JP4392506B2 - 放熱体 - Google Patents
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Description
上記CNTの製造方法は種々知られているが、量産性の点から気相成長法が有利とされている(田中一義[編]「カーボンナノチューブ」化学同人出版、2001年1月30日、P.67−77)。
田中一義[編]「カーボンナノチューブ」化学同人出版、2001年1月30日、P.67−77
この複合材料の製法は、溶融金属中に微細炭素繊維を添加し、撹拌、混合するという手法が一般的である。
しかしながら、上記方法では、金属と微細炭素繊維とでは比重が大きく異なることから、微細炭素繊維を均一に溶融金属中に分散するのは極めて困難であるという課題がある。
また、微細炭素繊維その他の混合物に対して熱的負荷が大きく、場合によって混合が不可能となる素材も存在する。
また、前記微細炭素繊維もしくはその誘導体が混入しているめっき層が合金めっき層であることを特徴とする。
また、微細炭素繊維の誘導体がフッ素化炭素繊維であることを特徴とする。
本発明では、めっき液中に分散剤と微細炭素繊維もしくはその誘導体を添加して、該分散剤によりめっき液中に微細炭素繊維もしくはその誘導体を分散させ、めっきを施すことにより、基材表面に、微細炭素繊維もしくはその誘導体(以下微細炭素繊維等、あるいは単に微細炭素繊維ということがある)がめっき金属に混入しているめっき皮膜を形成するのである。
CNT等の微細炭素繊維10もしくはその誘導体は、分散剤の存在によりめっき液中に均一に分散する。めっき中には、めっき液を撹拌するのが好ましく、これにより微細炭素繊維10等が、沈降することなく、めっき液中を浮遊する。
この状態で電解めっきを行うことによって、めっき金属が基材12表面に析出する際、基材12表面に位置している微細炭素繊維10等がめっき皮膜14中に取り込まれ、金属と微細炭素繊維等との複合材(めっき構造物)が基材12表面に形成される。
なお、めっき方法は、直流めっきに限らず、電流反転めっき法やパルスめっき法も採用できる。
そこで、分散剤を添加し、微細炭素繊維等をめっき液中に分散させるのである。
分散剤としては、特に限定されないが、電解めっきによるときは、カチオン系もしくはノニオン系の界面活性剤を用いるとよい。
カチオン系界面活性剤としては、例えば、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウムなどを好適に用いることができる。
また、フッ素化炭素繊維を分散させるには、N−[(3−ペルフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムヨ−ダイド等のカチオン系界面活性剤を好適に用いることができる。
アニオン系界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、脂肪酸ナトリウム、脂肪酸トリエタノールアミン塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、モノアルキルリン酸ナトリウム等を好適に用いることができる。
フッ素化炭素繊維を分散させるには、ペルフルオロオクタンスルホン酸、ペルフルオロオクタンスルホン酸塩、N−プロピル−N−ペルフルオロオクチルスルホニルグリシンカリウム塩、リン酸ビス[2−(N−プロピルペルフルオロオクチルスルホニルアミノ)エチル]アンモニウム塩、ペルフルオロカプリル酸、ペルフルオロオクタン酸アンモニウム等のアニオン系界面活性剤を好適に用いることができる。
フッ素化炭素繊維を分散させるには、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)ペルフルオロオクタンスルホンアミド、N−ポリオキシエチレン−N−プロピルペルフルオロオクタンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−ペルフルオロオクチルスルホニルベンジルアミン等のノニオン系界面活性剤を好適に用いることができる。
これら界面活性剤は、単独でも、あるいは併用して用いてもよい。
また、分散剤として、ポリアクリル酸等のポリカルボン酸もしくはその塩を用いて好適であった。ポリアクリル酸の場合、分子量は3000〜40000位のものが、均一分散性に優れていた。
あるいは、種々の金属の合金めっきであってもよい。
また、電解めっきに限らず、無電解めっきであってもよい。
無電解めっきの場合にも、図1に示すように、めっき金属が基板(基材)12表面に析出する際、めっき皮膜14中に巻き込まれるようにして微細炭素繊維等が取り込まれる。
また、図2に示すように、微細炭素繊維10の先端がめっき皮膜14表面から突出するようにしてめっき皮膜14に固定される状況が生じる。特にめっき皮膜14が銅めっき皮膜の場合に図2に示す状況が顕著に生じた。
カーボンナノチューブ(CNT)からの電界放出(field emission)が検討され、ディスプレー用材料としての有用性に注目されているところである。
この電界放出を実現するためには、強電界を得る必要がある。そのためにエミッタ材料として先端を鋭く尖らせる必要がある。この点、CNTは、アスペクト比が大きく、鋭い先端をもち、化学的に安定で機械的にも強靭であって、かつ高温での安定性にも優れていて、電界放出のエミッタ材料として有用である。
しかし、上記のように、多数本のCNTを、基板上にスクリーン印刷法などによって向きを揃えてするのは、必ずしも容易ではない。この点、本実施の形態におけるめっき法によれば、めっき工程中において、CNT(微細炭素繊維)が起立した状態でめっき皮膜に固定されるので、多数の電界放出端を有する電界放出エミッタを容易に形成できる。
図3に示すように、基板12上にフォトリソグラフィーにより、凹部17を有するレジストパターン16を形成する。次に図4に示すように、この凹部17内に微細炭素繊維10が混入するめっき構造物18を上記のようにして形成し、次に図5に示すようにレジストパターン16を除去することによって、基板12上に柱状のめっき構造物18を形成することができる。基板12からめっき構造物18を剥離することによって、例えば図6に示すような、極めて微細な歯車20を形成することができる。これらめっき構造物18(20)は、微細炭素繊維が含有されていることから、極めて強度が高く、耐久性に優れる柱状部品とすることができる。
図7に示すように、下層の配線パターン21上に絶縁層22を絶縁性樹脂を塗布するなどして形成し、この絶縁層22にレーザー加工等によって配線パターン21が底面に露出するビアホール23を形成し、このビアホール23内に、上記と同様のめっき工程により微細炭素繊維が混入するめっき構造物(ビア)24を形成する。
次に図8に示すように、絶縁層22上にビア24が露出する所要のレジストパターン25をフォトリソグラフィーにより形成し、次いで上記と同様のめっき工程により、無電解めっき、次いで電解めっきを施して(アディティブ法)、ビア24に電気的に接続する、微細炭素繊維を含有するめっき構造物からなる配線パターン26を形成する。このようにして、微細炭素繊維を含有するめっき構造物からなる配線パターンを有する多層の回路基板を形成することができる。
なお、アディティブ法でなく、無電解めっき、電解めっきにより上記めっき皮膜(めっき構造物)を全面に形成し、このめっき皮膜をエッチングして所要の配線パターンに形成するようにしてもよい(サブトラクティブ法)。
なお、図示しないが、半導体チップ上にポリイミド樹脂層(絶縁層)を形成し、このポリイミド樹脂層上に、半導体チップの電極に接続する再配線パターンを、上記微細炭素繊維を含有するめっき構造物によって形成するようにしてもよい。この再配線パターンの適所に外部接続用のバンプを形成することによって、半導体チップの電極位置を再配置するものである。
この場合の再配線パターンは、電気伝導性ばかりでなく、熱伝導性にも極めて優れるので、半導体チップの放熱経路となり、放熱性を高めることができる。
まず、上記微細炭素繊維を含むめっき構造物からなるめっき層(例えばCNTを含む銅めっき層)31と、このめっき層31とは異なる金属(例えばニッケル)からなるめっき層(微細炭素繊維を含んでも含まなくともよい)32とが交互に多数積層されるように積層物をめっきにより形成する。この積層体自身、めっき層の積層方向と、これと直交する方向(層が伸びている方向)とで熱伝導率の異なる異方性熱伝導体として用いることができる。特にめっき層32に微細炭素繊維を含まない場合、微細炭素繊維を含むめっき層31の方が熱伝導率が高いので、好適な異方性熱伝導体となる。なお、この積層体は、3つ以上の異なる金属からなるめっき層の積層体であってもよい。
この積層体の、例えばめっき層32の周縁部をエッチングにより除去することによって、微細炭素繊維を含むめっき構造物からなるめっき層31が微小空間を介して多数並列している構造をなす放熱体30を形成できる。めっき層31が極めて放熱性に優れるものであり、このめっき層31が多数並列されて表面積が大なるものであることから、この放熱体30は極めて高い放熱性を示す。
例えば次の条件によってフッ素化する。
すなわち、微細炭素繊維(CNT)をニッケルボートに充填し、フッ素化用のニッケル管中に設置し、フッ素との反応温度を340℃、フッ素分圧460mmHg、窒素分圧310mmHgで、72時間程度フッ素と反応させることによってCxFyで表される構造をもつフッ素化炭素繊維が形成される。
なお、フッ素化を促進させるために、フッ化銀などの触媒を用いることができる。
このフッ素化炭素繊維を、上記と同様にして、上記と同様の分散剤と共にめっき液に添加し、めっき液中に均一に分散させ、めっき液を撹拌しつつめっきを行うことによって、図1と同様にして、めっき金属が基材12表面に析出する際、基材12表面に位置しているフッ素化炭素繊維がめっき皮膜14中に取り込まれ、金属とフッ素化炭素繊維との複合材(めっき構造物)が基材12表面に形成される。
この複合材も撥水性に優れたものとなった。
なお、フッ素化炭素繊維でなく、上記微細炭素繊維と、微粉末、微細繊維からなる樹脂と、めっき金属との3種混合物からなる複合材とすることもできる。
このめっき皮膜34は、無電解めっき液中に上記と同様の分散剤と共にCNTを分散させて、CNT表面に無電解めっき皮膜34を形成したものである。CNT10をめっき液中に分散させることによって、CNT10表面に無電解めっき皮膜34を均一厚さに形成することができる。
このように表面にめっき金属皮膜を形成した炭素繊維は、比重もそれなりに大きくなり、金属との相応性も良好なことから、溶融金属中に均一に分散させることができ、金属との均一な複合材を形成することができる。また、樹脂中に分散させて、樹脂との複合材とすることもできる。さらには、表面に上記めっき皮膜が形成された炭素繊維を接着剤樹脂中に混入して導電性樹脂とすることもできる。
NiSO4・6H2O 1M
NiCl2・6H2O 0.2M
H3BO3 0.5M
実施例1
ベース浴1 +
PA5000 2×10−4M
実施例2
ベース浴1 +
PA5000 2×10−4M
CNT 2g/l
(なお、PA5000は、分子量5000のポリアクリル酸)
上記ベース浴1、実施例1、実施例2の浴を用いて、撹拌下、2A/dm2の電流密度で電解めっきした場合のめっき皮膜表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真をそれぞれ図11(a)、(a´)、図11(b)、(b´)、図11(c)、(c´)に示す(なおa、b、cは500倍、a´、b´、c´は5000倍)。また図12は図11(c´)のさらなる拡大図である。
図11(a)、(a´)から明らかなように、ニッケルめっき皮膜の表面は比較的荒れているが、図11(b)、(b´)に示されるように、ポリアクリル酸を添加することによって表面の平滑性が生じ、光沢めっき皮膜が得られた。ポリアクリル酸はCNTの分散剤として作用すると共に、光沢剤としても作用する。図11(c)、(c´)から明らかなように、CNTはニッケルめっき皮膜中に取り込まれている。特に図11(c´)、図12から明らかなように、ニッケルめっき金属はCNT表面に粒状に成長し、CNTを覆い、やがて、粒状のめっき金属が連続し、CNTがニッケルめっき皮膜中に取り込まれる状態となるのである。
図13(a)、(a´)、図13(b)、(b´)、図13(c)、(c´)は(なおa、b、cは500倍、a´、b´、c´は5000倍)、上記ベース浴1、実施例1、実施例2の浴を用いて、撹拌下、5A/dm2の電流密度で電解めっきした場合のめっき皮膜表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真をそれぞれ示す。図14は図13(c´)のさらなる拡大図である。このように電流密度を変えても、図11に示す場合とほとんど同様の結果が得られた。
ベース浴1 +
PA25000 2×10−4M
実施例4
ベース浴1 +
PA25000 2×10−4M
CNT 2g/l
(なお、PA25000は、分子量25000のポリアクリル酸)
実施例3、実施例4は、ポリアクリル酸に分子量25000のものを用いた他はそれぞれ実施例1、実施例2と同じである。
図15(a)、(a´)、図15(b)、(b´)、図15(c)、(c´)は(なおa、b、cは500倍、a´、b´、c´は5000倍)、上記ベース浴1、実施例3、実施例4の浴を用いて、撹拌下、2A/dm2の電流密度で電解めっきした場合のめっき皮膜表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真をそれぞれ示す。図16は図15(c´)のさらなる拡大図である。このようにポリアクリル酸に分子量25000のものを用いても、図11に示す場合とほとんど同様の結果が得られた。
また、電流密度を5A/dm2に変更した場合も同様の結果が得られた。
CuSO4・5H2O 0.85M
H2SO4 0.55M
実施例5
ベース浴2 +
PA5000 2×10−4M
実施例6
ベース浴2 +
PA5000 2×10−4M
CNT 2g/l
(なお、PA5000は、分子量5000のポリアクリル酸)
上記ベース浴2、実施例5、実施例6の浴を用いて、撹拌下、2A/dm2の電流密度で電解めっきした場合のめっき皮膜表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真をそれぞれ図17(a)、(a´)、図17(b)、(b´)、図17(c)、(c´)に示す(なおa、b、cは500倍、a´、b´、c´は5000倍)。
図17(b)、(b´)、図17(c)、(c´)から明らかなように、ポリアクリル酸を添加した場合、2A/dm2の電流密度の条件下では、めっき皮膜の表面が荒れてしまい、実用に至らなかった。
図18(a)、(a´)、図18(b)、(b´)、図18(c)、(c´)は(なおa、b、cは500倍、a´、b´、c´は5000倍)、上記ベース浴2、実施例5、実施例6の浴を用いて、撹拌下、5A/dm2の電流密度で電解めっきした場合のめっき皮膜表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真をそれぞれ示す。図19は図18(c´)のさらなる拡大図である。 図18(a)、(a´)から明らかなように、銅めっき皮膜の表面は比較的荒れているが、図18(b)、(b´)に示されるように、ポリアクリル酸を添加することによって、また電流密度を5A/dm2と上げることによって、表面の平滑性が生じ、光沢めっき皮膜が得られた。ポリアクリル酸はCNTの分散剤として作用すると共に、光沢剤としても作用する。図18(c)、(c´)から明らかなように、CNTはニッケルめっき皮膜中に取り込まれている。なお、図19に示すように、ニッケルめっきの場合とは異なり、銅めっきの場合には、めっき金属がCNT表面にはほとんど粒状に成長せず、直接基板上に析出して、この析出銅めっき皮膜内にCNTが巻き込まれるかたちで固定されることが判明した。また、図19に示されるように、銅めっき皮膜の表面では、該表面からCNTの先端が突出していることが顕著に観察される。この突出端が電界電子放出端として機能する。
ベース浴2 +
PA25000 2×10−4M
実施例8
ベース浴2 +
PA25000 2×10−4M
CNT 2g/l
(なお、PA25000は、分子量25000のポリアクリル酸)
上記ベース浴2、実施例7、実施例8の浴を用いて、撹拌下、2A/dm2の電流密度で電解めっきした場合のめっき皮膜表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真をそれぞれ図20(a)、(a´)、図20(b)、(b´)、図20(c)、(c´)に示す(なおa、b、cは500倍、a´、b´、c´は5000倍)。
図20(b)、(b´)、図20(c)、(c´)から明らかなように、ポリアクリル酸に分子量25000のものを用いても、2A/dm2の電流密度の条件下では、めっき皮膜の表面が荒れてしまい、実用に至らなかった。
12 基板(基材)
14 めっき皮膜
16 フォトレジストパターン
17 凹部
18 めっき構造物
20 歯車
21 配線パターン
22 絶縁層
23 ビアホール
24 ビア
25 レジストパターン
26 配線パターン
30 放熱体
Claims (4)
- めっき皮膜中に微細炭素繊維もしくはその誘導体が混入しているめっき層と、該めっき層とは異なる金属の異種金属からなるめっき層とが交互に所要複数積層され、該異種金属からなるめっき層の周縁部がエッチングにより除去されることによって、前記微細炭素繊維もしくはその誘導体が混入しているめっき層が空間を介して並列していることを特徴とする放熱体。
- 前記微細炭素繊維もしくはその誘導体が混入しているめっき層が合金でなく単一の金属からなることを特徴とする請求項1記載の放熱体。
- 前記微細炭素繊維もしくはその誘導体が混入しているめっき層が合金めっき層であることを特徴とする請求項1記載の放熱体。
- 微細炭素繊維の誘導体がフッ素化炭素繊維であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の放熱体。
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