以下に、本発明による流体デバイスどうしの接続構造の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1〜図7は実施例1による接続構造を示し、図8〜図10は実施例2による接続構造を示している。そして、図11は別実施例を示す図である。
〔実施例1〕
図1,図2に、マニホールドとエアオペバルブとの接続構造を示している。このマニホールドとエアオペバルブとの接続構造は、複数の管状の流体通路3,4が内部形成されたマニホールド(第1流体デバイスの一例)1と、これの上面1aに内外の計2箇所のリング状ガスケット部G1,G2を有する流体用ガスケットGを介して搭載されるエアオペバルブ(第2流体デバイスの一例)2とに跨って構成された縦向きの軸心Pを共有する同心状二重流路型のものである。エアオペバルブ2に代えて、開閉バルブ、ストップバルブ等、種々のバルブにすることが可能である。
マニホールド1は、図1,図2に示すように、PFAやPTFE等のフッ素樹脂製のパネル材(又はブロック材)5の内部に、パネル上面1aに開口する上下向きの縦通路3aと横向きの横通路3bとから成る管状の供給側流体通路3と、縦通路3aの外径側に形成されてパネル上面1aに開口する環状の縦リング通路4aとこれの底部に連通される横向きの横通路4bとで成る排出側流体通路4とが形成されたものである。このマニホールド1における給排流体通路3,4が二重配管状に開口する部分を第1流体給排口部1Aと称するものとし、この第1流体給排口部1Aにおいては、管状の縦通路3aと環状の縦リング通路4aとが互いに同一の軸心Pを有する同心状の通路に形成されている。また、第1流体給排口部1Aには、その上端面に開口する各流体通路3,4の外径側部分のそれぞれには、軸心Pを中心とする環状で、かつ、上方に突出した内外の環状突起21,41を有する下第1シール端部t21及び下第2シール端部t22が形成されている。
エアオペバルブ2は、図1,図2に示すように、PFAやPTFE等のフッ素樹脂製で上下方向視形状が円形のバルブケース6を有しており、そのバルブケース6の下端部は、底面6aに開口する状態でその中心に縦向きに配された管状の供給側流体通路7と、この供給側流体通路7の外径側に形成されて底面6aに開口する状態で縦向きに配された環状の排出側流体通路8とを有した第2流体給排口部2Aに形成されている。つまり、この第2流体給排口部2Aにおいては、管状の供給側流体通路7と環状の排出側流体通路8が互いに同一の軸心Pを有する同心状の通路に形成されている。そして、バルブケース6の下部には、両端部のそれぞれに一対のボルト挿通孔9aを有するガラス繊維入りPPSやその他の材料によるフランジ部9が後述するボルト66の共締めによって一体化されている。尚、バルブケース6とフランジ部9とは、切削加工や成形加工によって一体形成された一体型のものでも良い。また、第2流体給排口部2Aには、その下端面に開口する各流体通路7,8の外径側部分のそれぞれには、軸心Pを中心とする環状で、かつ、上方に突出した内外の環状突起11,31を有する上第1シール端部t11及び上第2シール端部t12が形成されている。
流体用ガスケットGは、図1〜図5に示すように、内外のリング状ガスケット部G1,G2(以後、第1ガスケット部G1、第2ガスケット部G2と略称する)と、これらを連結一体化する四箇所のブリッジ部Bとから構成されてる。第1,第2ガスケット部G1,G2は、径が異なるのみで断面形状は同一のものに形成されている。その構造を内側の第1ガスケット部G1を例に挙げて説明する。尚、説明を省略する第2ガスケット部G2には、第1ガスケット部G1に対応する箇所には対応した符号を付す(例:54a→64a)ものとする。さて、第1ガスケット部G1は、第1,第2流体給排口部1A,2Aの相対応する流体通路である縦通路3a及び供給側流体通路7どうしを連通すべく形成された管状の流体経路w1と、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの端面に形成された上第1シール端部t11の環状突起11と上第2シール端部t12の環状突起31のそれぞれに嵌合すべく流体経路w1の外径側部分に形成された上下一対の環状溝51,51とを有するPFAやPTFE等のフッ素樹脂製のものに構成されている。
つまり、第1ガスケット部G1の断面形状は、上下一対の環状溝51,51と、これら環状溝51,51を形成するための内周壁54及び外周壁55とを有するとともに、上下の環状溝51,51は深さ及び幅が同一となる上下対称であり、かつ、内及び外周壁54,55も左右対称であって、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの軸心P方向に沿う縦中心Z、及び、その縦中心線Zに直交する横中心線Xの双方に関して線対称(ほぼ線対称でも良い)となる略H状の形状に形成されている。内周壁54の上下端部は、内周面54aである流体経路w1の上下端部が先拡がり状に外向き傾斜するテーパ内周面52a,52aに形成されるとともに、外周壁55の上下端部も、その外周面55aの上下端部が内向き傾斜するテーパ外周面53a,53aに形成されている。
マニホールド1の第1流体給排口部1Aの下第1及び下第2シール端部t21,t22の環状突起21,41及びエアオペバルブ2の第2流体給排口部2Aの上第1及び上第2シール端部t11、t12における環状突起11,31の内及び外径側に、各ガスケット部G1,G2における環状溝51,61を形成するために軸心P方向に突出形成された内外の周壁端部52,53,62,63が、相対応する環状溝51,61と相対応する環状突起11,21,31,41との嵌合によって拡がり変形するのを阻止する環状押え突起12,13,22,23,32,33,42,43が形成されている。
上記環状押え突起に関する構造を、第1ガスケット部G1と上第1シール端部t11とについて説明する。内外の環状押え突起12,13は対称のものであり、これらと環状突起11とで囲まれた谷部14,15が奥窄まり状(上窄まり状)となるように環状突起側の側周面が傾斜したテーパ外周面12a及びテーパ内周面13aを有する先窄まり状の環状突起に形成されている。つまり、上第1シール端部t11は、環状時突起11とその内外の両側に形成される環状押え突起12,13及び谷部14,15の総称である。
第1ガスケット部G1の内外の周壁54,55の上端部は、環状押え突起12,13のテーパ外周面12aとテーパ内周面13aのそれぞれに当接するテーパ内周面52aとテーパ外周面53aを有して14,15に入り込み自在な先窄まり状の環状シール突起である周壁端部52,53を有し、接合状態(図1参照)においては、内外の周壁54,55の端部である周壁端部52,53が対応する谷部14,15に入り込み、上第1シール端部t11のテーパ外周面12aと第1ガスケット部G1のテーパ内周面52aとが圧接され、かつ、上第1シール端部t11のテーパ内周面13aと第1ガスケット部G1のテーパ外周面53aとが圧接されるように構成されている。
つまり、第1ガスケット部G1の上端部には、環状溝51とその内外の周壁端部52,53とで上シール部g11が形成されており、同様に下端部には下シール部g12が形成されている。上シール部g11は上第1シール端部t11と嵌合して嵌合シール部10を形成し、下シール部g12は下第2シール端部t21と嵌合して嵌合シール部10を形成する。同様に、第2ガスケットにも上シール部g21と下シール部g22とが形成されており、それぞれ上第2シール端部t12と下第2シール端部t22と嵌合して嵌合シール部10を形成する。
嵌合シール部10の嵌合構造を、上第1シール端部t11と第1ガスケット部G1の上シール部g11について詳細に説明すると、図2,図3に示すように、内外の谷部14,15どうし、及び内外の周壁端部52,53どうしは互いに対称であって、内外の谷部14,15全体の挟角α°と内外の周壁端部52,53全体の向い角β°との間には、α°<β°という関係が設定されており、好ましくはα°+(20〜40°)=β°という関係に設定すると良い。この構成により、上第1シール端部t11の上環状突起11と環状溝51とが嵌り合った接合状態(後述)では、上内環状押え突起12と上内周壁端部52とは、それらのテーパ外周面12aとテーパ内周面52aとが最内径側部分で圧接される状態となり(図3の仮想線を参照)、流体通路w1を通る流体がこれら外内のテーパ周面12a,52aどうしの間に入り込むのことをも阻止する二次シール部S2として機能する利点が得られる。
そして、上環状突起11の幅d1と上環状溝51の幅d2との間には、d1>d2という関係が設定されており、好ましくはd1×(0.75〜0.85)=d2という関係に設定すると良い。そして、上環状突起11の突出長さh1と上環状溝51の深さh2との間にはh1<h2という関係が設定されている。これらの構成により、上環状突起11と上環状溝51とが、詳しくは、上環状突起11の内外の両側周面と相対応する上環状溝51の内外の側周面とが強く圧接され、流体の漏れを阻止する優れたシール性能を発揮する一次シール部S1が形成されるとともに、上内環状押え突起12のテーパ外周面12aと上内周壁端部52のテーパ内周面52aとが必ず当接することになり、前述した二次シール部S2が良好に形成される利点がある。
また、環状押え突起12,13の先端、及び周壁端部52,53の先端はピン角とならないようにカットされた形状、即ち、傾斜カット面12b,13b、並びにカット面52b,53bに形成されている。これらの構成により、上内環状押え突起12の先端が流体通路w1側に若干広がり変形したとしても、もともとカットされた形状であることから、流体通路w1途中に大きく開いた断面三角形状の凹みができるだけとなり、その凹みに存在する流体が容易に流れ出すようになって実質的に液溜りが生じないようになる。加えて、その凹みの開き角度、即ち、傾斜カット面12bとテーパ内周面52aとの挟角は十分に大きく、表面張力による液溜りのおそれも回避される。また、環状突起11先端の内角及び外角は面取り加工された形状11aとしてあるので、幅の狭い環状溝51への圧入移動をかじり等の不都合なく円滑に行えるものとなっている。
嵌合シール部10についてさらに詳述する。図2,図3に示すように、環状押え突起12,13における環状突起側のテーパ周面12a,13aの開き角(谷部14,15の開き角)Dは50〜70度の範囲の値(50°≦D°≦70°)に設定されており、周壁端部52,53のテーパ周面52a,53aの尖り角Eは60〜80度の範囲の値(60°≦D°≦80°)に設定されている。そして、開き角Dと尖り角Eとには、開き角Dに10〜20度を加えたものが尖り角Eとなる[D°+(10〜20°)=E°]ように設定されている。より好ましい値としては、開き角Dが69〜71度(D°=70±1°)、尖り角Eが79〜81度(E°=80±1°)、及び尖り角Eは開き角D+9〜11度(E°−D°=10±1°)に設定すると良い。
また、環状押え突起12,13の傾斜カット面12b,13bのカット角Dsは49〜51度(Ds°=50°±1°)に設定されており、周壁端部52,53の先端カット面52b,53bの迎え角Esは124〜126度(Es°=125°±1°)に設定されている。このような角度設定により、テーパ外周面12aとテーパ内周面52a及びテーパ内周面13aとテーパ外周面53aの夫々は環状の線接触状態で当接されるようになり、シールリップ効果が二次シール部S2において発揮されるようになる。
つまり、前記第1流体給排口部1Aと前記第2流体給排口部2Aとが互いに引寄せられる方向である引寄せ方向に対する前記周壁端部52,53のテーパ周面52a,53a(テーパ内周面52a、テーパ外周面53a)の尖り角Eが、前記引寄せ方向に対する前記環状押え突起12,13における環状突起11側のテーパ周面12a,13a(テーパ外周面12a、テーパ内周面13a)の開き角Dに10〜20度、好ましくは10度又はほぼ10度加えた値に設定されている。そして、前記尖り角Eが60〜80度、好ましくは80度又はほぼ80度に設定されている。
このように尖り角E及び開き角Dを90度に近い鈍角的な値に設定する構成とすれば、環状押え突起12,13は、その径方向幅に比べて引寄せ方向(軸方向)の突出量が小さくなって相対的に強度、剛性が向上することとなり、周壁端部52,53の拡がりを規制しながらも、自身(環状押え突起12,13)が径方向へ拡がり変形するおそれをより効果的に抑制することができる利点がある。そして、周壁端部52,53の谷部14,15への刺さり込みによってテーパ周面52a,53aが環状押え突起12,13を径方向に押し広げる分力を小さくでき、この点からも環状押え突起12,13の径方向への拡がり変形を抑制することができる。
以上述べた嵌合シール部10の構造は、第1ガスケット部G1の下側、及び第2ガスケット部G2においても同様に構成されており、対応する箇所には対応する符号を付すものとする。第2ガスケット部G2は、径は異なるが断面形状に関しては第1ガスケット部G1のものと全く同じである。但し、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの上第2シール端部t12と下第2シール端部t22については、その外周側に流体通路が存在しないので、それぞれ上第1シール端部t11と下第2シール端部t21とやや形状が異なる。
即ち、上第2シール端部t12に関しては、環状押え突起33のテーパ内周面33aに続く状態で、バルブケース6の下端部を形成するための下端内周部6bが存在している点である。この下端内周部6bは、第2ガスケット部G2の上シール部g21を上第2シール端部t12に嵌め合わす際のガイドとして機能するとともに、テーパ内周面33aと共に第2ガスケット部G2の外周壁65の拡がり変形を阻止する機能も発揮可能である。そして、下第2シール端部t22に関しては、外側の環状押え突起43の外周側にパネル材5が連続して存在している点であり、下シール部g22と下第2シール端部t22との嵌め合せ時に、第2ガスケット部G2の下シール部g22の外周壁端部63の拡がり変形がテーパ内周面43aによって阻止される作用効果が強化されるようになる。
一方、第1及び第2ガスケット部G1,G2のうち、接合状態において内径側及び外径側の双方に流体通路7,8が存在する中間ガスケットである第1ガスケット部G1は、これの外周部である外周面55aが、第1ガスケット部G1の外径側に存する第1流体給排口部1Aの環状の流体通路4aと第2流体給排口部2Aの環状の流体通路8とを連通する環状の流体経路w2を形成するための壁面となる状態に形成されている。このように第1ガスケット部G1の内外周面54a,55aの双方が流体通路w1,w2を形成する壁面を兼ねる構成とすれば、「第1ガスケット部G1の厚み」=「環状流体通路3a,7と管状流体通路4a,8との間隔」となり、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの接続部をよりコンパクト化することが可能になる。
さて、ブリッジ部Bは、図1,2及び図4,5に示すように、流体経路w1,w2の軸心Pに対する径方向に沿う最短距離でもって第1,第2ガスケット部G1,G2に亘って架設形成されており、軸心Pを中心とする90度の均等角度毎に計四箇所(2,3箇所又はそれ以上でも可)状形成されている。これにより、流体用ガスケットGは、ブリッジ部Bがスポークに相当して、軸心P方向視においてホイール(タイヤが外装される自動車用のホイール)のような形状を呈している。ブリッジ部Bの断面形状は円形に設定されているとともに、各ガスケット部G1,G2への付け根部分は裾拡がり状に形成されている。尚、ブリッジ部Bの断面形状は、上下(軸心P方向)に長い楕円形状や、上下(軸心P方向)に長い菱形でも良く、要は、流体経路w1,E2の軸心P方向に沿う寸法Hbが、径方向に沿う寸法Sbよりも大となる形状に設定されることが、流体流れの抵抗となり難いようにする点から望ましい。
そして、各ブリッジ部Bの流体経路w1,w2の軸心Pに沿う方向の厚みHbが、第1,第2ガスケット部G1,G2における第1環状溝51,61と第2環状溝51,61との夫々の溝底で挟まれる連結部分Rの軸心Pに沿う方向の厚みHrと同じ値(又はそれ以下の値でも良い)に設定され、かつ、ブリッジ部Bは、図5に示すように、軸心P方向において連結部分Rに相対応する位置に形成されている。
ブリッジ部Bの断面を円形として、排出側流体通路8(第2流体経路w2)を流れる流体の抵抗となり難くしてある。そして、各ガスケット部G1,G2における連結部分Rを基本とする周壁端部52,53,62,63の径方向への変位の妨げとならないようにしてあり、それによってブリッジ部の有無に拘らずに優れたシール性が維持されるようになっている。もし、ブリッジ部Bの厚みHbが連結部分の厚みHrよりも厚いと、第1ガスケット部G1の外側の周壁端部53と第2ガスケット部G2の内側の周壁端部62とが剛結されたような状態に近付き、ブリッジ部B付近だけ径方向への移動が行い難くなってシール性に悪影響を与えるおそれがあるからである。尚、図示は省略するが、ブリッジ部Bの厚みHbを連結部分R厚みHrよりも薄くしても良い。つまり、Hb≦Hrであれば良い。
次に、維持手段Iについて説明する。維持手段Iは、図1,2,6,7に示すように、マニホールド1の第1流体給排口部1Aとエアオペバルブ2の第2流体給排口部2Aとが互いに流体用ガスケットGを介して引寄せるとともに、その引寄せ作用によって、第1流体給排口部1Aの上第1シール端部t11及び上第2シール端部t12と、第1及び第2ガスケット部G1,G2の上シール部g11,g21とが、及び第2流体給排口部2Aの下第1及び下第2シール端部t21,t22と、第1及び第2ガスケット部G1,G2の下シール部g12,g22とがそれぞれ嵌め合わされて各嵌合シール部10が形成される接合状態を維持するものに構成されている。即ち、第2流体給排口部2Aの環状突起11,31と第1及び第2ガスケット部G1,G2の上側の環状溝51,61とが、及び第1流体給排口部1Aの環状突起21,41と第1及び第2ガスケット部G1,G2の下側の環状溝51,61とがそれぞれ嵌め合わされる。
維持手段Iの具体構造は、第2流体給排口部2Aのフランジ部9の左右端部における前後端部に形成された計四箇所のボルト挿通孔9aに挿通される四本のボルト66と、それらボルト66に対応して第1流体給排口部1Aに(パネル材5に)装備された一対のナット67,67と、一対の回り止めピン68,68とによって構成されている。つまり、ボルト66のナット67との螺合により、第1流体給排口部1Aと第2流体給排口部2Aとが流体用ガスケットGを介して連通接続自在に構成されている。尚、69はバネ座金(又は平ワッシャ)である。実施例1においては、ボルト66は、内六角穴付で円形のボルト頭部66aと雄ねじ部66bとを有する六角穴付ボルトを用いており、フランジ部9には、バネ座金69及びボルト頭部66aを埋め込むための丸穴凹入部9bが形成されている。
ナット67は、マニホールド1に(第1流体給排口部1A)にボルト66の軸心p1方向に対して直交又はほぼ直交する方向p2に嵌入される金属製の丸棒(棒状部材又は板状部材の一例)で構成されるとともに、第1流体給排口部1A他方には、これの第2流体給排口部2Aとの接続面1aから丸棒67の雌ねじ部67aにボルト66を通すための挿通孔(又は切欠きでも良い)1bが形成されている。ナット67は、図6,7に示すように、その軸心p2方向の両端部それぞれの雌ねじ部67a,67aと、その中央のピン穴67bとの三者が互いに同一方向に向く状態でに形成されており、一対の雌ねじ部67a,67aは丸棒を貫通している。マニホールド1には、各ナット67を密嵌入するための貫通丸孔70が形成されている。
図7に示すように、ナット67を、マニホールド1の貫通丸孔(嵌入部の一例)70に端面倒氏が揃うように丁度挿入する際には、各雌ねじ部67a,67aと対応する挿通孔1b、1bとが平面視で互いの軸心が一致する揃い状態となるように、第1流体給排口部1Aに形成されている装着孔71と丸棒のピン穴67bとに亘るように回り止めピン68を挿入する。つまり、回り止めピン68は、丸棒製ナット67の回り止めだけでなく、第1流体給排口部1Aに対する軸心P2方向の位置決め、及び抜け止めの各機能を発揮する兼用構成化が図られた合理的部品に構成されている。この場合、ナット67がマニホールド1に軽く圧入される寸法関係か、或いは回り止めピン68が第1流体給排口部1Aに軽く圧入される寸法関係かに設定すれば、ナット67をマニホールド1とのガタツキが無い状態で装備できて好都合である。
ボルト66の軸心p1は、マニホールド1とエアオペバルブ2との接合方向である流体経路w1,w2の軸心Pと同方向に定められており、これによってナット67への螺合操作によって第1流体給排口部1Aと第2流体給排口部2Aとが互いにガスケットGを介して引き寄せられるように構成されている。つまり、ボルト66とナット67等による維持手段Iは引き寄せ手段も兼ねる構成となっている。
〔実施例2〕
実施例2による流体デバイスどうしの接続構造を、図8,図9に示す。この流体デバイスどうしの接続構造は、一対の円管状の流体通路3,4が内部形成された集積パネル(第1流体デバイスの一例)1と、これの上面1aに一対のリング状のガスケットG,Gを介して搭載されるバルブ(第2流体デバイスの一例)2とに跨って構成された縦向きの軸心Pを共有する単流路型のものである。つまり、給排用として一対の接続構造が互いに同一のものとして構成されている。
集積パネル1は、図8,図9に示すように、PFAやPTFE等のフッ素樹脂製のパネル材(又はブロック材)5の内部に、パネル上面1aに開口する上下向きの縦通路3a,4aと横向きの横通路3b,4bとから成る一対の円管状の供給側流体通路3,4が形成されたものである。この集積パネル1における給排流体通路3,4が開口する部分を第1流体給排口部1Aと称するものとし、この第1流体給排口部1Aにおいては、円管状の縦通路3a,4aのそれぞれが軸心Pを有する通路に形成されている。また、第1流体給排口部1Aには、その上端面に開口する各流体通路3,4の外径側部分のそれぞれには、軸心Pを中心とする環状で、かつ、上方に突出した内外の環状突起21を有する下第1シール端部t21及び下第2シール端部t22が形成されている。
バルブ2は、図8,図9に示すように、PFAやPTFE等のフッ素樹脂製で上下方向視形状が円形のバルブケース6を有しており、そのバルブケース6の下端部は、底面6aから下方突出する状態で縦向きに配された円管状の供給側流体通路7と、この供給側流体通路7の横側方に離れて開口する状態で縦向きに配された円管状の排出側流体通路8とを有した第2流体給排口部2Aに形成されている。つまり、この第2流体給排口部2Aにおいては、円管状の供給側流体通路7,8のそれぞれが軸心Pを有する通路に形成されている。つまり、バルブケース6下端には、一対のボルト挿通孔9aを有するガラス繊維入りPPSやその他の材料による取付フランジ9の一対が下方突出形成されており、流体通路7,8を有する管部9Aとフランジ部(外向きフランジ)9Bとで各取付フランジ9が形成されている。供給側の取付フランジ9が、下方突出する環状突起11を有する上第1シール端部t11に形成され、排出側の取付フランジ9が、上方突出する環状突起11を有する上第2シール端部t12に形成されている。
一対のガスケットGは互いに同一のものであり、その構造を供給側のガスケットGを例に挙げて説明する。さて、ガスケットGは、供給側の上下の流体給排口部1A,2Aの相対応する流体通路である縦通路3a及び供給側流体通路7どうしを連通すべく形成された管状の流体経路Wと、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの端面に形成された上第1シール端部t11の環状突起11と上第2シール端部t12の環状突起21のそれぞれに嵌合すべく流体経路Wの外径側部分に形成された上下一対の環状溝51,51とを有するPFAやPTFE等のフッ素樹脂製のものに構成されている。
つまり、ガスケットGの断面形状は、上下一対の環状溝51,51と、これら環状溝51,51を形成するための内周壁54及び外周壁55とを有するとともに、上下の環状溝51,51は深さ及び幅が同一となる上下対称であり、かつ、内及び外周壁54,55も左右対称であって、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの軸心P方向に沿う縦中心Z、及び、その縦中心線Zに直交する横中心線Xの双方に関して線対称(ほぼ線対称でも良い)となる略H状の形状に形成されている。内周壁54の上下端部は、内周面54aである流体経路Wの上下端部が先拡がり状に外向き傾斜するテーパ内周面52a,52aに形成されるとともに、外周壁55の上下端部も、その外周面55aの上下端部が内向き傾斜するテーパ外周面53a,53aに形成されている。
集積パネル1の第1流体給排口部1Aの下第1シール端部t21の環状突起21及びバルブ2の第2流体給排口部2Aの上第1シール端部t11における環状突起11の内及び外径側に、ガスケットGにおける環状溝51を形成するために軸心P方向に突出形成された内外の周壁端部52a,53aが、環状溝51と環状突起11,21との嵌合によって拡がり変形するのを阻止する環状押え突起(環状押え部分の一例)12,13,22,23が形成されている。
上記環状押え突起に関する構造を、ガスケットGと上第1シール端部t11とについて説明する。内外の環状押え突起12,13は対称のものであり、これらと環状突起11とで囲まれた谷部14,15が奥窄まり状(上窄まり状)となるように環状突起側の側周面が傾斜したテーパ外周面12a及びテーパ内周面13aを有する先窄まり状の環状突起に形成されている。つまり、上第1シール端部t11は、環状突起11とその内外の両側に形成される環状押え突起12,13及び谷部14,15の総称である。
ガスケットGの内外の周壁54,55の上端部は、環状押え突起12,13のテーパ外周面12aとテーパ内周面13aのそれぞれに当接するテーパ内周面52aとテーパ外周面53aを有して14,15に入り込み自在な先窄まり状の環状シール突起(周壁端部の一例)52,53を有し、接合状態(図8参照)においては、内外の周壁54,55の上端部である環状シール突起52,53が対応する谷部14,15に入り込み、上第1シール端部t11のテーパ外周面12aとガスケットGのテーパ内周面52aとが圧接され、かつ、上第1シール端部t11のテーパ内周面13aとガスケットGのテーパ外周面53aとが圧接されるように構成されている。
つまり、ガスケットGの上端部には、環状溝51とその内外の環状シール突起52,53とで上シール部g11が形成され、同様に下端部には下シール部g12が形成されている。上シール部g11は上第1シール端部t11と嵌合して嵌合シール部10を形成し、下シール部g12は下第2シール端部t21と嵌合して嵌合シール部10を形成する。
嵌合シール部10の嵌合構造を、上第1シール端部t11とガスケットGの上シール部g11について詳細に説明すると、図9,図10に示すように、内外の谷部14,15どうし、及び内外の環状シール突起52,53どうしは互いに対称であって、内外の谷部14,15全体の挟角α°と内外の環状シール突起52,53全体の向い角β°との間には、α°<β°という関係が設定されており、好ましくはα°+(20〜40°)=β°という関係に設定すると良い。この構成により、上第1シール端部t11の上環状突起11と環状溝51とが嵌り合った接合状態(後述)では、上内環状押え突起12と上内環状シール突起52とは、それらのテーパ外周面12aとテーパ内周面52aとが最内径側部分で圧接される状態となり(図10の仮想線を参照)、流体通路Wを通る流体がこれら外内のテーパ周面12a,52aどうしの間に入り込むのことをも阻止する二次シール部S2として機能する利点が得られる。
そして、上環状突起11の幅d1と上環状溝51の幅d2との間には、d1>d2という関係が設定されており、好ましくはd1×(0.6〜0.8)=d2という関係に設定すると良い。そして、上環状突起11の突出長さh1と上環状溝51の深さh2との間にはh1<h2という関係が設定されている。これらの構成により、上環状突起11と上環状溝51とが、詳しくは、上環状突起11の内外の両側周面と相対応する上環状溝51の内外の側周面とが強く圧接され、流体の漏れを阻止する優れたシール性能を発揮する一次シール部S1が形成されるとともに、上内環状押え突起12のテーパ外周面12aと上内環状シール突起52のテーパ内周面52aとが必ず当接することになり、前述した二次シール部S2が良好に形成される利点がある。
また、内側の環状押え突起12の先端、及び環状シール突起52,53の先端はピン角とならないようにカットされた形状、即ち、傾斜カット面12b、並びにカット面52b,53bに形成されている。これらの構成により、上内環状押え突起12の先端が流体通路W側に若干広がり変形したとしても、もともとカットされた形状であることから、流体通路W途中に大きく開いた断面三角形状の凹みができるだけとなり、その凹みに存在する流体が容易に流れ出すようになって実質的に液溜りが生じないようになる。加えて、その凹みの開き角度、即ち、傾斜カット面12bとテーパ内周面52aとの挟角は十分に大きく、表面張力による液溜りのおそれも回避される。また、環状突起11先端の内角及び外角は面取り加工された形状11aとしてあるので、幅の狭い環状溝51への圧入移動をかじり等の不都合なく円滑に行えるものとなっている。
外側の環状押え突起13は、環状押え突起13のテーパ内周面13aに続く状態で、バルブケース6の下端部を形成するための下端内周部9bが存在しており、内側の環状押え突起12とは全体としての形状は異なる。そして、下第1シール端部t21に関しても、環状押え突起23のテーパ内周面23aに続く状態で、パネル材5の上端部を形成するための上端内周部5bが存在しており、やはり、内側の環状押え突起22とは全体としての形状が異なる。これら上及び下端内周部5b,9bは、ガスケットGの上及び下シール部g11,g12を上及び下第1シール端部t11,t21に嵌め合わす際のガイドとして機能するとともに、テーパ内周面13a,23aと共にガスケットGの外周壁55の拡がり変形を阻止する機能も発揮可能である。
嵌合シール部10についてさらに詳述する。図9,図10に示すように、環状押え突起12,13のテーパ周面12a,13aの開き角(谷部14,15の開き角)Dは50〜70度の範囲の値(50°≦D°≦70°)に設定されるとともに、環状シール突起(周壁端部)52,53のテーパ周面52a,53aの尖り角Eは60〜80度の範囲の値(60°≦D°≦80°)に設定されている。そして、開き角Dと尖り角Eとには、開き角Dに10〜20度を加えたものが尖り角Eとなる[D°+(10〜20°)=E°]ように設定されている。より好ましい値としては、開き角Dが69〜71度(D°=70±1°)、尖り角Eが79〜81度(E°=80±1°)、及び尖り角Eは開き角D+9〜11度(E°−D°=10±1°)に設定すると良い。
また、環状押え突起12の傾斜カット面12bのカット角Dsは49〜51度(Ds°=50°±1°)に設定されており、周壁端部52,53の先端カット面52b,53bの迎え角Esは124〜126度(Es°=125°±1°)に設定されている。このような角度設定により、テーパ外周面12aとテーパ内周面52aとは環状の線接触状態で当接されるようになり、シールリップ効果が二次シール部S2において発揮されるようになる。また、テーパ内周面13aとテーパ外周面53aとの間にも、それらの外径側端部においてシール作用が生じる。尚、図示は省略するが、下端内周部9bが存在しない場合(集積パネルや流体デバイスにおけるガスケットGとの嵌合部の断面形状が左右対称である場合)は、外側の環状押え突起13にも傾斜カット面12bと同様な傾斜カット面が形成され、前記シールリップ効果が生じる。
つまり、前記第1流体給排口部1Aと前記第2流体給排口部2Aとが互いに引寄せられる方向である引寄せ方向に対する前記環状シール突起(周壁端部)52,53のテーパ周面52a,53a(テーパ内周面52a、テーパ外周面53a)の尖り角Eが、前記引寄せ方向に対する前記環状押え突起12,13における環状突起11側のテーパ周面12a,13a(テーパ外周面12a、テーパ内周面13a)の開き角Dに10〜20度、好ましくは10度又はほぼ10度加えた値に設定されている。そして、前記尖り角Eが60〜80度、好ましくは80度又はほぼ80度に設定されている。
このように尖り角E及び開き角Dを90度に近い鈍角的な値に設定する構成とすれば、環状押え突起12,13は、その径方向幅に比べて引寄せ方向(軸方向)の突出量が小さくなって相対的に強度、剛性が向上することとなり、環状シール突起52,53の拡がりを規制しながらも、自身(環状押え突起12,13)が径方向へ拡がり変形するおそれをより効果的に抑制することができる利点がある。そして、環状シール突起52,53の谷部14,15への刺さり込みによってテーパ周面52a,53aが環状押え突起12,13を径方向に押し広げる分力を小さくでき、この点からも環状押え突起12,13の径方向への拡がり変形を抑制することができる。
次に、維持手段Iについて説明する。維持手段Iは、図9,図10に示すように、集積パネル1の第1流体給排口部1Aとバルブ2の第2流体給排口部2Aとが互いにガスケットGを介して引寄せられるとともに、その引寄せ作用によって、第1流体給排口部1Aの上第1シール端部t11と、ガスケットGの上シール部g11とが、及び第2流体給排口部2Aの下第1シール端部t21と、ガスケットGの下シール部g12とがそれぞれ嵌め合わされて各嵌合シール部10が形成される接合状態を維持するものに構成されている。即ち、第2流体給排口部2Aの環状突起11とガスケットGの上側の環状溝51とが、及び第1流体給排口部1Aの環状突起21とガスケットGの下側の環状溝51とがそれぞれ嵌め合わされる。
維持手段Iの具体構造は、実施例1に用いられている維持手段Iと基本的には全く同じである。違いは、実施例2においては、実施例1による維持手段Iが各流体経路W毎に構成されていること、即ちであり、計8本のボルト66、計4個のナット67、そして計4個の回り止めピン68が使用されている。従って、実施例2における維持手段Iとしては、図8,9に図1,2と同一の符号を付すことでその説明が為されたものであるとして、ここではこれ以上の文章説明は割愛する。
〔別実施例〕
ナット67は、図11(a),(b)に示すように、上面67j、下面67k、左右の側面67m,67nを有する金属製の角棒から成るものであっても良い。この場合は、第1流体給排口部1Aには貫通角孔70が形成されており、それ以外は、実施例1や実施例2における丸棒製のナット67と同じである。但し、この場合は回り止めの必要は無いので、ピン68はナット66の軸方向の位置決めと、抜け止めとを行う位置決めピン68として機能する。この角棒製のナット66は、厚肉の鋼板(板状部材の一例)から成るものでも良い。
丸棒や角棒によるナット67は、各ボルト毎に個別に設けられる構造(個別ナット)も可能であり、その場合は、第1流体給排口部1Aに形成される貫通丸孔70や貫通角孔70に代えて、図示は省略するが、軸心p2方向の両端から個別ナットを挿入するための奥止り穴に形成される。この手段では、角孔と角棒嵌合では、挿入し切った状態で雌ねじ部と挿通穴とが合致するように設定して、位置決めピンを省略することが可能である。さらに、ナットは、回り止め機能を省略すべく断面形状がD型や小判型のもの、或いは、既製品である六角ナットや四角ナットを用いることも可能である。また、図6に仮想線で示すように、第1流体給排口部1Aには、挿通孔1bに代えてナット67の軸心p2に沿って開口する切欠き1bを形成する手段でも良い。