JP4395124B2 - 気体用液体トラップ装置 - Google Patents

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本発明は、上部に気体入口及び気体出口を有するトラップハウジングと、内部が前記気体入口に連通する筒状のフィルタエレメントを備えて前記トラップハウジング内に配設される液体フィルタとからなり、この液体フィルタの外側で前記トラップハウジング内部に前記気体出口を開口し、前記気体入口から前記気体出口に向かって流れる気体が前記フィルタエレメントを通過する際、該気体に含まれる液体を該フィルタエレメントにより捕捉するようにした、気体用液体トラップ装置の改良に関する。
例えば天然ガスを燃料とするエンジンを備える自動車では、天然ガスを圧縮貯蔵した燃料タンクを搭載し、エンジンの作動時には、その燃料タンクから導出した高圧の気体燃料を所定圧力に減圧してエンジンに供給する。ところで、天然ガスを燃料タンクに圧縮貯蔵する際には、天然ガスの圧縮に使用するコンプレッサ内の潤滑オイルが、圧縮される燃料に多少とも混入することになるので、燃料タンク内の気体燃料をエンジンに燃料を供給する際には、その気体燃料から混入オイルを捕捉する必要がある。上記気体用液体トラップ装置は、このように気体から混入液体を捕捉するために使用するものであって、例えば下記特許文献1に開示されるように、既に知られている。
特開平7−328364号公報
従来、この種の気体用液体トラップ装置では、液体フィルタの上端壁に設けられる開口部がフィルタエレメント内の上部に開口しているので、その開口部と気体出口とが比較的近接することになり、このため開口部からフィルタエレメント内に流入した気体の多くはフィルタエレメントの上部を通過する傾向となることから、フィルタエレメントの上部が、気体から捕捉した液体で目詰まりする局部飽和の状態となって、フィルタエレメントの上部の液体捕捉性能が極端に低下する。またフィルタエレメントの、飽和状態となった部分から液体が滲み出すと、その液体はフィルタエレメントを通過した気体の流れに乗って気体出口に進み、再び気体に混入してしまうことがあり、これも液体捕捉性能を低下させることになる。
本発明は、かゝる事情に鑑みてなされたもので、液体の捕捉性能が高い前記気体用液体トラップ装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、高圧通路からの高圧気体の圧力を所定値に減圧する調圧弁をレギュレータ本体の中心部に備えてなるプレッシャレギュレータの下端に取り付けられて、減圧された気体から混入液体を捕捉する気体用液体トラップ装置であって、前記レギュレータ本体の下端に結合されるトラップハウジングと、筒状のフィルタエレメントを備えて前記トラップハウジング内に配設される液体フィルタとからなり、前記調圧弁で減圧された気体が該調圧弁の一側を通るように前記レギュレータ本体に設けられた連絡通路を前記フィルタエレメント内に連通する一方、前記フィルタエレメントの外側で前記トラップハウジング内を低圧通路に連通する気体出口を該トラップハウジングの上部に設け、前記連絡通路から前記気体出口に向かって流れる気体が前記フィルタエレメントを通過する際、該気体に含まれる液体を該フィルタエレメントにより捕捉するようにしたものにおいて、前記トラップハウジングを、その軸線が、前記連絡通路の軸線よりも前記調圧弁の軸線に近接するように配置すると共に、前記フィルタエレメント内に開口する気体入口を半径方向に延びる入口通路を介して前記連絡通路に接続したことを第の特徴とする。
さらに本発明は、第1の特徴に加えて、前記トラップハウジング内に、前記液体フィルタの上端及び外周面を覆って下端を開放した偏向筒を配設し、前記フィルタエレメントを通過した気体を前記偏向筒により液体フィルタの下方まで誘導するようにしたことを第3の特徴とする。
さらにまた本発明は、第1又は第2の特徴に加えて、前記トラップハウジングが、前記レギュレータ本体の下端に結合される蓋板を有しており、この蓋板に前記入口通路を設け、その際、この入口通路の半径方向に延びる部分を、蓋板の上下の一方の面に形成されて開放面の一部を該一方の面に接合される隣接部材により閉じられる溝で構成したことを第の特徴とする。
本発明の第1の特徴によれば、互いに大きくオフセットした連絡通路及び気体入口間を連通させつゝ、プレッシャレギュレータ及び気体用液体トラップ装置の略同軸配置が可能となり、それらの組立体のコンパクト化を図ることができ、同時にフィルタエレメント及びトラップハウジング間の間隔を確保して、気体出口をフィルタエレメント及びトラップハウジングから離間させながらトラップハウジングの上部に容易に設けることができ、フィルタエレメントからの滲み出しオイルの気体出口への流出防止に寄与し、気体用液体トラップ装置の液体捕捉性能の向上を高めることができる。
本発明の第の特徴によれば、フィルタエレメントの外周には、下端のみ開放した偏向筒が間隔を存して配設されるため、気体入口からフィルタエレメント内に流入した誘導された気体燃料は、フィルタエレメント内の全体に拡散してフィルタエレメント全体で濾過されることになり、フィルタエレメントの局部飽和を防ぐことができるので、フィルタエレメントの耐用時間を延ばすことができる。しかも、フィルタエレメントを通過した気体燃料は、その流れの向きを偏向筒の内周面により偏向筒の開放端、即ちフィルタエレメントの下方に変えられるため、フィルタエレメントで捕捉されたオイルが滲み出して気体燃料と共に偏向筒の内周面に衝突すると、そのオイルは偏向筒の内周面に付着することにより、気体燃料と分離される。したがってプレッシャレギュレータ及びオイルフィルタの組立体のコンパクト化を図りつゝ、気体用液体トラップ装置の液体捕捉性能の向上に寄与し得る。
本発明の第の特徴によれば、ダイキャスト鋳造やインジェクション成形等による蓋板の成型時、入口通路を同時に形成することが可能となり、製作が容易となる。
本発明の実施の形態を、添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて以下に説明する。
図1は本発明の実施例に係る気体用液体トラップ装置を一体に備えるプレッシャレギュレータの縦断面図、図2は図1の2−2線断面図、図3は図1の3−3線断面図である。
先ず、図1において、燃料タンクFには天然ガスが気体燃料として圧縮貯蔵される。この燃料タンクF内の高圧の気体燃料の使用に際しては、その気体燃料は、その圧力を所定値まで減圧すべくプレッシャレギュレータRに高圧燃料通路1を通して送られる。
プレッシャレギュレータRは、一側に高圧ポート1a及び低圧ポート2aを有する略角柱状のレギュレータ本体3を備えており、高圧ポート1aには前記高圧燃料通路1の下流端が、また低圧ポート2aにはエンジンEの燃料噴射弁24に連なる低圧燃料通路2の上流端がそれぞれ接続される。
図1及び図2に示すように、レギュレータ本体3の中心部には、高圧ポート1aに導入された気体燃料の圧力を所定値に減圧する調圧弁4が設けられ、この調圧弁4で減圧された気体燃料が調圧弁4の一側を通るように調圧弁4の周方向に沿って円弧状に並んで上下方向に延びる複数の連絡通路16,16…がレギュレータ本体3に設けられる。
レギュレータ本体3の下端面には気体用液体トラップ装置Tが取り付けられる。この気体用液体トラップ装置Tは、前記連絡通路16,16…より導入した気体燃料から混入オイルを捕捉、除去し、清浄な気体燃料をレギュレータ本体3の低圧ポート2aへ送るもので、次にこの気体用液体トラップ装置Tについて図1〜図3を参照しながら詳細に説明する。
気体用液体トラップ装置Tは、プレッシャレギュレータRのレギュレータ本体3下面に取り付けられるトラップハウジング5と、このトラップハウジング5内に配設されるオイルフィルタ6とを主たる構成要素とする。
トラップハウジング5は、上端に取り付けフランジ10a及び天井壁10bを有する円筒状のハウジング本体10と、このハウジング本体10の下端に取り外し可能に螺着されるカップ体11と、前記取り付けフランジ10aの上面に重ねられる蓋板12とで構成され、この蓋板12及び取り付けフランジ10aは、プレッシャレギュレータRのレギュレータ本体3下面にボルト13により固着される。カップ体11の下端面には、それの着脱のための六角ボルト頭部状の工具係合部11aが一体に形成される。
オイルフィルタ6は、上端壁17と、この上端壁17の下方に配置される下端壁18と、これら上端壁17及び下端壁18間を連結する円筒状のフィルタエレメント20とからなっており、このフィルタエレメント20は、気体燃料の通過を許容すると共に潤滑オイル等の液体を捕捉する機能を有する。上端壁17の中心部には開口部17aが設けられる。
トラップハウジング5及びオイルフィルタ6は、それの軸線A1が前記各連絡通路16の軸線A3より前記調圧弁4の軸線A1に近接するように配置される。即ち、トラップハウジング5及びオイルフィルタ6の軸線A3と調圧弁4の軸線A1との間の距離L1は、トラップハウジング5の軸線A2と各連絡通路16との間の距離L2より遥かに小さく設定される。こうして気体用液体トラップ装置TはプレッシャレギュレータRと略同軸配置される。
ハウジング本体10の天井壁10bの中心部には気体入口14が設けられ、この気体入口14を前記複数の連絡通路16,16…に連通すべく、蓋板12に半径方向に延びる入口通路25(図2参照)が設けられる。この入口通路25の半径方向に延びる部分が蓋板12の下面に溝として形成され、この溝の開放面は、気体入口14に連なる部分を除いて、ハウジング本体10の天井壁10bで閉鎖される。こうして構成される入口通路25は、蓋板12を鋳造やインジェクション成形等により成型する際に、同時に形成することが可能であるから、入口通路25付きの蓋板12の製作が容易となる。
気体入口14は、それに連設されて前記開口部17aを貫通する流入案内管7を介してフィルタエレメント20内に開口し、上端壁17には、流入案内管7の外周面に密接するシール部材22が装着される。
一方、下端壁18には、その下面から突出してカップ体11の底部で支承される支柱18aが一体に形成される。したがってオイルフィルタ6全体がこの支柱18aを介してカップ体11に支持されることになる。
トラップハウジング5内には、オイルフィルタ6の外周を間隔を存して囲繞する偏向筒27が配設される。この偏向筒27は、上端を閉じると共に下端を開放した円筒状をなしていて、フィルタエレメント20を通過した気体燃料をオイルフィルタ6の下方まで誘導するようになっている。この偏向筒27は、その上端をハウジング本体10の天井壁10b又は流入案内管7に固着することで、ハウジング本体10に支持される。
図1及び図3に示すように、ハウジング本体10の天井壁10bの一側部に切欠き10cが設けられており、蓋板12には、この切欠き10cに対応する部分で偏向筒27外側のハウジング本体10内に開口する複数の気体出口15,15…が設けられる。これら複数の気体出口15,15…は、トラップハウジング5の周方向に沿って円弧状に配列されると共に、レギュレータ本体3の下面に形成される集合室21を介して前記低圧ポート2aに連通される。
次に、この実施例の作用について説明する。
プレッシャレギュレータRにより所定圧力まで減圧された気体燃料がオイルフィルタ6の蓋板12の気体入口14に到達すると、流入案内管7によりフィルタエレメント20内に誘導され、拡散しながらフィルタエレメント20で濾過され、即ち気体燃料の混入オイルが捕捉されるのであるが、フィルタエレメント20の外周には、下端のみ開放した偏向筒27が間隔を存して配設されるため、フィルタエレメント20内に誘導された気体燃料は、フィルタエレメント20内の全体に拡散してフィルタエレメント20全体で濾過されることになり、したがってフィルタエレメント20の局部飽和を防ぐことができるので、フィルタエレメント20の耐用時間を延ばすことができる。
しかも、フィルタエレメント20を通過した気体燃料は、その流れの向きを偏向筒27の内周面により偏向筒27の開放端、即ちフィルタエレメント20の下方に変えられるので、フィルタエレメント20で捕捉されたオイルが滲み出し、フィルタエレメント20を通過する気体燃料と共に偏向筒27の内周面に衝突すると、そのオイルは偏向筒27の内周面に付着することにより、気体燃料と分離される。
そして偏向筒27の開放端から流出した気体燃料のみが、上方に反転して気体出口15,15…に向い、気体出口15,15…を通過後、集合室21で合流し、低圧ポート2a及び低圧燃料通路2を経てエンジンEの燃料噴射弁24から噴射される。
上記のように、フィルタエレメント20に局部飽和部が発生し難いこと、並びにフィルタエレメント20から滲み出したオイルは偏向筒27の内面で捕捉されることにより、気体用液体トラップ装置Tのオイル捕捉性能を、大幅に向上させることができる。
フィルタエレメント20及び偏向筒27により捕捉されたオイルは、次第に滴となって落下し、オイルはカップ体11の底部に溜まる。そこで、カップ体11をハウジング本体10から離脱すれば、それを清掃することができる。また汚れたオイルフィルタ6を清掃したり新規のものと交換することもできる。
ところで、プレッシャレギュレータRでは、レギュレータ本体3の中心部に調圧弁4が配設され、この調圧弁4で減圧された気体燃料が調圧弁4の一側を通るように連絡通路16,16…がレギュレータ本体3に設けられており、そのレギュレータ本体3の下端に
気体用液体トラップ装置Tが取り付けられる。その際、トラップハウジング5及びオイルフィルタ6は、それらの軸線A3を前記各連絡通路16の軸線A2より前記調圧弁4の軸線A1に近接させるように配置されと共に、フィルタエレメント20内に開口する流入案内管7が半径方向の入口通路25を介して前記連絡通路16,16…に接続され、またフィルタエレメント20の外側でトラップハウジング5内を低圧ポート2aに連通する気体出口15がトラップハウジング5の蓋板12に設けられるので、互いに大きくオフセットした各連絡通路16及び気体入口14間を連通させつゝ、プレッシャレギュレータR及び気体用液体トラップ装置Tの略同軸配置が可能となり、それらの組立体のコンパクト化を図ることができる。同時にフィルタエレメント20及びトラップハウジング5の対向周面間の間隔を確保して、蓋板12に設けられる気体出口15をフィルタエレメント20から容易に離間させることができ、その離間距離を充分に設定した場合には、偏向筒27を用いずとも、フィルタエレメント20からの滲み出しオイルの気体出口15への流出防止を図ることができる。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
本発明の実施例に係る気体用液体トラップ装置を一体に備えるプレッシャレギュレータの縦断面図である。 図1の2−2線断面図である。 図1の3−3線断面図である。
符号の説明
R・・・・・プレッシャレギュレータ
T・・・・・気体用液体トラップ装置
1・・・・・高圧通路
2・・・・・低圧通路
4・・・・・調圧弁
5・・・・・トラップハウジング
6・・・・・液体フィルタ(オイルフィルタ)
12・・・・蓋板
14・・・・気体入口
15・・・・気体出口
16・・・・連絡通路
20・・・・フィルタエレメント
25・・・・入口通路
27・・・・偏向筒

Claims (3)

  1. 圧通路(1)からの高圧気体の圧力を所定値に減圧する調圧弁(4)をレギュレータ本体(3)の中心部に備えてなるプレッシャレギュレータ(R)の下端に取り付けられて、減圧された気体から混入液体を捕捉する気体用液体トラップ装置であって、前記レギュレータ本体(3)の下端に結合されるトラップハウジング(5)と、筒状のフィルタエレメント(20)を備えて前記トラップハウジング(5)内に配設される液体フィルタ(6)とからなり、前記調圧弁(4)で減圧された気体が該調圧弁(4)の一側を通るように前記レギュレータ本体(3)に設けられた連絡通路(16)を前記フィルタエレメント(20)内に連通する一方、前記フィルタエレメント(20)の外側で前記トラップハウジング(5)内を低圧通路(2)に連通する気体出口(15)を該トラップハウジング(5)の上部に設け、前記連絡通路(16)から前記気体出口(15)に向かって流れる気体が前記フィルタエレメント(20)を通過する際、該気体に含まれる液体を該フィルタエレメント(20)により捕捉するようにしたものにおいて、
    前記トラップハウジング(5)を、その軸線(A3)が、前記連絡通路(16)の軸線(A2)よりも前記調圧弁(4)の軸線(A1)に近接するように配置すると共に、前記フィルタエレメント(20)内に開口する気体入口(14)を半径方向に延びる入口通路(25)を介して前記連絡通路(16)に接続したことを特徴とする、気体用液体トラップ装置。
  2. 請求項1に記載の気体用液体トラップ装置において、
    前記トラップハウジング(5)内に、前記液体フィルタ(6)の上端及び外周面を覆って下端を開放した偏向筒(27)を配設し、前記フィルタエレメント(20)を通過した気体を前記偏向筒(27)により液体フィルタ(6)の下方まで誘導するようにしたことを特徴とする、気体用液体トラップ装置。
  3. 請求項1又は2に記載の気体用液体トラップ装置において、
    前記トラップハウジング(5)が、前記レギュレータ本体(3)の下端に結合される蓋板(12)を有しており、この蓋板(12)に前記入口通路(25)を設け、その際、この入口通路(25)の半径方向に延びる部分を、蓋板(12)の上下の一方の面に形成されて開放面の一部を該一方の面に接合される隣接部材(10b)により閉じられる溝で構成したことを特徴とする、気体用液体トラップ装置。
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