JP4379582B2 - 食品の保存方法 - Google Patents

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Description

本発明は、各種ガスバリア性、耐熱性、防湿性、耐酸性、ヒートシール性、耐ピンホール性、耐突き刺し性、透明性等に優れ、内容物の充填包装適性、保存適性等を有し、さらに環境適性や経済性等に極めて優れた包装材料を使用した食品の保存方法に関するものである。
従来、食品を充填包装する包装用材料としては、防湿性等に優れ、特に、酸素ガス、水蒸気、香気成分等の透過を阻止するガスバリア性に優れていることが必要とされることから、ガスバリア性に優れたポリ塩化ビニリデン(PVDC)系樹脂を塗布したコートフィルムにシーラント層等を積層した積層フィルム等が使用され、これらを製袋して、種々の形態からなる充填包装用袋が製造されていた。しかしながら、ガスバリア性材料としてPVDC系樹脂を使用した場合においては、酸素や水蒸気等の各種ガスバリア性については高い効果が発現するが、包装用を使用後、例えば焼却処理等により廃棄処理すると塩素原子を含有していることから、焼却廃棄時にダイオキシン等の有毒ガス等を発生する原因となり、廃棄処理適性に欠けると共に環境破壊等の問題を引き起し、環境適性等にも欠けるという問題点があった。
これに代わるガスバリア性材料としてポリビニルアルコールによるコートフィルムやエチレンービニルアルコール共重合体(EVOH)フィルムなどが使用されているが、これらのガスバリア性材料は、乾燥条件下においては非常に高いガスバリア性を有するものの、高湿度下条件下においては、そのガスバリア性は著しく低下するという問題点があった。また、これらのガスバリア性材料はPVDC系樹脂に比べ高価な材料である事から、包装用袋の製造においてコスト面で不利を被るものであった(例えば、特許文献1参照)。
また、上記ガスバリア性材料と種々の熱可塑性樹脂などを積層させて積層フィルムを製造する場合には、水酸基等の活性水素基を有する主剤とイソシアネート基を有する硬化剤からなる二液型ポリウレタン系接着剤等を使用して積層を実施する方法が主流となっているが、これらの二液型ポリウレタン系接着剤は、一般にその硬化反応がそれほど速いものではないことから、十分な接着性を確保するために張り合わせ後に1日〜5日間の長時間におよぶエージングによる硬化を行う必要があった。また、イソシアネート基を有する硬化剤を使用することから、硬化後に未反応のイソシアネート基が残存した場合、この残存イソシアネート基は大気中の水分と反応して二酸化炭素を発生することから積層フィルム内に気泡が発生する等の問題があった。これらの問題を解決する方法として、ポリウレタン系接着剤に触媒やカップリング剤等を添加することが提案されている(特許文献2参照)が、触媒の添加によりポットライフが短くなり、作業性が悪くなるなどの問題点が挙げられる。
また、EVOH層を中間層とする積層フィルムをボイル処理すると、ボイル処理後のガスバリア性が劣化するばかりでなく、EVOH層の白化が問題となっていた。加えて、このような積層フィルムを構成するにあたり、一般的にはポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物を組み合わせた接着剤が知られている。しかしながら、このような接着剤はボイル・レトルト後の積み重ねなどの作業時において、不本意の折り曲げで部分的に接着不良が発生し、外観不良の状態になることや、耐内容物性における耐酸性、耐ボイル性および内容物や基材によっては経時的な性能面の劣化が問題になることがあった。これらの問題を解決する方法として、ポリエステル系接着剤を介した積層体が提案されている(特許文献3参照)が、高湿度下条件下においては、そのガスバリア性は著しく低下するという問題点は未解決のままである。
特開平10−71664号公報 特開平9−316422号公報 特許第3002329号公報
本発明の目的は、各種ガスバリア性、耐熱性、耐酸性、防湿性、ヒートシール性、透明性等に優れ、内容物の充填包装適性、保存適性等を有し、ボイル処理後の積層フィルムの変色、長期保存後のラミネート強度の低下を起こさず、さらに環境適性や経済性等に極めて優れた包装材料を使用した食品の保存方法を提供するものである。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のエポキシ樹脂組成物を主成分とする高ガスバリア性接着剤を用いて積層した積層フィルムを使用して包装用袋を作製し、食品を充填することで、各種ガスバリア性、耐熱性、耐酸性、防湿性、ヒートシール性、透明性等に優れ、内容物の充填包装適性、保存適性等を有し、ボイル処理後の積層フィルムの変色、長期保存後のラミネート強度の低下を起こさず、さらに環境適性や経済性等に極めて優れた食品の保存方法が得られる事を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂からなる外層、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなる内層およびエポキシ樹脂組成物を主成分とする積層用接着剤を用いて形成した接着層を含むガスバリア性積層フィルムを用いて食品を密封する食品の保存方法であって、該エポキシ樹脂組成物により形成されるエポキシ樹脂硬化物中に(1)式の骨格構造を40重量%以上含有することを特徴とする保存方法に関するものである。
本発明の保存方法は、高いガスバリア性を有するエポキシ樹脂組成物を主成分とする積層用接着剤を実質的なガスバリア材料として使用したガスバリア性積層フィルムを作製し、該積層フィルムを用いて食品を保存することを特徴としている。該ガスバリア性積層フィルムは、低湿度条件から高湿度条件に至る広い範囲での酸素や水蒸気、香気成分などの各種ガスバリア性、およびそのラミネート強度、ヒートシール性、耐熱性、耐酸性、防湿性、耐油性、透明性、環境適合性、経済性等に優れており、該ガスバリア性積層フィルムおよび該積層フィルムを製袋して得られる包装用袋を使用することにより、乾燥食品から液状食品にいたるまでを充分に保護し、その貯蔵・保存安定性、充填包装適性、環境適性、経済性等に優れた保存方法を提供する事ができる。
本発明の保存方法において、食品を密封する際に使用するガスバリア性積層フィルムは、熱可塑性樹脂からなる外層、およびヒートシール性を有する熱可塑性樹脂層を含むことが特徴であり、層構成を例示すると、熱可塑性樹脂からなる外層/接着層/ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなる内層、熱可塑性樹脂からなる外層/接着層/熱可塑性樹脂からなる中間層/接着層/ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなる内層などが挙げられるが、この限りではない。
本発明の保存方法において用いるガスバリア性積層フィルムの、熱可塑性樹脂からなる外層および中間層としては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、メタキシレンアジパミド(N-MXD6)などのポリアミド系樹脂フィルム、ポリアクリロニトリル系フィルム、ポリ(メタ)アクリル系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)系フィルム、ポリビニルアルコール系フィルム、カートンなどの紙類、アルミや銅などの金属箔、およびこれらの材料にポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂やポリビニルアルコール樹脂、エチレンービニルアルコール共重合体(EVOH)、アクリル系樹脂などの各種ポリマーを塗布したフィルム、シリカ、アルミナ、アルミなどの各種無機化合物あるいは金属を蒸着させたフィルム、無機フィラーなどを分散させたフィルム、酸素捕捉機能を付与したフィルムなどが使用できる。また、塗布する各種ポリマーについても無機フィラーを分散させることができる。無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどが挙げられるが、モンモリロナイトなどの層状珪酸塩が好ましく、またその分散方法としては例えば押出混錬法や樹脂溶液への混合分散法など従来公知の方法が使用できる。酸素捕捉機能を付与させる方法としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等を含む組成物を少なくとも一部に使用する方法等が挙げられる。
これらのフィルム材料の厚さとしては10〜300μm程度、好ましくは10〜100μm程度が実用的であり、プラスチックフィルムの場合は一軸ないし二軸方向に延伸されているものでもよい。
熱可塑性樹脂からなる外層としては、無延伸フィルムに比べ強度が高い2軸延伸したポリオレフィン系樹脂フィルム、2軸延伸したポリエステル系樹脂フィルム、または2軸延伸したポリアミド系樹脂フィルムが好ましい。
ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなる内層としては、一般に使用されているヒートシール性を有する熱可塑性樹脂フィルムが同様に使用され得るが、良好なヒートシール性の発現を考慮した場合には、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂フィルムを選択することが好ましい。
また、ガスバリア性積層フィルムの外層および内層の表面には、膜切れやはじきなどの欠陥のない接着層が形成されるように必要に応じて火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理が実施されることが望ましい。また、必要に応じて各種プライマー層などを形成させても良い。このような処理は各種フィルム材料に対する接着層の良好な接着を促進する。
また、ガスバリア性積層フィルムの外層および内層の表面には印刷処理が施されていても良い。印刷処理を施す場合には、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、オフセット印刷機等の従来の熱可塑性樹脂フィルムへの印刷に用いられてきた一般的な印刷設備が同様に適用され得る。また、印刷層を形成するインキについても、アゾ系、フタロシアニン系などの顔料、ロジン、ポリアミド樹脂、ポリウレタンなどの樹脂、メタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどの溶剤等から形成される従来の熱可塑性樹脂フィルムへの印刷層に用いられてきたインキが同様に適用され得る。
ガスバリア性積層フィルムに、酸素捕捉機能を有する組成物から成る層が含まれていてもよい。酸素捕捉機能を有する組成物は例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や鉄等の金属粉を樹脂に練り込んだ組成物や、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン/イソプレンコポリマー等の分子内に炭素−炭素二重結合を有するオレフィン系のポリマーやオリゴマー、メタキシリレン構造を有するポリアミドに酸化触媒としてコバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物を加えた酸素吸収性樹脂等が挙げられる。
本発明の保存方法におけるガスバリア性積層フィルムは、熱可塑性樹脂からなる外層やヒートシール性を有する熱可塑性樹脂層などを積層したものであり、積層フィルムを構成する各層を積層するに際し、少なくとも1層の接着層が、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤からなるエポキシ樹脂組成物を主成分とする積層用接着剤で接着される。該積層用接着剤を使用する接着層以外の接着層については、ポリウレタン系接着剤等、他の接着剤を使用してもよいし、樹脂同士を溶着させてもよい。
本発明の保存方法における積層用接着剤はエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤からなるエポキシ樹脂組成物を主成分とし、これらにより形成されるエポキシ樹脂硬化物中に上記(1)式の骨格構造が40重量%以上、好ましくは45重量%以上、より好ましくは50重量%以上含有されることを特徴としている。接着層を形成するエポキシ樹脂硬化物中に上記(1)式の骨格構造が高いレベルで含有されることにより、高いガスバリア性が発現する。以下に、エポキシ樹脂硬化物を形成するエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤について説明する。
本発明における積層用接着剤において、エポキシ樹脂は脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物または複素環式化合物のいずれであってもよいが、高いガスバリア性の発現を考慮した場合には芳香族部位を分子内に含むエポキシ樹脂が好ましく、上記(1)式の骨格構造を分子内に含むエポキシ樹脂がより好ましい。具体的にはメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミン部位および/またはグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、レゾルシノールから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂などが使用できるが、中でもメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂およびレゾルシノールから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂が好ましい。
更に、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂やメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂を主成分として使用することがより好ましく、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂を主成分として使用することが特に好ましい。
また、柔軟性や耐衝撃性、耐湿熱性などの諸性能を向上させるために、上記の種々のエポキシ樹脂を適切な割合で混合して使用することもできる。
本発明におけるエポキシ樹脂は、各種アルコール類、フェノール類およびアミン類とエピハロヒドリンの反応により得られる。例えば、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂は、メタキシリレンジアミンにエピクロルヒドリンを付加させることで得られる。
ここで、グリシジルアミン部位は、キシリレンジアミン中のジアミンの4つの水素原子と置換できる、モノ−、ジ−、トリ−および/またはテトラ−グリシジルアミン部位を含む。モノ−、ジ−、トリ−および/またはテトラ−グリシジルアミン部位の各比率はメタキシリレンジアミンとエピクロルヒドリンとの反応比率を変えることで変更することができる。例えば、メタキシリレンジアミンに約4倍モルのエピクロルヒドリンを付加反応させることにより、主としてテトラグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂が得られる。
エポキシ樹脂は、各種アルコール類、フェノール類およびアミン類に対し過剰のエピハロヒドリンを水酸化ナトリウム等のアルカリ存在下、20〜140℃、好ましくはアルコール類、フェノール類の場合は50〜120℃、アミン類の場合は20〜70℃の温度条件で反応させ、生成するアルカリハロゲン化物を分離することにより合成される。
生成したエポキシ樹脂の数平均分子量は各種アルコール類、フェノール類およびアミン類に対するエピハロヒドリンのモル比により異なるが、約80〜4000であり、約200〜1000であることが好ましく、約200〜500であることがより好ましい。
本発明の保存方法における積層用接着剤において、エポキシ樹脂硬化剤は、脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物または複素環式化合物のいずれであってもよく、ポリアミン類、フェノール類、酸無水物またはカルボン酸類などの一般に使用され得るエポキシ樹脂硬化剤を使用することができる。これらのエポキシ樹脂硬化剤は、積層フィルムの使用用途およびその用途における要求性能に応じて選択することが可能である。
具体的には、ポリアミン類としてはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族アミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香環を有する脂肪族アミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミンなどの脂環式アミン、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミンなどの芳香族アミンが挙げられる。
また、これらのポリアミン類を原料とするエポキシ樹脂またはモノグリシジル化合物との反応生成物、炭素数2〜4のアルキレンオキシドとの反応生成物、エピクロロヒドリンとの付加反応物、これらのポリアミン類との反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物との反応生成物、これらのポリアミン類との反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物と、一価のカルボン酸および/またはその誘導体との反応生成物などが使用できる。
フェノール類としてはカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンなどの多置換基モノマー、およびレゾール型フェノール樹脂などが挙げられる。
また、酸無水物またはカルボン酸類としてはドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物などの脂肪族酸無水物、(メチル)テトラヒドロ無水フタル酸、(メチル)ヘキサヒドロ無水フタル酸などの脂環式酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの芳香族酸無水物、およびこれらのカルボン酸などが使用できる。
高いガスバリア性の発現を考慮した場合には、芳香族部位を分子内に含むエポキシ樹脂硬化剤が好ましく、上記(1)式の骨格構造を分子内に含むエポキシ樹脂硬化剤がより好ましい。
具体的にはメタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン、およびこれらを原料とするエポキシ樹脂またはモノグリシジル化合物との反応生成物、炭素数2〜4のアルキレンオキシドとの反応生成物、エピクロロヒドリンとの反応生成物、これらのポリアミン類との反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物との反応生成物、これらのポリアミン類との反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物と、一価のカルボン酸および/またはその誘導体との反応生成物などを使用することがより好ましい。
高いガスバリア性および各種フィルム材料との良好な接着性を考慮した場合には、エポキシ樹脂硬化剤として、下記の(A)および(B)の反応生成物、または(A)、(B)、および(C)の反応生成物を用いることが特に好ましい。
(A)メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン
(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物
(C)炭素数1〜8の一価カルボン酸および/またはその誘導体
(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸などのカルボン酸およびそれらの誘導体、例えばエステル、アミド、酸無水物、酸塩化物などが挙げられ、特にアクリル酸、メタクリル酸およびそれらの誘導体が好ましい。
また、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、グリコール酸、安息香酸などの炭素数1〜8の一価のカルボン酸およびそれらの誘導体、例えばエステル、アミド、酸無水物、酸塩化物などを上記多官能性化合物と併用して開始ポリアミンと反応させてもよい。反応により導入されるアミド基部位は高い凝集力を有しており、エポキシ樹脂硬化剤中に高い割合でアミド基部位が存在することにより、より高い酸素バリア性および各種フィルム材料への良好な接着強度が得られる。
(A)および(B)、または(A)、(B)、および(C)の反応モル比は、それぞれ、(A)に含有されるアミノ基の数に対する(B)に含有される反応性官能基の数の比、または(A)に含有されるアミノ基の数に対する(B)および(C)に含有される反応性官能基の合計数の比として、0.3〜0.97の範囲が好ましい。0.3より少ない比率では、エポキシ樹脂硬化剤中に十分な量のアミド基が生成せず、高いレベルのガスバリア性および各種フィルム材料に対する接着性が発現しない。また、エポキシ樹脂硬化剤中に残存する揮発性分子の割合が高くなり、得られる硬化物からの臭気発生の原因となる。また、エポキシ基とアミノ基の反応により生成する水酸基の硬化反応物中における割合が高くなるため、高湿度環境下での酸素バリア性が著しく低下する要因となる。一方、0.97より高い範囲ではエポキシ樹脂と反応するアミノ基の量が少なくなり優れた耐衝撃性や耐熱性などが発現せず、また各種有機溶剤あるいは水に対する溶解性も低下する。得られる硬化物の高いガスバリア性、高い接着性、臭気発生の抑制および高湿度環境下での高い酸素バリア性を特に考慮する場合には、ポリアミン成分に対する多官能性化合物のモル比が0.6〜0.97の範囲がより好ましい。より高いレベルの各種フィルム材料に対する接着性の発現を考慮した場合には、本発明のエポキシ樹脂硬化剤中に、該硬化剤の全重量を基準として、少なくとも6重量%のアミド基が含有されることが好ましい。 (A)および(B)、または(A)、(B)、および(C)との反応は、それぞれの化合物により異なるが、140〜230℃で進行し、カルボン酸あるいはエステルに由来する水あるいはアルコールを留去することが望ましい。得られる生成物の性状は、(A)、(B)、および(C)の分子量及び官能基数により様々であり、粘度は10mPa・s/25℃ないし固形であり、粘度を下げるために溶剤を加えてもよい。
本発明の積層用接着剤を使用して作製した積層フィルムは、積層直後に300mm/minの剥離速度でT型剥離をした場合のフィルム材料間の初期粘着力が30g/15mm以上であることが好ましく、40 g/15mm以上であることがより好ましく、50 g/15mm以上であることが特に好ましい。この粘着性が十分でない場合、積層フィルムのトンネリングやフィルムを巻き取る際の巻きズレなどの問題が発生する。
高い粘着性の発現を考慮した場合には、例えばエポキシ樹脂硬化剤であるメタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミンと、該ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物との反応生成物の反応比を、ポリアミン成分に対する多官能性化合物のモル比で0.6〜0.97、好ましくは0.8〜0.97、特に好ましくは0.85〜0.97の範囲とし、反応生成物であるオリゴマーの平均分子量を高くしたエポキシ樹脂硬化剤を使用することが好ましい。
より好ましいエポキシ樹脂硬化剤は、メタキシリレンジアミンと、アクリル酸、メタクリル酸および/またはそれらの誘導体との反応生成物である。ここで、メタキシリレンジアミンに対するアクリル酸、メタクリル酸および/またはそれらの誘導体の反応モル比は0.8〜0.97の範囲が好ましい。
本発明の保存方法における積層用接着剤の主成分であるエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の配合割合については、一般にエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤との反応によりエポキシ樹脂硬化物を作製する場合の標準的な配合範囲であってよい。具体的には、エポキシ樹脂中のエポキシ基の数に対するエポキシ樹脂硬化剤中の活性水素数の比(活性水素/エポキシ基)が0.5〜5.0の範囲である。0.5より少ない範囲では残存する未反応のエポキシ基が、得られる硬化物のガスバリア性を低下させる原因となり、また5.0より多い範囲では残存する未反応のアミノ基が、得られる硬化物の耐湿熱性を低下させる原因となる。得られる硬化物のガスバリア性および耐湿熱性を特に考慮する場合には、0.8〜3.0の範囲がより好ましく、0.8〜1.4の範囲が特に好ましい。
また、得られる硬化物の高湿度環境下での高い酸素バリア性の発現を考慮した場合には、エポキシ樹脂中のエポキシ基の数に対するエポキシ樹脂硬化剤中の活性水素数の比が0.8〜1.4の範囲が好ましい。
また、本発明において、積層用接着剤には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリウレタン系樹脂組成物、ポリアクリル系樹脂組成物、ポリウレア系樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物を混合してもよい。
本発明の保存方法における積層用接着剤には各種フィルム材料に塗布時の表面の湿潤を助けるために、必要に応じてシリコンあるいはアクリル系化合物といった湿潤剤を添加しても良い。適切な湿潤剤としては、ビック・ケミー社から入手しうるBYK331、BYK333、BYK348、BYK381、BYK380Nなどがある。これらを添加する場合には、積層用接着剤の全重量を基準として0.01重量%〜2.0重量%の範囲が好ましい。
本発明の保存方法における積層用接着剤には各種フィルム材料に塗布直後の各種フィルム材料に対する粘着性を向上させるために、必要に応じてキシレン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂などの粘着付与剤を添加しても良い。これらを添加する場合には、積層用接着剤の全重量を基準として0.01重量%〜5.0重量%の範囲が好ましい。
また、本発明の保存方法における積層用接着剤により形成される接着層のガスバリア性、耐衝撃性、耐熱性などの諸性能を向上させるために、積層用接着剤の中にシリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機充填剤を添加しても良い。
フィルムの透明性を考慮した場合には、このような無機フィラーが平板状であることが好ましい。これらを添加する場合には、積層用接着剤の全重量を基準として0.01重量%〜10.0重量%の範囲が好ましい。
また、本発明の保存方法における積層用接着剤には、必要に応じて、酸素捕捉機能を有する化合物等を添加してもよい。酸素捕捉機能を有する化合物としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。
さらに、本発明の保存方法における積層用接着剤により形成される接着層の熱可塑性樹脂フィルム、金属箔、紙などの各種フィルム材料に対する接着性を向上させるために、積層用接着剤の中にシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤を添加しても良い。これらを添加する場合には、積層用接着剤の全重量を基準として0.01重量%〜10.0重量%の範囲が好ましい。
本発明の保存方法における積層用接着剤を使用して、各種フィルム材料を積層する場合には、ドライ積層、ノンソルベント積層、押出し積層等公知の積層法を用いることが可能である。
本発明の保存方法における積層用接着剤をフィルム材料に塗布し、積層する場合には、接着層となるエポキシ樹脂硬化物を得るのに十分なエポキシ樹脂組成物の濃度および温度で実施されるが、これは開始材料および積層方法の選択により変化し得る。すなわち、エポキシ樹脂組成物の濃度は選択した材料の種類およびモル比、積層方法などにより、溶剤を用いない場合から、ある種の適切な有機溶媒および/または水を用いて約5重量%程度の組成物濃度に希釈する場合までの様々な状態をとり得る。適切な有機溶媒としては、トルエン、キシレン、酢酸エチルなどの非水溶性系溶媒、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-プロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-プロポキシ-2-プロパノールなどのグリコールエーテル類、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノールなどのアルコール類、N, N-ジメチルホルムアミド、N, N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶媒などが挙げられるがメタノール、酢酸エチル、2-プロパノールなどの比較的低沸点溶剤が好ましい。また、溶剤を使用した場合には塗布後の溶媒乾燥温度は室温から約140℃までの様々なものであってよい。積層用接着剤をポリマーフィルムに塗布する際の塗装形式としては、ロール塗布やスプレー塗布、エアナイフ塗布、浸漬、はけ塗りなどの一般的に使用される塗装形式のいずれも使用され得る。ロール塗布またはスプレー塗布が好ましい。例えば、ポリウレタン系接着剤成分をポリマーフィルムに塗布し、積層する場合と同様のロールコートあるいはスプレー技術および設備が適用され得る。
続いて、各積層方法での具体的な操作について説明する。ドライ積層法の場合には、基材となるフィルム材料に本発明の積層用接着剤の有機溶剤および/または水による希釈溶液をグラビアロールなどのロールにより塗布後、溶剤を乾燥させ直ちにその表面に新たなフィルム材料を貼り合わせることにより積層フィルムを得ることができる。この場合、積層後に必要に応じて室温〜60℃で一定時間のエージングを行ない、硬化反応を完了することが望ましい。一定時間のエージングを行うことにより、十分な反応率でエポキシ樹脂硬化反応物が形成され、高いガスバリア性が発現する。
また、ノンソルベント積層法の場合には、基材となるフィルム材料に予め40℃〜100℃程度に加熱しておいた本発明の積層用接着剤を40℃〜120℃に加熱したグラビアロールなどのロールにより塗布後、直ちにその表面に新たなフィルム材料を貼り合わせることにより積層フィルムを得ることができる。この場合もドライ積層法の場合と同様に積層後に必要に応じて一定時間のエージングを行うことが望ましい。
押出し積層法の場合には、基材となるフィルム材料に接着補助剤(アンカーコート剤)として本発明の積層用接着剤の主成分であるエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤の有機溶剤および/または水による希釈溶液をグラビアロールなどのロールにより塗布し、室温〜140℃で溶剤の乾燥、硬化反応を行った後に、押出し機により溶融させたポリマー材料を積層することにより積層フィルムを得ることができる。溶融させるポリマー材料としては低密度ポリエチレン樹脂や直線状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂などのポリオレフィン系樹脂が好ましい。
これらの積層法およびその他の一般的に使用されうる積層法は必要に応じて組み合わせることも可能であり、用途や形態に応じて積層フィルムの層構成は変化し得る。
本発明の保存方法における積層用接着剤を各種フィルム材料等に塗布、乾燥、貼り合わせ、熱処理した後の接着層の厚さは0.1〜100μm、好ましくは0.5〜10μmが実用的である。0.1μm未満では十分なガスバリア性および接着性が発揮し難く、一方100μmを超えると均一な厚みの接着層を形成することが困難になる。
本発明の保存方法における積層用接着剤は各種フィルム材料に対する好適な接着性能に加え、高いガスバリア性を有する事を特徴としており、低湿度条件から高湿度条件に至る広い範囲において高いガスバリア性を示す。このことから、該接着剤を使用した積層フィルムは、PVDCコート層やポリビニルアルコール(PVA)コート層、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム層、メタキシリレンアジパミドフィルム層、アルミナやシリカなどを蒸着した無機蒸着フィルム層などの一般に使用されているガスバリア性材料を使用することなく非常に高いレベルのガスバリア性が発現する。さらに、これら従来のガスバリア性材料と他の熱可塑性樹脂層とを貼り合せる接着剤として併用することにより、得られるフィルムのガスバリア性を著しく向上させることもできる。
また、エチレンービニルアルコール共重合体(EVOH)系フィルム、ポリビニルアルコール系フィルム、ポリビニルアルコールコートフィルム、無機フィラーを分散させたポリビニルアルコールコートフィルム、メタキシレンアジパミド(N-MXD6)フィルムなどのガスバリア性フィルムは、高湿度条件下では、そのガスバリア性が低下するという欠点があるが、該接着剤を使用して、これらのガスバリア性フィルムを含む積層フィルムを作製すると、この欠点を解消することができる。
さらに、本発明の保存方法におけるガスバリア性積層フィルム中の接着層を形成するエポキシ樹脂硬化物は、靭性、耐湿熱性に優れることから、耐衝撃性、耐煮沸処理性、耐レトルト処理性などに優れたガスバリア性積層フィルムが得られる。
本発明の保存方法におけるガスバリア性積層フィルムを使用して食品を保存する場合には、内容物の種類や使用環境、使用形態に応じてその使用状態は変化し得る。すなわち、該積層フィルムをそのまま多層包装材料として使用することもできるし、必要に応じて酸素吸収層や熱可塑性樹脂フィルム層、紙層、金属箔層などを該積層フィルムにさらに積層させることもできる。この際、本発明の保存方法における積層用接着剤を用いて積層させても良いし、他の接着剤やアンカーコート剤を用いて積層させても良い。
多層包装材料を使用して、食品を保存する方法としては従来公知の方法が利用できるが、多層包装材料を使用して包装用袋を製袋し、その中に食品を充填する方法が一般的である。包装用袋は、多層包装材料を使用し、そのヒートシール性樹脂層の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その周辺端部をヒートシールしてシール部を形成して製造することができる。その製袋方法としては、例えば、前記多層包装材料を折り曲げるかあるいは重ね合わせて、その内層の面を対向させ、更にその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型、その他等のヒートシール形態によりヒートシールする方法が挙げられる。包装用袋は内容物や使用環境、使用形態に応じて種々の形態をとり得る。その他、例えば、自立性包装用袋(スタンディングパウチ)等も可能である。ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
包装用袋にその開口部から内容物を充填し、しかる後、その開口部をヒートシールすることで、包装製品を製造することができる。充填方法としては含気充填、窒素等のガス置換充填法など公知の方法が適用できる。その際、酸素濃度は1%以下、好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.2%以下である。また、必要に応じて脱酸素機能を有する材料を包装袋内に併せて入れることもできる。
本発明の保存方法が適用され得る食品としては、その水分活性値が0.1程度の乾燥食品から0.95程度の半生食品、生食品、液状食品まで広範囲に至る。具体的にはパン、スナックめん、即席めん、乾めん、パスタ、無菌包装米飯、ぞうすい、おかゆ、包装もち、シリアルフーズなどのステープル類、米菓、豆菓子、ナッツ類、スナック類、キャンディ、チョコレート、ビスケット・クッキー、ウェハース菓子、カステラ、マシュマロ、パイ、饅頭、羊羹、半生ケーキ類などの菓子類、ハム類、ベーコン、ソーセージ類、チキン加工品、コーンビーフ類などの畜産加工品類、魚肉ハム・ソーセージ、水産練製品、かまぼこ、のり、佃煮、かつおぶし、塩辛、スモークサーモン、辛子明太子、とろろ昆布などの水産加工品類、カレー、液体スープ、煮物、シチュー、食酢、醤油、ソース、味噌等の液状加工食品に代表される液状食品類が挙げられるが、この限りではない。
本発明の保存方法におけるガスバリア性積層フィルムは、高いガスバリア性を有するエポキシ樹脂組成物を主成分とする積層用接着剤を実質的なガスバリア材料として使用していることから、低湿度条件から高湿度条件に至る広い範囲での酸素や水蒸気、香気成分などの各種ガスバリア性、およびその積層強度、ヒートシール性、耐熱性、防湿性、耐酸性、耐油性、透明性、環境適合性、経済性等に優れるばからいでなく、ボイル処理後の積層フィルムの変色、保存後のラミネート強度の低下を起こさない。そして、本発明のガスバリア性積層フィルムおよび該積層フィルムを製袋して得られる包装用袋を使用することにより、食品類を充分に保護し、その貯蔵・保存安定性、充填包装適性、環境適性、経済性等に優れた保存方法を提供する事ができる。
以下に本発明の実施例を紹介するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
積層フィルムの初期粘着力の測定方法は次の通りである。
<初期粘着力の測定方法>
積層した直後のフィルムを長さ300mm、幅15mmの短冊状に切り取り、試験片とし、JISK−6854に指定されている方法を用いて300mm/minの剥離速度でT型剥離をした。
<エポキシ樹脂硬化剤a>
反応容器に1モルのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.93モルのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。滴下終了後120℃で1時間攪拌し、さらに、生成するメタノールを留去しながら3時間で160℃まで昇温した。100℃まで冷却し、固形分濃度が70重量%になるように所定量のメタノールを加え、エポキシ樹脂硬化剤aを得た。エポキシ樹脂硬化剤a中のアミド基の含有率は21重量%であった。
<積層フィルムA>
メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂(三菱ガス化学(株)製;TETRAD−X)を50重量部およびエポキシ樹脂硬化剤aを146重量部含むメタノール/酢酸エチル=7/3溶液(固形分濃度;35重量%)を作製し、そこにアクリル系湿潤剤(ビック・ケミー社製;BYK381)を0.4重量部加え、よく攪拌し、塗布液を得た。
この塗布液を厚み20μmの延伸ポリプロピレンフィルムにバーコーターNo.6を使用して塗布し(塗布量:3.5 g/m2(固形分))、85℃で10秒乾燥させた後、厚み40μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをニップロールにより貼り合わせ、40℃で4日間エージングすることにより積層フィルムAを得た。初期粘着力は70 g/15mm、接着層(エポキシ樹脂硬化物)中の(1)式の骨格構造の含有率は62.0重量%であった。
<積層フィルムB>
厚み20μmの延伸ポリプロピレンフィルムの代わりに、厚み15μmの延伸ナイロンフィルムを用い、厚み40μmの無延伸ポリプロピレンフィルムの代わりに、厚み40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを用いた以外は積層フィルムAと同様の方法で積層フィルムBを得た。初期粘着力は70 g/15mmであった。
<積層フィルムC>
厚み20μmの延伸ポリプロピレンフィルムの代わりに、厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、厚み40μmの無延伸ポリプロピレンフィルムの代わりに、厚み40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを用いた以外は積層フィルムAと同様の方法で積層フィルムCを得た。初期粘着力は90 g/15mmであった。
<積層フィルムD>
厚み40μmの無延伸ポリプロピレンフィルムの代わりに、厚み40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを用いた以外は積層フィルムAと同様の方法で積層フィルムDを得た。初期粘着力は70 g/15mmであった。
<積層フィルムE>
厚み20μmの延伸ポリプロピレンフィルムの代わりに、厚み15μmの延伸ナイロンフィルムを用い、厚み40μmの無延伸ポリプロピレンフィルムの代わりに、厚み40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを用いた以外は積層フィルムAと同様の方法で積層フィルムEを得た。初期粘着力は90 g/15mmであった。
<積層フィルムF>
厚み20μmの延伸ポリプロピレンフィルムの代わりに、厚み15μmの延伸ナイロンフィルムを用いた以外は積層フィルムAと同様の方法で積層フィルムFを得た。初期粘着力は90 g/15mmであった。
<実施例1>
積層フィルムA2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部から食パンを酸素濃度1%となるように窒素ガス充填包装し、その開口部をヒートシールして上方シール部を形成することにより包装製品を製造した。
<実施例2>
積層フィルムB2枚を用意し、その直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部から半生ラーメンを酸素濃度1%となるように窒素ガス充填包装し、その開口部をヒートシールして上方シール部を形成することにより包装製品を製造した。
<実施例3>
積層フィルムC2枚を用意し、その直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部から半生ラーメンを酸素濃度1%となるように窒素ガス充填包装し、その開口部をヒートシールして上方シール部を形成することにより包装製品を製造した。
<実施例4>
積層フィルムB2枚を用意し、その直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部からもちを充填包装し、脱酸素剤(三菱ガス化学(株)製;エージレス)を入れて、その開口部をヒートシールして上方シール部を形成することにより包装製品を製造した。
<実施例5>
積層フィルムC2枚を用意し、その直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部からもちを充填包装し、脱酸素剤(三菱ガス化学(株)製;エージレス)を入れて、その開口部をヒートシールして上方シール部を形成することにより包装製品を製造した。
<実施例6>
積層フィルムA2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部からバターピーナッツを酸素濃度1%となるように窒素ガス充填包装し、その開口部をヒートシールして上方シール部を形成することにより包装製品を製造した。
<実施例7>
積層フィルムA2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部からバターピーナッツを充填包装し、脱酸素剤(三菱ガス化学(株)製;エージレス)を入れて、その開口部をヒートシールして上方シール部を形成することにより包装製品を製造した。
<実施例8>
積層フィルムA2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部からフィナンシェを酸素濃度1%となるように窒素ガス充填包装し、その開口部をヒートシールして上方シール部を形成することにより包装製品を製造した。
<実施例9>
積層フィルムB2枚を用意し、その直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部からカステラを酸素濃度1%となるように窒素ガス充填包装し、その開口部をヒートシールして上方シール部を形成することにより包装製品を製造した。
<実施例10>
積層フィルムC2枚を用意し、その直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部からカステラを酸素濃度1%となるように窒素ガス充填包装し、その開口部をヒートシールして上方シール部を形成することにより包装製品を製造した。
<実施例11>
積層フィルムD2枚を用意し、その直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部からスライスハムを酸素濃度1%となるように窒素ガス充填包装し、その開口部をヒートシールして上方シール部を形成することにより包装製品を製造した。
<実施例12>
積層フィルムD2枚を用意し、その直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部からスライスハムを酸素濃度0.1%以下となるように窒素ガス充填包装し、その開口部をヒートシールして上方シール部を形成することにより包装製品を製造した。
<実施例13>
積層フィルムD2枚を用意し、その直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部からスライスハムを充填包装し、脱酸素剤(三菱ガス化学(株)製;エージレス)を入れて、その開口部をヒートシールして上方シール部を形成することにより包装製品を製造した。
<実施例14>
積層フィルムE2枚を用意し、その直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部からとろろ昆布を酸素濃度0.1%以下となるように窒素ガス充填包装し、その開口部をヒートシールして上方シール部を形成することにより包装製品を製造した。
<実施例15>
積層フィルムE2枚を用意し、その直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部からとろろ昆布を充填包装し、脱酸素剤(三菱ガス化学(株)製;エージレス)を入れて、その開口部をヒートシールして上方シール部を形成することにより包装製品を製造した。
製造した包装製品について、包装後、バターピーナッツ包装品は30℃無加湿恒温槽に放置した後、ガスクロマトグラフィーで袋内の酸素濃度を測定し、内容食品の過酸化物価(POV)及び酸価(AV)の測定と、官能評価を行った。食パン、フィナンシェ、半生ラーメン、カステラ包装品は25℃室内に放置した後、ガスクロマトグラフィーで袋内の酸素濃度を測定し、内容食品の官能評価を行った。スライスハム包装品は冷蔵オープンショーケース(約10℃、4000ルクス蛍光灯下)に放置した後、ガスクロマトグラフィーで袋内の酸素濃度を測定し、内容食品の一般生菌数及び酵母数の測定と、官能評価を行った。とろろ昆布は、25℃室内、1000ルクス蛍光灯下に放置した後、ガスクロマトグラフィーで袋内の酸素濃度を測定し、内容食品の官能評価を行った。結果を表1−8に示す。
過酸化物価(POV)及び酸価(AV)の測定と、一般生菌数、酵母数、官能評価の方法は以下の通り。
<過酸化物価(POV)>
包装製品内の食品を粉砕後、珪藻土と塩化メチレン/メタノール(2/1;vol)を適量加え、常温、暗室下、約15時間静置する。ろ過後、溶媒を留去した後、塩化メチレンと酢酸に溶解し、飽和沃化カリウム水溶液を加えた後、滴定液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を使用した京都電子(株)製自動滴定装置APB-10により、過酸化物価(POV)を測定した。
<酸価(AV)>
包装製品内の食品を粉砕後、珪藻土と塩化メチレン/メタノール混合液を適量加え、常温、暗室下、約15時間静置する。ろ過後、溶媒を留去した後、塩化メチレン/メタノール混合液に溶解した後、滴定液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を使用した京都電子(株)製自動滴定装置APB-10により、酸価(AV)を測定した。
<一般生菌数>
袋内の食品適量に滅菌生理食塩水を加え混合希釈後、細菌用標準寒天培地に注ぎ、35℃48時間培養後、集落数を数え、食品1gあたりの菌数を算出する。
<酵母数>
袋内の食品適量に滅菌生理食塩水を加え混合希釈後、酵母・カビ用培養用のクロラムフェニコール0.01%添加ポテトデキストロース寒天培地に注ぎ、25℃96時間培養後、集落数を数え、食品1gあたりの菌数を算出する。
<外観>
食品の外観を観察し3段階で評価する。
○:外観変化なし △:退色あり ×:著しい退色あり
<臭い・味>
食品の臭いと味を5段階で評価する。
5:臭い・味とも良好
4:臭い・味ともやや低下
3:臭い・味とも低下
2:やや臭気(腐敗臭・酸化臭・変質臭・包材臭・発酵臭)あり
1:著しい臭気(腐敗臭・酸化臭・変質臭・包材臭・発酵臭)あり、食見せず
注1:初期POV0.7 meq/kg
注2:初期AV0.5 mgKOH/g
注1:初期一般生菌数30cfu/g
注2:初期酵母数300cfu/g
上記の表1−8に示す試験結果より明らかなように、本発明は風味、臭いを変わらずに食品を保存する方法である。
また、積層フィルムのラミネート強度の評価方法は以下の通りである。
<ラミネート強度 (g/15mm)>
JIS K―6854に指定されている方法を用い、積層フィルムのラミネート強度をT型剥離試験により100mm/minの剥離速度で測定した。
<ボイル処理後の変色>
ボイル処理前の積層フィルムと比較し、目視により判定した。
<参考例1>
積層フィルムAのラミネート強度を評価した。結果を表9に示す。
<参考例2>
積層フィルムAを90℃/30分間ボイル処理をした後、変色およびラミネート強度を評価した。結果を表9に示す。
<実施例16>
積層フィルムA2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部から200gの水を充填し、ヘッドスペース空気が0となるよう密封した後、23℃/60%RHの条件下一ヵ月保存し、変色およびラミネート強度を評価した。結果を表9に示す。
<実施例17>
積層フィルムA2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部から200gの水を充填し、ヘッドスペース空気が0となるよう密封し、90℃/30分間ボイル処理をした後、23℃/60%RHの条件下一ヵ月保存し、変色およびラミネート強度を評価した。結果を表9に示す。
<実施例18>
積層フィルムA2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部から200gの水を充填し、ヘッドスペース空気が0となるよう密封した後、40℃の温水浸漬条件下一ヵ月保存し、変色およびラミネート強度を評価した。結果を表9に示す。
<実施例19>
積層フィルムA2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部から200gの水を充填し、ヘッドスペース空気が0となるよう密封し、90℃/30分間ボイル処理をした後、40℃の温水浸漬条件下一ヵ月保存し、変色およびラミネート強度を評価した。結果を表9に示す。
<実施例20>
積層フィルムA2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部から200gの3重量%酢酸水溶液を充填し、ヘッドスペース空気が0となるよう密封し、90℃/30分間ボイル処理をした後、変色およびラミネート強度を評価した。結果を表9に示す。
<実施例21>
積層フィルムA2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部から200gの3重量%酢酸水溶液を充填し、ヘッドスペース空気が0となるよう密封した後、23℃/60%RHの条件下一ヵ月保存し、変色およびラミネート強度を評価した。結果を表9に示す。
<実施例22>
積層フィルムA2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部から200gの3重量%酢酸水溶液を充填し、ヘッドスペース空気が0となるよう密封し、90℃/30分間ボイル処理をした後、23℃/60%RHの条件下一ヵ月保存し、変色およびラミネート強度を評価した。結果を表9に示す。
<実施例23>
積層フィルムA2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部から200gの3重量%酢酸水溶液を充填し、ヘッドスペース空気が0となるよう密封した後、40℃の温水浸漬条件下一ヵ月保存し、変色およびラミネート強度を評価した。結果を表9に示す。
<実施例24>
積層フィルムA2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部から200gの3重量%酢酸水溶液を充填し、ヘッドスペース空気が0となるよう密封し、90℃/30分間ボイル処理をした後、40℃の温水浸漬条件下一ヵ月保存し、変色およびラミネート強度を評価した。結果を表9に示す。
<参考例3>
積層フィルムFのラミネート強度を評価した。結果を表10に示す。
<参考例4>
積層フィルムFを90℃/30分間ボイル処理をした後、変色およびラミネート強度を評価した。結果を表10に示す。
<実施例25>
積層フィルムF2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部から200gの水を充填し、ヘッドスペース空気が0となるよう密封した後、23℃/60%RHの条件下一ヵ月保存し、変色およびラミネート強度を評価した。結果を表10に示す。
<実施例26>
積層フィルムF2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部から200gの水を充填し、ヘッドスペース空気が0となるよう密封し、90℃/30分間ボイル処理をした後、23℃/60%RHの条件下一ヵ月保存し、変色およびラミネート強度を評価した。結果を表10に示す。
<実施例27>
積層フィルムF2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部から200gの水を充填し、ヘッドスペース空気が0となるよう密封した後、40℃の温水浸漬条件下一ヵ月保存し、変色およびラミネート強度を評価した。結果を表10に示す。
<実施例28>
積層フィルムF2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部から200gの水を充填し、ヘッドスペース空気が0となるよう密封し、90℃/30分間ボイル処理をした後、40℃の温水浸漬条件下一ヵ月保存し、変色およびラミネート強度を評価した。結果を表10に示す。
<実施例29>
積層フィルムF2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部から200gの3重量%酢酸水溶液を充填し、ヘッドスペース空気が0となるよう密封し、90℃/30分間ボイル処理をした後、変色およびラミネート強度を評価した。結果を表10に示す。
<実施例30>
積層フィルムF2枚を用意し、その無延伸ポQリプロピレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部から200gの3重量%酢酸水溶液を充填し、ヘッドスペース空気が0となるよう密封した後、23℃/60%RHの条件下一ヵ月保存し、変色およびラミネート強度を評価した。結果を表10に示す。
<実施例31>
積層フィルムF2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部から200gの3重量%酢酸水溶液を充填し、ヘッドスペース空気が0となるよう密封し、90℃/30分間ボイル処理をした後、23℃/60%RHの条件下一ヵ月保存し、変色およびラミネート強度を評価した。結果を表10に示す。
<実施例32>
積層フィルムF2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部から200gの3重量%酢酸水溶液を充填し、ヘッドスペース空気が0となるよう密封した後、40℃の温水浸漬条件下一ヵ月保存し、変色およびラミネート強度を評価した。結果を表10に示す。
<実施例33>
積層フィルムF2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成させ、上方に開口部を有する三方シール型の包装用袋を製造した。製造した三方シール型の包装用袋内に、その開口部から200gの3重量%酢酸水溶液を充填し、ヘッドスペース空気が0となるよう密封し、90℃/30分間ボイル処理をした後、40℃の温水浸漬条件下一ヵ月保存し、変色およびラミネート強度を評価した。結果を表10に示す。
上記の表9、10に示す試験結果より明らかなように、本発明は内容物が水、3重量%酢酸いずれにおいてもボイル処理後の積層フィルムの変色もなく、良好なラミネート強度を保持する包装用袋を用いることにより、液状食品を長期保存する方法である。

Claims (11)

  1. 熱可塑性樹脂からなる外層、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなる内層、およびエポキシ樹脂組成物を主成分とする積層用接着剤を用いて形成した接着層を含むガスバリア性積層フィルムを用いて食品を密閉する食品の保存方法であって、該エポキシ樹脂組成物が、エポキシ樹脂と下記の(A)および(B)の反応生成物であるエポキシ樹脂硬化剤からなり、エポキシ樹脂中のエポキシ基に対するエポキシ樹脂硬化剤中の活性水素の比(活性水素/エポキシ基)が、0.8〜1.4の範囲であり、該エポキシ樹脂組成物により形成されるエポキシ樹脂硬化物中に(1)式の骨格構造を40重量%以上含有することを特徴とする保存方法。
    (A)メタキシリレンジアミン
    (B)アクリル酸、メタクリル酸および/またはそれらの誘導体
  2. 食品が、ステープル類、菓子類、畜産加工品類、水産加工品類、液状食品類のいずれかである請求項1記載の保存方法。
  3. エポキシ樹脂がメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミン部位および/またはグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂およびレゾルシノールから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂から選ばれる1種以上である請求項記載の保存方法。
  4. エポキシ樹脂が、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、および/またはビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂を主成分とする請求項記載の保存方法。
  5. エポキシ樹脂がメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂を主成分とする請求項記載の保存方法。
  6. (A)および(B)の反応モル比が、(A)に含有されるアミノ基の数に対する(B)に含有される反応性官能基の数の比として、0.6〜0.97の範囲であることを特徴とする請求項記載の保存方法。
  7. (A)に対する(B)の反応モル比が0.8〜0.97の範囲である請求項記載の保存方法。
  8. エポキシ樹脂硬化剤が、該硬化剤の全重量を基準として少なくとも6重量%のアミド基を含有することを特徴とする請求項記載の保存方法。
  9. 積層した直後に300mm/minの剥離速度でT型剥離をした場合の積層フィルム間の初期粘着力が30g/15mm以上である請求項1〜のいずれかに記載の保存方法。
  10. 外層が、2軸延伸ポリオレフィン系樹脂フィルム、2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム、または2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムである請求項1〜のいずれかに記載の保存方法。
  11. 内層がポリオレフィン系樹脂層である請求項1〜10のいずれかに記載の保存方法。
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