JP4386249B2 - 背面投写スクリーン用拡散構造板及び背面投写スクリーン - Google Patents
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- G03B21/62—Translucent screens
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、プロジェクションテレビジョンなどに組込まれ、背面から投写された光線の進行方向を修正することにより、画像の視野角を拡大するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロジェクションテレビジョンなどにおいては、投写手段により投写された光の進行方向を、背面投写スクリーンが修正することにより、プロジェクションテレビジョンの観察者の存在場所にまで画面全体の投写光が達するように構成されている。
【0003】
従来の背面投写スクリーンは、一例としては、光の進行方向に沿って、集光手段であるフレネルレンズシートと、拡散手段であるレンチキュラーレンズシートとを備えた構成とされている。
【0004】
投写手段が背面投写スクリーンに向けて投光した投写光線は、フレネルレンズシートにより概ね平行な光線となって、次にレンチキュラーレンズシートを通過する。
【0005】
レンチキュラーレンズシートには、シリンドリカルレンズが形成されており、上記光線は、レンチキュラーレンズシートを通過する際に屈折拡散され、例えば、上下方向では、光分布の半値全幅が概ね10度から40度程度の広がりを持つ指向性を与えられ、また、左右方向では、光分布の半値全幅が一層広い30度から90度程度の広がりを持つ指向性を与えられる。このようなレンチキュラーレンズシートは、光線を観察者のいる水平方向に拡散させることで、より多くの人が観察できるようにする機能を有している。
【0006】
このような背面投写スクリーンでは、フレネルレンズ歯の不要面での光損失を防止するために、多くはフレネルレンズシートにおける光の出射面側にフレネルレンズ面が設けられる。
【0007】
このようなスクリーンは、特許文献1に開示されている。また、これに関連する技術は、特許文献2〜6に開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−196422号公報(第2−3頁、第1図)
【特許文献2】
特開平10−111537号公報(第4−5頁、第1図、第3図)
【特許文献3】
特開2002−311211号公報(第5頁、第1−3図)
【特許文献4】
特開昭58−163930号公報(第3−4頁、第2図)
【特許文献5】
特開2002−174703号公報(第3−5頁、第2図)
【特許文献6】
特開平9−120102号公報(第3−4頁、第1図、第2図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような背面投写スクリーンでは、シリンドリカルレンズは、屈折により光の進行方向を曲げて拡散させるので、レンチキュラーレンズシートを構成する材料の屈折率波長分散に起因する色収差が発生し、見る角度によって画像の色が異なるという問題が発生する恐れがあった。
【0010】
さらに、レンズの屈折面においては、必然的に屈折光と共に反射光が発生するので、該反射光によってゴーストや画像のボケを発生させるという問題があった。
【0011】
そこで、この発明の課題は、画像の鮮明化に寄与し得る技術を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明は、光線を拡散させるための背面投写スクリーン用拡散構造板であって、光線が入射される入射面と光線が出射される出射面との間で、画面の垂直方向又は水平方向における断面形状が放物線形状を呈する凹面鏡部分を有し入射光線を略一点又は略一線に集光させる第一反射手段を、少なくとも一方向に沿って、同じ側に光線を反射するように、隣合わせて繰返し形成したものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る背面投写スクリーンの側面図及びその使用形態を示す図である。
【0014】
この背面投写スクリーン2は、拡散構造板としての拡散シート3と、フレネルレンズシート4とを備えている。また、背面投写スクリーン2の一主面側である背面側には、投写手段1が配設されている。
【0015】
投写手段1は、画像信号などを受け入れてライトバルブ(図示せず)などにより二次元的に画素ごとに強度変調された光に変換することにより画像を形成し、該画像に対応する投写光線L1を背面投写スクリーン2に向けて出射する。
【0016】
背面投写スクリーン2においては、概略的に、フレネルレンズシート4に拡大投写された投写光線L1が、フレネルレンズシート4内に入射して、ほぼ平行な光に変換されて、拡散シート3に出射される。拡散シート3は出射された概ね平行な光線を上下及び左右方向に指向性を広くして出射する。
【0017】
図2は、図1におけるスクリーン2の部分拡大図である。同図に示すように、背面投写スクリーン2は、フレネルレンズシート4と拡散シート3とが重ね合されてなる。
【0018】
フレネルレンズシート4は、一方主面である入射面(図2の左面)と他方主面である出射面(図2の右面)とを有しており、その出射面は、レンズを構成する所定形状の凹凸を形成することによりフレネルレンズ面4aに形成されている。そして、上記投写光線L1が、前記入射面から入射してフレネルレンズ面4aから出射するようにフレネルレンズシート4内を通過し、その通過の際に、投写光線L1はスクリーン2の面方向の法線方向に略平行な光線L2に変換されるようになっている。
【0019】
拡散シート3は、フレネルレンズシート4のフレネルレンズ面4a側に配設された部材であり、一方主面である入射面(図2の左面)と他方主面である出射面(図2の右面)とを備えている。また、この拡散シート3は、光線L1〜L3の進行方向に向けて順に、透明シート31と、拡散反射基材32と、ND(neutral density)着色板33と、反射低減部材34とを備えている。
【0020】
拡散シート3での光の挙動を概説すると、まず、透明シート31が、その入射面より光線L2を受入れて通過させる。次に、拡散反射基材32が、光の進行方向を広げる。例えば、拡散反射基材32は、光線L3に対して、光分布の水平方向半値半幅が概ね30度、光分布の垂直方向半値半幅が概ね10度の指向性を与える。そして、この光線L3をND着色板33に向けて出射する。光線L3は、ND着色板33と反射低減部材34を通過して、拡散シート3の出射面より出射する。なお、ここにおいて、水平方向及び垂直方向は、背面投写スクリーン2を用いた投影装置の通常使用形態における水平方向及び垂直方向をもって定義されている。
【0021】
ND着色板33は、例えば、概ね80%の光線透過率であってかつ平坦な波長依存性となるように着色されている。また、反射低減部材34は、外部光に起因する反射光を低減させる部材であり、ND着色板33の出射面(図2の右面)に設けた単層または複層の光学薄膜(図示せず)により構成されている。このような反射低減部材34としては、例えば、微細な凸凹表面によって光を拡散させるといった種々の周知構成を採用することが可能である。これらND着色板33及び反射低減部材34は、上記光線L3を通過させると共に、外部光が、フレネルレンズシート4の表面、透明シート31の表面、拡散反射基材32及びND着色板33の表面などにおいて反射されて視認される妨害光線となることを軽減する機能を有している。
【0022】
図3は、拡散シート3を画面となる上方から見た部分断面図である。拡散反射基材32は、第一透明媒体321と、反射鏡322と、第二透明媒体323とを備えている。
【0023】
第一透明媒体321は、UV成型等により形成された透明部材である。
【0024】
反射鏡322は、アルミニウムの蒸着又はスパッタリングなどにより形成された反射手段である。反射鏡322のうち内側の凹面鏡部分は、入射光線L2を焦点FP1に集光する第一反射手段として機能する。また、反射鏡322のうち外側の凸面鏡部分は、前記凹面鏡部分により反射される光線の主軸方向を出射面の法線方向に曲げる第二反射手段として機能する。
【0025】
このように、第一反射手段と第二反射手段の各機能が単一の反射鏡322により実現されているため、それらを別部材により実現する場合と比較して、構成の簡易化が図られている。
【0026】
第二透明媒体323は、反射鏡322の外側(背面側)の凹面鏡部分をカバーすることで保護する部材であると共に、光の拡散性を有する透明部材である。
【0027】
各反射鏡322間には、第一透明媒体321と第二透明媒体323との界面324が形成されている。
【0028】
なお、繰返し設けられる反射鏡322や界面324などの構成要素については、相互に区別することなく同一符号で示している(下記の各実施形態についても同様)。
【0029】
この拡散反射基材32では、光線L2は、第一透明媒体321側より拡散反射基材32内に入射し、第二透明媒体323側から出射する。
【0030】
より具体的に説明する。側面図である図2において示した光線L2は、平面図である図3においては、通過位置の異なる複数の光線を含むように図示されている。この光線L2は、透明シート31内に入射され、該透明シート31内を直線的に通過して、第一透明媒体321内に入射される。そして、第一透明媒体321は、光線を反射鏡322に導く。
【0031】
反射鏡322は、画面の垂直方向に沿って延びる柱状形状を有しており、その長手方向と直交する方向における断面形状は放物線形状を呈している。すなわち、反射鏡322は、線状の焦点を持つ二次曲面の一種である放物柱面形状を有している。これにより、反射鏡322の内側の凹面鏡部分は、光を略一点又は略一線に集光させた後拡散させることとなる。なお、反射鏡322の全体が二次曲面形状である必要はなく、少なくとも一部が、焦点(略一点に集光する場合及び略一線に集光する場合を含む)を持つ二次曲面形状に形成されていればよい。図3では、反射鏡322の凸面鏡部分による焦点FP1が隣合う反射鏡322間に設定された態様を示している。
【0032】
この反射鏡322は、画面の水平方向に沿って所定周期で繰返し形成されている。
【0033】
均一で広い拡散特性を実現し、鮮明な画像を得るためには、繰返しの周期は、その繰返し方向、即ち、画面の水平方向画素寸法よりも小さいことが好ましい。スクリーン2における水平方向画素寸法は、スクリーンサイズと表示画面の画素数によって異なるが、一般的には、スクリーン2の水平方向画素寸法は、0.5〜1.0mm程度であるため、例えば、繰返しの周期をおよそ0.1mmにするとよい。
【0034】
そして、この反射鏡322の凹面鏡部分は、入射光線L2を焦点FP1に集光させるように反射する。この場合、光線L2は、反射鏡322の凹面鏡部分の光軸を中心にして水平方向に例えば概ね半幅15度から20度の角度で集光された後、拡散されることになり、当該水平方向に所定の角度範囲の指向性を与えられることになる。
【0035】
反射鏡322の凹面鏡部分で反射された光線L2は、界面324を通過して第一透明媒体321から第二透明媒体323に進行し、さらに、焦点FP1を通過して、隣接する反射鏡322の外側(背面側)の凸面鏡部分で反射される。これにより、光線L2は、出射面側に進行方向を曲げられて進行する。
【0036】
また、光線L2が第二透明媒体323を通過する際、第二透明媒体323は、拡散剤により当該通過する光線L2の強度の半値半幅が等方的におよそ10度となるように、該光線L2を拡散して通過させる。
【0037】
このように指向性を付与された光線は、ND着色板33及び反射低減部材34を通過し、結果、拡散シート3を通過した光線L3としてその出射面より出射する。
【0038】
なお、上記反射鏡322の形状は、上述した形状に限られず、本反射鏡322によって得られる水平方向の指向性と第二透明媒体323内の拡散剤により得られる指向性と合わせた結果得られる水平方向指向性が、必要とされる水平方向の指向性となるように決められる。
【0039】
例えば、焦点FP1は、上述した位置にある必要はなく、隣接する反射鏡322の近傍にあればよい。例えば、図3に示したように、焦点FP1を隣りの反射鏡322の手前に設定した場合には、その隣の反射鏡322の凸面鏡部分は、光の指向性をより広くする。また、焦点FP1が隣の反射鏡322の背面(凸面鏡部分)上に設定された場合には、当該隣の反射鏡322の凸面鏡部分は単に進路を曲げる反射鏡として機能する。さらに、焦点FP1が隣の反射鏡322より遠い位置に設定された場合には、該隣の反射鏡322の凸面鏡部分は、光の指向性を、多少狭くするように機能する。
【0040】
これらのいずれの場合においても、拡散反射基材32に入射した平行光線L2を拡散させることは可能であり、必要な指向性を得ることができるように、焦点FP1の位置は設定される。
【0041】
また、上記の説明で用いた反射鏡322自体の大きさや複数の反射鏡322の繰返し周期寸法、目標とする光分布の半値角度等は、上記の数値に限られるものではなく、上記各数値付近の数値等であっても構わない。また、各反射鏡322が密接状に配列されているが、所定の間隔をあけて配列されていても構わない。
【0042】
図4及び図5は、本発明に特有の構成である拡散反射基材32の製造方法を示す部分拡大図である。
【0043】
図4において、蒸着或はスパッタリング装置の金属加熱部H、スリット部材S及びアルミニウムの進行方向Aが示されている。
【0044】
拡散反射基材32を製造するにあたっては、まず、透明シート31の片面に、第一透明媒体321が形成されたものを準備する。この第一透明媒体321は例えばUV成型樹脂等により形成されており、その外面に、上記各反射鏡322の形状に対応する周期的な凹凸形状が、ロール型(図示せず)を用いたロール加工成型等によって形成されている。
【0045】
そして、真空中において、加熱部Hからスリット部材Sのスリットを経由して方向Aに沿って進行するアルミニウムを、第一透明媒体321の凹凸表面のうち反射鏡322を形成するための湾曲表面に選択的に、蒸着或はスパッタリングする。この際、例えば、およそ厚さが50nm以上となるように、アルミニウムを蒸着或はスパッタリングさせる。これにより、反射鏡322が形成されることとなる。なお、界面324にはアルミニウムを付着させないようにする。
【0046】
このように、第一透明媒体321の凹凸表面に金属膜を形成することにより、反射鏡322を容易に形成することができる。
【0047】
次に、図5に示すように、反射鏡322の背面側に、拡散剤を含有するUV樹脂を、反射鏡322全体が埋没して平坦表面を得ることができる程度まで流し込んでから、UV照射することで、当該UV樹脂を固体化する。これにより、第二透明媒体323が形成される。
【0048】
この状態では、反射鏡322は、第一透明媒体321及び第二透明媒体323中に包含された形態とされる。これにより、拡散反射基材32の両面が平坦に仕上げられ、反射鏡322の損傷が有効に防止される。
【0049】
このような製造工程では、透明シート31として、ロール状に巻取り可能な長尺状の部材を用いることにより、拡散反射基材32を連ねた形態のものを連続的に製造することが可能であり、全体として背面投写スクリーン2を安価に製造することに資する。
【0050】
なお、例えば、反射鏡322の繰り返し周期が0.1mmであるとき、拡散反射基材32の厚さも同程度となる。透明シート31がロール状に巻取可能な柔軟な素材であるとき、拡散反射基材32は薄く、両者を合わせても剛性が小さいので、スクリーン2として平面性を保持し難い。
【0051】
このため、拡散反射基材32の入射面又は出射面のうちの少なくとも一方に、平面部材を接合一体化し、平面形態を保持するようにすることが好ましい。
【0052】
本実施の形態では、片面(両面でもよい)に反射低減部材34を設けたND着色板33を透明接着剤(図示せず)などにより光学的・機械的に接合一体化することで、拡散シート3全体として平面性を保持している。すなわち、ND着色板33は、平面性を保持するための平面部材としても機能する。
【0053】
このように構成された背面投写スクリーンや拡散シート3によると、入射光線L2は、反射鏡322の凹面鏡部分によって集光した後拡散される。このように、主として光の反射を利用して光線を拡散させることができるので、従来のように、素材の屈折率波長分散に起因する色収差に色のずれや、屈折に合わせて発生する反射光によるゴーストや画像のボケを防止することができ、画像の鮮明化に寄与する。
【0054】
しかも、拡散シート3の入射面及び出射面は平坦に仕上げられるため、破損し難い。
【0055】
特に、フレネルレンズシート4のフレネルレンズ面4aに対向することとなる拡散シート3の入射面が平坦に仕上げられるため、平坦な入射面とフレネルレンズ面4aとの擦れによる発粉や光線通過面の変形を防止することができ、この点からも画像の鮮明化に寄与する。
【0056】
また、第二透明媒体323に拡散剤が混合されているため、光線を、水平方向のみならず垂直方向を含む等方向に拡散させることができる。
【0057】
さらに、反射低減部材34によって、外部光の反射が低減され、コントラストを改善することができる。
【0058】
また、ND着色板33により、光量を調整することができる。
【0059】
実施の形態2.
図6は発明の実施の形態2に係る背面投写スクリーンの側面図及びその使用形態を示す図である。
【0060】
この背面投写スクリーン2Bは、実施の形態1における拡散シート3に代えて、拡散構造体3Bを備えている。その他、実施の形態1において説明したものと同様構成要素については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0061】
図7は、図6におけるスクリーン2Bの部分拡大図である。同図に示すように、背面投写スクリーン2Bは、光線の進行方向に向けて順に、フレネルレンズシート4、第一拡散板5及び第二拡散板6が配設されてなる。これらのフレネルレンズシート4、第一拡散板5及び第二拡散板6は、スクリーン枠(図示せず)などにより相互に近接して保持される。第一拡散板5と第二拡散板6の組合せにより、光の拡散を行う拡散構造体3Bが得られる。
【0062】
そして、投写光線L1はフレネルレンズシート4を通過することにより、概ね平行な光線L2となる。この光線L2は、第一拡散板5に入射して、光分布の半値半幅が水平方向に概ね30度となるような指向性を付与され、光線L5として出射される。この光線L5は、第二拡散板6に入射して、光分布の半値半幅が垂直方向に概ね10度となるような指向性を付与され、光線L6として出射される。
【0063】
第一拡散板5は、透明シート51及び拡散反射基材52とを備えた構成とされている。透明シート51及び拡散反射基材52は、それぞれ実施の形態1における透明シート31及び拡散反射基材32とそれぞれ同様構成となっている。
【0064】
但し、拡散反射基材52における第二透明媒体(第二透明媒体323に相当する)は拡散剤を含まないか、又は、比較的少ない拡散剤を含んでいる。すなわち、拡散剤は、等方向拡散性を有するので、外部光も拡散反射することになり、その結果、画像の黒い部分が白く浮上がって見えることがあり、コントラストを低下させる要因ともなり得る。そこで、拡散剤を少なくし、或は、無くすることにより、外部光のある状態でのコントラストの改善を図る。そして、拡散剤を少なく或は無くした上で、垂直方向の光線の拡散は、第二拡散板6により行う。すなわち、この第一拡散板5を通過した光線L5は、水平方向には拡散されているが、垂直方向では広がりは少なく平行光に近い光である。
【0065】
図8は第二拡散板6の側面の部分拡大図であり、投写光線の進路を示している。この第二拡散板6は、上述した透明シート31と同様構成の透明シート材61と、拡散反射基材62とを備えている。
【0066】
拡散反射基材62は、第一透明媒体621と、反射鏡622と、第二透明媒体623とを備えている。
【0067】
第一透明媒体621、反射鏡622及び第二透明媒体623は、それぞれ上記実施の形態1における第一透明媒体321、反射鏡322及び第二透明媒体323と同様構成要素である。第一透明媒体621と第二透明媒体623との間には、界面624が存在している。なお、必要とする光の指向性、およびコントラスト等に応じて、第二透明媒体623に拡散材を加えたり、あるいはND着色をすることができる。
【0068】
これら第一拡散板5及び第二拡散板6は、それぞれの反射鏡(322),622の延在方向を異ならせるようにして、換言すれば、反射鏡(322),622の凹面鏡部分による反射光の光軸を異ならせることにより、拡散の指向性を異ならせるようにして、重ね合せられている。より具体的には、第一拡散板5の反射鏡(322)の延在方向を垂直方向に沿って配設することにより、水平方向の拡散を行わせると共に、第二拡散板の反射鏡622の延在方向を水平方向に沿って配設することにより、垂直方向の拡散を行わせることができるように、第一拡散板5と第二拡散板6とが重ね合せられている。
【0069】
また、第二透明媒体623の出射面側には、反射鏡622の延在方向に沿って延びるブラックストライプ部63が、反射鏡622の繰返し形成方向に沿って、所定間隔をあけて繰返し形成されている。ブラックストライプ部63は、光吸収手段であり、黒色に形成されている。このブラックストライプ部63により、外乱光が吸収され、コントラスト向上が図られる。
【0070】
そして、所定の反射鏡622の凹面鏡部分により反射される光の焦点をFP2Iとし、それに隣接する反射鏡622の外面(背面)の凸面鏡部分により反射される光の実質的な放物面焦点をFP2とすると、その焦点FP2がブラックストライプ部63の隙間に配設されるように設定している。これにより、反射鏡622の凹面鏡部分により反射された後、その凸面により反射されて焦点FP2に達する光線については、ブラックストライプ部63で吸収されることがないようにしている。
【0071】
この第二拡散板6での光線の進路を説明する。上述したように、第一拡散板5を通過した光線L5は、垂直方向では平行光に近いので、側面図である図8においても、平行光線L5が入射すると考える。この場合、光線L5は、透明シート材61及び第一透明媒体621を通過して、反射鏡622において反射され当該反射鏡622に隣接する反射鏡622側(図8の上方)に進行方向を変える。反射鏡622の凹面鏡部分で反射された光線L5は、収束光となって進行し、界面624、次に第二透明媒体623の中を通過して隣接する反射鏡622の凸面鏡部分において反射されて進路を出射面側(図8の右方)に変える。そして、光線が第二透明媒体623を出る位置において焦点FP2を通過した後、ブラックストライプ部63の隙間を通って進行することで、第二拡散板6を通過した光線L6として出射する。
【0072】
この際、反射鏡622により反射される光の焦点FP2を、ブラックストライプ部63の間に配設するように設定し、より好ましくは、反射鏡622の形状を可及的に正確な放物面とすることにより、光線を焦点FP2に色収差の無い小さなスポットで集光することが好ましい。これにより、ブラックストライプ部63の隙間をできるだけ少なくして、換言すれば、スクリーン2Bの画面におけるブラックストライプ部63の占有面積比を大きくすることができ、コントラスト向上を図ることができる。
【0073】
上記ブラックストライプ部63は、焦点FP2を避けて、反射鏡622に対して正確な相対位置に設ける必要がある。第二透明媒体623の表面にブラックストライプ部63を形成する方法としては、特開2002−311211号公報や特開平9−120102号公報に開示の公知技術等を適用することができる。
【0074】
このように構成された背面投写スクリーン2Bによると、上記実施の形態1における効果に加えて、水平方向についても垂直方向についても、それぞれ独立して反射を利用した拡散を行え、より画像の鮮明化を図ることができるという利点がある。
【0075】
加えて、次のようにコントラストを改善させることができるという効果を奏する。
【0076】
すなわち、上述したようなブラックストライプ部63は、特開2002−311211号公報や特開平9−120102号公報にも開示されているように、基本的には、出射面側に配設されて、外部光を吸収することでコントラストを改善する。この点に関しては、本発明も、各公報に開示されたものも同様である。
【0077】
しかしながら、上記各公報では、ブラックストライプ部63の隙間から外部光が進入し、内部の拡散剤で反射されることとなるので、外部光によるコントラスト低下を有効に防止することはできない。
【0078】
ところが、本拡散シート3Bでは、第一拡散板5及び第二拡散板6における反射を利用して水平方向及び垂直方向の拡散を行っているので、第一拡散板5及び第二拡散板6における拡散剤を少なくし或は無くすることができる。通常、拡散剤が外部光の反射を起してコントラストの低下を引き起す。本実施の形態では、このような拡散剤を少なくし或は無くすることができるので、コントラストを改善することができる。なお、このブラックストライプ部63を上記実施の形態1における背面投写スクリーンに適用してもよい。
【0079】
特に、光線L2は拡散シート3の入射面側全体に略均質に入射するところ、ブラックストライプ部63は、拡散シート3の出射面側に設けられているため、光線L2の損失を有効に防止できる。
【0080】
さらに、次のようにして、正面輝度の向上及び調整を図ることができるという利点がある。
【0081】
すなわち、なるべく全ての投写光を反射鏡622の凹面鏡部分で反射させてその投写光を有効に利用するためには、界面624は透明シート材61の面方向に対して垂直に形成されていることが望ましい。ところが、製造技術上等の要因で、実際には、僅かな傾斜が付いてしまう。この傾斜分は、スクリーン2Bを正面視したときには、反射鏡622の隙間となって観察される。このため、光線L5は、当該反射鏡622の隙間を直線状に進行して、ブラックストライプ部63に達し吸収される。
【0082】
ここで、ブラックストライプ部63が無い構成を想定すると、光線L5がそのまま直進して光線L6として出射することになる。
【0083】
このため、スクリーン2Bの正面輝度を少しでも高くしたい場合には、この直進する光の達する部分(すなわち、出射面における界面624の投影部分)のブラックストライプ部63の部分を全部或は部分的に取除いてもよい。
【0084】
さらに、正面輝度を高くしたい場合には、上記構成を採用した上で、界面624の傾斜角度を大きくして、直進する光を増加させればよい。
【0085】
実施の形態3.
図9はこの発明の実施の形態3に係る背面投写スクリーンの側面図及びその使用形態を示す図である。
【0086】
この背面投写スクリーン2Cは、実施の形態1における拡散シート3に変えて、拡散シート7を備えている。その他、実施の形態1において説明したものと同様構成要素については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0087】
図10は、図9におけるスクリーン2Cの部分拡大図である。この拡散シート7では、光線の投写方向に向けて、透明シート71、拡散反射基材72及びブラックストライプ部73が配設されている。そして、投写された光線L1は、フレネルレンズシート4を通過してほぼ平行な光線L2となり、拡散シート7に向けて進行する。光線L2は、拡散シート7の入射面から内部に入射し、透明シート71及び拡散反射基材72を通過した後、各ブラックストライプ部73の隙間を通って光線L7として外部に出射される。そして、光線L2が拡散反射基材72を通過する際に、水平及び垂直方向に進路を広げるように拡散される。
【0088】
図11は拡散シート7の部分拡大側面図であり、図12は拡散シート7を入射面側から見た図である。なお、図12において、ブラックストライプ部73は簡単のため図示していない。
【0089】
拡散反射基材72は、第一透明媒体721と、反射鏡722と、第二透明媒体723とを備えている。また、各反射鏡722間であって、第一透明媒体721と第二透明媒体723との間には、界面724が設けられている。
【0090】
反射鏡722は、概略的には、画面の左右方向に長い略柱状を呈しており、画面上下方向に沿って画素寸法よりも小さい周期で繰返し形成されている。スクリーン2C上における上下方向の画素寸法は、スクリーンサイズと表示画像の画素数によって異なるが、一般的なスクリーン2Cにおける上下方向画素寸法は0.5〜1.0mm程度であり、例えば、反射鏡722は、画面上下方向に沿っておよそ0.1mmの周期で繰り返し形成される。
【0091】
反射鏡722の内面側の凹面鏡部分は、光線L2を水平方向焦点FP3H及び垂直方向焦点FP3Vに集光させるように構成されている。
【0092】
より具体的には、反射鏡722は、横軸方向が例えば入射面の左右方向に設定された放物柱面形状を呈する放物柱面鏡面部722Aと、回転軸方向が例えば入射面の法線方向に設定された回転放物面形状を呈する回転放物鏡面部722Bと、を有している(図12参照)。これら放物柱面鏡面部722A及び回転放物鏡面部722Bは、反射鏡722の長手方向に沿って交互に繰返し形成されており、その繰返し周期は、その繰返し方向である水平方向画素寸法よりも小さいことが好ましい。また、隣合う反射鏡722同士の関係では、放物柱面鏡面部722A及び回転放物鏡面部722Bが半周期ずらすように配設されており、隣合う反射鏡722においては、放物柱面鏡面部722Aと回転放物鏡面部722Bとが対向し合うようになっている。
【0093】
放物柱面鏡面部722Aは、垂直方向に光を集光し拡散する要素である。ここで、当該放物柱面鏡面部722Aの放物面焦点をFP3VIとすると、隣接する反射鏡722(より具体的には回転放物鏡面部722B)の外面(背面)の凸面鏡部分での反射により、該焦点FP3VIは、ブラックストライプ部73の隙間部に実質的な焦点FP3Vとして配設されるように設定されている。
【0094】
即ち、この放物柱面鏡面部722Aは、上記実施の形態1及び2における反射鏡322,622と同様原理、作用にて、光L2を垂直方向に拡散する機能を有している。
【0095】
回転放物鏡面部722Bは、水平方向及び垂直方向に光を集光し拡散する要素であり、反射鏡722に対して、単純な柱状の放物面を元にして部分的に所定の回転放物面となるような凹凸形状を加えることにより形成されている。回転放物鏡面部722Bは、上記水平方向焦点FP3H及び垂直方向焦点FP3Vを通過する直線を回転軸とする回転放物面となるように形成されている。
【0096】
この回転放物鏡面部722Bは、光L2を水平方向及び垂直方向に拡散する機能を有している。
【0097】
この鏡面部722に入射する光の進路について説明する。
【0098】
まず、光線L2が、例えば、回転放物鏡面部722Bのほぼ中心の点P1において直角に反射された場合には、焦点FP3Hに向って進行し、隣接する反射鏡722(より具体的には放物柱面鏡面部722A)の外面側の凸面鏡部分で反射されて概ね直角に進路を曲げられて焦点FP3Vに向って進行し、ブラックストライプ部73の隙間を通過して、光線L7として出射される。
【0099】
次に、画面に対する所定の垂直面において、上記点P1に達する光線L2を基準にして画面上下方向(図11における上下方向)の異なる位置から拡散反射基材72に達した光は、例えば、放物柱面鏡面部722Aの点P5或は回転放物鏡面部722Bの点P3において反射された後、それぞれ隣接する反射鏡722の凸面鏡部分における点P6或は点P4において再度反射され、何れも概ね焦点FP3Vを通過するように進行し、該焦点FP3V通過後拡散される。これにより、光線L2は、垂直方向に拡散されることとなる。
【0100】
一方、画面に対する所定の水平面において、上記点P1に達する光線L2を基準にして画面左右方向(図11において手前方向と奥行方向)に異なる位置から進行する光は、回転放物鏡面部722Bで反射された後、焦点FP3Hの近傍において左右方向の広がりに関して一点に集光されつつ、隣接する反射鏡722(より具体的には放物柱面鏡面部722A)で概ね直角に反射されて、水平方向に拡散しつつ焦点FP3Vに向かって進行する。このようにして、光線L2は水平方向に拡散されることとなる。
【0101】
別観点から説明すると、投写光線L2は、様々な画像パターンについて平均すると、拡散反射基材72の入射面に向けて概ね一様な分布で投写されると考えられる。
【0102】
そして、光線L2のうち、放物柱面鏡面部722Aに達した光線は、その内面(例えば、点P5)で反射され、隣接する回転放物鏡面部722Bの背面(例えば点P6)で再度反射されて、拡散反射基材72の出射面から出射する。この際、光は、画面の上下方向に拡散されることになる。
【0103】
そして、光線L2のうち回転放物鏡面部722Bに達した光は、その内面(例えば、点P1,P3)で反射され、隣接する放物柱面鏡面部722Aの背面(例えば、点FP3H,P4)で再度反射されて、拡散反射基材72の出射面から出射する。この際、光は画面の垂直方向及び水平方向に拡散されることとなる。
【0104】
図13は、拡散シート7を出射面側から見た図である。同図に示すように、拡散反射基材72の出射面には、実施の形態2において説明したのと同様構成のブラックストライプ部73が形成されている。また、上述した放物柱面鏡面部722Aの焦点であるFP3Vは、ブラックストライプ部73の隙間において線状に並ぶように設定されている。
【0105】
拡散反射基材72の入射面より進行した投写光線は、全て焦点FP3V又はその近傍を通過して出射する。ほぼ全ての光線が通過できる範囲内で、ブラックストライプ部73の隙間をできるだけ狭くすることで、コントラストを良好にすることができる。ブラックストライプ部73の隙間を通過する光は、画面の上下および左右方向に広がりを持って進行する。
【0106】
この拡散シート7全体の光拡散特性についてより詳細に説明する。
【0107】
拡散シート7の出射面において、第二透明媒体723から外部の空気に向けて光が進行するときには、屈折の法則により光の進行方向が変化する。このため、当該変化量を考慮して拡散シート7の指向性が設定される。
【0108】
拡散シート7の出射面の法線方向と、光の進行方向とがなす角度を、拡散シート7の透明媒体においてθ1、拡散シート3を出射した空気側においてθoutとし、第一透明媒体721及び第二透明媒体723の屈折率をN1とする。この場合、屈折の法則により、N1×SIN(θ1)=SIN(θout)の関係式が成立する。但し、空気の屈折率を1としている。
【0109】
ここで、透明媒体の屈折率N1が仮に1.5と考えた上で、例えば、画面左右方向における光分布の半値全幅90度、画面上下方向における光分布の半値全幅40度の広がりを持たせる条件を考える。この場合、光分布が半値になる方向の光線について考えると、θoutが各々の方向で半値半幅である45度、および20度であればよい。すると、媒体内では、前記関係式から、θ1が左右方向に半値半幅28度、上下方向に13度であればよいと導き出される。
【0110】
左右方向については、回転放物鏡面部722Bによる拡散を考えればよいから、該回転放物鏡面部722Bによる回転軸方向広がりが、上記例では、28×2=56であるから全幅56度となるように設定する。
【0111】
また、上下方向については、主として放物柱面鏡面部722Aによる拡散を考えればよく、該放物柱面鏡面部722Aの集光角度が13×2=26になるように、全幅26度となるように設定する。
【0112】
このとき、放物柱面鏡面部722Aのうち、回転放物鏡面部722Bによる再反射を考慮した上で斜め上方向に出射する光線を反射する領域部分を広くすることで、画面の上方から見る場合と下方から見る場合の光の強さを異なるようにすることも可能である。例えば、図11及び図12において、P1から点P3を見る方向に放物柱面鏡面部722Aを広く設けることにより(換言すれば、主として上下方向への拡散機能を持つ放物柱面鏡面部722Aのうち下半部をその上半部より広く設けることにより)、例えば、図11において点画面のやや上向きの方向に光の拡散を多くすることもできる。
【0113】
このように、放物柱面鏡面部722Aや回転放物鏡面部722Bの形状や占有比等を適宜調整することにより、必要とする指向性(拡散性)を得ることが可能である。
【0114】
なお、この拡散シート7において、シンチレーションを軽減する、あるいはコントラストを一層改善するために、上記実施の形態1において説明したのと同様に、第二透明媒体723について、拡散剤を混合する、ND着色を行う、反射低減手段を付加するなどしてもよく、また、他の方法として、ブラックストライプ73部の前面側にND着色板(図示せず)を接合してもよい。
【0115】
また、上記の説明で用いた反射鏡722の形成サイズ周期の寸法や半値角度、第一透明媒体721および第二透明媒体723の屈折率N1は、上記の数値に限られるものではなく、例えば、上記各数値付近の数値であっても構わないのは言うまでもない。
【0116】
このように構成された背面投写スクリーンや拡散シート7によると、上記実施の形態1で述べた効果に加えて次の効果を奏することができる。
【0117】
すなわち、拡散シート7の反射鏡722により、光を複数方向に拡散させるようにしているため、一枚の拡散シート7による反射を利用した拡散を行える。従って、比較的簡易な構成により、複数方向について、屈折により発生する反射光によるゴーストや画像のボケを防止することができ、画像の鮮明化に寄与する。
【0118】
また、このような拡散シート7は、上記実施の形態1で説明したのと同様に、連続的な工程で行うことにより、無駄な作業を少なくして、短時間で、従って安価に製造できる。
【0119】
すなわち、柔軟なロール状の材料で形成した透明シート71を用い、この透明シート71の一主面上に、ローラー状の回転型(図示せず)とUV成型樹脂などにより、第一透明媒体721の形成を行うことができる。この際、スクリーンの左右方向に長いシート材を準備し、画面高さ以上の幅の回転型を使用することにより、画面の左右で連続的に連なる透明シート71及び第一透明媒体721を連続的に製造することができる。
【0120】
特に、本実施の形態3の構成によると、反射鏡722は画面左右方向に延在し、上記シート材において幅方向に延在するように設けられることととなるので、従来技術や実施の形態1に係る構成であるところの画面の上下方向に柱状のレンズや鏡を有する構成と比較すると、回転型の製造が容易である。
【0121】
また、通常、画面の高さは幅の3/4、または9/16であるので、画面の幅寸法に合わせた軸方向寸法を持つ小型の回転型を使用することが可能であり、従って安価な設備により製造できる利点がある。
【0122】
{変形例}
なお、上記実施の形態1〜3において、上記反射鏡322,622,722は、小面積の平面で近似された曲面によって構成されていてもよい。また、回転放物鏡面部722Bの回転中心を該回転放物鏡面部722Bに近づけてその曲率を小さくすると共に、1つの回転放物鏡面部722Bの面積を小さくすることによって、放物柱面鏡面部722Aからの回転放物鏡面部722Bの凹凸量を少なくするようにしてもよい。
【0123】
これらの場合、反射鏡322,622,722を製造するための回転型の製造を容易にできる。
【0124】
また、上述した反射鏡322,622,722の形状以外にも、焦点を有する形状であれば、当該反射鏡322,622,722の構成要素として採用することができる。
【0125】
さらに、フレネルレンズシート4は拡散シート3,6,7と別体としたが、それらが一体として構成されていてもよい。この場合には、透明シート31,61,71の入射面側に、フレネルレンズ型(図示せず)とUV樹脂によりフレネルレンズを成型することにより、背面投写スクリーン2,2B,2C全体を一枚構成とすることができる。
【0126】
【発明の効果】
以上のように、この発明の背面投写スクリーン用拡散構造板によると、入射光線は、第一反射手段によって略一点又は略一線に集光した後拡散される。このように、主として光の反射を利用して光線を拡散させているので、素材の屈折率波長分散に起因する色収差による色のずれや、屈折に合わせて発生する反射光によるゴーストや画像のボケを防止することができ、画像の鮮明化に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1に係る背面投写スクリーンの側面図である。
【図2】 同上の背面投写スクリーンの部分拡大図である。
【図3】 拡散シートを上方から見た部分拡大図である。
【図4】 拡散反射基材の製造方法を説明するための図である。
【図5】 拡散反射基材の製造方法を説明するための図である。
【図6】 実施の形態2に係る背面投写スクリーンの側面図である。
【図7】 同上の背面投写スクリーンの部分拡大図である。
【図8】 第二拡散板を側方から見た部分拡大図である。
【図9】 実施の形態3に係る背面投写スクリーンの側面図である。
【図10】 同上の背面投写スクリーンの部分拡大図である。
【図11】 拡散シートの部分拡大側面図である。
【図12】 拡散シートを入射面側から見た図である。
【図13】 拡散シートを出射面側から見た図である。
【符号の説明】
2 背面投写スクリーン、3 拡散シート、4 フレネルレンズシート、32 拡散反射基材、33 ND着色板、34 反射低減部材、321 第一透明媒体、322 反射鏡、323 第二透明媒体。
Claims (17)
- 光線を拡散させるための背面投写スクリーン用拡散構造板であって、
光線が入射される入射面と光線が出射される出射面との間で、画面の垂直方向又は水平方向における断面形状が放物線形状を呈する凹面鏡部分を有し入射光線を略一点又は略一線に集光させる第一反射手段を、少なくとも一方向に沿って、同じ側に光線を反射するように、隣合わせて繰返し形成した、背面投写スクリーン用拡散構造板。 - 背面投写スクリーンにて光線を拡散させるための拡散構造板であって、
光線が入射される入射面と光線が出射される出射面との間で、画面の垂直方向又は水平方向における断面形状が放物線形状を呈する凹面鏡部分を有し入射光線を略一点又は略一線に集光させる第一反射手段を、少なくとも一方向に沿って、同じ側に光線を反射するように、隣合わせて繰返し形成した複数の拡散板を備え、
それぞれの拡散の指向性を異ならせるようにして、複数の前記拡散板が重ね合せられた、背面投写スクリーン用拡散構造板。 - 背面投写スクリーンにて光線を拡散させるための拡散構造板であって、
光線が入射される入射面と光線が出射される出射面との間で、画面の垂直方向又は水平方向における断面形状が放物線形状を呈する凹面鏡部分を有し入射光線を略一点又は略一線に集光させる第一反射手段を、少なくとも一方向に沿って、同じ側に光線を反射するように、隣合わせて繰返し形成した拡散板を備え、
第一反射手段は、拡散の指向性を異ならせた複数種の反射領域が繰返し形成されてなる、背面投写スクリーン用拡散構造板。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の背面投写スクリーン用拡散構造板であって、
前記第一反射手段は、その繰返し方向における画素寸法よりも小さい周期で繰返し形成された、背面投写スクリーン用拡散構造板。 - 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の背面投写スクリーン用拡散構造板であって、
前記第一反射手段により反射される光線の主軸方向を前記出射面の法線方向に曲げる第二反射手段をさらに備えた、背面投写スクリーン用拡散構造板。 - 請求項5記載の背面投写スクリーン用拡散構造板であって、
湾曲する反射鏡の内側の凹面鏡部分が前記第一反射手段であり、前記反射鏡の外側の凸面鏡部分が前記第二反射手段であり、
所定の前記第一反射手段で反射された光線が、その隣の前記反射鏡の第二反射手段で反射される、背面投写スクリーン用拡散構造板。 - 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の背面投写スクリーン用拡散構造板であって、
前記第一反射手段は、焦点を持つ2次曲面形状に形成された部分を有している、背面投写スクリーン用拡散構造板。 - 請求項1〜請求項7のいずれかに記載の背面投写スクリーン用拡散構造板であって、
投写される光線の非通過領域に、光吸収手段を設けた、背面投写スクリーン用拡散構造板。 - 請求項8記載の背面投写スクリーン用拡散構造板であって、
前記光吸収手段は、前記出射面側に設けられている背面投写スクリーン用拡散構造板。 - 請求項1〜請求項9のいずれかに記載の背面投写スクリーン用拡散構造板であって、
光の拡散剤を混合した透明部分を有する、背面投写スクリーン用拡散構造板。 - 請求項1〜請求項10のいずれかに記載の背面投写スクリーン用拡散構造板であって、
前記反射手段は、金属膜によって構成されている、背面投写スクリーン用拡散構造板。 - 請求項1〜請求項11のいずれかに記載の背面投写スクリーン用拡散構造板であって、
前記入射面及び前記出射面の少なくとも一方側に、反射低減手段が設けられた、背面投写スクリーン用拡散構造板。 - 請求項1〜請求項12のいずれかに記載の背面投写スクリーン用拡散構造板であって、
ND着色層をさらに備えた、背面投写スクリーン用拡散構造板。 - 請求項1〜請求項13のいずれかに記載の背面投写スクリーン用拡散構造板であって、
前記第一反射手段及び前記第二反射手段の少なくとも一方が、透明媒体中に包含されるように形成されている、背面投写スクリーン用拡散構造板。 - 請求項1〜請求項14のいずれかに記載の背面投写スクリーン用拡散構造板であって、
前記入射面及び前記出射面の少なくとも一方は、平坦な領域を有している、背面投写スクリーン用拡散構造板。 - 請求項1〜請求項14のいずれかに記載の背面投写スクリーン用拡散構造板の前記入射面を平坦に形成し、その入射面側にフレネルレンズを設けた、背面投写スクリーン。
- 請求項1〜請求項15のいずれかに記載の背面投写スクリーン用拡散構造板であって、
前記入射面又は前記出射面の少なくとも一方側に、平面部材を接合一体化した、背面投写スクリーン用拡散構造板。
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