上記の構成にかかる情報記録装置では、第1のフォーマットでの記録時に、第2のフォーマットへデジタル変換する可能性があるかどうかをユーザがあらかじめ選択して入力する。まず、第1のフォーマットは、ビデオオブジェクトユニット(VOBU)内にユーザが独自情報を記述できる領域(ユーザ領域)を有している。第2のフォーマットは、例えば、音声データのアドレスである第1の情報(A_SYNCA)と、映像データのアドレスである第2の情報(VOBU_2NDREF_EA,VOBU_3RDREF_EA)とを有しており、これらの情報は、第1のフォーマットから第2のフォーマットへのデジタルデータのままでの変換(デジタル変換)に必要なデジタル変換情報である。このような第2のフォーマットへの変換を前提として前記第1のフォーマットのデータを生成するとき、前記第1の情報と前記第2の情報(デジタル変換情報)を、前記ビデオオブジェクトユニット内のユーザ領域に格納する。またこのとき管理情報(例えばVR_MANGR.IFO)の中のユーザ領域の中にも、前記第1の情報と前記第2の情報が含まれていることを示す情報(第1のフラグ)を格納しておく。これにより、前記第1のフォーマットから前記第2のフォーマットへデジタル変換する時に、この管理情報(VR_MANGR.IFO)の中のユーザ領域を参照するだけで、デジタル変換する為の情報が含まれているかどうか、ストリームを解析することなく瞬時に判断することができる。
上記の構成にかかる情報記録装置において、前記変換の可能性がある場合、前記第1のフォーマットでデジタルデータを記録媒体に記録する際に、前記記録部が、各ビデオオブジェクトユニットにデジタル変換情報が含まれていることを示す第2のフラグを、デジタル変換情報が含まれるビデオオブジェクトユニット内のユーザ領域に記述することが好ましい。
上記の構成にかかる情報記録装置において、ビデオオブジェクトユニット内のユーザ領域に前記第2のフラグがあるか否かを解析するデジタル変換対応情報判定部と、前記第2のフォーマットのデータにデジタルデータのまま変換する可能性があることを前提に記録された第1のフォーマットのデータの複製を作成する複製部とをさらに備え、前記複製部により第1のフォーマットのデータの複製を作成する場合、前記デジタル変換対応情報判定部により、ビデオオブジェクトユニット内のユーザ領域に前記第2のフラグがあると判定された場合、前記記録部が、複製先の管理情報内のユーザ領域に、第1のフラグを記述することが好ましい。
この構成では、第1のフォーマットのデータの複製を作成するときに、複製時に第1のフォーマットのビデオオブジェクトユニット内のユーザ領域に記述したデジタル変換情報をすべて解析し、その結果から、管理情報のユーザ領域に記述されている第1のフラグを更新する。これにより、複製によってもデジタル変換情報が壊されていないことを保証することが可能となる。
上記の構成にかかる情報記録装置において、前記第1のフォーマットから前記第2のフォーマットへ変換する際に、前記第1のフラグを参照して、デジタルデータのまま変換することの可否を判断するデジタル変換可否判断部をさらに備えたことが好ましい。
また、本発明にかかる第2の情報記録装置は、映像の最小記録単位であるビデオオブジェクトユニットが複数集まって構成された第1のフォーマットのデジタルデータを、映像の最小記録単位であるビデオオブジェクトユニットが複数集まって構成された、前記第1のフォーマットとは異なる第2のフォーマットのデジタルデータに、復号化しないでデジタルデータのまま変換する情報記録装置であって、前記第1のフォーマットのビデオオブジェクトユニットが、第1のタイムスタンプ情報と第1のパックと、第1のフォーマットのデータを第2のフォーマットのデータにデジタルデータのまま変換するために必要なデジタル変換情報とを含み、前記第2のフォーマットのビデオオブジェクトユニットが、第2のタイムスタンプ情報と第2のパックとを含み、前記情報記録装置は、前記デジタル変換情報にもとづいて前記第1のタイムスタンプ情報を前記第2のタイムスタンプ情報に変換するタイムスタンプ変換部と、前記デジタル変換情報にもとづいて前記第1のパックを前記第2のパックへ変換するパック変換部とを備え、第1のフォーマットから第2のフォーマットへデジタルデータのまま変換する際に、前記タイムスタンプ変換部と前記パック変換部とが並行して動作することを特徴とする。
上記の構成にかかる第2の情報記録装置において、前記第1のフォーマットのデータが編集処理され、当該編集処理されたデータを前記第2のフォーマットのデータに変換する場合、当該編集処理されたデータの先頭のビデオオブジェクトユニットからの前方参照を禁止する第3のフラグを当該ビデオオブジェクトユニットへ記述する記録部をさらに備えたことが好ましい。
この構成では、前記第1のフォーマットのコンテンツに対して分割などの編集処理が行われた場合にも、前記第2のフォーマットへの変換時に、先頭のビデオオブジェクトユニットからの前方参照を禁止する第3のフラグを当該ビデオオブジェクトユニットへ記述する。第3のフラグの記述とは、例えば、GOP層のBrokenlinkを1に設定する事により、実現可能である。このように、編集されたビデオオブジェクト(VOB)の先頭VOBUのBピクチャーの前方参照を行わないようにすることで、デジタル変換が可能となる。分割などの編集を行ったコンテンツに対してこの処理を行わない場合には、VOBの途中から分割されて作成された新たなVOBの先頭VOBUに含まれる先頭Bピクチャが、分割されてなくなったVOBUのIもしくはPピクチャを参照しようとするため、不具合が発生してしまう。しかしBrokenlinkを1にすることにより、前方参照を行わなくなり、不具合は発生しなくなる。
また、上記の各構成にかかる情報記録装置において、第1のフォーマットはDVDビデオレコーディング規格準拠のフォーマットであり、第2のフォーマットはDVDビデオ規格準拠のフォーマットであることが好ましい。
また、本発明にかかる第1の記録媒体は、映像の最小記録単位であるビデオオブジェクトユニットが複数集まって構成された第1のフォーマットのデジタルデータを記録した記録媒体であって、前記第1のフォーマットを、映像の最小記録単位であるビデオオブジェクトユニットが複数集まって構成された、前記第1のフォーマットとは異なる第2のフォーマットのデジタルデータに、デジタルデータのまま変換するために必要なデジタル変換情報が、ビデオオブジェクトユニット内のユーザ領域に記述され、前記デジタル変換情報が第1のフォーマットのデジタルデータに含まれていることを示す第1のフラグが、管理情報内のユーザ領域に記述されていることを特徴とする。
また、本発明にかかる第2の記録媒体は、第1の記録媒体において、各ビデオオブジェクトユニットにデジタル変換情報が含まれていることを示す第2のフラグが、各ビデオオブジェクトユニット内のユーザ領域に記述されたものである。
さらに、本発明にかかる第3の情報記録装置は、前記第1または第2の情報記録媒体から第1のフォーマットのデジタルデータを読み取り、第2のフォーマットのデジタルデータに変換して記録するフォーマット変換部と、前記情報記録媒体において、管理情報内のユーザ領域に前記第1のフラグが記述されているか否かに基づいて、第1のフォーマットから第2のフォーマットへのデジタルデータのままでの変換の可否を判断するデジタル変換可否判断部とを備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかる第4の情報記録装置は、前記第1または第2の情報記録媒体から第1のフォーマットのデジタルデータを読み取り、第2のフォーマットのデジタルデータに変換して記録する情報記録装置であって、前記第1のフォーマットのビデオオブジェクトユニットが、第1のタイムスタンプ情報と第1のパックとを含み、前記第2のフォーマットのビデオオブジェクトユニットが、第2のタイムスタンプ情報と第2のパックとを含み、前記情報記録装置は、前記デジタル変換情報にもとづいて前記第1のタイムスタンプ情報を前記第2のタイムスタンプ情報に変換するタイムスタンプ変換部と、前記デジタル変換情報にもとづいて前記第1のパックを前記第2のパックへ変換するパック変換部とを備え、第1のフォーマットから第2のフォーマットへデジタルデータのまま変換する際に、前記タイムスタンプ変換部と前記パック変換部とが並行して動作することを特徴とする。
上記の構成において、前記第1のフォーマットのデータが編集処理されている場合、当該編集処理されたデータの先頭のビデオオブジェクトユニットからの前方参照を禁止する第3のフラグを当該ビデオオブジェクトユニットへ記述する記録部をさらに備えたことが好ましい。
また、本発明にかかる第5の情報記録装置は、前記第2の情報記録媒体から第1のフォーマットのデジタルデータを読み取り、第1のフォーマットのまま複製を作成する複製部と、ビデオオブジェクトユニット内のユーザ領域に前記第2のフラグがあるか否かを解析するデジタル変換対応情報判定部と、前記複製部により第1のフォーマットのデータの複製を作成する際に、前記デジタル変換対応情報判定部により、ビデオオブジェクトユニット内のユーザ領域に前記第2のフラグがあると判定された場合、複製先の管理情報内のユーザ領域に、第1のフラグを記述する記録部とを備えたことを特徴とする。
また、前記第1の情報(A_SYNCA)と前記第2の情報(VOBU_2NDREF_EA,VOBU_3RDREF_EA)とを抽出し、前記第1の情報と前記第2の情報及び管理情報のM_AVFIT(Movie AV File Information Table)とORG_PGCI(Original PGC Information)に基づいて、第2のフォーマットのデータ再生を制御する情報(ナビゲーション情報)を生成する処理と、第1のフォーマットのパックを第2のフォーマットのパックに変換する処理(SCRの減算処理、PTS、DTSの減算処理、PES_EXTENSION_fieldの削除、オーディオフレームナンバーの設定、BrokenLINK=1設定)を並行して行うことにより従来よりも高速で第1のフォーマットから第2のフォーマットのデータに変換することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
ここでは、第1のフォーマットとしてDVDビデオレコーディング規格に準拠したフォーマットを想定し、第2のフォーマットとしてDVDビデオ規格に準拠したフォーマットを想定し、説明を行う。
DVDビデオレコーディング規格については、「DVDビデオレコーディング規格 Part3 Video Recording September 1999」に詳細が記載されており、DVDビデオ規格については、「DVDビデオ規格 Part3 Video Specifications August 1996」に詳細が記載されている。また、MPEG規格については「MPEG規格書 ISO/IEC 13818−1 13818−2」等に詳細が記載されている。以降、これらの規格で定義された用語等も用いながら、本発明の実施の一形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る情報記録装置の概略構成図である。
本実施形態の情報記録装置は、図1に示すように、エンコーダ4、ストリームコントローラ12、ホストマイコン5、RDI_PCK/NV_PCK変換器6(以降、変換器と略称する)を備えており、第1の記録媒体に第1のフォーマットによるデジタルデータとしてコンテンツの記録を行い、このコンテンツを第2のフォーマットに変換し、第2の記録媒体に記録することができる。なお、第1のフォーマットから第2のフォーマットへの変換は、デジタルデータを復号化せずにデジタルデータのまま行う。このような変換を、「デジタル変換」と称することとする。また、本実施形態では、第1の記録媒体としてハードディスク13、第2の記録媒体としてDVD14を用いるものとして、以下の説明を行う。ただし、記録媒体として用いることができるのは、これらの組み合わせのみに限定されず、ハードディスクとDVD以外の可搬型記録媒体との組み合わせであっても良いし、ハードディスクの代わりにDVD−RAMを用いることも可能である。
なお、本実施形態の情報記録装置は、第1のフォーマットでコンテンツの記録を行う際に、当該コンテンツを後に第2のフォーマットにデジタル変換する可能性があるとユーザが指定した場合は、第2のフォーマットへのデジタル変換が可能な状態で、第1のフォーマットのコンテンツの記録を行う。第1のフォーマットとは、映像の最小記録単位であるビデオオブジェクトユニット(VOBU)が複数集まって構成された形式をいう。第2のフォーマットとは、VOBUが複数集まって構成されている点では第1のフォーマットと共通であるが、第1のフォーマットとは異なる形式をいう。「第2のフォーマットへのデジタル変換が可能な状態」とは、第1のフォーマットのコンテンツ内に、第2のフォーマットへデジタル変換を行う際に必要となる情報(以降、「デジタル変換情報」と称する)が、ストリーム内の各VOBUに埋め込まれた状態である。また、デジタル変換情報が埋め込まれていることを表すフラグが、各VOBU内のユーザ領域に第2のフラグとして、管理情報内のユーザ領域に第1のフラグとして、それぞれ記述されるようになっている。上述のデジタル変換情報、第1のフラグ、および第2のフラグは、第2のフォーマットへの変換の可能性がある場合にのみ第1のフォーマットによる記録時に記録される情報であるので、以降、これらをまとめて「デジタル変換対応情報」と称することもある。
エンコーダ4は、エレメンタリーストリームエンコーダ1、RDI_PCK生成器2、システムエンコーダ3を備えている。ストリームコントローラ12は、ストリーム解析器7、ストリーム変換器8、デジタル変換対応情報判定器9、デジタル変換対応情報生成器10、記録・再生器11を備えている。ホストマイコン5は、エンコーダ4、ストリームコントローラ12、変換器6に動作指示を出す。
図2は、ビデオレコーディング規格において情報が記録されるディスクのディレクトリ構造を示している。図2に示すように、このディスクにおけるディレクトリは階層構造を有し、ROOTディレクトリの下に、DVD_RTAVというディレクトリがある。このディレクトリの中には、VR_MANGR.IFO、VR_MOVIE.VRO、VR_STILL.VRO、VR_AUDIO.VRO、VR_MANAGER.BUPというファイルがある。なお、図2では、図示を省略しているが、ROOTディレクトリの下には、他にも多くのディレクトリやファイルが存在している。
図3は、VR_MANGR.IFOファイルに格納されているRTR_VMGの構成を示す。RTR_VMG内の、テキストデータマネージャ(TXTDT_MG)301の中のデータ列がIT_TXTであり、このIT_TXTの一部を、デジタル変換対応情報を記録するための領域として用いる(図4参照)。
なお、図3に示すRTR_VMGにおいて、RTR_VMGIには、M_AVFIT, SAVFITなどの開始アドレスやタイムゾーンや文字コード、レコーディングされたディスクの基本的な情報が記載されている。M_AVFITには、映像や音声の属性やタイムマップなど動画ファイル VR_MOVIE.VROに関する情報が記載されている。S_AVIFTには、映像や音声の属性など静止画ファイル(VR_STILL.VRO)に関する情報が記載されている。ORG_PGCIには、再生開始・終了時間、映像・音声属性の検索情報、エントリポイント、テキスト情報などプログラムチェーンに関する情報が記載されている。UD_PGCITには、ユーザが作成するプレイリストに関する情報が記載されている。TXTDT_MGには、プログラム(番組)、プレイリストに関するテキスト情報が記載されている。このテキスト情報はプライマリテキストの補助情報になる。MNFITには、メーカーで定められた情報が記載されている。
図5は、DVDビデオレコーディング規格におけるリアルタイムデータ情報(RDI_PCK)の構成を示したものである。RDI_PCKは、ビデオレコーディング規格では各VOBUの先頭に配置されるパックである(図11参照)。
図6は、ビデオオブジェクトユニット(VOBU)の中のユーザ領域に記述するデータの内容を示したものである。図6に示すように、ここではユーザ領域として、RDI_PCKのRDIデータ内のマニュファクチュアズインフォメーション領域503を使っている。
図7は、DVDビデオ規格におけるVOB(ビデオオブジェクトセット)の構成例を示したものである。図7に示すように、VOB601は、複数のビデオオブジェクト602(VOB_IDNi:iは自然数)から構成される。1つのビデオオブジェクト602は、複数のセル603(C_IDNj:jは自然数)から構成される。1つのセル603は、複数のビデオオブジェクトユニット604(VOBU)から構成される。1つのVOBU604は、ナビゲーションパック(NV_PCK)605を先頭として、オーディオパック606、ビデオパック607、サブピクチャパック608から構成される。
図8は、DVDビデオ規格におけるナビゲーションパック605の構成を示したものである。図8に示すように、ナビゲーションパック605は、PCI_PKTとDSI_PKTの先頭に、パックヘッダとシステムヘッダが付加された構成である。PCI_PKTは、パケットヘッダ、サブストリームID、およびPCIデータからなる。DSI_PKTは、パケットヘッダ、サブストリームID、およびDSIデータからなる。
図9(a)および(b)は、DVDビデオレコーディング規格におけるビデオパック607の構成を示したものである。ビデオパック607は、1つのVOBU内に存在するビデオパックのうち先頭にあるパックとそれ以降のパックとでは、構成が異なる。図9(a)が先頭にあるパックの構成を示し、図9(b)が2パック目以降のビデオパックの構成を示す。図9(a)に示すように、VOBU内で先頭にあるビデオパック607は、V_PKTにパックヘッダとシステムヘッダが付加されたものである。V_PKTは、パケットヘッダとビデオデータから構成される。また、図9(b)に示すように、VOBU内の2パック目以降のビデオパック607は、システムヘッダがない以外は、図9(a)に示したビデオパックと同様の構成である。
図10(a)および(b)は、ビデオレコーディング規格におけるオーディオパック606の構成を示したものである。オーディオパック606は、図10(a)および(b)に示すように、パックヘッダとA_PKTからなるが、ドルビーAC3の場合と、リニアPCMの場合とで、A_PKTのフォーマットが異なっている。ドルビーAC3のA_PKTは、図10(a)に示すように、パケットヘッダ、サブストリームID、オーディオフレーム情報、ドルビーAC3のオーディオデータから構成される。リニアPCMのA_PKTは、図10(b)に示すように、パケットヘッダ、サブストリームID、オーディオフレーム情報、オーディオデータ情報、リニアPCMのオーディオデータから構成される。
図11は、DVDビデオレコーディング規格からDVDビデオ規格に変換する場合のストリームフォーマットの対応関係を示す図である。図12は、DVDビデオレコーディング規格で、PES_EXTENSION_fieldが存在するパックに対して、DVDビデオ規格に変換する際に、PES_EXTENSION_fieldを、スタッフィングバイト(Stuffing Bytes)化あるいは、パディングパケット(Padding Packet)化する様子を説明する図である。これらの図面については、後に説明する。
以下、本実施形態にかかる情報記録装置の動作について説明する。
本実施形態にかかる情報記録装置は、例えばTV放送などのコンテンツを第1のフォーマットで記録する際に、そのコンテンツを、後に、第1のフォーマットとは異なる第2のフォーマットにデジタル変換する可能性がある場合は、「デジタル変換対応モード」で記録する。
以降、第1のフォーマットがDVDビデオレコーディング規格、第2のフォーマットがDVDビデオ規格である場合を例として説明する。この場合、コンテンツをDVDビデオレコーディング規格で録画する際に、ユーザは、そのコンテンツを後でDVDビデオ規格に変換することが考えられる場合は、情報記録装置に対して、「デジタル変換対応モード」で動作するよう指示を入力する。
ユーザが、「デジタル変換対応モード」の選択指示を入力すると(ステップS1の結果がYES)、ホストマイコン5は、その情報をエレメンタリーストリームエンコーダ1に対して送る(ステップS2)。次に、RDI_PCK生成器2で、基本となるリアルタイムデータ情報(RDI_PCK)を作成する(ステップS3)。次に、システムエンコーダ3からホストマイコン5に対してナビゲーションパック(NV_PCK)生成のためのデータを転送する(ステップS4)。ここで、ナビゲーションパック(NV_PCK)生成のためのデータとは、音声データのアドレスである第1の情報(A_SYNCA)と、映像データのアドレスである第2の情報(VOBU_2NDREF_EA,VOBU_3RDREF_EA)のことである。
続いて、エンコードされたデータはストリームコントローラ12を介して、RDI_PCK/NV_PCK変換器6に転送される。ここで、ホストマイコン5にあるナビゲーションパック(NV_PCK)生成のためのデータと、管理情報とを元に、RDI_PCK/NV_PCK変換器6で、デジタル変換のための情報を含んだRDI_PCKを生成する(ステップS5)。またこのとき、ビデオオブジェクト内の、ユーザが独自情報を記述できる領域に、デジタル変換対応情報を記載しておく。ここではRDI_PCKのRDIデータの中のMNF_IDに、メーカーコードを記載するとともに、MNFI_DTにデジタル変換対応情報を記載しておく。なお、RDI_PCKの構造については図5に、RDI_PCKのRDIデータに含まれるMNF_ID、MNFI_DTについては図6にその構成を示した。
続いて、ホストマイコン5からの指示にもとづいて、デジタル変換対応情報生成器10が、管理情報(VR_MANGR.IFO)のユーザ領域(図4に示すIT_TXTの一部)に、デジタル変換対応情報(第1のフラグ)を生成する(ステップS6)。ここで、図2に示したディレクトリ構造において、リアルタイムレコーディングムービービデオ(VR_MOVIE.VRO)ファイルと、静止画用アフターレコーディング音声用データファイルとして設けられるVR_AUDIO.VROファイルと、静止画用データファイルとして設けられるリアルタイムレコーディングスチルピクチャービデオ(VR_STILL.VRO)ファイルとが存在し、管理情報(VR_MANGR.IFO)とは、このビデオデータファイルを管理するための管理情報ファイルである。ここでは、管理情報(VR_MANGR.IFO)の中の、ユーザが独自情報を記述できる領域として、図3および図4に示したとおり、VR_MANGR.IFOファイルを構成するRTR_VMG中のTXTDT_MGのIT_TXTに、デジタル変換対応情報(第1のフラグ)を記述する。
次に、記録・再生器11により、1VOBUのストリームを、ハードディスク13に書き込む(ステップS7)。このステップS3〜S7の一連の処理を、録画が停止するまで(ステップS8の結果がYESとなるまで)繰り返す。
なお、ユーザが、「デジタル変換対応モード」を選択しなかった場合は(ステップS1の結果がNO)、ホストマイコン5は、その情報をエレメンタリーストリームエンコーダ1に対して送る(ステップS9)。次に、RDI_PCK生成器2で、基本となるリアルタイムデータ情報(RDI_PCK)を作成する(ステップS10)。そして、ストリームコントローラ12の記録・再生器11により、1VOBUのストリームを、ハードディスク13に書き込む(ステップS11)。以上のステップS10〜S11の処理を、録画が停止するまで(ステップS12の結果がYESとなるまで)繰り返す。
以上の手順により、「デジタル変換対応モード」で、コンテンツが第1のフォーマット(ここではDVDビデオレコーディング規格)でハードディスク13に記録された後、このコンテンツを、他の媒体に複製する場合の手順について、図14のフローチャートを参照しながら説明する。なお、ここでの「複製」とは、第1のフォーマットで記録されたコンテンツを、第1のフォーマットのまま(すなわちフォーマット変換をせずに)、他の媒体(あるいは同じ媒体上の他の記録領域)へコピーすることをいう。
まず、複製を始める前に、記録・再生器11で、ハードディスク13から管理情報を読み出し、メモリ上に展開する。そして、デジタル変換対応情報生成器10もしくはホストマイコン5が、デジタル変換対応情報を、メモリ上に展開されている管理情報(IT_TXT)に書き込む(ステップS21)。
次に、記録・再生器11で、ハードディスク13からストリームを読み出す(ステップS22)。次に、ストリーム解析器7で、VOBUのユーザ領域(ここではRDI_PCKのRDIデータ内のMNFI_DT)に記述した、メーカーIDと、デジタル変換対応情報(デジタル変換情報および第2のフラグ)を解析する(ステップS23)。このとき、ストリーム解析器7では、解析結果としてデジタル変換に対応していない情報があるかどうかを保持しておく。なお、このデータの保持はホストマイコン5で行ってもよい。解析が終わったVOBUは、記録・再生器11によって、ハードディスク13もしくはDVD14に書き込まれる(ステップ24)。ここで、解析が終わったデータを書き込む記録媒体としては、データを読み出した記録媒体と違う記録媒体でも良いし、同一の記録媒体でも良い。ステップS22〜S24の処理を、ストリームの最終VOBUについての解析を終了するまで(ステップS25の結果がYESとなるまで)繰り返し行う。
そして、ステップS23におけるストリーム解析器7の解析結果から、RDI_PCKのMNFI_DTにデジタル変換対応情報(デジタル変換情報および第2のフラグ)がないVOBUが1つでも存在すると判断される場合は(ステップS26の結果がNO)、デジタル変換対応情報生成器10で管理情報内のデジタル変換対応情報(第1のフラグ)を削除し(ステップS27)、管理情報の更新を行う(ステップS28)。最後に、記録・再生器11により管理情報を記録媒体に書き戻す(ステップS29)。
以上の処理により、デジタル変換対応のDVDビデオレコーディング規格で記録されたコンテンツの複製を作成した場合にも、複製先のデータに対してデジタル変換するためのデータが含まれているかを判断し、デジタル変換できるかどうかを瞬時に判断することができる。
なお、上述の説明では、ステップS26において、デジタル変換対応情報がないVOBUが1つでも存在すると判断された場合に、ステップS27で管理情報内の第1のフラグを削除するものとしたが、必ずしも全VOBUについてデジタル変換対応情報の有無を確認しなくとも良い。例えば、処理速度を重視する場合は、一部のVOBUについてのみデジタル変換対応情報の有無を確認するようにしても良い。
次にDVDビデオレコーディング規格で記録されたコンテンツをDVDビデオ規格にフォーマット変換(デジタル変換)する処理について説明する。
本実施形態では、上述のように、第1のフォーマットでコンテンツを記録する際に、そのフォーマットにおける管理情報のユーザ領域に、デジタル変換対応情報の有無を記録するようになっている。従って、この管理情報を参照することにより、第1のフォーマットで記録されたコンテンツのデジタル変換が可能か否かを、ストリーム解析を行わずに、簡単かつ速やかに判定することができる。
まず、このデジタル変換の可否判定の処理手順について、図15を元に説明する。まず、第1のフォーマットでコンテンツを記録した記録媒体(本実施形態ではハードディスク13)から、記録再生器11で管理情報を読み出す(ステップS31)。次に、デジタル変換対応情報判定器9で、管理情報(VR_MANGR.IFO)のユーザ領域(ここではTXTDT_MGのIT_TXT)に記述されている情報を解析し(ステップS32)、ここにデジタル変換対応情報(第1のフラグ)があるか否かを判別する(ステップS33)。この結果、デジタル変換対応情報があれば、デジタル変換可と判断し、デジタル変換処理(ステップS34)を実行する。デジタル変換対応情報がなければ、デジタル変換不可と判断する。以上の処理によりストリームを解析することなく、そのコンテンツがデジタル変換対応かどうかを判定することが可能となる。
次に、上述のステップS34の処理の内容、すなわち、DVDビデオレコーディング規格で記録されたコンテンツをDVDビデオ規格にフォーマット変換(デジタル変換)する処理の手順について、以下に説明する。
まず、DVDビデオレコーディング規格とDVDビデオ規格の違いを説明しながら、変換を行うために必要な処理を説明する。図7に、DVDビデオ規格のVOBの構造を示したが、DVDビデオレコーディング規格においても、この図7にある、ビデオパック(V_PCK)607、オーディオパック(A_PCK)606及びサブピクチャパック(SP_PCK)608があるという点では同一である。図7にあるナビゲーションパック(NV_PCK)605については、DVDビデオ規格に特有のパックであり、DVDビデオレコーディング規格においては、これに対応する位置にRDI_PCKが存在する(図11参照)。
図8に、ナビゲーションパックの構造を、図9にビデオパックの構造を、図10にオーディオパックの構造を示した。それぞれのパックにおいて、パックの種類は、それぞれのパケットヘッダ内に記録されている、stream_id及びsub_stream_idにより判別することができる。1つのパックは、パックヘッダと1個以上のパケットで構成され、パックの長さは2048バイトである。
ここで、DVDビデオレコーディング規格からDVDビデオ規格への変換処理は、大きく分けて、(1)RDI_PCKをNV_PCKに変換する処理と、(2)RDI_PCK、V_PCK、A_PCK、SP_PCKのそれぞれのパックのフォーマットを変換する処理とに分けられる。
RDI_PCKをNV_PCKに変換するためには、まず、RDI_PCKのRDIデータの中に記録されたデジタル変換情報、すなわち、音声データのアドレスである第1の情報(A_SYNCA)、映像データのアドレスである第2の情報(VOBU_2NDREF_EA,VOBU_3RDREF_EA)、管理情報のM_AVFIT(Movie AV File Information Table)の情報、及び、ORG_PGCI(Original PGC Information)の情報を用いて、ナビゲーション情報を作成する。
上記(2)の、それぞれのパックのフォーマット変換処理に関して、各パックのパックヘッダ内にはタイムスタンプSCR(System Clock Reference)があるが、DVDビデオ規格においては、VOBの先頭VOBUに配置されるRDI_PCKのタイムスタンプSCR(System Clock Reference)は、必ず0に設定されなければならない。DVDビデオレコーディング規格においてはこの規定はないので、DVDビデオレコーディング規格からDVDビデオ規格への変換時には、この減算処理を行わなければならない。さらにPTS、DTSについても、同様に、SCRの減算分の値分だけ減算する必要がある。
次に必要な変換処理としては、PES_EXTENSION_fieldの削除処理がある。この処理について、図11および図12を元に説明を行う。DVDビデオレコーディング規格においては、図11に示したように、すべてのVOBUにPES_EXTENSION_fieldが存在する。一方、DVDビデオレコーディング規格においては、VOB内の先頭のビデオ、オーディオ、サブピクチャのパック以外にPES_EXTENSION_fieldが存在してはいけない。そこで、このVOBの先頭のビデオ、オーディオ、サブピクチャのパック以外からPES_EXTENSION_fieldを削除する処理を行う。この処理は、図12(a)および(b)に示したような、スタッフィングバイト化、パディングパケット化により実現する。
PES_EXTENSION_fieldのスタッフィングバイト化とは、図12(a)に示すように、PES_EXTENSION_fieldのデータをサイズ調整用データに変換する処理である。また、PES_EXTENSION_fieldのパディングパケット化とは、図12(b)に示すように、PES_EXTENSION_fieldのデータを削除し、パケットデータの直後にパディングパケットを追加する処理である。
次に必要な変換処理としては、オーディオフレームナンバーの変更がある。図10に、オーディオパックの構成を示したが、DVDビデオ規格においては、オーディオ記録方式がリニアPCMの場合にはオーディオフレームナンバーが必ず0から始まり、かつ19までの数値でなければならないという制約がある。DVDビデオレコーディング規格にはこの制約はないので、変換時には、オーディオフレームナンバーの書き換え処理が必要となる。
以上に、DVDビデオレコーディング規格で記録したコンテンツをDVDビデオ規格にフォーマット変換するために必要な処理について説明したが、DVDビデオレコーディング規格で記録され、分割などの編集処理がなされたコンテンツをDVDビデオ規格に変換する場合は、VOBの先頭VOBUの先頭Bピクチャーが、編集によって削除された前のIもしくはPピクチャーを参照しようとする不具合が生じる。この不具合を回避するために、分割などの編集処理がなされている場合には、先頭VOBUのGOP層のブロークンリンク(BrokenLINK)の値を1に変更することによって、先頭Bピクチャーの前方参照を禁止するという処理を行うことが好ましい。この処理により、DVDビデオレコーディング規格で記録されたコンテンツが分割などの編集処理を受けた場合にも、DVDビデオ規格にデジタル変換する事が可能となる。
なお、上述したNV_PCKの作成と、ストリーム加工との2つに分けて別々に行うこととすれば、変換の高速化を実現できるので好ましい。本実施形態では、この好ましい態様にかかる処理手順を、図16のフローチャートを元に説明する。ここでは1つのVOBの処理について説明を行う。
まず、記録・再生器11により、ハードディスク13よりストリームを読み出す(ステップS41)。続いてストリーム変換器8から、RDI_PCK/NV_PCK変換器6にN個のVOBUを読み出す(ステップS42)。ここで読み出したVOBUがVOBの先頭VOBUであれば(ステップS43の結果がYES)、VOBUの先頭にあるRDI_PCKのSCRの値を取得して、ストリーム変換器8に転送する(ステップS44)。
続いて、RDI_PCK/NV_PCK変換器6で、システムエンコーダ3よりホストマイコン5が取得したNV_PCK生成のための音声データのアドレスである第1の情報(A_SYNCA)、映像データのアドレスである第2の情報(VOBU_2NDREF_EA,VOBU_3RDREF_EA)、管理情報のM_AVFIT(Movie AV File Information Table)の情報、および、ORG_PGCI(Original PGC Information)の情報を元に、RDI_PCKをNV_PCKに変換する(ステップS45)。このRDI_PCKからNV_PCKへの変換が終われば、変換後のストリームをストリーム変換器8に転送する(ステップS46)。次に、記録・再生器11に対して、変換後のストリームをDVD14に記録するための設定を行う(ステップS47)。
ここで、記録のための設定(ステップS47)を行ったあとは、RDI_PCK/NV_PCK変換器6は、ステップS42へ戻り、新たにストリーム変換器8よりデータを取得して、NV_PCK生成の為の処理(ステップS42〜S47)を繰り返す。本実施形態では、それと並行して、ストリーム変換器8で、ストリーム加工の為の処理(ステップS51〜S54)を開始する。
まず、ストリーム変換器8に対して、変換を行う為の初期設定として、先頭VOBUのRDI_PCKより取得したSCRの値を設定する(ステップS51)。次に、ストリーム変換器8で、ストリーム加工処理を行う(ステップS52)。このステップS52で行うのは、実施の形態1で説明したように、SCRの減算処理、PTS、DTSの減算処理、PES_EXTENSION_fieldの削除、オーディオフレームナンバーの設定、ブロークンリンクを1に設定する処理である。ここで、SCRの減算については、実際の値を、初期設定で設定された値分だけ減算するという処理を行う。また、PTS、DTSについてはSCRの減算処理の際に設定した値分だけ減算を行う。さらに、PES_EXTENSION_fieldの削除については、VOBの先頭VOBU以外のすべてをスタッフィングバイト化もしくはパディングパケット化によって削除する。またオーディオフレームナンバーについては、VOBUの先頭の値を0とし、最大を19としたカウンタをもちいて、0から19まですすむと0にもどるように変更を行う。さらにブロークンリンクについては、PGが編集されたかどうかを判断し、編集されている場合にはブロークンリンクを1に変更する。
以上のストリーム加工処理が終われば、すぐに、記録・再生器11により、DVD14にストリームを書き込む(ステップS53)。ここで、DVDなどの記録媒体への書き込みを行うときには、ある一定の単位での書き込み処理が必要となるが、ストリームコントローラ12内のそれぞれの機能ブロック(ストリーム解析器7,ストリーム変換器8、デジタル変換対応情報判定器9、デジタル変換対応情報生成器10、記録・再生器11)およびRDI_PCK/NV_PCK変換器6には、十分な情報を蓄えるためのSDRAM、SRAMなどのバッファがあればよい。また、ストリームコントローラ12内のそれぞれの機能ブロック間でのデータ転送は非常に高速に行えるものとし、またそれぞれの処理を受けたデータは各ブロックのバッファ部に蓄えることができるものとする。また、各ブロックには最低限の容量のバッファを持ち、ストリームコントローラ12に大容量のバッファを持つという構成でも、本機能を実現することができる。以上の処理を繰り返し行うことにより、DVDビデオレコーディング規格から、DVDビデオ規格のフォーマットに、高速で変換することが可能となる。
以上のように、図16に示す手順によれば、DVDビデオレコーディング規格で記録したフォーマットのコンテンツをDVDビデオ規格のフォーマットにデジタル変換する際に、ナビゲーション情報(NV_PCK)の作成と、ストリームの変換という2つの処理を並行して行う事により、高速でフォーマット変換する事ができる。