JP4393908B2 - 細胞接着方法 - Google Patents

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本発明は、細胞接着方法に関するものである。
ある一定量以上の骨を再建させる場合には、十分な力学的強度をもつスキャフォード(足場)の存在が不可欠である。このようなスキャフォードとして、生体親和性や強度等の特性に優れることから、各種アパタイトを用いることが有望視されている。
しかしながら、アパタイトのブロック(以下、単に「ブロック」と言う。)を、単体で骨の欠損部位に移植した場合には、このブロックのサイズが大きくなるのにともなって、ブロック表面(生体)からブロック内部への拡散を主体とした養分の供給が不足する傾向を示す。このため、ブロック中心部に繊維化や壊死、骨への置換の遅延が生じるという問題がある。
このような問題を解決するために、骨芽細胞を担持するブロックを骨欠損部位に移植する方法が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
この移植方法おいて、骨芽細胞を担持するブロックは、ブロック(担体)にあらかじめ間葉系幹細胞を付加し、三次元培養することによって十分に接着させた上で、骨芽細胞に分化させることによって作成される。
また、ハムスターやヒツジ等の動物細胞を宿主細胞として遺伝子組み換えタンパク質を産生させる方法も開発されている。
このような方法において、遺伝子組み換えタンパク質は、このタンパク質の遺伝子が導入された宿主細胞を、担体に接着させた上で、増殖させることによって産生(分泌)される。
上述したような方法で用いる細胞は、担体への接着を契機に増殖を開始する付着依存性細胞である。
したがって、この付着依存性細胞を増殖させるためには、この細胞を効率よく担体に接着させることが重要となる。
そこで、付着依存性細胞を効率よく担体に接着させ得る方法(細胞接着方法)の開発が強く要望されているが、現在のところ、そのような方法は、見出されていないというのが実情である。
特開2003−320009号公報
本発明の細胞接着方法は、付着依存性細胞を、効率良く担体に接着させることができる細胞接着方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜()の本発明により達成される。
(1) 少なくとも表面付近がリン酸カルシウム系化合物で構成された担体の表面に、付着依存性細胞を接着させる細胞接着方法であって、
前記担体の表面に、CCN2(結合組織成長因子)を主成分とするタンパク質を80〜100ng/mL含む第1の液体を接触させることにより、前記タンパク質を吸着させる第1の工程と、
前記担体の表面に、前記付着依存性細胞として骨髄幹細胞を含む第2の液体を接触させることにより、前記付着依存性細胞を接着させる第2の工程とを有することを特徴とする細胞接着方法。
これにより、付着依存性細胞を、効率良く担体に接着させることができる。
また、前記第1の液体中における前記タンパク質の濃度を、80〜100ng/mLとすることにより、CCN2を、担体に十分に吸着させることができ、第2の工程において、付着依存性細胞を、より効率よく担体に接着させることができる。
また、前記タンパク質を、CCN2を主成分とするものとすることにより、付着依存性細胞を、より効率よく担体に接着させることができる。また、この付着依存性細胞が接着した担体を生体内に移植したときに、CCN2により血管新生が促進され、付着依存性細胞に十分に養分を供給することができる。
また、前記付着依存性細胞を、骨髄幹細胞とすると、骨髄幹細胞を担体に付着させた後に、培養する際の条件を適宜設定することにより、各種細胞に分化させることができる。このような細胞が接着した担体は、例えば医療(治療)や基礎研究等の幅広い分野に用いることができる。
(2) 前記第1の液体を前記担体に接触させる時間は、0.1〜10日間である上記(1)に記載の細胞接着方法。
これにより、CCN1およびCCN2の少なくとも一方のタンパク質を、担体に十分に吸着させることができ、第2の工程において、付着依存性細胞を、より効率よく担体に接着させることができる。
(3) 前記第1の液体の温度は、0〜10℃である上記(1)または(2)に記載の細胞接着方法。
これにより、CCN1およびCCN2の少なくとも一方のタンパク質の本来の性質を、低下または消失させることなく、担体に吸着させることができる。その結果、第2の工程において、付着依存性細胞を、より効率よく担体に接着させることができる。
) 前記第2の液体を前記担体に接触させる時間は、60〜420分間である上記(1)ないし()のいずれかに記載の細胞接着方法。
これにより、付着依存性細胞を、より効率よく担体に接着させることができる。
) 前記第2の液体の温度は、30〜40℃である上記(1)ないし()のいずれかに記載の細胞接着方法。
これにより、CCN1およびCCN2の本来の性質が低下または消失すること、および、付着依存性細胞がダメージを受けることを好適に防止することができる。その結果、付着依存性細胞を、より効率よく担体に接着させることができる。
) 前記第2の液体は、培地を含む上記(1)ないし()のいずれかに記載の細胞接着方法。
これにより、付着依存性細胞に生物活性の低下等のダメージを与えることを好適に防止することができる。
) 前記骨髄幹細胞は、間葉系幹細胞である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の細胞接着方法。
骨髄幹細胞の中でも、間葉系幹細胞は、特に利用価値が高いものである。
) 前記リン酸カルシウム系化合物は、ハイドロキシアパタイトおよびリン酸三カルシウムの少なくとも一方を主成分とするものである上記(1)ないし()のいずれかに記載の細胞接着方法。
これにより、担体に高い生体親和性を付与することができる。
以下、本発明の細胞接着方法について、好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明の細胞接着方法で用いる担体を示す斜視図である。
本発明の細胞接着方法は、[1]タンパク質吸着工程と、[2]細胞接着工程を有している。以下、これらの各工程について順次説明する。
まず、付着依存性細胞を接着させる担体1を用意する。
担体1としては、少なくとも表面付近がリン酸カルシウム系化合物で構成されたものであればよい。
具体的には、例えば、I:図1に示すように、担体1の全体がリン酸カルシウム系化合物を主材料として構成されたものであってもよく、II:担体1の形状に成形された基材の表面に、リン酸カルシウム系化合物を主材料とする被覆層が設けられた構成のものであってもよい。
ここで、Iのような構成の担体1は、担体1を骨欠損部位に移植する場合等に、好適に適用される。
また、IIのような構成の担体1は、付着依存性細胞を培養する場合等に、好適に適用される。
リン酸カルシウム系化合物としては、特に限定されず、例えば、Ca/Pモル比が1.0〜2.0の各種化合物が挙げられる。
具体的には、例えば、ハイドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム、フッ素アパタイト等のうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
これらの中でも、リン酸カルシウム系化合物としては、ハイドロキシアパタイトまたはリン酸三カルシウムを主成分とするものが好ましい。これらのものは、骨の主成分または骨に近い成分であるため、特に優れた生体親和性(生体適合性)を有するものである。
この担体1の形状としては、特に限定されず、その用途に応じて適宜選択するようにすればよい。例えば、この担体1を骨欠損部位に対する移植用のスキャフォード(足場)として用いる場合には、その骨欠損部位に対応した形状とするのが好ましい。
また、この担体1は、表面が粗面とされているのが好ましい。これにより、付着依存性細胞を、次工程[2]において、担体1に、より容易かつ確実に接着させることができる。
この担体1の表面粗さは、極端に大きくないのが好ましい。具体的には、前記粗面は、平均粒径が5〜30μm程度(好ましくは5〜25μm程度)の粒子を含む研磨材で研磨して得られたもの、または、それとほぼ同等のものであるのが好ましい。これにより、担体1への細胞の接着率をより向上させることができる。
この研磨材に用いられる粒子(砥粒)としては、例えば、ダイヤモンド、アルミナ、シリカ、酸化セリウム、窒化ホウ素、べんがら等の粒子(微粒子)が挙げられる。
また、担体1は、図2、3に示すように、直線状の溝がほぼ平行となるよう、複数配設されてなる凹部2が形成されていてもよい。この凹部2を形成することにより、表面積を増大させることができる。これにより、付着依存性細胞のより迅速な担体1への接着が促進される。ここで溝の形状は、図2に示すような、ほぼコ字状であってもよく、図3に示すような、ほぼV字状またはU字状等であってもよい。
全体がハイドロキシアパタイトを主材料として構成された担体1は、例えば、次のようにして製造することができる。
すなわち、このような担体1は、ハイドロキシアパタイト粉体の製造工程100と、圧粉体の製造工程200と、圧粉体の整形工程300と、圧粉体の焼成工程400と、焼結体の研磨工程500とによって製造することができる。以下、各工程について順次説明する。
[100]ハイドロキシアパタイト粉体の製造
まず、カルシウム源とリン酸源とを反応させて、ハイドロキシアパタイト(HAp)を合成する。なお、ここで、ハイドロキシアパタイトとは、Ca/Pモル比が1.60〜1.70のものを指す。
このハイドロキシアパタイトの合成には、湿式合成法、乾式合成法、水熱合成法等のいかなる方法を用いてもよいが、カルシウム源とリン酸源との少なくとも一方を溶液として用いる湿式合成法を用いるのが好ましい。これにより、高価な製造設備を必要とせず、容易かつ効率よくハイドロキシアパタイトを合成することができる。
湿式合成法を用いる場合、カルシウム源としては、例えば、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、硝酸カルシウム等を用いることができる。一方、リン酸源としては、リン酸、リン酸アンモニウム等を用いることができる。これらの中でも、特に、カルシウム源として水酸化カルシウムまたは酸化カルシウムを主成分とするものが、また、リン酸源としてリン酸を主成分とするものが好ましい。かかるカルシウム源およびリン酸源を用いることにより、ハイドロキシアパタイトをより効率よくかつ安価に合成することができる。
次に、合成されたハイドロキシアパタイトのスラリーを、例えば噴霧乾燥等することにより、ハイドロキシアパタイト粉体(以下、単に「粉体」と言う。)を製造する。
粉体の平均粒径は、特に限定されないが、1〜30μm程度であるのが好ましく、8〜25μm程度であるのがより好ましい。このような平均粒径の粉体を用いることにより、より高密度の焼結体を得ることができる。
なお、得られた粉体は、より緻密な圧粉体を得るために、例えば500〜800℃×2〜6時間程度の処理条件で熱処理した後、例えばジェットミルやターボミル等で粉砕して、平均粒径6〜20μm程度(粉砕前の50〜90%程度の平均粒径)とするようにしてもよい。
[200]圧粉体の製造
次に、得られた粉体(またはこれを予め所望の形状に圧粉成形したもの)に対し、圧力を加え、圧密化する。
加圧の方法としては、等方的に加圧する方法や、1軸プレスのように1方向(1軸方向)にのみ加圧する方法等のいずれであってもよいが、等方的に加圧する方法、特に静水圧加圧が好ましい。これにより、加圧後の圧粉体の密度を均一にすることができ、その結果、より高密度の焼結体を得ることができる。
[300]圧粉体の整形
次に、必要に応じて、得られた圧粉体の形状または寸法を整える。
この圧粉体の整形は、例えば、圧粉体に所定の機械加工を施すことにより行われる。機械加工としては、例えば、切削加工、研削加工、研磨加工等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて行うことができる。
圧粉体自体は、得られる焼結体に比べてその硬度がはるかに低いため、機械加工等による圧粉体の整形は、容易に行うことができ、特に、低硬度の工具を用いても行うことができ、また、機械加工の加工速度も速い。
[400]圧粉体の焼成
以上のようにして得られた圧粉体は、例えば焼成炉内で、大気の酸素分圧より高い酸素分圧の酸素含有雰囲気中で焼結(焼成)され、焼結体とされる。
[500]焼結体の研磨
次に、得られた焼結体の両面を、それぞれ、目的に応じた研磨材により研磨する。
なお、この研磨処理を省略して、得られた焼結体をそのまま担体1とすることもできる。
以上のような工程を経て得られる担体1は、高密度(緻密)なものであるが、本発明では担体1として、多孔質なものを用いるようにしてもよい。
[1]タンパク質吸着工程
次に、担体1の表面に、CCN1およびCCN2の少なくとも一方を主成分とするタンパク質(以下、単に「吸着タンパク質」と言う。)を含む第1の液体を接触させる。これにより、吸着タンパク質を担体1の表面に吸着させる。
CCN1およびCCN2は、CCN遺伝子ファミリーに属するccn1遺伝子、ccn2遺伝子がコードするタンパク質であり、N末端から、IGFBP様、von willebrand factor type C repeatおよびthrombospondin type 1 repeatの3つのモジュール構造と、C末端のcysteine knotsの合計4つのモジュール構造を有するタンパク質である。
これらのCCN1およびCCN2は、いずれも付着依存性細胞の接着を促進させる作用(細胞接着促進作用)を有するタンパク質である。したがって、このようなCCN1および/またはCCN2を担体1の表面に吸着させることにより、次工程[2]において、付着依存性細胞の担体1の表面への接着を促進させることができる。
ここで、CCN2は、結合組織成長因子(CTGF)と称されるものであり、特に優れた細胞接着促進作用と、血管誘導作用(血管内皮細胞増殖遊走促進作用)とを併せ持つタンパク質である。
そこで、例えばCCN2を吸着させ、かつ、このCCN2の細胞接着促進作用により付着依存性細胞を接着させた担体1を、生体の骨欠損部位(骨の欠損部位および歯の欠損部位の双方を含む)に移植した場合には、担体1の表面に血管内皮細胞が増殖遊走促進される。これにより、新生血管の形成が促進されて、担体1に接着する付着依存性細胞への養分供給が十分となる。
そして、この供給された養分により、例えば付着依存性細胞が間葉系幹細胞である場合には、骨化が促進される。これにより、再生骨が形成される時間が短縮されることから、比較的短時間で、骨欠損部位の強度の増加を図ることができる。
また、CCN1は、CYR61と称される血管新生因子であり、付着依存性細胞に対してCCN2と同様の作用を有するものである。
なお、これらCCN1およびCCN2は、単独で使用してもよく、2種類を組み合わせて使用するようにしてもよい。
CCN2は、特に細胞接着促進作用および血管誘導作用に優れるものであることから、これらの中でも、CCN2を主成分とするものを用いるのが好ましい。
ここで、本発明で用いるCCN1およびCCN2としては、前述したような細胞接着促進作用を有するものであれば、天然(生物由来)に存在するもの、遺伝子組み換えのものいずれのものであってもよく、また、これらのタンパク質のアミノ酸配列の一部が、欠失、置換および/または付加しているものであってもよい。
第1の液体を調整するために用いられる溶媒としては、例えば水または水にpH調整剤等の添加剤を溶解(添加)したもの等が用いられる。
水としては、例えば蒸留水、イオン交換水、純水、超純水およびRO水等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば炭酸塩、リン酸塩等が挙げられる。
第1の液体中における吸着タンパク質の濃度は、10〜100ng/mLであるのが好ましく、80〜100ng/mLであるのがより好ましい。吸着タンパク質の濃度が、前記下限値未満の場合には、担体1への吸着タンパク質の吸着量が少なくなり、付着依存性細胞の種類等によっては、接着率が低下するおそれがある。また、吸着タンパク質の濃度を、前記上限値を超えて高くしても、それ以上の効果の増加は期待できない。
第1の液体を担体1に接触させる時間は、0.1〜10日間であるのが好ましく、2〜3日間であるのがより好ましい。接触させる時間が短すぎると、担体1への吸着タンパク質の吸着量が少なくなり、付着依存性細胞の種類等によっては、接着率が低下するおそれがある。また、接触させる時間を長くしても、それ以上の効果の増加が期待できないばかりか、細胞接着に要する時間が長くなり好ましくない。
担体1を接触させる際の、第1の液体の温度は、吸着タンパク質の種類等によっても若干異なり、特に限定されないが、0〜10℃であるのが好ましく、3〜5℃であるのがより好ましい。第1の液体の温度が、前記範囲を逸脱した場合、吸着タンパク質の本来の性質が低下または消失するおそれがある。
以上のようにして担体1に、第1の液体を接触させることにより、担体1の表面に吸着タンパク質を吸着させることができる。
なお、このようにして担体1を第1の液体と接触させた後に、溶媒等で洗浄し、この担体1に吸着していない吸着タンパク質を除去するのが好ましい。溶媒としては、例えば、水、または水にpH調整剤や血清アルブミン等の添加剤を溶解させたもの等を用いることができる。
[2]細胞接着工程
次に、担体1の表面に、付着依存性細胞を含む第2の液体を接触させる。これにより、吸着タンパク質を介して担体1の表面に付着依存性細胞を接着させる。
ここで、付着依存性細胞とは、担体1に付着することが契機となり、増殖が促進される細胞であり、例えば骨芽細胞、歯髄細胞、象牙芽細胞のような硬組織形成関連細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞のような骨髄幹細胞、Vero細胞、C6/36細胞、ハムスター由来腎細胞、ヒツジ由来上皮細胞等が挙げられる。
これらの中でも、付着依存性細胞として骨髄幹細胞を用いた場合には、骨髄幹細胞を担体1に付着させた後に、培養する際の条件を適宜設定することにより、骨芽細胞、歯髄細胞、軟骨細胞、筋肉細胞、血管内皮細胞のような細胞に分化させることができる。このような細胞が接着した担体1は、例えば医療(治療)や基礎研究等の幅広い分野に用いることができる。
例えば、骨髄幹細胞を骨芽細胞に分化させた場合には、前述したように、この担体1を骨欠損部位への移植等に好適に適用することができる。
第2の液体を調整するために用いられる溶媒としては、水または水にpH調整剤等の添加剤を溶解したもの等が用いられる。
水またはpH調整剤としては、第1の液体で挙げたものと、同様のものを用いることができる。
また、第2の液体は、培地を含有しているのが好ましい。これにより、本工程の際に、付着依存性細胞にダメージ(例えば、生物活性の低下等)を与えないようにすることができる。
培地としては、用いる付着依存性細胞の種類等により適宜選択され、特に限定されないが、例えば、MEM培地、αMEM培地、ダルベッコMEM培地、BME培地、MCDB−104培地、MSCBM培地等が挙げられる。
また、培地中には、必要に応じて、例えば、血清、アルブミン等の血清タンパク質、各種ビタミン類、各種アミノ酸、塩類等の添加剤を添加するようにしてもよい。
第2の液体中における付着依存性細胞の細胞数は、1万〜10万個/mLであるのが好ましく、2万〜3万個/mLであるのがより好ましい。細胞数が、前記下限値未満の場合には、付着依存性細胞の種類等によっては、細胞と担体1との接触の機会が低下し、接触率の低下を招くおそれがある。また、細胞数を、前記上限値を超えて多くすると、第2の液体中で、付着依存性細胞の生物活性の低下を招くおそれがあり、好ましくない。
第2の液体を担体1に接触させる時間は、60〜420分間であるのが好ましく、180〜300分間であるのがより好ましい。接触させる時間が短すぎると、担体1への付着依存性細胞の接着量が少なくなり、付着依存性細胞の種類等によっては、接着率の低下を招くおそれがある。また、接触させる時間を長くしても、それ以上の効果の増加が期待できないばかりか、細胞接着に要する時間が長くなり好ましくない。
担体1を接触させる際の、第2の液体の温度は、吸着タンパク質および付着依存性細胞の種類等によっても若干異なり、特に限定されないが、30〜40℃であるのが好ましく、36〜38℃であるのがより好ましい。第2の液体の温度が、前記範囲を逸脱した場合、吸着タンパク質の本来の性質が低下または消失したり、付着依存性細胞がダメージを受けるおそれがある。
以上のように、本発明では、付着依存性細胞を担体1に接触するのに先立って、担体1にCCN1および/またはCCN2(吸着タンパク質)を吸着させるので、このものが有する細胞接着促進作用により、付着依存性細胞を担体1に効率よく接着させることができる。
以上、本発明の細胞接着方法について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の細胞接着方法は、任意の目的の工程が1または2以上追加されてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.担体への細胞の接着
(実施例1)
<1>タンパク質吸着工程
まず、ハイドロキシアパタイトをディスク状に成型、焼結することによって得られた担体(ペンタックス社製 商品名APP−600)を用意した。
次に、この担体を、室温下、1Mリン酸バッファー(pH6.8)中に24時間浸漬した。
その後、蒸留水中で、10分間の超音波洗浄を3回行った後、オートクレーブ滅菌を行った。
次に、この担体を、シリコーン製リングによって培養プレートに固定した。培養プレートは、担体を収納可能な穴(ウェル)を複数有するものであり、各穴に担体が収納される。
次に、ヒトリコンビナントCTGF(CCN2:岡山大学大学院医歯学総合研究科口腔生化・分子歯科学分野より供与)を20ng/mL、ウシ血清アルブミン(BSA:Sigma Chemical Company製)を0.1%含有する第1の液体を調製した。
次に、この第1の液体を、担体を収納した培養プレートの各穴に供給した。
次に、4℃で2日間インキュベートした後、第1の液体を6%BSA溶液に交換し、室温で1時間ブロッキングを行った。さらに、PBS(−)による洗浄を3回行った。
<2>細胞接着工程
次に、ヒト由来骨髄幹細胞(付着依存性細胞)を、FBS非添加のMesenchymal Stem Cell Basal Medium(MSCBM;TAKARA社製)に懸濁させて、第2の液体を調整した。
次に、この第2の液体を、担体を収納した培養プレートの各穴に供給することによって、ヒト由来骨髄幹細胞を播種した。
次に、この細胞播種から1時間後または3時間後に、FBS添加のMSCBMを、担体を収納した培養プレートの各穴に供給し、パラフィルムで密閉した。その後、この培養プレートを、室温で15分間倒立させた状態で静置し、担体に接着していないヒト由来骨髄幹細胞を除去した。
以上の工程により、ヒト由来骨髄幹細胞を担体に接着させた。
(実施例2、3)
第1の液体におけるCCN2の濃度を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、ヒト由来骨髄幹細胞を担体に接着させた。
(比較例1)
第1の液体として、CCN2の代わりに、骨の増殖因子であるヒトリコンビナントbFGF(KCB−1:科研製薬株式会社より供与)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ヒト由来骨髄幹細胞を担体に接着させた。
(比較例2、3)
第1の液体におけるbFGFの濃度を表1に示すように変更した以外は、比較例1と同様にして、ヒト由来骨髄幹細胞を担体に接着させた。
(比較例4)
第1の液体として、CCN2の代わりに、骨の増殖因子であるヒト精製TGF−β1(R&D System社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ヒト由来骨髄幹細胞を担体に接着させた。
(比較例5、6)
第1の液体におけるTGF−β1の濃度を表1に示すように変更した以外は、比較例4と同様にして、ヒト由来骨髄幹細胞を担体に接着させた。
(比較例7)
第1の液体として、CCN2を含有しない0.1%BSA溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして、ヒト由来骨髄幹細胞を担体に接着させた。
Figure 0004393908
2.評価
各実施例および各比較例について、担体に接着した細胞の数を測定した。
まず、各実施例および各比較例における培養プレートの各穴から培地を除去し、培地とCellTiter96(Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay:Promega社製)を5:1で混合した試薬を、各穴に500μLずつ添加した。
その後、培養プレートを、5%CO気相下、37℃で1時間インキュベートした。
次に、インキュベート後の前記試薬を分取して、MICROPLATE READER(Bio−Rad Laboratories社製)を用いて、490nmにおける吸光度を測定した。
この測定値は、細胞数と比例関係にあり、担体に接着した細胞数の指標となる。
この測定結果を図4に示す。
図4に示すように、担体を、CCN2を含有する第1の液体で処理した実施例1〜3の吸光度は、いずれも担体を、CCN2を含有していないBSA溶液で処理した比較例7の吸光度に比べて、高い値を示した。これにより、実施例1〜3の担体に接着した細胞数は、いずれも比較例7に接着した細胞数よりも多いことが明らかとなった。
また、この細胞数は、第1の液体におけるCCN2の濃度に依存して増加する傾向を示した。
これに対して、担体を、bFGFを含有する液体で処理した比較例1〜3およびTGF−β1を含有する液体で処理した比較例4〜6は、いずれも比較例7に比べて、担体に接着した細胞数が少なく、細胞の接着を促進しないばかりか、逆に阻害する傾向を示した。
本発明の細胞接着方法で用いる担体を示す部分断面斜視図である。 本発明の細胞接着方法で用いる担体の他の例を示す斜視図である。 本発明の細胞接着方法で用いる担体のさらに他の例を示す斜視図である。 実施例1〜3および比較例1〜7における吸光度(担体に接着した骨髄幹細胞の細胞数の指標)を示すグラフである。
符号の説明
1……担体、2……凹部

Claims (8)

  1. 少なくとも表面付近がリン酸カルシウム系化合物で構成された担体の表面に、付着依存性細胞を接着させる細胞接着方法であって、
    前記担体の表面に、CCN2(結合組織成長因子)を主成分とするタンパク質を80〜100ng/mL含む第1の液体を接触させることにより、前記タンパク質を吸着させる第1の工程と、
    前記担体の表面に、前記付着依存性細胞として骨髄幹細胞を含む第2の液体を接触させることにより、前記付着依存性細胞を接着させる第2の工程とを有することを特徴とする細胞接着方法。
  2. 前記第1の液体を前記担体に接触させる時間は、0.1〜10日間である請求項1に記載の細胞接着方法。
  3. 前記第1の液体の温度は、0〜10℃である請求項1または2に記載の細胞接着方法。
  4. 前記第2の液体を前記担体に接触させる時間は、60〜420分間である請求項1ないしのいずれかに記載の細胞接着方法。
  5. 前記第2の液体の温度は、30〜40℃である請求項1ないしのいずれかに記載の細胞接着方法。
  6. 前記第2の液体は、培地を含む請求項1ないしのいずれかに記載の細胞接着方法。
  7. 前記骨髄幹細胞は、間葉系幹細胞である請求項1ないし6のいずれかに記載の細胞接着方法。
  8. 前記リン酸カルシウム系化合物は、ハイドロキシアパタイトおよびリン酸三カルシウムの少なくとも一方を主成分とするものである請求項1ないしのいずれかに記載の細胞接着方法。
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