JP4380526B2 - 光電式エンコーダ - Google Patents
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Description
従来の光電式エンコーダにおいては、例えば特許文献1「光学式エンコーダ」の第1図、第6図(a)〜(e)および請求項1〜6に示されているように、スケールの1つの信号トラックに対して、固定スリットおよび受光素子を半径方向内側(I)と半径方向外側(O)に2分割して、90度ずつの位相差を持つA相、B相、/A相、/B相の各固定スリットおよび受光素子を異なる領域に分布配置している。これにより、複数個の同相の固定スリットが、光源からの受光量が異なるであろう固定スリット板上の異なる領域に分布配設されるため、光源からの光の受光量が固定スリット板上の領域毎に異なる分布を持った場合であっても、受光素子からの出力合計は各位相ともほぼ等しい値となる。このため、差動増幅後のA相およびB相からはオフセット電圧が除去され、理想的な90度位相差の信号を得ることを特徴としている。
別の従来の光電式エンコーダにおいては、例えば特許文献2「光電式エンコーダ」の第1実施形態および図2にその代表例が示されているように、位相が同一相である受光素子の受光面積の重心が、他の位相が同一相である受光素子の受光面積の重心と一致するように、各相の受光素子を配列している。これにより、受光部で受光される干渉縞の光量にむらが生じても、正確にスケールと発光受光ユニットの相対移動距離を測定でき、測定精度が、受光される光量むらに影響されることがないことを特徴としている。
さらに別の従来の光電式エンコーダにおいては、例えば特許文献3「光電式エンコーダ」の請求項2および3、並びに図2〜4に示されているように、A相と/A相、B相と/B相の各受光素子群の面積重心を一致させ、照射パターンの中心軸に関して各面積重心位置が線対称になるように配置している。これにより、光源の放射角変動などの影響を受けることなく、複数の信号間の位相差を安定させることができることを特徴としている。
本発明の実施の形態1による光電式エンコーダについて、図1〜図9を用いて以下に説明する。図1は本発明の実施の形態1による光電式エンコーダの要部である受光素子の配置を光学格子と共に示す図である。また、図2〜図9は図1の受光素子を有する光電式ロータリーエンコーダの動作を説明するための図である。より具体的には、図2は本発明の実施の形態1による光電式ロータリーエンコーダの全体の概略構成を示す斜視図、図3(A)は図2の光電式ロータリーエンコーダにおけるスリット円板の平面図、図3(A)は図3(A)の一部(丸で囲んだ部分)を拡大して示す平面図である。また、図4は一般的な光電式ロータリーエンコーダにおける受光部の概略構成を示す平面図、図5は本発明の実施の形態1による光電式エンコーダの受光部の概略構成を示す平面図である。図6〜図8は図4で示したように各相受光素子が1列に並んだ一般的な光電式ロータリーエンコーダにおいて、スリット円板と受光部の間に取り付け誤差があった場合の角度検出誤差に与える影響を説明するための図、図9は特許文献1の第1図に示された各相受光素子の受光面積重心を説明するための図である。
本実施の形態による光電式エンコーダは、光源1と、光源1からの光で照射することにより所定ピッチ(P)の周期的な光強度分布パターン(本実施の形態では正弦波パターン)を発生する光学格子(光学スリット)を有するスケール(スリット円板)3と、スケール3と相対移動可能に設けられ、光学格子を介した光源1からの光を検出する受光部4とを備えている。なお、図2では、光学スリットが配置された回転角度検出用トラック35の領域、および受光素子が配置された受光素子トラック41の領域に、それぞれ実線ハッチングを施して示している。
図3(B)にその一部を拡大して示すように、スリット円板3の回転角度検出用トラックパターンの中心点21から半径Rの距離に回転角度検出用トラック35の中心線22を引いたとすると、光透過部2aは、回転角度検出用トラック35の中心線22を中心として半径方向に幅Wで形成されており、光透過部2aと光非透過部(図3(B)におけるハッチングを施して示している部分。)2bとが同一円周(回転角度検出用トラック35の中心線22)上に角度周期(ピッチ)Pで周期的に配置されている。すなわち、光学スリットの角度周期(ピッチ)はPである。
R’=R、W’=W、P’=P
とすることができる。また、受光素子5の半径方向の幅W’は、組立て調整時の誤差があった場合にも受光素子5から出力される信号が低減しないよう、回転角度検出用トラック35の半径方向の幅Wに対して、
W’<W
とすることもできる。
(ア)甲段に受光素子A11〜A14、B11〜B14、/A11〜/A14、/B11〜/B14を、乙段に受光素子A21〜A24、B21〜B24、/A21〜/A24、/B21〜/B24を配置する。
(イ)甲、乙の各段は、A相と/A相、およびB相と/B相を差動後に同一相となるので同一相とみなして、それぞれの中心線に関して線対称になるように配置する。すなわち、A相と/A相、およびB相と/B相をそれぞれα相およびβ相ということとすると、α相受光素子は甲段、乙段共に中心線(α相受光素子の受光面積重心)101に関して対称に、β相受光素子は、甲段は中心線(甲段のβ相受光素子の受光面積重心)102に、乙段は中心線(乙段のβ相受光素子の受光面積重心)103に関してそれぞれ対称となる。
(ウ)甲段は中心線(α相受光素子の受光面積重心)101の図1に向かって左側にA相受光素子A11〜A14とB相受光素子B11〜B14を、右側に/A相受光素子/A11〜/A14と/B相受光素子/B11〜/B14をそれぞれ配置し、乙段は中心線(α相受光素子の受光面積重心)101の図1に向かって左側にA相受光素子A21〜A24と/B相受光素子/B21〜/B24を、右側に/A相受光素子/A21〜/A24とB相受光素子B21〜B24をそれぞれ配置する。
(エ)甲段には中心線(α相受光素子の受光面積重心)101に近い側にα相受光素子A11〜A14,/A11〜/A14を、中心線(α相受光素子の受光面積重心)101から遠い側にβ相受光素子B11〜B14,/B11〜/B14を、同一相を並べて群配置をとるように配置する。
(オ)上記(エ)に対して、乙段はα相受光素子とβ相受光素子の配置を逆にし、中心線(α相受光素子の受光面積重心)101から近い側にβ相受光素子B21〜B24,/B21〜/B24を、遠い側にα相受光素子A21〜A24,/A21〜/A24を配置する。
図6は、図4で示したように各相受光素子が1列に並んだ一般的な光電式ロータリーエンコーダにおいて、スリット円板と受光部の間に取り付け誤差があった場合の角度検出誤差に与える影響を説明するための図であり、2種類の信号を出力する受光素子(A相受光素子A1〜A4、B相受光素子B1〜B4)を配置した場合を例として、受光部を拡大して示す平面図である。
これにより、α相受光素子A1〜A4、/A1〜/A4の位相軸上の受光面積重心(中心線101)とβ相受光素子B1〜B4、/B1〜/B4の位相軸上の受光面積重心(中心線102)とは、その差P’/4でほぼ一致し、スケール円板3と受光部4(受光素子5)との組立て誤差や、スケール円板3と回転軸との偏芯誤差が生じた場合のα相とβ相間の位相誤差を軽減し、高精度角度検出を可能にする光電式エンコーダを得ることができる。
また、図7で示した受光素子の配列は、電気的に接続される同相の信号を並べて群配置をとることができるので、配線が複雑にならず容易に行うことができ、より簡易で安価なエンコーダを得ることができる。
図8において、A相受光素子(A1〜A4)の位相軸上の受光面積重心とB相受光素子(B1〜B4)の位相軸上の受光面積重心とは共に1点鎖線201であり、一致している。しかしながら、スリット円板に対して各相受光素子A1〜A4、B1〜B4が図8の矢印6の方向にずれて組付けられた場合、スリット円板3に配置された光学スリット2を透過した光源1からの光線は、受光部4上の点線で囲まれた領域9に照射され、受光素子5に対してずれが生じる。検出角に影響する光学スリット2と受光素子5間のずれの円周方向成分は、A相とB相共通の受光面積重心である1点鎖線201から離れた受光素子(B相受光素子B1、B4)ほど大きく、1点鎖線201近傍の受光素子(A相受光素子A2、A3)は小さいことが、図8より判る。
このような検出誤差は、A相受光素子の配置角度範囲(FA)とB相受光素子の配置角度範囲(FB)とが一致していないことによるものであり、図6で示した受光面積重心がずれた場合と同様に、光学スリット数Nの2倍周波数で生じるため、信号を補正することができず、絶対位置精度の低下につながる。
P=2πR/N (1)
(ただし、Rはスリット円板3の中心点21から光学スリット2の半径方向中心までの距離)
において、小型化によりRが小さくなる、または高分解能化によりNが大きくなることは、光学スリット2のピッチPが小さくなることと同義であり、スリット円板3と受光素子5とのずれ量が角度検出誤差に及ぼす影響はピッチPに対するずれ量の比で決まることによる。よって、小型・高分解能な光電式エンコーダにおいて高精度角度検出を得るためには各相受光素子(α相受光素子とβ相受光素子)の位相軸上の受光面積重心を一致させると共に、配置角度範囲を等しくすることが有効である。
図9において、α相受光素子の重心は1点差線10、β相受光素子の重心は1点差線11となり、互いの重心10と11は5P/4ずれていることになる。特許文献1の第6図(a)〜(e)で示された5種類の配置方法でも同様に、α相受光素子の重心とβ相受光素子の重心とは完全には一致せず、第1図と同様に考えるとその重心ずれは順にP’/4、P’/4、3P’/4、P’/4、P’/4となる。また、α相受光素子とβ相受光素子の配置角度範囲は、第1図の配置においては等しいが、第6図(a)〜(e)の配置においては、その配置角度範囲ずれは順にP’、P’、0、P’、P’となっている。このように、特許文献1では何れの図においても、α相受光素子とβ相受光素子とで受光面積重心が一致すると共に、配置角度範囲が等しいという配置とはなっていない。
さらに、α相受光素子の配置角度範囲(Fα)は、A相と/A相を同一相と見なすと受光素子/A21の位相軸上の受光面積重心210から受光素子A24の位相軸上の受光面積重心211までの31P/2であるのに対して、β相受光素子の配置角度範囲(Fβ)は、B相と/B相を同一相と見なすと受光素子/B11の位相軸上の受光面積重心212から受光素子B14の位相軸上の受光面積重心213までの31P/2であり、受光素子の配置角度範囲がα相とβ相とで共に31P/2と等しい。
また、各相受光素子の個数は甲乙の各段4個ずつに限られるものではなく、甲乙の各段最低1個ずつあればよく、もちろん、4個以上あってもよい。各相受光素子はそれぞれ同数とし、その個数は光源からの光線の照射範囲、受光素子の大きさ等に応じて決定される。
(受光面積重心ずれの最小値)=0
(配置角度範囲ずれの最小値)=3P’/4
となり、角度範囲を揃えるように配置したときの受光面積重心と配置角度範囲は
(受光面積重心ずれの最小値)=3P’/4
(配置角度範囲ずれの最小値)=0
となり、何れにおいても受光面積重心を一致させると共に配置角度範囲を等しくすることはできない。
本発明の実施の形態2による光電式エンコーダについて、図10を用いて以下に説明する。図10は本発明の実施の形態2による光電式エンコーダの要部である受光素子の配置を光学格子と共に示す図であり、扇形形状かつ放射状に並んだ受光素子の円周方向を横方向に展開した平面図である。光電式エンコーダの概略構成およびスリット円板の構成は実施の形態1と同様である。以下では、実施の形態1との相違点について主に説明する。
(カ)甲段に受光素子A11〜A14、B11〜B14、/A11〜/A14、/B11〜/B14を、乙段に受光素子A21〜A24、B21〜B24、/A21〜/A24、/B21〜/B24を配置する。
(キ)甲、乙の各段は、A相と/A相、およびB相と/B相を差動後に同一相となるので同一相とみなして、それぞれの中心線に関して線対称になるように配置する。A相と/A相、およびB相と/B相をそれぞれα相およびβ相ということとすると、α相受光素子は甲段、乙段共に中心線(α相受光素子の受光面積重心)101に関して対称に、β相受光素子は、甲段は中心線(甲段のβ相受光素子の受光面積重心)102に、乙段は中心線(乙段のβ相受光素子の受光面積重心)103に関してそれぞれ対称となる。
(ク)甲段は中心線(α相受光素子の受光面積重心)101の図10に向かって左側にA相受光素子A11〜A14とB相受光素子B11〜B14を、右側に/A相受光素子/A11〜/A14と/B相受光素子/B11〜/B14をそれぞれ配置し、乙段は中心線(α相受光素子の受光面積重心)101の図1に向かって左側にA相受光素子A21〜A24と/B相受光素子/B21〜/B24を、右側に/A相受光素子/A21〜/A24とB相受光素子B21〜B24をそれぞれ配置する。
(ケ)甲段にはA相受光素子A11〜A14および/A相受光素子/A11〜/A14を2つずつの群に分け、B相受光素子B11〜B14および/B相受光素子/B11〜/B14を挟むようにして配置する。
(コ)上記(ケ)に対して、乙段はα相受光素子とβ相受光素子の配置を逆にし、B相受光素子B21〜B24および/B相受光素子/B21〜/B24を二つずつの群に分け、A相受光素子A21〜A24および/A相受光素子/A21〜/A24を挟むようにして配置する。
また、各相受光素子の個数は甲乙の各段4個ずつに限られるものではなく、甲乙の各段最低1個ずつあればよく、もちろん、4個以上あってもよい。各相受光素子はそれぞれ同数とし、その個数は光源からの光線の照射範囲、受光素子の大きさ等に応じて決定される。
(サ)甲、乙の各段は、α相受光素子(A相受光素子と/A相受光素子)およびβ相受光素子(B相受光素子と/B相受光素子)をそれぞれの中心線に関して線対称になるように配置する。
(シ)甲段および乙段のうちの一方の段で中心線より最も遠い側(円周方向外側)にα相受光素子を配置した場合、甲段および乙段のうちの他方の段では中心線より最も遠い側(円周方向外側)にβ相受光素子を配置する。
(ス)甲、乙の各段は、(サ)の中心線によって2つずつ合計4つの領域に分割される。A相、/A相、B相、および/B相の4種類の受光素子は、それぞれ4つの領域内に全て異なる組み合わせで配置する。ただし、甲段と乙段のそれぞれに全ての相(A、/A、B、/B相)の受光素子を配置する。例えば甲段の左側領域にA相受光素子とB相受光素子を配置する場合、甲段の右側領域には/A相受光素子と/B相受光素子を配置し、乙段の左側領域にはA相受光素子と/B相受光素子、および/A相受光素子とB相受光素子のいずれか一方を配置し、乙段の右側領域には他方を配置する。
また、上記(シ)により、α相受光素子とB相受光素子の位相軸上の配置角度範囲を一致させる。
さらに、上記(ス)により、α相受光素子とβ相受光素子の位相軸上の受光面積重心を完全に一致させる。
以上、(サ)〜(ス)により、α相受光素子とβ相受光素子の位相軸上の受光面積重心を一致させると共に配置角度範囲を等しくすることができる。
(i)各受光素子の受光面積を等しくし、かつ、α相受光素子の配置角度範囲(Fα)およびβ相受光素子の配置角度範囲(Fβ)を、
「Fα=Fβ」
となるように決定する。
(ii)甲および乙のいずれの段も、α相受光素子およびβ相受光素子のうちの一方(例えばα相受光素子)の配置角度範囲(Fα)の中心(Eα)に関して対称にα相受光素子を配置する。
(iii)前記α相受光素子およびβ相受光素子のうちの一方(例えばα相受光素子)の甲段および乙段における配置角度範囲(Fα甲)および(Fα乙)を、
「Fα甲=FαかつFα乙<Fα」または「Fα甲<FαかつFα乙=Fα」
となるように決定する。
(iv)α相受光素子およびβ相受光素子のうちの他方(例えばβ相受光素子)の甲段および乙段における配置角度範囲(Fβ甲)および(Fβ乙)を、上記(iii)で、
「Fα甲=FαかつFα乙<Fα」であれば「Fβ甲<FβかつFβ乙=Fβ」、
「Fα甲<FαかつFα乙=Fα」であれば「Fβ甲=FβかつFβ乙<Fβ」
となるように決定する。
これにより、α相受光素子とB相受光素子の位相軸上の配置角度範囲を等しくすることができる。
(v)前記α相受光素子およびβ相受光素子のうちの他方(例えばβ相受光素子)の甲段における配置角度範囲(Fβ甲)の中心(Eβ甲)と、乙段における配置角度範囲(Fβ乙)の中心(Eβ乙)とが、前記α相受光素子およびβ相受光素子のうちの一方(例えばα相受光素子)の配置角度範囲(Fα)の中心(Eα)に関して対称となるようにβ相受光素子を配置する。
これにより、α相受光素子とβ相受光素子の位相軸上の受光面積重心を一致させることができる。
上記各実施の形態では、90度ずつの位相差を有する4相の受光素子を用いた場合について説明したが、受光素子の相数はこれに限るものではない。例えば、120度ずつの位相差を有する3相の受光素子を用いた場合であっても、各相受光素子の位相軸上の受光面積の重心を一致させると共に配置角度範囲を等しくすることで、スケールと受光部あるいは被検体とスケールが正しい位置関係からずれて設置された場合に生じる、各相信号間の位相誤差を低減することができ、組立て誤差に起因した検出誤差を低減することができる。
ただし、異なる3相の受光素子の位相軸上の受光面積の重心を一致させると共に配置角度範囲を等しくするには、1つの光学格子に対して光学格子との相対移動方向(位相軸方向)と直交する方向に、最低でも3段に分割して配置する必要がある。また、例えば、45度ずつの位相差を有する8相の受光素子を用いた場合には、上記4相の場合と同様に、180度の位相差を有する受光素子を同一相とみなせるので、最低でも4段に分割して配置する必要がある。
図11は本発明の実施の形態4による光電式エンコーダの概略の全体構成を示す断面図である。
図11に示すように、光源1からの光線300を、凹面ミラー301を用いて略平行光束30に変換し、それをモータ軸302に取り付けられたスリット円板3の全周にわたって照射するように構成された光電式エンコーダにおいても、上記各実施の形態で説明したように、受光部4は、2相以上の位相の異なる受光信号を発信する受光素子5を光学格子2との相対移動方向に複数有し、かつ、位相が同一相である受光素子5の位相軸上の受光面積の重心が、他の位相が同一相である受光素子5の位相軸上の受光面積の重心と一致すると共に、位相が同一相である受光素子5の位相軸上の配置角度範囲が、他の位相が同一相である受光素子5の位相軸上の配置角度範囲と等しくなるように配置することにより、上記各実施の形態と同様の効果が得られる。
図12は本発明の実施の形態5による光電式エンコーダの概略の全体構成を示す断面図である。
上記各実施の形態では、本発明を光電式ロータリーエンコーダに適用した場合について説明したが、本発明は、図12に示すような光電式リニアエンコーダにも適用することができる。
リニアスケール310はリニアモータ(図示せず。)に取り付けられており、一直線上に複数の光透過部および光非透過部が配置された光学スリット2からなる変位検出用トラック311を有する。
また、受光素子は、例えば、基準のA相に対して90度(=P’/4)の位相差を持つB相と、180度(=P’/2)の位相差を持つ/A相と、270度(=3P’/4)の位相差を持つ/B相の4相の信号を出力するように構成されており、受光素子の配置は、実施の形態1および2で説明した例えば図1および図10と同一である。なお、上記各実施の形態では各相の信号を用いて回転角度を求めたが、本実施の形態では各相の信号強度の変化からリニアスケールの変位(移動距離)を求める。
これに対して、例えば図1や図10で示したように、各相受光素子の位相軸上の受光面積の重心を一致させると共に配置角度範囲を等しくするように受光素子を配置することで、実施の形態1で説明したのと同様に、スケールと受光部、あるいは被検体とスケールが正しい位置関係からずれて(アジマス角等が生じて)設置された場合に生ずる、各位相のばらつきを構造的にキャンセルすることができ、組立て誤差に起因した位置検出誤差を低減することができる。もちろん、光源の光量ムラに起因した位置検出誤差も低減することができる。
これに対して、本実施の形態によれば、例えば図1や図10で示したように、各相受光素子の位相軸上の受光面積の重心を一致させると共に配置角度範囲を等しくするように受光素子を配置するので、構造的にこれらの動的変動をキャンセルし、高精度位置検出が可能となる光電式エンコーダを得ることができる。例えば偏揺に伴うスケールと受光部のズレは実施の形態1で説明したのと同様に、各位相のばらつきを構造的にキャンセルすることができる。また、面振れ・縦揺れに伴うスケールと受光部間の距離変動による各受光素子に照射される光量のばらつきを構造的にキャンセルすることができる。
Claims (2)
- 光源からの光で照射することにより所定ピッチ(P)の周期的な光強度分布パターンを発生する光学格子を有するスケールと、
前記スケールと相対移動可能に設けられ、前記光学格子を介した光源からの光を検出する受光部とを備える光電式エンコーダにおいて、
前記受光部は、A相受光素子、前記A相受光素子から90度位相が遅れてなるB相受光素子、前記A相受光素子から180度位相が遅れてなる/A相受光素子および前記B相受光素子から180度位相が遅れてなる/B相受光素子が、前記相対移動方向と直交する方向に1つの前記光学格子に対して複数段に分割して配置され、かつ、前記A相受光素子および前記/A相受光素子を合わせてα相受光素子とし、前記B相受光素子および前記/B相受光素子を合わせてβ相受光素子としたとき、前記α相受光素子の位相軸上の受光面積の重心が、前記β相受光素子の位相軸上の受光面積の重心と一致すると共に、前記α相受光素子の位相軸上の配置角度範囲が、前記β相受光素子の位相軸上の配置角度範囲と等しいことを特徴とする光電式エンコーダ。 - 受光部は、前記受光素子が1つの前記光学格子に対して前記相対移動方向と直交する方向に2段に分割して配置され、前記2段のうちの一方を甲段、他方を乙段として、α相受光素子およびβ相受光素子は以下の条件(i)〜(v)にしたがって配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光電式エンコーダ。
(i)各受光素子の受光面積を等しくし、かつ、α相受光素子の配置角度範囲(Fα)およびβ相受光素子の配置角度範囲(Fβ)を、
「Fα=Fβ」
となるように決定する。
(ii)甲および乙のいずれの段も、α相受光素子およびβ相受光素子のうちの一方、例えばα相受光素子の配置角度範囲(Fα)の中心(Eα)に関して対称に前記一方、例えばα相受光素子を配置する。
(iii)前記一方、例えばα相受光素子の甲段および乙段における配置角度範囲(Fα甲)および(Fα乙)を、
「Fα甲=FαかつFα乙<Fα」または「Fα甲<FαかつFα乙=Fα」
となるように決定する。
(iv)α相受光素子およびβ相受光素子のうちの他方、例えばβ相受光素子の甲段および乙段における配置角度範囲(Fβ甲)および(Fβ乙)を、上記(iii)で、
「Fα甲=FαかつFα乙<Fα」であれば「Fβ甲<FβかつFβ乙=Fβ」、
「Fα甲<FαかつFα乙=Fα」であれば「Fβ甲=FβかつFβ乙<Fβ」
となるように決定する。
(v)前記他方、例えばβ相受光素子の甲段における配置角度範囲(Fβ甲)の中心(Eβ甲)と、乙段における配置角度範囲(Fβ乙)の中心(Eβ乙)とが、前記一方、例えばα相受光素子の配置角度範囲(Fα)の中心(Eα)に関して対称となるように前記他方、例えばβ相受光素子を配置する。
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