JP4384336B2 - ピストンピンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、農耕機械、航空機等に使用されるレシプロ型内燃機関において、ピストンとコネクティング・ロッドとを連結するのに使用されるピストンピンの製造方法に係り、詳しくは加工性に優れていて、製造コストを低減することができるピストンピンの製造方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
この種のピストンピンとして、例えば棒鋼、条鋼を冷間鍛造してなる、中空穴51を有するピストンピン・ブランク50(図6参照)を使用して製造したものが知られている。このピストンピンには、ピストン及びコネクティング・ロッドに組み付ける際に、組付けがスムーズに行えるようにするため、ピストンピンの軸線方向両端(長さ方向両端)の角部分にテーパやアールが付けられている。
【0003】
このようにテーパやアールを付けたピストンピンの製造方法として、例えばピストンピン・ブランク50に機械加工を施して、全長を所望の寸法に仕上げると共に、軸線方向両端の角部分に図7に示すようにテーパ部52を設けるか、或いは図8に示すようにアール53を設け、しかる後、必要な熱処理及び外径の仕上げ研削を施すようにしている。
【0004】
しかし、この機械加工による製造方法では、切削、研削加工数が多く、製造コストが高騰化する問題がある。
【0005】
一方、図9及び図10に示すように、ピストンピン・ブランク50を、上型54、下型55からなるダイス56にセットして、冷間鍛造により上型54、下型55にそれぞれ設けたアール部Rをピストンピン・ブランク50の軸線方向両端角部分に転写する(アール部Rに沿うようにピストンピン・ブランク50の軸線方向両端の角部分を塑性変形する)と共に、ピストンピンに要求される全長に仕上げる方法が知られている。
【0006】
しかし、冷間鍛造によりピストンピンを製造する場合、ピストンピン・ブランク50の軸線方向両端の角部分の材料は余分であり、ピストンピン・ブランク50を塑性変形する過程で余分な材料が他の部分に逃げて、この結果、ピストンピン・ブランク50の中空穴51の内径が縮小すると共に、上型54と下型55との合わせ面の間隙57に相当するピストンピン・ブランク50の外周面箇所にバ58が生じる。このため、冷間鍛造後にピストンピン・ブランク50の外周面及び中空穴51の内周面を機械加工して、バリ58を除去し、縮小した中空穴を元の内径に戻すことが必要となるが、これら機械加工は上述したピストンピンの製造方法で行う機械加工に比して手間が係り、かえって製造コストが高騰化する問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、切削、研削等の機械加工による仕上げを必要とせずに、塑性加工のみでピストンピンを製造する方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、ピストンとコネクティング・ロッドとを連結する、中空穴を有するピストンピンに、該ピストンピンの軸線方向両端(長さ方向両端)の角部分に塑性加工によりアール又はテーパを付すようにした、ピストンピンの製造方法において、軸線方向両端部分での肉厚が他の部分の肉厚よりも薄くなるように予め加工した、ピストンピン・ブランクを使用し、該ピストンピン・ブランクの軸線方向両端の角部分に、塑性加工によりアール又はテーパを付することを特徴とする。
【0009】
ピストンピンに加工されるピストンピン・ブランクを、塑性加工前にその軸線方向両端部分(長さ方向両端部分)での肉厚が他の部分での肉厚よりも薄く形成する方法としては、例えばピストンピン・ブランクの軸線方向両端部に、段部を介して中空穴の内径よりも大きい内径の穴を予め形成する方法と、順次内径が小さくなり、最小径部の内径が中空穴の内径と等しい、テーパ穴を予め形成する方法と、段部を介して中空穴の内径よりも大きい内径の穴と、最大径部の内径が該穴の内径と等しく、最小径部の内径が中空穴の内径と等しいテーパ状の穴とを、予め形成する方法とがある。
【0010】
本発明の方法によれば、ピストンピン・ブランクの軸線方向両端部分(長さ方向両端部分)での肉厚を他の部分に比して薄くしてあるので、この軸線方向両端の角部分に塑性加工によりアール又はテーパを付しても、ピストンピン・ブランクの軸線方向両端部分での肉厚と他の部分での肉厚が等しい従来の場合のように余分な材料を角部分から逃がす必要はなく、塑性変形は角部分だけであり、他の部分では塑性変形が生じるおそれはなく、この結果、ピストンピン・ブランクの中空穴の内径が縮小したり、外周面にバリが生じたりするおそれはない。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施例について添付図面を参照して説明する。
【0012】
図1乃至図5に本発明のピストンピンの製造方法の一実施例を示す。図1は本発明の方法に使用するピストンピン・ブランクの縦断面図、図2は図1に示すピストンピン・ブランクの変形例を示す縦断面図、図3は図1に示すピストンピン・ブランクの別の変形例を示す縦断面図、図4は図1に示すピストンピン・ブランクを塑性加工(冷間鍛造)する過程を説明するための図であって、ピストンピン・ブランクをダイス内にセットした状態を説明縦断面図、図5は図1に示すピストンピン・ブランクを塑性加工(冷間鍛造)する過程を説明するための図であって、ダイスのアール部によりピストンピン・ブランクの軸線方向両端の角部分を面取した(アールを付した)状態の説明縦断面図である。
【0013】
本実施例では、図1に示す、中空穴11を有するピストンピン・ブランク10を使用する。このピストンピン・ブランク10は、例えば棒鋼、条鋼を冷間鍛造することにより製造され、その軸線方向両端(長さ方向両端)部分に、段部12を介して中空穴11の内径よりも大きい内径を有する穴13がそれぞれ形成される。
【0014】
この穴13により、ピストンピン・ブランク10の軸線方向両端部分の肉厚が他の部分の肉厚よりも薄くなる。穴13の内径(ピストンピン・ブランク10の軸方向両端部分での肉厚P)と穴13の深さS(図4参照)は、ピストンピン・ブランク10の軸線方向両端の角部分に形成するアール14(図5参照)の大きさより決まる。アール14を大きく取る場合には、穴13の内径及び深さSを大きくするか、又は深さSを一定にして内径を大きくするか或いは内径を一定にして深さSを大きくする。
【0015】
次に図4及び図5を参照してピストンピン・ブランク10を冷間鍛造してピストンピンを製造する方法について説明する。
【0016】
冷間鍛造に使用するダイス20は、上型21と下型22とからなり、これら上型21と下型22にピストンピン・ブランク10の直径よりも僅かに大きい直径を有するキャビティ23,24がそれぞれ形成され、これらキャビティ23,24の底部に隅部にアール部Rがそれぞれ形成されている。ダイス20については従来の製造方法で使用するものと何ら変わらない。
【0017】
先ず、図4に示すように、ピストンピン・ブランク10を下型22のキャビティ24内に挿入する。これにより、ピストンピン・ブランク10のほぼ下半分はキャビティ24内に収まる。次いで、油圧シリンダ(図示せず)等により、上型21を下型22に対して下降させると、この下降の過程で上型21のキャビティ23内にピストンピン・ブランク10の上半分が収まり、更に上型21を下型22に対して所定の圧力で下降限界位置まで下降させると、図5に示すようにキャビティ23,24のアール部Rにならうようにしてピストンピン・ブランク10の軸方向両端の角部分が塑性変形によって面取りされる(アール14が付される)と共に、ピストンピン・ブランク10の全長が所定の長さLに形成される。
【0018】
冷間鍛造時、ピストンピン・ブランク10の軸線方向両端部分で塑性変形が生じるが、その他の部分では塑性変形は生じない。したがって、中空穴11の内径が縮小したり、ピストンピン・ブランク10の外周面(上型21と下型22との合わせ面の間隙に相当する箇所25)にバリが生じたりするおそれはなく、冷間鍛造終了後、ダイス20から取り出したピストンピン・ブランク10は仕上げ加工を施すことなく、そのままピストンピンとして使用することができる。
【0019】
本実施例では上述したようにピストンピン・ブランク10を冷間鍛造するだけでピストンピンを製造することができる。
【0020】
製造されたピストンピンは、その軸線方向両端の角部分が面取りされて(アール14が付されて)いることから、ピストン及びコネクティング・ロッドの取付穴内にスムーズに挿入することができて、ピストンとコネクティング・ロッドとの連結作業が効率よく行われる。また、ピストンピンの軸方向両端部分には元々余り専断応力が作用せず、肉厚を薄くした後、面取りを行っても(アール14を付しても)何ら支障がない上に、面取りしないて(アール14を付さない)ピストンピンに比して軽量化を図ることができる。
【0021】
図2は図1に示すピストンピン・ブランク10の変形例を示しており、穴13の代わりに、ピストンピン・ブランク10の軸線方向両端部分に例えば冷間鍛造によりテーパ穴15をそれぞれ形成している。このテーパ穴15は、中空穴11と同軸で、ピストンピン・ブランク10の軸線方向両端で最大径となり、ピストンピン・ブランク10の中央部分に向かって順次内径が小さくなる。テーパ穴15の最小径部分は中空穴11の内径と略等しい。テーパ穴15の最大径及び深さは、面取りする大きさにより決まり、大きく面取りする場合、最大径及び深さを大きくするか、又は最大径或いは深さの何れか一方を大きくする。
【0022】
テーパ穴15により、ピストンピン・ブランク10の軸線方向両端部分の肉厚が他の部分の肉厚よりも薄くなる。
【0023】
テーパ穴15を有する、ピストンピン・ブランク10の場合も図4及び図5に示すようにして、冷間鍛造を施すことによりピストンピンに加工することができる。この場合も冷間鍛造の過程でピストンピン・ブランク10の軸線方向両端部分で塑性変形が生じるが、その他の部分では塑性変形は生じない。したがって、中空穴11の内径が縮小したり、ピストンピン・ブランク10の外周面にバリが生じたりするおそれはなく、冷間鍛造終了後、仕上げ加工を施すことなく、そのままピストンピンとして使用することができる。
【0024】
図3は図1に示すピストンピン・ブランク10の別の変形例を示しており、穴13の代わりに、ピストンピン・ブランク10の軸線方向両端部分に、例えば冷間鍛造により、穴16をそれぞれ形成している。各穴16は、それぞれ、中空穴11よりも内径の大きな穴部分17と、この穴部分17と連続し、最大径が穴部分17の内径と等しく、ピストンピン・ブランク10の中央部分に向かって順次内径が小さくなるように形成したテーパ穴部分18とからなる。テーパ穴部分18の最小径部分は中空穴11の内径と略等しい。
【0025】
この穴18により、ピストンピン・ブランク10の軸線方向両端部分の肉厚が他の部分の肉厚よりも薄くなる。
【0026】
穴16を有する、ピストンピン・ブランク10の場合も図1、図2に示すピストンピン・ブランク10の場合と同様に、冷間鍛造を施すことによりピストンピンを製造することができ、仕上げ加工を施す必要がない。
【0027】
上記実施例では、ピストンピン・ブランク10の軸線方向両端の角部分を面取りした(アール14を付した)場合を示したが、このアール14の代わりにテーパを設けてもよいことは勿論である。
【0028】
本発明では、軸線方向両端部分での肉厚が他の部分よりも薄くしたピストンピン・ブランク10を使用する点に特徴を有するものであり、ピストンピン・ブランク10として図1乃至図3に示すものに限定されるものではない。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ピストンピン・ブランクを、塑性加工前にその軸線方向両端部分での肉厚を他の部分の肉厚よりも薄くなるように、予め加工するようにしているので、塑性加工のみでアール(テーパ)を付してピストンピンを製造することができ、冷間鍛造後に仕上げの機械加工を施さなくても済む。また、機械加工のみでピストンピン・ブランクからピストンピンを製造する場合や、ピストンピン・ブランクを冷間鍛造した後、機械加工で仕上げをしてピストンピンを製造する場合に比して、製造コストを大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に使用するピストンピン・ブランクの縦断面図である。
【図2】図1に示すピストンピン・ブランクの変形例を示す縦断面図である。
【図3】図1に示すピストンピン・ブランクの別の変形例を示す縦断面図である。
【図4】図1に示すピストンピン・ブランクを塑性加工(冷間鍛造)する過程を説明するための図であって、ピストンピン・ブランクをダイス内にセットした状態を説明縦断面図である。
【図5】図1に示すピストンピン・ブランクを塑性加工(冷間鍛造)する過程を説明するための図であって、ダイスのアール面取りによりピストンピン・ブランクの軸線方向両端の角部分を面取してアールを付した状態の説明縦断面図である。
【図6】従来のピストンピンを製造するのに使用するピストンピン・ブランクの縦断面図である。
【図7】図6のピストンピン・ブランクを機械加工して製造したピストンピンの縦断面図である。
【図8】図6のピストンピン・ブランクを機械加工して製造した、別のピストンピンの縦断面図である。
【図9】図6のピストンピン・ブランクを冷間鍛造してピストンピンを製造する過程を説明する図であって、ピストンピン・ブランクをダイス内にセットした状態の説明縦断面図である。
【図10】図6のピストンピン・ブランクを冷間鍛造してピストンピンを製造する過程を説明する図であって、冷間鍛造の過程でバリが生じた状態の説明断面図である。
【符号の説明】
10 ピストンピン・ブランク 18 テーパ穴部
11 中空穴 20 ダイス
12 段部 21 上型
13,16 穴 22 下型
14 アール 23,24 キャビティ
15 テーパ穴 R アール部
17 穴部分
Claims (3)
- ピストンとコネクティング・ロッドとを連結する、中空穴を有するピストンピンに、該ピストンピンの外周の軸線方向両端の角部分に塑性加工によりアール又はテーパを付すようにした、ピストンピンの製造方法において、
前記ピストンピン・ブランクの軸線方向両端部に、前記中空穴の内径よりも大きい内径の円筒形穴を予め形成することにより、前記ピストンピン・ブランクの軸線方向両端部分の肉厚を他の部分での肉厚よりも薄くなるように予め加工した、ピストンピン・ブランクを使用し、該ピストンピン・ブランクの軸線方向両端の角部分に、塑性加工によりアール又はテーパを付することを特徴とする、ピストンピンの製造方法。 - 請求項1に記載のピストンピンの製造方法にして、
前記円筒形穴に隣接して、最大径部の内径が前記円筒形穴の内径と等しく、最小径部の内径が前記中空穴の内径と等しい、テーパ状の穴を、予め形成する、ピストンピンの製造方法。 - 請求項1又は2に記載のピストンピンの製造方法にして、
前記塑性加工は冷間鍛造であることを特徴とする、ピストンピンの製造方法。
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