対して、試し曲げ用のワークが傾いて設置された状態を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る折り曲げ加工機におけるパンチ、ダイ、位置姿勢検出手段の概略構成を示す図である。
【図9】荷重検出手段が設置されている部分周辺における、第3の実施形態に係る折り曲げ加工機の概略構成を示す図である。
【図10】パンチをダイに近づけて、ワークに折り曲げ加工を施す場合において、接触子の位置の変化と、上記パンチにかかる曲げ荷重の変化とを示す図である。
【図11】第4の実施形態に係る折り曲げ加工機の動作を示すフローチャートである。
【図12】第4の実施形態に係る折り曲げ加工機の動作におけるワーク等の各状態を示す図である。
【図13】第5の実施形態に係る折り曲げ加工機の動作を示すフローチャートである。
【図14】第5の実施形態に係る折り曲げ加工機の動作におけるワーク等の各状態を示す図である。
【図15】図13に示すステップS111で、ワークを揺動したときの接触子の位置を示す図である。
【図16】第6の実施形態に係る折り曲げ加工機の動作を示すフローチャートである。
【図17】第6の実施形態に係る折り曲げ加工機の動作におけるパンチの振動状態等を示す図である。
【図18】パンチの振動ストロークや振動回数を求めるときに使用されるテーブルを示す図である。
【図19】本発明の第7の実施形態に係る折り曲げ加工機に設けられたパンチ、ダイ、位置姿勢検出手段の概略構成を示す図である。
【図20】本発明の第7の実施形態に係る折り曲げ加工機に設けられた位置姿勢検出手段において、ダイに接触するまでパンチを下降させた状態を示す図である。
【図21】本発明の第7の実施形態に係る折り曲げ加工機でダイにワークを載置し、この載置したワークをダイ、接触部材に接触させた状態を示す図である。
【図22】本発明の第7の実施形態に係る折り曲げ加工機でダイにワークを載置し、この載置したワークをダイ、接触部材に接触させた常態で揺動させたときの、各接触子Bの位置の変化を示す図である。
【符号の説明】
1、 51 折り曲げ加工機
3、53、121 パンチ
3B 先端部
5、55、123 ダイ
7、57、125 位置姿勢検出手段
9、59、69、129A、129B 接触子
9A 接触部
11、65、75 リニアエンコーダ
127 接触部材
135A、135B 差動トランス
W 試し曲げ用ワーク
Claims (7)
- パンチとダイとを用いてワークを折り曲げ加工可能な折り曲げ加工機において、
ワークの折り曲げ部位の頂上部と接触する接触子を備え、この接触子の移動量を検出することによって、前記ワークの前記ダイに対する姿勢と位置とを検出可能な位置姿勢検出手段を有し、折り曲げ加工が行われたワークの折り曲げ角度を修正するために算出された上記パンチまたは上記ダイの押し込み量で上記折り曲げ加工が行われたワークの折り曲げ部位への修正曲げ加工を行うときに、前記位置姿勢検出手段によって、前記修正曲げ加工を行うときの前記ダイに対するワークの位置と姿勢とを検出し、この検出結果により、前記折り曲げ加工の際に前記ダイに載置されたときとほぼ同じ位置と姿勢で前記ワークが前記ダイに載置されていると判断されたときに、前記修正曲げ加工を行うように構成されていることを特徴とする折り曲げ加工機。 - 請求項1に記載の折り曲げ加工機において、
上記位置姿勢検出手段の接触子は、平面状の接触部が、上記ダイの溝部の底部近傍で、上記ワークの折り曲げ部位の頂上部に当接するように設けられており、上記位置姿勢検出手段が、上記接触子および上記ダイに上記ワークが接触した状態で上記ワークを揺動したときの上記ダイに対する上記接触子の移動量を検出することによって、上記ワークの位置と姿勢とを検出可能に構成されていることを特徴とする折り曲げ加工機。 - 請求項1に記載の折り曲げ加工機において、
上記位置姿勢検出手段の接触子が複数設けられており、これらの各接触子は、上記ワークの折り曲げ部位の折り曲げ線に交差する方向で、互いが離れており、上記各接触子の接触部が、上記ダイの溝部の底部近傍で、上記ワークの折り曲げ部位に当接するように設けられており、上記位置姿勢検出手段が、上記各接触子および上記ダイに上記ワークが接触した状態で上記ワークを揺動したときの上記ダイに対する上記各接触子の各移動量を検出することによって、上記ワークの位置と姿勢とを検出可能に構成されていることを特徴とする折り曲げ加工機。 - パンチとダイとを用いてワークを折り曲げ可能な折り曲げ加工方法において、
上記ワークに折り曲げ加工を行った後、上記ワークを上記ダイから取り外し、上記折り曲げ部位の折り曲げ角度を測定する折り曲げ角度測定工程と;
上記測定の結果上記折り曲げ角度が所定の角度とは異なる場合、上記折り曲げ部位が上記所定の角度になるように修正するための上記パンチまたは上記ダイの押し込み量を算出する修正用押し込み量算出工程と;
上記ダイの溝部に上記ワークを載置した状態で、上記ワークを折り曲げ線を中心に揺動しつつ、位置姿勢検出手段を用いて、上記折り曲げ加工によって発生した圧痕部と上記パンチの先端部とがほぼ合致するように、上記ワークを位置決め設置するワーク設置工程と;
上記位置決め設置されたワークに対して、上記押し込み量で修正折り曲げ加工を行う工程と;
を有し、上記位置姿勢検出手段は、ワークの折り曲げ部位の頂上部と接触する接触子を備え、この接触子の移動量を検出することによって、前記ワークの前記ダイに対する姿勢と位置とを検出可能な手段であることを特徴とする折り曲げ加工方法。 - 請求項4に記載の折り曲げ加工方法において、
上記修正折り曲げ加工後に、上記修正用押し込み量算出工程で算出された押し込み量に基づいて、次のワークに折り曲げ加工を行う折り曲げ加工工程と;
を有することを特徴とする折り曲げ加工方法。 - パンチとダイとを用いてワークを折り曲げ加工可能な折り曲げ加工機において、
折り曲げ加工後のワークを上記ダイに対して再度位置決め設置するに際し、上記パンチまたは上記ダイを上記パンチまたは上記ダイの移動方向に振動させ、この振動の調芯作用により、上記ワークを上記ダイに対して再度位置決め設置するワーク振動位置決め手段を有し、
前記調芯作用における振動は、前記ダイに載置された前記折り曲げ加工後のワークに前記ダイが接触したときの前記ダイに対する前記パンチの位置と、前記折り曲げ加工で前記パンチが前記ダイに最も近づいたときの前記ダイに対する前記パンチの位置との間でなされることを特徴とする折り曲げ加工機。 - パンチとダイとを用いてワークを折り曲げ可能な折り曲げ加工方法において、
上記ワークに折り曲げ加工を行った後、上記ワークを上記ダイから取り外し、上記折り曲げ部位の折り曲げ角度を測定する折り曲げ角度測定工程と;
上記測定の結果上記折り曲げ角度が所定の角度とは異なる場合、上記折り曲げ部位が上記所定の角度になるように修正するための上記パンチまたは上記ダイの押し込み量を算出する修正用押し込み量算出工程と;
上記ダイの溝部に上記折り曲げ加工後のワークを載置し、この載置したワークに上記パンチを接触させた状態で、上記パンチまたは上記ダイを上記パンチまたは上記ダイの移動方向に振動させ、この振動の調芯作用により、上記折り曲げ加工によって発生した圧痕部と上記パンチの先端部とがほぼ合致するように、上記ワークを位置決め設置するワーク設置工程と;
上記位置決め設置されたワークに対して、上記押し込み量で修正折り曲げ加工を行う工程と;
を有し、
前記調芯作用における振動は、前記ダイに載置された前記折り曲げ加工後のワークに前記ダイが接触したときの前記ダイに対する前記パンチの位置と、前記折り曲げ加工で前記パンチが前記ダイに最も近づいたときの前記ダイに対する前記パンチの位置との間でなされることを特徴とする折り曲げ加工方法。
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