JP4387379B2 - カルシウム補強剤 - Google Patents
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Description
食品工業総合事典、第582頁、昭和54年10月25日、光琳発行
(ヒドロキシアパタイトの合成)
170mMの水酸化カルシウムの水懸濁液に、100mMのリン酸水溶液を室温で滴下し、およそpH9で反応を停止した。1週間静置した後、上清を除去し、ヒドロキシアパタイト溶液を得た。その溶液の固形分含量を測定し、ヒドロキシアパタイト濃度を算出した。
クエン酸を26.25g秤量し、水を加え250mlとし、0.5Mクエン酸溶液を調製する。同様にして、クエン酸3ナトリウムを147.05g秤量し、水を加え1000mlとする。一定量の0.5Mクエン酸溶液をビーカーにとり、pHメーターの電極をセットする。スターラーを用い溶液を攪拌しながら、pH5.8に達するまでクエン酸ナトリウム溶液を加える。
市販品のCPPを用いた。純度は約80%である。このCPPをCPP(+)とする。また、このCPP10gを10mM−EDTA−2Na水溶液250mlに溶解後、エタノール250mlを加え、CPPを沈澱させる。2800rpm、5分間の遠心分離条件でCPPを回収したのち、水に溶かし凍結乾燥する。このようにして得られたCPPをCPP(−)とする。即ち、CPP中にカルシウムの存在するものをCPP(+)、存在しないものをCPP(−)とした。
内径25mm程度のスクリューキャップ付試験管にヒドロキシアパタイト溶液を所定量入れる。次に、クエン酸−クエン酸ナトリウム緩衝液を表1の所定量入れ、比較対照としてCPP(+)を表1の所定量添加する。水を加え、ヒドロキシアパタイト濃度が一定になるようにメスアップする。また、ヒドロキシアパタイト溶液のみで、他に何も添加しない試料も作製する。超音波破砕装置に2分間かけ、5℃で冷蔵保存し、経時的に分散状態を観察する。
冷蔵保存7日目の観察結果では、表1に示すとおりヒドロキシアパタイトのみでは、無色透明の上清と乳白色の浮遊状態の沈殿に明確に分離していたが、クエン酸−クエン酸ナトリウム緩衝液を添加したものは、CPP(+)を添加したものと同様に分離は認められず溶液全体が薄い白濁を呈していた。
クエン酸−クエン酸ナトリウム緩衝液量を一定とし、ヒドロキシアパタイト量を変えて、分散状態を冷蔵7日目まで観察した。ヒドロキシアパタイト濃度は表2の7.5mM〜37.5mM、緩衝液(CAB)濃度は12.5mMとし、処理方法は実施例1と同じである。
冷蔵2日目では上清の分離、沈澱の発生とも全く確認されなかった。冷蔵7日目で上清の分離は確認されなかったものの、底部に極微量の沈殿が確認され、その厚みは、添加したヒドロキシアパタイト量に比例したものであった。冷蔵7日目の試料の底部沈殿を残してデカント処理し、捕集した溶液の濁度を吸光度測定した。同時に再度各試料を調製し、分散処理直後の吸光度も測定した。その結果、どの試料も7日目の吸光度の数値が分散値後の数値の約80%であることが判明し、溶液中にヒドロキシアパタイトの約80%が残存しているものと推測された。
ヒドロキシアパタイト溶液を所定量ビーカーに入れ、0.5Mクエン酸−クエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.8)を加えた。この時の混合溶液のヒドロキシアパタイト濃度は50mM濃度、クエン酸−クエン酸ナトリウム濃度は83mM濃度とした。この溶液を実施例1の方法で分散処理した。次に、ビーカーに脱脂粉乳10g、上記ヒドロキシアパタイト分散液を2.65g取り、水でメスアップして100mlとした。この溶液を超音波破砕装置に2分間かけ、その後110℃、1分間オートクレーブ処理した。ヒドロキシアパタイト無添加を対照とした。両者を冷却2000rpm、10分間遠心分離し、沈澱の発生量を測定した。その結果、いずれも0.2%w/wであり、差は認められなかった。
(炭酸カルシウムの調製)
試薬特級の炭酸カルシウムを用いた。Planetary micro millで10分間処理を行い、炭酸カルシウムの微細化を行った後、試験に供した。
内経12mm程度のスクリューキャップ付き試験管に水を4ml入れ、CPP160mgとヒドロキシアパタイト40mgを加えた後(懸濁液の高さは4cmとなる)、超音波処理を2分間行う。なお、対照として、炭酸カルシウム40mgを用いて同様に処理する。処理後、100μl採取し、水900μlを加え600nmの波長での濁度を測定する。なお、無乳蛋白系(すなわち、ヒドロキシアパタイトのみ)で分散処理を行っても、濁度測定までの時間の経過で、ヒドロキシアパタイトはほとんど二次凝集を起こして沈澱してしまった(二次凝集粒径3〜4μm)。その後、下記する実験結果に示す経過時間ごとに、分散の状況を測定および観察する。それぞれの時間の経過したのちに、試験管の底に沈降した沈殿物の量を定性的に把握する。また、粒子の沈降が観察されるときは、上澄み層の厚さ、沈降層の厚さを測定し、また上澄み層の中間位及び沈降層の中間位からそれぞれ100μl採取し、水900μlを加え600nmの波長での吸光度を測定する。このような測定を行うことにより分散糸の安定性を評価した。
試験番号を以下の通りとする。
試料1:炭酸カルシウムとCPP(+)から成る懸濁液
試料2:炭酸カルシウムとCPP(−)から成る懸濁液
試料3:ヒドロキシアパタイトとCPP(+)から成る懸濁液
試料4:ヒドロキシアパタイトとCPP(−)から成る懸濁液
静置1時間後
試料1:すでに試験管底の一部に沈澱が認められる。しかし、澄明な上清層は観察されなかった。
試料2:すでに試験管底の一部に沈澱が認められる。しかし、澄明な上清層は観察されなかった。
試料3:変化なし。
試料4:変化なし
試料1:試験管底の全面に堆積した沈澱が認められ、上清層も約1.4mmの厚さで澄明に認められた。
試料2:試験管底の全面に堆積した沈澱が認められたが、沈澱量は試料1より少ない。上清層は的1.2mmの厚さで澄明にみとめられた。
試料3:試験管底の一部に極めて僅かな沈澱が認められた。しかし、澄明な上清層は観察されなかった。
試料4:試験管底の一部に極めて僅かな沈澱が認められた。しかし、澄明な上清層は観察されなかった。
試料1:試験管底の全面に堆積した沈澱が認められ、極めて僅かな白濁を残して液層全体が上清層と観察された。
試料2:試験管底の全面に堆積した沈澱が認められ、極めて僅かな白濁を残して液層全体が上清層と観察された。
試料3:試験管底の一部に僅かな沈澱が認められた。しかし、上清層らしく観察される液層が1mm程度観察された。
試料4:試験管底の一部に僅かな沈澱が認められた。しかし、上清層らしく観察される液層が1mm程度観察された。
値は吸光度の測定後、値に希釈倍率を掛けて求めたものである。
試料1:18.4
試料2:18.2
試料3: 2.3
試料4: 2.4
炭酸カルシウムを分散された懸濁液試料1、試料2の吸光度はヒドロキシアパタイトを分散させた懸濁液試料3、試料4と比較し、濁度がおよそ9倍ある。これは炭酸カルシウムを分散させたとき、白濁すると言う問題点を数値的に示すものであり、結晶性ヒドロキシアパタイト超微粒子を使用することの意義が明瞭である。
試料1:上清層:0.3
沈降層:2.6
試料2:上清層:0.4
沈降層:3.2
試料3: :2.0
試料4: :2.2
試料1:上清層:0.8
試料2:上清層:0.9
試料3 :2.1
試料4 :2.3
表面処理用タンパク質として、ヒト血清アルブミン(以下、HSA)を用い、最終濃度は0.5mg/ml、1.5mg/ml及び4.5mg/ml(いずれも水溶液)とした。微粒子化は、水に懸濁したHA(ヒドロキシアパタイト:セントラル硝子、最終濃度1mg/ml)に表面処理剤を加え、室温下、1000kg/cm2で5回ナノマイザー処理を行った。
HA最終濃度10mg/mlの条件下で、HA懸濁液を1分間超音波処理し、HSAを加えてさらに1分間超過波処理し、分散、安定化に必要なHSAの最終濃度を検討した。結果を下記表5に示す。
HSA表面処理HA微粒子分散液の保存安定性を検討した。0.5〜4.5mg/mlのHSA存在下にHA水懸濁液(最終濃度1mg/ml)を室温下、1000kg/cm2で5回ナノマイザー処理して得たHA分散液を4℃、3週間静置後の安定性を調べた。得られた結果を下記表6に示す。表中の数字は平均粒径(μm)を示す。
実施例5で得られたHA分散液の凍結乾燥後の安定性を調べた。得られた結果を下記表7に示す。なお、表中の数字は平均粒径(μm)を示す。
密栓蓋付きの容器に、水を2L入れ、更にCPP 80g及び実施例1で製造したヒドロキシアパタイト20gを加えた後、超音波処理を3分間行い、CPPでコーティングしたヒドロキシアパタイト(液状製品)を製造した。更にこれを減圧下濃縮して、1/2濃縮物を製造した。そして更にこれを凍結乾燥して乾燥粉末を製造した。
糖類150g、蜂蜜15g、アスコルビン酸1g、クエン酸0.5g、香料適量に、実施例7で製造した液状製品を加えて1kgとし、これを95℃で20分間殺菌し、100mlずつ無菌的にビンに充填して、飲食品タイプの健康ドリンクを製造した。
実施例6で得た乾燥粉末の20%水溶液200g、酢酸トコフェロール5g、硝酸チアミン10g、ニコチン酸アミド20g、無水カフェイン50g、安息香酸塩及び香料適量に脱イオン水を加えて30Lとし、殺菌した後30mlずつ無菌的にビンに充填して、医薬品としての健康ドリンクを製造した。
(1)実施例7で製造した乾燥粉末 50g
(2)ラクトース 90g
(3)コーンスターチ 29g
(4)ステアリン酸マグネシウム 1g
グラニュー糖50g、コーンスターチと乳糖の等量混合物100g、実施例4で製造した乾燥粉末100mgを加えて充分に混合した。混合物を100等分して袋に詰め、1袋1.5gのスティック状カルシウム栄養健康食品を100袋製造した。
Claims (6)
- 800nm以下の超微粒子ヒドロキシアパタイトをカゼインホスホペプチドで表面処理してなり、加水した場合にヒドロキシアパタイトが沈降することなく安定に分散懸濁できるものであることを特徴とするカルシウム補強剤。
- 800nm以下の超微粒子ヒドロキシアパタイトをカゼインホスホペプチドで表面処理し、これを粉末化あるいはスラリー化してなり、加水した場合にヒドロキシアパタイトが沈降することなく安定に分散懸濁できるものであることを特徴とするカルシウム補強剤。
- ヒドロキシアパタイトが、500nm以下の超微粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載のカルシウム補強剤。
- カゼインホスホペプチド(CPP)が、カルシウム含有CPP又はカルシウムを減少ないし除去したCPPであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカルシウム補強剤。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のカルシウム補強剤を固体製品、練り製品、液状製品の少なくともひとつに添加してなることを特徴とするカルシウム補強食品。
- 800nm以下の超微粒子ヒドロキシアパタイトをカゼインホスホペプチドで表面処理することを特徴とする、加水した場合にヒドロキシアパタイトを沈降することなく安定に分散懸濁する方法。
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