JP4379663B2 - ダイオキシン汚染部材の洗浄方法 - Google Patents

ダイオキシン汚染部材の洗浄方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイオキシン汚染部材の洗浄方法に関し、特に、洗浄力の向上と廃水スラリーの固液分離を容易にしたダイオキシン汚染部材の洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
煙突や燃焼装置等の内壁面に付着している煤塵やクリンカーには、パラオキシジベンゾダオキシン(PCDD)、パラオキシジベンゾフラン(PCDF)及びコプラナーPCB(C−PCB)等のダイオキシン類(以下DXNと称する)の汚染物が多く含まれており、解体時やリノベーション工事の際には、その除去と洗浄が必要とされてきた。
【0003】
DXN汚染部材の洗浄は、煙突や燃焼装置等の内部を負圧にして煤塵等の飛散を防止する措置を講じてから、サンドブラストやスクレーパによって削り取る対策も講じられてきたが、この際に煙突、燃焼装置等の内部やその周辺には、DXNを含有した粉塵が大量に発生することになり、作業者の暴露や大気汚染が危惧されている。
【0004】
これらの煤塵等の飛散による大気汚染は、この他にも養生材、保護具等から二次的に発生するDXN等の汚染物によっても多量に含まれることになって、その処置は極めて困難であった。
【0005】
又、粉塵を低減させるために高圧水を使用する高圧水洗浄方法が開発されて、その使用が多くなってきているが、除去に使用された大量の水にDXNが混入してしまうことから、洗浄廃水の処理が問題になっている。
【0006】
そして、これらの汚染水は、スラリー状になるためにフィルターの目詰まりが頻繁になって処理が困難になるという問題や、汚染物を凝集剤の使用によって固液分離処理する方法は、煩雑過ぎて隔離された作業場内では採用することが困難であるという問題が指摘されていた。
【0007】
さらに、廃水は、床面に浸透する危惧があるためにビニールシートで養生するが、大量であることから養生が破損し、漏水によって床面や排水口に汚染が発生するという問題も提起されている。
【0008】
加えて、高圧水洗浄に使用されるスプレーガンのような吹き付け器具は、その重量が大きく長時間の作業を困難にしているのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点に鑑みて検討されたものであり、ブラストの高い切削性と高圧水洗浄の低粉塵化性能との特長を生かすことで、多くの粉体を使用することなく大量の廃水も発生させないDXN汚染部材の洗浄方法を提供している。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によるDXN汚染部材の洗浄方法は、基本的に、ダイオキシン汚染部材に対して、圧縮空気と高圧水とで構成する混気ジェットを吹き付けるものであり、具体的には、以下の構成を特徴にしている。
【0011】
ダイオキシン汚染部材の洗浄方法は、混気ジェットの高圧水にキレート剤、酸又はアルカリを混合している。
【0012】
ダイオキシン汚染部材の洗浄方法は、混気ジェットにゼオライト等の粉体、凝集剤もしくは凝集粉体を混合している。
【0013】
ダイオキシン汚染部材の洗浄方法は、混気ジェットに混合する粉体にセオクイキを混合し、高圧水にキレート剤を混合している。
【0014】
これによって、作業者の暴露や大気汚染の危惧を解消し、DXNが混入した大量の洗浄廃水を処理することから発生する頻繁なフィルターの目詰まりの処理と、凝集剤を使用しての固液分離処理が煩雑に過ぎることから、隔離された作業場内での採用が困難になっている問題を解決している。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明によるDXN汚染部材の洗浄方法は、煙道、煙突、ボイラー、電気集塵機、排煙洗浄塔等の内壁面を構成しているコンクリート、レンガ、鋼板及びその他の表面に大量に付着している煤塵やクリンカーを、圧縮空気と高圧水とで構成する混気ジェットを吹き付けることで除去するものである。
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
本発明によるDXN汚染部材の洗浄方法は、図1の実施の形態図に示すように、汚染部材1の汚染面2にスプレーガン3からの混気ジェット4を吹き付けるものであり、発散が少ない汚染空気は、隔離された作業場5の中から空気浄化装置6で処理された後に大気中に放出され、少量の洗浄水は排水処理装置7で固液処理された後に排水されている。
【0017】
スプレーガン3に供給される混気ジェット4は、圧縮空気と高圧水とで構成されており、洗浄装置10で調製されている。
【0018】
圧縮空気は、コンプレッサー11から供給されて、貯槽12から定量フィーダー13によって計量されたブラスト等の粉体と共に耐圧ホース14に供給される。又、高圧水は、水道水・温水15を貯水槽16に一旦貯えてから、定量ポンプ18で計量された凝集剤19と共に高圧水ポンプ17に供給されており、高圧水ポンプ17で加圧された状態で耐圧ホース14に供給されて圧縮空気と混合される。
【0019】
凝集剤の選定は、発生する洗浄後の廃水の濁度に対応させて図2のように実施される。
【0020】
本実施の形態では、凝集剤として硫酸バンド(硫酸アルミニウム)、PAC(ポリ塩化アルミニウム)及び高分子凝集剤を用いて、単独もしくは相互に組み合わせて図示のような添加量、添加量比率の下に所期の洗浄効果を達成している。
【0021】
即ち、硫酸バンドとPACは、添加量を50〜100ppmにすることで低濁度の切削発生水に最適であり、高濁度の切削発生水にも適応できる。しかし、高分子凝集剤は単独では効力を発揮していないが、他の凝集剤と組み合わせることによって所定の効果を発揮している。
【0022】
硫酸バンドと高分子凝集剤もしくはPACと高分子凝集剤との組み合わせで、硫酸バンドを50〜100ppm、高分子凝集剤を1〜10ppmにすることによって、高濁度の切削発生水に最適なものとしながら、低濁度の切削発生水にも適応できるようにできる。
【0023】
又、本発明によるダイオキシン汚染部材の洗浄方法は、以下のように各種の実施の形態での対応が可能である。
【0024】
本発明によるダイオキシン汚染部材の洗浄方法は、混気ジェットの高圧水にキレート剤、酸又はアルカリを混合することもできる。
【0025】
本発明によるダイオキシン汚染部材の洗浄方法は、混気ジェットにゼオライト等の粉体、凝集剤もしくは凝集粉体を混合することもできる。
【0026】
本発明によるダイオキシン汚染部材の洗浄方法は、混気ジェットに混合する粉体にセオクイキを混合し、高圧水にキレート剤を混合することもできる。
【0027】
さらに、凝集剤としては上記の実施の形態に限定されるものでなく、切削濁水のpHやSS濃度によって他の凝集剤を採用したり組み合わせを変えることも出来ると共に、混気ジェットに混合する凝集剤としては、上記凝集剤を所望の粉体に浸み込ませる等によって溶液中の微粒分同志を凝集・沈殿させた凝集粉体を適用することもできるものである。
【0028】
図3には、各汚染部材に、本発明の洗浄方法を適用した際の切削深さ等を示している。尚、図示の切削深さ等は本実施の形態の1例であって、汚染部材の種類や汚染濃度の違いによって当然に変化してくるものであり、除去処理の深さ等は異なってくる。
【0029】
図示のように、汚染されている部材の材料がコンクリートの場合には、汚水ピット、ガス冷却塔、灰ピット、バンカー、排水処理装置においてアバラ鉄筋を露出させるまで切削し、サービス道路、処理水水路において5mmの深さ、建屋外壁で外壁塗装、そして、他の焼却炉、建屋内壁、装置基礎、煙道及び煙突において10mmの深さまで切削している。
【0030】
又、場所打キャスタブルレンガと耐火レンガの場合には、焼却炉下部において、20mmと10mmと異なるが、他の焼却路内、煙道及び煙突において、5mm、20mm、30mmの深さまで切削しており、ステンレスや鉄のような金属の場合には、地金を露出させるまで切削している。
【0031】
以上のように、本発明によるDXN汚染部材の洗浄方法は、作業者の暴露や大気汚染の危惧を解消し、DXNが混入した大量の洗浄廃水を処理することから発生する頻繁なフィルターの目詰まりの処理と、凝集剤を使用しての固液分離処理が煩雑過ぎることから、隔離された作業場内での採用が困難になっている問題を解決している。
【0032】
以上、本発明を実施の形態に基づいて詳細に説明してきたが、本発明によるDXN汚染部材の洗浄方法は、上記実施の形態に何ら限定されるものでなく、切削濁水のpHやSS濃度による凝集剤の選択とその組み合わせの変更や、汚染部材の種類や汚染濃度の違いによる除去処理の深さ等に関して、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは当然のことである。
【0033】
【発明の効果】
本発明によるDXN汚染部材の洗浄方法は、ダイオキシン汚染部材に対して、圧縮空気と高圧水で構成する混気ジェットを吹き付けるものであり、混気ジェットの高圧水にキレート剤、酸又はアルカリを混合したり、混気ジェットにゼオライト等の粉体、凝集剤もしくは凝集粉体を混合しており、さらには、混気ジェットに混合する粉体にセオクイキを混合し、高圧水にキレート剤を混合しているので、以下の効果を発揮することができる。
【0034】
▲1▼ 高強度のコンクリートや耐火レンガであっても、DXNで汚染された深さまで切削できる。
▲2▼ 錆びた配管類であっても、金属光沢が出るまで洗浄できる。
▲3▼ 廃水を、高圧水洗浄の10分の1以下に減水できる。
▲4▼ 通常の廃水養生で漏水を防止できる。
▲5▼ 廃水スラリーが容易に凝集するので、固液分離がし易く処理が簡単になる。
▲6▼ 吹き付け器具を軽量化できるので、作業性と安全性とを向上できる。
▲7▼ DXN汚染粉塵の大気への飛散と水質、土壌への浸透をを低減しているので、作業者の暴露や大気汚染の危惧を解消し、環境汚染を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【 図1】本発明によるDXN汚染部材を洗浄する方法の実施形態図
【 図2】本発明によるDXN汚染部材の洗浄方法に用いる凝集材の実施形態図
【 図3】本発明によるDXN汚染部材の洗浄方法で汚染部材を処理した実施形態図
【符号の説明】
1 汚染部材、 2 汚染面、 3 スプレーガン、 4 混気ジェット、
5 作業場、 6 空気浄化装置、 7 排水処理装置、 10 洗浄装置、
11 コンプレッサー、 12 貯槽、 13 定量フィーダー、
14 耐圧ホース、 15 水道水・温水、 16 貯水槽、
17 高圧水ポンプ、 18 定量ポンプ、 19 凝集剤、

Claims (2)

  1. ダイオキシン汚染部材に対して、圧縮空気と高圧水とで構成する混気ジェットを吹き付けるダイオキシン汚染部材の洗浄方法であって、
    混気ジェットに凝集粉体を混合することを特徴とするダイオキシン汚染部材の洗浄方法。
  2. ダイオキシン汚染部材に対して、圧縮空気と高圧水とで構成する混気ジェットを吹き付けるダイオキシン汚染部材の洗浄方法であって、
    混気ジェットに混合する粉体にセオクイキを混合し、高圧水にキレート剤を混合することを特徴とするダイオキシン汚染部材の洗浄方法。
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