JP4382480B2 - γ−ブチロベタインを含んで成る医薬組成物 - Google Patents

Description

本発明は、特に哺乳類における性活動及び性交能を正常化し、そして刺激するために、既知の医薬剤及びそれを含んで成る組成物の二次的医療使用に関する。本発明は、組合して予測できないレベルの薬理学的活性を示す既知物質の新規効果を開示する。特に、３−（２，２，２−トリメチルヒドラジニウム）プロピオネート（THP）又はホスホジエステラーゼインヒビターと組合せて、γ−ブチロベタイン（GBB）を活性成分として含んで成る医薬組成物が開示される。

GBB（アクチニン）、すなわち哺乳類生物におけるカルニチンの合成における中間体は、最初に、弛緩期における呼吸頻数、唾液過多及び涙液分泌、瞳孔散大、血管収縮及び心停止を包含する毒性物質として特徴づけられる（Linneweh W. Z physiol. Chem. 1929; 42: 181）。さらなる研究は、GBBの毒性が非常に低いことを示した（LD₅₀＝7000mg/kg物質）（Rotzsch W, Lorenz I, Strack E. Acta bio med ger 1959; 3: 28-36）。GBBの心血管効果が、アセチルコリンの効果に比較されたが（Hosein EA, McLennan H. Pharmacological action of gamma-butyrobetaine. Nature 1959; 183: 328）、しかし後に、そのデータは、実際、GBBメチルエステルの効果を調査した同じ著者により否認された。

もう１人の研究者は、GBBが薬理学的に不活性であることを支持した（Hosein EA, Proulx P. Isolation and probable functions of betaine esters in brain metabolism. Nature 1960 ; 187: 321. Burgen ASV, Hobiger F. Brit J Pharmacol. 1949 ; 4: 229. Strack E, Foesterling K. Z physiol Chem. 1, 953 ; 295: 377）。

これに反して、ラジカルスキャベンジャー性質（Akahira M, Hara A, Abiko Y. Effect of MET-88, a gamma-butyrobetaine hydroxylase inhibitor, on myocardial derangements induced by hydrogen peroxide in the isolated perfused rat heart. Fundam Clin Pharmacol. 1997; 11 (4): 356）及び心臓保護活性（Kalvins I, Veveris M. Latvian patent Nr. 11727）が、後に、GBBに関して示されている。活性成分としてGBBを含んで成る医薬組成物がカルニチン欠失の処理のために有用であることがまた開示されている（Cavazza C. Pharmaceutical composition comprising gamma-butyrobetaine. UK Patent Application GB 2 091 101 (1982)）。哺乳類の性活動及び性交能に対するGBBの影響に対するデータは存在しない。

３−（２，２，２−トリメチルヒドラジニウム）プロピオネート（THP）はまた、薬剤ミルドロネート又はクオテリンとしても知られている（イギリス特許第2105992号）。それは、カルニチン生合成を妨げ、そして結果的に、ミトコンドリア膜を通しての長鎖脂肪酸の輸送を制限する（Simkhovich BZ, Shutenko ZV, Meirena DV et al. 3- (2, 2,2-trimethylhydrazinium) propionate (THP)-a novel γ-butyrobetaine inhibitor with cardioprotective properties. Biochem Pharmacol 1988 ; 37: 195）。従って、それは、異なった起源の虚血性疾患における代謝性中和剤として、及び低酸素症状態における細胞保護剤として適用を見出している。

３−（２，２，２−トリメチルヒドラジニウム）プロピオネート及びγ−ブチロベタインを含む、心臓血管疾患の処理のための医薬組成物がラトビア特許LV11728号に開示されている。
しかしながら、哺乳類における性活動及び性交能に対する３−（２，２，２−トリメチルヒドラジニウム）プロピオネート（THP）、又は他の物質とそれとの組合せの影響に対するデータは存在しない。

本発明者は、驚くべきことには、γ―ブチロベタイン及び/又はTHPが実験動物において性活動の実質的及び長期継続性の上昇を誘発することを発見した。さらに、両物質の組合せが構成物質の個々よりも腔内圧のより長期且つ高い上昇をもたらす。さらに、GBB又はそれとTHPとの組合せは、反射刺激により誘発される、静脈内圧に対して正の影響を発揮する。従って、本発明者は、GBB又はそれとTHPとの組合せが哺乳類の性活動及び性交能の両者の刺激のために有用であることを、意外には発見した。この活性は、脂肪酸ターンオーバーに対するGBB及び/又はTHPの既知の効果、又は前記物質の他の既知の生理学的効果に寄与され得ない。

哺乳類の性活動に対するGBB、THP及びそれらの組合せの薬理学的効果が、生理学的低下の状態においてラットの交接挙動性に基づくモデルにより調べられた。
実験は、300〜330gの初期体重を有する両性別の成熟Wistarラットに対して行われた。実験の間、動物は６匹のグループで標準のカゴに維持された。飼料は標準化された規定食R70（LABFOR, Lactamin AB, Sweden）であった。室温は21〜23℃、65±10％の相対湿度、12時間の明/暗サイクルで維持された。実験の前、１週間、ラットによる平均水消費は、それらの体重質量の8.2〜12％（平均10％）であることが確立された。

雄のラットは、４つのグループ（個々は６匹の動物から成る）にランダムに分配され、そして次の水溶液により６週間、適用された：
グループ１（対照グループ）−いずれの添加物を含まない飲料水；
グループ２（GBBグループ）−飲料水はγ−ブチロベタイン（0.015重量％）により補充され、15mg/kgの毎日の平均γ−ブチロベタイン摂取をもたらし；
グループ3(THPグループ)−飲料水はTHP（0.06重量％）により補充され、60mg/kgの毎日の平均THP摂取をもたらし；
グループ４（GBB＋THPグループ）−飲料水はTHP（0.06重量％）及びγ−ブチロベタイン（0.015重量％）により補充され、60mg/kgの毎日の平均THP摂取及び15mg/kgのγ−ブチロベタイン摂取をもたらした。

雄ラットの交接活動が４度、試験された：すべての動物が添加物を含まない飲料水を受ける場合、物質摂取の中断の１週間後、４週間後、６週間後及び48〜50時間後。
試験を10〜12a.m.で行った。１つのグループ中の６匹の雄ラットは、清浄した、十分に照明されたカゴ（ボックス）中に配置された。５分の適合期間の後、２匹の雌ラットを10分間、ボックス中に配置した。個々の雄ラットについて、次のデータを集めた：

１）交接強度（露出期間の間の交接の数）；
２）遅延時間の別々の表示を伴っての刺激期間−雄ラットが雌ラットに興味を示すまでの期間、及び露出期間の間、接近/背乗り試みの数；
３）性交後の期間−雌の除去の後、５分間の雄ラットの行動。性交後行動は、次のマークにより特徴づけられた：0−動物は受動性で、横たわる；１−ラットは静かで、身づくろいをする；２−ラットは移動し、発情する；３−動物は活動的で、攻撃的である。

使用される雌ラットは、試験の48時間前、0.1％エストラジオールジプロピオネート0.2mlのi.p.注射により誘発され、発情期にある。
実験物質に寄与する水消費に実質的な変化はなく、そして実験グループにおけるラットの生殖行動は対照グループとは実質的に異なった。
実験の開始の１週間後、GBB又はGBB＋THPを受ける動物は、実質的に高い性的興味及び性的接触における活動、並びに長い性交後の興奮期間を示した。GBBの連続する適用は、性活動の上昇をもたらし、より高い交接強度をもたらし、そして動物の発情及び一般的活動は比較的低い影響を受けた（表１−４）。

GBB及びTHPの組合された使用は、すべての実験期間、高められた性的興味及び交接活動をもたらした。投薬の中断の後、GBB＋THPグループのみが、対象に比較して、高い交接活動を示した。
従って、本発明者は、GBBは単独で、及びTHPと組合してGBBは、6週間の処理の後、雄ラットにおいて交接活動の実質的且つ持続性の上昇をもたらすことを実験的に示した。さらに、本発明者は、別々に使用される場合のそれらの活性に比較して、２種の物質の組合せについての効能の驚くべき上昇を見出した。

さらなる実験においては、体内注入での効果的な勃起刺激剤である既知の効力のある刺激剤パパベリン（Sarosdy MF, Hudnall CH, Erickson DR, Hardin TC, Novicki DE. A prospective double-blind trial of intracorporeal papaverine versus prostaglandin E 1 in treatment of impotence. J Urol, 1989; 141: 551）に匹敵した。
300〜410gの体重の成熟の雄ラットが使用された。陰茎勃起に対する実験物質の影響が、実験モデルを用いて評価され、ここで体内圧の変化が測定された（Chen KKなど., J. Urol., 1992; 147: 1124）。

ラットを、ナトリウムペントバルビタールにより麻酔をした（50mg/kg i.p.及びさらに、8mg/kg/h i.v.）。体温を、加熱ランプにより37〜37.4℃（直腸温度）で維持した。気管内管を挿入し、麻酔下での適切な呼吸を確保した。ヘパリン処理された塩により充填された番号25の針を、圧力変換器に連結し、そして陰茎海綿体中に導入した。ECGにお基づく海綿体内圧及び第II標準がフィジオグラフDMP−4B上で連続的に記録されている（Narco Bio-Systems, USA）。

いくつかの実験においては、通常の頸動脈における動脈圧がまた記録されている。実験物質の効果は、静脈内及び海綿体内導入路で測定された。体内注入に関しては、前記物質が等張（0.9％）NaCl溶液に溶解され、そして0.05mlの溶液での用量が導入される。性能力試験のために診療所で使用されるパパベリン塩酸塩が、正の標準として作用する（ラット当たり0.2mgの海綿体内中；2.0mg/kgの静脈内注入）。γ−ブチロベタイン（GBB）を、単独で、及びWHP又はホスホジエステラーゼインヒビター、特にシルデナフィルと組合して導入した。

γ−ブチロベタイン（GBB）（ラット当たり0.02〜0.1mgの海綿体内注入、通常、ラット当たり0.05mg；2.0mg/kgの静脈内注入）及びTHP（ラット当たり0.2mgの海綿体内注入；10.0mg/kgの静脈内注入）を、単独で及び組合して（GBB＋THP）、導入した。
シルデナフィル（ラット当たり0.15mgの海綿体内注入、3.0mg/kgの静脈内注入）を、単独で、及び組合して（GBB＋シルデナフィル）、注入した。
GBBの海綿体内注入は著しい用量−依存性であるが、しかし比較的短期間の体内圧の上昇をもたらすことが発見された。

THPは、体内圧の有意な変化を生成しなかった。この試験におけるGBBの活性はまた、パパベリンの活性よりも劣っていた。驚くべきことには、GBBとTHP又はシルデナフィルとの組合せの効果は、パパベリンの効果に等しいか又は卓越した。組合せにより生成される効果、及びその持続期間の両者は、個々の成分により別々に誘発されるそれらよりも卓越した。
海綿体内注入は、患者への不便さのために評判が良くないので、静脈内経路がさらなる評判のために選択された。

静脈内パパベリン及びTHPは体内圧に対してほとんど効果を示さないが、ところがGBB及びGBB−THP組成物は体内圧を高めることにおいて、非常に効果的であることが示された（表６）。
組合せてのGBB−THP及びGBB＋シルデナフィルは、GBB単独よりも、その効果を、2.25倍又はさらに、相応じて、5.46倍長く持続することを注目することは重要である。組合してのGBB−THPのみが反射的陰茎刺激に対して著しい正の応答を誘発し、体内圧の上昇、すなわち麻酔された動物に関して非典型的な反応をもたらすことを注目することはまた必須である。

従って、GBB又はそれとTHP又はシルデナフィルとの組合せを含む医薬組成物がパパベリンに反して、海綿体内注入でのみならず、また静脈内経路で、体内圧の上昇をもたらすことが示された。本発明者は、体内圧及び効果の予測できない持続期間の上昇、並びに機械的陰茎刺激に対する正の反射応答の回復の誘発において、GBB及びTHP、及びGBB＋シルデナフィルの組合せを含んで成る組成物が、単独で使用される前記組成物中の個々の成分のそれらに比較して、驚くべき効能を有することを示した。

経口投与される物質の正の効果を考慮する場合、腸内及び非経口投与されるそれらは、標準で、及び勃起機能の生理学的低下での性活動及び勃起の刺激のために有用である。
活性成分が注射により非経口、又はドロップ、シロップ又は飲料物として経口投与される場合、医薬組成物は、γ−ブチロベタインとTHPとの組合せ、又はγ−ブチロベタインとシルデナフィルとの組合せを、医薬形の合計重量の0.5〜40重量％の合計量で、及び医薬的に許容できる溶媒としての蒸留水、生理食塩水、グルコース溶液、又は緩衝溶液を含む。

活性成分の組合せが錠剤、カプレ、カプセル、ピル、顆粒又は粉末として投与される場合、医薬組成物は、γ−ブチロベタインとTHPとの組合せ、又はγ−ブチロベタインとシルデナフィンとの組合せを、錠剤、カプレ、カプセル、ビル、顆粒又は粉末用量単位当たり0.5〜5gの合計量で含む。
活性成分が経皮、局部、舌下、尿道内又は肛門内投与される場合、それらの含有率は、医薬形の合計重量の0.5〜40重量％である。
さらに、医薬組成物は、他の医薬剤、例えば他のホスホジエステラーゼV型インヒビター（バルデナフィル、タダラフィル及び関連物）を含むことができる。

Claims (6)

1. 哺乳類における雄の交接活動の刺激のための、遊離塩基としてのγ−ブチロベタイン又はその医薬的に許容できる塩を含む医薬組成物。
2. γ−ブチロベタイン及び医薬的に許容できる希釈剤又はキャリヤーを含んで成る、哺乳類における雄の交接活動の刺激のための医薬組成物。
3. 遊離塩基としての３−（２，２，２−トリメチルヒドラジニウム）−プロピオネート又は医薬的に許容できる塩をさらに含んで成る、請求項２記載の医薬組成物。
4. ホスホジエステラーゼインヒビターをさらに含んで成る、請求項２記載の医薬組成物。
5. 前記ホスホジエステラーゼインヒビターが、V型インヒビターである、請求項４記載の医薬組成物。
6. 前記V型のホスホジエステラーゼインヒビターが、シルデナフィル（sildenafil）、バルデナフィル（vardenafil）、及びタダラフィル（tadalafil）から成る群から選択される、請求項５記載の医薬組成物。