JP4389776B2 - 粘着性無端搬送ベルト、搬送装置及びインクジェットプリンターと、それらを用いて作製した記録物 - Google Patents

粘着性無端搬送ベルト、搬送装置及びインクジェットプリンターと、それらを用いて作製した記録物 Download PDF

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Description

本発明は、新規の粘着性無端搬送ベルトとそれを用いた搬送装置及びインクジェットプリンターとそれらを用いて作製した記録物に関する。
インクジェット記録方式は簡便に、かつ安価に画像を作成することができるため、写真、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷など、様々な印刷分野に応用されてきている。特に、微細なドットを出射、制御するインクジェット記録装置や、色再現域、耐久性、出射適性等を改善したインク及びインクの吸収性、色材の発色性、表面光沢などを飛躍的に向上させたインクジェット用専用紙を用い、銀塩写真に匹敵する画質を得ることも可能となっている。今日のインクジェット記録方式の画質向上は、インクジェット記録装置、インク、インクジェット用専用紙の全てが揃って初めて達成されている。
更に、近年では、上述したインクジェット記録方式を、布帛の捺染へ応用することも試みられている。これは、捺染の分野において、製版工程を必要としないインクジェット記録方式が、納期短縮や少量多品種生産対応として大きな利点を有するからである。
更に、形成画像として必要な量のインクのみを使用するため、従来方法に比較すると廃液が少ない等の環境的利点も有する優れた画像形成方法であるといえる。
インクジェット捺染方法においては、布帛のように搬送時に不均一な変形を生じやすい被記録物を、変形を起こさずに安定に搬送することが均質な画像を得るためには必要とされており、例えば、粘着性を有する搬送ベルトが用いられている。
この様な粘着性搬送ベルトとしては、例えば、地貼り剤と呼ばれる粘着剤の有機溶媒溶液を搬送ベルト上に塗布し、粘着ベルトとする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、塗布には有機溶剤を用いるため、安全性及び作業者等に対する環境適性上の課題を抱えている。更には、繰り返し使用することにより粘着力が低下した際には、再度地貼り剤を塗り直す必要があり、有機溶剤を用いて粘着剤を一度掻き取った後に、再度塗布をすると言う煩わしさがあった。
一方、無端ベルトの表面に、基材の両面に粘着層を設けた粘着テープを付与する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2で提案されているように、両面粘着テープを用いることにより、ベルト上に有機溶剤等を使うことなく粘着層を設けることができ、また、粘着層が劣化した際も容易に交換が可能となる。
一般に、無端搬送ベルトとしては、接合部分を有する無端搬送ベルトと、接合部分のない無端搬送ベルトとがある。
接合部分のない無端搬送ベルトとしては、例えば、メッキ法で製造される金属電鋳ベルトや押し出し成形で製造されるポリイミドベルト等が挙げられる。一方、接合部分を有する無端搬送ベルトとしては、例えば、図1に示すように、シート状の材料を円筒状にし、それぞれの端部を繋ぐことで得られるテフロン(登録商標)ベルト等が無端搬送ベルトとして一般的に知られている。
上記のようなタイプの無端搬送ベルトにおいて、接合部分のない無端搬送ベルトは、上述のように金属電鋳ベルトや樹脂を押し出して成形するため、その製造に際しては目的とするベルトサイズ以上の容量の電鋳槽や押し出し用の金型が必要になる。このため、特に大判サイズのプリンターに適用する無端搬送ベルトを製造するには巨大な設備が必要となり、製造コスト面での負荷が過大になる。従って、大判サイズの記録物を作成するプリンターにおいては、主に、シート状の材料を円筒状に丸めて接合した無端搬送ベルト(以降、接合型無端搬送ベルトともいう)が適用される。
この接合型無端搬送ベルトの作製において、その接合方法としては様々な方式が適用されてはいるが、以下に述べる理由により、主にはシートを重ね合わせて両端部を接合する方法、あるいは別なシートを挟んで接合する方法が適用されている。
一方、インクジェットプリンターを用いた画像形成においては、高濃度の画像を得る観点から、インク打ち込み量(インク吐出量)を増やすことが一般的に行われている。しかしながら、被記録体が布帛である場合、布帛は縦糸と横糸で編まれて作られているため、図2に示すように、糸の存在しない目の部分、すなわち空間部分が存在し、この空間部分にインクが多量に吐出されると、その一部は布の裏面側にインクが抜けてしまう、いわゆる裏抜けを起こしてしまう。
このため、例えば、布帛に画像形成する一般的なインクジェット捺染プリンターでは、布帛の裏あてとしての効果を得ると共に、インクを受容する搬送部材を用い、更に搬送部材をクリーニングする装置が併設されている布帛の搬送装置が使用されている。
しかしながら、この搬送装置において、図3に示すように前述の接合型無端搬送ベルトの接合部分に隙間があると、そこからインクが裏に抜けてしまい、搬送装置を汚してしまう。そのため、接合型無端搬送ベルトにおいては、接合型無端搬送ベルトの表面に、地貼り剤、あるいは基材を有する両面粘着テープを付与することで粘着層を形成した粘着無端搬送ベルトが用い、上記の課題に対処している。
しかしながら、地貼り剤を塗布した粘着無端搬送ベルトでは、高濃度のベタ画像を印字した際に、画像記録した記録物に白い筋の故障が発生し、低濃度の画像では色の濃い筋故障が発生してしまうことが判明した。また、基材の有する両面粘着テープを付与した際にも、高濃度のベタ画像を印字した際に、画像記録した記録物に白い筋の故障が発生し、大判サイズの記録物を安定して得るための障害となっている。
特開昭57−29676号公報 特開2000−198970号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、大判サイズの記録物の作製に適性を有し、耐久性に優れた粘着性無端搬送ベルトと、画像形成時の安定性、故障耐性に優れた搬送装置及びインクジェットプリンターとそれらを用いて作製した記録物を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
両端部を有するベルト基材と、該ベルト基材の両端部を結合して無端ベルトを形成するベルト接合部を有し、該無端ベルトの表面に、粘着テープを付与して粘着層を設けた粘着性無端搬送ベルトであって、該ベルト接合部は、該ベルト基材の一方の端部を構成する面側Aの端部とベルト基材の他方の端部を構成する該面側Aとは反対側の面側Bの端部に貼り付けベルト基材の両端部を結合するものであり、該粘着テープを付与する面における該無端ベルトと該ベルト接合部との段差が10μm以上、200μm以下であり、かつ該粘着テープが基材を有しない両面粘着テープであることを特徴とする粘着性無端搬送ベルト。
(請求項2)
請求項1に記載の粘着性無端搬送ベルトを有することを特徴とする搬送装置。
(請求項3)
前記無端ベルトが搬送ローラーに保持され、前記無端ベルトの結合部分の搬送方向に対する傾きをθとし、ベルト幅をLとし、前記粘着テープを設けた面とは反対側の面のベルト接合部の搬送方向における幅をdとし、該無端ベルトと該搬送ローラー間の搬送方向におけるニップ幅をwとしたとき、下式(1)で規定する条件を満たすことを特徴とする請求項2記載の搬送装置。
式(1)
Ltanθ>d+W
(請求項4)
請求項2または3に記載の搬送装置を有し、被記録物にインクを出射して画像記録するインクジェット記録方法で用いることを特徴とするインクジェットプリンター。
(請求項5)
請求項4記載のインクジェットプリンターで作製されたことを特徴とする記録物。
本発明によれば、大判サイズの記録物の作製に適性を有し、耐久性に優れた粘着性無端搬送ベルトと、画像形成時の安定性、故障耐性に優れた搬送装置及びインクジェットプリンターとそれらを用いて作製した記録物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、大判サイズの被記録体に安定して画像印字する方法に関し鋭意検討を進めた結果、両端部を有するベルト基材と、該ベルト基材の両端部を結合して無端ベルトを形成するベルト接合部を有し、該無端ベルトの表面に、粘着テープを付与して粘着層を設けた粘着性無端搬送ベルトであって、該ベルト接合部は、該ベルト基材の一方の端部を構成する面側Aの端部とベルト基材の他方の端部を構成する該面側Aとは反対側の面側Bの端部に貼り付けベルト基材の両端部を結合するものであり、該粘着テープを付与する面における該無端ベルトと該ベルト接合部との段差が10μm以上、200μm以下であり、かつ該粘着テープが基材を有しない両面粘着テープであることを特徴とする粘着性無端搬送ベルト及びそれを用いた搬送装置とインクジェットプリンターにより、大判サイズの記録物の作製に適性を有し、耐久性に優れた粘着性無端搬送ベルトと、画像形成時の安定性及び故障耐性、例えば、高濃度のベタ画像を印字した際に、画像記録した記録物に発生する白い筋状故障耐性、あるいは低濃度の画像領域での色の濃い筋故障耐性に優れた搬送装置及びインクジェットプリンターを実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
本発明で規定する構成からなる粘着性無端搬送ベルトを用いた際に、高濃度のベタ画像を印字した際に発生する白い筋状の故障に対する耐性が向上した理由は、以下の様に推測している。
すなわち、接合部の重ね合わせ部分に段差がある状態で、基材を有しない粘着テープを付与すると、図4に示すように、段差に沿って粘着層が変形して付与されるので隙間無く両面粘着テープを付与することができる。この結果、布帛を粘着層上に貼り付けたときに、布帛の伸ばされる部分は無端搬送ベルト自体の段差と同じであるため、布帛の伸びが少なく、段差部分に貼り付けられた布帛の部分と、それ以外の部分に貼り付けられた布帛の部分において、打ち込みインク量にほとんど差が生じなくなり、その結果、白抜け故障の発生が抑制されたものと推測している。
これに対し、従来より使用されている地貼り剤を適用した場合に、高濃度のベタ画像を印字した際に白い筋状の故障が発生する理由としては、明確には判明していないが、以下の様に推測している。
すなわち、接合型無端搬送ベルトの接合部分に地貼り剤を塗布すると、図5に示すように、地貼り剤塗布液が接合部分から無端搬送ベルト表面に流れ、接合部分に必要とする地貼り剤(粘着剤)が乗らないことが生じる。これは、接合部分が無端搬送ベルト表面に対して若干高くなっているため、地貼り剤が流れてしまうためであると推測している。
図5で示すように、接合部分に付与した地貼り剤がレベリングを起こし、正常部に対し地貼り剤の塗設量が低下した状態の接合型無端搬送ベルトに対し、しわを取るために布帛を伸ばしながら貼り付けて、無端搬送ベルトに布帛を固定させると、接合部分には十分な地貼り剤が付与されていないため、図6に示すように、伸ばされた布帛が粘着層(地貼り剤付与層)から浮いた状態になる。この状態で印字が行われると、布は浮いて変形しているので、単位面積当たりに打ち込まれるインク量にムラが発生してしまう、すなわち、高濃度ベタ画像では、インク打ち込み量が少なくなるところが発生し、その結果、白い筋状の濃度ムラとなって現れ、一方、低濃度のベタ画像領域では、インク打ち込み量が多くなるところが発生し、その結果、色の濃い筋状ムラとなるものと推測している。
また、上記現象を解消するための手段として、段差以上の厚さに地貼り剤を塗布する方法も考えられるが、この様な手段を用いた場合には、粘着層形成時に、揮発して大気中へ放出する有機溶剤の量が増加し、また乾燥にも長時間を要し、また、塗り直しの際に古い厚膜状態の粘着層除去に多量の有機溶剤や処理時間を必要とし、作業がより煩わしくなるばかりか、環境に対しても多大なる悪影響を与えるため、決して好ましい方法であるとは言い難い。
更に、段差部分にのみ厚く地貼り剤を塗る方法も考えられるが、厚く地貼り剤を塗った部分が布帛やクリーニング部材によって画像形成を継続するに従って削り取られて、結局、上述のような問題が再発するばかりか、削られた地貼り剤が印字した布帛やクリーニング部材を含む装置全体を汚し、生産上のトラブルを招く結果となる。
上述のような地貼り剤の流動性に起因すると推定されるプリント時の画像ムラに対し、本発明に係る基材を有しない粘着テープを適用することにより抑制することができた。これは、基材を有しない粘着テープが粘着剤を架橋させた単一層であるため、外力によって変形はするが、流動性は持たず、段差部分が露出する状態が出現しないことに起因するものと推測している。
本発明に係る基材を有しない粘着テープに対し、無端搬送ベルトの段差のある接合部分に基材を有する両面粘着テープを付与すると、図7に示すように、ベルト本体と粘着テープの間に隙間が生じる。これは、粘着テープの内部に設けた基材が高い剛性を備えているため、ベルト表面の段差に追随できないためであると推測している。このよう構成からなる無端搬送ベルトを用いて、しわを取るため布帛を伸ばしながら貼り付けて布帛を無端搬送ベルトに固定させると、図8に示すように、上記で発生した隙間の分だけ布が追随して伸ばされ、単位面積あたりに打ち込まれるインクが低下し、その結果、白い筋状の故障を引き起こすものと推定している。
更に上記粘着テープが有する基材の剛性が隙間の発生に起因するメカニズムをより詳細に考察すると、以下のようなことが考えられる。
すなわち、粘着テープの粘着層は膜として柔軟な特性を有しており、外圧に対し様々な形態に変形させることが可能である。一方、粘着テープに設けた基材自身は高い剛性を有し、外圧に対する変形には自ずと制限がある。このことから、基材を有する粘着テープでは、段差に沿わせるために貼り付け方法を工夫しても、基材自体の変形に限界があるため、それに付随して粘着層の変形も制限され、隙間を全く無くすことが難しくなっているものと推測できる。
上記のような基材あり粘着テープで、基材の剛性に起因すると推測されるプリント時の筋状故障は、本発明に係る基材を有しない粘着テープを用いた場合は顕著に抑制することができた。これは、本発明に係る基材を有しない粘着テープでは、粘着層単一の構成であるため、外圧に対する変形が自在となり、ベルトへの貼り付け時には、無端搬送ベルトの接合部分においても、接合部分の段差に合わせて粘着層を任意に付与することができ、隙間を無くすことができたものと推測している。
本発明の搬送装置においては、接合型無端搬送ベルトの接合部分は、図9に示すように搬送方向に対し斜めに接合されていることが好ましい。これは図10に示すような接合型無端搬送ベルトの接合部分が、搬送方向に対して直角に近い状態で接合されている場合では、無端搬送ベルトが回転する際に、搬送ローラー上で無端搬送ベルトの接合部分の段差が乗り上げ、その後、滑り落ちるような状態になって連続的に搬送されるため、搬送装置全体に周期性のある振動をもたらす結果となる。このような搬送装置の振動は、布帛に画像記録を行う場合に、画質に重大な欠陥を与える要因となるため、接合型無端搬送ベルトの接合部は搬送方向に斜めに設計されることが好ましい形態となる。
この斜めの度合いは、搬送ローラー上で段差が乗り上げて一気に落ちることがない状態が好ましく、具体的には、図11に示すように、無端ベルトの結合部分の搬送方向に対する傾きをθとし、ベルト幅をLとし、前記粘着テープを設けた面とは反対側の面のベルト接合部の搬送方向における幅をdとし、該無端搬送ベルトと該搬送ローラー間の搬送方向におけるニップ幅をwとしたとき、下式(1)で規定する条件を満たすことが好ましい。
式(1)
Ltanθ>d+W
接合型無端搬送ベルトの接合部の形状を、上記式(1)で規定する条件とすることにより、ローラーへの段差の乗り上げと落下が無端搬送ベルト両端部のごく限られた領域となるため、生じる衝撃は著しく低減される。これに対し、Ltanθ≦d+Wとなる条件で作製された接合型無端搬送ベルトでは、無端搬送ベルトの幅のほぼ全域で、ローラーとベルト間に形成されるニップ上にベルト接合部分が乗り上げ、更に落下するため、発生する衝撃が大きくなり、その結果、これにより生じた振動が、画像形成時の印字安定性に影響を与える結果となる。
本発明の粘着性無端搬送ベルトは、特に、被記録物にインクを出射して画像記録するインクジェット記録方法で用いるインクジェットプリンターに適用することにより、より高い効果を得ることができる。すなわち、染料熱転写のようなインパクトプリントの場合は、布表面が版に接触し、版に沿ってなでつけられるので、本発明で問題としている白筋等は、全く見られないわけではなかったが、印刷する画像の種類によっては問題が小さくなっていた。しかしながら、インクジェットプリンターのようなノンインパクトプリントでは、搬送媒体の凸凹に沿って液滴が着弾するため、著しい画質の劣化として現れるため、本発明の粘着性無端搬送ベルトを被記録体の搬送装置に適用することにより、安定した画像形成をより効果的に行うことができる。
次いで、本発明の各構成要素の詳細について説明する。
はじめに、本発明に係る基材を有しない粘着テープについて説明する。
本発明に係る基材を含まない粘着テープは、図12に示すように、粘着層32が一対の剥離体31に挟まれた状態で構成されている。
この粘着層に用いられる粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、紫外線硬化型粘着剤などを挙げることができるが、少なくともシリコーンポリマーを含有することが好ましい。
アクリル系粘着剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体または他の共重合性モノマーとの共重合体が用いられる。更に、これらの共重合体を構成するモノマーもしくは共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、オクチルエステル、イソノニルエステル等)、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル(例えば、ヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシブチルエステル、ヒドロキシヘキシルエステル)、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N−ヒドロキシメチルアミド、(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキルエステル(例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート等)、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリルなどが挙げられる。主要成分のモノマーとしては、通常、ホモポリマーのガラス転移点が−50℃以下のアクリル酸アルキルエステルが使用される。
上記アクリル系重合体は、通常のラジカル重合で合成される。合成方法には特に制限はなく、例えば、溶液重合、塊状重合、乳化重合などの公知の重合法で行なうことができるが、反応のコントロールが容易であることや直接次の操作に移れることから溶液重合が好ましい。この場合、重合時の溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、セロソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチルなど、重合によって生成するアクリル系樹脂を溶解し得るものであれば得意制限はなく、単独でも、複数の溶媒を混合してもよい。また、重合反応の際に使用される重合開始剤も、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系開始剤など公知のものであれば、特に制限はない。
アクリル系粘着剤の硬化剤としては、例えば、イソシアネート系、エポキシ系、アリジリン系硬化剤が利用できる。イソシアネート系硬化剤では、長期保存後も安定した粘着力を得ることと、より硬い粘着層とする目的で、トルイレンジイソシアネート(TDI)等の芳香族系のタイプを好ましく用いることができる。更に、この粘着剤には、添加剤として、例えば、安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤を含有させることもできる。
また、再剥離性を付与させるため、あるいは粘着力を低く安定に維持するために、それらの成分が相手基材に移行しない程度に、ワックス等の有機樹脂、シリコーン、フッ素等の低表面エネルギーを有する成分を添加しても良い。例えば、ワックス等の有機樹脂では、高級脂肪酸エステルや低分子のフタル酸エステルを用いても良い。
ゴム系粘着剤としては、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴムとこれらの混合物、或いは、これらゴム系粘着剤にアビエチン酸ロジンエステル、テルペン・フェノール共重合体、テルペン・インデン共重合体などの粘着付与剤を配合したものが用いられる。
ゴム系粘着剤のベースポリマーとしては、例えば、天然ゴム、イソプレン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、再生ゴム、ポリイソブチレン系ゴム、更にはスチレン−イソプレン−スチレン系ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン系ゴム等が挙げられる。
中でも、ブロックゴム系粘着剤は、一般式A−B−Aで表されるブロック共重合体や一般式A−Bで表されるブロック共重合体(但し、Aはスチレン系重合体ブロック、Bはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、またはそれらを水素添加して得られるオレフィン重合体ブロックであり、以下、スチレン系熱可塑性エラストマーという)を主体に、粘着付与樹脂、軟化剤などが配合された組成物が挙げられる。
上記ブロックゴム系粘着剤において、スチレン系重合体ブロックAは平均分子量が4,000〜120,000程度のものが好ましく、更に10,000〜60,000程度のものがより好ましい。そのガラス転移温度は15℃以上のものが好ましい。また、ブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロックまたはこれらを水素添加して得られるオレフィン重合体ブロックBは、平均分子量が30,000〜400,000程度のものが好ましく、更に60,000〜200,000程度のものがより好ましい。そのガラス転移温度は−15℃以下のものが好ましい。上記A成分とB成分との好ましい質量比はA/B=5/95〜50/50であり、更に好ましくはA/B=10/90〜30/70である。A/Bの値が、50/50を超えると常温においてポリマーのゴム弾性が小さくなり、粘着性が発現しにくくなり、5/95未満ではスチレンドメインが疎になり、凝集力が不足し、所望の接着力が得られないばかりか、剥離時に接着層がちぎれてしまう等の不具合が見られる。
更に、上記粘着剤に、ポリオレフィン系樹脂を添加することにより、剥離紙もしくは剥離フィルムからの離型性を向上することができる。このポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−n−ブチルアクリレート共重合体及びこれらの混合物が挙げられる。
このポリオレフィン系樹脂は、低分子量分が少ないことが好ましく、具体的には、n−ペンタンによる沸点乾留で抽出される低分子量分が1.0質量%未満であることが好ましい。低分子量分が1.0質量%を超えて存在すると、この低分子量分が温度変化や経時変化に応じて、粘着特性に悪影響を及ぼし、粘着力を低下させるからである。
また、その配合量は、上記ポリイソブチレン系エラストマー乃至スチレン系熱可塑性エラストマー100質量部に対し、100質量部以下程度が好ましく、より好ましくは10〜50質量部である。配合量が50質量部を超えると粘着剤の粘着性の発現を阻害する。
また、上記粘着剤には、シリコーンオイルを添加することにより、ポリビニルアルコールを主成分とする塗膜が設けられた自背面との親和性を更に低下せしめることができる。このシリコーンオイルはポリアルコキシシロキサン鎖を主鎖にもつ高分子化合物で、粘着層の疎水性を高め、更に接着界面、即ち、粘着層表面にブリードするため、粘着剤の接着力を抑制し、接着昂進現象が起き難くする働きがある。シリコーンオイルの分子量は、1,000〜100,000程度が好ましく、更に好ましくは、10,000〜50,000である。分子量が100,000を超えると、ポリイソブチレン系エラストマー乃至スチレン系熱可塑性エラストマーとの相溶性が不足し、分離もしくは白濁を起こし、粘着力に許容しがたいムラが生じる、1,000未満では、接着界面への低分子量成分のブリードが多くなり、粘着力が大幅に低下する。また、その配合量は、上記ポリイソブチレン系エラストマー乃至スチレン系熱可塑性エラストマー100質量部に対し、2質量部以下程度が好ましく、より好ましくは1質量部以下である。配合量が2質量部を超えると粘着剤の所望の粘着力が得られない。
また、上記粘着剤には、上記シリコーンオイルに代えて、高級アルキル基を導入したポリエチレンイミンを用いても同様の効果が得られる。上記高級アルキル基を導入したポリエチレンイミンは、高級アルキル基の導入によって、疎水性となったポリマーであり、その分子量は、1,000〜40,000程度のものが好ましい。また、アルキル基は、ポリエチレンイミンのイミノ基に対し、0.5〜1.0当量、好ましくは、0.7〜1.0当量結合しているものが好ましく、高級アルキル基としては、炭素数12以上のアルキル基が好ましく、特に、オクタデシル基が好適に使用される。ポリエチレンイミンに高級アルキル基を導入するには、例えば、ポリエチレンイミンに過剰の高級アルキルイソシアネートを加え、加熱、攪拌下に、付加反応を行う方法が採られる。
高級アルキル基を導入したポリエチレンイミンの配合量は、上記ポリイソブチレン系エラストマー乃至スチレン系熱可塑性エラストマー100質量部に対し、5質量部以下程度であり、好ましくは3質量部以下である。高級アルキル基を導入したポリエチレンイミンの配合量が5質量部を超えると、粘着層の表面に多量にブリードアウトして、被着体が汚染される。
本発明で使用される粘着付与樹脂は、上記ポリイソブチレン系エラストマー乃至スチレン系熱可塑性エラストマーと選択的に相溶するものであれば任意に選ばれる。例えば、脂肪族系石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン・インデン樹脂、芳香族系石油樹脂、ロジン樹脂、脂環族系石油樹脂等が好適に用いられる。粘着付与樹脂の配合量は、上記ポリイソブチレン系エラストマー乃至スチレン系熱可塑性エラストマー100質量部に対し、10〜200質量部であり、好ましくは、20〜150質量部であり、更に好ましくは、30〜100質量部である。その配合量が10質量部未満では、粘着性が発現され難く、逆に、200質量部を超えると、凝集力が小さくなり、被着体に糊残りする。
本発明における粘着剤には、上記の他、必要に応じて、酸化防止剤などの安定剤が添加されてもよく、例えば、酸化防止剤である「イルガノクス1010」(チバガイギー社製)は熱劣化に対して効果がある。
本発明では上記ゴム系粘着剤に、架橋剤を添加し架橋することで粘着層とする。
架橋剤としては、例えば、天然ゴム系粘着剤の架橋には、イオウと加硫助剤および加硫促進剤(代表的なものとして、ジブチルチオカーバメイト亜鉛など)が使用される。天然ゴムおよびカルボン酸共重合ポリイソプレンを原料とした粘着剤を室温で架橋可能な架橋剤として、ポリイソシアネート類が使用される。ブチルゴムおよび天然ゴムなどの架橋剤に耐熱性と非汚染性の特色がある架橋剤として、ポリアルキルフェノール樹脂類が使用される。ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムおよび天然ゴムを原料とした粘着剤の架橋に有機過酸化物、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどがあり、非汚染性の粘着剤が得られる。架橋助剤として、多官能メタクリルエステル類を使用する。その他紫外線架橋、電子線架橋などの架橋による粘着剤の形成がある。
また、本発明に係る粘着層においては、シリコーン系粘着剤としては付加反応硬化型シリコーン粘着剤と縮重合硬化型シリコーン粘着剤があるが、本発明では付加反応硬化型が好ましく用いられる。
付加反応硬化型シリコーン粘着剤組成物の組成としては、以下に挙げるものが好適に用いられる。
(A)1分子中に2個以上のアルケニル基を有するポリジオルガノシロキサン
(B)SiH基を含有するポリオルガノシロキサン
(C)制御剤
(D)白金触媒
(E)導電性微粒子
ここで、(A)成分は、1分子中に2個以上のアルケニル基を有するポリジオルガノシロキサンであり、このようなアルケニル基含有ポリジオルガノシロキサンとしては、下記一般式(1)で示されるものが例示できる。
一般式(1)
(3-a)aSiO−(RXSiO)m−(R2SiO)n−(RXSiO)p−R(3-a)XaSiO
一般式(1)において、Rは炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、Xはアルケニル基含有の有機基である。aは0〜3の整数で1が好ましく、mは0以上であるが、a=0の場合、mは2以上であり、m及びnは、それぞれ100≦m+n≦20,000を満足する数であり、pは2以上である。
Rは炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基、トリル基などのアリール基などが挙げられるが、特にメチル基、フェニル基が好ましい。
Xはアルケニル基含有の有機基で炭素数2〜10のものが好ましく、具体的にはビニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、アクリロイルプロピル基、アクリロイルメチル基、メタクリロイルプロピル基、シクロヘキセニルエチル基、ビニルオキシプロピル基等が挙げられるが、特にビニル基、ヘキセニル基などが好ましい。
このポリジオルガノシロキサンの性状は、オイル状、生ゴム状であればよく、(A)成分の粘度は、25℃において100mPa・s以上、特に1,000mPa・s以上が好ましい。なお、上限としては、特に限定されないが、他成分との混合の容易さから、重合度が20,000以下となるように選定することが好ましい。また、(A)成分は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
(B)成分であるSiH基を含有するポリオルガノシロキサンは架橋剤であり、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個、好ましくは3個以上有するオルガノヒドロポリシロキサンで、直鎖状、分岐状、環状のものなどを使用することができる。
(B)成分としては、下記一般式(2)で表される化合物を挙げることができるが、これらのものには限定されない。
一般式(2)
b1 (3-b)SiO−(HR1SiO)x−(R1 2SiO)y−SiR1 (3-b)b
一般式(2)において、R1は炭素数1〜6の脂肪族不飽和結合を含有しない1価炭化水素基である。bは0〜3の整数、x、yはそれぞれ整数であり、このオルガノヒドロポリシロキサンの25℃における粘度が1〜5,000mPa・sとなる数を示す。
このオルガノヒドロポリシロキサンの25℃における粘度は、1〜5,000mPa・s、特に5〜1000mPa・sであることが好ましく、また2種以上の混合物でもよい。
付加反応による架橋は、(A)成分と架橋剤の(B)成分の間で生じ、硬化後の粘着層のゲル分率は架橋成分の割合によって決まる
(B)成分の使用量は、(A)成分中のアルケニル基に対する(B)成分中のSiH基のモル比が0.5〜20、特に0.8〜15の範囲となるように配合することが好ましい。0.5未満では架橋密度が低くなり、これにともない保持力が低くなることがある。一方で、20を越えると粘着力及びタックが低下したり、処理液の使用可能時間が短くなる場合がある。
また、耐熱保持力などの耐熱性や溶剤浸透抑制などの耐溶媒性を向上させるためには、組成物中の架橋成分の割合を増やせばよいが、過剰に増やすと粘着力の低下や膜の柔軟性が低下するなどの影響が発生する場合がある。このような点から、(A)/(B)成分の配合質量比は20/80〜80/20とすればよく、特に45/55〜70/30とすることが好ましい。(A)成分の配合割合が20/80より少ないと、粘着力、タックなどの粘着特性が低下することがあり、また、80/20より多いと十分な耐熱性が得られない。
(C)成分は付加反応制御剤であり、シリコーン粘着剤組成物を調合し、基材に塗工する際、加熱硬化の以前に処理液が増粘やゲル化をおこさないようにするために添加するものである。
(C)成分の具体例としては、
3−メチル−1−ブチン−3−オール、
3−メチル−1−ペンチン−3−オール、
3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、
1−エチニルシクロヘキサノール、
3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ブチン、
3−メチル−3−トリメチルシロキシ−1−ペンチン、
3,5−ジメチル−3−トリメチルシロキシ−1−ヘキシン、
1−エチニル−1−トリメチルシロキシシクロヘキサン、
ビス(2,2−ジメチル−3−ブチノキシ)ジメチルシラン、
1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、
1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン
などが挙げられる。
(C)成分の配合量は、(A)及び(B)成分の合計100質量部に対して0〜5.0質量部の範囲であることが好ましく、特に0.05〜2.0質量部が好ましい。5.0質量部を越えると硬化性が低下することがある。
(D)成分は白金系触媒であり、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とアルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン化合物との反応物、塩化白金酸とビニル基含有シロキサンとの反応物などが挙げられる。
(D)成分の添加量は、(A)及び(B)成分の合計量に対し、白金分として1〜5,000ppm、特に5〜2,000ppmとすることが好ましい。1ppm未満では硬化性が低下し、架橋密度が低くなり、保持力が低下することがあり、5,000ppmを越えると処理浴の使用可能時間が短くなる場合がある。
上記の付加反応硬化型シリコーン粘着剤に、帯電防止等の目的で(E)成分の導電性微粒子を添加してもよい。具体的には、銀粉、銅粉、金粉、ニッケル粉、アルミニウム粉、鉄粉、はんだ粉等の金属粉、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、ポリアセチレンなどの導電性樹脂、更に中空ガラスビーズ、シリカ、酸化チタン等の無機粒子やポリアクリレート、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂粒子の表面を金属メッキした銀メッキシリカ、金メッキシリカ、金メッキガラスビーズ、銀メッキポリアクリレート微粒子などの導電化粒子が挙げられる。その中でも銀粉、銅粉、カーボンブラック、金メッキシリカ、銀メッキシリカが好ましい。
(E)成分の導電性微粒子の形状は、球状、樹枝状、針状など特に制限はない。また、粒径は特に制限はないが、最大粒径が粘着剤の塗工厚みの1.5倍を越えないことが好ましく、これを越えると粘着剤塗工表面に導電性微粒子の突出が大きくなりすぎて、この部分を起点に被着体からの浮きなどが発生しやすくなる。
本発明において、導電性シリコーン粘着剤組成物に使用する導電性粒子が銀粉の場合、平均粒径は0.1〜150μm、好ましくは0.15〜80μmである。平均粒径が0.1μm未満の場合は、導電性が極端に低下するため好ましくなく、150μmを超える場合には、良好な接着性が得られないために好ましくない。
(E)成分の添加量は、(A)及び(B)成分の合計/(E)成分の比が97/3〜50/50とすることが好ましい。(E)成分の配合割合が97/3より少ないと十分な導電性が得られない。50/50より多いと粘着力が小さくなるなど粘着特性が低下することがある。
本発明に係るシリコーン粘着剤組成物には、上記各成分以外に任意成分を添加することができる。例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルジフェニルシロキサンなどの非反応性のポリオルガノシロキサン、塗工の際の粘度を下げるためのトルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、ヘキサン、オクタン、イソパラフィンなどの脂肪族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶剤、またはこれらの混合溶剤、酸化防止剤、染料、顔料などが挙げられる。なお、通常、組成物の粘度を下げ、塗工を容易にするために溶剤が使用される。
上記のように配合されたシリコーン粘着剤組成物を、種々の基材に塗工し、所定の条件にて硬化させることにより、粘着層を得ることができる。
また、ウレタン粘着剤として好ましくは、ウレタン系粘着剤をポリイソシアネート系架橋剤で架橋させた二液硬化型ウレタン系粘着剤等が挙げられる。
ウレタン系粘着剤としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールと、ポリイソシアネート系架橋剤とを触媒を用いて反応させた分子量10,000〜300,000のポリウレタンポリオールに、ポリイソシアネート系架橋剤を配合した溶剤型ウレタン系粘着剤が好ましく用いられる。この粘着剤は、更にポリイソシアネート系架橋剤によって架橋されて粘着層を形成する。
また、ポリイソシアネート系架橋剤としては、公知の芳香族ポリイソシアネート、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。これらの架橋剤はウレタン系粘着剤の架橋密度を適切にコントロールすることができ、安定した剥離性を得られることが望ましい。
ポリイソシアネート系架橋剤の中でも、架橋反応の早いイソシアヌレート環を有する多官能ポリイソシアネート化合物を架橋剤として用いて、ウレタン系粘着剤を架橋して形成することも好ましく、例えば、多官能ポリイソシアネート化合物の三量体からなるイソシアヌレート環を少なくとも1個有するポリイソシアネート系架橋剤が好ましく用いられる。
本発明において、ウレタン系粘着剤に対するポリイソシアネート架橋剤の添加量は、ウレタン系粘着剤固形分100質量部に対して固形分1.5〜11質量部が好ましく、より好ましくは2〜10質量部である。ちなみに、1.5質量部未満では、架橋度が不十分で、凝集力が弱く、剥離時に粘着層がちぎれてしまう。一方、11質量部を超えると、架橋度が高くなり過ぎ、粘着力が低下する、もしくは、架橋剤が飽和状態となり、架橋を密度が低下することで凝集力が低下し、剥離時の粘着層のちぎれが発生することがある。
また、紫外線硬化型粘着剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体または共重合性モノマーとの共重合体(アクリル系ポリマー)と、紫外線硬化成分(例えば、アクリル系ポリマーの側鎖に炭素−炭素二重結合を付加させる成分)および光重合開始剤と、必要に応じて架橋剤、粘着付与剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などの慣用の添加剤を加えたものが用いられる。
紫外線硬化成分としては、分子中に炭素−炭素二重結合を有しラジカル重合により硬化可能なモノマー、ダイマー、オリゴマー、ポリマーであればよく、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル;エステルアクリレートオリゴマー、2−プロペニルジ−3−ブテニルシアヌレート、2−ヒドロキシエチルビス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートまたはイソシアヌレート化合物などが挙げられる。なお、アクリル系ポリマーとして、ポリマー側鎖に炭素−炭素二重結合を有する紫外線硬化型ポリマーを使用する場合においては、特に上記の紫外線硬化成分を加える必要はない。
前記の重合開始剤としては、その重合反応のきっかけとなり得る適当な波長の紫外線を照射することにより開裂し、ラジカルを生成する物質であればよく、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類;ベンジル、ベンゾイル、ベンゾフェン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどの芳香族ケトン類、ベンジルジメチルケタールなどの芳香族ケタール類;ポリビニルベンゾフェノン;クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン類などを挙げることができる。なお、前記架橋剤には、例えば、ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミン、カルボキシル基含有ポリマーなどが含まれる。
以上の粘着剤の形態としては、溶剤型、エマルジョン型、ホットメルト型等が使用され、一般的には溶剤型、エマルジョン型のものが利用される。また、必要に応じて他の助剤を添加混合し、塗工液として作製することができる。他の助剤としては、減粘剤、増粘剤、pH調整剤、消泡剤、防腐防黴、顔料、無機充填剤、安定剤、濡れ剤、湿潤剤等を挙げることができる。
次に、粘着剤が塗布され、狭持される剥離体である剥離フィルムもしくは剥離紙に関して説明する。
ここで剥離フィルム、もしくは剥離紙は、粘着層を形成する際の基材であり、同時に粘着剤を保存する際に塵や埃などの異物から粘着層を保護する基材でもある。剥離フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート等の各種樹脂からなるフィルムを基材とし、この基材の粘着層との片面もしくは両面に、離型処理(シリコーン処理等)が施されたものなどが挙げられる。剥離フィルムの具体例も、基材が紙となった以外は剥離フィルムと同様である。
剥離フィルム及び剥離紙を製造するための、離型処理を施すための塗布液の具体例を挙げると、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製のDEHESIVEシリーズのうち、無溶剤型の636、919、920、921、924、エマルジョン型の929、430、440、39005、39006、溶剤型の940、942、952、953、811等が、GE東芝シリコーン株式会社製の剥離紙用シリコーン:TPR6500、TPR6501、UV9300、UV9315、XS56−A2775、XS56−A2982、TPR6600、TPR6605、TPR6604、TPR6705、TPR6722、TPR6721、TPR6702、XS56−B3884、XS56−A8012、XS56−B2654、TPR6700 、TPR6701、TPR6707、TPR6710、TPR6712、XS56−A3969、XS56−A3075、YSR3022等が挙げられる。
剥離フィルム及び剥離紙は、一般的に所望の粘着剤に合わせて離型処理剤を選択するので、一般的な市販品という物はあまりないが、本発明に用いることができる剥離フィルム並びに剥離紙の具体例を挙げると、剥離フィルムとしては、帝人デュポンフィルム株式会社製 A50ライナー、剥離紙としては、株式会社 巴川製紙製 レリーズ等がある。
剥離紙上への粘着層の塗工は、ロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、グラビアコーター、リバースコーター、ダイコーター、リップコーター、スプレーコーター、コンマコーター等により行われ、必要によりスムージングや、乾燥、加熱、紫外線等電子線露光工程等を経て、粘着層が形成される。
これら粘着層の厚さは、粘着剤の種類にもよるが、通常は3〜100μm、好ましくは5〜60μm程度である。
また、本発明に適用可能な基材無しの両面粘着テープの一般的な市販品として例を挙げると、Adhesives Research社製:ARclear 8932、ARclad 7876、株式会社 寺岡製作所製:No.7470等が、基材なしアクリル粘着テープとしては、日東電工株式会社製:No.591、LA−50、LA−100、No.5915、HJ−9210、No.5919M、HJ−9150W、CS9621、No.595B、Adhesives Research社製 ARclear 8154、ARclear 8796、ARclear 8957、株式会社 寺岡製作所製:No.7021等が挙げられる。
本発明に係る基材無し粘着テープを、無端搬送部材に貼り付け、粘着無端搬送ベルトを作成する方法としては、例えば、無端搬送部材である無端ベルト上に、片方の面の剥離体を剥がした基材無し粘着テープの粘着面を貼り付ける。次いで、もう一方の面の剥離体を剥がし、粘着面を露出させることで形成することができる。
本発明に係る搬送ベルトの材質としては、単膜により形成されているフィルム状材料と、フィルム中もしくは外側に芯材を設置したものがある。
フィルムを形成する素材としては、例えば、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィン、シリコーン、テフロン(登録商標)等のプラスチック材料が用いられ、本発明では特にインクによる汚染防止の観点から、テフロン(登録商標)より構成される搬送ベルトが好ましい。
また、フィルム基材の芯材を構成する材料としては、金属、合成繊維等が挙げられ、合成繊維としてはガラス繊維、アラミド繊維等が挙げられる。本発明では、基材の柔軟性と耐久性の観点からはガラス繊維が好ましく、更に搬送時の搬送ローラーとの摩擦を防ぐ目的で表面にテフロン(登録商標)処理をすることが好ましい。該テフロン(登録商標)処理は、テフロン(登録商標)分散液中にガラス繊維ベルトを浸漬し、引き上げた後に400℃で15分間加熱することでガラス繊維上にテフロン(登録商標)を溶着させた搬送ベルトを得ることができる。
本発明に係る接合型無端搬送ベルトには、継ぎ目である接合部が存在する。継ぎ目部分にはベルト基材と類似した組成の素材を適用することが好ましい。本発明で特に好ましく用いられるテフロン(登録商標)ベルトでは、継ぎ目部分にPFAフィルムを挟み込み、300〜400℃で熱融着させることでつなぎ目部分を形成することが好ましく、つなぎ目部分に用いるフィルム厚は10〜200μmが好ましく、最も好ましくは20〜100μmである。
本発明で好ましく用いられる無端搬送ベルトは、市販品として入手することも可能であり、例えば、中興化成工業社製のテフロン(登録商標)ベルト等が挙げられる
次いで、本発明の粘着性無端搬送ベルトを有する搬送装置を用いたインクジェットプリンターの概要について、インクジェット捺染プリンターを一例として説明する。
図13は、本発明の粘着性無端搬送ベルトを適用することのできるインクジェットプリンターの実施形態の一例を示す模式図である。
以下、図13を用いて本発明のインクジェットプリンターの概略構成について説明するが、本発明が適用可能なインクジェットプリンターは、以下のような構成に限定されるものではなく、産業用インクジェット記録手段という観点から、当業者が容易に考えられる如何なる構成上の変更あるいは構成要素を付加することも可能である。
図13に示すように、本発明のインクジェットプリンターPにおける被記録物であるプリント媒体は適宜な布帛51であって、ロール状積層物50として巻かれている。ロール状積層物から布帛51が搬出され、中間ローラ53、54、及びテンションローラ52を介して、粘着性無端搬送ベルト59の表面に、印圧ローラ55によって押しつけられて固定される。固定された布帛51は、矢印で示される搬送方向に搬送されて、プラテンローラ57間の領域内において、インクジェットプリントヘッド56を有するプリンタ部によってインクが付与されてプリントされる。
プリントされた布帛51は、布剥がし用の爪60によって、粘着性無端搬送ベルト59から剥離され、乾燥ヒータ64により乾燥処理が施される。乾燥ヒータ64としては、温風を布帛51に対して吹付けるものや、赤外線を照射して乾燥するもの等、その他、適宜な形態のものを選択して用いることができる。乾燥後、巻取ローラ66によって巻取られる。
布帛搬送部材Sは、搬送ローラ58と、これら搬送ローラ58間に巻回された搬送手段である無端ベルト形態の搬送ベルト59と、布帛51の被捺染面を平坦に規制する一対のプラテンローラ57とを有している。搬送ベルト59は、布剥がし用の爪60の部位において布帛51が剥離された後に、クリーニング部材61でインクが粗く拭い取られる。次いで、クリーニング部材62において、水で洗浄され、ふき取り部材63で水分が拭き取られた後に、再び布貼付ローラ55によって布帛51が粘着、固定されて、プリンタ部によって印捺されることを繰り返すことで、連続的に布帛51に絵柄等を記録する装置である。
この時、印字された布帛は、十分な乾燥をしながら、巻き取られることが望ましい。特に20〜100mにもなる長尺の布帛に長時間印字し続ける場合などは、印字された布帛が延々と排出されてくるため、印字した布帛が床などに重なっていき場所をとる。これを巻き取らなければ作業上不安全であり、かつ予期せず汚れてしまうおそれがある。そのために印字後、巻き取る操作が必要となる。この操作時に布帛と布帛の間に紙や布、ビニール等の印字に関わらない媒体を挟んで裏写りを防止してもかまわない。もちろん、途中で切断する場合や短い布帛に対しては必ずしも巻き取る必要はない。
本発明においては、上記のような構成からなるインクジェットプリンターにおいて、搬送装置が、結合部分を有する無端ベルトの表面に、粘着テープを付与して粘着層を設けた粘着性無端搬送ベルトであって、該無端ベルトの結合部分の段差が10μm以上、200μm以下であり、かつ該粘着テープが基材を有しない両面粘着テープである粘着性無端搬送ベルトを用いることを特徴とする。
次に、本発明のインクジェットプリンターを適用する被記録体、インク及び代表例としてインクジェット捺染プロセスについて説明する。
本発明のインクジェットプリンターで画像印字する際に用いる被記録物としては、特に制限はないが、本発明の効果をいかんなく発揮できる観点から布帛を用いることが好ましい。
本発明で好ましく用いることのできる布帛の素材としては、綿、麻、羊毛、絹、レーヨン、キュプラ、ポリノジック、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ビニロン、及びこれらの混紡が挙げられる。
布帛は、通常、捺染物作製者が目的とする布の風合いが得られる様に、糸の種類、糸の太さ、織り方、混紡比率等を適宜選択して作製するケースが多く、従って、一般的な製品はないが、色染社の試験用繊維から例を挙げると、綿では金巾、ブロード、ツイル、サテン、ニット スムース、ポンチローマ、ネル、帆布等が、麻では(ラミー)ブロード等が、羊毛ではモスリン、トロピカル、サージ等が、絹では羽二重、精華パレス等が、レーヨンではタフタ、スフモスリン、フジエット等が、キュプラはタフタ等が、ポリノジックはブロード等が、テンセルでは平織等が、リヨセルでは平織等が、ジアセテートではタフタ等が、ポリエステルではタフタ、トロピカル、アムンゼン、紡績糸織物 テトレックス、ジョーゼット、クレープ・デシン、紗、ジャージー、ダブルピケ、カーシート等が、新合繊ではトレシー、サミア等が、カチオン可染型ポリエステルではニットスムース等が、ナイロン6ではタフタ、紗、ジャージー等が、ナイロン66ではジャージー等が、アクリルではモスリン、ジャージー等が、ビニロンではブロード等が、混紡ではポリエステル65/綿35ブロード、ポリエステル65/綿35ツイル、ポリエステル50/綿50ニットスムース、ポリエステル65/レーヨン35平織等が、交編ではポリウレタン20/ポリエステル80ニット等が、マルチファイバークロスではAATCC Style 1,10、SDC等が挙げられる。
本発明に係るインクジェット捺染方法の場合、均一な染色物を得るために、水溶性高分子類を布帛に前処理する前に、布帛繊維に付着した天然不純物(油脂、ロウ、ペクチン質、天然色素等)、布帛製造過程で用いた薬剤の残留分(のり剤等)、よごれなどを洗浄しておくことが望ましい。洗浄に用いられる洗浄剤としては水酸化ナトリウム,炭酸ナトリウムといったアルカリ剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤といった界面活性剤、酵素等が用いられる。
本発明に係るインクジェット捺染方法においては、インクジェット方式により前処理液を布帛に付与し(前処理工程)、その後、分散染料あるいは顔料で染色することが可能な繊維が含有されている布帛上に、インクを用いてインクジェット方式で画像を形成した後(インク付与工程)、インクが付与されている布帛を熱処理し(発色工程)、更に熱処理された布帛を洗浄すること(洗浄工程)によって布帛への捺染が完了し、捺染物が得られる。
本発明に係る前処理工程は、にじみ防止効果付与を目的とし、前処理剤をパッド法、コーティング法、スプレー法などで付与せしめるのが好ましい。
前処理方法としては、水溶性高分子類を布帛に前処理するなどの公知の方法から繊維素材やインクに適した方法を適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。例えば、水溶性金属塩、ポリカチオン化合物、水溶性高分子、界面活性剤及び撥水剤からなる群から選ばれる少なくとも1つの物質が0.2〜50質量%付与された布帛に対して使用すれば、高度なにじみ防止が可能であり、高精細な画像を布帛にプリントすることができ好ましい。
前処理剤として使用される具体的な水溶性高分子の例をあげる。天然水溶性高分子としては、トウモロコシ、小麦等のデンプン類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチセルロースなどのセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、グアーガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、アラビアゴムなどの多糖類、ゼラチン、カゼイン、ケラチン等の蛋白質物質、合成水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリル酸系ポリマなどを用いることができる。界面活性剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、両性、ノニオン系のものが使用され、代表的には、アニオン系の界面活性剤としては、高級アルコール硫酸エステル塩、ナフタレン誘導体のスルホン酸塩等;カチオン系の界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩等;両性界面活性剤としては、イミダゾリン誘導体等;ノニオン系の界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物等;が挙げられる。また、撥水剤としては、例えば、シリコン、フッ素系及びワックス系のものが挙げられる。これらの、あらかじめ布帛に付与される水溶性高分子や界面活性剤は、インクジェットプリントをし、高温で発色させる際に、タール化などによるよごれの原因とならないために、高温環境に対して安定であることが好ましい。また、これらの、あらかじめ布帛に付与される水溶性高分子や界面活性剤は、インクジェットプリントをし、高温で発色させた後の洗浄処理で、布帛から取り除きやすいものが好ましい。
また、後述の高温蒸熱法で染色する際に用いる捺染用インクジェットインクまたは捺染プリントに使用する布帛には、染着助剤が含まれていることが好ましい。
染着助剤は、捺染布を蒸熱する際に、布状に凝縮した水と共融混合物を作り、再蒸発する水分の量を抑え、昇温時間を短縮する作用がある。更に、この共融混合物は、繊維上の染料を溶解し染料の繊維への拡散速度を助長する作用がある。染着助剤としては尿素が挙げられる。この染着助剤は事前に布帛に付与しておいても良いし、前記前処理液に含有させておいても良い。
前処理液においては、液体中に含まれる溶存気体が、その印刷物の解像度や鮮明さを損なったり、微細な気泡発生を引き起こす要因となる。液体中から溶存気体を脱気する方法としては、大きく分けて、煮沸や減圧等の物理的方法により脱気する方法と、吸収剤を液体中に混入させる化学的方法とがある。本発明においては、いかなる手段にて脱気を行うことは可能である。特に、気体透過性のある中空糸膜内に液体を通液し、中空糸膜の外表面側を減圧することにより、液体中の溶存気体を透過、除去する方法は、液体の物性に悪影響を与えずに効率よく液体中の溶存気体を除去することができ、好ましい。
次いで、本発明に係るインクジェット捺染方法に用いられるインクについて説明する。
本発明におけるインクは、少なくとも色材、水溶性有機溶媒、水を含む。色材としては、例えば、分散染料、反応性染料、酸性染料、直接染料、顔料、油溶性染料などを挙げることができるが、その中でも、分散染料を用いることが好ましい。
以下に、本発明に好まし用いられる色材の具体的化合物を示すが、本発明はこれら例示した化合物に限定されるものではない。
本発明に好ましく用いられる分散染料としては、
C.I.Disperse Yellow;3、4、5、7、9、13、23、24、30、33、34、42、44、49、50、51、54、56、58、60、63、64、66、68、71、74、76、79、82、83、85、86、88、90、91、93、98、99、100、104、108、114、116、118、119、122、124、126、135、140、141、149、160、162、163、164、165、179、180、182、183、184、186、192、198、199、202、204、210、211、215、216、218、224、227、231、232、
C.I.Disperse Orange;1、3、5、7、11、13、17、20、21、25、29、30、31、32、33、37、38、42、43、44、45、46、47、48、49、50、53、54、55、56、57、58、59、61、66、71、73、76、78、80、89、90、91、93、96、97、119、127、130、139、142、
C.I.Disperse Red;1、4、5、7、11、12、13、15、17、27、43、44、50、52、53、54、55、56、58、59、60、65、72、73、74、75、76、78、81、82、86、88、90、91、92、93、96、103、105、106、107、108、110、111、113、117、118、121、122、126、127、128、131、132、134、135、137、143、145、146、151、152、153、154、157、159、164、167、169、177、179、181、183、184、185、188、189、190、191、192、200、201、202、203、205、206、207、210、221、224、225、227、229、239、240、257、258、277、278、279、281、288、298、302、303、310、311、312、320、324、328、
C.I.Disperse Violet;1、4、8、23、26、27、28、31、33、35、36、38、40、43、46、48、50、51、52、56、57、59、61、63、69、77、
C.I.Disperse Green;9、
C.I.Disperse Brown;1、2、4、9、13、19、
C.I.Disperse Blue;3、7、9、14、16、19、20、26、27、35、43、44、54、55、56、58、60、62、64、71、72、73、75、79、81、82、83、87、91、93、94、95、96、102、106、108、112、113、115、118、120、122、125、128、130、139、141、142、143、146、148、149、153、154、158、165、167、167:1、171、173、174、176、181、183、185、186、187、189、197、198、200、201、205、207、211、214、224、225、257、259、267、268、270、284、285、287、288、291、293、295、297、301、315、330、333、
C.I.Disperse Black 1、3、10、24、
等が挙げられる。
分散染料を用いたインクジェット捺染方法においては、高温処理で発色させる場合は、機械や布地の白場に染料が昇華することで汚染の原因とならないために、昇華堅牢度のよい分散染料を選定することが好ましい。
本発明に好ましく用いられる反応性染料としては、
C.I.Reactive Yellow;2、3、7、15、17、18、22、23、24、25、27、37、39、42、57、69、76、81、84、85、86、87、92、95、102、105、111、125、135、136、137、142、143、145、151、160、161、165、167、168、175、176、
C.I.Reactive Orange;1、4、5、7、11、12、13、15、16、20、30、35、56、64、67、69、70、72、74、82、84、86、87、91、92、93、95、107、
C.I.Reactive Red;2、3、3:1、5、8、11、21、22、23、24、28、29、31、33、35、43、45、49、55、56、58、65、66、78、83、84、106、111、112、113、114、116、120、123、124、128、130、136、141、147、158、159、171、174、180、183、184、187、190、193、194、195、198、218、220、222、223、226、228、235、
C.I.Reactive Violet;1、2、4、5、6、22、23、33、36、38、
C.I.Reactive Blue;2、3、4、7、13、14、15、19、21、25、27、28、29、38、39、41、49、50、52、63、69、71、72、77、79、89、104、109、112、113、114、116、119、120、122、137、140、143、147、160、161、162、163、168、171、176、182、184、191、194、195、198、203、204、207、209、211、214、220、221、222、231、235、236、
C.I.Reactive Green;8、12、15、19、21、
C.I.Reactive Brown;2、7、9、10、11、17、18、19、21、23、31、37、43、46、
C.I.Reactive Black 5、8、13、14、31、34、39、
等が挙げられる。
本発明にに好ましく用いられる酸性染料としては、
C.I.Acid Yellow;1、3、11、17、18、19、23、25、36、38、40、40:1、42、44、49、59、59:1、61、65、67、72、73、79、99、104、110、159、169、176、184、193、200、204、207、215、219、219:1、220、230、232、235、241、242、246、
C.I.Acid Orange;3、7、8、10、19、22、24、51、51S、56、67、74、80、86、87、88、89、94、95、107、108、116、122、127、140、142、144、149、152、156、162、166、168、
C.I.Acid Red;1、6、8、9、13、18、27、35、37、52、54、57、73、82、88、97、97:1、106、111、114、118、119、127、131、138、143、145、151、183、195、198、211、215、217、225、226、249、251、254、256、257、260、261、265、266、274、276、277、289、296、299、315、318、336、337、357、359、361、362、364、366、399、407、415、
C.I.Acid Violet;17、19、21、42、43、47、48、49、54、66、78、90、97、102、109、126、
C.I.Acid Blue;1、7、9、15、23、25、40、61:1、62、72、74、80、83、90、92、103、104、112、113、114、120、127、127:1、128、129、138、140、142、156、158、171、182、185、193、199、201、203、204、205、207、209、220、221、224、225、229、230、239、258、260、264、277:1、278、279、280、284、290、296、298、300、317、324、333、335、338、342、350、
C.I.Acid Green;9、12、16、19、20、25、27、28、40、43、56、73、81、84、104、108、109、
C.I.Acid Brown;2、4、13、14、19、28、44、123、224、226、227、248、282、283、289、294、297、298、301、355、357、413、
C.I.Acid Black;1、2、3、24、24:1、26、31、50、52、52:1、58、60、63、63S、107、109、112、119、132、140、155、172、187、188、194、207、222、
本発明に好ましく用いられる直接染料としては、
C.I.Direct Yellow;8、9、10、11、12、22、27、28、39、44、50、58、86、87、98、105、106、130、137、142、147、153、
C.I.Direct Orange;6、26、27、34、39、40、46、102、105、107、118、
C.I.Direct Red;2、4、9、23、24、31、54、62、69、79、80、81、83、84、89、95、212、224、225、226、227、239、242、243、254、
C.I.Direct Violet;9、35、51、66、94、95、
C.I.Direct Blue;1、15、71、76、77、78、80、86、87、90、98、106、108、160、168、189、192、193、199、200、201、202、203、218、225、229、237、244、248、251、270、273、274、290、291、
C.I.Direct Green;26、28、59、80、85、
C.I.Direct Brown;44、44:1、106、115、195、209、210、212:1、222、223、
C.I.Direct Black;17、19、22、32、51、62、108、112、113、117、118、132、146、154、159、169、
本発明に好ましく用いられる顔料としては、
カーボンブラック、
C.I.Pigment Yellow;1、3、12、13、14、16、17、43、55、74、81、83、109、110、120、138、150、
C.I.Pigment Orange;13、16、34、43、
C.I.Pigment Red;2、5、8、12、17、22、23、41、112、114、122、123、146、148、149、150、166、170、220、238、245、258、
C.I.Pigment Violet;19、23、
C.I.Pigment Blue;15、15:1、15:3、15:4、15:5、15:6、29、
C.I.Pigment Brown;22、
C.I.Pigment Black;1、7、
C.I.Pigment White 6、
等が挙げられる。
本発明において、インク中に含有される色材の含有量としては0.1〜20質量%が好ましく、0.2〜13質量%がより好ましい。
本発明に係るインクにおいて用いられる水溶性有機溶媒としては、例えば、前記前処理液に用いることのできる水溶性有機溶媒と同様のものを挙げることができる。水溶性有機溶媒量としては、全インク質量に対して10〜60質量%が好ましい。
本発明に係るインクにおいて用いられる界面活性剤としては、例えば、前記前処理液に用いることのできる界面活性剤と同様のものを挙げることができる。
これらの界面活性剤を使用する場合、単独又は2種類以上を混合して用いることができ、インク全質量に対して、0.001〜1.0質量%の範囲で添加することにより、インクの表面張力を任意に調整することができ好ましい。
本発明に係るインクにおいては、インク粘度や染料を安定に保ち発色をよくするためには、インク中に無機塩を添加することができる。無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等が挙げられる。本発明を実施する場合、これらに限定されるものではない。
本発明に係るインクにおいて、インクの長期保存安定性を保つため、防腐剤、防黴剤をインク中に添加することができる。防腐剤、防黴剤としては、例えば、芳香族ハロゲン化合物(例えば、Preventol CMK)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(例えば、PROXEL GXL)などが挙げられる。
上記のインクを付与した布帛は、次いで、発色工程での処理が施される。
発色工程とは、プリント後布帛表面に付着したのみで、十分布帛に吸着・固着されていないインク中の染料を布帛に吸着・固着させることによりそのインク本来の色相を発現させる工程である。その方法としては、蒸気によるスチーミング、乾熱によるベーキング、サーモゾル、過熱蒸気によるHTスチーマー、加圧蒸気によるHPスチーマーなどが利用される。それらはプリントする素材、インクなどにより適宜選択される。また、印字された布帛は直ちに加熱処理しても、しばらくおいてから加熱処理しても用途に合わせて乾燥・発色処理すればよく、本発明においてはいずれの方法を用いてもよい。
本発明のインクジェット捺染方法において、分散染料を用いた染色の際は、高温で発色させる方法だけではなく、キャリヤーを用いてもよい。キャリヤーとして用いられる化合物は、染色促進が大きい、使用法が簡便、安定、人体や環境に対して負荷が少ない、繊維からの除去が簡単、染色堅牢度に影響しないといった特徴を持つものが好ましい。キャリヤーの例としてはo−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、メチルナフタリン、安息香酸アルキル、サリチル酸アルキル、クロロベンゼン、ジフェニルといったフェノール類、エーテル類、有機酸類、炭化水素類などを挙げることができる。これらは、ポリエステルのように100℃前後の温度での染色が難しい難染性繊維の膨潤と可塑化を促進し、分散染料を繊維内に入りやすくする。キャリヤーは、インクジェットプリントに使用する布帛の繊維にあらかじめ吸着させておいてもよいし、インクジェットインク中に含まれていてもよい。
加熱処理後は、洗浄工程が必要である。なぜなら染着に関与しなかった染料が残留することで、色の安定性が悪くなり堅牢度が低下するからである。また、布帛に施した前処理物を除去することも必要である。そのままにしておくと堅牢性の低下ばかりでなく布帛が変色する。そのため除去対象物や目的に応じた洗浄が必須である。その方法は、プリントする素材、インクにより選択され、例えば、ポリエステルの場合一般的には、苛性ソーダ、界面活性剤、ハイドロサルファイトの混合液により処理するものである。その方法は、通常オープンソーパーなどの連続型や液流染色機などによるバッチ型で実施されるもので、本発明においてはいずれの方法を用いてもよい。
洗浄後は、乾燥が必要である。洗浄した布帛を絞ったり脱水した後、干したりあるいは乾燥機、ヒートロール、アイロン等を使用して乾燥させる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《粘着性無端搬送ベルトの作製》
〔搬送ベルト基体の作製〕
(搬送ベルト基体1の作製)
中興化成工業社製のテフロン(登録商標)シート(長さ1800mm、幅1600mm、厚さ250μm)を、無端ベルトの結合部分の搬送方向に対する傾きθが5度となる条件で円筒状に巻き、中興化成工業社製の長さ20mm、幅2000mm、厚さ8μmのPFAシートを接合部に挟み込み、裏面側のベルト接合部の搬送方向の幅を12mmとして、接合部を400℃に熱した金属ローラーで加熱加圧して接合することでベルトを接合し、余った端部を切断することで、接合部分の段差が8μmの搬送ベルト基体1を作製した。
(搬送ベルト基体2〜9の作製)
上記搬送ベルト基体1の作製において、接合部に挟み込むPFAシートの厚さを、表1に記載のように変更した以外は同様にして、表1に記載の接合部分の段差を有する搬送ベルト基体2〜9を作製した。
(搬送ベルト基体10の作製)
上記搬送ベルト基体1の作製において、テフロン(登録商標)シートの結合部分の搬送方向に対する傾きθを0度とした以外は同様にして、搬送ベルト基体10を作製した。
(搬送ベルト基体11の作製)
上記搬送ベルト基体1の作製において、テフロン(登録商標)シートの結合部分の貼り合わせ条件を、tanθ=1/80とした以外は同様にして、搬送ベルト基体11を作製した。
(搬送ベルト基体12の作製)
上記搬送ベルト基体1の作製において、テフロン(登録商標)シートの結合部分の貼り合わせ条件を、tanθ=1/75とした以外は同様にして、搬送ベルト基体12を作製した。
(搬送ベルト基体13の作製)
上記搬送ベルト基体1の作製において、テフロン(登録商標)シートの結合部分の貼り合わせ条件を、tanθ=1/70とした以外は同様にして、搬送ベルト基体13を作製した。
〔粘着層の付与〕
上記作製した各搬送ベルト基体の搬送面上に、表1に記載の粘着材料を貼り付けて、粘着性無端搬送ベルト1〜19を作製した。
なお、各粘着性無端搬送ベルトの作製に用いた粘着材料の詳細は、以下の通りである。
基材無両面粘着テープ:ARclear 8932、Adhesives Research社製の基材を有しないシリコーン両面粘着テープ
基材有両面粘着テープ:寺岡製作所社製の基材有シリコーン粘着テープNo.749
地貼り剤:大力社製のシリコーン地貼り剤 リキタックFSを、湿潤膜厚で150μmとなる量を付与し、乾燥させて、乾燥膜厚50μmとなるようにした
《インクの調製》
〔イエローインク1の調製〕
(イエロー染料分散液の調製)
分散染料:C.I.Disperse Yellow 30 20%
エチレングリコール 18%
グリセリン 21%
リグニンスルホン酸ナトリウム 12%
イオン交換水 29%
上記各添加剤を順次添加、混合した後、サンドグラインダーを用いて分散を行って、イエロー染料分散液を調製した。
(イエローインクの調製)
イエロー染料分散液 40%
エチレングリコール 17%
グリセリン 19%
燐酸一水素二カリウム 2%
燐酸二水素カリウム 2%
防腐剤(塩化イソチアゾロン) 2%
イオン交換水 18%
上記の各添加剤を順次混合、攪拌した後、3μmメンブランフェイルターでろ過し、次いで中空糸膜を用いた脱気処理を行ってイエローインク1を調製した。
〔マゼンタインク1、シアンインク1及びブラックインク1の調製〕
上記イエローインクの調製において、染料をC.I.Disperse Red 5、C.I.Disperse Blue 330、C.I.Disperse Black 1にそれぞれ変更した以外は同様にして、マゼンタインク1、シアンインク1及びブラックインク1を調製した。
《布帛の準備》
色染社製の試験用繊維 ジャージーを布帛として用い、下記の前処理を施した。
〔前処理〕
塩化カルシウム二水和物 10%
エチレングリコール 10%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 5%
ペレックスOT−P(花王社製、界面活性剤) 必要量
イオン交換水 総量を100部に仕上げるのに要する量
以上の各添加剤を順次混合、攪拌した後、1μmフィルターでろ過して前処理液1を調製した。なお、ペレックスOT−Pは、前処理液の表面張力が33mN/mとなるように添加量を調整した。
次いで、前処理液にそれぞれ布帛を浸漬した後、マングルで絞り率が80%となる条件で絞った後、乾燥させて前処理済の布帛を作製した。
《布帛への画像記録》
〔画像印字〕
駆動周波数20kHz、ノズル径30μmであるピエゾヘッドを4個備え、各色のインク液滴速度を6m/sとなるように調整したヘッドユニットを取り付けた図13に記載のインクジェットプリンターを用い、下記の各評価方法に記載の方法に従って各画像を形成した。
なお、印字の際、粘着性無端搬送ベルト(図13に記載の59)とプラテンローラー(図13に記載の57)との搬送方向におけるニップ幅は8mmとなるように、粘着性無端搬送ベルトの張力を適宜調整して行った。
〔発色処理及び洗浄処理〕
次いで、印画済の布帛を温度180℃で8分間スチーミング処理を行い、水洗後、40℃にてソーピング処理を行い、更に水洗を行った後乾燥して、記録物1〜19を作成した。
《記録画像の評価》
以上のようにして作成した各記録物および作成に用いた粘着性無端搬送ベルトについて、下記の評価を行った。
〔粘着性無端搬送ベルトの耐久性評価〕
図13に記載の構成からなるインクジェットプリンターを用いて、印字操作を行わない状態で、各粘着性無端搬送ベルトを500時間の連続空廻し運転を行い、下記の基準に従って粘着性無端搬送ベルトの耐久性評価を行った。
◎:500時間の連続運転後でも、粘着性無端搬送ベルトに変化が全く認められなかった
○:500時間の連続運転後に、無端ベルトの接合部分で僅かにシワの発生が認められるが、実用上は全く問題のない品質である
△:500時間の連続運転後に、無端ベルトの接合部分での剥離が認められた
×:500時間の連続運転途中で、ベルトが破断した
〔画像印字安定性の評価:搬送時の装置振動による影響の評価〕
図13に記載の構成からなるインクジェットプリンターを用い、搬送装置にそれぞれ粘着性無端搬送ベルトを装着し、布帛として幅1.5m×長さ50mの前処理済の色染社製の試験用繊維 ジャージーに対し、ブラックインク1を用いて、1cm角で太さ1mmの格子画像を全長にわたり印画し、粘着性無端搬送ベルトの接合部分で印字した格子画像の状態を目視観察し、下記の基準に従って画像印字安定性の評価を行った。
◎:粘着性無端搬送ベルトの接合部分通過時に、振動の発生はほとんど無く、また格子画像に対する影響は全くない
○:粘着性無端搬送ベルトの接合部分通過時に、弱い振動の発生は認められ、顕微鏡で観察すると僅かに着弾誤差が認められるが、目視ではほとんど認識されず、実用上問題のない品質である
△:粘着性無端搬送ベルトの接合部分通過時に、振動の発生は認められ、目視でも格子の乱れがやや認められるが、実用上許容範囲内の品質である
×:粘着性無端搬送ベルトの接合部分通過時に、強い振動の発生は認められ、目視でも格子の乱れが明らかに認めら、実用上問題となる品質である
〔白筋故障耐性:高濃度印字適性〕
図13に記載の構成からなるインクジェットプリンターを用い、搬送装置にそれぞれ粘着性無端搬送ベルトを装着し、布帛として幅1.5m×長さ50mの前処理済の色染社製の試験用繊維 ジャージーに対し、イエローインク1とシアンインク1とを合わせて、インク打ち込み量が200%となる条件でベタ画像を印字した。なお、ここでいうインク打ち込み量100%とは、1色のインクを用いてベタ画像を形成する際に要するインク量を意味しており、インク打ち込み量200%とは、イエローインク1、シアンインク1を用いてそれぞれのベタ画像を積層して形成したことを意味する。
以上に様にして全面にわたりグリーンのベタ画像を印字した各記録物について、白い筋状故障の有無を目視観察し、下記の基準に従って白筋故障耐性の評価を行った。
○:白抜け状の筋故障の発生は認められない
△:弱い白抜け状の筋故障の発生が僅かに認められるが、実用上許容される品質である
×:強い白抜け状の筋故障の発生が認められ、実用上問題となる品質である
〔濃淡筋故障耐性:低濃度印字適性〕
図13に記載の構成からなるインクジェットプリンターを用い、搬送装置にそれぞれ粘着性無端搬送ベルトを装着し、布帛として幅1.5m×長さ50mの前処理済の色染社製の試験用繊維 ジャージーに対し、マゼンタインク1を用いて、インク打ち込み量30%の条件でベタ画像を印字した。なお、ここでいうインク打ち込み量30%とは、マゼンタインクでインク打ち込み量100%の条件で印字を指令するのに対し、70%相当を間引いて印字したときのインク打ち込み量である。
以上に様にして全面にわたりマゼンタのベタ画像を印字した各記録物について、マゼンタ濃度の濃度変動に伴う濃いマゼンタ筋状故障の有無を目視観察し、下記の基準に従って濃淡筋故障耐性の評価を行った。
○:マゼンタ濃度変動による濃淡筋故障の発生は認められない
△:弱いマゼンタの濃淡筋故障の発生が僅かに認められるが、実用上許容される品質である
×:マゼンタ濃度の濃い筋故障の発生が認められ、実用上問題となる品質である
以上により得られた各評価結果を、表1に示す。
Figure 0004389776
表1に記載の結果より明らかなように、無端ベルトの結合部分の段差が10μm以上、200μm以下で、かつ基材を有しない両面粘着テープを用いて構成した本発明の粘着性無端搬送ベルトは、比較例に対し、連続運転した際の耐久性に優れ、かつこれをインクジェットプリンターに組み込み印字形成した画像は、画像印字安定性、白筋故障耐性及び濃淡筋故障耐性に優れていることが分かる。
シート状の材料を円筒状にて得られる無端搬送ベルトの一例を示す模式図である。 布帛を構成する縦糸と横糸の構造の一例を示す模式図である。 接合部分に間隙を有する接合型無端搬送ベルトの一例を示す模式図である。 本発明の接合部分に基材を有しない粘着テープが密着して付与されている一例を示す模式図である。 接合部に付与した地貼り剤がレベリングを起こし、付与量が低下している状態の一例を示す模式図である。 伸ばされた布帛が粘着層(地貼り剤付与層)から浮いた状態を示す模式図である。 無端搬送ベルトの接合部分に基材を有する両面粘着テープを付与した状態の一例を示す模式図である。 基材を有する両面粘着テープを用いた接合型無端搬送ベルト上に保持した布帛の状態の一例を示す模式図である。 接合部分を搬送方向に対し斜めに接合した接合型無端搬送ベルトの一例を示す模式図である。 接合部分を搬送方向に対し直角に接合した接合型無端搬送ベルトの一例を示す模式図である。 接合部分を搬送方向に対し斜めに接合した接合型無端搬送ベルトの各特性値を説明する概略図である。 本発明に係る基材なし両面粘着テープの構成の一例を示す模式図である。 本発明の粘着性無端搬送ベルトを適用することのできるインクジェットプリンターの実施形態の一例を示す模式図である。
符号の説明
31 剥離体
32 粘着層
51 布帛
52 テンションローラ
53 中間ローラ
54 中間ローラ
55 印圧ローラ
56 インクジェットプリントヘッド
57 プラテンローラ
58 搬送ローラ
59 粘着搬送ベルト
60 布剥がし用の爪
61 クリーニング部材
62 クリーニング部材
63 ふき取り部材
64 乾燥ヒータ
65 中間ローラ
66 巻き取りローラ

Claims (5)

  1. 両端部を有するベルト基材と、該ベルト基材の両端部を結合して無端ベルトを形成するベルト接合部を有し、該無端ベルトの表面に、粘着テープを付与して粘着層を設けた粘着性無端搬送ベルトであって、該ベルト接合部は、該ベルト基材の一方の端部を構成する面側Aの端部とベルト基材の他方の端部を構成する該面側Aとは反対側の面側Bの端部に貼り付けベルト基材の両端部を結合するものであり、該粘着テープを付与する面における該無端ベルトと該ベルト接合部との段差が10μm以上、200μm以下であり、かつ該粘着テープが基材を有しない両面粘着テープであることを特徴とする粘着性無端搬送ベルト。
  2. 請求項1に記載の粘着性無端搬送ベルトを有することを特徴とする搬送装置。
  3. 前記無端ベルトが搬送ローラーに保持され、前記無端ベルトの結合部分の搬送方向に対する傾きをθとし、ベルト幅をLとし、前記粘着テープを設けた面とは反対側の面のベルト接合部の搬送方向における幅をdとし、該無端ベルトと該搬送ローラー間の搬送方向におけるニップ幅をwとしたとき、下式(1)で規定する条件を満たすことを特徴とする請求項2記載の搬送装置。
    式(1)
    Ltanθ>d+W
  4. 請求項2または3に記載の搬送装置を有し、被記録物にインクを出射して画像記録するインクジェット記録方法で用いることを特徴とするインクジェットプリンター。
  5. 請求項4記載のインクジェットプリンターで作製されたことを特徴とする記録物。
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